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『箱庭の開放』(前編)◇C9UOxHGVmM


23時55分。
漸く荒木に立ち向かう為のメンバーが揃った。
私達がC-4に辿り着いた時、其処にはダイアー君が居た。
其処でポルナレフ君、ワムウの死を知る。
その後暫くして、シーザー君が到着。
リサリサ君、シュトロハイム君、ドッピオの死を知る。
この時点で、C-4に居るもの以外、生存者は承太郎君とアヴドゥル君のみになった。
そして、承太郎君が真東に居る事を感じ取っていた私は、その場にいるもの全員引き連れ、東へ進んだ。
そして承太郎君と再会し、アヴドゥル君の改心を知った私達は、C-8へ向かった。
そして今、全員がC-8、吉良吉影宅前に揃っていた。
「では、作戦を説明する」
私の言葉に、全員が私の方へ注目する。
その視線を受け、私は作戦船内容を話した。
「先ず、チームを二部隊に分ける。
一番隊は承太郎君、仗助君、エルメェス君、私
二番隊はブチャラティ君、ダイアー君、シーザー君、ナランチャ君、ミキタカ君だ。
一番隊は荒木討伐へ行き、二番隊は後方支援を行なう」
「了解」
具体的な打倒方法は此処では話題にしない。
首輪から私達の発言は盗聴されているし、
仮に首輪が無くとも荒木のスタンドで私達の行動を監視している可能性は大いに有り得るからだ。
だから口にする事はおろか、筆談すらしていない。
「ではブチャラティ君、そちらは頼む。
エルメェス君。ウェザー君の舌のシールを剥がしてくれ。
荒木の下へ…」
「その必要は無いよ」
「「「!!!」」」
突然の荒木の声に全員して振り返る。
そこには、荒木飛呂彦がいた。
「ジャスト12時。それでは僕も参戦させてもらうとしよう。
とはいっても、君たちは皆一丸となって僕を倒す事を目的としているようだから、
遂にこのゲームもクライマックスを迎えたと考えるべきだろうね。
放送はいるかい?
あぁ、しまった。支給品を置いてきてしまった」
「荒木…!!!」
しまった、先手を打たれた。
全員、荒木に首から下を固定されているようだ。
首だけをキョロキョロと動かしている。
!!!
何!?
今、この場には荒木の他、承太郎君、仗助君、エルメェス君、私しか居ない。
そう、二番隊の人間が、一瞬にして消えてしまっていた!
これはどう云う事だ!?
「さすがに君ら全員を操るのは面倒なんでね」
私の疑問を読み透かしたかのように答える荒木。
「君ら全員を操るより、強大な手駒を一つ創った方が楽なんだよね。
だから、こんな舞台を用意してみた。
観客は君達だ。
是非愉しんでくれたまえ」
そう言って荒木が「パチン」と指を鳴らすと、俺達の前に巨大なスクリーンが現れた。

* *


「SYYYAAAAAA!!!」
「何だ!?コイツは!」
突如、周りの風景が変わったかと思うと、突然何者かが俺達を襲って来た。
「コイツは…カーズ!!」
シーザーが叫ぶ。
カーズ!?
その名は第一放送で呼ばれていたじゃないか。
「フフフ。俺をかつてのカーズと思うな。シーザー。
俺は究極生命体となったのだアアアァァァ!!!」
「何!?」
カーズの言葉に、シーザーは動揺を隠せないようだ。
が、俺はその事よりも周囲の状況の確認に気を取られていた。
この場所には覚えがある。
「H-5」
俺達が、鉄を操る敵と戦った場所だ。
何故此処に飛ばされたか分からないが、飛ばされた先が此処だったと云うのはこの上ない幸運!
形兆が居る場所のすぐ近くだからだ。
「シーザー。今はアイツは後回しだ。急いで“この場を離れなければ”ならない。
南へ逃げるぞ!」
俺の言葉に、シーザーは肯く。
「ブチャラティ!ダイアー!ナランチャ!アヴドゥル!このシャボンに乗れ!」
シーザーの言葉に、俺とダイアー、ナランチャはシーザーが作ったシャボン玉の上に乗る。
シャボン玉。
ココ・ジャンボに入っていた一見役に立たないシャボン液は、シーザーにとっては強力無比な武器だった。
シーザーは“波紋”と云う特殊能力によりシャボン玉を自在に操れるのだ。
「すっ飛ばすぜ!シャボンカッター・グラディン!」
そしてシャボン玉は、俺達を乗せたまま“あの場所”へ一直線に(と云っても道なりだが)向かう。
そして、当のシーザーは、
「では、シーザーさん。これで貴方の脚力は二倍になりました。思いっ切り走っちゃって下さい」
「解った。うおおおぉぉぉ!!!」
ミキタカがシューズに化け、俺達を追っていた。
そしてそれを更に追い掛けるカーズ。
………………?
妙だ。
シャボン玉に乗って滑走しながら振り返り、カーズの様子を見て俺は不思議に思った。
あいつ、どう考えても全力を出していない。
有り余るほどの余裕がある。
“何故、奴は俺達に追いつこうとしない?”
何か訳がある筈だ。
先ず、何がおかしい?
カーズが俺達を追い掛けながらも、追いつこうとしない事。
そして、カーズが第一放送で呼ばれたと云う事実。
カーズが実は生きていた、と云う可能性もある。
似たような事を俺もしているのだから。
だが、俺達に襲い掛かってくるタイミングが絶妙過ぎる。
俺達が荒木打倒に向けて動き始めた瞬間にあわせての襲来とは、コイツが荒木の配下としか思えない。
!!!
そう云う事か!
コイツは荒木が創ったダミーだ!
荒木はジョースター卿達と対峙しながらも、こいつを通して俺達の情報も入手していると云う訳だ。
つまり、荒木は俺達の作戦に気付いていると云う事だ。
厳密には形兆の存在が気付かれた訳じゃないが、“俺達が何かをする”程度には感付いていると云った所か。
ジョースター卿達が荒木を引き付け、その間に俺達が形兆に呼び掛ける。
そして、唯一荒木の目を掻い潜れる形兆が暗殺する手筈だった。
だが、荒木が俺達の行動を読み取っている以上、下手に形兆に接触出来ない。
くそっ。どうする?
「ブチャラティ!」
考え込んでいる俺に、突如声を上げるナランチャ。
「どうした?」
「ねぇんだ!」
「何が!?」
「二酸化炭素の反応が!!!」
!!!!!!
何!?
ナランチャのレーダーに反応しないだと?
ナランチャの言ってる『反応しない』と云うのは、勿論形兆の事だ。
“アイツは何処に行った?”
「ブチャラティ!こうなったら応戦しかないんじゃねぇ?」
ナランチャの言葉に、俺は思考から引き戻される。
ナランチャの云う事も尤もだ。
形兆の行方が分からない以上、目の前の敵を斃すしかない。
「仕方ない。奴を斃すぞ!」
俺の言葉に、全員が肯いた。

