ど~もさっきからおかしいのよねぇ~。
え?何がおかしいのかって?記憶よォ、キ・オ・ク。
それがねぇ~変なのよォ。アタシさぁ、いつの間に口の中に角砂糖入れたの?
ずっと角砂糖の入った袋を手に下げてブラブラ振り回してたけど・・・
アタシが食べるときはいつも徐倫にも「食べる?」って聞くのにね。
――まぁさっきアタシが言った事に動揺してるのか、徐倫も考え事してるみたい。
  そりゃあそうよねぇ~、自分の父親が自分のことを知らないかもしれないんだから。――
・・・とにかく、考え事をしてるせいで1テンポ反応は遅れるけど徐倫はそれでもアタシの漫才に付き合ってくれるしィ。
なのにアタシが徐倫に聞かないで食べたし、徐倫も「またミドラーの野郎がアタシに聞いてくる」みたいな表情してないもの。
どうも徐倫のほうもどっかの記憶が飛んでるみたいねぇ・・・
なんかこう・・・う~ん、十秒くらいかな?あたしの記憶が抜けてるところ。しかも・・・飛び飛びに抜けてるみたいなのよね。
もっとも、記憶が飛んでるところが分からないんだからそれさえも曖昧なんだけど・・・
しかも今までずっと誰にも出会わないでここまで順調に来たってのに急にこの感じ。
誰か新手のスタンド使いが近くにいるのかしら?徐倫にはそんな能力なさそうだし。
そんな便利な能力もってたらとっくにアタシに攻撃するもんね。アタシならするもん。
――ふぅ。よくよく考えたらアタシ徐倫の能力マトモに知らないのよねぇ~。まっ、別にいいんだけどさ・・・ん?
今そこの木陰から出てきたのは誰かしら?こっち見てるけどアタシの知らない顔ね・・・
なんかあの前髪は―――そう、承太郎の仲間の・・・カキョーインだっけ?あんな感じだけど。流行ってるのこの髪型?
でも別人かしら?本当はアタシの女教皇で探りを入れたいんだけどさ、ほらさっき記憶の操作されたばっかりでしょ?
なんかいやな予感がしてね。あんまり迂闊には近づかないわよ。野生の勘ってヤツかしらね?
まぁコイツの事も上手く利用できるかしら?なんか徐倫よりも動かしやすそう。正直言って弱そうだもん。アハハッ。

 * * * * * * * * * 


ずっと考え事をしていたあたしでも木陰に誰かいるのはわかってた。
誰か、までは分らないしあたしの知ってる人じゃあない。だってソイツは“隠れて”るんだもの。
そりゃあ「殺し合いに乗ったから奇襲でもかけてやろうか」なブッ飛んだ奴か、
それとも「殺されたくないから仲間を探して安全にいこう」な策士か。このどっちか、と言えるんじゃない?
ソイツがこっちに出てくる。何も言わないけどミドラーもどうやら気付いてはいたみたい。こっちに声はかけてこないけどね。
え?声掛けてきたら殴るだろって?そりゃあそうだけどこの状況だもの、とりあえずコイツをどうにかやり過ごすまでは仲間割れはしないわよ。
「あの~すいませェん」
・・・なんだこの弱々しい声。お前男だろ?もうちょっとシャキッとした話し方しろよなぁ。そんなんで水族館に入ったら身も心もタカられてボロボロになるわよ。
ったく、これじゃあエルメェスのほうがよっぽど男らしい感じがする。エルメェスには口が裂けても言えないわね・・・ってミドラー?
「なに?アタシはミドラー、こっちは徐倫よ」
――まさかとは思ったけど、テメェ勝手に話進めてんじゃねェよッ!こいつは仲間か敵かもわからない状況だぞッ!名前まで名乗りやがってッ!!
・・・まぁ、紹介されたんだ。いきなり相手の目の前でミドラーを殴らなくてもいいだろう。あたしも口を開く。
「・・・よろしく。―――あなたは?」
「あ、すいません。僕の名前はドッピオといいます。で、いきなりですいませんが僕仲間を探してずっと歩きまわってたんです。
 誰か一緒にいてくれる人がいないと心細くて・・・僕と一緒にいてくれませんか?」
なるほどね。仲間探しか・・・あたし達みたいに誰か特定の人を探してないってところが少し気になるけど・・・誰も仲間とかいない訳?
ドッピオというその男が少し近づいてくる。ミドラーは何も言わなかったけどなんだか余裕を見せた表情で立ってる。この男を騙して動かそうってのか?
でもミドラーの事だ、下手したら“弾よけ”に使うかも知れないな・・・まぁ、人数がいれば次に誰か遭遇した時にもいきなり攻撃されることはないだろう。別に断る理由も・・・

――――――!!!


