890 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 20:57:30.86 ID:eAqpFNCs0
「ぬぉぁ!?」

悲鳴が連鎖するここは、FC三階部分だ。
ジェイルによって蹂躙された地ではあるが、未だに戦力が残っているはず。
しかし、その残存戦力も呆気なく刈り取られていった。

l リ ゚ -゚ノリ「……弱い」

狩人の名を『リリオル』と言った。

彼女は複数の鎖を振り回している。
合計すると三本で、末端にはそれぞれの武器。

壁や天井を削りながら飛ぶ鎌。
鉄だろうが何だろうが、全てを砕く斧。
そして身を守るための巨大なフライパン。

その三本鎖の根元は、左手に握られたリングへと集まっていた。
鉄で構成された輪を巧みに操りながら、遠心力を用いて攻撃していく。
まるで蛇のように、空中を這うように。

そこに制限など皆無。
距離的な限界はあれど、その自由な攻撃手法は何処にいる敵でも狙うことが可能だった。

「くそっ! 何なんだよコイツは!?」

l リ ゚ -゚ノリ「……何だろう?」

もはやFC三階は、鎖が荒れ狂う暴風域と化していた。


895 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 20:58:57.08 ID:eAqpFNCs0
(;'A`)「……何か騒がしいな」

リリオルが同じ階で暴れているなど露知らず。
避難所として確保された休憩室にて、ドクオ達が不安げに周囲を見渡す。

( ´_ゝ`)「ジェイルたんはもう七階へ行ってるんだろう?
      じゃあ、今さっきから鳴ってるこの音は……?」

从;゚∀从「ま、また戻ってきたんでしょうか」

(主^ω^)「それはないと思うお。 DATの気配は上から感じるお」

('A`)「ってことは……?」

解らないが、音は現実に鳴り響いている。
そしてたまに混じる悲鳴が、緊急事態を臭わせた。

(;'A`)「見てくるしかねぇか」

内側から掛かっている鍵を外し、甲高い音を軋ませながら扉を開く。
開けた視界に見えた景色は白い廊下。

そこで気付く。
先ほどまで聞こえていた音が完全に消え去っていることに。
異常ともいえる沈黙。
その独特な静寂に、ドクオは覚えがあった。

897 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:00:18.01 ID:eAqpFNCs0
(;'A`)(あれ? これって……)

思い出すは一年前の戦い。
確かあの中で、この独特な静寂を体験したことがあったはず。
そうだ、これは――

(;'A`)(攻撃前の、力を溜める時に発生する沈黙――!?)

思うや否や、扉を思い切り引っ張って閉めようとする。
圧倒的な悪寒が彼の背筋を這い登ったからだ。
この時、彼の臆病な性格が幸いした。

(;'A`)「うわぁ!?」

完全に扉が閉まる直前。
腕に震動が走ったと思った途端に、目の前にあった鉄扉が縦に両断された。
あまりの驚きに、そのまま背後へ転がるように逃げ込む。

从;゚∀从「ど、どうしたんですか!?」

(;'A`)「やべぇ! やべぇぞおい!」

室内を見るが、出られそうな窓や扉はない。
つまり、あの出入り口こそが唯一の出口であるということだ。

(;'A`)「に、逃げ――」

とにかく行動しようとした瞬間、その出口に人影が現れたのに気付く。

902 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:01:54.34 ID:eAqpFNCs0
l リ ゚ -゚ノリ「……まだいた」

鎖を両手に持っている女だ。
棒立ちでこちらを見つめる視線は、情を感じさせない。

l リ ゚ -゚ノリ「……あれ?」

(主;^ω^)「!?」

バッ、と内藤二号が胸を押さえた。
それを見て、リリオルは首を傾げる。

l リ ゚ -゚ノリ「……そこ?」

(主;^ω^)「いや、その、あの……いやんエッチ☆」

l リ ゚ -゚ノリ「……はっきりしないの、嫌い」

動きは同時。
右手を蛇のようにしならせ、内藤二号目掛けて鎖を振るう。

从;゚∀从「あ、危ないです!」

飛び出したハインリッヒが、鋭く走る鎖を掴んで引き止めた。

l リ ゚ -゚ノリ「……何で?」

リリオルは無表情で驚愕する。
あの高速を肉眼で捉え、それに反応し、更には両手だけで押さえたことに。

904 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:03:21.40 ID:eAqpFNCs0
もちろん理由が存在した。
確かにハインリッヒに内在する15th-W細胞は、日々死滅している。
しかし忘れてならないのが、彼女自体が戦闘に特化して作られているという点だ。

