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街を北上したエルメェス・コステロは、
杜王駅の入り口を、注意深く睨み続けていた。

照明が落とされている為に、入り口から覗くのは暗闇のみ。
空間を埋め尽くす漆黒を前にして、彼女は歩を止めた。

もし、闇の内に潜み襲撃の機会を伺う参加者が存在するのならば。
戦闘が始まった場合、形勢は自分が圧倒的不利である事は間違い無い。
この暗闇の中に踏み込む事は、余りにも危険すぎる賭けだ。

彼女が追う人物、東方仗助も同じ考えを持ったろう――と、エルメェスは推測した。
仗助は周囲の市街地を、『傷付いた参加者』を求め探索している。
駅内部に踏み込む事が危険である以上、
彼もこのまま市街地を北へと進んだと考えるのが自然。
ならば、自分もその経路に従うべきだ。

仗助の影を求め、エルメェスは杜王駅を後にした。

――運が悪かった。そう断言できる。
求める事実に衝突する『運命』の上に、エルメェスは存在しなかった。
彼女は結局、真実を知る事は無かった――その瞬間にも、東方仗助は駅の内部にて、
風の戦士ワムウと死闘を繰り広げていたと言うのに。

 * * *


座標【D-3】にて。
路上に横たわる『それら』の正体を理解し、エルメェスは息を呑んだ。

この奇妙な街が『そのような場』である事は十分に理解していたし、
下手すれば、彼女も『それら』の仲間入りを果たす所だったのだ。

注意深く接近する。周囲を警戒するが、辺りに気配は無い。
エルメェスは、その二つの物体を観察し始めた。

何と言う惨たらしい……死体だろうか。
爆死したと思しき、全身の関節が不自然に折り曲がり、皮膚が焼け爛れているもの。
刃物で切り刻まれたらしい、身体が数十に分断されたもの。
渾身の攻撃を互いにぶつけ合い、同時に息絶えたのだろうか?
骸は言葉を発しない――真相は何も判らないが、
この両者が恐るべきスタンド能力の持ち主であった事は容易に推測できる。

「チッ……既に奪われてやがるか」

今、彼女が求めるものは生きた人間。
彼らが持っていた筈の支給品がその場に無い事を確認すると、
二つの死体から離れ、エルメェスは街の探索を続行した。


 * * *


時刻は、午後四時を経過した。
場所は【D-5】。街を円を描くように歩き続けたが、結局、誰と出会う事も無かった。

ふと立ち止り、エルメェス・コステロは周囲に耳を傾ける。だが、知覚するのは静寂のみ。
参加者は淘汰され、もはや、この一帯に何者も生き残ってはいないのだろうか?

しかし――自分は、『誰か』に出会わなくてはならないのだ。
荒木に敵対し、ゲームを阻止すべく行動している『誰か』に。
そして、伝えなくてはならない。
ウェザーとセッコがその命を掛けて暴き出した、あの恐るべき男の『秘密』を。

託された使命に従い、探索を続行する。
エルメェスは、街の南方に向けて歩き始めようとした。

……その時。

二人の人物――帽子を被った壮年の男と、その仲間らしき少年――が、
エルメェスの視界内に現れた。


 * * *


似合わぬ帽子を深々と被った男、ジョージ・ジョースター1世と、
盲目の少年、ナランチャ・ギルガ。
二人に戦闘の意思が無い事は一目で判った。

「あんた達も、この戦いを止めようとしている人間なんだな。
 それにしても、酷い怪我だ。何があった?」

「そうだな。では、始めから話そうか……」
ジョージ・ジョースター卿は、『ゲーム』が開始して以来の、
自らの経緯を簡潔にエルメェスに語り始めた。
教会から東のホテルに飛ばされ、自称ポルナレフことホル・ホースと出会った事。
ナランチャ、花京院との合流。エルメェスもその名を知る狙撃手、ジョンガリ・Aとの対決。
ホテルにスタンド使いが集合し、市街地に向かった事。そして……。

「――我々は、多くの仲間の命を失った。
 花京院君、ポルナレフ君……そしてF・F君。皆……私の責任だ」

ジョージの口から出たその名前に、エルメェスは驚きを隠せない。
「F・Fが……死んだだと!?」

「アヴドゥルって男に……花京院もろとも殺られちまった。
 俺が……奴への攻撃に失敗したせいだ」
説明を付け加えたのはナランチャ・ギルガ。
彼の側を見ると、機能を失ったその瞳からは涙が落ちていた。


「花京院も、F・Fも……みんな殺されちまったんだ。
 ジョルノも、トリッシュも……。きっと、アバッキオ達だってそうだ……。
 俺は……何も出来なかった」

咽び泣きながら後悔を続けるナランチャの肩を掴み、エルメェスは叱咤する。
「泣くなッ!……テメー、男だろ!?
 悲しみたいのは、あたしもジョージさんも同じだぜ!
 だが、今はグズグズしてる状況じゃあねえだろッ!」

ナランチャが泣き止むと、ジョージは話を続けた。
アヴドゥルの襲撃の為にチームが散り散りになった後、
二人は“空条承太郎”と名乗る少年と出会った。
そして今、ジョージ達は彼の仲間の待つ駅方面を目指していたのだった。

