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786 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:22:13.40 ID:nmJd2yvf0 ――… ('A`)「く、遅れをとってしまったぜ」 誰もいない教室で、一人寂しくノートを取る。 荒巻先生は親切にも今日の分の解答をくれたので、妄想で削られた部分を 必死で取り戻している。 ('A`)(くそ、溜まってるんだな…。今夜は出しとかないと) 欲求は成果を妨げてしまう。 ボクシングでも、女酒タバコはご法度というくらいだ。 (主^ω^)「お…ドクオ、今日も頑張ってるお」 ('A`)「あ、カレー」 カレーがけだるそうにバッグから顔を出した。 (主;^ω^)「昨日はひどい目にあったお。明け方までトーチャンから逃げ回ったお…」 ('A`)「それで今日は元気が無いのか」 (主^ω^)「でも、バッグの中でぐっすり寝たから元気になったお!」 788 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:25:07.84 ID:nmJd2yvf0 カレーは大きなあくびをし、体を伸ばす。 ('A`)(やっぱ猫、だよなぁ) 今更、この状況に疑問を持つ。 …カレーの世界を救うために俺はペンを動かしている。 もちろん、自分の為でもあるけれど。 ('A`)「なんか、人生って何があるかわからんなぁ」 (主^ω^)「お?」 ('A`)「いや、独り言だよ。それより、早く帰って勉強するか!」 (主^ω^)「ラジャーだお!」 790 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:26:59.75 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「…っ!?」 教室から一歩踏み出した瞬間、その足を止める。 人気の無い廊下に、人影。 …誰だ? この時間、普段なら誰も来ないのに。 「お疲れ様モナ」 ('A`)「なっ…!?」 792 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:28:59.78 ID:nmJd2yvf0 その人物が、俺の顔を見る。 ドクン、ドクンと 心臓の鼓動が激しくなる。 ('A`)「お前は――」 特別進学コース、スカラシップ VIP塾模擬試験、塾内第一位。最高点 496/500 ( ´∀`) 「やぁ…君、模試の1位を目指すって言ったモナ?」 ――天才、モナーが俺の目の前に立っていた。 798 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:31:26.26 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「ま、まあね。今回が最後だし、頑張ろうかなぁなんて…」 ( ´∀`) 「ふぅーん…」 声が、震える。 足は棒になってしまったように固っている。 ( ´∀`) 「ローマ帝国前期、パックス=ロマーナの下で繁栄した五賢帝時代の最初の皇帝は?」 ('A`)「…え!?」 ローマ…? 歴史か? 五賢帝の最初の皇帝? ('A`)「えっと…トラヤヌス帝?」 咄嗟に記憶を探り、答える。 すると、モナーの口がニヤリと微笑んだ。 801 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:33:17.53 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`) 「あははー、外れモナ。正解はネルヴァ帝だモナ」 ('A`)「な…そんなの教科書に載ってないぞ」 ( ´∀`)「君は愚かだモナ。用語集、というものを知らないのかモナ?」 (;'A`)「な、そんな細かい知識まで暗記しているのか!?」 ( ´∀`)「ふふ…悪いけど、今の僕は誰にも負ける気がしないモナ、あは、あはははははは」 (;'A`)「!?」 モナーの体から黒いオーラのようなものが浮かび上がる。 ――闇、と言った方がわかりやすいかもしれない (主^ω^)「ドクオ、この人操られてるお!」 バッグからカレーが顔を出す。 ( ´∀`)「へえ、喋る猫モナ。この世界の住人じゃない奴が他にもいたモナか」 (;'A`)「操られてるって…どういうことだよ!?」 808 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:35:25.41 ID:nmJd2yvf0 (主#^ω^)「…フォックス。僕の世界の滅ぼした奴が、DATを使ってそのモナーって人を操ってるんだお」 カレーは、全身の毛を立たせながら、話す。 ( ´∀`)「正解モナー。ふふ、この体は頭が冴えてて優秀モナ」 (;'A`)「じゃあ、お前はモナーだけど、モナーじゃないのか?」 ( ´∀`)「そうモナ。…お喋りはこのくらいにして、喋る猫。お前のDATをよこすモナ」 モナーはカレーを睨み付ける。 だが、カレーも負けじと毛を逆立て睨み返した。 (主#^ω^)「お前なんかにDATを渡す気はないお!」 ( ´∀`)「ふぅん。そういうこと言うんだ」 モナーはゆっくりと腕を上げる。 そして、俺の顔を指差した。 (;'A`)「何を…!?」 ( ´∀`)「ならば勝負するモナ。1週間後の塾内模試で、僕が1位になったらあのペン形のDATと       猫の持っているDATを頂くモナ。もし君が勝てば、僕は大人しく諦めるモナ」 813 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:37:52.74 ID:nmJd2yvf0 (;'A`)「く…」 恐ろしいほどの威圧感が体を圧迫する。 ( ´∀`)「まあ僕が勝つと思うけど、やるモナ?」 (主^ω^)「何を企んでいるんだお!」 モナーは不気味な笑みを浮かべ、答える。 ( ´∀`)「この体じゃ力ずくでDATを奪うのは難しいモナ。だけど、DATが模試の賞品とは都合がいいモナ。       僕は手を下すまでも無く、DATを得ることができるモナ」 モナーは見下すような視線を向けてくる。 ( ´∀`)「さ、どうするモナ? 負ける勝負を受けるモナか?」 絶対的な自信。 たしかに、モナーの頭の良さは超越している。 無理だ、勝てるはずが、ない。 818 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:40:40.06 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「お、俺は――」 その時、何かとがった物が右手に触れる。 ('A`)(っ!? なんだ?) ポケットに入っていたそれを取り出してみる。 ('A`)「これは…」 それは、俺が何年も使っているペンだった。 何の変哲も無い、でも俺と共に走ってきたペンだ。 ('A`)「っ!」 不意に、走馬灯のような物が頭を過ぎった。 821 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:42:14.14 ID:nmJd2yvf0 ※ 「おーいドクオ、遊びに行こうぜ!」                      「いや、今日は塾があるから…」 「あいつつまんねーぞ、ハブこうぜ」                      「…あいつらみんな馬鹿だ。付き合う必要は無い」 「ドクオ、お前には先生も期待してるぞ。難杉高校いけるぞ!」                            「…はい」 「はい、明日は単語テストしまーす」                            「一単語100回書くぞ、よし!」 825 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:44:15.32 ID:nmJd2yvf0 そうだ。 俺はこのペンと一緒に努力してきた。 精一杯やってきたんだ。 ('A`)「俺は、自分を・・・信じる」 ( ´∀`) 「モナ?」 俺はぎゅっとペンを握り、その切っ先をモナーに向ける。 ('A`)「その勝負、受けてやるぜ」 (主^ω^)「ドクオ…!」 カレーの想いも、自分の努力も、プライドも、全部ひっくるめてこの勝負を受けてやる。 830 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:46:06.59 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`)「その目、むかつくモナ。二度と勉強ができないくらいに打ちのめしてやるモナ。       1週間後、楽しみにしてろモナ」 そう言うと、モナーは外へ出て行ってしまった。 俺はゆっくりとペンをおろす。 ('A`)「カレー、俺たちも早く帰ろう」 (主^ω^)「うんだお!」 モナーに勝つには、普通に勉強しても駄目だ。 だったら、あれをやるしかない。 ('A`)「地獄の18時間勉強、やってやる…!」 834 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:48:00.20 ID:nmJd2yvf0 ※ (主^ω^)「ドイツ帝国の初代皇帝は誰だお?」 ('A`)「ウィルヘルム1世」 (主^ω^)「正解だお。次は…」 カレーは器用に一問一答をめくり、問題を出す。 その間、俺は歴史のノートを音読しながらひたすら書いて暗記していた。 (`・ω・´)「暗記には五感をフルに使え。耳、口、手、鼻、舌。できる限り全部だ」 トーチャンが隣からアドバイスを飛ばす。 18時間勉強をするとトーチャンに言った所、協力してくれると言われ、今に至る。 837 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:49:59.80 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「あれ、どうしてここにこの人が?」 (`・ω・´)「そこはこういうことだ」 分からないところがあると、トーチャンが後ろからフォローしてくれる。 トーチャンは経済的な理由で大学は行けなかったが、東欧大確実と言われていたらしい。 (主^ω^)「じゃあ、次の問題だお。日本の~」 ('A`)「これは…こうかな?」 (`・ω・´)「こっちの方が速く解ける。だからここは~」 3人がかりで勉強を続ける。 睡眠時間は4~5時間に削り、トーチャンは会社を休んでまでサポートしてくれた。 そして、幾多の困難をお互いに支えあい、18時間勉強は順調に進んで行った…… 841 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:52:30.78 ID:nmJd2yvf0 ※ 1週間後… 【VIP塾内模擬試験】 朝。 案内の看板を確認し、指定された教室へ向かう。 ゆっくりと、廊下を歩く。 ミセ*゚ー゚)リ「あ、おーい! ドク…オ?」 廊下を歩いていると、ミセリに声をかけられた。 ('A`)「おはよう、ミセリ」 ミセ*゚ー゚)リ「え、う、うん。おはよう」 ('A`)「どうした? 俺の顔になにかついているか?」 ミセ*゚ー゚)リ「う、ううん。なんでもない! 今日は頑張ろうね!」 ('A`)「ああ」 843 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:54:09.99 ID:nmJd2yvf0 俺はそれだけ話すと、教室へ向かう。 もう少し会話をしていたいが、模試が始まるまでの1分1秒がおしい。 ミセ*゚ー゚)リ(ドクオ…あれが本当にドクオ? オーラが違う…) ※ 教室へ入り、参考書を取り出す。 最後の詰め込みは、暗記物だ。 英単語、社会、理科…こういった暗記物を直前にやれ、とトーチャンは言っていた。 ( ´∀`) 「おやおや、最後の悪あがきモナか?」 英単語を何度も書く。 スペルミスは許されない。 (#´∀`) 「おい、無視かモナ?」 後30分で始まる。時間配分も注意しないと。 (#´∀`) 「何とか言えモナ!!」 ('A`)「…お前、勉強しなくていいの?」 850 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:56:05.11 ID:nmJd2yvf0 英単語を書きながら、仕方なく答えてやる。 ( ´∀`)「笑わせるモナ。モナは天才モナよ? 勉強する必要が無いモナ」 ('A`)「ふーん」 ( ´∀`)「君のような凡人は、絶対に僕を超えられないモナ。せいぜい足掻くモナ!」 そう言うと、モナーは席に戻る。 ('A`)(わかってないよ…お前は、何も) そして、試験時間10分前になり、試験官が姿を現した。 853 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:58:53.52 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「それでは、VIP塾模擬試験を始める」 解答冊子と問題冊子が配られる。 俺は静かに目を閉じ、精神を集中する。 (主^ω^)(ドクオ…頑張るお!) ('A`)(これが、俺にとって最後の模試だ。・・・絶対に勝つ) ( ´∀`)(モナは天才なんだモナ。フォックス様、待っててくださいモナ) ミセ*゚ー゚)リ(ドクオに勝つぞ~! パンッと弾けるチョコ!) それぞれの想いが教室に溢れる。 ――時は訪れた。 (’e’)「試験、始め!!」 858 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:01:03.09 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「―-―!?」 開いた瞬間、場が凍りついた。 問題形式が、変わっている!? (;'A`)(そ、そんな。こんな問題は過去問には載ってなかったぞ) 準備していた頭の中が真っ白になる。 落ち着け、落ち着けと心の中で呟くが、頭の中には何も浮かんでこない。 ( ´∀`)(モナモナ。余裕モナー) カリカリと、他人がペンを走らせる音が聞こえる。 落ち着け、落ち着けってば。 手の震えが止まらない。 867 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:04:46.10 ID:nmJd2yvf0 (;'A`)(駄目だ…ちくしょう。このままじゃ――) ふと、腕に巻いたミサンガが目に入る。 ('A`)(カレー…) ~~~~~~~~~~~~~~~ (主^ω^)「これ、僕がつくったお! 手作りのお守りだお!」 (;'A`)「お前、器用だな…。猫の手も侮れないもんだ」 (主^ω^)「僕、これくらいしかお手伝いできないけど、頑張ってお!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ ('A`)(そうか…そうだよな) 俺は一人じゃない。 こんなことでうろたえてるんじゃ、カレーや父ちゃんに笑われちゃうぜ。 871 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:06:13.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)(問題形式が変わったから何だ? 落ち着いて考えれば答えは――出る!) 俺はもう一度、問題を見る。 そして、スッスッと素早く解答を書いていく。 (’e’)(あの生徒・・・目つきが変わった!?) ('A`)(おらぁぁっぁっぁああ!!) ―――――― ――― 875 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:08:11.75 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「解答やめ!指示があるまで筆記用具に触れないこと!」 チャイムが教室内に響いた。 最後の教科を終え、生徒のため息やペンを机に置く音が一気に鳴り響く。 (’e’)「特進クラスの生徒の答案は明日返却します。それ以外のクラスは2週間後です」 (’e’)「では、本日はお疲れ様でした」 セントジョーンズ先生が礼をすると、塾生たちはがやがやと教室を出て行った。 ('A`)「う~ん、疲れた」 (主^ω^)「お疲れ様だお!」 外に出ると、カレーがバッグからこっそりと顔を出す。 ('A`)「ふう、無事終わったよ。結果は明日にならないとわからないけど」 (主^ω^)「大丈夫だお。ドクオは頑張ったんだお! 努力の量はドクオが一位だお!」 (;'A`)「おいおい、俺が1位を取れなかった後のコメントみたいだな」 881 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:10:03.16 ID:nmJd2yvf0 (主^ω^)「いやいや、僕はドクオが一位を取れるって信じてるお!」 ('A`)「はは。まだわかんないよ」 俺は笑いながらカレーと話す。 とりあえず、やれることはやった。 後は結果を待つだけだ。 ( ´∀`)「やあ。どうだったモナ? 僕? 僕はもちろん最高の出来モナ」 ('A`)「聞いてない。さ、行こっか、カレー」 (主^ω^)「うんだお。今日はゆっくり休むといいお」 俺はカレーの入ったバッグを抱え、帰路についた。 …なんだか、すごい疲れた。 今日はもう帰って寝よう。 (#´∀`)「む、無視するとは生意気モナ。どうせ僕の勝ちモナ! ふん!」 886 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:12:01.19 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「ふう」 風呂から上がり、自分の部屋に入る。 