総括所見:ドイツ(OPAC・2008年)


CRC/C/OPAC/DEU/CO/1(2008年2月13日)
原文:英語(平野裕二仮訳)

1.委員会は、2008年1月18日に開かれた第1293回会合においてドイツの第1回報告書(CRC/C/OPAC/DEU/1)を検討し、2008年2月1日に開かれた第1313回会合(CRC/C/SR.946)において以下の総括所見を採択した。

2.委員会は、締約国の第1回報告書が、報告ガイドラインに全面的にはしたがっていなかったことには留意しながらも、提出されたことを歓迎する。委員会はさらに、事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/DEU/Q/1/Add.1)を歓迎するとともに、国防省の代表を含む多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価する。
3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2004年1月30日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.226)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。

A.積極的側面

4.委員会は締約国の以下の行為を歓迎する。
  • (a) 子どもの権利条約の批准時に第38条に関して行なわれた、敵対行為への参加に関して15歳という最低年齢制限を定めることは子どもの最善の利益の考慮と両立しない旨の宣言。
  • (b) 紛争を経験しているまたは紛争後の状況下にあるいくつかの国における、子ども兵士のリハビリテーションおよび再統合のためのプロジェクトに対する拠出。
  • (c) 子どもと武力紛争に関する事務総長特別代表の委任事項に対する支持。
  • (d) 欧州連合総務・対外関係理事会によって2003年12月に採択され、かつ2005年に改訂された「子どもと武力紛争に関する指針」の実施を促進するための努力。
5.委員会はさらに、締約国が、以下のものを含む、選択議定書に関連する国際文書に加入しまたはこれを批准したことを称賛する。
  • (a) 国際刑事裁判所ローマ規程(2003年4月23日)。
  • (b) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関第182号条約(2002年4月18日)。

I.実施に関する一般的措置

普及および研修
6.委員会は、平和維持部隊の参加者を含む軍人が人権に関する研修(子どもの権利条約および選択議定書の規定に関するものを含む)を受けていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、子どもとともに働く一部職種の専門家が十分な研修を受けていない可能性があることを懸念するものである。
7.委員会は、選択議定書第6条2項に照らし、締約国が、議定書の原則および規定が一般公衆および国の職員に対して広く普及されることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、子ども(徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもの庇護希望者および難民)とともに働くすべての関連の専門家集団、とくに教員、メディア専門職、ソーシャルワーカー、警察官、弁護士、裁判官およびジャーナリストを対象とした、議定書の規定に関する体系的な意識啓発、教育および研修のプログラムを発展させることも、勧告するものである。締約国は、次回の報告書でこの点に関する情報を提供するよう慫慂される。
データ
8.委員会は、締約国の管轄内にいる子どもであって徴募されまたは敵対行為で使用された者(とくに16歳または17歳の者)についてのデータが存在しないことを遺憾に思う。
9.委員会は、締約国に対し、その管轄内にいる子どもであって徴募されまたは敵対行為で使用されたすべての者を特定しかつ登録する目的で中央データ・システムを設置するよう、促す。とくに委員会は、締約国に対し、このような慣行の被害を受けた子どもの難民および庇護希望者に関するデータが利用可能となることを確保するよう、促すものである。

II.防止

志願入隊
10.委員会は、志願兵の入隊に関する最低年齢(17歳)はその法定代理人の同意があって初めて有効であること、および、これらの志願兵を軍務に配置することは認められていないことに留意する。
11.委員会は、議定書の締約国の大多数は子どもの志願入隊を認めていないことに留意する。したがって委員会は、締約国に対し、全般的により厳格な法的規準を通じて子どもの保護を促進する目的で、軍への入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げるよう奨励するものである。
人権教育および平和教育
12.委員会は、締約国が行なっている人権教育についての情報を歓迎するものの、人権教育および平和教育が、すべての段階におけるすべての学校のカリキュラムの要素となっているわけではないことを遺憾に思う。
13.委員会は、締約国が、学校ですべての子どもを対象とする人権教育およびとくに平和教育を提供し、かつ、これらのテーマを子どもの教育に含めることに関して教員の研修を行なう努力をさらに強化するよう、勧告する。

