( ^ω^)ブーンは合作作者のようです 外伝【誇りの戦士 タフガイ】


最終話


314 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:41:43

(M;'A`)「う……くぅ」

ドクは、リングの端で仰向けになって倒れていた。
全身に傷を負い、体力も底をついている。

(M'A`)「僕は……痛っ! そうだ、ワタナベにやられて……!」

ドクは己の身体に鞭を打ち立ち上がる。
すぐさまリングを見渡し、戦闘状況を目視した。

(M'A`)「あっ!」

ドクの視線の先――リング中央。

そこには、ワタナベと秋葉を同時に相手するタフガイの姿があった。


( ^ω^)ブーンは合作作者のようです 外伝

              【誇りの戦士 タフガイ】 最終話


315 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:42:25

从'ー'从「ハッ――!」

(秋#^ω^)「リャッ! トゥル! ヨンソッ!」

左右から打ち込まれる打撃の嵐。
俺は後ろに下がりながら、必死にガードを固める。

从'ー'从「ほらほら~どうしたの? さっきの勢い、は!」

ワタナベのギターが俺の腹に打ち込まれる。
あまりの痛みに、自然と歯を食いしばる。

(クソ……二人相手じゃ防御が精一杯だ!)

だが、こちらのチームで戦えるのは、もはや自分一人。
ひたすら攻撃に耐え、解決策を頭の中で探る。


316 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:42:57

(秋#^ω^)「カットカットカットカットカットォォ!!」

秋葉はリズム良く連続フックを繰り出す。
対し、俺は顔面のみを重点的にガード。

ボディーへの攻撃はノーガードだが、これは策の一つでもある。

(秋#^ω^)「シャッ!」

秋葉が姿勢を低くし、俺のボディー目掛け蹴りを放つ。
重い衝撃が体中に響く。

「ぬんっ!」

(秋#^ω^)「つぁッ!?」

蹴り足の戻っていない、無防備な秋葉の顔面へ肘を放つ。
骨に当たる鈍い音。秋葉のまぶたが切れ、俺は返り血を浴びる。


317 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:43:30

从'ー'从「秋葉っ!」

ワタナベの攻撃が止まる。
その隙を逃さずに、俺はタックルをぶちかます。

从'ー'从「うっ!」

ワタナベは勢い良く吹っ飛ぶが、ダメージは少ない。
ぶつかる瞬間、バックステップで衝撃を逸らしたのだろう。

「ぐ……はぁ……はぁ……」

血を流しすぎたせいか、集中力が途切れる。
体力も限界を超え、体中が悲鳴をあげている。

(M;'A`)「タフガイ…さ…ん!」

「はぁ、はぁ……ドク、無事だったか」

リングの端で、煙を上げるレオパルドⅡ。
その横に、血だらけのドクが座っている。


318 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:44:01

(M;'A`)「あいつは……秋葉は?」

「恐らく、この程度でくたばる奴じゃないだろう……」

視線を前に向けると、ワタナベが倒れている秋葉の身体を起こしている。
秋葉の顔もまた、血だらけになっている。

(秋#゜ω゜)「う、あぁぁっぁぁっぁあああ!!」

突如、秋葉の叫び声がリングに響き渡った。
体を大きく反り、飢えた狼の咆哮の如く声をあげる。


319 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:44:41

从'ー'从「あ、秋葉……?」

(秋#゜ω゜)「どけっ!」

秋葉はワタナベを突き飛ばし、こちらへと迫ってくる。
その目に満ちるは狂気――バーサーカー、そう呼ばざるを得ない姿であった。

「ドク、なるべく離れていろ!」

(M;'A`)「は、はい!」

ドクを安全地帯まで逃がし、俺は再び拳を握り、構える。
対して、秋葉は構えも取らず、ただこちらへと向かってくる。

(秋#゜ω゜)「求めていたのはこれだ、これだよ。
        自らを最強と名乗る為の、最強の相手。
        我が拳を高みへと昇天させる興奮。
        超えていく、私はお前を超え高みへ――」



(秋#゜ω゜)「――逝く」


瞬間、体中に幾多もの衝撃。
俺は何が起きたのか確認する間もなく、次なる衝撃。
正拳、裏拳、掌底、ロー、ミドル、ハイ。
ありとあらゆる打撃が襲い掛かってくる。


320 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:45:15

「ぐ…ぁっ!?」

ガードがガードの役割を果たさない。
その連打に耐え切れず、俺は膝をつく。

(秋#゜ω゜)「波動球…っ!」

超越した速さで間合いを取った秋葉は、手の平に意識を集中している。
手の平の上に現れるは赤い球。

从;'ー'从「は、は、波動球……!」

ワタナベは座ったまま後ずさる。
秋葉の手の平に現れた赤い球は、みるみる内に巨大化する。
…来る、そう直感した俺は立ち上がり、回避動作に入ろうとする。

「う…!?」

だが、足に力が入らない。
それどころか、もう片方の膝も地面についてしまう。

(秋#゜ω゜)「さらばだ」

強烈な波動がリング内に吹き渡る。
秋葉の手から、それは投げられた。


321 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:45:46

「くっ!」

俺は覚悟を決める。
これで最後……。全てに悔いが残る結果で終わるのか。


しかし、放たれる赤い球の軌道は、俺を狙ったものじゃない。


(M;'A`)「え……!?」


その軌道の直線上にいるのはドク。
俺は目を見開き、瞬時に脳へ指令を送る

(動け、動け、動け、動けぇぇぇ!!)