疲れてる時の風呂ってどうしてこんなに気持ちいいんだろ。 ('A`)「極楽ダーイブ」 (主#^ω^)「ふぎゃ!」 ベットにダイブする。 が、何かモコモコしたものが毛布の中にいたようだ。 (主#^ω^)「殺す気かお!?」 ('A`)「ご、ごめん。いるとは思わなかった」 (主^ω^)「まったくもう…」 カレーが毛布から体を出し、隣に座る。 891 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:14:21.49 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「カレー」 (主^ω^)「にゃお?」 ('A`)「もし、さ。DATがあいつ・・・モナーの手に渡ったらどうなるんだ?」 俺はカレーの目を見て、言った。 カレーも、真剣な目つきになる。 (主^ω^)「そしたら…フォックス――僕の世界を壊した奴の力が上がってしまうお」 沈黙が流れる。 負けた時の光景が、頭に浮かんでくる。 すぐに、その考えを振りほどいた。 ('A`)「ま、明日になればわかるし、負けた時のことを考えても仕方ないな」 (主^ω^)「大丈夫にゃお、ドクオなら勝てるお!」 カレーが膝の上に乗り、励ましてくる。 …一番、怖いのはカレーだろうに。 こんな時まで他人を励ますなんて、お人よしだな。 896 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:17:56.69 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「俺たち、もう友達だよな」 (主^ω^)「お? 当たり前だお! ドクオは僕の友達だお! 」 友達、か。 久しぶりに聞いたな、その言葉。 ('A`)「友達だから言うんだけど、俺、この模試で1位になったら告白するんだ…」 (主^ω^)「ちょwwwまじかお!?」 ('A`)「ああ、決めた。今まで、ずっと今の関係が壊れるのが怖くて、自分の気持ちを隠してたんだ。     …けどさ、もう迷うのはやめたんだ。男らしくビシッと決めるよ!」 (主*^ω^)「若いっていいにゃお…。ああ、青春だお」 ('A`)「前から思ってたんだけど、お前何歳だよ…」 その夜は、お互いに腹を割って話した。 二人で話しているうちに、不安も薄れ、気づいたら深い眠りについていた。 903 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:20:00.97 ID:nmJd2yvf0 ※ 特進クラスの教室。選び抜かれた生徒が席に座っている。 今日、模擬試験の結果が明かされるのだ。 ('A`)「いよいよだな」 (主^ω^)(うんだお) カレーはバッグに隠れつつ、小声でささやく。 俺が教室に入ると、嫌な顔が目に入った。 ( ´∀`)「やぁ。いよいよモナね。覚悟はできてるモナ?」 ('A`)「それはこっちの台詞だぜ、モナー。…いや、モナーを操ってる馬鹿」 (主^ω^)(そうだお! 勝つのは僕達だお!) ( ´∀`)「へぇ、ずいぶん大口叩くモナ。ふふ、今のうちにいきがってろモナ」 モナーは不適に微笑み、席に戻った。 ('A`)「ふん」 908 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:21:40.21 ID:nmJd2yvf0 ミセ*゚ー゚)リ「や、ドクオ。ついに結果発表だね」 席に座ると、隣の席にはすでにミセリがいた。 ('A`)「おう、ミセリ。ちゃんと賭けは覚えてるよな?」 ミセ*゚ー゚)リ「もちろんwでも僕、自信あるよ?」 ('A`)「俺だって自信あるぜ。ま、まぁ俺が勝ったら…その」 ミセ*゚ー゚)リ「?」 ミセリの顔を見る。 目が合い、その瞳に吸い込まれそうになる。 ('A`)「い、いや、結果を見てからにしよう」 ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、何? 言いづらいことかな~いやらしぃw」 (;'A`)(ちぇ、分かってるくせに…) その後、緊張した沈黙が教室を支配した。 一分が、まるで一時間のように感じる。 そして、教室のドアが開いた。 914 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:23:29.61 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「では、答案を返す。順番に取りに着なさい」 セントジョーンズ先生がそう言うと、答案が返され始める。 どんどん答案が返され、順番が近づく。 ('A`)(…カレー) (主^ω^)(…ドクオ) バッグの中に手を入れ、カレーの前足をしっかりと握る。 (’e’)「次、モナー君」 ( ´∀`)「はいモナ」 モナーが答案を受けとる。 だが、裏側にしたままで中を見ていない。 …見なくとも勝利を確信してるってか。 ( ´∀`)「ふふ、君がどんな絶望した顔を見せるのか楽しみモナ」 ('A`)「…」 924 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:25:20.88 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「次、ドクオ君」 俺の名が呼ばれたる。 ゆっくり、ゆっくりと教卓のほうへ足を進める。 心臓の音が、はっきり聞こえる。 そして、答案を受け取り―――― (主;^ω^) ( ´∀`) ミセ*゚ー゚)リ            5教科合計 497/500             塾内順位 1位 935 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:27:32.16 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「――あ」 結果を、見た。 一位、そう書かれている。 何度見ても、その数字は変わらない。 (’e’)「おめでとう、ドクオ君。君が一位だ」 セントジョーンズ先生が、そう言った。 ( ´∀`)「ほーらやっぱり…え?」 ('A`)「よっしゃぁぁー!!!」 俺は拳を高く掲げ、ガッツポーズを取った。 本当に、やったんだ。 俺が勝ったんだ…!! 947 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:29:38.68 ID:nmJd2yvf0 (主^ω^)「ドクオー!」 ('A`)「カレー!」 カレーがバッグから飛び出して、俺に抱きついてくる。 ('A`)「やった、やったよ!」 (主^ω^)「うん、うんだお…! ドクオはやってくれたお!」 俺はカレーを抱きしめ、涙を流して喜ぶ。 その光景に、教室にいた生徒は呆然としている。 (’e’)「ド、ドクオ君、その猫は君のペットかね?」 セントジョーンズ先生が声をかける。 俺は、涙を拭いて答えた。 ('A`)「いえ、こいつは…カレーは友達です」 ('A`)「辛い時や、負けそうになった時…励ましてくれて、支えてくれた」 (主^ω^)「ドクオ…」 958 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:33:02.88 ID:nmJd2yvf0 「すごいよ。おめでとう!!」 「お前、頑張ってたもんな。すげぇよ」 「俺もガンプラばっか作ってないで努力するよ!」 ('A`)「みんな…グスン。ありがとう」 ミセ*゚ー゚)リ「ドクオ、賭けは私の負けだね」 ('A`)「ミセリ」 俺は、優しく微笑む。 ('A`)「今日の5時に、3丁目の土手に来てくれないか?…話したいことがあるんだ」 ミセ*゚ー゚)リ「う、うん。わかった」 967 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:35:06.29 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「さあ、賞品の贈呈だ!」 ワァァァァァ、と歓声が沸いた。 (主^ω^)「ドクオ、いくお」 ('A`)「おう!」 俺はセントジョーンズ先生の前に立つ。 そして―― (’e’)「本当におめでとう!」 そのDAT――VIP塾のオリジナルペンを受け取った。 ('A`)「よっしゃぁぁぁ!」 再びガッツポーズを決める。 その後、教室の机や椅子を廊下に出し、盛大な胴上げが行われたのであった。 (  ∀ )「バカナ…ボクガ5位ナンテ…ドウシテ…」 975 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:37:03.67 ID:nmJd2yvf0 ※ 胴上げも終わり、塾の外へ出る。 