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畜生、畜生、畜生……!

……いつだってオレはそうなんだ。いつだってそうなんだ。
あの時ああしとけばよかったとか、あんなことしなければよかったとか愚痴ってるくせに.
結局はオレ自身の力不足なんだ。オレの人生はいつもそんなんばっかりだ。すまねェ――――――――――

☆  ☆  ☆

『えー皆聞こえてるかな?それじゃあただいまから一回目の放送を行いま~す』

ジョルノがまだソファーで眠っているのを見たあと、オレは放送に耳を傾ける。
あいつはこの状況における『希望』だ。しっかりと休ませてやりたいからな。
ヘッそれにしてもふざけたヤローだ。まさかこの家のテレビから放送してくれるなんてよ。
電気は通ってなかったんじゃあなかったのか? なにがなんだかさっぱりだぜ。まあいいさ。
荒木の言葉をできるだけそのまま紙に書き写す。なるべく詳しくな。
これしきのことはオレがやらないと……。

『……ジョセフ・ジョースター、ストレイツォ、カーズ……』

……あ? 

『……禁止エリアについて………9時にD-2、最後に……』

D-2……。

『自分自身のせいで『生命』を奪わないように……』

誰がするかよ。

『……妙な考えはあまり関心しない……―ゲーム台無しにしようと……』

随分と……察しがいいじゃあねーか。

『……ゲームを頑張った人には何かプレゼントを……』

いらねーよそんなもん……。 

『じゃあ、おおむねそうゆうことでよろしくね―――』

☆  ☆  ☆

思わずペンを落としちまった。ジョースターのじいさんが、あのしみったれたじいさんが……死んだ?
ありえねェ。飛行機事故に三回あっても死ななかったんだろ。そうだよな承太郎?
オレたちの誰よりも戦闘経験豊富で、死に損ないだったあのじじいが……一体何があったら死んじまうってんだ?
わからねえ……あのじじいは夜に何をやってたんだ? 夜、夜に活動……吸血鬼、DIO……?
まさか奴が……いやあるいはオレが一度再起不能にしたはずのヴァニラ・アイスと引き分けた、とかか?

「ポルナレフさん、BUON GIORNO(おはようございます)」
「あ、おうジョルノ……起きたのか。放送、聞いてたのか?」
「はい。正確には聞いてはいませんが……メモをとってくれてありがとうございます」
「いいってことよ。オレに任せてくれればこれくらいのこと」 
「ジョセフ・ジョースター」
「……!」
「……さんは、確かあなたの知り合いの一人ですよね」
「……そうだ。慰めてくれるってのかい? 」
「……申し訳ありませんでした」

ジョルノが深々と頭を下げる。
顔は冷静そうに見えたが、ポルナレフにはジョルノが悔しがっているのがよくわかった。
夜中に動く者は少ないから日が昇ってから行動しよう、という提案をしたのは他ならぬジョルノだ。
だが、結果は参加者の四分の一が脱落。挙句にポルナレフは仲間を一人失ってしまった。 

「完全に読み違えていました……普段の常識でこの状況をとらえるべきではなかった。
 あなたがたの敵、DIOが吸血鬼であるように……夜に活動するものたちの存在を計算に入れていなかった。
 そもそも僕たちはこの殺し合いにノっている奴らにすら遭遇していないというのに……」
「いや、まぁその……そんなに頭を下げてもらってもしょうがねェ。
 オマエはあの時睡眠不足による判断ミスをしないために寝ていたんだ。ジョースターさんは残念なことになっちまったが……
 もうなっちまったモンはどうしようもねェだろ? だからよ、これから判断をミスしなけりゃあいいじゃねぇか
 荒木のヤローもプレゼントを考えてるとか言ってるし、ひょっとしたら死者を生き返らせる――
 そんな術を教えてくれるかもしんねェしな。……あてにはなんねーけどよ」

ポルナレフはジョルノを慰める。
慰めてほしいのはコッチのほうだが、なぜか立場が逆転してしまった。
しかしジョルノの『自分のミスをあっさりと認める』というこの姿勢。
とても15歳の少年とは思えないと今更ながらに感心してしまうのであった。
ジョルノもポルナレフの気遣いを察したのか、今後の方針に話を変えた。

