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「異世界3」(2007/03/13 (火) 00:52:33) の最新版変更点
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219 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:02:27.61 ID:ZcUIL4/F0
………。
( ゚∀゚)「ここがパララケーズか…」
(;´ω`)「…何故かここに来る間の記憶が無いお…」
(;'A`)「ブーンも…? 実は俺もなんだよ…」
(;´・ω・`)「僕もだ……何かあった気がするんだけどな…」
そこは木造の古げな家々が並ぶ、小さな村だった
(;'A`)「こんな所に神具があるのかな…」
(主´ω`)「それより…なんか変じゃないかお?」
(´・ω・`) 「………」
( ゚∀゚)「…とにかく行ってみっか」
……。
(;´ω`)「…誰も居ない?」
221 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:04:16.88 ID:ZcUIL4/F0
ヒビ割れ、汚れた木造の家々
草が生い茂り、かすかに聞こえてくる水の流れる音
とてもじゃないが生活感の感じられない寂れた村だった
(´・ω・`) 「…廃村なんですかね」
( ゚∀゚)「…おかしいな…
人が住んでないなら神具の情報なんざ流れないはずだが…」
('A`)「それはそうですね…もう少し探してみましょうか」
( ゚∀゚)「ああ、そうだな…」
その後、僕等は別れ…村の散策を始めた
(主´ω`)(…何も感じない…ここには無いのか?)
……。
気付けば日も暮れ始め、空は黒とオレンジが混ざり合っている
( ゚∀゚)「どうだ? そっちは何かあったか?」
222 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:05:55.50 ID:ZcUIL4/F0
('A`)「いえ…何も」
(´・ω・`) 「デマだったんですかね…」
( ゚∀゚)「うーん…」
(;´ω`)「場所が違うとか…」
(主´ω`)「………」
(;゚∀゚)「っておいホライゾン、なんか光ってるぞ?」
(主;´ω`)「え…?」
言われて自分の身体を見回し、気付いた
(主;^ω^)「DATが…これは、共鳴!?」
(;´ω`)「お? どういう事だお?」
(主;^ω^)「この近くに…DATがあるお!!」
(;'A`)「え…ほんと?」
全員揃って、辺りを見回す
224 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:07:00.76 ID:ZcUIL4/F0
(主;^ω^)「共鳴が…どんどん強くなってる」
(;´・ω・`)「え…それって…もしかして、近づいてきてるって事?」
(;'A`)「誰か居るのか…?」
(主;^ω^)「あ…あそこ、あそこだお! あの家の影か――」
僕はその反応の強さが示す方向を指差す
全員の視線がその先へ行く
…そして
「なんだ、ばれちゃってるのか…つまんないのー」
聞こえてくる謎の声
(主;´ω`)「…お?」
え…何これ、どういう事?
227 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:09:01.68 ID:ZcUIL4/F0
(;゚∀゚)「い、今のは…」
(;'A`)「ま、まさか…まさか…」
( ・∀・)「虚零…アゾット、探し物はこれかなー?」
(主;´ω`)「だ、誰だお……って」
そうして、家の影から現れたのは一組の男女だった
(主;^ω^)「あれはっ!」
あの男が持っているのは剣だ
太く、とてもじゃないが切れ味の悪そうな直状の短剣
柄の先には大きな宝玉がはめられ…そこに妙な違和感を感じる
いや、違和感なんてもんじゃない、確信がある…あれは
(♯'A`)「モナーさん!!」
(;゚∀゚)「モララー!?」
232 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:11:20.09 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川 「………」
(;´・ω・`) 「…ペニサス」
('、`*川 「やっぱり…来ちゃったね…ショボン君…」
(主`ω´)「……DAT…!」
(;´ω`)「DAT?…あれが…そうなのかお?」
(主`ω´)「そうだおっ!!」
居ても立っても居られず、僕は駆け出した
(;´ω`)「ちょ、駄目だお!」
(主`ω´)「それを…その持ってる物を返せ!!」
(♯'A`)「!?」
(;゚∀゚)「ホライゾン!?」
235 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:13:28.53 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「んー…? あら、君かー、残念だけど
既に日も落ちかけた今、君に何が出来るのかな?」
(主`ω´)「…何を訳の分からない事を言ってるんだお」
(;´ω`)「危ないお! 下がるお!」
(主`ω´)「それは君等が思ってる様な物じゃない! 返すお!!」
( ・∀・)「二人…? いや、そうか、そういう事ですか」
( ・∀・)「君はあの時の子か…」
(主;`ω´)「な、何を言って…」
( ・∀・)「残念だったね…既にDATは私の手の内だ」
目の前に映る奴の体に、薄く黒い靄が立ち昇る
(主゚ω゚)「お…お前……まさか…まさか…!?」
238 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:15:09.12 ID:ZcUIL4/F0
(;゚∀゚)「な、何だ? 何がどうなってる!?」
爪'ー`)y‐
「そういう事だよ…名無しの子」
( ・∀・)
(主;`ω´)「……FOX…!!」
( ・∀・)「ははは、そう、私だ…DATの力を使い
この者の身体を借りているのだが…」
(;・∀・)「ふ…中々頑固でな、完全にはコントロールしきれ……む!?」
瞬間…奴は横に跳躍
そして目の前には、線状に伸びゆく揺らめくオレンジ
(;・∀・)「これは…」
(主;`ω´)「うわ!?」
241 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:16:56.52 ID:ZcUIL4/F0
それは炎
低い、唸るような音を発しながら地面を焼いたそれは
発生源から先程まで奴が居た位置
そこまでの綺麗な直線を黒く焦がした
焼け焦げた地面は熱を残し、視界を陽炎が歪ませる
(主;´ω`)「い…今のは…?」
(♯'A`)「……」
発生源は彼だった…ドクオ、いや…正確には彼の手から生える赤
両手に強く握られた、刀身に猛る炎を宿した赤い剣
(主;´ω`)「んななな…!? なんだお、あの変な剣は!?」
(;゚∀゚)「ば…こらドクオ! 落ち着け!」
(♯'A`)「今度こそ…今度こそ、殺す、殺してやる!!」
( ・∀・)「…君も、しつこいねー…いつまで昔の事引きずってるの?」
(♯'A`)「黙れっ!!」
243 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:18:23.13 ID:ZcUIL4/F0
(;´ω`)「ドクオ…!」