「空条承太郎……!? 徐倫の親父かッ!」

エルメェスの反応に、ジョージは意外そうな表情で訊く。
「君は……承太郎君を知っているのかね?
 それに、父親とは一体……」

「いや、承太郎さんとあたし達の関係については後だ。今はその話はいい。
 絶対に伝えなくてはならない、何よりも優先される重要な情報があるからな。
 ……あたしは、荒木飛呂彦の『秘密』を知っている。
 仲間達が、自らの命を犠牲にしてあたしに託してくれた『秘密』を」

「『秘密』……? 何だね、それは」

「荒木の能力の正体……教会の位置……全てをあんた達に話そう。
 あたしは、なるべく多くの参加者にこれを知らせたいんだ。
 ところで、ジョージさん。これからの行動方針について一つ提案がある。
 あたしは東方仗助って奴を追ってる。
 あいつのスタンド能力は、どんな負傷でも治す事が出来る」
「ほ……本当かねッ!? それならナランチャ君の眼も……」
ジョースター卿の言葉に、エルメェスは内心で苦笑した。
ジョージさん。他人を気に掛ける前に、自分の怪我を見なよ。
あんたの腹部の銃創も、中々酷い物だぜ……と。

「仗助は、瀕死状態のあたしだって治せたんだ。ナランチャの眼も治療可能だろう。
 そこで、だ。これからあたしと一緒に仗助を探さないか?
 ジョージさんの話を聞く限り、あんた達二人の現状の戦闘能力はゼロに等しい。
 もしもあんた達を見つけたのがあたしでは無く、
 いわゆる『積極的参加者』って奴だったなら……全滅していたかも知れないぜ。
 あたしの『ザ・キッス』は、自分で言うのも何だが……結構攻撃力には自信がある。
 全力であんた達を護衛する。どうだい、悪い話じゃあないだろ?」

エルメェスの提案を、ジョージは即座に了承した。
「私は構わない。しかし……君はどうだね?ナランチャ君」

二人のやり取りを聞きながら、
ずっと沈黙を続けていたナランチャ・ギルガが、漸く口を開いた。

「ああ、俺も……俺も行くよ。
 視力さえ治れば、『エアロスミス』も戦えるから。
 もう……もう負けられねぇ。荒木にも、DIOにも、誰にも……。
 ジョージさんも、俺が必ず護ってみせるから」

盲目の少年の、意外にも熱情に溢れたその決意に、思わずエルメェスはニヤリと笑った。
ただのガキだと思っていたが、中々強靭な意志を持ってるじゃねえか。

「よし、決まりだなッ!
 まず仗助を探す。きっとこの近くに居る筈だ。
 そして傷を治した後に、荒木打倒の為の仲間を集めるッ!
 あたし達の最終目標は、この馬鹿げたゲームの終結だッ!」

エルメェスは二人の新たな仲間と共に、街の探索を再開した。
決意を新たにした彼女の、その歩調は力強い。

果たして、彼女達は東方仗助に出会えるのだろうか?
生存者の中で、現在最も荒木に接近しているエルメェスの運命は……一体何処へ向かうのか?

To Be Continued...


【E-5/1日目/夕方】

【東方仗助捜索隊】

【エルメェス・コステロ】
[スタンド]:『キッス』
[時間軸]:スポーツマックスとの決着後、体調が回復した頃(脱獄前)
[状態]:無傷
[装備]:ライフル
[道具]:ドル紙幣等、大量の石ころ、ウェザーの舌
[思考・状況]:
1)仲間の負傷を治す為に東方仗助を探す
2)荒木の能力、居場所等をこれから二人に伝える
3)荒木打倒の為の仲間を集め、荒木の秘密を教える
4)徐倫との合流
5)打倒荒木


【ジョージ・ジョースター1世】
[スタンド]:なし
[時間軸]:ジョナサン少年編終了時
[状態]:腹部に弾傷
[装備]:狙撃銃、予備弾、ホル・ホースの帽子(ミスマッチは承知の上)
[道具]:レミントン2連装デリンジャー(予備弾あり)、トニオさんの包丁
[思考・状況]:
1)エルメェスと共に東方仗助を探す
2)駅前の承太郎の仲間との合流
3)危険人物相手には実力行使もやむを得ないが、出来る限り争いを阻止
4)打倒荒木


【ナランチャ・ギルガ】
[スタンド]:『エアロスミス』
[時間軸]:ヴェネチア入り後
[状態]:失明
[装備]:ヌンチャク、ハート型の飾り(@DIO)
[道具]:支給品一式 ・拾ったガラスの破片
[思考・状況]:
1)エルメェスと共に東方仗助を探す
2)駅前の承太郎の仲間との合流
3)ジョージさんを護る
4)ブチャラティに会いたい
5)打倒荒木


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キャラを追って読む

97:神への挑戦2 エルメェス・コステロ 114:荒木討伐隊①~合流~
98:因果 ナランチャ・ギルガ 114:荒木討伐隊①~合流~
98:因果 ジョージ・ジョースター1世 114:荒木討伐隊①~合流~