「ポルナレフさん、あと大事な話が……」
「お、おう……そうなんだジョルノ。ここら一帯が、D-2が9時に禁止エリアになるらしい」
「え!? ……そうですか。ならば僕たちのすることは一刻も早くここを離れることです」
「よりによってオレたちのいる場所を選ぶとは……これは偶然と考えたほうがいいのか? 」
「今はなんとも言えませんね。荒木は首輪に探知機をつけた、と言っていますし。
 参加者が固まっているエリアを狙ったのかもしれません。『北北西』へ向かいましょう。
 D-2が禁止エリアになるのは午前9時ジャストですから、あと2時間ほどあります。
 それまでにこの……A-1をはじめとした6マスをバイクで巡回しましょう。少なくともこの地図に記された
 アイスクリーム屋『レインボー』、『ぶどうヶ中学と同高校』は確実に調べたいところです」
「……はァ?」
「ですから『バイク』でここから『北北西』のエリアを『探し回る』と言ったんですよ。
 負傷して動けない仲間がいるかもしれないし、もしかしたら重要な手がかりがそこにあるかもしれない」

ジョルノの言葉に、ポルナレフは唖然とした。
これから向かう先は南ではなく……ほとんど反対の方角。
今、自分たちがいる農家より上のエリアは時間が過ぎれば――ここ、禁止エリアと化したD-2によって陸の孤島と化す。
それはつまる所、身動きがとれない状態になるということである。

「ちょ……ちょっと待てよオイッ!これから北のエリアに向かうってのか? 本気で言ってんのか?本気でよォ」
「ええ……『バイク』で『北北西』のエリアを『探し回り』ます」
「オレたちがそこへ向かっている途中で9時になっちまったら、もうこの地図にのっている6マスしか移動できないんだぞ?
 まさかこれからずっとこの6マスで待つつもりなのかよ? 次の放送で6マスを禁止エリアに指定されたら……
 それこそオレたちは終わりなんだぜ? それにだ、時間までにこの6マスから抜けたとしても……
 9時にD-2エリアにいたらおしまいなんだぞ!?」
「ですから時間までにはD-2を抜けるように計算して移動します。
 他に指定された2つの禁止エリアは今は大きな支障が起こるとは考えにくい。別の橋を使えば川は渡れるからI-9は問題なし。
 D-6も他のルートでその先に進むことが可能ですから。
 それにこの時代のバイクはポルナレフさんの時代よりは少しは無茶がきくはずですからね。だから」
「オレは反対だ」

唐突に進むジョルノの作戦会議に……ポルナレフは明らかな拒否反応を示した。
余りにも突然の提案、どう考えても事前に考えていた作戦とは思えない。
おそらくだがジョルノは―――かなり動揺している。オレの仲間の死に責任を感じている。
これ以上犠牲者を出すまいとやっきになっているのではないだろうか。
普段冷静じゃあない自分が今こそ自分の仲間をいさめなければと、ポルナレフは反論する。

「冗談じゃあねーぜ。こんなことに一体全体何の意味があるってんだ? 
 荒木がわざわざこんな所を禁止エリアにするってことはだ、もうあっても意味のないエリアだからじゃあないのか? 
 つまりもう誰もいないってことだと思うんだ。仮に何か重要なものを隠すためにここを禁止エリアを指定したなら……
 まどろこっしすぎるぜ。そもそもそれを見つけちまった奴の首輪を爆破すればいい話なんじゃねーのか? 」
「あくまで可能性の話をしたまでですが、警戒するに越したことはありません」
「オレはそれこそ”無駄”だと思うがね」

冷静に見える少年の表情からポルナレフは怒りを感じ取る。
ジョルノ”無駄”が”頭が悪い”に変わったからだ。とはいえ怖気づくわけにはいかない。
ポルナレフにとって、この状況『希望』であるジョルノを死へ追いやる事は自分の死にも繋がるからだ。
『黄金』のような『希望』を潰すなど自分には到底できるはずがなかった。