夕日がアスファルトを赤く照らし、蕎麦屋の笛の音がどこかから聞こえてくる。 ('A`)「これで、終わったんだな」 (主^ω^)「うんだお! …ドクオ、本当にありがとうだお」 カレーは俺に向かって頭を下げる。 ('A`)「そりゃ俺が言う台詞だぜ。正直、一人だったら絶対にどこかで挫折していたよ」 (主^ω^)「ドクオ…」 ('A`)「でも、さ。お前がいたから最後まで頑張れたって言うか…うまく言えないけど、そんな感じだよ」 983 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:39:01.18 ID:nmJd2yvf0 お互いに目を合わせ、微笑む。 傍から見たら、猫と目を合わせて笑っている変な人にしか見えないだろうけど 俺は、この心地よい空間を満喫していた。 ('A`)「そうだ、DATをお前に渡さないとな」 俺はバッグからDATであるペンを取り出した。 ('A`)「はい」 (主^ω^)「ありがとうだお! これで、僕の世界の復活にまた一歩近づいたお!」 カレーにペンを渡そうとする。 だが、その手はカレーに届く前に、止められた。 989 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:40:50.25 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`)「フリーズ!」 ('A`)(主^ω^)「!?」 声が発せられた方向に視線を向ける。 そこには、ナイフを手にしたモナーが立っていた。 ('A`)「モナー…!?」 ( ´∀`)「ありえないモナ…そのDATは僕が得るハズだったモナ。この僕がね…」 モナーはナイフを握り締め、近づいてくる。 夕方の路地、辺りに人気は無い。 ( ´∀`)「天才である僕が…君のような凡人に負けるなんて何かの間違いモナ。ふひ、ふひひ」 モナーの目が黒く歪む。 背後にはおぞましい闇のオーラが発せられている。 (主^ω^)「恐ろしい憎悪だお…!」 ( ´∀`)「この体は、天才だったはずだ。なぜ、なぜ負けたんだ?え? お前カンニングか?」 モナーは一歩、また近づきながら言う。 10 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:42:29.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「…お前、どうして自分が負けたか気づいてないのか?」 ( ´∀`)「それは、どういうな意味だ?」 モナーの足が止まる。 ('A`)「俺はさ、最初モナーのことを天才だと思ってた。勉強しなくてもできる奴だって」 ( ´∀`)「その通りだモナ。このモナーは文字通り天才なのだからモナ」 ('A`)「でも、お前と会った時――俺はあることに気づいたんだ。お前の右手のペンダコにな」 俺がそう言うと、モナーは自分の右手を見る。 そこには、確かにペンダコの後が存在していた。 ('A`)「モナーは何もしないで一位をとっていた訳じゃない。それに見合う努力をしてたんだ。     けど、モナーの体を乗っ取ったお前はそれを怠った」 ( ´∀`)「そんな…モナーが努力を? 僕は天才だ。ありえな…う…うぉ」 12 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:44:03.00 ID:nmJd2yvf0 モナーの口調がおかしくなり、頭を抱えて苦しみ始める。 (主^ω^)「モナー君を乗っ取ってる悪の力が分離しかかってるお!」 ( ´∀`)「うお…畜生、DATだ、DATをよこせぇぇぇ!」 モナーが地面を蹴り、突進してくる。 だが、突きつけられたナイフに不思議と恐怖心は沸かない。 ('A`)「ペンを投げた時点で、お前は負けてたんだよ!」 俺はDATであるペンを握り、空高く掲げる。 すると、ペンが光を発し、七色に輝き始めた。 25 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:47:59.62 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「勉強において、実力に繋がるのは努力の持続…」 ( ´∀`)「おおおおお!!!!」 ('A`)「努力を怠り、ペンを投げた者に、裁きを!」 ( ´∀`)「――ッ!」 (主^ω^)「ドクオ!」 ('A`)「モナーの体から消えろぉぉぉ!!」 ペンの切っ先をモナーへ向ける。 七色に輝いた光線が放たれ、モナーの体を包み込んだ。 ( ´∀`)「うう、うあああああああ! ち、畜生ぉぉぉ!」 モナーの中から闇のオーラが消え去っていく。 強烈な閃光。 ・・・やがて、視界が元に戻った時、モナーはその場に倒れこんでいた。 31 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:49:59.97 ID:nmJd2yvf0 ―――― ―― ( ´∀`)「あ、あれ? ここはどこモナ?」 ('A`)「モナー…だよな?」 ( ´∀`)「えっと、君はドクオ君? なんで僕、こんな所に…」 モナーは起き上がり、首を横に振る。 説明してやりたいが、いかんせん説明しづらい…。 37 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:52:00.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「い、いや。お前急に倒れたんだよ。模試で疲れがたまってたんだろ」 ( ´∀`)「そうモナか。うーん、なんか記憶が曖昧だモナ。…まぁいいや」 モナーは自分の鞄を持ち上げる。 ('A`)「お、おい。帰るのか?」 ( ´∀`)「帰るモナ。早く帰らないと今日のノルマがこなせないモナ」 ('A`)「…ちなみに、ノルマってどのくらい?」 ( ´∀`)「これくらいモナ」 モナーはポケットからメモを取り出すと、俺に見せた。 ('A`)(こりゃ勝てないわ…) ( ´∀`)「それじゃ、ばいばいモナ」 マイペースな天才は夕日を浴びながら去っていった。 その姿を、俺は一生忘れないだろう。 41 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:54:01.20 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「はい、DAT」 (主^ω^)「今度こそちゃんと受け取りましたお」 俺はカレーにDATを手渡す。 さっきまで光り輝いていたのが嘘の様に普通のペン。 ('A`)「にしても、さっきの七色光線は一体…」 (主^ω^)「それは、きっとドクオの想いがDATの力を呼び起こしたんだお」 ('A`)「想い、か」 何の想いだろう。 考えてみたが、面倒なのでやめた。 結果としてDATも得れたし、モナーも元に戻った。 47 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:56:00.88 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「で、カレーはこれからどうするんだ?」 (主^ω^)「僕は…」 急に表情が曇る。 何か、言いにくそうな様子だ。 (主´ω`)「僕は、他のDATを集める為に、また別の世界に飛ばなきゃならないお…」
786 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:22:13.40 ID:nmJd2yvf0 ――… ('A`)「く、遅れをとってしまったぜ」 誰もいない教室で、一人寂しくノートを取る。 荒巻先生は親切にも今日の分の解答をくれたので、妄想で削られた部分を 必死で取り戻している。 ('A`)(くそ、溜まってるんだな…。今夜は出しとかないと) 欲求は成果を妨げてしまう。 ボクシングでも、女酒タバコはご法度というくらいだ。 (主^ω^)「お…ドクオ、今日も頑張ってるお」 ('A`)「あ、カレー」 カレーがけだるそうにバッグから顔を出した。 (主;^ω^)「昨日はひどい目にあったお。明け方までトーチャンから逃げ回ったお…」 ('A`)「それで今日は元気が無いのか」 (主^ω^)「でも、バッグの中でぐっすり寝たから元気になったお!」 788 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:25:07.84 ID:nmJd2yvf0 カレーは大きなあくびをし、体を伸ばす。 ('A`)(やっぱ猫、だよなぁ) 今更、この状況に疑問を持つ。 …カレーの世界を救うために俺はペンを動かしている。 もちろん、自分の為でもあるけれど。 ('A`)「なんか、人生って何があるかわからんなぁ」 (主^ω^)「お?」 ('A`)「いや、独り言だよ。それより、早く帰って勉強するか!」 (主^ω^)「ラジャーだお!」 