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泥だらけになった形兆の手を俺は眺める。
さっきまでこいつの家の庭を掘り起こしていたその手を。
「この期に及んで埋葬だなんて言い出すとはな」
「几帳面な性格なんでな。死体だろうが何だろうが、放置ってのは主義じゃねぇんだ」
そう、俺が形兆の許可を得て家捜ししている間、形兆は鳥の死骸を埋葬していた。
幾ら几帳面とはいっても、いつ死ぬかも分からない状況で、埋葬だなんて余裕があるとはな。
「…」
立ち上がり、僅かの黙祷をする形兆。
「で、その手はどうするんだ?お前の家も、水通っていないようだが」
「河に戻っていいか?手は洗いたい」
「やれやれ…。まぁ、ついでに血の痕について調べるか。
あれがミキタカのものなら、血の痕はあの橋から始まっている筈だからな」
俺の言葉に、形兆は成程と頷く。
「バッド・カンパニー」
そして再び形兆はスタンドを出し、先導する。
俺は形兆に付いて行った。
しかし、40人前後の人間が徘徊するこの街を誰にも会わずに橋に辿り着く事自体不可能な筈だったのだ。
暫く歩くうち、ふと形兆が足を止める。
「どうした?」
俺の質問に、形兆は声を潜めて返事を返した。
『あの十字路を左に折れた所に誰かが居る』



 * * *

北上を続けた俺は、途中でとんでもない相手に会ってしまった。
ブローノ・ブチャラティ。
真っ先に殺害すべき相手の一人であり、また今の怪我の具合から絶対に戦闘を回避したい相手。
そしてもう一人、見知らぬ男。
ブチャラティと一緒に居る事を考えても、恐らく仲間だろう。
ここは姿を隠してやり過ごす事が第一。
もしも俺が突けそうな隙を見せたら殺す。
そう考え、俺は風景に姿を溶け込ませようとしたのだが、
「その影に隠れている人間。出てこなければ手荒な真似はしない。姿を見せろ」
「!」
ブチャラティの声が掛かる。
既に俺のことは察知されていたらしい。
しかし、別の考えが首をもたげた。
そういえば奴は俺のことを知らないのだった。
だったら奴の呼び掛けに応じ、十分近づいた所で奇襲を仕掛ければ奴らを斃せる!
そう考えた俺は、素直に姿を現した。



 * * *

「!」
目の前に現れた男は、死闘を演じたと一瞬で分かる程の重傷を負っていた。
「お前は?」
「見ての通り、妙な男に襲われ怪我を負わされた者だ。
悪いが病院まで連れて行ってもらいたい」
「…」
こいつに害意が無いのなら、直ぐに処置を施すべきだ。
俺は肯いた。
「だが…」
「?」
「一つだけ確かめさせてくれ。お前はこのゲームに乗ったり、
俺たちに危害を加えようとしている人間では無いのだな?」
「あぁ。それは勿論だ」
俺の目を見つつ断言する男。
その男を見て、俺は確信した。
「成程、………お前は敵だな」
その男の、流れる汗を見て。
この男の演技は本物だった。
男の目だけから判断すれば、俺は先ず間違いなく騙されていただろう。
ただ、怪我の所為か、奴は汗を流していた。
そして、俺が一番確信を持てる確認手段を以って“奴が嘘を吐いている”と見破る事が出来たのだ。
「!!」
「!何だって!?」
俺の言葉に、形兆が驚きの声を上げる。
「何でこいつが敵だって分かるんだ!?」
勢い込んで俺に尋ねる形兆に、俺はスタンド能力とは違う自分の特技を教えた。
「俺は相手の嘘を見破る事が出来るからだ。こいつは俺の質問に嘘を吐いた」
「おいおい。何バカな事を言って…」
形兆は呆れ声を出すが、男の反応は対照的だった。
「…!しまっ…」
汗を拭う男。
そうか、こいつは俺のことを知っているのか。
俺の“汗を見ることで嘘を見破る特技”を。
こいつの正体は大体見えてきたが、取り敢えずはこいつが俺達に攻撃出来ないようにする必要がある。
「ん?何だ?」
いきなり意味不明の行動をとる男を見て、形兆は疑問を口にした。
「こいつは知っていたみたいだな。俺が“相手の汗を見る事で嘘を見破れる”という特技を」
「何?お前、本当に嘘を見破れるのか?」
俺は形兆の問いに無言の肯定を返す。
「でも、お前はあいつの事を…」
「知らない。向こうが俺を一方的に知っているだけだ」
男はじりじりと後退し、間合いを取る。
奴は俺の事を知り、俺たちは奴の事を知らない。この状況は何とかしなくてはな。
『形兆、提案がある』
奴と対峙しながら、俺は形兆に向かって小声で告げた。



