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最終話  『永月 ぽぷら(卯月 桜 後編)』」(2007/02/20 (火) 16:02:43) の最新版変更点

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最終話 永月 ぽぷら編 そして、俺は全ての覚悟を決めて卯月の前に立った。ヒントは、ドクオと文月がくれた……後決めるのは覚悟だけだ。言うぞ。弥生なのはよ、お生憎様!俺は、俺なりに考えた真実を見つけた。 俺は幼い頃、あいつに惚れて告った……だけど、あいつは…心を病んで自らの心をズタズタに裂いている途中だった。 ぽぷらは、俺の告白で自分の心を引き裂くのをやめた。だけどあいつは、神様に誓っていた。大切なものは誰かに上げるって、そして、自分の名前を変えてぽぷらからスミレになり、もう一つの人格の桜に想いを託した。 けれど、俺は二つに分かれたはずの人格を前にスミレをぽぷらだと思い込んだのだ。 そして、桜はそれに苦しみ、人格をもう一つ作って相談相手とした。 その相談相手・朝顔は、深層心理がつながっているゆえに俺に惚れ…後は連鎖的に生まれた。 ただ、なのはだけは違った、彼女は精神科医が作った統合を目的とする人格だった。 故に生まれるはずだった弥生を飲み込み、一つの人格を作り上げた。 俺が感じた違和感はそれだった。 そして、俺の出した答えは…… 「桜……俺は、確かにスミレに惚れてる…」 「へ?」 「だけど、」 風が桜の花びらを乗せてオレンジの風を俺たちにぶつける…… 「俺は、葵も好きだし、紅葉も好きだし、桜!お前も好きだ。俺は、お前たち一人一人じゃなくて、永月ぽぷらとして、お前を好きになった、お前たちはコップの中の氷かもしれない…けど!俺は、お前が好きだ」 桜は、ぼーとして答えを聞くと…ふっと目を瞑った。 目をあけた桜…いやぽぷらは、全てを理解するような自信の瞳で俺を睨んだ。 「むむ、なんだ?私だけが生き残る予定だったのだがな…最大の手違いは私が…いやなんでもない……予想以上、パーフェクトだ……ふふふ、先生の口付けは最優秀生徒にくれてやる……じゃあ、な」 唐突に現れ、言いたいことだけ言うと、強引に唇を奪い…挨拶だけして目を瞑る。オレンジの桜吹雪が吹き、俺の視界を奪った。なぜか、もう二度と弥生に会えない気がした… その直後声を掛けてきた彼女は、トロンとした瞳に怠惰の感情を浮かべ俺を見つめる。皐月…葵? 「……四葉…お別れを言いにきたよ……あの時の駄菓子…美味しかった以上に、うれしかった…今度は本当の紅葉を見たかった………最後くらいは…いいよね」 言うと、彼女はゆっくりと顔を近づけ、目を瞑る。俺がキスをすると、ちょっとだけ微笑んでまたすぐに目を瞑った。 「なあ、待ってくれよ…」 多重人格は消滅か、統合によって解決する。そんな文章をなんとなく思い出した。じゃあ、これは…… 目を開けた彼女は、凛々しく力強い瞳で俺を見つめる。彼女は邪魔そうに髪の毛を払うとちょっとだけ笑って俺に語りかける。 「屋上でのオルゴール…綺麗な音色だったぞ、それにとても楽しかった……お前にはもっと気楽に生きろといわれたが、ちょっと私には無理だったな…さらばだ…四葉」 言って、無理やり俺の肩を掴むとほっぺたに唇を当てた。顔を離し、満足そうに笑うと、また目を瞑る。 「紅葉……さようなら……」 泣いちゃ…だめだ…この子達の前で、涙は見せられない…… 次に出てきたのは、暖かい瞳にやわらかい表情を浮かべ… 「星霜様…やはり、来年はありませんでしたねぇ……おもちゃの指輪ですが…お返しいたします。もう、魔法を使わなくても、会えるのですから…オルゴールに入れておきました…大切にしてください」 と言い、牡丹は、手をとって甲に口付けると……いつもの柔らかい笑みを浮かべて、目を瞑る 「……そんなこといわれずとも、大切にするよ」 桜吹雪は止まず、舞い僕らを包む 目を開けた彼女は、眩しいほど輝く瞳でハイテンションな叫びを上げる。 