790 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:26:59.75 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「…っ!?」 教室から一歩踏み出した瞬間、その足を止める。 人気の無い廊下に、人影。 …誰だ? この時間、普段なら誰も来ないのに。 「お疲れ様モナ」 ('A`)「なっ…!?」 792 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:28:59.78 ID:nmJd2yvf0 その人物が、俺の顔を見る。 ドクン、ドクンと 心臓の鼓動が激しくなる。 ('A`)「お前は――」 特別進学コース、スカラシップ VIP塾模擬試験、塾内第一位。最高点 496/500 ( ´∀`) 「やぁ…君、模試の1位を目指すって言ったモナ?」 ――天才、モナーが俺の目の前に立っていた。 798 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:31:26.26 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「ま、まあね。今回が最後だし、頑張ろうかなぁなんて…」 ( ´∀`) 「ふぅーん…」 声が、震える。 足は棒になってしまったように固っている。 ( ´∀`) 「ローマ帝国前期、パックス=ロマーナの下で繁栄した五賢帝時代の最初の皇帝は?」 ('A`)「…え!?」 ローマ…? 歴史か? 五賢帝の最初の皇帝? ('A`)「えっと…トラヤヌス帝?」 咄嗟に記憶を探り、答える。 すると、モナーの口がニヤリと微笑んだ。 801 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:33:17.53 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`) 「あははー、外れモナ。正解はネルヴァ帝だモナ」 ('A`)「な…そんなの教科書に載ってないぞ」 ( ´∀`)「君は愚かだモナ。用語集、というものを知らないのかモナ?」 (;'A`)「な、そんな細かい知識まで暗記しているのか!?」 ( ´∀`)「ふふ…悪いけど、今の僕は誰にも負ける気がしないモナ、あは、あはははははは」 (;'A`)「!?」 モナーの体から黒いオーラのようなものが浮かび上がる。 ――闇、と言った方がわかりやすいかもしれない (主^ω^)「ドクオ、この人操られてるお!」 バッグからカレーが顔を出す。 ( ´∀`)「へえ、喋る猫モナ。この世界の住人じゃない奴が他にもいたモナか」 (;'A`)「操られてるって…どういうことだよ!?」 808 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:35:25.41 ID:nmJd2yvf0 (主#^ω^)「…フォックス。僕の世界の滅ぼした奴が、DATを使ってそのモナーって人を操ってるんだお」 カレーは、全身の毛を立たせながら、話す。 ( ´∀`)「正解モナー。ふふ、この体は頭が冴えてて優秀モナ」 (;'A`)「じゃあ、お前はモナーだけど、モナーじゃないのか?」 ( ´∀`)「そうモナ。…お喋りはこのくらいにして、喋る猫。お前のDATをよこすモナ」 モナーはカレーを睨み付ける。 だが、カレーも負けじと毛を逆立て睨み返した。 (主#^ω^)「お前なんかにDATを渡す気はないお!」 ( ´∀`)「ふぅん。そういうこと言うんだ」 モナーはゆっくりと腕を上げる。 そして、俺の顔を指差した。 (;'A`)「何を…!?」 ( ´∀`)「ならば勝負するモナ。1週間後の塾内模試で、僕が1位になったらあのペン形のDATと       猫の持っているDATを頂くモナ。もし君が勝てば、僕は大人しく諦めるモナ」 813 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:37:52.74 ID:nmJd2yvf0 (;'A`)「く…」 恐ろしいほどの威圧感が体を圧迫する。 ( ´∀`)「まあ僕が勝つと思うけど、やるモナ?」 (主^ω^)「何を企んでいるんだお!」 モナーは不気味な笑みを浮かべ、答える。 ( ´∀`)「この体じゃ力ずくでDATを奪うのは難しいモナ。だけど、DATが模試の賞品とは都合がいいモナ。       僕は手を下すまでも無く、DATを得ることができるモナ」 モナーは見下すような視線を向けてくる。 ( ´∀`)「さ、どうするモナ? 負ける勝負を受けるモナか?」 絶対的な自信。 たしかに、モナーの頭の良さは超越している。 無理だ、勝てるはずが、ない。 818 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:40:40.06 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「お、俺は――」 その時、何かとがった物が右手に触れる。 ('A`)(っ!? なんだ?) ポケットに入っていたそれを取り出してみる。 ('A`)「これは…」 それは、俺が何年も使っているペンだった。 何の変哲も無い、でも俺と共に走ってきたペンだ。 ('A`)「っ!」 不意に、走馬灯のような物が頭を過ぎった。 821 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:42:14.14 ID:nmJd2yvf0 ※ 「おーいドクオ、遊びに行こうぜ!」                      「いや、今日は塾があるから…」 「あいつつまんねーぞ、ハブこうぜ」                      「…あいつらみんな馬鹿だ。付き合う必要は無い」 「ドクオ、お前には先生も期待してるぞ。難杉高校いけるぞ!」                            「…はい」 「はい、明日は単語テストしまーす」                            「一単語100回書くぞ、よし!」 825 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:44:15.32 ID:nmJd2yvf0 そうだ。 俺はこのペンと一緒に努力してきた。 精一杯やってきたんだ。 ('A`)「俺は、自分を・・・信じる」 ( ´∀`) 「モナ?」 俺はぎゅっとペンを握り、その切っ先をモナーに向ける。 ('A`)「その勝負、受けてやるぜ」 (主^ω^)「ドクオ…!」 カレーの想いも、自分の努力も、プライドも、全部ひっくるめてこの勝負を受けてやる。 830 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:46:06.59 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`)「その目、むかつくモナ。二度と勉強ができないくらいに打ちのめしてやるモナ。       1週間後、楽しみにしてろモナ」 そう言うと、モナーは外へ出て行ってしまった。 俺はゆっくりとペンをおろす。 ('A`)「カレー、俺たちも早く帰ろう」 (主^ω^)「うんだお!」 モナーに勝つには、普通に勉強しても駄目だ。 だったら、あれをやるしかない。 ('A`)「地獄の18時間勉強、やってやる…!」 834 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:48:00.20 ID:nmJd2yvf0 ※ (主^ω^)「ドイツ帝国の初代皇帝は誰だお?」 ('A`)「ウィルヘルム1世」 (主^ω^)「正解だお。次は…」 カレーは器用に一問一答をめくり、問題を出す。 その間、俺は歴史のノートを音読しながらひたすら書いて暗記していた。 (`・ω・´)「暗記には五感をフルに使え。耳、口、手、鼻、舌。できる限り全部だ」 トーチャンが隣からアドバイスを飛ばす。 18時間勉強をするとトーチャンに言った所、協力してくれると言われ、今に至る。 837 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:49:59.80 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「あれ、どうしてここにこの人が?」 (`・ω・´)「そこはこういうことだ」 分からないところがあると、トーチャンが後ろからフォローしてくれる。 トーチャンは経済的な理由で大学は行けなかったが、東欧大確実と言われていたらしい。 (主^ω^)「じゃあ、次の問題だお。日本の~」 ('A`)「これは…こうかな?」 (`・ω・´)「こっちの方が速く解ける。だからここは~」 3人がかりで勉強を続ける。 