(♯'A`)「うああああああっ!!!」
( ・∀・)「…ふ」
(主;´ω`)「あ…」
ドクオが炎を掲げ上げる
反応するように、奴は腰に下げられた剣を一息に引き抜く
はっきりと…黒い刀身が見えた
…………。
247 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:20:35.31 ID:ZcUIL4/F0
(´・ω・`) 「…良かった…あれから…まだ誰も殺してないんだね?」
('、`*川 「…ええ、私の標的は…あなただから」
(´・ω・`) 「何度も言うようだけど…その剣を渡してくれないかな」
('、`*川 「…駄目よ…これを捨てた所で、既に私は呪われた身
管理者として、この呪いから離れる事はできやしないわ…」
卑下し、自らを嘲笑う様に呟く
(´・ω・`) 「……」
('、`*川「既に二人…私は殺してきた…だから
あと一人で…そしてそれはあなた…唯一殺せなかった…私の最後の……」
(;´・ω・`) 「く……」
('ー`*川 「お願い…ショボン君、私と一緒に」
『死んで』
彼女は微笑み、ゆっくりと剣を抜いた
250 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:22:31.79 ID:ZcUIL4/F0
その剣の名は『破滅――――――……
3度の殺そして4度目には死を与える、呪いの魔剣
(´-ω-`) 「それは…できない、僕は死なない…死ぬ訳にはいかない」
(`・ω・´) 「君を死なせない為に」
静かな口調とは裏腹に、その瞳には強い決意を宿し
腰に下がる剣に向けて手をかざす
澄んだ金属音、剣の柄はまるで見えない糸に引かれた様に彼の手に吸い込まれた
その剣の名を……誓賢―――……
賢者足る者に誓いを与える、勝利の聖剣
『僕は死なない…だから君は』
言葉を言い終えるより先に、二人は距離を詰めた
253 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:25:20.45 ID:ZcUIL4/F0
剣筋が踊り、剣影が重なる
連続して起こる鋼の衝突
金属の弾ける音が耳をつんざき、視界を揺らす
('、`*川 「やあっ!!」
衝突、そして停止
(`・ω・´)「はああっ!!」
('、`;川 「あっ…!」
僅かな間を置いて、思い切り剣を振りぬき、弾かれた様に彼女が後退する
距離を取り、再び構え直す
('、`;川「……っ」
(`・ω・´)「君は生きるんだ、僕と一緒に」
258 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:28:09.58 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「無理よ」
(♯`・ω・´)「…剣が僕に応えてくれてる
だからこれは間違ってない、無理じゃない!」
怒気を含んだ口調
僅かに彼女が怯む
('、`;川「!!」
その隙を狙い、一気に踏み込む
(`・ω・´)「もらった…っ!!」
('、`;川「!!」
一際大きく、甲高い金切音が響き渡った
…………。
261 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:30:09.92 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…ふ」
(♯'A`)「お…あああああ!!!」
振り下ろされた赤い剣
炎が剣影を追いながら前へ伸びていく
伸びゆく炎
その先に…奴の姿は無かった
(主;`ω´)「な…」
(;゚∀゚)「危ねえ!!」
その声とほぼ同時に、鈍い音が響く
(♯'A`)「……っ!!」
( ・∀・)「へえ…よく止めたね」
(♯゚∀゚)「そうそうてめえの好きに行くと思うなよ…モララー」
264 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:32:36.49 ID:ZcUIL4/F0
横薙ぎに放たれた黒剣の斬撃
それを受け止めるのは白い戦槌
いったいどこから出てきたのか…
ジョルジュの手には小ぶりの白いハンマーが握られていた
( ・∀・)「…そうかなー?」
(;`ω´)「やばっ!!」
そんな様子を見ていたブーンが一気に剣を抜き、駆け出す
(♯'A`)「はああ!!!」
ドクオが目の前の敵に向けて剣を向ける
( ・∀・)「あ」
268 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:34:33.14 ID:ZcUIL4/F0
それは一瞬、それ以外に例えが見つからない
ほんの僅か1秒に満たない時間の中で
(;゚∀゚)「くっ…」
ジョルジュの槌をいなし、体制を崩させ
( ・∀・)「!」
( `ω´)「!」
ドクオに向けられた凶刃を横からブーンが受け止め
(;'A`)「!」
密集する中、ドクオの持つ赤い剣が、奴の持つDAT…いや剣に触れ
( ・∀・)「ははっ…」
大きくバックステップ、奴の姿がその場を離れる
269 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:36:04.58 ID:ZcUIL4/F0
(;゚ω゚)「あぶな…!!!」
(;´∀゚)「ぐ…」
(;'A`)「う…」
溢れる炎、次いで轟音、そして
「「あああああああああっっ!!!!」」
悲鳴
ほんの一瞬の間、集団の中心に炎が溢れ…爆発
人の影が四散した
…………。
275 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:38:23.03 ID:ZcUIL4/F0
(´・ω・`) 「ほら、また生きてるじゃないか」
('、`*川「………」
彼女の喉元に刃を突きつけ、告げる
彼女の手には何も握られていない、少し離れた場所に先の剣は転がっている
('、`*川「……強いね、ショボン君は」
(´・ω・`) 「……」
(;´・ω・`)「!?」 ('、`;川
その時、離れた場所で爆発が起きた
巻き起こされた炎による熱風がここにまで届き
汗が頬を伝う
(;´・ω・`)「…あれは…」
彼女はショボンが自分から視線を外した事を確認後、一気に地面を蹴る
277 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:40:15.65 ID:ZcUIL4/F0
機を逃さず、弾かれ手放した剣の元へ走る彼女
剣を掴み、振り返る、と
(´・ω・`) 「…」
そのすぐ正面にショボンは居た
そして彼女の腕を握り、無理矢理鞘に戻させた
('、`*川「…あ……」
(;´・ω・`)「さて、今度は向こうか…」
('、`*川「……ショボン君…」
(´・ω・`) 「…ん?」
('、`*川「………何でもない」
(´・ω・`) 「…そう?」
280 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:42:16.48 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「負けちゃったし、私行くね?」
(´・ω・`) 「駄目」
('、`*川「ふふ、ごめんね、それより早く逃げた方がいいよ」
(´・ω・`) 「どういう事?」
('、`*川「…そろそろ部隊が到着するわ」
(;´・ω・`)「部隊…まさか」
('、`*川「ええ、ここを包囲して、あなた達を殺す為の…ね」