必死に体を動かそうとするが、足がもたついてうまく動かない。

(M;'A`)「あ、あああぁぁぁぁ!!」


322 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:46:18

迫る赤い球。
ドクは回避することが出来ない。

「ドク―――ー!!」

(M;'A`)「うわぁぁぁぁぁ!!」

ドクは死を覚悟し、目を瞑る。


強烈な閃光。


そして、リングを揺るがす衝撃。



(M;'A`)「あ……あ……」


(秋#゜ω゜)「馬鹿な……!?」

从;'ー'从「な、なんで?」


誰もが目を疑った。


その男は、どう考えても移動することは出来ない位置にいたのだ。


323 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:47:03


だが、現実として、彼――否、俺はこうして、守ってやれたじゃないか……。

「ドク、危なかった、な…」


ドクを守るように仁王立ちし、波動球を受け止めた。
俺は、全ての力を使い果たし、その場に倒れこんだ。


(M;A;)「タフガイさ――――ん!!」


324 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:47:34

「ああ……怪我は無いんだな、ドク」

(M;A;)「タフガイさん、どうして……どうして僕なんかを!」

ドクの目から溢れ出す涙が、俺の頬へ落ちた。
ああ、なるほどな。
今、一茂さんの気持ちがわかった。

「誰かが、自分の、為に、泣いてくれるってさ……いいもんだ、な。ドク…」

(M;A;)「……っ!」

ドクは嗚咽しながら、俺の体を揺さぶる。

(M;A;)「タフガイさん……勝手ですよっ! そんな、かっこつけちゃって…」

「はは、す、少しかっこつけすぎた、かな」

会場を静寂が包み込む。
聞こえるのは、俺のかすかな声と、ドクの泣きじゃくる声。


325 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:48:05

「秋葉……いる、か?」

(秋#^ω^)「……ああ」

秋葉はすでに戦闘モードを解除している。
戦いの終わりを悟ったのだろう。

「お前、が、最強だよ。最後に、格闘家として、お前と、戦えてよかった」

(秋#^ω^)「……私もだ、タフガイ」

「すまない、が、Gを、呼んで、くれないか?」

俺はまだ、言い残すことが多すぎる。
秋葉は静かに頷き、司会席へ目を向けた。

(@益@)「呼んだかね?」

「ああ、G。こ、今回は、俺達の、負けだ。ギブアップ、するよ」

(@益@)「…わかった。だが、一つだけいいかな?」

「ん……?」

Gはふぅ、と息を吐き、続ける。

(@益@)「今回のKOBは、近年稀に見る熱戦だった。
     君のチームは負けたとは言え、健闘した。
     その健闘を称えて、君達にも賞金を与えたい」


326 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:49:20

Gは早口で、まくし立てるようにそう言った。

「それ、は、規約違反、じゃ、ないのか?」

(@益@)「馬鹿を言え。KOBに規約なんてあって無いような物だ。
     ……妹さんが大変なんだろう?」

「な、なんで、それ、を?」

Gはふん、と鼻を鳴らす。

(@益@)「何でもお見通しだ。私はKOBの主催者だからな」

「はは……意味、わかんねぇ……あ、後、一茂さんは無事、かい…?」

(@益@)「心配するな、KOBで死人は出さん。優秀な闇医者によって一命を取り留めたよ」

「そう、か。よかった……」

俺はゆっくりと、体を起こす。
話すべきことは、全て話した。

(M;'A`)「ま、まだ起きちゃだめですよ! 今、ドクターがきますから…」

「ドク、もし……よければ、俺の代わりに、妹の見舞いにいってやって、くれない、か?」


327 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:51:27

俺はドクに病院名と、病室Noを書いた紙を渡す。

「あいつ、病弱で、素直じゃなくて、寂しがり屋で…。ドク、と、友達になって、やってくれないか?」


(M'A`)「…はい!」

ドクは、静かに紙を受け取る。
俺はドクの頭を軽く撫でてやり「またな」と挨拶をする。
痛む身体を動かし、会場の出口へと向かう。

(M'A`)「タフガイさん……どこへ?」

「何、妹への手術代、は、アテができた…。手術前に、妹は不安だろうから、
 ちょっと、い、いってくる」

俺は、最後にリングを振り返り、一礼した。

それと同時に、試合終了を知らせるゴングが鳴り響く。
会場は静かな拍手と共に、しめやかな閉幕となった。


328 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:51:58
(M'A`)「タフガイさん…」

(秋#^ω^)「……最強は、私なんかじゃない。彼だよ」

(M'A`)「え?」

秋葉は静かに、呟く。

(秋#^ω^)「……あの時、君を庇う為に動いたタフガイのスピード。
        躊躇無く飛び込む、心の強さ。
        ……私には、真似できない」

秋葉はふう、とため息を吐き、上を見つめる。




(秋#^ω^)「タフガイ……最強、いや、誇りの戦士として記憶に留めて置こう」