なんだ・・・コイツの“袖”は!?
こいつの服の右手―――その袖のところにほんの少しだけ血のようなシミが出来てる?
そう、右手そのものには血が付いてないし、服にも血なんて全然付いてないのに・・・なんで袖だけ?もしかして・・・洗ったの!?
って事はこいつはあたし達に会う前に誰かと殺り合ったのか!?だとすればコイツは「今危険な奴に追っかけられて逃げてきた」のか・・・「今さっき誰かを殺してきた」のか・・・!?
まさか・・・そうしたら今さっき何回かあった“ある時間の記憶がなくなる能力”の持ち主はもしかしてコイツ!?
どっち道ヤバいってことには変わりなさそうね――危険な奴がコイツを追っ来てるのならあたし達にも危害は及ぶし、コイツが殺して来たってのなら尚更ヤバいッ!
あたしは“水族館”にブチ込まれてから“ヤバい奴”ってのは大体の感じ―――『におい』みたいなもので何となくわかる。
まぁ・・・水族館にいた頃はどんな時、どんな場所でもあたしに近づいてくる奴らはみんなしてヤバい奴らだったけど・・・
とにかくコイツに心を開いてはマズい“ヤバい奴”だし―――もちろん、ミドラーにも。
どうしよう・・・サッパリわからない。てっとり早く二人ともブチのめすか!?でも・・・誰かに見られたりでもしたら正当防衛だとしてもあたしは“ゲームに乗った”と言われるかもしれない・・・
いや、そもそも・・・下手したら2対1になるこの状況であたしの『ストーン・フリー』に勝算はあるの?しかもコイツが推測どおり“記憶を消せる奴”だったら・・・?
どうにかしてコイツを敵か味方か判別する方法は・・・―――
あたしはどうしたらいい・・・?教えて、誰か・・・――――



【杜王町南、川沿いの道(H-4)/1日目/昼(放送数十分前)】


【ドキッ! 女だらけの承太郎捜索隊】

【空条徐倫】
[スタンド]:『ストーン・フリー』
[時間軸]:『ホワイトスネイク』との初戦直後。エルメェスがスタンド使いだとは知らない。
[状態]:健常
[装備]:自動式拳銃(支給品)
[道具]:道具一式
[思考・状況]
1.コイツ(ドッピオ)をどうする?※必要ならブチのめすか?
2.ミドラーと町を移動する。
3.父親に会う。(ジョースター一族の星のアザの影響でなんとなく位置がわかるらしい)
4.ミドラーを警戒し、ミドラーの『秘密』を探る。

【ミドラー】
[スタンド]:『女教皇(ハイプリエステス)』
[時間軸]:DIOに承太郎一行の暗殺依頼を受けた後。
[状態]:健常
[装備]:無し
[道具]:道具一式、角砂糖(大量。手提げ袋に入っている)、テキーラ酒
[思考・状況]
1.コイツ(ドッピオ)をどうする?※手駒として動かしたい。
2.徐倫と町を移動する。
3.生き残る。
4.徐倫の信頼を得て、手駒として動かしやすくする。
  そのため違う時代にいた自分達がここに存在する謎を話したが、スタンドを彼女に明かした以上に使うことは極力避ける。
5.今のところはこれ以上徒党を組む必要性を感じていないが、好みのタイプである承太郎は別。
6.程良いタイミングで徐倫を殺害し、放送で徐倫の名前が呼ばれた12時間後に『トラサルディー』へと戻る。

※徐倫は『女教皇(ハイプリエステス)』の能力を「物体に潜る事ができるだけ」だと思っています。
※徐倫・ミドラーともお互い話し合ってはいないですがキング・クリムゾンの能力を「記憶を消す能力」だと思っています。
※徐倫・ミドラーともお互いの能力を完全に理解しているわけではないですが時を消す能力の持ち主でない、と言う確信はあるようです。

【ディアボロ・ドッピオ(現在ドッピオ)】
[スタンド]:『キング・クリムゾン』
[時間軸]:リゾットに勝利後、ローマに向かう途中
[状態]:健康
[装備]:DIO様の投げナイフ、ミスタの拳銃
[道具]:支給品×2、またプロシュートの支給品から食料等をゲット
[思考・状況](ドッピオの思考):
1.ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認
2.向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取りあえず行動を共にする
3.こいつらがボスの支配出来る人間かどうかを確認
4.支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害


[補足1]:ディアボロの思考1…ブチャラティ、ジョルノ、ナランチャ、ポルナレフ、リゾットの始末及び空条承太郎を警戒
[補足2]:ディアボロの思考2…支配される者達の探索
[補足3]:ディアボロの思考3…荒木の打倒。その後自分が支配者となる

※ドッピオは徐倫が袖口の血を見ていることに気付いていません。


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キャラを追って読む

55:思い知らせてあげる ミドラー 101:擬似娚愛は嫐乱す(前編)
55:思い知らせてあげる 空条徐倫 101:擬似娚愛は嫐乱す(前編)
81:頂点に立つ者として ディアボロ 101:擬似娚愛は嫐乱す(前編)

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最終更新:2007年07月22日 16:21