身体の頑丈さは失われているものの、咄嗟の思考や高速神経伝達などの内部機構は健在。
彼女自身、無自覚ではあるが、その身体は確実に戦闘用としての機能を発揮していた。

理由も事情も知らぬが、何となく特殊だと理解したリリオルは特に慌てた様子も無く構える。
それを見たドクオは指輪を取り出しながら

('A`)「やべぇな……でも、こっちには指輪使いが二人もいるんだ。
    きっと何とかなるはずd――」

背後を見る。

                                  ワイワイ              キャッキャッ
l リ ゚ -゚ノリ          (;'A`)「…………」         ( ´_ゝ`)从 ゚∀从(^ω^主)
                                         ゲンジツトウヒ

l リ ゚ -゚ノリ「準備、いい……?」

(;'A`)「ヤベェってレベルじゃねぇぞ!?」

908 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:04:50.68 ID:eAqpFNCs0
広い空間では、未だに激闘が繰り広げられていた。
戦闘開始から既に数十分は経過しているというのだが、疲労は三人の方にしか見られない。

爪゚ -゚)「日頃の運動不足が祟ったのだと思われますが、どうでしょうか」

(;^ω^)「そ、そっちが体力無尽蔵なだけだお」

(´<_` )「機械人形一人で指輪所持者三人分以上か……これはオワタな」

川 ゚ -゚)「……まだだ」

三者三様、疲労を表現している。
クー以外の二人は汗を流し、その彼女も汗は無いが荒い息を吐いていた。

対してジェイルは無表情。
装甲は所々が割れ砕け、剣も最後の一本となっているが、その表情に歪みは見られない。

(;^ω^)「そろそろ終わらせたいお」

爪゚ -゚)「私も同意見です」

川;゚ -゚)「……またもや聞くが、本当に暴走s爪゚ -゚)「今ので内藤様に嫌われましたね」

川;゚ -゚)「え、えぇ……?」

911 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:06:21.83 ID:eAqpFNCs0
爪゚ -゚)「しかし疑われるのも仕方ないとは思っております。
    ですから互いの気を晴らすためにも、早めに止めてくれることを――」

ジェイルの首下から、パキン、という音が鳴り響いた。

爪゚ -゚)「――ね、ねねね、ががって……おり、まsssす」

(´<_` )「これは……」

爪゚ -゚)「失礼致しました……私の意識領域が消滅に近付いているようです」

ふと目を伏せながら

爪゚ -゚)「御願いします。 私を破壊して下さい」

(;^ω^)「え……」

爪゚ -゚)「自分で解っております。 自分が自分でなくなっていく感覚が。
    私という存在意義はよく解りませんが、せめて意識が消える前の破壊を求めます」

何故なら

爪゚ -゚)「私は最後まで私で在りたいから、です」

(´<_` )「大袈裟な話だな……修理すれば良いんじゃないか?」

爪゚ -゚)「残念ながら、修理後の私が私である保障はありません」

本人が、あのジェイルが言っているのだ。
一切の嘘は無いのだろう。


914 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:07:52.03 ID:eAqpFNCs0
轟、と室内の空気が暴れる。
中心はジェイルだ。
地を蹴り込み、赤き獣は獲物を食い漁るため、前屈姿勢のまま突進。

(´<_` )「考える暇さえ与えてくれないか!」

弟者が盾になるかのように前方へ走る。

金属音が響き、しかし止まない。
手の中で振り回されながら縦横無尽に走る赤い刃。
更には右へ左へとジェイルの身体が飛び、弟者の視線を狂わせる。

川 ゚ -゚)「そこだ!」

走りこむのはクー。
その手には巨大な斧、13th-W『ラクハーツ』が握られている。

川 ゚ -゚)「いくら頑丈だろうが、衝撃自体を打ち消すことなど不可能!
     精密機械で構成された身体を恨むんだな!」

振るう。
横薙ぎ気味に迫る刃は、ジェイルの脇腹に直撃した。

爆発。

炎、光、煙の順に発生し、クーと弟者の視界を一時的に奪う。
しかし手応えはあったことは確認出来た。


917 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:09:19.05 ID:eAqpFNCs0
二人は同時に地を蹴り後退。
煙の中の惨状を目にするために、視界を鋭く細める。
が、それはすぐに見開かれた。

(;^ω^)「クー! 危ないお!!」

爆炎を逆方向から見ていたブーンが叫ぶ。
その直後、濛々と発生している煙を低姿勢で突き破る影。

金の髪を揺らすジェイルだ。
それに気付いたクーが、刀状態に戻したハンレで咄嗟に防御体勢をとる。

金属音が空間を激震させた。
ギリギリのタイミングで、刃はクーの身を切り裂くことなく止まっている。

川;゚ -゚)「くっ……貴様、どうやって――」

そこで視線を下ろして気付く。
先ほどまでジェイルの身体を覆っていた装甲が、無くなっているのだ。

爪゚ -゚)「爆撃の直前にパージして盾としたようです。
    天下無敵の私といえど、流石に多大な衝撃は受けたくないようでして」

冷静に、そして他人事のように言うジェイル。
その態度に一番苛立ちを覚えていたクーは

川#゚ -゚)「――このっ!」

裂帛の気合と共に弾き飛ばす。
そのままの勢いで一回転し、遠心力を用いて斬撃。


922 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:10:56.08 ID:eAqpFNCs0
クリアカラーとレッドカラーの線が幾重にも走った。

甲高い音が連響する。
布が擦れる音、息を吐いて吸う音、靴が床を叩く音、風切音に被さる金属音。

それらの音が連鎖し、一つの音楽を形取る。
『剣舞』という名の音楽が二人の女性によって奏でられた。

(;^ω^)(ってか、ぶっちゃけ入る隙間NEEEE!!)

