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シーザーとドッピオ。二人の男が必死になって現状を把握しようとしていた。
もっとも、シーザーは敬愛する師と無二の親友の死に、ドッピオは死んでいたはずの人間の復活に混乱しているのだが。
シーザーは知りたがっていた。誰が彼らを殺したのか。
ドッピオは考えていた。この男をどうするか。

先に結論を出したのは―――ドッピオ。
(ボスはこの家に居る人間を皆殺しにしろと言っていた。ならば目の前の男も殺す)
ドッピオはなんとなくわかっていた。
ボスはいなくなってしまったことに。
もう、ボスからの電話が来ることはないことに。
(だから、ボスはボクにこれを置いていってくれた)
ドッピオの隣に現れたのはディアボロのスタンド、キング・クリムゾン。
発現させたのは、まぎれもなくドッピオだ。
今まで右腕と能力の一部『エピタフ』しか使えなかったはずが、キング・クリムゾン全てをさずけられている。
ということは、ボスにはキング・クリムゾンはない。
ボスは、スタンドの必要ない遠い所へいってしまったのだと、ドッピオは理解した。
そう。もうドッピオの届かないほどの遠くへ。
そして、遠い所へ行ってしまったボスが、全てをドッピオに残してくれた理由。
ドッピオはそれも理解していた。

一方シーザーも、目の前の男にたずねるまでもなく、何が起こったのか大体把握していた。
シーザーが倒した男と同じ服装をしている血まみれの男。
足元に落ちている銃は、さっきまでそいつが使用していたことがわかる。
ということは、リサリサ先生とシュトロハイムを殺したのは、他でもない、目の前の男なのだ。
そして目の前の男の正体も読めてきた。
俺が倒した男と同じ服装をしている。
ということは、あの男の仲間か、こいつが『あの男』かのどちらかだ。
(多分、同一人物だ)
シーザーがそう考える理由は二つ。
まず、シュトロハイムから聞いたスタンド能力。
シュトロハイムは一人につきスタンド能力が一つと言っていたが、例外的に二つ以上の能力を持つ奴がいても不思議じゃない。
シーザーにとっては未知の能力なのだから。
つまり、スタンド能力により変身している可能性があるということ。
そして、さっきの男と目の前の男の共通点が異様に多いこと。
服装、血まみれの姿、シーザーの知り合いを殺したなどの共通点を持つ二人が別人なはずがない。
(そして、これ以上ねえってくらい完璧な証拠が、今俺の目の前に現れたぜ)
シーザーは自分の推察が正しいことを確信した。
ドッピオが出現させた、キング・クリムゾンを見て。
もはやドッピオがリサリサたちを殺したのは明白だ。
シーザーはドッピオを睨みつけた。
ドッピオも睨み返す。
言葉にせずとも、お互い『お前を殺す』と二人の眼が告げていた。

「まず初めに言っておく。俺はてめえに3発の攻撃を叩き込む。
それより多くも少なくもねえ。3発だ」
何を思ってか、突然宣言するシーザー。
「何だ?その意味のない予告は。ブラフか?」
真意を図ることのできないドッピオは呆れ返るように声を上げる。
しかし、シーザーはあくまで三発にこだわった。
「ブラフでも嘘でもない。正真正銘、3発だけの攻撃だ。
これから繰り出す3回の攻撃は、重みが違うんだよ」
「ならばボクからも予言しよう。
お前の攻撃を一発も食らわず、一撃で倒す」
そしてお互い向かい合う。
「波紋疾走!」
先に攻撃を仕掛けたのはシーザー。
だが、その攻撃はからぶる。
「所詮は直線的な攻撃しかできない男。ボスの偉大な能力に太刀打ちできる器じゃねえな」
そう、ドッピオはキング・クリムゾンの能力により予知を行い、時を飛ばしていたのだ。
「ボスはボクに後を任された。
ボクは全てを託されたんだ!
だから、ボクはボスにならなくてはいけない!!
ボスに託されたあの瞬間から!『ボク』は『ボス』になったんだ!
今、ここに居る『ボク』は『ドッピオ』ではない!
ここに居るのは『ボス』の後を継ぐ『新しいボス』『ボスの生まれ変わり』なんだ!!!」
時が元通り刻み始める。
シーザーは、突然厳然の敵が姿を消したことに、バランスを崩して転んだ。
と同時に、シーザーに左拳を繰り出すドッピオ。