* *


「おぉ。遂に逃げる事を断念したようだね。
さぁ、これから楽しくなるよ」
悦に入っている荒木の隙を、俺達はひたすら窺っていた。
俺達は身動きが取れない。誰一人として。
だが、全く手も足も出ない訳では無い。
“スタンドは動かせるのだ”
理由は単純。
ココに荒木に連れられ束縛された時、俺達はスタンドを出現させていなかった。
幾ら荒木でも、無い物を固定する事は出来ない。
だから荒木は、スタンドを固定していないのだ。
だが、スタンドを出した瞬間固定されてしまっては、本当に打つ手が無くなる。
だから、奴に一撃を与えるチャンスを虎視眈々と狙っていた。
荒木は首から下しか固定していない。
画面を見せる為か、首から上は自由に動かす事が出来た。
!!!
エルメェスが俺に目線で訴える。
大体の所は読めた。
エルメェスの奴、荒木に何か仕掛ける気だ。
ただ、エルメェス自身は荒木に攻撃する事は適わない。
エルメェスが気を引いて、俺達が止めを刺すって寸法か。
「…」
俺は目で肯く。
「キッス!」
「ん?」
エルメェスの声に荒木が反応する。
『キッス』を発現させ、小石を投げた。
「おっと」
荒木は避ける。
だが、当然その小石にはシールが張り付いていて…。
「なっ」
エルメェスは、いや、キッスはシールを剥がさなかった。
その表現は間違っているか。
剥がさないのではなく剥がせない、それどころか身動き一つ出来ないのだ。
「『キッス』が…動かなねぇ」
動揺するエルメェスにかぶさるように響く荒木の笑い声
「ハハハ。エルメェス君の事だから、さっき投げた小石にもシールが貼っているのだろう?
でも、そうは問屋が卸さないよ。
君のスタンドを固定させて貰った。
ずっと待ってたんだよね。君達がスタンドをだすのを」
「くっ」
これでエルメェスは、スタンドを含めて完全に捕らわれた。
エルメェスの作戦は失敗だったか。
「!」
落胆するのは早かったようだ。
「クレイジー・ダイヤモンド!」
仗助がスタンドを出す。
そして何かをエルメェスに向かって投げつける。
「今のは俺の学ランの袖だ。
それを“学ランが袖に向かって”直す。
すると…」
仗助がエルメェスに向かって引っ張られる。
どがっ。
そして仗助とエルメェスはぶつかり、その衝撃でシールは剥がれた。
「なるほどね。でも、そこまでしても、小石が飛んでくる軌道はバレバレ………なっ」
荒木から初めて余裕の表情が消える。
シールを剥がして飛んできたのは小石ではない。
小石を掴んだ『スタープラチナ』、そして俺だったのだ。
「スタープラチナ・ザ・ワールド!」
時を止める。
時を止めたとはいえ、俺の体は固定されたまま。
だが、スタープラチナは動く。
エルメェスのシールにより、一瞬にしてスタープラチナの射程距離まで近づいた俺のやる事は、後は荒木を殴り飛ばすだけだ。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラ
オラアアアァァァッ!」
そして時は動き出す。

ドゴオオオォォォン!!!