「ジョルノ!もう一度言うがオレは反対だッ!オマエに無茶なマネはさせねぇ」
「『拒否』しますッ!予想以上に犠牲者が出ているからこそ……少しでも脱出の手がかりを集める為にも……
 僕は今すぐにでもこの町の全土を隈なく回るべきだと意見します!!」
「違う!例え誰かが犠牲になるにしろ最終的に荒木と戦って『オレ達が生き残ること』の方が重要なんだッ!!
 絶対じゃあないとはいえ、みすみす死に行くような真似をする必要はねぇはずだぞ!!」

しかしジョルノは何も言わず家を飛び出た。そのままバイクの方へ走り出し、エンジンをかける。
ポルナレフも追いかけようとするが、足が動かないので転んでしまった。
農家の道路から植物が生え自分の足に絡まっているのだ。

「……もしもの時の為にあなたに僕のデイバッグを預けておきます。
 次は杜王駅でおちあいましょう。大丈夫です。策はあります」

そういうとジョルノは行ってしまった。
ゴールド・エクスペリエンスの射程距離から離れたため元に戻った道路を、ポルナレフは腹いせに地面を蹴った。


☆  ☆  ☆

バイクを運転しながら僕、ジョルノ・ジョバァーナは考える。
荒木はなぜD-2を禁止エリアにしたのか。固まった参加者を追い出すためか、 閉じ込めるためか。
そもそも……なぜ3エリアずつなのか。 それも1エリアずつ、2時間おきでしか禁止エリアにできないのか?
もっとずるくやることだってできるんじゃあないだろうか。
それとも、純粋に参加者同士の潰しあいを優先するために、干渉をさけようとしているのか。
いや、もしかしたら……レクイエムの派生と考えていた荒木の能力には何かしらの『ルール』あるいは『制限』があるのか?
僕のレクイエムと荒木のレクイエムは……同じ能力じゃあないにしろ何か超越した『力』があると思っていた。
しかし荒木のレクイエムは……ポルナレフさんのレクイエムと同じように『不完全』だとしたら!
そして『不完全』だからこそ禁止エリアの指定、つまり奴の『能力自体』に『制限』があるとしたら……!
そこにつけいる『隙』は充分にある。ポルナレフさんから後でもう少し話しを聞いてみよう。
あの時は話そびれてしまったが……大事な話、即ちレクイエムについても話すべきなのかもしれない

☆  ☆  ☆

それにしてもジョルノの奴、勝手に話を進めやがって。何がそんなに重要なんだよ。オレなら絶対いかねーぞ。
オマエは聞かなかったかもしれねーがオレはあの放送で聞いちまったんだよ。
アラキがこのゲームを台無しにする奴ら――つまりオレたちのことをよく思ってないってことをな!
禁止エリアがD-2になったのも多分その警告に決まってる。オレたちの会話は奴に筒抜けだったんだよ。
畜生……もう少し時間をくれりゃちゃんと紙で説明できたのによ!!
何もかも自分の責任だと思ってしょいこみやがって!何をワビに持ってくるつもりだ!?
地図の端までいってそこがどうなってるか調べるなんてするつもりじゃあねーだろうな。
大体よぉ、もし人がいたんならとっくに脱出しようと考えてるっつーの。
例えばホラ、この湖をよ……まさか、ジョルノの奴はッ!?

☆  ☆  ☆

あれからジョルノと別れてからもうすぐ3時間近くたつ。
D-2が禁止エリアになるまで残りは10分を切った。
ポルナレフは結局駅には行かず、ほとんどの時間を最初に自分がいた農家ですごし、
エリア一帯が禁止エリアになる30分前からD-3の湖のほとりに移動した。
ここならかろうじてD-2から南に抜ける道が見える。駅に向かうと言ったジョルノもきっとあそこを通ると考えたのだ。
しかしジョルノは一向に現れない。ポルナレフに不安はジョルノと別れた時の事を思い出す。
スキをつかれたとはいえ、ツタなどシルバー・チャリオッツで簡単に斬れたはずだったのだ。
何故自分はあの時――――
やはり、無理でも止めるべきであったと反省する。

しかしそう考えた時何か大きな音が聞こえてきた。そう、バイクのエンジン音である。
ジョルノがやってきたのだ。目にも止まらぬスピードで。
ギリギリの時間だが……間に合う可能性はある。
こっちに自分がいると叫びたかったが、この距離では声は届かないかもしれないないと自重する。
しかし、ポルナレフは違和感に気づく。バイクの進行方向が変なのだ。
まるでこちらに近付いているように感じた。
しかし彼がそう考えた次の瞬間!