だが、
「!」
その攻撃がシーザーに届く前に、ドッピオは攻撃を止める。
予知で見たのだ。
『シーザーの攻撃を止める自分』を。
(どうやらコイツに迂闊な攻撃をしてはいけないようだ)
ドッピオは転んだシーザーから間合いを離す。
今までの予知からドッピオは気付いたことがあった。
シーザーの攻撃をかわす予知を見た(予知できればカウンターを叩き込めるのに)
背中を見せたシーザーに攻撃を留まる予知を見た(明らかに一撃で倒せるはずなのに、予知はそれを止めさせた)
これらの予知が導く結論は一つ!
『奴に触れてはならない』
ドッピオは武器を探す。
拳銃、剣、矢じり…。
(これを使うのがベスト、だな)
ドッピオはズボンの腰ベルトに拳銃をしまい、左手で剣を手にした。

(?)
一方、シーザーは違和感を感じていた。
ドッピオが時を飛ばすことは予想範疇。
その後の攻撃がないのも可能性としては考えていた。
(さっき、不用意な攻撃のせいで腕が張りつき、一度俺に倒されているからな)
違和感はそれとは全く別のもの。
どうも呼吸しづらいのだ。
逆に、波紋の呼吸をしている時は、今まで以上に力がみなぎる。
この変化が吉と出るか凶と出るかはまだ解らない。
とにかく今の状態に慣れなければと、シーザーは呼吸を整える。

「!!!」
ところが、顔を上げ目に入ったその光景に、シーザーは我を失った。


ドッピオが、リサリサの首を切り落としていたのだ。


リサリサから流れ出す血を手に浸すドッピオ。
その瞬間、シーザーの中の何かが切れた。
「てめえええ!!!!!」
ドッピオに向かって突進するシーザー。
けれど、その動きを予測していたドッピオは、キング・クリムゾンを発動させてかわす。
そして、手についた血を飛ばして、シーザーの目にかけた。
そして時は元通り刻み始める。
「うっ」
シーザーは突然視界が防がれたことにとまどう。
その隙を突いてドッピオは腰から引き抜いた拳銃を構え、シーザー目掛けて引き金を絞った。
先ずは腹に一発。
銃弾を受けたシーザーは崩れ落ちる。
更に一発。今度は頭。
しかし、銃弾を受けながらも転がりまわるシーザーに命中はしなかった。
(くそっ。しぶとい)
続く数発も、掠めたり避けられたりで上手く命中しない。
片手で銃の反動を受けている左腕も、そろそろ限界が近付いてきた。
(なら、こうだ!)
起き上がろうとするシーザーの胴めがけてもう一度発砲するドッピオ。
それが左肩に命中したシーザーは、後方へ弾かれる。
そして、動きの止まったところで、
(死ね!!!)
ドッピオは最後の一発を放った。
その弾丸はシーザーの脳天に直撃し、シーザーは倒れた。


「ちぇっ。こいつに銃の弾全部使っちまった。
これからのために残しておきたかったんだけどな」
そう呟きながら、銃を捨て、剣を拾うドッピオ。
「とどめだ」
一度、シーザーの首筋に当て、大きく振りかぶる。
そして、シーザーの首を断ち切るために振り下ろした。


「!?」


予想外の事態だった。
振り下ろした剣が、シーザーの首を切断したはずの剣が、『シーザーの首にくっついたまま離れない』のだ。
「ようやくだぜ。ようやくお前を捕まえることができた」
頭に銃弾を食らったはずなのに、平然と起き上がるシーザー。
目に入った血をぬぐい、回復した眼で、ドッピオのことを睨む。
(バ、バカな!何で生きているんだ!?)
ドッピオも、念のためシーザーの首を切断しようとしていたのだから、生きてる可能性も否定していたわけではない。
だが、本当に生きているとなると、やはり驚きに値する。
頭なんて、本来どこに弾丸を食らっても死ぬような場所だ。
それなのに、目の前の男は生きている。
恐怖と混乱に駆られ、ドッピオは後ずさった。
だが、足が動かずにもつれて転ぶ。
(な、何が起きたんだ!?)
慌てて周りをきょろきょろとするドッピオは、シーザーの足元から発する妙なものに気付いた。
――それは『波』
すでにこの部屋はリサリサの血やシュトロハイムのオイル類が一面に広がっていたが、
それらが、シーザーの足元を中心に『波紋』が浮かび上がらせているのだ。