「「やったっ!!!」」
荒木が吹き飛ぶのを見て、ジョージ達が声を上げる。
だが…
「馬鹿な」
俺の、いや、俺達の束縛は解けていなかった。
つまり…
「クセって恐ろしいね。
こんな時に致命的なミスを犯してしまう」
荒木は斃していないって事だ
「バトルロワイアルの空間操作能力を用いれば、傷を治すことくらい容易い。
自分の体を、無傷なように作り変えれば良いだけなんだから。
瞬殺しなくちゃ僕を殺せないってのに、よりによっていつものクセでオラオラをしてしまうとはね」
しまった!
こいつの能力を甘く見ていた。
エルメェスや仗助が作ってくれたチャンスを、俺は不意にしてしまった。
「おや、どうやら向こうも決着がつきそうだよ?」
そう言って、荒木がスクリーンを指差す。
その先の映像は…。

* *


アヴドゥルさんが背中につけているチープ・トリックの所為で身動きが取れない為、
残りの5人でカーズに立ち向かう。
「シャボン・ランチャー!!!」
シーザーの必殺技が、カーズに襲い掛かる。
だが、
「こんな貧弱な波紋では、猫一匹殺せんぞォ!」
カーズは平然とシャボン玉の群れを叩き落とす。
「ボラボラボラボラ!!」
エアロスミスが機銃掃射を仕掛ける。
更に、
「クロスファイアー・ハリケーン!!!」
壁を背にして、アヴドゥルさんが炎を以ってカーズに攻撃し、ナランチャのフォローをする。
が、カーズはそれを避けようとすらしない。
「下らん。貧弱過ぎる、ヌル過ぎるわぁ!」
銃弾が当たった傍から、傷口があっという間に再生してゆく。
どうやら、奴に物理攻撃は効きにくく、すぐに回復してしまうようだ。
ならば、
「ヘブンズ・ドアー!」
そう、物理的でない攻撃をすれば良い。
が、
「下らんッ」
カーズは一羽の鳥を生み出し、ヘブンズ・ドアーの攻撃を防御していた。
くっ。何とかして奴に通じる攻撃方法を見つけ出さないと。
「!!?」
突如、カーズの姿が掻き消える。
何処だ?やつはどこに消えた!?
「フハハハハハ!!」
「!!!」
声のする方を仰ぎ見る。
其処——空中に、羽を生やしたカーズが飛んでいた。
「貴様ら如き、ひねり潰すなど造作もないことよ!
死ねえぃ!」
カーズが羽ばたき、無数の羽が俺達に向かって飛んでくる。
「波紋疾走!」
「エアロスミス!」
「クロスファイアー・ハリケーン!」
俺達は一斉に、羽攻撃を迎撃しようとして…
「グワアアア!」
「何ぃ!?」
いつの間にか徘徊していたワニに襲い掛かられた。
「くっ」
そして俺達が一瞬ワニの方に気を取られた隙に…
ズドドドド!!!
雨のように無数に遅い来る羽が、俺達に突き刺さった。
「フン。雑魚共が」
傷つき倒れた俺達の前に、カーズが降り立つ。
「まぁ、究極生命体の前には、人間などクズである、という事だな。
ココまでだ。死ね」
そして、カーズは掲げた腕を振り下ろした。

* *


「二番帯は全滅…か。まぁ、究極生命体相手に頑張った方じゃないかな?
じゃ、こっちもそろそろ決めるとするか。
僕に楯突こうとした愚か者に死んで貰おうかね。
先ずはこの僕に汚らしい拳を浴びせた承太郎君、キミからだ」
「野郎…」
「それが君の最期の言葉になる。じゃあ、これからじわじわと嬲り殺してあげよう」
余裕の笑みで俺を見下ろす荒木。
俺は成す術がなかった。
そして荒木は、俺に何かを仕掛けるために指を鳴らそうとし…
「それは違うぞ。承太郎」

——————奇跡が起きた。

* *


ドガガガガッ!!!

無数の飛粒が荒木に降り注ぐ。
「なっ!!!」
そして荒木は蜂の巣にされていた。
尤も、穴の開いた体は一瞬にして元通りになるので致命傷どころかダメージにもなっていない。
しかし、俺はそんな事より遥かに重要な事に思考を奪われていた。
重要なのは攻撃した人物。
思い当たる人間は一人しか居ない。
まさか、そんな事が…。
そして、声の主であり荒木に攻撃を仕掛けた人物が、俺の前に姿を現す。

あぁ。やはりお前だったか。

「こんな時は『野郎』なんてセリフを吐くもんじゃない。こう言うんだ」
平均的な、ただ、俺達と比較すると華奢に見える体格、
「我等は荒木討伐零番隊」
転校したてで、ウチの学校の指定に無い学ラン、
「我が親友、空条承太郎を死の淵から救う為に」
特徴的な前髪、
「貴様の凶刃にこれ以上の犠牲者が出るのを防ぐ為に」
死んだ筈の、もう二度と会えないと思っていた…
「貴様の凶行を食い止めて見せる」

花京院典明だった!!!

