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 * * *

一気に間合いを詰める俺に対し、間合いを取ろうとする形兆。
御互い、自分のレンジに持って行く事が勝敗の鍵を握ると解っている。
先程の話し合いの時に少しずつ離されていた為、今は形兆の攻撃が一方的に届く距離。
バッド・カンパニーの攻撃を凌ぎながら、俺は何とかして近付かなければならない。
「バッド・カンパニー、構えっ!」
俺から形兆自身を護るように隊列を成す奴のスタンドに対し、
「スティッキー・フィンガーズ!」
俺はジッパーで地面を割る。
地面に生じた亀裂は形兆の方へ向かうが、
奴に届く前に形兆は、バッド・カンパニーごと脇へ避けた。
「ぬう!」
そして形兆は俺の攻撃で乱れた隊を整え、再び一斉掃射を仕掛けて来ようとする。
!!!
これは…。
見つけた。形兆の弱点を。
バッド・カンパニーの弱点では無い、“形兆自身の弱点”を。
形兆が攻撃を仕掛ける前に俺は壁をジッパーで円状に刳り抜き、
バッド・カンパニーの攻撃から護る様に俺の目の前に置いた。
「そんなもの、バッド・カンパニーの砲撃で打ち砕いてくれる!一斉掃射ァ!!」
形兆の攻撃に、壁はあっけなく吹き飛ぶ。
しかし、そんな事は最初から分かっていた。
だから俺は…。
「なっ」
形兆の驚き声が聞こえる。
動揺しているのだ。
壁を吹き飛ばし、その先に居る筈の俺が消えてしまった事に。

 * * *

一瞬、俺には何が起きたのか解らなかった。
壁を砕いたら、その先に居るはずのブチャラティの姿が見当たらなかったのだ。
何処に行った!?
予想外の事態に一瞬動揺するが、ふと、と或る可能性に思い当たる。
スティッキー・フィンガーズはジッパーを取り付けて切開するスタンド。ならば…
ブチャラティの居なくなった付近を斥候が調べる。
そして地面についたジッパーが目に入った。
何だ、そういう事か。
ブチャラティは地面をジッパーで開け、潜ったのだ。
「ちっ」
地面に向かって攻撃すべきかどうか迷う。
俺のスタンドの威力を考えると、
ブチャラティが浅い所にまで留まっていれば攻撃する事が出来るが、
地面深くにまで潜り込まれると、俺の攻撃は届かない。
下手に攻撃を仕掛けると逆に俺の周りの状況を把握しにくくなり、奴が近付く隙を与える事になる。
下手に攻撃を仕掛けるのは危険だ。
その内、ジッパーは完全に閉じて消滅した。
「………」
バッド・カンパニーを全方位に配置し、ブチャラティの出方を窺う。
奴は間違いなく地面から攻撃を仕掛けて来る。
それは解っているが、この場を動く事はしない。
下手に建物や端に移動し、地面から直接攻撃出来ないような場所に移動しても、
スティッキー・フィンガーズは建物自体を攻撃し、俺の足場を奪う筈。
ならば何処に居てもやる事は変わり無い。
俺がすべき事は1つ。
ブチャラティの攻撃の瞬間を狙い、バッド・カンパニーを叩き込む。それだけだ。
じっと足元を見据える。
残念ながらバッド・カンパニーの隊員に地中に潜れる者は居ないが、地面の振動から何処に居て何をしているかを予測する事は可能。
そして俺は、バッド・カンパニーに地面の様子を探らせた。


………?
コレは…。
地中でブチャラティは何かの作業をしているようだ。
地中を幾度も切開する振動が、俺(バッド・カンパニー)に伝わってくる。
そして“俺の居る位置からどんどん離れて行く”。
まさか、逃げるのか?
ほんの一瞬、そんな考えが持ち上げかけたが、完全に疑心となる前にその考えは打ち消される。
今までのブチャラティの行動から、それだけは決して無いと俺には解っていた。
奴は俺にスティッキー・フィンガーズを叩き込むのが目的。
今奴が行っているのは、その為の布石といった所だろう。
だが、ブチャラティが何故地中を切開しているのか、ソレが俺には解って…。