(;´・ω・`) 「く…っ」
('、`*川「本当は私達はその部隊と合流してからあなた達を叩く予定だったんだけど
どうにもあの変な子のおかげ…いえ、あの子のせいで」
(;´・ω・`)「!!」
そして、ショボンは倒れ込む仲間の下へと向かい駆け出した
283 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:45:36.31 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「……生き延びてね…ショボン君」
最後にそう囁くと、その場に背を向け、彼女は彼の反対方向に消えていった
…………。
(主;´ω`)「………」
(;・∀・)「…く…流石に完全には避けきれないか」
右には膝をつく奴の姿
そして正面には…倒れ込む3人の姿
(メメ゚∀゚)「ぐ……」
(メメ ω )「う………」
(メ'A`)「ブーン、何で…」
288 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:47:10.70 ID:ZcUIL4/F0
相当な火傷を負っている
ドクオの両腕はだらりと下げられ赤黒く腫れ上がる
動かす事さえ辛そうにしている
けど…特に酷いのはブーンだった
ドクオに覆い被さり、背を向けたままピクリとも動かない
焼け焦げた衣服から覗く背中は赤く爛れ、黒ずむ
( ・∀・)「はははー、自滅とはなんとも情けない奴等だ」
(メメ゚∀゚)「く…おい、しっかりしろ」
(メメ ω )「……」
(メ'A`)「…く、くそっ」
(主;´ω`)「あ…あああ」
( ・∀・)「さーてー、そろそろとどめかな」
(主;`ω´)「!?」
294 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:49:49.88 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…」
奴は先程とは打って変わり、ゆっくりと三人に近づいていく
(主`ω´)「や、やめろお!!」
僕は、思わず叫んでいた
( ・∀・)「…へえ」
(メメ´ω`)「…ぅ」
( ・∀・)「止めて欲しいならさー、自分で止めたらどうだ?」
(主;´ω`)「…っ…」
黒い剣を僕に向け、挑発する様に刀身を揺らす
僕は…動けなかった
295 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:51:02.79 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「ふっ…まあそこで黙って見ていろ、そして自分の無力さを
…この僕に逆らう愚かさを、知れ」
(主;´ω`)「ううぅ…っ」
そんな僕の横を人影が通り過ぎる
(´・ω・`) 「…君が何故そんなにホライゾンを意識してるのかは知らないけど
これ以上好きにはさせないよ?」
( ・∀・)「ちぇ、なんだ、もう片付けてきちゃったんだ」
太陽が遠く山の彼方に吸い込まれ、辺りは暗くなっていく
それでも尚、奴の体の周りには黒い煙がはっきりと視認できた
影を作る事もない…暗黒の光
(メ'A`)「く…ショボン…っ」
(´・ω・`)「みんな…大丈夫?」
297 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:53:03.03 ID:ZcUIL4/F0
(メメ゚∀゚)「…内藤! おいしっかりしろ!!」
(メメ ω )「ぁ…ぁ…」
(メ;A;)「…ーン…ブーンが…俺を庇って…」
(;´・ω・`)(これはやばいな、早く手当てしないと…死ぬ)
(;´・ω・`)「ドクオ…しっかりして、もうすぐここに敵の集団が来る
急いでここから逃げないと不味いんだ」
(メ;゚∀゚)「んな…っ…まじかよ!?」
( ・∀・)「あららー…あの子ってばそんな事まで話しちゃったんだ
まあいいでしょう、どうせ逃がしはしないのだから」
(;´・ω・`) 「どうにも罠だったみたいだね…」
( ・∀・)「そういう事です、君達は今日…ここで死ぬ」
(´・ω・`) 「どうもきな臭いな…君らしくないね、モララー」
299 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:55:20.71 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「クク…流石は賢たる者、どこまで気付いているのやら」
(主´ω`)「…ショボン?」
(´・ω・`) 「まあいいさ…どのみち君がみんなを狙うって言うなら」
( ・∀・)「…あらー、ショボン君、私に勝てると思ってるの?」
(´・ω・`) 「忘れた? 僕が握っているのは、勝利だよ」
( ・∀・)「なら改名したほうがいいな」
二人が地を蹴ったのはほぼ同時だった
(主;´ω`)「ど…どうしたら…」
打ち合い響く金属音
303 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:57:01.62 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「ははっ、どうしたセイケンのカンリシャ…」
(;´・ω・`)「……!」
奴の動きは、まるで早送りボタンを押した映画の様
次から次へ上下左右から放たれる黒い剣
それを必死に受けるショボン
(主;`ω´)「…!」
素人目にも明らか
ショボンが完全に押されている
剣を振る暇も与えない速さを前に手を出せず完全に防戦一方だった
( ・∀・)「ほらほら! 少しは攻撃しないと!!」
(;´・ω・`)「こ…の…っ!」
このままじゃ…時間の問題だろう
307 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:58:59.16 ID:ZcUIL4/F0
(主;`ω´)「うぅぅっ…」
状況は絶望的
悔しい
見ているだけの自分が、何もしていない自分が
どうにかしたい、短い時間だけど…共に過ごしたこの人達の力になりたい
けど今の僕には何もできやしない…近づいたらきっと邪魔になる
(主`ω´)「それでも…何か、何かあるはずだお…」
僕は必死に思案し、この状況の打破を探した
そこに…僕を呼ぶ声が響いた
「おい…ホライゾン」
(主`ω´)「…ジョルジュ…さん?」
309 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:00:30.18 ID:T0BHKld70
僕は倒れる3人の下へ駆け寄った
ジョルジュさんは近づいた僕を黙って見つめ、静かに言った
(メメ-∀-)「……逃げろ」
(主;´ω`)「な……え?」
(メメ-∀-)「状況は見ての通り、絶望的だ…このままじゃ全員殺される
だから…これから俺が隙を作る、そしたら
三人を連れてどうにか逃げてくれ」
(主;´ω`)「そんな…どうやって!」
(メ;´ω`)「………だ…だめ…だお…」
(メ;'A`)「ブーン!」
(メメ-∀-)「気付いたか…よかった」
(メ;´ω`)「だめだ…ミョルニルは…っ」
(メ;'A`)「そうですよ!そんな事したらジョルジュさんが」
313 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:02:44.77 ID:T0BHKld70
(メメ-∀-)「みんな仲良く死ぬよりはましだろ?