* *


「花京院…」
呼び掛ける俺の方を花京院は振り向く。
「危ない所だったな」
「!」
花京院。お前…
「これは驚いた。生きていたんだね」
吹き飛ばされた荒木が、立ち上がりながら花京院を見やる。
「!ハイエロファント…」
「おっと。又エメラルドスプラッシュ喰らって痛い目見るのは勘弁して欲しいからね。
ハイエロファント・グリーンは固定させて貰ったよ」
「…」
荒木の言う通り、ハイエロファント・グリーンはピクリとも動かない。
どうやら本当に固定されたようだ。
「さて、折角生きていたのに君にはすぐに死んでもらう事になる。残念だったね。
楽に死ねるとは思わない方が良い。
この、溜まり溜まった鬱憤は、じわじわと君を嬲らないと収まりそうに無いからね
でも、その前に幾つか訊いておきたい事がある」
「…」
「僕の支配から逃れた人間は君だけではないようだね。
他に誰が居るのかな?」
「何故僕だけでないと言い切れる?」
「零番隊を名乗っている時点で一人でない事は容易に気付くだろう」
「それもそうか。
だが、零番隊は隠密部隊。極秘事項なのでそれを教える事は出来ない。
隊長の名位なら教えても構わないが。どうせすぐにお前に分かる事だし」
「聴かせて貰おうか」
「ならば教えよう。隊長の名は…」
そして花京院は、零番隊隊長の名を告げた———。

* *


………………え?
今コイツ、誰の名を挙げた?
「今、なんて言った?」
聴き間違いだろ?幾ら何でも。
F・Fが生きていたとしても、花京院が生きているのだから不思議は無い。
形兆が生きていたとしても、実際目の当たりにした訳ではないから、まああってもおかしくない。
だが、そいつは…

「何度でも言おう。零番隊隊長…」

…そいつは僕自身の手で葬った筈じゃないか!!!

「ジョルノ・ジョバーナ」

* *


胸を貫かれ、僕は完全に動かなくなった。
普通の人間なら此の時点で死んでいる筈、荒木も僕の死を疑わなかった。
併し、僕のスタンドは、荒木の考える以上の能力を持っていた。
僕は今まで自分の“生命、或いは其の一部を生み出せる”と云う能力を治療に用いていた。
だが、失ったものを再現するしか出来ない訳ではない。
僕の能力を用いれば、人間の腕を4本にする事も出来るし、目を縦に並べる事も出来る。
そして僕は、荒木に向かう直前、“脳幹の下辺りに仮の心臓を作っておいたのだ”
その為、胸の心臓を破壊されても僕は生き延びる事が出来た。
仮の心臓は首の上にある為、首輪から脈等を察知される心配は無い。
頭を潰されない限り、僕は死ぬ事は無かった。
荒木が僕をどう殺すか、この点については賭けだったが、運良く奴は予定通りに僕を殺してくれた。
「…」
さて、残るはこの首輪だ。
「ゴールド・エクスペリエンス…」
久し振りに、この能力の初期の力を用いる。
先ず蔦を発現させ、首輪から守るように僕の首に巻きつける。
次に、同じく首輪にも蔦を巻きつけ、首輪を引っ張る。
首輪の爆発の衝撃を、全て蔦に吸収させる目論見だ。
そして…
「?」
首輪は何も起こらず、あっさり外れた。
どう云う事だ?
まさか、首輪が爆発すると云うのは嘘だったのか?
爆発に注意しながら、首輪を調べてみる。
「…成程」
大体の予想はついた。
この首輪、ついている人間の死亡が確認されると機能が停止するようだ。
仮の心臓を動かしていた時、首輪は僕を死亡したと認識し、その機能を停止させたのだ。
この方法を使えば、他の人間の首輪も取る事が出来るな。
「さて…」
暫く何かが起きないか辺りを窺っていたが、特に何も起きないようだ。
荒木に気付かれずに済んだ………か。
僕は貫かれた胸を直す。
今度は此方の番だ。
荒木の弱点を見つけ、必ず斃す!!!