 * * *

『奴は俺が相手する』
ブチャラティは小声で俺に言う。自然と、返す俺の声も小さくなる。
『何でだ。二人掛かりで攻撃すりゃいいじゃねぇか』
『いや、先ず間違いなく奴はスタンド使いだ。
それで二人して奴のスタンド能力にやられたら元も子もない。
先ずは俺が近付き奴のスタンドを暴く』
『だったら俺のバッド・カンパニーで…』
そこまで言って気づいた。
そうか、奴はブチャラティのことを知っている。多分スタンドもだろう。
しかし、奴からしてみれば、まず間違いなく俺のスタンド能力を知らない。
俺たちが奴のスタンド能力が解らないのを脅威に思っているように、
奴は俺のスタンドを知らないのが脅威なのだ。
だからブチャラティは、自分が囮になって
奴より先に相手のスタンド能力を見極めようとしているのだ。
自己犠牲の精神って奴かよ。俺には解らねぇ。
『気付いたようだな。ここは俺に任せろ』
それだけ言って、ブチャラティは男に向かって行った。



 * * *

「スティッキー・フィンガーズ!!」
俺は男に向かって突進した。しかし…
「甘い!!」
突然、地面から無数の針が飛び出す。
「!!」
こちらに向かい飛び出る針を叩き落す。
「ブチャラティ!」
形兆の声が後ろから聞こえる。
「大丈夫だ。これ位の攻撃突っ切って奴をぶちのめしてやる」
しかし、その間に奴は次の攻撃態勢に入っていた。
「バカめ!!本当の攻撃はこっちだ!」
「左だ!危ねぇ!!」
形兆の声にそちらへ顔を向けると、
巨大なフライパンの底の様な円形の鉄板が突如現れていた。
ドガッ!!!
そしてそれが俺を襲い、俺は吹き飛ばされた。



 * * *

奴のスタンドは射程距離が短い。
しかし、射程距離に入ってから奴の体内の鉄分を使って何かしようとしても、その前に近づかれてやられる。
ならば俺のとる方法は一つだった。
奴の射程距離に入らずに殺す。
刃物で殺すことが出来ないのなら、防御不能の衝撃を与えてやればいいだけの話だ。
吹き飛ばされたブチャラティは気を失っていた。
「とどめだ!!喰らえ!メタリ…」
カシャ。
「!!」
ブチャラティの息の根を止めようとしたその時、殺気を感じた俺はその場を飛び退いた。
ドッグオ~ン!
そして先程まで俺が居た場所が爆撃される。
爆発の仕方から、ナランチャのエアロスミスを想起させた。規模は小さいようだが。
「…!」
その間に、ブチャラティと一緒に居た男がブチャラティの下へ駆け寄る。
なるほど、今の爆撃は奴の仕業か。
男はブチャラティを抱えて間合いを取った。
「やはり邪魔するか」
「成り行きとはいえこいつとはチームを組んだ仲でね。
貴様がこいつを殺すとかゲームに乗るとか言うのなら、俺が貴様を殺す」
「フン、大した余裕だな」
「そりゃそうだ。
俺はお前の能力を鉄製の物を操る能力と解っている。しかし、お前は俺の能力を知らない」
「それだけで勝った気か」
何のことは無い。奴は俺の能力を勘違いしている。
なら逆に、その勘違いを利用すれば俺の方が有利。
「それより重要な事が解った。
貴様はブチャラティがかなり近づくまで攻撃しなかった。つまり」
「…!」
俺は、この金髪男の言わんとすることに気付いた。
奴はブチャラティを抱え俺の射程距離の外に逃げたが、奴の射程距離内ではあるのだ。
マズイ!近付くか逃げるか迷うのは一瞬。
奴の射程距離がわからない以上、逃げは無い!
俺は奴に向かった、が…
「つまり貴様の射程距離は俺に劣るという事だぁ~っ!!
バッド・カンパニー!」
いきなり軍隊のジオラマのようなスタンドが出現し、
俺に向かって銃を構える。
俺は方向転換し、とっさに脇の家へ逃げた。
ドガガガッ!!
ついさっきまで、俺が居た場所に軍隊が一斉掃射する。
単発の攻撃ならさほど威力は無いが、まとまった攻撃を喰らうと十分致死ダメージだ。
何とかして射程距離まで近付かなければ。
さて、どうするか。