(´<_` )「お前はまだいいよ。
      俺なんか防御しか出来ないんだぞ?」

( ^ω^)「でも、僕なんかよりも役立ってますお」

(´<_` )「そりゃあ一点集中の能力だしなぁ。
      それでも攻撃に混ざりたいことだってあるさ」

( ^ω^)「おっ? 混ざれるじゃないですかお」

(´<_` )「いくら指向性の斥力操作とか言っても、結局は範囲型だ。
      巻き込まれれば人だろうが武器だろうが弾き飛ばされる。
      ジェイルとクーさんの間に、そんなモノ持って入ったら迷惑だろう」

( ^ω^)「おぉ」


925 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:12:30.77 ID:eAqpFNCs0
言葉と金属音が重なった。

川 ゚ -゚)「ッ……!」

クーが押されている。
全ウェポン能力を所有しているとはいえ、その力にも制限があるからだ。

一つは、複数を同時に使えないこと。
一つは、オリジナルに比べて力が劣ること。

つまりは器用貧乏なのである。
攻めという一点に特化したジェイルと相対するには、やはり辛いものがあるらしい。

( ^ω^)「おっしゃ、休憩完了いざ救援だお!!」

(´<_` )「サポートに回るついでに言っておく。
      お前は回避という点においては完璧だが、防御がかなり疎かになっているぞ」

(;^ω^)「お……」

(´<_` )「俺が言いたいのは、存分に俺を盾代わりにしろということだ」

( ^ω^)「把握ですお!」


927 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:14:08.57 ID:eAqpFNCs0
川 ゚ -゚)「休憩は済んだか」

( ^ω^)「ありがとうだお、クー。
      あとは僕に任せて休んでおくんだお」

川 ゚ -゚)「いや、私はまだまだいけるぞ。
     この機会に一気にケリをつけよう」

二人が駆け出し、弟者が後を追う。
疲れを感じないジェイルが迎撃するが、流石に二人同時に相手をするのは無謀だ。

そう、通常の彼女では。

爪゚ -゚)「――お気をつけ下さい」

声と共に変化が起きる。
ジェイルの両肩、その後ろから新たな腕が飛び出したのだ。
それは両腰に刺さっていた予備の刀剣を手に取る。

川;゚ -゚)「隠し腕か!」

爪゚ -゚)「モード:ダンシングマウス」

静かな声とは逆に、まさに轟風を巻き起こす動作。
軽いステップで飛び跳ねるように接近し、独楽のような回転運動を主に据えた連撃が牙を剥いた。


931 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:15:45.30 ID:eAqpFNCs0
(;^ω^)「うぉ!? ぬわっ!? とわ!?」

川;゚ -゚)「後退しろ! 手数と速度が違い過ぎる!」

二人が下がり、一人が飛び出る。

(´<_` )「こういう時くらいは俺に任せてくれ」

(;^ω^)「弟者さん!」

川;゚ -゚)「出来るのか……!?」

向かい来る刃の回転を前に、弟者は少しだけこちらを振り向き笑った。

(´<_` )「ま、やれるだけやってみよう」

盾前面に斥力を展開。
これで防げるかは微妙だが、やらないよりはマシだ。

直後、刃が盾を掠める。

934 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:17:17.92 ID:eAqpFNCs0
(´<_` )「おっと、やっぱり勢いが強いな……。
      内藤、今の内に何か策でも練っておけよ」

爪゚ -゚)「余裕ですね」

(´<_` )「慌てたって仕方ない――さッ!!」

突如、緩めていた斥力をMAXまで叩き上げる。
純粋な力が、殴りつけるようにジェイルの身体を飛ばした。

しかし

(´<_`;)「ッ!?」

弟者の右膝が折れる。
見れば、その太腿が少しだけ切り裂かれていた。
原因は傍らに刺さっている刀剣だろう。

(´<_`;)「馬鹿な、斥力を無視しただと……!?」

爪゚ -゚)「お忘れですか。
    FCにも指輪の使い手はいるのですよ」

(´<_`;)「まさか、内容を調べてウェポン能力を無視……いや、軽減する何かを……?」

936 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:19:10.79 ID:eAqpFNCs0
爪゚ -゚)「1st-W、2nd-Wの研究の結果
    指輪能力の根本となるエネルギーは同一のものだと判明しました。
    抽出した微かなそれを元に、影響を軽減する素材を作ることに成功しております」