睡眠時間は4~5時間に削り、トーチャンは会社を休んでまでサポートしてくれた。 そして、幾多の困難をお互いに支えあい、18時間勉強は順調に進んで行った…… 841 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:52:30.78 ID:nmJd2yvf0 ※ 1週間後… 【VIP塾内模擬試験】 朝。 案内の看板を確認し、指定された教室へ向かう。 ゆっくりと、廊下を歩く。 ミセ*゚ー゚)リ「あ、おーい! ドク…オ?」 廊下を歩いていると、ミセリに声をかけられた。 ('A`)「おはよう、ミセリ」 ミセ*゚ー゚)リ「え、う、うん。おはよう」 ('A`)「どうした? 俺の顔になにかついているか?」 ミセ*゚ー゚)リ「う、ううん。なんでもない! 今日は頑張ろうね!」 ('A`)「ああ」 843 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:54:09.99 ID:nmJd2yvf0 俺はそれだけ話すと、教室へ向かう。 もう少し会話をしていたいが、模試が始まるまでの1分1秒がおしい。 ミセ*゚ー゚)リ(ドクオ…あれが本当にドクオ? オーラが違う…) ※ 教室へ入り、参考書を取り出す。 最後の詰め込みは、暗記物だ。 英単語、社会、理科…こういった暗記物を直前にやれ、とトーチャンは言っていた。 ( ´∀`) 「おやおや、最後の悪あがきモナか?」 英単語を何度も書く。 スペルミスは許されない。 (#´∀`) 「おい、無視かモナ?」 後30分で始まる。時間配分も注意しないと。 (#´∀`) 「何とか言えモナ!!」 ('A`)「…お前、勉強しなくていいの?」 850 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:56:05.11 ID:nmJd2yvf0 英単語を書きながら、仕方なく答えてやる。 ( ´∀`)「笑わせるモナ。モナは天才モナよ? 勉強する必要が無いモナ」 ('A`)「ふーん」 ( ´∀`)「君のような凡人は、絶対に僕を超えられないモナ。せいぜい足掻くモナ!」 そう言うと、モナーは席に戻る。 ('A`)(わかってないよ…お前は、何も) そして、試験時間10分前になり、試験官が姿を現した。 853 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 21:58:53.52 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「それでは、VIP塾模擬試験を始める」 解答冊子と問題冊子が配られる。 俺は静かに目を閉じ、精神を集中する。 (主^ω^)(ドクオ…頑張るお!) ('A`)(これが、俺にとって最後の模試だ。・・・絶対に勝つ) ( ´∀`)(モナは天才なんだモナ。フォックス様、待っててくださいモナ) ミセ*゚ー゚)リ(ドクオに勝つぞ~! パンッと弾けるチョコ!) それぞれの想いが教室に溢れる。 ――時は訪れた。 (’e’)「試験、始め!!」 858 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:01:03.09 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「―-―!?」 開いた瞬間、場が凍りついた。 問題形式が、変わっている!? (;'A`)(そ、そんな。こんな問題は過去問には載ってなかったぞ) 準備していた頭の中が真っ白になる。 落ち着け、落ち着けと心の中で呟くが、頭の中には何も浮かんでこない。 ( ´∀`)(モナモナ。余裕モナー) カリカリと、他人がペンを走らせる音が聞こえる。 落ち着け、落ち着けってば。 手の震えが止まらない。 867 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:04:46.10 ID:nmJd2yvf0 (;'A`)(駄目だ…ちくしょう。このままじゃ――) ふと、腕に巻いたミサンガが目に入る。 ('A`)(カレー…) ~~~~~~~~~~~~~~~ (主^ω^)「これ、僕がつくったお! 手作りのお守りだお!」 (;'A`)「お前、器用だな…。猫の手も侮れないもんだ」 (主^ω^)「僕、これくらいしかお手伝いできないけど、頑張ってお!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ ('A`)(そうか…そうだよな) 俺は一人じゃない。 こんなことでうろたえてるんじゃ、カレーや父ちゃんに笑われちゃうぜ。 871 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:06:13.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)(問題形式が変わったから何だ? 落ち着いて考えれば答えは――出る!) 俺はもう一度、問題を見る。 そして、スッスッと素早く解答を書いていく。 (’e’)(あの生徒・・・目つきが変わった!?) ('A`)(おらぁぁっぁっぁああ!!) ―――――― ――― 875 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:08:11.75 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「解答やめ!指示があるまで筆記用具に触れないこと!」 チャイムが教室内に響いた。 最後の教科を終え、生徒のため息やペンを机に置く音が一気に鳴り響く。 (’e’)「特進クラスの生徒の答案は明日返却します。それ以外のクラスは2週間後です」 (’e’)「では、本日はお疲れ様でした」 セントジョーンズ先生が礼をすると、塾生たちはがやがやと教室を出て行った。 ('A`)「う~ん、疲れた」 (主^ω^)「お疲れ様だお!」 外に出ると、カレーがバッグからこっそりと顔を出す。 ('A`)「ふう、無事終わったよ。結果は明日にならないとわからないけど」 (主^ω^)「大丈夫だお。ドクオは頑張ったんだお! 努力の量はドクオが一位だお!」 (;'A`)「おいおい、俺が1位を取れなかった後のコメントみたいだな」 881 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:10:03.16 ID:nmJd2yvf0 (主^ω^)「いやいや、僕はドクオが一位を取れるって信じてるお!」 ('A`)「はは。まだわかんないよ」 俺は笑いながらカレーと話す。 とりあえず、やれることはやった。 後は結果を待つだけだ。 ( ´∀`)「やあ。どうだったモナ? 僕? 僕はもちろん最高の出来モナ」 ('A`)「聞いてない。さ、行こっか、カレー」 (主^ω^)「うんだお。今日はゆっくり休むといいお」 俺はカレーの入ったバッグを抱え、帰路についた。 …なんだか、すごい疲れた。 今日はもう帰って寝よう。 (#´∀`)「む、無視するとは生意気モナ。どうせ僕の勝ちモナ! ふん!」 886 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:12:01.19 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「ふう」 風呂から上がり、自分の部屋に入る。 疲れてる時の風呂ってどうしてこんなに気持ちいいんだろ。 ('A`)「極楽ダーイブ」 (主#^ω^)「ふぎゃ!」 ベットにダイブする。 が、何かモコモコしたものが毛布の中にいたようだ。 (主#^ω^)「殺す気かお!?」 ('A`)「ご、ごめん。いるとは思わなかった」 (主^ω^)「まったくもう…」 カレーが毛布から体を出し、隣に座る。 891 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:14:21.49 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「カレー」 (主^ω^)「にゃお?」 ('A`)「もし、さ。DATがあいつ・・・モナーの手に渡ったらどうなるんだ?」 俺はカレーの目を見て、言った。 カレーも、真剣な目つきになる。 (主^ω^)「そしたら…フォックス――僕の世界を壊した奴の力が上がってしまうお」 沈黙が流れる。 負けた時の光景が、頭に浮かんでくる。 すぐに、その考えを振りほどいた。 ('A`)「ま、明日になればわかるし、負けた時のことを考えても仕方ないな」 (主^ω^)「大丈夫にゃお、ドクオなら勝てるお!」 カレーが膝の上に乗り、励ましてくる。 …一番、怖いのはカレーだろうに。 こんな時まで他人を励ますなんて、お人よしだな。 