* *


「………………!」
目を覚ました時、俺は蔦でがんじがらめに縛られていた。
何故こんな状態になっているのか、全く把握出来ない。
そもそも、俺は荒木に殺されたと思ったのだが…。
「目が覚めたか」
「!!!」
突然声を掛けられ、俺は声のした方を振り向こうとして…その先に、一人の少年がいた。
また、蔦は猿轡の役目も担っている為、声を出す事すら出来ない。
「先ず最初に言っておく。
僕達は“死んだ”と荒木に認識されている。
だから荒木に生存を悟られるような行動は決してとるな。
具体的には、大声を出したり、この部屋から出ようとする行為だ。
解ったか」
コイツが誰だか解らないが、今の所は言う通りにするしか術は無い。
俺は肯いた。
「良し。これから、お前に現状を説明する。
その後お前に何点か質問させて貰う」
もう一度肯く。
「恐らく此処は、教会で殺された人間を放り込むための場所だ。
僕は荒木と戦い、殺されたふりをして此処へ放り込まれた。
ゲーム開始時に殺された少年の死体も其処にある」
そう云えば、俺達が教会へ連れて来られた時、死体は見当たらなかった。
死体は此処へ放り、“掃除”をしていたと云う訳か。
そして、俺は目の前で話す少年の正体も読めた。
ジョルノ・ジョバーナ。
第二放送時、荒木自身の手で葬ったとの放送が流れた、その人物が彼なのだろう。
「お前達は、突然この部屋に投げ込まれた。
この部屋に扉は一つしかないが、其処から運び込まれた訳ではない。
バトルロワイアルで、この部屋に瞬間移動させられて来た。
その時のお前達は、既に致命傷を受け、呼吸も脈も止まっている仮死状態だった。
運が良かったな。
どうやら荒木は、お前達が完全に死ぬ前に『もう助からない』と考え、此処に放り込んだようだ。
一応、僕のスタンドは傷を治す事が出来るので治療してみた所、二人とも辛うじて命を取り留めたようだ。
もう一人はまだ目を覚まさないが」
もう一人が誰かは言われずとも解る。
セッコだ。
良かった。俺だけでなく彼も生きていてくれたか。
「起き上がって早々、お前たちと戦う訳にもいかないので、起き上がる前に縛り付けさせて貰った。
そしてお前が目覚めた、と、現状こんな所だ」
少年の説明を要約すると、俺達は少年に命を救われたという訳か。
「では、此方から訊きたい事がある。
これから口の蔦を外すが、間違っても大声を出したりして荒木に感付かれるような行動はとるな」
俺が肯くのを見て、少年は猿轡を外す。
これで俺は、自由に声を出せるようになった。
「先ず、お前の名は?」
が、それでも俺は声を出さない。
そう。俺が声を出すと、その声がエルメェスの元にも届くのだ。
それだけなら良い。
寧ろ、俺の生存を伝えられるのだから便利だ。
が、問題はエルメェスについている首輪から、荒木にも声が届いてしまうという事実。
荒木に生存を悟られない為には、俺は一言も声を発する訳には行かなかった。
「………」
口をパクパクさせて、自分が喋れない事をアピールする。
「どうした、答えろ」
『話せない』と、口だけ何度も動かす。
少年は直ぐに気付いたようだ。
「もしかして、お前、声を出せないのか?」
肯く。
少年は、紙とペンを俺の前に置き、
「これに書け」
と言って、右腕に巻きついている蔦を外した。
………………
………
「成程。大体の所は把握しました」
少年——やはりジョルノ・ジョバーナという名だった——と一通り話し合った所で、ジョルノ君はそう言った。
名前、スタンド、セッコとの関係、此処に放り込まれた理由、今までの経緯等を伝え終えた所で、
ジョルノ君は俺への態度を改め、と云うか警戒を解いていた。
何でも、ジョルノ君とセッコは敵同士らしい。
なので、俺の事をセッコの仲間と思って警戒していたようだ。
まあ、出会ってから共に行動している仲間である事に間違いはないが、ジョルノ君の敵ではない事は理解して貰えた。
セッコが目を覚ました後は俺が面倒を見る事を伝え、お互い位置している目的、『荒木の打倒』に向けて協力体制をとる事にした。
「………………ん」
そしてセッコが目を覚ました。
………………
………

目が覚めたセッコに、現状を説明して納得させるのには随分と時間が掛かった。
気性が荒いセッコは、ジョルノ君を見るなり攻撃しようとしたのだ。
“切り札”を使い、現状を根気強く説明してセッコが漸く納得した時には、既にセッコが目覚めてから1時間は過ぎていた。
そして、今俺達のしている事は…。
「で、どうだ。何処かに誰かいそうか?」
「うるせえぇなあああぁぁぁ。
今調べてんだから、だまってろよぉ」
ジョルノ君の質問に、セッコは文句を言いながらも調査している。
調査対象は、“俺達の同類が居ないか”だ。
死んだ事になっている人間なら、下手に表を歩けない。
と云う事は、屋内か地下に隠れている可能性が高いからと、地下の様子をセッコに探ってもらっているのだが。
「つ〜か、上でドンパチやってるせいで、よく確認できないんだよなぁ。
え〜っと。いいか。
東南東の方向の地下、かなり遠くに誰かいる“かもしれねぇ”」
「わかった。ならば南東へ向かおう」
「言っておくが、いるって決まったわけじゃねぇぞ。
俺だってそこまで耳がいいわけじゃねぇんだからな。
何も無くても文句言うなよ」
「あぁ。じゃあウェザーさん、セッコの能力で地面を柔らかくして、地中を進んで生きましょう」
「解った」
そうして俺達は東南東へ向かった。