まあ…じじいやデレにはよろしく言っといてくれ」
(メ;'A`)「い…嫌だ…嫌だよジョルジュさん…」
(主´ω`)「な…なにする気なんだお…」
(メメ゚∀゚)「ホライゾン…お前にはやるべき事があるんだろ?
なら死んじゃいけねえ、今は何も聞かず逃げろ」
(主´ω`)「それは…でも!」
(メメ゚∀゚)「んで、まあ、ついでにこいつらも生かしてやってくれ…
まだまだ頼りない奴等だけど、きっとお前の力になれる」
(メメ゚∀゚)「んじゃ、後は頼むぜ!!」
(メ;´ω`)「ジョルジュ…さ…」
(メ;'A`)「だ、駄目だ待ってよ!!」
言い残し、彼は勢い良く立ち上がると僕等の言葉を無視して駆け出した
314 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:04:35.86 ID:T0BHKld70
(メメ゚∀゚)「行くぜ俺の必殺技…!」
突き出した片腕、その先には白い戦槌
手を打ち鳴らす様な…弾ける音が響き、白いハンマーが淡い紫の光を帯びる
その輝きが増すにつれ、徐々に激しく響く拍手音
(主´ω`)「あれは……電気?」
(メ;´ω`)「と…とめな…く……っ~~~!!」
必死に体を起こそうとするブーン、だが背中が痛むのか、すぐに倒れこんだ
(メ;'A`)「ブーン…動いちゃ駄目だ」
(メ;´ω`)「でも…」
(メ;'A`)「…く……」
(メメ゚∀゚)「ショボ!! どいてろおおおおおおおお!!!!」
317 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:05:59.66 ID:T0BHKld70
(メメ゚∀゚)「ショボ!! どいてろおおおおおおおお!!!!」
(;´・ω・`)「ジョルジュさん!?」
(;・∀・)「!!」
(メメ ∀ )「 その身に刻め 全てを 破砕す 雷神の擲撃 」
大きくふりかぶった白き槌に彫られた謎の文字が、強く輝く
(;´・ω・`)「っ!!」
ショボンは地面を踏み締め、その場を離れるべく駆け出す
(;・∀・)「な! ジョルジュ、お前!?」
目に見える動揺、奴の動きが止まる
叫び、投擲、放たれた槌は回転し
大きな音を立て雷を放つ
321 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:07:36.76 ID:T0BHKld70
(;・∀・)「ぐ…!!!」
庇うように突き出された短剣に淡い紫の線が走る
(;・∀・)「っ!!」
思わず奴がそれ…DATを手放した
雷を放った槌は刹那の空中停止後 急加速し
――――落雷
(;・∀・)「が――――――――
強烈な爆音が全てを飲み込む
まるで世界中に轟く様な重低音が響き
衝撃が大地を揺らした
(;´・ω・`)「う………ぐ…っ!」
327 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:09:45.97 ID:T0BHKld70
(主゚ω゚)「…な……!」
次の瞬間には、散らばる家屋の破片
その中心には巨大なクレーターが視界に入った
そして…奴の姿も見えない
(主゚ω゚)「す、すごい…」
(;´・ω・`)(死ぬかと思った)
(メ;´ω`)「…だ…めだ……逃げ…」
(メ;'A`)「早く逃げてくだい! ジョルジュさん!!」
(主;´ω`)「え…? え?」
黙ってその場に立ちすくむジョルジュに二人が訴える
何故? 奴の姿は見えないし…勝ったんじゃないのか?
その時…まるで時間を巻き戻すように、白いハンマーが飛来し
持ち主の下へと飛んでいく
329 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:11:02.92 ID:T0BHKld70
( ∀ )「……」
彼が左手を突き出すと、それは吸い込まれるように手の中に納まった
(主゚ω゚)「…ぇ」
全身を寒気が襲った
木が折れ、砕けるような音
彼の指がおかしな方向に折れ曲がり、腕が歪に曲がりくねる
内部を砕かれた手に血が溢れ、手が赤に染まり膨張
だらりと腫れ上がった腕が下がり、白い槌が地面に落ちた
「…ぐ…あ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
堪らず耳を塞ぎたくなる様な…絶叫
(メ; ω )「あ…あ…ぁ…」
(メ;'A`)「ジョルジュさん!!!」
219 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:02:27.61 ID:ZcUIL4/F0
………。
( ゚∀゚)「ここがパララケーズか…」
(;´ω`)「…何故かここに来る間の記憶が無いお…」
(;'A`)「ブーンも…? 実は俺もなんだよ…」
(;´・ω・`)「僕もだ……何かあった気がするんだけどな…」
そこは木造の古げな家々が並ぶ、小さな村だった
(;'A`)「こんな所に神具があるのかな…」
(主´ω`)「それより…なんか変じゃないかお?」
(´・ω・`) 「………」
( ゚∀゚)「…とにかく行ってみっか」
……。
(;´ω`)「…誰も居ない?」
221 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:04:16.88 ID:ZcUIL4/F0
ヒビ割れ、汚れた木造の家々
草が生い茂り、かすかに聞こえてくる水の流れる音
とてもじゃないが生活感の感じられない寂れた村だった
(´・ω・`) 「…廃村なんですかね」
( ゚∀゚)「…おかしいな…
人が住んでないなら神具の情報なんざ流れないはずだが…」
('A`)「それはそうですね…もう少し探してみましょうか」
( ゚∀゚)「ああ、そうだな…」
その後、僕等は別れ…村の散策を始めた
(主´ω`)(…何も感じない…ここには無いのか?)