なんとジョルノの乗るバイクは突然宙に飛び出してしまったのだッ!






加速したバイクはそのままダイブ。バイクはジョルノと一緒に湖に飲み込まれてしまったッ!

「ジョルノォォォォォォーーッ!!! 」

強風が吹き荒れる中、一瞬の出来事にポルナレフは呆然とする他なかった。
ただ、立ちつくすのみ。ジョルノはやはり自分の予想どおりの行動をとった。
実はD-2で閉じ込められた参加者は湖を泳いで渡ればあの閉じ込められた6マスから脱出可能だったのだ。
しかしジョルノはバイクに乗っているためその手段は使えない。
後で町全体を周ろうとした自分たちにとって、バイクは必要不可欠。捨てるわけにはいかないのだ。
ならばとる手段は一つしかない。湖と陸のギリギリの境界線をバイク飛び越える。
つまりC-2からD-3へ一気にショートカットをするという作戦だったのだ。
「ハッ……いけねぇッ!ジョルノを助けなくてはッ! 」
そう、何より心配すべきはジョルノの安否。作戦は失敗に終ったッ!!
ジョルノは禁止エリアに入ってしまったわけではないが、湖に突っ込んで無事にすんでいるとは思えない。
ポルナレフは荷物を捨て、湖に飛び込んだ。

☆ ☆ ☆

さ、寒い……!手足の先までブルッちまってやがる。
ジョルノ、どこにいるんだ……オマエはこんな所で死ぬべきじゃあないんだ。
最初からこうするつもりだったんだろ?湖をバイクで飛び越えて……。
自信タップリな顔をオレに見せつける作戦だったんだろ?
なあ、そうだろジョルノ? 

『お~っといけないなぁ……首輪が爆発するまであと5分もないよ? 』

な、なんだこの声は? ミョーに聞き覚えが。どっから声が出てるんだ?
あん? あそこに浮いてるのは……ジョルノ!今のはジョルノが喋ったのか!?
しかしジョルノとは明らかに声が違う。あれは……誰の声だっけ?
とにかく行くっきゃねぇッ!!

『早く禁止エリアから脱出したほうが君の為だと思うんだが……』

なんとかジョルノにたどり着いたオレは驚愕した。
これはジョルノの首輪が喋ってんのか?
この声のおかげで湖に浮いてるジョルノを見つけることができたのはよかったが今度は禁止エリアだとッ!?
バカな、湖の一部もD-2に含まれてんのかよ!?こいつはヤベェぜ!早く湖から脱出しなくては!
でもどの辺までが禁止エリアだっけ?

『残り……4分』

クソ……人間一人を引っ張って泳ぐのはキツイぜ。
せめて北だ。北へ泳げばなんとか禁止エリアからは脱出できる。全力で泳ぎきるしかねぇ。
それにしても寒いぜ。段々風も強くなってきやがった。
しかもこの風向きもオモックソ逆風かよ。

『残り……3分』

どーゆうこった。全然力が入らねぇ。
オレの力はこんなもんだったのかよ。情けねぇ。これでも体は鍛えてるつもりだったんだぜ?
ジョルノ……オレは最後の最後まであきらめねぇぞ。

『残り……2分』

……いつだってオレはそうなんだ。いつだってそうなんだ。
あの時ああしとけばよかったとか、あんなことしなければよかったとか愚痴ってるくせに、結局はオレ自身の力不足。
オレの人生はいつもそんなんばっかりだ。

『残り……1分』

承太郎、花京院、アブドゥル、イギー……オレはここまでみてェだ。
ジョルノの仲間の皆さんよ……ジョルノの分も頑張ってくれ。
そしてジョースターさん……今そっちにいくぜ。