そして重要なのは、明らかに今までのシーザーより大きな波紋が浮かび上がっているという事実。
それは、今までのシーザーの軽く3倍ッ!
そう、リサリサから送られた力を得たシーザーは、はるかにパワーアップして復活をとげたのだ!
その強大な力にシーザーの呼吸がついていけなかったが、時間とともに慣れ、今では強大な波紋を自在に使えるようになっていた。
そして、パワーアップしたシーザーの力を発揮し、これからものすごい波紋芸をお目にかけようっ!

「危なかったぜ。つい、怒りに我を忘れて波紋ガードを外しちまった。
それに、波紋でガードしたって、衝撃は残るからな。首が痛えぜ、まったく」
そう。シーザーは腹へ銃弾を受けた直後から、身に波紋をまとって攻撃を弾き返すようにしていたのだ。
そのおかげで、最初の一発以外はシーザーに傷を与えるには及ばなかった。
衝撃は残るのでバランスを崩したり吹き飛んだりはしたが、後に残る怪我ではない。
そして今、シーザーはリサリサの血を通して、ドッピオの身動きを封じていた。
(くそっ!奴の攻撃を予知しなくては!)
そう考え、キング・クリムゾンを発動するドッピオ。
しかし、これこそが正にシーザーの狙いだった。
(!!!)
発動されたキング・クリムゾンを即座に固定するシーザー。
これでは予知できても何もできない。
更に、これからのシーザーの動きを予知したドッピオは、その内容に驚愕する。
次のシーザーの攻撃は、『予知しようがしまいが、回避不能な攻撃』だからだ。
「くそっ!動け!動けえ!!!!」
必死になってスタンドと体を動かそうとするドッピオ。
しかし、自らが撒き散らしたリサリサの血のせいで、まともに体を動かせない。
そして、ドッピオを血の膜が包み込んだ。
人一人を包み込む、巨大な血の膜。


それはリサリサの血とシュトロハイムのオイルからなる、鮮赤のシャボン。


中が透けて見えるほどの薄い膜は、それでもドッピオとキング・クリムゾンを完全に固定していた。

「くそおっ!出せえっ!!」
唯一と言ってもいい、ドッピオの自由に動かせる部分、口から、泡を飛ばして叫ぶドッピオ。
シーザーはゆっくり、自分の腹の傷に手を当てる。
「最初に言ったよな。『お前は3発の攻撃で倒す』と」
シャボン玉の中のドッピオを睨み、シーザーは自分の血で、一本の細い矢を作り上げた。
「!!!やめろ!やめろおおお!!!!」
すでに自分の末路を予知しているのに、ドッピオは叫び続ける。
この矢を回避する手段はなかった。
ドッピオとキング・クリムゾンはシャボン玉に固定されていて防御できない。
矢が刺さる瞬間の『時間を飛ばし』ても、
リゾット戦のナランチャの攻撃のように突き抜けず、刺さったままとなる矢では、時間が正常に刻み始める時に突き刺さる。
つまり、結末は一つなのだ。
すでにドッピオが見ている未来。それは…。

「この一撃は、トリッシュの分だ。俺の血で代用させてもらうぜ、トリッシュ」
そしてシーザーは構え、
「オーバードライブ・アロー!!」
ドッピオに向かって投擲した。
「ぐわああああ!」
ドッピオごと、シャボン玉を串刺しにする矢。
矢はドッピオの腹に深々と突き刺さる。
そこはまさに、ディアボロがトリッシュを貫いた場所。
そしてシーザーは、シュトロハイムのオイルから、今度は槍を作り出した。
「次はシュトロハイムの分だ」
再び構えるシーザー。
「や、やめ…」
「オーバードライブ・スピア!!!」
二撃目!
波紋を帯び槍の形をした槍は、ドッピオの側頭部を破壊する。
ドッピオの右耳は吹き飛び、側頭部の頭蓋骨も砕けていた。