 * * *

「おい、花京院。スタンドを出してくれ」
アタシ達は今、ライク・ア・ヴァージンの爆発により生じた穴の中にいる。
爆炎を煙幕代わりにして花京院をここへ連れ込み、花京院の傷を治していたのだ。
しかしアタシ自身全身焼け爛れ、更に皮膚もしわくちゃになり、二目と見れない無残な姿となっていた。
何故自分の傷を治さないか。答えは明白だ。
水が足りない。
このままではアタシは持たないと考え、せめて花京院だけでも助けようと傷を治していた。
そして、ある程度の治療が済んだ時、花京院の目が覚めた。
そしてそれから暫くして、何やらハイエロファント・グリーンで何かしているらしい花京院に話しかけた。
小声で喋るのは、周りに聴かれたくない為だけではなく、アタシ自身が声を出せないからだ。
花京院は指示通り、ハイエロファント・グリーンを引き戻す。
「一部を紐状にしてくれないか?ほんの20cm位で良い」
花京院が言われた通りに指先の一部を紐状にすると、アタシはその端を掴んだ。
『…聴こえるか?』
「!!!」
『どうやら聴こえるみたいだな』
「これは一体…?」
『待て、お前もハイエロファント・グリーンから直接話してくれ。でないとあのアヴドゥルに気付かれる』
「…」
『ストーン・フリーって糸のスタンドがあるんだが、それを糸電話のようにして連絡する事が昔あってだな。
似たようなお前のスタンドなら可能だと思っていた』
納得したような表情の花京院に話を続ける。
『無駄話をしている暇は無い。取り敢えず最後にお前に話しておきたかった』
『最後?』
『あぁ、お前の傷を治すには水分が足りない。
ジョージさんが残した水も、アタシの体内にあった水も、全て使っちまった。
だからあたしのフー・ファイターズを全てお前の治癒に使う』
『!!!馬鹿な!止めて下さい!貴方の水分を全て治癒に使う必要は無い!』
『そうしないとアンタが死んじまうんだよ!アンタを死なせない為には仕方ないだろう!』
『水なら…ありますから』
そして、ハイエロファント・グリーンが(片方の腕で)それを2つ並べる。
それは、水の入ったポリタンクだった。
『………おい』
『何でしょう』
『お前…こんな物があるならとっとと出さねぇかぁ〜〜〜〜っ!!!』
怒りの声がハイエロファント・グリーンの糸を通して花京院に伝わる。
脳中にアタシの声が響き渡る頭を押さえ、花京院は説明してきた。
『いや、そこの家から保存水を採って来たんですよ。
貴方のその姿を見れば水が必要な事は一目瞭然ですし、目が覚めてからすぐハイエロファント・グリーンを探索に出したんです』
『ったく…。まあ、これなら問題なさそうだな』
そして花京院の傷を治し、自身の水分も補給する。
でも、アタシは一つ気になる事があった。
『なあ、花京院。アヴドゥルの相手、あたしに任せて欲しい』
『!どうしてですか!?』
『今までの戦いを見て解った事がある。アンタは自己犠牲が過ぎる上に甘い。
今お前とアヴドゥルをあわせると、その甘さを突かれ、殺されるのは目に見えている。
あたしはアンタに死んで欲しくないんだ』
『そんな事は…』
花京院の反論を遮り、言葉を続ける。
『それにその傷じゃロクに体を動かせないだろう?今ココで立ち上がれんのか?』
『…』
『アンタを動かないようにしてココに閉じ込めておいても良いんだが、アタシはそこまでしたくない。
頼む、あたしに任せてくれ』
『どうするつもりですか?』
『水があるからな。こうやってアンタに成り済ますさ』
そしてエートロの体からフー・ファイターズが抜け出し、2つ目のポリタンクを使い、花京院とアタシが合体したような姿になった。
『水が足りないから、二人分はなれないか』
『え?まだポリタンクに1/3ほど入ってますよ?』
『これを使ってハイエロファント・グリーンの真似もしようと思うからな。
それによく考えたら、水が無いのに普通に復活したらアヴドゥルが怪しみそうだし。
水が無いから合体したって方が説得力がある』
『でも僕の首輪が無いのは不自然ですね』
『それもそうだな。じゃあ、お前の首輪を取って付けるか』
アタシの言葉に、花京院はひどく驚いているようだった。
『どうやって!?』
『アンタの体内にかなりのフー・ファイターズが巡っているからな。こうやるんだ』
その直後、花京院の顔はベコッと内側にへこみ、アタシはそのまま首輪を抜き取る。
花京院の体内のフー・ファイターズ——まだアタシが動かせる奴——を操ったのだ。
『じゃあ、体はそこに置いて行くから宜しく頼む。くれぐれもこの穴から出ようとするなよ。
奴には炎の探知機が在るんだ。地中に居ないとお前の存在がバレる』
首輪を取り付けそう言うと、花京院に呼び止められた。
『待って下さい。御願いが2つあります』
『ん?』
『1つは、アヴドゥルさんに話をさせて下さい』
『だからそれは…』
『こうやって話すんですよ』
そして花京院は、アタシの作り上げた花京院人形の後頭部にハイエロファント・グリーンの糸を刺す。
『成程。糸電話の応用か。あたしはそれに合わせて口パクすれば良いんだな』
『はい。それともう1つ御願いが…』
『…?』
『僕も貴方に死んで欲しくありません。御願いします、生きて下さい』
『…分かった』
………………
………
雨だと思った。
それが勘違いだったと、『花京院』が撃たれたのだと気付いた時、アタシは咄嗟に行動に出た。
アタシが不意打ちを受けた事に気づいたら、花京院が地中から姿を現しちまう。
それだけは防がないと。
「!!!」
予想通り地中に隠れている花京院が動き出そうとする所に、人形に刺さってるハイエロファントの触覚を切って気絶させる。
重症の花京院は、触覚一つ千切られるだけでも意識が途切れるほど弱っていた。
そしてアタシは“演技”をする事にした。
此処で花京院が“死んだ”事にすれば、アイツはかなり安全な状況になる。
その代償として、アタシの命はコイツにくれてやらないといけないが、それでも構わないさ。
「うわああああああ花京院ンンンーーッ!!しっかりしろぉーーーッ!!」
花京院と、そして、アタシの大切な仲間さえ生き残ってくれれば…。
………………
………
口から何かを注がれている。
頬にも何か当たっている。
アタシが目を覚ました時、まず気付いたのはその事だった。
「良かった。やっと起きてくれました…」
その声の主は、言うまでもない、花京院。
そして花京院は…手首を切って、血をアタシの口に注いでいた。
「って、アンタ何をしてんだ!」
急いで身を起こし、フー・ファイターズで手首の傷を塞ぐ。
「僕が目を覚ました時、F・Fさんはやられていて、DISCしかなかったんです。
だから、僕の体内にあるフー・ファイターズを使うしかなくて…」
エートロの体にDISCを差し込んで、血を注いでたって訳か。
「またそんな無茶をして…」
「それはこっちのセリフですよ。
もうあんな無茶はしないで下さい。そして…」
その時、アタシは気付いた。頬に当たっているものが何かに。
「間に合って、良かった…」
花京院の奴………泣いていたのか。
………………
………
で、他の人間に気付かれないよう地下を深く掘り下げ、まずは花京院に休んでもらった。
なにせ、花京院はどう考えても絶対安静の状態なのだから。
花京院の目が覚めた時には、あれから数時間が経っていた。
そしてアタシ達は、作戦を練り始める。
「やはり、直接荒木を叩くのが一番効率的でしょう」
「となると問題は、荒木が何処にいるか、そしてどうやって斃すか、だな」
「その作戦、一口乗らせて貰えませんか?」
「「!!!」」
突如割り込む声。
声のした方を向くと、其処には金髪の少年、全身をスーツみたいなものに包んだ男、そして…
「ウェザー・リポート!」
やっと会えた、アタシの大切な仲間が居た。

