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オレは腸煮えくり返っていた。
ったく、どいつもこいつも、どうしてオレが何かしようとする所に邪魔を入れるんだ。
全く、気に入らねぇ。
ウェザーと形兆の姿は見えない。
俺の前に姿を現すと何も出来なくなるのが分かっているから、隠れているんだろう。
フン。ならば奴らは後回しだ。
まずは目に見えている奴から殺す。
「生きていたか」
オレが無事だった事にさほど驚いた様子も無く、花京院が言ってくる。
「あの程度の攻撃なんざ、バリアを張れば簡単に無効化出来る」
「その割には、苦虫を噛み潰したような表情だが」
「だまれ!!!!!!」
花京院の澄ました声が癇に障る。
何で奴はこうも余裕で居られるんだ。
オレの指先一つで瞬殺されるんだぞ?
もっとおびえろよ。泣いて縋り付けよ。
こんな奴を一瞬で殺しても、オレのストレスは晴れないだろうが。
オレは、オレに一杯喰わせたこいつらを、どうにかして恐怖のどん底に叩き落したかった。
!!!
そうだ!
「フン。いいことを思いついたぞ。
ならばテメェは苦虫に噛み潰されるが良いさ」
オレはパチンと指を鳴らす。
そして…
ゾゾゾゾゾ…

背後に現れる鬼蜘蛛の大群。
「簡単には死なせねぇからな。足元からじわりじわりと食い殺されろ。
…と、そうだ。どうせなら泣き喚いて命乞いしながら逃げ回る姿が見てみたいしな。
特別サービスだ」
そしてオレは、花京院の本体のみを動けるようにした。

キシャアアアアァァァ!!!

眼光を光らせながら、蜘蛛は花京院目掛けて襲い掛かる。
さあ、おびえろ!わめけ!
だが、花京院は、
「…」
ピチャン。
いつの間にか水溜りの出来ていた地面を、一歩踏み出した。
「花京院君!やめろ!君はスタンドを動かせないんだぞ!」
背後からジョージの声が掛かる。
しかし花京院はジョージの言ってる事は杞憂だとばかりに返事をする。
「お言葉ですが、ジョースター卿。荒木討伐隊はまだ全貌を見せていない。心配には及びません…」
そして蜘蛛が襲い掛かろうとした瞬間…
「舞い上がれ。漆黒の蝶」

バササササッ!!!

花京院の足元から、
無数の蝶が舞い上がっていた。

* *


「何………だと?」
眼前の光景にオレは茫然自失としていた。
“蜘蛛が蝶に喰われたのだ”。
無数の蜘蛛は、それを遥かに上回る数の蝶に覆われ、消失していた。
「こ、これは…」
蝶の正体、それは…
「これはーーーっ!!!フー・ファイターズ!!!?」
「そうだ」
そう言いながら、背後から何者かが現れる。
現れたのは一人の女、
——F・Fだった。
「ウェザーさんが雨を降らした理由は、バッド・カンパニーの攻撃の煙幕にするためだけでは無かった。
フー・ファイターズが十分に繁殖出来るだけの環境作りが目的だったのだ」
花京院がそこまで喋ると、その後をF・Fが継ぐ。
「水さえあれば、アタシのフー・ファイターズは幾らでも増殖する。
今、この空間をフー・ファイターズが満たしている。
お前の攻撃は、もう通用しない。お前の能力では全てのフー・ファイターズをコントロール出来ないだろう」
「通用しない、だと?たったそれだけの事で?
オレは今すぐにでもお前ら全員を弾け飛ばす事も出来るんだぞ」
「だとしても、お前は攻撃出来ないさ。何故なら…」
「お前が死ぬからな」
「何を言って………、ッ!?」
どういう事だ!?
体が………動かない!!!
「最後に教えてやろう。僕がお前にエメラルドスプラッシュを撃ち込んだ本当の目的を。
そして、ジョルノ君の作戦を」
「アタシは花京院にハイエロファント・グリーンの触角を使って連絡する事を教えた。
だが逆に、花京院から学んだ事もあるんだ」
「F・Fさんは僕とジョンガリ・Aの闘いから学習していた。
“スタンドを相手に潜り込ませ、相手を操る”と云う戦法を」
!!!
まさか………!!!
「さっきお前にエメラルドスプラッシュを撃ち込んだのは、お前を斃す為じゃない。
お前の体内にフー・ファイターズを侵入させる為だった」
「エメラルドスプラッシュの中にフー・ファイターズ弾を幾つか紛れ込ませておいた。
まあ、花京院のように相手の意識を乗っ取る事は出来ないが、
お前の血で増殖したフー・ファイターズが、お前を内側から食い破る事は出来る。
漸くフー・ファイターズがお前の全身に行き渡った様だな」
そうか、コイツらがぺらぺらと喋っていたのは時間稼ぎで…!
ヤバイ!!!
その直後、三つの声が同時に響き渡った。
「フー・ファイターズ!荒木の体を弾き飛ばせ!!!」
「うわあああぁぁぁ!!!バトルロワイアル!俺の体内のフー・ファイターズを消滅させろぉ!!!」
「スタープラチナ・ザ・ワールド!!!」