(´<_`;)「それ、最初に言ってほしかった」

爪゚ -゚)「申し訳ございません、忘れておりました」

(´<_`;)「ほほう、機械がモノを忘れるなんて……面白いな」

爪゚ -゚)「喜んで頂けたなら幸いです」

川 ゚ -゚)「隙ありだ!!」

鋭い声が走る。
視線を向ければ、クーが回り込んでいるのが見えた。

視認と同時に身体が動く。
サイドステップで身を飛ばし、向かってきている彼女に攻撃を仕掛けた。

しかし空振りに終わる。

クーが左足で地を蹴り込み、身の向かう方向を無理矢理に修正したのだ。
ジェイルから見て左側へ回り込むような動作。

軽い遠心力を利用しながら、透明色の鎖を振る。
身をうねらせながら宙を這うそれは、見事ジェイルの身体を絡めとった。


938 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:20:51.16 ID:eAqpFNCs0
川 ゚ -゚)「今だ、内藤! 望み通り破壊してやれ!」

抵抗しようとするジェイルを、全力で抑えながら声を上げた。
同時にブーンが弾かれたように走り出す。

(#^ω^)「限界! 突破ッ!!」

両腕を軽く広げて叫ぶ。
白いグローブが強烈な光を発し、次の瞬間には形を変えていた。
それは巨大な手甲。

(#^ω^)「強化符『腕部』――展開!!」

白い符が、展開された手甲から舞い散る。
それは一瞬だけ自由浮遊した後、すぐさま彼の望んだ位置へと集った。
右拳。
限界の限界を超えるための準備が整う。

(#^ω^)「うぅぅりゃぁぁぁあ!!」

全身を投げ出すように右腕を突き出した。
水蒸気爆発による白の尾を引きながら、符の力を受けた拳はジェイルの胸部へ――

川;゚ -゚)「え?」

クン、と彼女の身体を引っ張られる。
見ればジェイルの足元から白い煙が発生し、その位置を強制的に動かしていた。
FCへの接近に使用していた、あの機構を利用して。

強大な力で引っ張られたクーの身体は、元々ジェイルがいた位置まで引き摺られる。


942 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:22:17.82 ID:eAqpFNCs0
(;^ω^)「うぇ!?」

突如としてブーンの目の前に現れたクー。
このままでは直撃必至。

激音が響く。

突き出した拳はクーに当たる直前に軌道変更されていた。
膝の力を抜いて姿勢を崩し、倒れこむ勢いを利用して拳を床に叩きつけるような格好。

多大な力は床を打ち抜き、ブーンの身体は前のめりに吹き飛ぶ。
そのまま上下逆さまになり

(;^ω^)「うわぁぁぁ!?」

川;゚ -゚)「うぁ!?」

お互いにバランスを崩しながら激突。
揉みくちゃになりながら床を転がった。

(´<_`;)「お、おい、大丈夫か?」

足を軽く引き摺る弟者が、寄って来る。

944 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:23:53.42 ID:eAqpFNCs0
(;´ω`)「あうあう……痛いお」

川;゚ -゚)「な、内藤……そこはあまり触られ慣れていない……その、反応に困る」

(;^ω^)「うぇいぁ!? ご、ごめんだお!」

(´<_` )「……無事なら良いんだ、無事なら……うん」

川;゚ -゚)「ジェイルは……」

(´<_` )「もう逃げた後だな。
      言葉と動作が異なることを忘れていた。
      口上では破壊を求めてはいたが、システムが保身を求めたらしい」

弟者の視線の先には、上階へ上がるための階段。


948 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:25:22.03 ID:eAqpFNCs0
川 ゚ -゚)「まずいな、急いで追おう。
     私達が止めないと、モララーが彼女を壊すことになる……それだけは避けたい」

( ^ω^)「……把握!」

言葉が終わる前に激音が響いた。
壁が砕かれ、窓ガラスが粉砕される。

(;^ω^)「な、何事だお!?」

川 ゚ -゚)「ジェイル? いや、違う……」

(´<_`;)「お、おい……ありゃ何だ……!?」

濛々と揺らめく白煙。
内部から、ガシャンという機械音が響いた。
出てきたのは

ノwリ ゚∀゚ノル「おいーっす! 消防署の方から来たぜー!!」

身体・頭部は人間、手足は蜘蛛型の機械足。
誰がどう見ても奇妙な女だった。


951 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:26:54.63 ID:eAqpFNCs0
その空間の大半を支配しているのは、たった三本の鎖。