すまねェ――――――――――ジョルノ。






「ポルナレフさん。なぜあなたがここにいるんです」

『残り50秒』

「ジョルノ!気がついたみてェだな……ワリィ。オマエを助けようとしたがこのザマだ」
「ポルナレフさん……? 」

『残り40秒』

「ハハハ、さっきから泳いで引っ張んてんのによ、全然力が入んねーんだ」
「……事情はわかりました。ポルナレフさん、一度しか言いませんよ。力を抜いてください」

『残り30秒』

「あ?」
「泳がないで! 」

『残り20秒』

「どーするってんだッ!? 」
「もちろん脱出するんですよ。禁止エリアを」
「だっ…!?」


『残り10秒、9、8、7、……』



「ゴールド・エクスペリエンス!!全速力で僕たちを安全な方向へ引っ張れ! 」



『6、5、4……』



「な…何をしたんだジョルノってウォアッ!?」



『3、2、1………………』


☆  ☆  ☆

「現在時刻はは午前9時ちょうど。何とか無事に脱出エリアから抜け出すことができたようです」
「ああ……そうみてーだな……」
「ゴールド・エクスペリエンス。『バイク』を『魚』に変えて二人を運ばせた」
「まさか……あんな『命賭け』のことをするとはな。たまげたぜ」

ジョルノの“真の”脱出作戦。それは『魚』を使った湖の渡航であった。
これからの旅の道中のとき、逃走の途中でも使用できるように……
今回はバイクで湖、川、そして海に飛び込むシチュエーションを実践したのだ。
万が一自分が気絶しても、魚は安全な方向へ引っ張ってくれるという指令を送っておくことも忘れない。
ちなみにポルナレフがジョルノを引っ張って泳ごうとしたときには既に『バイク』は『魚』に変わっていた。
予想外といえば魚が北東に引っ張っていたのに対しポルナレフは混乱のあまり南西(陸地側)に、
つまり違う方向にジョルノを引っ張っていたこと。強風による抵抗のせいで思うように進まなかったということだった。

「ポルナレフさん……『命賭け』というのは違います。僕は最初から『魚』のことを考えていたし……始めての事じゃあありません。
 湖を渡るルートも最短距離を選んだつもりだし、『魚に変える』タイミングも完璧だった。気絶も想定済みだったんです。
 『命賭け』というのは……あなたのことです。現にあなたがさっき僕の足を引っ張ていたとしても……
 あなたの行動は『仲間』を思っての『行動』だった。僕はあなたの『行動』に『敬意』を表します」
「なんだかホメられてんのか嫌味いわれてんのかよくわからねぇが……ありがとよ。
 なあジョルノ。それで?探検の収穫はあったのか? 」

ジョルノはそれを聞くと、服の中から長いツタを取り出し、ポケットからはビニール袋に包まれた一つの輪っかをとりだした。
するとツタはみるみるうちに巨大なハンマーに変わった。

「あまりにも重いので、ツタにして体に巻きつけてきたんですよ。アイスクリーム屋で発見しました。
 それとこれもアイスクリーム屋で――」
「ジョルノ!!」

ポルナレフは口に人差し指をあてながら、デイバッグから紙とペンをとりだしてこう書いた。
【オレたちの会話は盗聴されている可能性がある】、と。
ジョルノはそれを見て見ぬフリをして話を続ける。



「そんなに嫌ですか? この死体の『手首』が。無理もないでしょうね。
 一般人の理解を得られるような趣味じゃあないとは自覚しています。この際カミングアウトしたほうがお互いのためにいい。
 実は僕……小さい頃から、『死体の一部を持って帰らないではいられない性格』なんです。
 それは誰にも止められない……」
【盗聴? まさか……荒木がですか? では本題は筆記で話すとしましょう。
 ポルナレフさん、僕のもう一つの収穫は、死亡した参加者の『首輪』です】

「て、『手首』だとッ!?どうやってとったんだッ!?」
【死体の『首輪』だとッ……!?何に使うんだ? 】

「まず、ゴールド・エクスぺリエンスで可能な限り肉を裁断します。
 次に死体の肉に生命を与え大量の『アリ』を発生させ骨に穴を開けさせるのです。あとは頃合いを見計らって……クイっと」
【首輪の解析をします。もし『首輪』を仕組みを調べれば、僕たちの『首輪』を外せるかもしれません。
 脱出の手がかりにもなるでしょう】