 * * *
「荒木を斃せる人間は現在生き残っている中で一人。空条承太郎さんだけです」
荒木打倒の方法を説明する時、ジョルノは先ずこう言った。
「他の人間では、奴に攻撃を加えてから死ぬまでに、必ず幾許かの時間を要します。
ですが、荒木ならば、一瞬でも時間があれば再生してしまいます。
攻撃から荒木を死に追いやるまで、時間を必要とせずに行なえる人間は、承太郎さん一人だけです」
「なら俺達にはやる事はないのか?」
ウェザーの言葉に、ジョルノは静かに首を振る。
「いえ。その状況を作り出すために僕達がバックアップする必要があります。
『承太郎さんが攻撃可能な距離に荒木を十分近づける』『承太郎さんに僕達の狙いを伝える』主にこの2点を。
厄介なのは後者です。
僕達が戦場に辿り着いた時、承太郎さんと荒木は既に対峙している筈。
つまり、承太郎さんはバトル・ロワイアルの支配下にある訳です。
承太郎さんが見たものは荒木も知覚し、承太郎さんが聞いた事は荒木も聞き入れてしまいます」
「それじゃあ、伝える手段が無いんじゃないか?」
「一つだけあります」
「?」
「以心伝心です。そしてこの中でそれが出来る人は一人か居ません」
そしてジョルノは花京院の方を向いた。
「花京院さん。貴方です」
「!」
その場に居る全員が、花京院の方を振り向く。
「DIO打倒の下、何十日と云う旅を共にし、心を通わせた貴方しか居ません」
「…」
「御願い………出来ますか?」
ジョルノの依頼に花京院は………静かに肯いた。
「だが、どうやって荒木を仕留めるんだ?
はっきりいって、荒木ほど1対多数に向いているスタンドもない。
荒木の目を盗んで、承太郎の射程距離に近づけるなんて事出来るのか?」
「そうだな。恐らく荒木は、同時に10個のテレビが点いていても、全て同時に観る事が出来るような男だ。
俺達を相手にしながら承太郎の事も把握するなど、奴にとっては朝飯前だろう」
「えぇ。でも、それは平静でいられる間は、です」
「「「?」」」
「同時にテレビを10個見る事が出来る人間でも、
突然銃を撃ち込まれた時に“テレビ10個を同時に把握しながら銃声の方を確かめる”なんて事は普通出来ないでしょう?」
「「「!」」」
どうやら皆、僕の言いたい事が伝わったようだ。
「成程な。だが、どうやって奴を斃す?」
「はい。僕なりの打倒法を考えました。それをこれから説明します…」
そしてジョルノが説明した内容は、簡単に纏めれば以下の通りだった。
①花京院が承太郎さんの前に姿を現し、アイコンタクトを取る
②アタシのフー・ファイターズを荒木の体内に潜り込ませる
③荒木の体内にフー・ファイターズが行き渡った所で、荒木にその事実を説明
④荒木は動揺する。その時、自分の事に気をとられた一瞬を突き、承太郎さんが荒木を斃す

 * * *

『僕達が隙を作る。だから承太郎が止めを刺してくれ』
あの時花京院は、目でそう伝えていた。
そして遂に得られた一瞬。
伏線に次ぐ伏線のおかげで、一瞬だけだが、荒木は自分の事に気を奪われ、俺達の拘束を、バリアを解いた。
その一瞬をつき、俺は時を止めた。
正真正銘、最後のチャンス。
猛然と、俺は荒木の元へ向かって走る。
後2秒。
「…やれやれ、何とか間に合ったようだな」
俺は呟く。
そして…
後1秒。
「スター………フィンガー!!!」
ザンッ!!!
荒木を脳天から荒木を真っ二つにする。
ザンッ!!!
次は横一文字に。
斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬っっっ!!!!!!
そのまま何度も荒木を切り刻み…、

   時は動き始めた

凍えた時から開放された荒木は、その肉片を地面にばら撒いた。
確認するまでも無い。
荒木は死んだ。
「お前の敗因はたった一つだ。
たった一つの…シンプルな理由だ」
最後に俺は、荒木に手向けの言葉を贈る。
「テメェは俺達を敵に回した」



【荒木飛呂彦   完全敗北 —死亡】