「四葉あぁぁぁ!カラオケ楽しかったし、公園での指輪、ありがとうな!!ちょっと恥ずかしかったぞ…マフラー大切にしてくれよな…最後だ、この蜜柑様からの口付け、ありがたく頂け!」 嵐のようにそれだけいうと、ほとんど衝突するように口付け、離れてすぐに目を瞑った。 「マフラー…あったかかったぜ」桜と夕日の舞う公園にまた風が吹く 続いて目を開け、不安げに揺れる瞳で精一杯俺を見つめてくる。 「あうあうあうあ…………星霜君…ぅぁ…私に一つルールをくれたよね………ぅぅ…ぁ…だから………ルールの代わりに…私のお願い……一つだけ聞いて?……ぁぅぁうぁう…き、キスしてください!」 俺はその手をとって、抱きかかえるように、淡く唇を奪った。 彼女は、顔を真っ赤に染めて、恥ずかしいのかすぐに俺を突き飛ばすと、クルリと背を向ける。 「頑張ったな…」 その背中に声を掛けてやった。 クルリと振り返った彼女は、久しぶりに素面で俺の顔を見つめると、 「よーつばっ!もうアンタとは、酒が飲めないのか……酔って絡んで悪かったな、お前も大変だったろう?…大人しくはなれなかったが、まあ、これで許してくれ…」 珍しく反省して、俺のおでこに唇を当てた。 「向日葵さん俺も結構楽しかったですよ………」 名残惜しんで俺の顔を見つめる彼女に言ってあげると、決心したのか、目を瞑る。 目を開けた彼女は、瞳いっぱいに好奇心を集め光り輝く。 「あーあ、最後の最後でよつばにやらっぱなしじゃないかぁ……マフィン楽しみだったのに…そうだ、最後なんだからいい子いい子してよ…ふふっありがとっ……ッチュ」 ぐしゃぐしゃと撫でた手を押しのけるように、顔を近づけ、ほっぺにキス 「来年のマフィン…ごめんな……」 言葉を聞いて微笑み、別れるときのように片手を上げ、目を瞑る。 次に開けると、どこまでも澄んだ瞳で俺をじっと見据え、 「………………………………ありがとう………好きだよ…」 とだけ言って、ちょっと強引に抱きついて、キスをした。 風は、俺達を包むように吹きすさぶ。 続いて開けられた瞳は、すぐさま怒りで歪む、 「結局、桜を泣かしたね?ビンタ一発で許したぁげる…………ほんとはね、私、あんたのことが…」 最後の一言を言う前に、ぽんっと胸に頭を乗せると、そのまま瞳を閉じる。 「……………スマン」 声は、届いたかどうかは解らなかった。 ゆっくりと開けた瞳は、どこまでも柔らかく、優しさに満ちていた 「四葉…大切で幸せな思い出をありがとう…デート楽しかったよ?……菫…ううん‥ぽぷらちゃんと仲良くね?じゃあ…………ありがとう」 彼女は、ついに念願口付けを果たし、最後ににっこりと笑って、目を閉じた。 「こちらこそありがとうな」 一陣の風が周囲を桜で染める。いつの間にか、茜色は群青に入れ替わっていた。 次に開いた瞳は、どこか頼りない灯りを帯びている……俺は、この瞳の主を知らなかった 「私はアナタと初めていますが、ずっと見ていました…会話だけで十分です、私に口付けの権利などありません。さようなら……」 それだけ言ってすぐに目を閉じられる。 俺は何も言えず、立ち尽くしていると彼女が目を開いた。 不思議な雰囲気を誇る瞳が、俺を見つめ、口を開く 「…………ただいま…」 「…おかえり」 俺達は手をつないで、ボロアパートへ帰った。 夕日は全て見届けてから、遂に沈んだ。 最終話 永月 ぽぷら編(卯月 桜後編) 完 おまけ 部屋に帰ると彼女なりの気遣いだろう、ただ無言で夕飯を食べた。夕飯は、珍しく菫──ぽぷらが作ってくれた…… 食べ終え、窓の外を眺めていると、ついに沈黙に耐えきれなくなったのか、ぽぷらが歌を唄いだした。 とても上手いその歌声に聴き入り、どこかで聞いたと思ったその曲は…いつの日かカラオケで蜜柑の唄ったバラードだった。 「あ…うぐっ……」 「え?ちょっと!どうしたのぉ?急に泣き出して…」 俺の嗚咽は、俺達の住むアパート、きさらぎ荘に響いた。