 * * *

ズバッ
ズバッ
地面に潜り込んだまま俺は更に地面を裂いていた。
どうやら形兆は、俺の動きを探っているらしい。
地面の振動から俺の動きを読み取っているようだ。
つまり形兆は、俺が地下から接近して来るタイミングを計り、十分に引き付けた所で俺に攻撃を喰らわそうと考えていると云う所か。
実際、その考えは正しい。
地上ほど俊敏に身動きを取る事が出来ない地中からの接近では、奴の下に辿り着く前にバッド・カンパニーの餌食となる。
だが、俺の狙いは別にあった。


ズバッ
ズバッ
只管地中を切り裂き、道を作る。
作る道は希望への道。
俺が“奴”に勝つ為の下準備だ。
「!」
突如、光が差し込んだ。どうやら外に通じたようだ。
外はH-7の橋の下辺りらしく、丁度外からは見えにくい部分に出来ていた。
知っている人間以外、先ず気付く事は無い位置に。
狙い通り。
“其れ”は完成した。
此れで俺の思惑通りなら、“奴”の裏をかく事が出来る。
一縷の望みを胸に、俺は道を戻る。
そして再び形兆の前に姿を現した。


 * * *

「!」
意外だった。
ブチャラティは俺から数mほど離れた所に姿を現した。
何を考えているんだ?この距離なら…
「この距離なら俺の攻撃は届かず、ただバッド・カンパニーの餌食になるだけだ」
不意にブチャラティが口を開く。
その内容は、正に今俺が考えている事だ。
「…と、考えているな?」
「あぁ」
実際その通りだ。この距離では奴が俺に攻撃する術は無い。
しかし、俺はもう一つ解っている事がある。
ブチャラティは、何の策も無く姿を現すような奴ではない。
何かがあるのだ。
それが解ってるからこそ、奴への攻撃が躊躇われる。
ブチャラティの狙いが解らない限り、迂闊な攻撃は逆効果だ。
いや、この場合“解っているからこそ”迂闊に攻撃出来ないのだが。
逡巡している俺に語り続けるブチャラティ。
「攻撃が届くんだよ。お前の弱点を突く事で」
「!?」

俺の弱点だと?
「冥土の土産に教えてやる。バッド・カンパニーではない、お前自身の弱点を」
もう良い。このまま膠着状態が続き、動揺を誘われる位なら、俺から攻撃を仕掛けてやる。
「面白い。そんなものが有るなら教えてくれ。但し、その前にお前が死んでいなければな。
バッド・カンパニー!」
「甘い!」
バッド・カンパニーが攻撃態勢に入ると同時に、スティッキー・フィンガーズが地面を叩く。
その直後、俺の足場が崩れた。
さっき地中に潜っていた時、既に俺の足場に工作していたか!
だが、この程度は十分に予測出来た事。
一足飛びで後退し、バッド・カンパニーも退く。
そして隊列を直し、攻撃態勢を整えようとして…
「それがお前の弱点だ」
ドガッ!!!
…俺は、ブチャラティの拳を喰らった。



 * * *

片腕にジッパーをつけて飛ばし、遠く離れた相手を殴る。
今までの闘いで何度も用いた方法を、形兆にも使った。
殴った拳で形兆を掴み、そのまま腕を元に戻して形兆を引き寄せる。
そして形兆の胸倉を掴むような形で語り掛けた。
「“几帳面過ぎる”それがお前の弱点だ。
お前は隊列を整えて攻撃する場合、攻撃を受けて一旦隊列が乱れると、反撃する前に隊を再整列させずには居られない。
しかし、それは致命的な隙を生む。
几帳面さが生む隙を克服しない限り、お前は勝負に勝つ事など出来なかったのだ」
「………く」
意識は飛んでいなかったらしい形兆は、ただ俺を睨みつける。そして…
「バッド・カンパニー…」
闘志は萎えていないようだ。最後の気力を振り絞る形兆のスタンドの照準が、俺に向けられた。
しかし、形兆が攻撃を仕掛ける前に…
「アリアリアリアリアリアリアリアリ!」
ドガガガガガガが!!!
形兆に叩き込まれる無数のスティッキー・フィンガーズの拳。
怒涛のラッシュに、バッド・カンパニーは攻撃出来ずに消滅する。
拳を叩き込まれた腕が、足が、首が、胴が、ジッパーにより切り離され、
形兆はフィレンツェ行列車の戦いでの俺の様にバラバラになり、俺が先程開けた地面の亀裂へ落ちて行く。
そして、俺と形兆の対決は幕が下りた。