 * * *
「ジョ…ジョルノ?」
俺は、カーズの攻撃を止めたその男の姿に、我を失った。
「漸く会えましたね。ブチャラティ」
生きてくれていたのか。
ジョルノが生きてくれていたと云う事実に、安堵の息をつく。
…良かった。
「積もる話もあるでしょうが、その前にこの目の前に居る怪物を片付けましょう」
そうだ。
今の俺達の状況は切迫しているんだった。
だが、ジョルノはあくまで毅然としている。
ジョルノの奴、何か策があるな。
「ブチャラティ。済みませんが、少しだけ時間を稼いで下さい。
その間に、奴を倒す算段を整えます」
「賞賛はあるのか?」
「はい」
「分かった。3分なら持ち堪えられるだろう」
「御願いします」
そしてジョルノは、アヴドゥルさんの下へ向かう。
「さて…。ナランチャ、行くぞ」
「おう!ボラボラボラボラァ!!!」
ナランチャが掃射するが、カーズに効いている節は全く見えない。
だが、それでも俺達は攻撃しなくちゃならない。
防御に回ったら、10秒で全滅する。
息をつく暇も無く攻撃を仕掛け、奴に攻撃させる隙を与えてはならないのだ。
「そんな攻撃が効くかァ!喰らえ!」
「スティッキー・フィンガーズ!!」
カーズが飛ばしてきた無数の羽を、地面をくり抜いて盾にする。
「シャボン・ランチャー!」
「ボラボラボラボラ!」
カーズの両脇から、シーザーとナランチャが攻撃する。
だが、
「無駄だと言ったろうがァ!
WRRYYYYYY!!!」
さっきとは比較にならない量の羽を全方位に飛ばし、シャボン・ランチャーとエアロスミスの銃撃を全て叩き落す。
「くそっ」
「死ねえええい!!!」
カーズがエアロスミスを叩き落す。
「ぐっ!」
エアロスミスに攻撃を喰らったナランチャは倒れた。
間髪いれず、ナランチャに突進するカーズ。
「スティッキー・フィンガーズ!」
俺は右腕にジッパーをつけて伸ばし、ナランチャを捕まえて俺の下へ引き寄せる。
「小賢しい!二人揃って死ねえええぇぇぇい!!!」
今度は俺の下へ突進して来る。
そして、
「お待たせしました」
俺達とカーズの間に、ジョルノとアヴドゥルさんが立ち塞がった。
「今更貴様らに何が出来る!?
纏めて殺してくれるわぁ!」
カーズは構わず突進して来る。
それに対し、アヴドゥルさんは
「皆、目を閉じてくれ」
と言って、カーズの前に何かを掲げた。
「そんなものぶち破って………え?」
不意に、カーズの突進が停止する。
『はぁ〜。久しぶりにブ男の背中から離れたと思ったら、今度はバケモノの背中とはねッ』
「な、何だ?
背中に何か居るのか?」
『当ったり〜〜〜♪だねッ』
「何者だ!?貴様は!」
『ボク?ボクはチープ・トリック。
誰かの背中にとり憑き、そいつが誰かに背中を見たら、そいつの生命力を全て吸い取って背中を見た奴の背中へ移るスタンドさ。
キミ、気をつけてねッ。
背中を誰かに見られたら、死んじゃうよ?』
チープ・トリック!?
さっきまでアヴドゥルさんの背中に取り付いていた奴が、何故あそこに?
「何だと、この俺が、背中を見られてくらいで死ぬなんてことが有る筈が無かろう!」
『だったら誰かに背中を見せれば良いじゃないか。
キミは自分の事を究極生命体だって言ってたけど、逆にいえばキミは生命体であることを超越してないってこと。
生命体である限り、ボクの能力は有効なんだよねッ』
「…くっ」
歯軋りするカーズに向かって、アヴドゥルが事の次第を説明する。
「実はそいつは、さっきまで俺の背中にとり憑いていたんだがな。
スタンドはスタンドで掴める。
ジョルノ君のゴールドエクスペリエンスで、チープトリックを掴んで無理矢理引っぺがした」
『まあ、そんなことしたからブ男の背中もひっぺがれちゃったんだけどねッ』
「其処はジョルノ君のゴールド・エクスペリエンスが失った背中を補ってくれた。
そして、チープ・トリックが憑いたままの“俺の背中だったもの”を、今お前に見せたのだ」
『剥がれちゃったら、“ブ男の背中”と認識できないみたいだねッ。
残念だけど、キミの背中に乗り移る時、ブ男の養分を奪えなかったし』
「この状況に陥れば、究極生命体の肩書きも無いも同然だな。
そして、此方はお前の背中を見る奴も用意してある。
命令する。
『カーズの背中を見ろ』」
「了解しました。旦那様」
そしてカーズに向かって歩き出したのは、ヨーヨーマッ。
確かに、奴ならこの役に最適だ。
「来るなァ!!!」
カーズはヨーヨーマッに向かって、無数の羽を飛ばす。
だが、
「モット〜〜〜〜〜〜♪」
ヨーヨーマッは平然として(寧ろ喜びながら)カーズへ向かって行く。
「くっ」
カーズは羽ばたこうとした。
しまった!空へ逃れるつもりか!
だが…
「何ぃ!?」
地面から生えた手が、カーズの足を掴んでいた。
「バァカ。ここでテメェを逃すかよ」
「良いぞ、セッコ。そのまま身動きが取れないようにしてしまえ」
地中にいる人間に、ジョルノが命令する。
「言われなくても分かってんだよオオオォォォ!!!」
そして、手はカーズを地中へと引き摺り込み、下半身を地中に埋めた。
「この、下等生物共がアアアァァァッ!!!」
そして、ヨーヨーマッがカーズの背後へと回り、
「GYAAAAAAAAAAHHHHH!!!」
…カーズは背中を破壊され、死んだ。