  最終話   永月 ぽぷら編   そして、俺は全ての覚悟を決めて卯月の前に立った。ヒントは、ドクオと文月がくれた……後決めるのは覚悟だけだ。言うぞ。弥生なのはよ、お生憎様!俺は、俺なりに考えた真実を見つけた。   俺は幼い頃、あいつに惚れて告った……だけど、あいつは…心を病んで自らの心をズタズタに裂いている途中だった。   ぽぷらは、俺の告白で自分の心を引き裂くのをやめた。だけどあいつは、神様に誓っていた。大切なものは誰かに上げるって、そして、自分の名前を変えてぽぷらからスミレになり、もう一つの人格の桜に想いを託した。   けれど、俺は二つに分かれたはずの人格を前にスミレをぽぷらだと思い込んだのだ。   そして、桜はそれに苦しみ、人格をもう一つ作って相談相手とした。   その相談相手・朝顔は、深層心理がつながっているゆえに俺に惚れ…後は連鎖的に生まれた。   ただ、なのはだけは違った、彼女は精神科医が作った統合を目的とする人格だった。   故に生まれるはずだった弥生を飲み込み、一つの人格を作り上げた。   俺が感じた違和感はそれだった。   そして、俺の出した答えは…… 「桜……俺は、確かにスミレに惚れてる…」 「へ?」 「だけど、」   風が桜の花びらを乗せてオレンジの風を俺たちにぶつける…… 「俺は、葵も好きだし、紅葉も好きだし、桜! お前も好きだ。俺は、お前たち一人一人じゃなくて、永月ぽぷらとして、お前を好きになった、お前たちはコップの中の氷かもしれない…けど! 俺は、お前が好きだ」   桜は、ぼーとして答えを聞くと…ふっと目を瞑った。   目をあけた桜…いやぽぷらは、全てを理解するような自信の瞳で俺を睨んだ。 「むむ、なんだ? 私だけが生き残る予定だったのだがな…最大の手違いは私が…いやなんでもない……予想以上、パーフェクトだ……ふふふ、先生の口付けは最優秀生徒にくれてやる……じゃあ、な」   唐突に現れ、言いたいことだけ言うと、強引に唇を奪い…挨拶だけして目を瞑る。オレンジの桜吹雪が吹き、俺の視界を奪った。なぜか、もう二度と弥生に会えない気がした…   その直後声を掛けてきた彼女は、トロンとした瞳に怠惰の感情を浮かべ俺を見つめる。皐月…葵? 「……四葉…お別れを言いにきたよ……あの時の駄菓子…美味しかった以上に、うれしかった…今度は本当の紅葉を見たかった………最後くらいは…いいよね」   言うと、彼女はゆっくりと顔を近づけ、目を瞑る。俺がキスをすると、ちょっとだけ微笑んでまたすぐに目を瞑った。 「なあ、待ってくれよ…」   多重人格は消滅か、統合によって解決する。そんな文章をなんとなく思い出した。じゃあ、これは……   目を開けた彼女は、凛々しく力強い瞳で俺を見つめる。彼女は邪魔そうに髪の毛を払うとちょっとだけ笑って俺に語りかける。 「屋上でのオルゴール…綺麗な音色だったぞ、それにとても楽しかった……お前にはもっと気楽に生きろといわれたが、ちょっと私には無理だったな…さらばだ…四葉」   言って、無理やり俺の肩を掴むとほっぺたに唇を当てた。顔を離し、満足そうに笑うと、また目を瞑る。 「紅葉……さようなら……」   泣いちゃ…だめだ…この子達の前で、涙は見せられない……   次に出てきたのは、暖かい瞳にやわらかい表情を浮かべ… 「星霜様…やはり、来年はありませんでしたねぇ……おもちゃの指輪ですが…お返しいたします。もう、魔法を使わなくても、会えるのですから…オルゴールに入れておきました…大切にしてください」 と言い、牡丹は、手をとって甲に口付けると……いつもの柔らかい笑みを浮かべて、目を瞑る 「……そんなこといわれずとも、大切にするよ」   桜吹雪は止まず、舞い僕らを包む   目を開けた彼女は、眩しいほど輝く瞳でハイテンションな叫びを上げる。 「四葉あぁぁぁ! カラオケ楽しかったし、公園での指輪、ありがとうな!! ちょっと恥ずかしかったぞ…マフラー大切にしてくれよな…最後だ、この蜜柑様からの口付け、ありがたく頂け!」   