l リ ゚ -゚ノリ「ん」

小さな声と共に、放物線を描きながら走る灰色の鉄蛇。
各々の先端には武器だ。
鋭利な刃を持つ鎌、暴力的な形を持つ斧、そして

('A`)「うぉぉッ!」

弾幕として撒き散らされた光弾を防いでいるのは、大型のフライパンだ。

FC三階に位置するここは、決して広いとはいえない場所。
広いことには広いのだが、並べられたデスクが移動の邪魔をする。

しかしリリオルの操る鎖は、それを無視するかのような軌道で這い回った。

从;゚∀从「うわっ、うわっ、うわっ!?」

四人の中で最も体力を持つハインリッヒが囮として走り回る。
デスクを飛び越え、床を転がりながら、それでも全力疾走で。

兄者の姿が見えない。
あの男のことだろう、どうせ何処かに隠れているに違いない。

(;'A`)「!」

そこで気付く。
攻撃に集中しているリリオルの背後に、内藤二号が忍び寄っていた。
その手に、光るブレードを持っている。


954 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:28:28.32 ID:eAqpFNCs0
リリオルは気付いていない。
ここで背後から攻撃すれば――

从 ゚∀从「あ」

l リ ゚ -゚ノリ「?」

∑(主;^ω^)「!?」

ハインリッヒの発見の声→リリオル振り向く→すぐ後ろに内藤二号。

三つの連続した動作が綺麗に流れる。
直後の動きは、それぞれ謝罪、攻撃、逃亡だった。

l リ ゚ -゚ノリ「……ストーカーは嫌い」

静かな言葉に対して、攻撃は暴風そのもの。
双頭の鉄蛇が内藤二号向けて迫る。

(主;^ω^)「えいっ!」

内藤二号は、光を発するブレードを盾のように突き出した。
直後、向かっていた二つの武器が弾かれる。

l リ ゚ -゚ノリ「……反発力を持つ剣?」

(主^ω^)「大体そんな感じでおkだお」

DATの欠片の力を、その辺に落ちていたブレードに付加させているのだ。
反発力を持つそれは、向かってくる敵意を弾く盾ともなる。

958 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:30:04.04 ID:eAqpFNCs0
(;'A`)(戦えるのは三人……対して、あの女の武器も三つ。
    出来ればもう一つくらい何か要素が欲しいが……)

ドクオはハインリッヒへ視線を向ける。
汗を浮かべている彼女に、『武器を持って戦え』などと酷なことは言えない。
かつては最強の戦闘人間であったが、今はただの純粋な女の子だ(身体は無性別だが)。
囮として走ってもらうだけでも充分。

('A`)(俺が何とかするしか……!)

激音が響く。
鎖を周囲に走らせるリリオルと、光るブレードを持った内藤二号が激突しているのだ。

(主^ω^)「うりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

連撃は鎖によって阻まれる。
しかし付加された反発力が、確実にリリオルを押していた。

l リ ゚ -゚ノリ「……ん」

突如、身体を横に回転。
追従するように三本の鎖が舞う。
まるで竜巻のように、リリオルの周囲で風が吹き荒れた。

(主;^ω^)「こ、これじゃあ、近付けないお!」

('A`)「俺に任せろ!」

銃身を震わせて光弾を多段発射。
しかし、十の群れを為していたそれは鋭く回転する鎖によって砕かれた。


960 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:31:37.62 ID:eAqpFNCs0
\('A`)/オワタ

(主;^ω^)「ど、どうするお!」

目の前で吹き荒れる竜巻に対して、二人が後退しようとした時。

从#゚∀从「ふぁいとー!! いっぱぁぁぁつ!」

無謀にもハインリッヒが飛び出した。

それは本当に無謀な行為だった。
あの鎖に絡め取られれば、おそらく五体満足では帰って来れない。
解っていながら飛び込んだのかは不明だが。

从#゚∀从「座右の銘は『当たって砕く』!!」

ヘッドスライディングの格好で突っ込む。
それはある意味、ラグビーのタックルに似ていた。
鋭く回転する鎌が彼女の頬を浅く切り裂く。
しかしハインリッヒは構いもせずに、リリオルの両足に組み付いた。

l リ;゚ -゚ノリ「……おぉ」

支えであった足を掴まれ、彼女のバランスが崩れた。
そのまま地面に身を倒す。


964 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:33:11.66 ID:eAqpFNCs0
从;゚∀从「い、今です内藤二号さん!」

(主;^ω^)「把握!」

駆け出した内藤二号。
光るブレードを、起き上がろうとしているリリオルへ押し付けた。

l リ;゚ -゚ノリ「……うわ」

弾かれるように彼女の身が軽く飛ぶ。
その先は壁だった。
身を打ちつけ、衝撃に顔をしかめるが

l リ ゚ -゚ノリ「……痛いけど、まだ余y――」

言葉が途切れる。
その視線は右方向へと向けられていた。

ドクオ達からは、壁のせいで彼女が何を見ているのか解らない。
しかし、内藤二号が叫んだ。

(主;^ω^)「兄者さん、お願いしますお! 約束通り追いやったですお!」

( ´_ゝ`)「御苦労、内藤二号! そしてやっときたぜ俺の出番!」

そこには、変態がいた。


970 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:34:44.53 ID:eAqpFNCs0
l リ;゚ -゚ノリ「何で……全裸なの?」