「なんてこった。死体が目的だったのかよ……オマエ、怖ェな」
【してやられたな。最初からそのつもりだったのかよ……オマエって奴は】

「このジョルノ・ジョバァーナには夢がありますから。ギャングとしても……変態としてものし上がる夢がッ!
 行きましょうポルナレフさん。一刻も早くこの町を一周しないとッ! 」
【違います……ホントは首輪のことは考えていませんでした。あくまで人と出会うのと、地図の端を見に行くのが目的だったんです。
 実際は通過したエリアからはほとんど生命エネルギーを感知できなかったし、
 地図の端の先も風景は広がっていましたが、何の変哲もなし。結局ほとんどバイクで走っていただけに終ってしまいました。
 それに……ちょっとムシャクシャしてたんですよ、色々と。自分のふがいなさも含めて。
 だからバイクでカっ飛ばしてスッキリしたかったんです。一応あなたに話したとおりアイスクリーム屋に目指しました。
 で、着いた時に偶然死体を見つけ……これを頂戴したんです】


あっけにとられるポルナレフを見ながら、ジョルノはただ平然と、もの静かに微笑みながら答えた。
その時の彼の表情には光輝くさわやかさがあるように感じられた。
相変わらずの底の知れなさを感じながら、ポルナレフはツッこんだ。

「行こうぜジョルノ」
【なあマジで手首愛好家なのか? 】

「【あははははは】」



【金と銀】

【D-2とD-3の境目付近の湖のほとり(D-3)1日目・午前(9時)】

【J・P・ポルナレフ】
[スタンド]:シルバー・チャリオッツ
[時間軸]:ヴァニラ・アイスを倒した後。DIOに出会う前。
[状態]:ゴールドEにより完全回復済。泳いだため体力消耗。服はずぶ濡れ、少し寒い。
[装備]:本人は確認したがこのドサクサで詳細不明。
[道具]:(支給品一式、缶詰等の追加の食料品)×2、詳細な杜王町の地図、荒木の放送での発言をまとめたメモ。
[思考・状況]
1)ジョルノを守る。荒木についてジョルノと議論する(アラキのスタンドが透明である可能性を検討)。
2)アラキの打倒。(ただしポルナレフ自身に策はない)
3)承太郎たち信頼できる仲間を探す。仲間の犠牲者はださない。
4)DIOとディアボロに対する警戒感。(ジョルノと違い、何があっても共闘など真っ平だと思っている)

【ジョルノ・ジョバーナ】
[スタンド]:ゴールド・エクスペリエンス
[時間軸]:ディアボロ撃破後
[状態]:健康。服はずぶ濡れ。
[装備]:『死体の一部を持って帰らないではいられない性格』という嘘の設定。
[道具]:露伴のバイク、黒騎士ブラフォードの首輪、大型スレッジ・ハンマー(生命を与えられてツタ状態。今はデイバックの中)
[思考・状況]
1)ポルナレフに放送の内容をくわしく聞く。その後、荒木の能力について議論する。
2)アラキの打倒。 『矢』を奪い返してG・エクスペリエンス・レクイエムにアラキをハメる。
3)アラキの手がかり、最初の説明を受けた教会、信頼できる仲間(ブチャラティたち)を探す。
4)ディアボロとDIOに対する警戒感。必要ならば倒す。必要ならば共闘する。
5)『矢』の真の力のこと・『レクイエム』のことをポルナレフに説明するべきかどうか悩んでいるが、
  荒木の『レクイエム』は原作のポルナレフの『レクイエム』のように『不完全』なものと考えている。

[備考]:ジョルノたちは、盗聴の可能性に気付きました。
   『荒木』への反抗の意思、『最初の教会』を調べようという第一の方針は荒木にも感知されましたが。
   『首輪』について荒木が知っているかはわかりません。この時点で即時爆破されることはなかったようです。
    また、ジョルノたちは荒木のスタンドに対する考えを互いにまだ話しあっていません。

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37:黄金の意志 J・P・ポルナレフ 72:神への挑戦(前編)~早過ぎた対峙~
37:黄金の意志 ジョルノ・ジョバァーナ 72:神への挑戦(前編)~早過ぎた対峙~