……。
気付けば日も暮れ始め、空は黒とオレンジが混ざり合っている
( ゚∀゚)「どうだ? そっちは何かあったか?」
222 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:05:55.50 ID:ZcUIL4/F0
('A`)「いえ…何も」
(´・ω・`) 「デマだったんですかね…」
( ゚∀゚)「うーん…」
(;´ω`)「場所が違うとか…」
(主´ω`)「………」
(;゚∀゚)「っておいホライゾン、なんか光ってるぞ?」
(主;´ω`)「え…?」
言われて自分の身体を見回し、気付いた
(主;^ω^)「DATが…これは、共鳴!?」
(;´ω`)「お? どういう事だお?」
(主;^ω^)「この近くに…DATがあるお!!」
(;'A`)「え…ほんと?」
全員揃って、辺りを見回す
224 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:07:00.76 ID:ZcUIL4/F0
(主;^ω^)「共鳴が…どんどん強くなってる」
(;´・ω・`)「え…それって…もしかして、近づいてきてるって事?」
(;'A`)「誰か居るのか…?」
(主;^ω^)「あ…あそこ、あそこだお! あの家の影か――」
僕はその反応の強さが示す方向を指差す
全員の視線がその先へ行く
…そして
「なんだ、ばれちゃってるのか…つまんないのー」
聞こえてくる謎の声
(主;´ω`)「…お?」
え…何これ、どういう事?
227 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:09:01.68 ID:ZcUIL4/F0
(;゚∀゚)「い、今のは…」
(;'A`)「ま、まさか…まさか…」
( ・∀・)「虚零…アゾット、探し物はこれかなー?」
(主;´ω`)「だ、誰だお……って」
そうして、家の影から現れたのは一組の男女だった
(主;^ω^)「あれはっ!」
あの男が持っているのは剣だ
太く、とてもじゃないが切れ味の悪そうな直状の短剣
柄の先には大きな宝玉がはめられ…そこに妙な違和感を感じる
いや、違和感なんてもんじゃない、確信がある…あれは
(♯'A`)「モナーさん!!」
(;゚∀゚)「モララー!?」
232 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:11:20.09 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川 「………」
(;´・ω・`) 「…ペニサス」
('、`*川 「やっぱり…来ちゃったね…ショボン君…」
(主`ω´)「……DAT…!」
(;´ω`)「DAT?…あれが…そうなのかお?」
(主`ω´)「そうだおっ!!」
居ても立っても居られず、僕は駆け出した
(;´ω`)「ちょ、駄目だお!」
(主`ω´)「それを…その持ってる物を返せ!!」
(♯'A`)「!?」
(;゚∀゚)「ホライゾン!?」
235 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:13:28.53 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「んー…? あら、君かー、残念だけど
既に日も落ちかけた今、君に何が出来るのかな?」
(主`ω´)「…何を訳の分からない事を言ってるんだお」
(;´ω`)「危ないお! 下がるお!」
(主`ω´)「それは君等が思ってる様な物じゃない! 返すお!!」
( ・∀・)「二人…? いや、そうか、そういう事ですか」
( ・∀・)「君はあの時の子か…」
(主;`ω´)「な、何を言って…」
( ・∀・)「残念だったね…既にDATは私の手の内だ」
目の前に映る奴の体に、薄く黒い靄が立ち昇る
(主゚ω゚)「お…お前……まさか…まさか…!?」
238 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:15:09.12 ID:ZcUIL4/F0
(;゚∀゚)「な、何だ? 何がどうなってる!?」
爪'ー`)y‐
「そういう事だよ…名無しの子」
( ・∀・)
(主;`ω´)「……FOX…!!」
( ・∀・)「ははは、そう、私だ…DATの力を使い
この者の身体を借りているのだが…」
(;・∀・)「ふ…中々頑固でな、完全にはコントロールしきれ……む!?」
瞬間…奴は横に跳躍
そして目の前には、線状に伸びゆく揺らめくオレンジ
(;・∀・)「これは…」
(主;`ω´)「うわ!?」
241 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:16:56.52 ID:ZcUIL4/F0
それは炎
低い、唸るような音を発しながら地面を焼いたそれは
発生源から先程まで奴が居た位置
そこまでの綺麗な直線を黒く焦がした
焼け焦げた地面は熱を残し、視界を陽炎が歪ませる
(主;´ω`)「い…今のは…?」
(♯'A`)「……」
発生源は彼だった…ドクオ、いや…正確には彼の手から生える赤
両手に強く握られた、刀身に猛る炎を宿した赤い剣
(主;´ω`)「んななな…!? なんだお、あの変な剣は!?」
(;゚∀゚)「ば…こらドクオ! 落ち着け!」
(♯'A`)「今度こそ…今度こそ、殺す、殺してやる!!」
( ・∀・)「…君も、しつこいねー…いつまで昔の事引きずってるの?」
(♯'A`)「黙れっ!!」
243 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:18:23.13 ID:ZcUIL4/F0
(;´ω`)「ドクオ…!」
(♯'A`)「うああああああっ!!!」
( ・∀・)「…ふ」
(主;´ω`)「あ…」
ドクオが炎を掲げ上げる
反応するように、奴は腰に下げられた剣を一息に引き抜く
はっきりと…黒い刀身が見えた
…………。
247 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:20:35.31 ID:ZcUIL4/F0
(´・ω・`) 「…良かった…あれから…まだ誰も殺してないんだね?」
('、`*川 「…ええ、私の標的は…あなただから」
(´・ω・`) 「何度も言うようだけど…その剣を渡してくれないかな」
('、`*川 「…駄目よ…これを捨てた所で、既に私は呪われた身
管理者として、この呪いから離れる事はできやしないわ…」
卑下し、自らを嘲笑う様に呟く
(´・ω・`) 「……」
('、`*川「既に二人…私は殺してきた…だから
あと一人で…そしてそれはあなた…唯一殺せなかった…私の最後の……」
(;´・ω・`) 「く……」
('ー`*川 「お願い…ショボン君、私と一緒に」
『死んで』
彼女は微笑み、ゆっくりと剣を抜いた