( ´_ゝ`)「それが俺の美少女に対する流儀だからだッ!!」

从;ぅ∀从「うわぁぁぁ! 何か股間で揺れてます揺れてます揺れてますヒャホーイ!!」

( ´_ゝ`)「あぁ、ごめんごめん、俺の息子が迷惑をかけた」

キュ、と股に挟む。

( ´_ゝ`)「何処かの誰かが言っていたな……チ○コを股で挟めば人類みな女、と」

(;'A`)(まさか、それが言いたかっただけ……?)

兄者は桃色の本を開きつつ

( ´_ゝ`)「実を言うと、この格好はコスプレなんだよね。
      最近ハマッてる魔法少女シリーズ最新作『全裸少女 ねいきっど☆すねーく』の」

(;'A`)「もはや魔法少女じゃなくて、ただの痴女じゃねぇか?」

(#´_ゝ`)「お前ふざけんな『全裸痴女』だろうが!! ただの痴女と同じにすんな馬鹿!」

(;'A`)「そこに噛み付くのかよ!」


976 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:36:17.89 ID:eAqpFNCs0
発光。
兄者の周囲に風が巻き起こり、緑色の魔法陣が展開される。

(#´_ゝ`)「ひぃぃぃっさつ!! 俺の欲望いざオォォップン!!」

欲望具現化。
何故かそんな単語が、ハインリッヒの脳裏に浮かぶ。

そして悪夢は現実となる。

魔法陣に描かれた円から、樹木が蛇のように生えだしたのだ。
それは一瞬だけうねりながらも、リリオル目掛けて身を伸ばす。

l リ;゚ -゚ノリ「う、うわ」

慌てて逃げようとするが、その足に樹木が絡みついた。

(*´_ゝ`)「うははははは! 俺の百八の妄想の一つ、触手攻めだ!!」

言葉通り、次々と巻きつく。
たった数秒でリリオルの下半身を支配。


979 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:37:50.90 ID:eAqpFNCs0
(*´_ゝ`)「カモォォン!!」

声は動きを具現する。
強力な力でリリオルの身体が、変態の下へと引き寄せられ始めた。

l リ;゚ -゚ノリ「や、やだ……やだ……」

ジタバタともがくが、腕の力だけでは止められない。
そのまま変態へと運ばれていく。

从;゚∀从「…………」←どちらの味方をすれば良いのか解らない

リリオルが苦肉の策として鎖を投げた。
鎖鎌のそれは壁に食い込み、彼女の身を助ける頼みの綱となる。

(*´_ゝ`)「ハ~ハ~ン? やっぱり抵抗があったほうが燃えるy」




    ´゙ `ゝ `;`'  パチュン                             __O)二)))  ('A`) 
    ノ(  )ヽ                                 0二━━ )____)┐ノヽ 
.      ><                                        A ||ミ|\ くく 

987 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:39:36.91 ID:eAqpFNCs0
狙撃したのはドクオだった。
頭部に光弾の直撃を受けた兄者は、その場に崩れるように倒れる。

从;゚∀从「ド、ドクオさん……」

('A`)「いいんだ、これで」

从 ゚∀从「はい、ぶっちゃけ正しい判断だったと思いますよ」

(;'A`)「そんなあっさり……うん、別に良いけど」

(主;^ω^)「正直スマンカッタ……あの人、メチャクチャ自信があるように言ってたから……」

('A`)「次から気をつけろよ。
    あの男が言うことは全てが虚構だ……存在もそうであってほしいくらいに」

l リ ゚ -゚ノリ「……何で助けたの?」

疑問の声は女性。
絡みつき、しかし力を失った樹木を外しながらこちらを見る。

('A`)「だって……なぁ?」

从 ゚∀从「変態に襲われてる女の子がいたら、助けるのが当然ですよ!」

(主^ω^)「悪は倒したお!」
4 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:41:12.98 ID:eAqpFNCs0
l リ ゚ -゚ノリ「でも、私……敵だよ」

从 ゚∀从「女性に敵も味方もないです! 人類みな女です!」

(;'A`)「それちょっと違う」

(主^ω^)「でも敵なのは変わらないお。
       戦っても構わないけど……今の状態で戦えるのかお?」

l リ ゚ -゚ノリ「え?」

手元を見る。
先ほどまで必死に握っていたはずのリングがない。
何処かと視線を這わせれば

(主^ω^)「じゃじゃーん! 実は僕が持ってるのでしたー!」

l リ;゚ -゚ノリ「う……」

(主^ω^)「わははは! これで僕も鎖使いだおー!」

ブンブンと振り回す。
しかし、リングに集った三本鎖という慣れないモノを振り回せば

(;'A`)「ごがっ!?」

ドクオの後頭部にフライパンが直撃。
そのまま崩れ落ちるように地に伏せた。

15 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:42:47.38 ID:eAqpFNCs0
(主;^ω^)「…………」