 * * *

「…くっ」
忌々しげに顔を顰めるオレに向かって、花京院は声を掛ける。
「どうやらお前の操り人形は、ジョルノ君達に駆逐されたと云う事か」
「だまれ!!!
バトルロワイアルなら、カーズをもう一度作る事が出来る!
いや、もっと強力な部下を作ることだって出来るんだ!」
「ジョルノ君達の方ばかり気にしている暇は無いぞ?
今度はこっちが攻撃に出る番だからな」
「攻撃だと?身動きの取れないお前がどうやって攻撃…を………」
言い終える前に、辺りが深い霧に包まれる。
こんな芸当が出来る人を、オレは一人だけ知っていた。
「まさか…」
その間にも、雨が降り始め、時々刻々と勢いを増し、豪雨となる。
一寸先も見えないほどの豪雨。
こいつは、
「ウェザー・リポート…だと!?」
ジョルノ、セッコに次いで、ウェザー・リポートまで蘇って来やがった。
「この、死に損ないどもがァ!」
オ…オレはキレた。
さっきから全く思い通りに行かないじゃないか。
何なんだ?こいつらは!
兎に角、雨の中でも承太郎達は全く動いていない(バトルロワイアルで固定しているんだから当然だ)。
という事は、オレに攻撃を仕掛けて来るのはウェザーだ。
ならば、バトルロワイアルで周りの様子を探って、ウェザーの位置を見つけ出して…
キランッ
「…ん?」
前方で何かが光った。
何だ?
良く目を凝らして見てみると、そこに居たのは…
「バッド・カンパニー!!?」
何だと!?
形兆まで生きていたのか!?
一体、どれだけの人間が死んだふりしているというんだ。
何はともあれ、バッド・カンパニーなら、雨に隠れて俺を殺すにはうってつけだ。
「だが、形兆の几帳面な正確から、そこに綺麗に隊列が揃っている事はバレバレ………なっ!!!」
俺の視線の先、其処には確かにバッド・カンパニーの歩兵が居た。
だが、バトルロワイアルで確認すると、其処には“歩兵1人しか居ないのだ。”
隊を成す事はおろか、是認が別々の行動をとっている。
これでは、バッド・カンパニー全てを操る事が出来ない!
「一斉掃射ァ!」
形兆の高らかな声と共に、オレは全方位からバッド・カンパニーの砲撃を喰らった。

 * * *

霧が晴れた。
「撃ち方、止めッ!!!」
何所からか声が聴こえ、小人達の攻撃が止む。
さっきまで荒木が立っていた場所は、爆煙が立ち上っていた。
だが私達は、未だ動く事が出来なかった。
と云う事は、荒木はまだ死んでいないと云う事だ。
そして、煙が晴れ…
「………………」
怒りの形相を顕わにした荒木が立っていた。
後編