嵐のようにそれだけいうと、ほとんど衝突するように口付け、離れてすぐに目を瞑った。 「マフラー…あったかかったぜ」   桜と夕日の舞う公園にまた風が吹く。   続いて目を開け、不安げに揺れる瞳で精一杯俺を見つめてくる。 「あうあうあうあ…………星霜君…ぅぁ…私に一つルールをくれたよね………ぅぅ…ぁ…だから………ルールの代わりに…私のお願い……一つだけ聞いて? ……ぁぅぁうぁう…き、キスしてください!」   俺はその手をとって、抱きかかえるように、淡く唇を奪った。   彼女は、顔を真っ赤に染めて、恥ずかしいのかすぐに俺を突き飛ばすと、クルリと背を向ける。 「頑張ったな…」   その背中に声を掛けてやった。   クルリと振り返った彼女は、久しぶりに素面で俺の顔を見つめると、 「よーつばっ! もうアンタとは、酒が飲めないのか……酔って絡んで悪かったな、お前も大変だったろう? …大人しくはなれなかったが、まあ、これで許してくれ…」   珍しく反省して、俺のおでこに唇を当てた。 「向日葵さん俺も結構楽しかったですよ………」   名残惜しんで俺の顔を見つめる彼女に言ってあげると、決心したのか、目を瞑る。   目を開けた彼女は、瞳いっぱいに好奇心を集め光り輝く。 「あーあ、最後の最後でよつばにやらっぱなしじゃないかぁ……マフィン楽しみだったのに…そうだ、最後なんだからいい子いい子してよ…ふふっありがとっ……ッチュ」   ぐしゃぐしゃと撫でた手を押しのけるように、顔を近づけ、ほっぺにキス。 「来年のマフィン…ごめんな……」   言葉を聞いて微笑み、別れるときのように片手を上げ、目を瞑る。   次に開けると、どこまでも澄んだ瞳で俺をじっと見据え、 「………………………………ありがとう………好きだよ…」 とだけ言って、ちょっと強引に抱きついて、キスをした。   風は、俺達を包むように吹きすさぶ。   続いて開けられた瞳は、すぐさま怒りで歪む、 「結局、桜を泣かしたね?ビンタ一発で許したぁげる…………ほんとはね、私、あんたのことが…」   最後の一言を言う前に、ぽんっと胸に頭を乗せると、そのまま瞳を閉じる。 「……………スマン」   声は、届いたかどうかは解らなかった。   ゆっくりと開けた瞳は、どこまでも柔らかく、優しさに満ちていた。 「四葉…大切で幸せな思い出をありがとう…デート楽しかったよ? ……菫…ううん‥ぽぷらちゃんと仲良くね?じゃあ…………ありがとう」   彼女は、ついに念願口付けを果たし、最後ににっこりと笑って、目を閉じた。 「こちらこそありがとうな」   一陣の風が周囲を桜で染める。いつの間にか、茜色は群青に入れ替わっていた。   次に開いた瞳は、どこか頼りない灯りを帯びている……俺は、この瞳の主を知らなかった。 「私はアナタと初めていますが、ずっと見ていました…会話だけで十分です、私に口付けの権利などありません。さようなら……」   それだけ言ってすぐに目を閉じられる。   俺は何も言えず、立ち尽くしていると彼女が目を開いた。   不思議な雰囲気を誇る瞳が、俺を見つめ、口を開く。 「…………ただいま…」 「…おかえり」   俺達は手をつないで、ボロアパートへ帰った。   夕日は全て見届けてから、遂に沈んだ。   最終話   永月 ぽぷら編(卯月 桜後編)   完   おまけ   部屋に帰ると彼女なりの気遣いだろう、ただ無言で夕飯を食べた。夕飯は、珍しく菫──ぽぷらが作ってくれた……   食べ終え、窓の外を眺めていると、ついに沈黙に耐えきれなくなったのか、ぽぷらが歌を唄いだした。   とても上手いその歌声に聴き入り、どこかで聞いたと思ったその曲は…いつの日かカラオケで蜜柑の唄ったバラードだった。 「あ…うぐっ……」 「え? ちょっと!どうしたのぉ? 急に泣き出して…」   俺の嗚咽は、俺達の住むアパート、きさらぎ荘に響いた。

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