後やる事は1つのみ。
俺は地面の亀裂の中を確かめ、“ジッパーを閉じた”。
地面の亀裂はジッパーと共に消滅し、
最後に残っていたのは2つのディバッグと鳥から外した首輪、そして形兆に付いていた首輪だけだった。
「アリーベ・デルチ」
俺の呟きは誰に届く事も無く、風により掻き消された。

全ては俺の計画通りに終わった。
此の“勝負”、俺の勝ちだ。
“死なずに済んだ事”が、勝利の何よりの証。
俺は“奴”の裏をかく事が出来た。
今回の一連を踏まえ、荒木打倒のイメージの輪郭が少しずつ鮮明になってきた。
突き進もう。荒木打倒に向けて。
だが、其の前に…
「さて、ミキタカ。遅くなって悪かったが、今から一直線にお前の下へ向かう事にする。
必ず助けてやる。だから心配するな」
此れからの行動方針を敢えて口にする事で、決心を確固たるモノとする。
今の俺にとっての最優先事項は“ミキタカの救出”だ。
第二放送でミキタカの名が呼ばれなかったのは、俺にとって数少ない朗報だった。
もう寄り道せずに助けに向かおう。
ジョルノやトリッシュのように手遅れになる前に。
そして、俺は血痕を調べに向かった。



 * * *

目覚めた時、俺は洞窟に居た。
真っ先にそれを確認すべく、首元に触れてみる。
そこに首輪は………………………………無かった。
そうか。“アイツ”の計画は成功したという事か。
この後の計画は、“アイツ”の指示通りだ。
つまり、ここで“奴”に気付かれないように身を潜める。
今俺が居る場所はH-7の地中。15時になれば禁止エリアに指定される場所だ。
首輪の無い俺にとって、禁止エリアこそ最も安全なのだ。
俺だって、ただ自分だけ安全な場所に居れば良いと思っている訳じゃない。
助けたい奴が居る。埋葬してやりたい奴が居る。斃したい奴が居る。
だが、今の俺にそれは許されないのだ。
………荒木を斃す為に。
だから俺は、“アイツ”を信じよう。
荒木の居場所を突き止めた“アイツ”が知らせに来るのを、今は待っていよう。
荒木の居場所さえ分かれば、首輪の無い俺ならば荒木を暗殺する事が出来る。
その時が来る迄“アイツ”を信じ、待つのが今の俺のすべき事だ。
荒木の支配から逃れた俺こそが、荒木を斃す唯一の可能性なのだから。


【ギャングと軍人と宇宙人(但し現在、宇宙人行方不明)】チーム解散
【路上 (H-6)/1日目/午後】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[状態]:無傷(かすり傷は無視出来るレベル)。右腕の袖がズタズタに引き裂かれている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式×2(1つは地図無し)。フォーク。首輪×2
[思考]:
1)ワムウ達を、日光も利用して彼らを倒す。2人に捕らわれているミキタカも救出する
2)1)の為に血痕を調べ、血痕の跡を辿る
3)機会があれば仲間と合流
4)なるべく多くの人を救う
5)荒木の打倒。其の為の秘策アリ???
6)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、回収した首輪の内部構造を調べる

[補足1]:ブチャラティはトリッシュがスタンドを使えた事を知りません
[補足2]:ディバッグの1つ(形兆が所持していた分)は、亀裂の中に落ちて行きました。



【虹村形兆 死亡】


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時系列順で読む


キャラを追って読む

91:形兆死亡(前編)~覚醒~ 虹村形兆
91:形兆死亡(前編)~覚醒~ ブローノ・ブチャラティ 111:ブチャラティがCOOL!
??? 113:孤軍奮闘