250 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:22:31.79 ID:ZcUIL4/F0
その剣の名は『破滅――――――……
3度の殺そして4度目には死を与える、呪いの魔剣
(´-ω-`) 「それは…できない、僕は死なない…死ぬ訳にはいかない」
(`・ω・´) 「君を死なせない為に」
静かな口調とは裏腹に、その瞳には強い決意を宿し
腰に下がる剣に向けて手をかざす
澄んだ金属音、剣の柄はまるで見えない糸に引かれた様に彼の手に吸い込まれた
その剣の名を……誓賢―――……
賢者足る者に誓いを与える、勝利の聖剣
『僕は死なない…だから君は』
言葉を言い終えるより先に、二人は距離を詰めた
253 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:25:20.45 ID:ZcUIL4/F0
剣筋が踊り、剣影が重なる
連続して起こる鋼の衝突
金属の弾ける音が耳をつんざき、視界を揺らす
('、`*川 「やあっ!!」
衝突、そして停止
(`・ω・´)「はああっ!!」
('、`;川 「あっ…!」
僅かな間を置いて、思い切り剣を振りぬき、弾かれた様に彼女が後退する
距離を取り、再び構え直す
('、`;川「……っ」
(`・ω・´)「君は生きるんだ、僕と一緒に」
258 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:28:09.58 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「無理よ」
(♯`・ω・´)「…剣が僕に応えてくれてる
だからこれは間違ってない、無理じゃない!」
怒気を含んだ口調
僅かに彼女が怯む
('、`;川「!!」
その隙を狙い、一気に踏み込む
(`・ω・´)「もらった…っ!!」
('、`;川「!!」
一際大きく、甲高い金切音が響き渡った
…………。
261 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:30:09.92 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…ふ」
(♯'A`)「お…あああああ!!!」
振り下ろされた赤い剣
炎が剣影を追いながら前へ伸びていく
伸びゆく炎
その先に…奴の姿は無かった
(主;`ω´)「な…」
(;゚∀゚)「危ねえ!!」
その声とほぼ同時に、鈍い音が響く
(♯'A`)「……っ!!」
( ・∀・)「へえ…よく止めたね」
(♯゚∀゚)「そうそうてめえの好きに行くと思うなよ…モララー」
264 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:32:36.49 ID:ZcUIL4/F0
横薙ぎに放たれた黒剣の斬撃
それを受け止めるのは白い戦槌
いったいどこから出てきたのか…
ジョルジュの手には小ぶりの白いハンマーが握られていた
( ・∀・)「…そうかなー?」
(;`ω´)「やばっ!!」
そんな様子を見ていたブーンが一気に剣を抜き、駆け出す
(♯'A`)「はああ!!!」
ドクオが目の前の敵に向けて剣を向ける
( ・∀・)「あ」
268 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:34:33.14 ID:ZcUIL4/F0
それは一瞬、それ以外に例えが見つからない
ほんの僅か1秒に満たない時間の中で
(;゚∀゚)「くっ…」
ジョルジュの槌をいなし、体制を崩させ
( ・∀・)「!」
( `ω´)「!」
ドクオに向けられた凶刃を横からブーンが受け止め
(;'A`)「!」
密集する中、ドクオの持つ赤い剣が、奴の持つDAT…いや剣に触れ
( ・∀・)「ははっ…」
大きくバックステップ、奴の姿がその場を離れる
269 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:36:04.58 ID:ZcUIL4/F0
(;゚ω゚)「あぶな…!!!」
(;´∀゚)「ぐ…」
(;'A`)「う…」
溢れる炎、次いで轟音、そして
「「あああああああああっっ!!!!」」
悲鳴
ほんの一瞬の間、集団の中心に炎が溢れ…爆発
人の影が四散した
…………。
275 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:38:23.03 ID:ZcUIL4/F0
(´・ω・`) 「ほら、また生きてるじゃないか」
('、`*川「………」
彼女の喉元に刃を突きつけ、告げる
彼女の手には何も握られていない、少し離れた場所に先の剣は転がっている
('、`*川「……強いね、ショボン君は」
(´・ω・`) 「……」
(;´・ω・`)「!?」 ('、`;川
その時、離れた場所で爆発が起きた
巻き起こされた炎による熱風がここにまで届き
汗が頬を伝う
(;´・ω・`)「…あれは…」
彼女はショボンが自分から視線を外した事を確認後、一気に地面を蹴る
277 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:40:15.65 ID:ZcUIL4/F0
機を逃さず、弾かれ手放した剣の元へ走る彼女
剣を掴み、振り返る、と
(´・ω・`) 「…」
そのすぐ正面にショボンは居た
そして彼女の腕を握り、無理矢理鞘に戻させた
('、`*川「…あ……」
(;´・ω・`)「さて、今度は向こうか…」
('、`*川「……ショボン君…」
(´・ω・`) 「…ん?」
('、`*川「………何でもない」
(´・ω・`) 「…そう?」
280 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:42:16.48 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「負けちゃったし、私行くね?」
(´・ω・`) 「駄目」
('、`*川「ふふ、ごめんね、それより早く逃げた方がいいよ」
(´・ω・`) 「どういう事?」
('、`*川「…そろそろ部隊が到着するわ」
(;´・ω・`)「部隊…まさか」
('、`*川「ええ、ここを包囲して、あなた達を殺す為の…ね」
(;´・ω・`) 「く…っ」
('、`*川「本当は私達はその部隊と合流してからあなた達を叩く予定だったんだけど
どうにもあの変な子のおかげ…いえ、あの子のせいで」
(;´・ω・`)「!!」
そして、ショボンは倒れ込む仲間の下へと向かい駆け出した
283 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:45:36.31 ID:ZcUIL4/F0
('、`*川「……生き延びてね…ショボン君」
最後にそう囁くと、その場に背を向け、彼女は彼の反対方向に消えていった
…………。
(主;´ω`)「………」