「…ぁ……ぅぁ」
それでもまだ、ドッピオは生きていた。
意識は混濁し、スタンドも動かせず、固定されていなくても体を動かす事もままならない。
なのに死んでいなかった。
それは、シーザーが死ぬことを許さなかったからかもしれない。
シーザーは言っていた。
『3発の攻撃を食らわす』と。
その通り、シーザーは最後の一撃の用意をしていた。
それはリサリサの血からなる、刃渡り1メートルを超える巨大な剣。
リサリサの血を波紋で剣状に固定し、シーザーは再びドッピオへ向き直り、三たび構える。
「そしてこれが…」
「…」
シーザーの言葉に、ドッピオは反応しない。
すでに半分死んでいるような状態なのだ。
だが、シーザーは心の中で決めていた。
こいつを殺すのは、あの人達の一撃。
そして、とどめを刺すのはあの人の一撃なのだ。
シーザーは大きく振りかぶり、
「これが、先生の分だあーーーーっ!!!!!
オーバードライブ・ブレードッ!!!!!」


     一  刀  両  断  !


中にいるドッピオごと、シャボン玉を切り裂くシーザー。
そしてシャボン玉は弾けとぶ。
中のドッピオも、袈裟懸けに真っ二つにされ、床へ落ちた。
そしてドッピオは、予知した未来の通り――――死んだ。

 *  *  *


ジョセフ、リサリサ、シュトロハイムの遺体を、シーザーは丁重に床に寝かせた。
埋葬してやりたいのだが、その時間がない。
このゲームは、時間が立てばたつほど傷が深く大きくなる。
JOJO、リサリサ、シュトロハイム、そしてトリッシュ。
どんどん増える犠牲者。
このままゲームを進めたら、残りの人間も死んでしまう。
シーザーの祖父、ウィル・A・ツェペリ。JOJOを埋葬してくれたヒガシカタ・ジョースケ。
そして、リサリサやシュトロハイムが集めた仲間。
そいつらの下へ行かなければならないと、シーザーは考えていた。
そして、シーザーは出発の準備を始める。
食糧、水は自分とドッピオの分を持っていくことにした。
リサリサとシュトロハイムのバッグは、彼らの脇に置いておく。
そして武器を探す。
首輪探知機と赤石は当然持って行くとして、拳銃類は全部ドッピオが使ってしまった。
他に武器はないのかと捜し、シーザーはある一点に目をとめる。
「そういえは、こんなものがあったな」
そう言ってシーザーが拾い上げたのは、黒騎士ブラフォードの剣。
「何だ?この髪の毛。うっとうしいな。
ったく、髪の毛が巻きついてたら、剣を握っててもすっぽ抜けちまう」
シーザーは剣の柄に巻きついている髪の毛をはがそうとする。
が、髪の毛はとれない。
「なら、これで」
シーザーは髪の毛の水分を操り、柄からはがす。
そこには一つの単語が書かれていた。

「L……U…C…K。『幸運』だと?
はっ。この剣がもたらしたのは不運だけだろうが」
シーザーは知らない。
ドッピオの攻撃を防いだ時剣に流れた波紋が、消えかけの血文字を完全に消したことを。
そして消えた文字は、正にシーザーの言葉通り不運をもたらす、『UN』の二文字だったことを。
由花子、アナスイ、徐倫、ドッピオ。
持ち主を次々と死に至らしめた不運の剣は、今、シーザーによってようやくその呪いを解かれたのだ。
「一応持っていくか」
剣をたずさえ準備を整えたシーザーは、立ち上がる。
そして玄関で一度立ち止まり、後ろを振り返った。
「JOJO、シュトロハイム、先生。行って来ます」
そしてシーザーは家を出た。

【F-3とG-3の境にある住居(F-3)/1日目/夜】
【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ゲスラーのホテルへ突入直後
[状態]:腹部に銃傷(処置済み)。『究極!深仙脈疾走』プラス『エイジャの赤石』による波紋能力アップ
[装備]:『幸運』の剣
[道具]:支給品一式×3。エイジャの赤石。『矢の形をした首輪探知機』
[思考・状況]:
1)合流地点(C-4)へ向かう。
2)ツェペリ、仗助を捜す。
3)トリッシュの言葉を受け取った以上、ゲームには乗らない。
※シーザーは第三放送の内容を知りません。(ツェペリの死も知りません)

【ヴィネガー・ドッピオ 死亡】

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キャラを追って読む

116:Io non sono solitario.(後編) シーザー 122:(題名未定) 
116:Io non sono solitario.(後編) ヴィネガー・ドッピオ