896 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:17:56.69 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「俺たち、もう友達だよな」 (主^ω^)「お? 当たり前だお! ドクオは僕の友達だお! 」 友達、か。 久しぶりに聞いたな、その言葉。 ('A`)「友達だから言うんだけど、俺、この模試で1位になったら告白するんだ…」 (主^ω^)「ちょwwwまじかお!?」 ('A`)「ああ、決めた。今まで、ずっと今の関係が壊れるのが怖くて、自分の気持ちを隠してたんだ。     …けどさ、もう迷うのはやめたんだ。男らしくビシッと決めるよ!」 (主*^ω^)「若いっていいにゃお…。ああ、青春だお」 ('A`)「前から思ってたんだけど、お前何歳だよ…」 その夜は、お互いに腹を割って話した。 二人で話しているうちに、不安も薄れ、気づいたら深い眠りについていた。 903 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:20:00.97 ID:nmJd2yvf0 ※ 特進クラスの教室。選び抜かれた生徒が席に座っている。 今日、模擬試験の結果が明かされるのだ。 ('A`)「いよいよだな」 (主^ω^)(うんだお) カレーはバッグに隠れつつ、小声でささやく。 俺が教室に入ると、嫌な顔が目に入った。 ( ´∀`)「やぁ。いよいよモナね。覚悟はできてるモナ?」 ('A`)「それはこっちの台詞だぜ、モナー。…いや、モナーを操ってる馬鹿」 (主^ω^)(そうだお! 勝つのは僕達だお!) ( ´∀`)「へぇ、ずいぶん大口叩くモナ。ふふ、今のうちにいきがってろモナ」 モナーは不適に微笑み、席に戻った。 ('A`)「ふん」 908 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:21:40.21 ID:nmJd2yvf0 ミセ*゚ー゚)リ「や、ドクオ。ついに結果発表だね」 席に座ると、隣の席にはすでにミセリがいた。 ('A`)「おう、ミセリ。ちゃんと賭けは覚えてるよな?」 ミセ*゚ー゚)リ「もちろんwでも僕、自信あるよ?」 ('A`)「俺だって自信あるぜ。ま、まぁ俺が勝ったら…その」 ミセ*゚ー゚)リ「?」 ミセリの顔を見る。 目が合い、その瞳に吸い込まれそうになる。 ('A`)「い、いや、結果を見てからにしよう」 ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、何? 言いづらいことかな~いやらしぃw」 (;'A`)(ちぇ、分かってるくせに…) その後、緊張した沈黙が教室を支配した。 一分が、まるで一時間のように感じる。 そして、教室のドアが開いた。 914 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:23:29.61 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「では、答案を返す。順番に取りに着なさい」 セントジョーンズ先生がそう言うと、答案が返され始める。 どんどん答案が返され、順番が近づく。 ('A`)(…カレー) (主^ω^)(…ドクオ) バッグの中に手を入れ、カレーの前足をしっかりと握る。 (’e’)「次、モナー君」 ( ´∀`)「はいモナ」 モナーが答案を受けとる。 だが、裏側にしたままで中を見ていない。 …見なくとも勝利を確信してるってか。 ( ´∀`)「ふふ、君がどんな絶望した顔を見せるのか楽しみモナ」 ('A`)「…」 924 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:25:20.88 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「次、ドクオ君」 俺の名が呼ばれたる。 ゆっくり、ゆっくりと教卓のほうへ足を進める。 心臓の音が、はっきり聞こえる。 そして、答案を受け取り―――― (主;^ω^) ( ´∀`) ミセ*゚ー゚)リ            5教科合計 497/500             塾内順位 1位 935 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:27:32.16 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「――あ」 結果を、見た。 一位、そう書かれている。 何度見ても、その数字は変わらない。 (’e’)「おめでとう、ドクオ君。君が一位だ」 セントジョーンズ先生が、そう言った。 ( ´∀`)「ほーらやっぱり…え?」 ('A`)「よっしゃぁぁー!!!」 俺は拳を高く掲げ、ガッツポーズを取った。 本当に、やったんだ。 俺が勝ったんだ…!! 947 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:29:38.68 ID:nmJd2yvf0 (主^ω^)「ドクオー!」 ('A`)「カレー!」 カレーがバッグから飛び出して、俺に抱きついてくる。 ('A`)「やった、やったよ!」 (主^ω^)「うん、うんだお…! ドクオはやってくれたお!」 俺はカレーを抱きしめ、涙を流して喜ぶ。 その光景に、教室にいた生徒は呆然としている。 (’e’)「ド、ドクオ君、その猫は君のペットかね?」 セントジョーンズ先生が声をかける。 俺は、涙を拭いて答えた。 ('A`)「いえ、こいつは…カレーは友達です」 ('A`)「辛い時や、負けそうになった時…励ましてくれて、支えてくれた」 (主^ω^)「ドクオ…」 958 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:33:02.88 ID:nmJd2yvf0 「すごいよ。おめでとう!!」 「お前、頑張ってたもんな。すげぇよ」 「俺もガンプラばっか作ってないで努力するよ!」 ('A`)「みんな…グスン。ありがとう」 ミセ*゚ー゚)リ「ドクオ、賭けは私の負けだね」 ('A`)「ミセリ」 俺は、優しく微笑む。 ('A`)「今日の5時に、3丁目の土手に来てくれないか?…話したいことがあるんだ」 ミセ*゚ー゚)リ「う、うん。わかった」 967 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:35:06.29 ID:nmJd2yvf0 (’e’)「さあ、賞品の贈呈だ!」 ワァァァァァ、と歓声が沸いた。 (主^ω^)「ドクオ、いくお」 ('A`)「おう!」 俺はセントジョーンズ先生の前に立つ。 そして―― (’e’)「本当におめでとう!」 そのDAT――VIP塾のオリジナルペンを受け取った。 ('A`)「よっしゃぁぁぁ!」 再びガッツポーズを決める。 その後、教室の机や椅子を廊下に出し、盛大な胴上げが行われたのであった。 (  ∀ )「バカナ…ボクガ5位ナンテ…ドウシテ…」 975 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:37:03.67 ID:nmJd2yvf0 ※ 胴上げも終わり、塾の外へ出る。 夕日がアスファルトを赤く照らし、蕎麦屋の笛の音がどこかから聞こえてくる。 ('A`)「これで、終わったんだな」 (主^ω^)「うんだお! …ドクオ、本当にありがとうだお」 カレーは俺に向かって頭を下げる。 ('A`)「そりゃ俺が言う台詞だぜ。正直、一人だったら絶対にどこかで挫折していたよ」 (主^ω^)「ドクオ…」 ('A`)「でも、さ。お前がいたから最後まで頑張れたって言うか…うまく言えないけど、そんな感じだよ」 983 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:39:01.18 ID:nmJd2yvf0 お互いに目を合わせ、微笑む。 傍から見たら、猫と目を合わせて笑っている変な人にしか見えないだろうけど 俺は、この心地よい空間を満喫していた。 ('A`)「そうだ、DATをお前に渡さないとな」 俺はバッグからDATであるペンを取り出した。 ('A`)「はい」 (主^ω^)「ありがとうだお! これで、僕の世界の復活にまた一歩近づいたお!」 カレーにペンを渡そうとする。 だが、その手はカレーに届く前に、止められた。 989 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:40:50.25 ID:nmJd2yvf0 ( ´∀`)「フリーズ!」 ('A`)(主^ω^)「!?」 声が発せられた方向に視線を向ける。 そこには、ナイフを手にしたモナーが立っていた。 ('A`)「モナー…!?」 ( ´∀`)「ありえないモナ…そのDATは僕が得るハズだったモナ。この僕がね…」 モナーはナイフを握り締め、近づいてくる。 夕方の路地、辺りに人気は無い。 ( ´∀`)「天才である僕が…君のような凡人に負けるなんて何かの間違いモナ。ふひ、ふひひ」 モナーの目が黒く歪む。 背後にはおぞましい闇のオーラが発せられている。 (主^ω^)「恐ろしい憎悪だお…!」 ( ´∀`)「この体は、天才だったはずだ。なぜ、なぜ負けたんだ?え? お前カンニングか?」 モナーは一歩、また近づきながら言う。 10 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:42:29.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「…お前、どうして自分が負けたか気づいてないのか?」 ( ´∀`)「それは、どういうな意味だ?」 モナーの足が止まる。 ('A`)「俺はさ、最初モナーのことを天才だと思ってた。勉強しなくてもできる奴だって」 ( ´∀`)「その通りだモナ。このモナーは文字通り天才なのだからモナ」 ('A`)「でも、お前と会った時――俺はあることに気づいたんだ。お前の右手のペンダコにな」 俺がそう言うと、モナーは自分の右手を見る。 そこには、確かにペンダコの後が存在していた。 ('A`)「モナーは何もしないで一位をとっていた訳じゃない。それに見合う努力をしてたんだ。     けど、モナーの体を乗っ取ったお前はそれを怠った」 ( ´∀`)「そんな…モナーが努力を? 僕は天才だ。ありえな…う…うぉ」 12 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:44:03.00 ID:nmJd2yvf0 モナーの口調がおかしくなり、頭を抱えて苦しみ始める。 (主^ω^)「モナー君を乗っ取ってる悪の力が分離しかかってるお!」 ( ´∀`)「うお…畜生、DATだ、DATをよこせぇぇぇ!」 モナーが地面を蹴り、突進してくる。 だが、突きつけられたナイフに不思議と恐怖心は沸かない。 ('A`)「ペンを投げた時点で、お前は負けてたんだよ!」 俺はDATであるペンを握り、空高く掲げる。 すると、ペンが光を発し、七色に輝き始めた。 25 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:47:59.62 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「勉強において、実力に繋がるのは努力の持続…」 ( ´∀`)「おおおおお!!!!」 ('A`)「努力を怠り、ペンを投げた者に、裁きを!」 ( ´∀`)「――ッ!」 (主^ω^)「ドクオ!」 ('A`)「モナーの体から消えろぉぉぉ!!」 ペンの切っ先をモナーへ向ける。 七色に輝いた光線が放たれ、モナーの体を包み込んだ。 ( ´∀`)「うう、うあああああああ! ち、畜生ぉぉぉ!」 モナーの中から闇のオーラが消え去っていく。 強烈な閃光。 ・・・やがて、視界が元に戻った時、モナーはその場に倒れこんでいた。 31 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:49:59.97 ID:nmJd2yvf0 ―――― ―― ( ´∀`)「あ、あれ? ここはどこモナ?」 ('A`)「モナー…だよな?」 ( ´∀`)「えっと、君はドクオ君? なんで僕、こんな所に…」 モナーは起き上がり、首を横に振る。 説明してやりたいが、いかんせん説明しづらい…。 37 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:52:00.50 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「い、いや。お前急に倒れたんだよ。模試で疲れがたまってたんだろ」 ( ´∀`)「そうモナか。うーん、なんか記憶が曖昧だモナ。…まぁいいや」 モナーは自分の鞄を持ち上げる。 ('A`)「お、おい。帰るのか?」 ( ´∀`)「帰るモナ。早く帰らないと今日のノルマがこなせないモナ」 ('A`)「…ちなみに、ノルマってどのくらい?」 ( ´∀`)「これくらいモナ」 モナーはポケットからメモを取り出すと、俺に見せた。 ('A`)(こりゃ勝てないわ…) ( ´∀`)「それじゃ、ばいばいモナ」 マイペースな天才は夕日を浴びながら去っていった。 その姿を、俺は一生忘れないだろう。 41 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:54:01.20 ID:nmJd2yvf0 ※ ('A`)「はい、DAT」 (主^ω^)「今度こそちゃんと受け取りましたお」 俺はカレーにDATを手渡す。 さっきまで光り輝いていたのが嘘の様に普通のペン。 ('A`)「にしても、さっきの七色光線は一体…」 (主^ω^)「それは、きっとドクオの想いがDATの力を呼び起こしたんだお」 ('A`)「想い、か」 何の想いだろう。 考えてみたが、面倒なのでやめた。 結果としてDATも得れたし、モナーも元に戻った。 47 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:56:00.88 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「で、カレーはこれからどうするんだ?」 (主^ω^)「僕は…」 急に表情が曇る。 何か、言いにくそうな様子だ。 (主´ω`)「僕は、他のDATを集める為に、また別の世界に飛ばなきゃならないお…」 56 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 22:58:01.75 ID:nmJd2yvf0 ('A`)「…そっか」 わかりきっていたことだ。 けれど、どこかで期待してたのかもしれない。 もう少し、一緒にいられる、と。 ('A`)「そっか、じゃあDATも手に入ったし、早く他の世界に行かないとな!」 (主^ω^)「…ドクオ?」 俺はカレーに背中を見せ、続ける。 ('A`)「さっさとDATを集めないと、フォックスとか言う奴に出し抜かれるんだろ?     だったら、もうこの世界には用は無いだろ」 (主^ω^)「そ、それはそうだけど…」 ('A`)「言っとくけど、俺はお前がいなくたって寂しくないんだからな!     いちいち気を使ってグズグズ遅らせんなよ。俺だってお前に構ってる暇はないんだし」 早口で、そう言った。 早口じゃないと、その意味を自分が理解して、涙が出てしまうから。 ('A`)「俺は…受験もあるし、これから告白しなきゃいけないしな!」 61 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 23:00:01.19 ID:nmJd2yvf0 (主^ω^)「ドクオ…」 背後から聞こえるカレーの声が、俺の目頭を熱くさせる。 …馬鹿、早くいけよ。 これ以上は、やばいって。 ('A`)「ほら、早く行けって。俺はもう行く―― 言葉が途切れた。 カレーが俺の前に回りこみ、そのニコニコした顔を見せる。 (主;ω;)「ドクオ。僕、僕…!!」 あーあ、泣いてやんの。 猫が涙を流すなんて見たことないよ。 ('A`)「ばっか…なんで、顔見せるんだよ…」 (;A;)「涙が、涙が出ちまうだろーが!!」 66 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 23:02:02.10 ID:nmJd2yvf0 (主;ω;)「ドクオー!!」 カレーをしっかりと抱きしめる。 涙が頬をつたい、ポロポロと地面に落ちていた。 (;A;)「お前のこと、忘れないからな! またどっかで会おうな!」 (主;ω;)「僕も忘れないお! ドクオは、僕の友達なんだお!」 人気のない路地。 夕日に照らされ、俺たちは最後のひと時を過ごす。 やがて、カレーの首輪に引っ掛けられていたDATが光を発し、カレーの体を光が包み始めた。 ('A`)「カレー!」 (主^ω^)「ドクオ…本当にありがとうだお」 71 名前: 手話通訳士(神奈川県) 投稿日: 2007/03/13(火) 23:04:00.65 ID:nmJd2yvf0 DATの光はどんどん強くなり、やがて視界が真っ白になる。 光の中で、カレーの声が再び聞こえた。        (主^ω^)「さようならだお。ドクオのこと忘れないお」 …… … ('A`)「あいつ、最後までお礼ばっか言いやがって…」 俺は軽くなったバッグを抱え、立ち上がる。 残った涙を袖で拭い、顔を整える。 ('A`)「4時50分か、やべ、急がなきゃ!」 もう一つの、大切な約束を思い出す。 ('A`)「カレー…お前のおかげで気づいたんだ。俺はもう、一人じゃないんだよな」 俺は、最後にそう呟くと、土手へ向かって走り始めた。 [[3>ペン3]]

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