(;・∀・)「…く…流石に完全には避けきれないか」
右には膝をつく奴の姿
そして正面には…倒れ込む3人の姿
(メメ゚∀゚)「ぐ……」
(メメ ω )「う………」
(メ'A`)「ブーン、何で…」
288 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:47:10.70 ID:ZcUIL4/F0
相当な火傷を負っている
ドクオの両腕はだらりと下げられ赤黒く腫れ上がる
動かす事さえ辛そうにしている
けど…特に酷いのはブーンだった
ドクオに覆い被さり、背を向けたままピクリとも動かない
焼け焦げた衣服から覗く背中は赤く爛れ、黒ずむ
( ・∀・)「はははー、自滅とはなんとも情けない奴等だ」
(メメ゚∀゚)「く…おい、しっかりしろ」
(メメ ω )「……」
(メ'A`)「…く、くそっ」
(主;´ω`)「あ…あああ」
( ・∀・)「さーてー、そろそろとどめかな」
(主;`ω´)「!?」
294 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:49:49.88 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…」
奴は先程とは打って変わり、ゆっくりと三人に近づいていく
(主`ω´)「や、やめろお!!」
僕は、思わず叫んでいた
( ・∀・)「…へえ」
(メメ´ω`)「…ぅ」
( ・∀・)「止めて欲しいならさー、自分で止めたらどうだ?」
(主;´ω`)「…っ…」
黒い剣を僕に向け、挑発する様に刀身を揺らす
僕は…動けなかった
295 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:51:02.79 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「ふっ…まあそこで黙って見ていろ、そして自分の無力さを
…この僕に逆らう愚かさを、知れ」
(主;´ω`)「ううぅ…っ」
そんな僕の横を人影が通り過ぎる
(´・ω・`) 「…君が何故そんなにホライゾンを意識してるのかは知らないけど
これ以上好きにはさせないよ?」
( ・∀・)「ちぇ、なんだ、もう片付けてきちゃったんだ」
太陽が遠く山の彼方に吸い込まれ、辺りは暗くなっていく
それでも尚、奴の体の周りには黒い煙がはっきりと視認できた
影を作る事もない…暗黒の光
(メ'A`)「く…ショボン…っ」
(´・ω・`)「みんな…大丈夫?」
297 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:53:03.03 ID:ZcUIL4/F0
(メメ゚∀゚)「…内藤! おいしっかりしろ!!」
(メメ ω )「ぁ…ぁ…」
(メ;A;)「…ーン…ブーンが…俺を庇って…」
(;´・ω・`)(これはやばいな、早く手当てしないと…死ぬ)
(;´・ω・`)「ドクオ…しっかりして、もうすぐここに敵の集団が来る
急いでここから逃げないと不味いんだ」
(メ;゚∀゚)「んな…っ…まじかよ!?」
( ・∀・)「あららー…あの子ってばそんな事まで話しちゃったんだ
まあいいでしょう、どうせ逃がしはしないのだから」
(;´・ω・`) 「どうにも罠だったみたいだね…」
( ・∀・)「そういう事です、君達は今日…ここで死ぬ」
(´・ω・`) 「どうもきな臭いな…君らしくないね、モララー」
299 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:55:20.71 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「…」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「クク…流石は賢たる者、どこまで気付いているのやら」
(主´ω`)「…ショボン?」
(´・ω・`) 「まあいいさ…どのみち君がみんなを狙うって言うなら」
( ・∀・)「…あらー、ショボン君、私に勝てると思ってるの?」
(´・ω・`) 「忘れた? 僕が握っているのは、勝利だよ」
( ・∀・)「なら改名したほうがいいな」
二人が地を蹴ったのはほぼ同時だった
(主;´ω`)「ど…どうしたら…」
打ち合い響く金属音
303 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:57:01.62 ID:ZcUIL4/F0
( ・∀・)「ははっ、どうしたセイケンのカンリシャ…」
(;´・ω・`)「……!」
奴の動きは、まるで早送りボタンを押した映画の様
次から次へ上下左右から放たれる黒い剣
それを必死に受けるショボン
(主;`ω´)「…!」
素人目にも明らか
ショボンが完全に押されている
剣を振る暇も与えない速さを前に手を出せず完全に防戦一方だった
( ・∀・)「ほらほら! 少しは攻撃しないと!!」
(;´・ω・`)「こ…の…っ!」
このままじゃ…時間の問題だろう
307 名前: うどん屋(栃木県) 投稿日: 2007/03/12(月) 23:58:59.16 ID:ZcUIL4/F0
(主;`ω´)「うぅぅっ…」
状況は絶望的
悔しい
見ているだけの自分が、何もしていない自分が
どうにかしたい、短い時間だけど…共に過ごしたこの人達の力になりたい
けど今の僕には何もできやしない…近づいたらきっと邪魔になる
(主`ω´)「それでも…何か、何かあるはずだお…」
僕は必死に思案し、この状況の打破を探した
そこに…僕を呼ぶ声が響いた
「おい…ホライゾン」
(主`ω´)「…ジョルジュ…さん?」
309 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:00:30.18 ID:T0BHKld70
僕は倒れる3人の下へ駆け寄った
ジョルジュさんは近づいた僕を黙って見つめ、静かに言った
(メメ-∀-)「……逃げろ」
(主;´ω`)「な……え?」
(メメ-∀-)「状況は見ての通り、絶望的だ…このままじゃ全員殺される
だから…これから俺が隙を作る、そしたら
三人を連れてどうにか逃げてくれ」
(主;´ω`)「そんな…どうやって!」
(メ;´ω`)「………だ…だめ…だお…」
(メ;'A`)「ブーン!」
(メメ-∀-)「気付いたか…よかった」
(メ;´ω`)「だめだ…ミョルニルは…っ」
(メ;'A`)「そうですよ!そんな事したらジョルジュさんが」
313 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:02:44.77 ID:T0BHKld70
(メメ-∀-)「みんな仲良く死ぬよりはましだろ?
まあ…じじいやデレにはよろしく言っといてくれ」
(メ;'A`)「い…嫌だ…嫌だよジョルジュさん…」
(主´ω`)「な…なにする気なんだお…」
(メメ゚∀゚)「ホライゾン…お前にはやるべき事があるんだろ?