III.禁止および関連の事項

立法
14.委員会は、締約国の刑法〔2002年6月26日の国際刑法典導入法〕第8条に戦争犯罪に関する規定が設けられていること、および、15歳未満の子どもを軍隊または武装集団に徴募する行為について域外裁判権を行使できる旨が確認されたことを歓迎する。委員会は、15~17歳の子どもについてもこのような裁判権を設定できることに留意するものの、双方可罰性の基準を満たすことがその条件であることを遺憾に思うものである。
15.子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国際的措置をさらに強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。
  • (a) 子どもを徴募しかつ敵対行為に子どもを関与させる犯罪について、双方可罰性の基準を課すことなく域外裁判権を拡大することを検討すること。
  • (b) 軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定および精神にしたがうことを確保すること。

IV.保護、回復および再統合

身体的および心理的回復のための援助
16.委員会は、青少年福祉法および移民法の改正(2005年)により、子ども兵士として徴募されることが、難民資格を付与しうる事由である迫害の一形態として認められるようになったことを歓迎する。委員会は、ドイツに入国した子どもの難民または庇護希望者のうち国外において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもを特定するための十分な措置が適用されていないことを、遺憾に思う。さらに、委員会は、保護者のいない子どもが収容される場合があること、および、16歳に達した者については、庇護申請手続において、後見人が時宜を得たやり方で任命されないおそれがあることを懸念するものである。
17.委員会はまた、保護者のいない子どもの庇護希望者および難民であって国外で敵対行為に関与させられた子どもが、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための学際的援助をドイツにおいて提供できる特別の専門家に十分アクセスできていないことも、依然として懸念する。委員会は、移民担当機関に、とくに16歳または17歳の子どもの庇護事案の決定について特別な訓練を受けた職員が十分に存在しないことを懸念するものである。
18.委員会は、ドイツに到着した子どもの庇護希望者および難民であって国外において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもに対し、締約国が、とくに以下の措置をとることにより、保護を提供するよう勧告する。
  • (a) 子どもの庇護希望者および難民であって国外において徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある子どもを可能なかぎり早い段階で特定すること。
  • (b) 情報に対する子どもの庇護希望者のアクセスをヘルプライン等も通じて向上させ、これらの子どもが利用可能な法的助言サービスを強化し、かつ、18歳未満のすべての子どもに対して時宜を得たやり方で後見人が任命されることを確保すること。
  • (c) これらの子どもの状況を注意深く評価するとともに、選択議定書第6条3項にしたがい、これらの子どもに、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、文化的配慮および子どもに対する配慮がありかつ学際的な援助を直ちに提供すること。
  • (d) 特別な訓練を受けた、より多くの職員が移民担当機関に配置されること、および、子どもの帰還に関わる意思決定手続において子どもの最善の利益およびノン・ルフールマンの原則が第一義的に考慮されることを確保すること。これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)、とくにパラ54~60に留意するよう勧告する。
  • (e) この点に関してとられた措置についての情報を次回の報告書に記載すること。

V.国際的な援助および協力

財政援助その他の援助
19.委員会は、武力紛争の影響を受けた子どもの保護および支援を目的とした多国間および二国間の活動に対する財政支援について、締約国を賞賛する。
20.委員会は、締約国が、とくに防止活動ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進することにより、武力紛争に関与した子どもの権利に対応するための多国間および二国間の活動に対する財政支援を継続しかつ強化するよう、勧告する。
21.委員会は、国連平和維持活動に対する締約国の積極的貢献には評価の意とともに留意しながらも、締約国に対し、自国の要員が武力紛争に関与する子どもの権利を全面的に認識し、かつ分遣隊がその責任および説明責任について認識することを引き続き確保するよう、勧告する。
武器輸出
22.委員会は、締約国がEU「武器輸出に関する行動規範」の原則を遵守していることを歓迎するものの、これらの原則では、子どもが徴募されまたは敵対行為において使用されている可能性がある国を最終目的地とする武器の販売を除外する基準について触れられていないことに留意する。
23.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国が最終目的地である場合における武器の販売の具体的禁止規定の導入を検討するよう、勧告する。

VI.その他の法規定

24.子どもの売買と武装集団への徴募が関連している可能性があることに鑑み、委員会は、締約国が、子どもの権利の保護をさらに向上させる目的で、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の批准を進めるよう、勧告する。

VII.フォローアップおよび普及

25.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、連邦議会および連邦参議院ならびに州および自治体の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。
26.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。

VIII.次回報告書

27.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回定期報告書(提出期限2009年4月4日)に記載するよう要請する。


  • 更新履歴:ページ作成(2011年10月20日)。