329 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:52:56

夜の街は、相変わらず賑やかだった。
そんな大通りから離れた、薄暗い路地。
俺はゆっくりと、その道を歩いている。

「っと、ちょっとキツイな……」

息を切らし、俺は路地の隅に座り込む。
もう立つこともないだろう、と思うと、何だか寂しい気もした。

「今日は夜空が綺麗だ……」

空を見上げる。
そこには、雲も無く、いくつもの星がはっきりと輝いている。
ツンもこの星を見ているのだろうか。


330 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:53:27

「ツン……」

ふと、口から名前が出る。

「ツン、ツン……」

やさしいけど、少し素直じゃない妹。
辛い環境でも、自分を見失わない強い妹。
辛い時、苦しい時、一緒に乗り越えてきた、自慢の……


ξ゚⊿゚)ξ


ツンの顔が、不意に頭を過ぎる。
そして、走馬灯、というのだろうか。

今までの思い出が、まるで映画のように頭の中で再生される。


331 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:53:59


   ξ゚ー゚)ξ  小さい頃、俺と遊んで笑っていた思い出。


   ξ゚⊿゚)ξ  落ち込んでいる時、喝を入れてくれた思い出。


   ξ^ー^)ξ  病気になっても、俺に対して笑顔であり続けた思い出。




「ツン」


気づくと、俺は涙を流していた。

でも、何故だろう。

泣いているのに、悲しくない。

一人なのに、寂しくない。



――ああ、これは、きっと、ツンから貰った思い出のおかげなんだ。


332 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:54:39

今まで、ありがとう。

そう言おうとしたが、どうやら時間切れのようだ。

もっと、一緒にいてやりたかった。

もっと、ツンの笑顔を見ていたかった。


でも、俺は満足だ。


勝手かもしえないけど、お前が幸せに生きてくれれば、悔いは無い。




    ――神様、願わくば、ツンに、幸せな未来を。


333 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:55:10

――…

真っ白な病室、私は静かに窓の外を見ていた。
手術から1週間経ち、私の身体は順調に回復に向かっているらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「ふぅ、それにしても暇……」

お兄ちゃんも、あれから姿を見せていない。
高額な手術代をどうやって払ったのかも、未だに謎のままだ。

ξ゚⊿゚)ξ「連絡くらいくれればいいのに……」

早く会いたい。
そんな気持ちが、ずっと私の中で引っかかっている。

あの日、お兄ちゃんに不安をぶつけてしまったことを謝りたい。
そして、いつものようにたわいも無い話をしたい。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

そして、私はもう一つ言いたいことがある。
ありがとう、その言葉をちゃんと伝えたい。


334 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:55:44

「ツンさん、こんにちは~。調子のほうはどうですか?」

看護婦さんが部屋へ入ってくる。

ξ゚⊿゚)ξ「全然元気です。看護婦さん、まだ退院できないんですか?」

「うん、まだ体力も回復してないからね」

ξ゚⊿゚)ξ「そうですか…」

「んー、どうしてそんなに退院したいのかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「そろそろ、お兄ちゃんに手料理食べさせたいなって思って…
     きっと、コンビニのお弁当とかばっかり食べてますから」

「そうなんだ…。ツンちゃんはお兄さん想いなんだね」


335 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:56:16

窓から吹いてくる風が、病室を駆ける。
花瓶に添えられた白い花が、ゆらりゆらりと揺れている。

「あら、可愛い花ね。エーデルワイスかしら?」

看護婦が白い花を見て、そう言った。

ξ゚ー゚)ξ「それ、お兄ちゃんが買ってきてくれた花なんです。
     お兄ちゃん、お花なんて全然知らないのに……
     変に気取った花を買ってきちゃってw」

「あら、そんなこと無いわよ。素敵な花じゃない」

看護婦は、そう言いながらツンへ微笑みかける。
ツンも、静かに頷いた。

「えっと……確か花言葉は―――


336 :タフガイ:2007/03/16(金) 01:58:02






            『大切な思い出』





ベットの隣に置かれている椅子が、ぎしぎしと音を立てていた。





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             fin


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最終更新:2007年03月16日 02:34