なら死んじゃいけねえ、今は何も聞かず逃げろ」
(主´ω`)「それは…でも!」
(メメ゚∀゚)「んで、まあ、ついでにこいつらも生かしてやってくれ…
まだまだ頼りない奴等だけど、きっとお前の力になれる」
(メメ゚∀゚)「んじゃ、後は頼むぜ!!」
(メ;´ω`)「ジョルジュ…さ…」
(メ;'A`)「だ、駄目だ待ってよ!!」
言い残し、彼は勢い良く立ち上がると僕等の言葉を無視して駆け出した
314 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:04:35.86 ID:T0BHKld70
(メメ゚∀゚)「行くぜ俺の必殺技…!」
突き出した片腕、その先には白い戦槌
手を打ち鳴らす様な…弾ける音が響き、白いハンマーが淡い紫の光を帯びる
その輝きが増すにつれ、徐々に激しく響く拍手音
(主´ω`)「あれは……電気?」
(メ;´ω`)「と…とめな…く……っ~~~!!」
必死に体を起こそうとするブーン、だが背中が痛むのか、すぐに倒れこんだ
(メ;'A`)「ブーン…動いちゃ駄目だ」
(メ;´ω`)「でも…」
(メ;'A`)「…く……」
(メメ゚∀゚)「ショボ!! どいてろおおおおおおおお!!!!」
317 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:05:59.66 ID:T0BHKld70
(メメ゚∀゚)「ショボ!! どいてろおおおおおおおお!!!!」
(;´・ω・`)「ジョルジュさん!?」
(;・∀・)「!!」
(メメ ∀ )「 その身に刻め 全てを 破砕す 雷神の擲撃 」
大きくふりかぶった白き槌に彫られた謎の文字が、強く輝く
(;´・ω・`)「っ!!」
ショボンは地面を踏み締め、その場を離れるべく駆け出す
(;・∀・)「な! ジョルジュ、お前!?」
目に見える動揺、奴の動きが止まる
叫び、投擲、放たれた槌は回転し
大きな音を立て雷を放つ
321 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:07:36.76 ID:T0BHKld70
(;・∀・)「ぐ…!!!」
庇うように突き出された短剣に淡い紫の線が走る
(;・∀・)「っ!!」
思わず奴がそれ…DATを手放した
雷を放った槌は刹那の空中停止後 急加速し
――――落雷
(;・∀・)「が――――――――
強烈な爆音が全てを飲み込む
まるで世界中に轟く様な重低音が響き
衝撃が大地を揺らした
(;´・ω・`)「う………ぐ…っ!」
327 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:09:45.97 ID:T0BHKld70
(主゚ω゚)「…な……!」
次の瞬間には、散らばる家屋の破片
その中心には巨大なクレーターが視界に入った
そして…奴の姿も見えない
(主゚ω゚)「す、すごい…」
(;´・ω・`)(死ぬかと思った)
(メ;´ω`)「…だ…めだ……逃げ…」
(メ;'A`)「早く逃げてくだい! ジョルジュさん!!」
(主;´ω`)「え…? え?」
黙ってその場に立ちすくむジョルジュに二人が訴える
何故? 奴の姿は見えないし…勝ったんじゃないのか?
その時…まるで時間を巻き戻すように、白いハンマーが飛来し
持ち主の下へと飛んでいく
329 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:11:02.92 ID:T0BHKld70
( ∀ )「……」
彼が左手を突き出すと、それは吸い込まれるように手の中に納まった
(主゚ω゚)「…ぇ」
全身を寒気が襲った
木が折れ、砕けるような音
彼の指がおかしな方向に折れ曲がり、腕が歪に曲がりくねる
内部を砕かれた手に血が溢れ、手が赤に染まり膨張
だらりと腫れ上がった腕が下がり、白い槌が地面に落ちた
「…ぐ…あ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
堪らず耳を塞ぎたくなる様な…絶叫
(メ; ω )「あ…あ…ぁ…」
(メ;'A`)「ジョルジュさん!!!」
333 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:13:54.16 ID:T0BHKld70
「う゛…ぁ…」
赤黒く変色した腕を抑えながら悲痛な叫びを上げた後
その場に倒れ込む
横になった彼の体は何度か痙攣を繰り返し…動かなくなった
そこへショボンが駆け寄り、僕も近づいた
(;´・ω・`)「……ひどい……」
(主;´ω`)「い、生きてるかお?」
(;´・ω・`) 「…わからない、息はまだあるけど」
(主;´ω`)「わからないって?」
(;´・ω・`)「正直…こんなのショックで即死してもおかしくない怪我だよ…
むしろ今息があるのが信じられないくらいの」
息を呑み、喉が鳴る
(;´・ω・`)「これじゃあ…下手に動かす事も出来ない…
けど僕等は急いでここを離れないといけない」
(主;´ω`)「それって…」
334 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:15:00.30 ID:T0BHKld70
(´ ω `)「……もう…どちらにしろ……」
俯き、言葉を止める…
(主;ω;)「……そんな…」
(´ ω `)「…ホライゾン、僕はみんなを船まで運ぶから
目的の物を探してきたほうがいい」
(主;ω;)「…え?」
(´ ω `)「あんな物…僕等には必要無いし、もうどうでもいいんだけど
…君には必要なんでしょ? なら取ってくるんだ
たぶんあのクレーターの中のどこかに落ちてるよ」
(主;ω;)「な、なんで、なんでそんなに冷静で居られるんだお」
(´ ω `)「早く行くんだ!」
(主;ω;)「…!」
(´ ω `)「…これで僕達が死んだら…ジョルジュさんの行動が無駄になる
そんなの僕は許さない、さあ早く…君の役目を果すんだ」
(主;ω;)「……う」
340 名前: 料理評論家(栃木県) 投稿日: 2007/03/13(火) 00:17:00.61 ID:T0BHKld70
泣く泣く立ち上がり、僕はクレーターへ向かった
「……さよなら」
背中を向ける僕に、何か声をかけられた気がしたけど
それは僕の耳には届かなかった
………。
そこにはショボンの言った通り…それはそこにあった
月明かりの下、光を反射し輝く剣
(主;ω;)「……DAT」
あの中で無傷…流石はDATなのか、この剣が凄いのか
それは分からないが手にしたそれは酷く重く感じる
…ようやく手に入れた
もう行こう、次のDATを探しにいかなくちゃ…
[[4>異世界4]]