从;゚∀从「…………」

l リ;゚ -゚ノリ「………」

沈黙が流れる。
その静寂を打ち消すように

(主;^ω^)「こ、こうなりたくなければ降参するお!
       しなかったら、次はハインリッヒさんが倒れることになるお!」

从;゚∀从「えぇ!? 僕ですか!?」

l リ;゚ -゚ノリ「……理解出来ない」

汗を浮かべ、『でも』と呟きながら両手を軽く挙げた。

l リ ゚ -゚ノリ「降参する……もう戦えないし、戦う気力もない……よ」

(主^ω^)「こうして僕らは多大な犠牲の上で勝利を収めたのだったお」

从;゚∀从「全て同士討ちというのがネックですけどね」

18 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:44:21.01 ID:eAqpFNCs0
(主;^ω^)(ん、待てお?
       DATの欠片を狙ってきたってことは……フォックスの手下かお?
       待て待て。
       もし手下ならDATの欠片を持つ僕に対抗するために、先にジェイルさんのを狙うはずだお。
       でも彼女はそんな素振りを見せていないお……)

つまり最低でも、あと一人はビル内にいる可能性がある。
ということは

(主;^ω^)「意外とまずい気がするお!
       ハインリッヒさんは、その人を見張ってて下さいお!」

弾かれるように、内藤二号が駆け出した。

从;゚∀从「は? あの? えぇ!?」

l リ ゚ -゚ノリ「心配しなくても良いよ……勝手に消えるから」

从;゚∀从「え? そうですか……あ、でもちょっと待って下さい!」

ゴソゴソとポケットを探り、取り出したのはトランプのケース。
呆けているリリオルに向かって

从*゚∀从「じゃ、じゃあ、ちょっと遊びましょうよ!
      最後に、この世界での楽しい思い出でも作りましょう!」

と、満面の笑みでトランプを差し出すのだった。

24 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:45:59.34 ID:eAqpFNCs0
FC七階。
この広範囲の空間では
縦横無尽に駆け回る蜘蛛女と、翻弄される三人が戦っていた。

床を砕き、壁に足を刺しながら豪快に移動する。
天井も壁も床として歩く彼女にとって、天井が高いこの部屋は最高の戦場だ。

ノwリ ゚∀゚ノル「おりゃりゃりゃー!」

(;^ω^)「くっ! なかなか捉えられないお!」

(´<_` )「人外だからな……これは流石に経験ないから難しいぞ」

川 ゚ -゚)「だがやるしかない」

三人は部屋の中央に固まっている。
足をやられた弟者を護るためだ。

その周囲を、ズシャンという音を響かせながら這い回るのは機械蜘蛛女。

ノwリ ゚∀゚ノル「ふーははー! もうお前らは逃げらんねーぞ!」

この無邪気な空気を纏っている彼女は、『ノリルメリー』という名を持っていた。

身体を機械化しており、どのような戦場も縦横無尽に駆け回る姿は、まさに足長蜘蛛だ。
本人が言うには、単に『跳び回るのが好き』らしい。


31 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:47:18.54 ID:eAqpFNCs0
(´<_`;)「だが、この場に兄者がいなくて良かった……。
      『ノワールたん萌え』とか言って、裏切る可能性があるからな」

(;^ω^)「それって戦ごk(ry」

川 ゚ -゚)「おい、来るぞ!」

鋭い声に、思わずブーンは背筋を伸ばす。
その直上を機械足が鋭く通過していった。

(;^ω^)「…………」

川;゚ -゚)「君はおそろしく油断が多いな……下手すれば首が飛んでいたぞ」

(;^ω^)「ま、真面目にしますですお……」

ノwリ ゚∀゚ノル「真面目ぇ!? んなことしたって勝てやしねぇよ!」


35 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:48:44.59 ID:eAqpFNCs0
(´<_` )「というか、お前は何だ?
      あれか? モララーが作った趣味の悪い産物か?」

ノwリ ゚∀゚ノル「あぁん!? あたいはノリルメリーさ!
       DATの回収を望み、この建物に上手に溶け込んだ知性派さね!」

(´<_` )「思い切り浮いてるよな」

ノwリ ゚∀゚ノル「でも回収途中にイライラして
        弱いものイジメしてはスッキリして帰っていく、超ものすげぇ狡猾な手下さ!」

(´<_` )「色々とおかしいところがあるが、つまり弱者=俺達だと?」

ノwリ ゚∀゚ノル「何か間違いでもあんのかコラァ!」

(´<_` )「じゃあね、上を見て御覧よ」

ノwリ ゚∀゚ノル「上ぇ?」

見上げる。
そこには白い天井が広がっていた。

ノwリ ゚∀゚ノル「んだよ、何もねぇ――」

( ^ω^)「もらったお!!」

死角から攻め込んでいたブーンが、見事にノリルメリーの直下を位置取る。
そのまま身を立ち上げる勢いを利用してのアッパーが炸裂した。

39 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:50:14.74 ID:eAqpFNCs0
ノwリ;゚∀゚ノル「ぬごぉ!?」

腹部に直撃。
そのまま威力は貫通し、数百kgはあるノリルメリーの身体が浮いた。

(#^ω^)「おぉぉぉぉ!!」

続いて左拳。
腰を捻り、突き出した右腕を引きながらの一撃。
それは俗に言う『腰の入った一撃』だ。

ノwリ;゚∀゚ノル「へぶぁ!?」

更に浮く。
今や彼女の身は二連撃によって傾いていた。
そして

( ^ω^)「クー、頼むお!」

川 ゚ -゚)「任せろ!」

背から透明色の翼――14th-Wを変化させた10th-W『レードラーク』――を生やしたクーが突撃する。
たった一回の羽ばたきで充分な速力を得た彼女は、翼を前面に展開して

川 ゚ -゚)「喰らえッ!!」

そのまま身体ごとぶつかった。
鐘を打ち鳴らすような激音が響き、火花が大量に散る。


47 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:51:36.34 ID:eAqpFNCs0
ノwリ;゚∀゚ノル「うがぁぁあ!?」

バランスを崩し掛けていた状態での一撃は、彼女の身を倒すのに充分であった。
そのままグラリと傾き、重力にしたがって背から地へ。

轟音と共に床が揺れる。

(´<_` )「やったか?」

(;^ω^)「これで起きれるんだったら厄介だお……」

川 ゚ -゚)「いや、心配はいらないようだぞ」

視線の先。
機械足を動かしながら慌てふためく、仰向け状態のノリルメリー。

ノwリ;゚∀゚ノル「ぬぁぁぁぁ! 起き上がれねぇぇぇ!!」

(´<_` )「やっぱりか。
      機構から考えて、裏返しにされると動けないってのは当たったな」

( ^ω^)「アホで良かったお」

川 ゚ -゚)「どっちもどっちだが、勝てたので良しとしよう」


51 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:53:10.36 ID:eAqpFNCs0
と、その時だ。
階段を駆け上がる音と共に、一人の少年が飛び込んでくる。

(主;^ω^)「ふへぇ……何でエレベーター動いてないんだお……」

川 ゚ -゚)「む、内藤二号じゃないか」

(主;^ω^)「無事でしたかお。
       ってか、そこで寝てるのは何だお?」

( ^ω^)「おっおっ、何かDATの欠片狙ってたから倒したんだお!」

(主^ω^)「おぉ! ありがとうだお一号!」

ノwリ;゚∀゚ノル「ふざけんなテメェ! あたいはまだ負けてねぇよ!!」

(´<_` )「じゃあ、立ち上がってみろよ」

ノwリ;゚∀゚ノル「おりゃぁぁあ! ふんがぁぁぁ!」

暴れるのみで、起き上がれる気配は無い。


56 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:54:40.70 ID:eAqpFNCs0
ノリルメリーの戦闘不能を確認した弟者は

(´<_` )「んじゃ、お前達は上に行け。
      俺はちょっと歩くのつらいから、ここで待ってるよ」

( ^ω^)「把握ですお」

川 ゚ -゚)「よし、急ごう」

(主^ω^)「おっしゃー! あと一息だお!」

川*゚ -゚)(内藤が二人……両手に華……)

三人は上階への階段を上っていった。

ノwリ;゚∀゚ノル「あっ! ちょっと待てよ! せめて起こしてから行けよ!」

(´<_` )「お前は馬鹿か……何か俺の兄を思い出すなぁ」

ノwリ ゚∀゚ノル「お? やっぱりカッコよくて天才なのか?」

(´<_` )「うん、誰かさんと一緒で想像を絶する馬鹿だ」

ノwリ;゚∀゚ノル「ねぇ誰? 誰それ?」


63 名前: 銭湯経営(大分県) 投稿日: 2007/03/15(木) 21:56:16.29 ID:eAqpFNCs0
モララーがいる社長室。
護衛隊の隊員が気絶している横で、ジェイルは扉のノブに手を掛けた。

開く。

落ちかけている夕日が室内を照らしているが、それでも内部は薄暗かった。
不意打ちを警戒しながら足を進める。

そして気付く。

爪゚ -゚)「……いない?」

社長用のデスク。
そこに本来いるべき人物はいなかった。
安堵の気持ちが湧き上がるも、しかしそこで疑問が浮かぶ。

一体、何処へ?

暴走したシステムと、ジェイルの思考は同一の内容を思う。
最重要ターゲットを探し出すため、身体が社長室の外へと向いた。

3

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年03月15日 22:07