 * * *

門壁に隠れたまま、奴は大人しくなっていた。
思った通りだ。この距離なら奴のスタンドは使えない。
近付かせずに攻撃を仕掛ければ奴を斃せる。
ましてや、我がバッド・カンパニーは鉄壁の防御。
それくらいのミッションは造作もない。
俺は隠れたまま動こうとしない男に告げた。
「いつまで隠れている。隠れているだけじゃ俺を殺せんぞ」
「…」
「何か策でもあるんじゃないのか?」
「…」
「フン、だんまりか。なら俺の計画を話してやる。
まず、我がバッド・カンパニーは貴様をそこから引きずり出す!貴様は隠れる場所を失う!
次に、足にダメージを与える!最早逃げることも出来なくなる。
そこでバッド・カンパニーにより爆殺すると予告しよう」
「…その通りにやられるハズがないだろう」
ここで初めて、やつは返事をして来た。
「几帳面な性格でね~。この順番にやるといったらやる!
バッド・カンパニー、一斉掃射ァ!!」
ドガガガガガガ!!!
「くっ」
奴を陰から引きずり出す。
「くそっ」
奴は隣の家に移ろうとする。
しかし、俺はその行動を読んでいた。
奴は再び隠れるか、俺に向かってくるかのどちらか。ならば…
ドグォ~ン!
「ぐっ!」
予め仕掛けておいた地雷を奴が踏む。
これで奴はまともに移動出来なくなった。
「計画通りだな。さぁ、最後だ!バッド・カンパニー!!」
バッド・カンパニーは一斉掃射の構えに入る。
その時だ、奴がこう言ったのは。
「無駄に計画なんぞ口にするから、お前は敗北する」
「何?俺が敗北だと?」
「計画通りに行ったお前は慢心し、自分の策に溺れていたんだ」
「!?」
「ハッ!!」
そして奴がいきなり何かを投げる。
しかし、それ位の事で怯むバッド・カンパニーでは無い。
「狙撃兵!打ち落とせ!」
俺は飛んで来た物を打ち落とそうとして…
ドガン!!!
「なっ!!」
狙撃兵の銃が全て暴発した。



 * * *

投げたのは先の闘いでちぎった俺の指だった。
俺の体の一部でいい。メタリカが射程距離に入れば奴への攻撃は出来る。
メタリカは、奴のスタンドの銃口を塞いだのだ。
銃は暴発し、奴は自滅した。
「イー」「イー」
奴の狙撃兵は暴発に巻き込まれ死亡したり、重症を負っている者が殆どだ。
そして奴本人も、体の至る所に裂傷が出来て膝をついた。
「イー」
歩兵部隊や戦車が奴を護ろうとしているが、既に無意味。
奴らの攻撃は狙撃兵と同じように封じている。
既にメタリカの射程距離に入っているのだ。
奴のスタンドもそれには気付いているのか、攻撃は仕掛けて来ない。
「良い勉強になった。計画通りに遂行している時こそ細心の注意を払わなくてはならないと」
奴が膝をついたまま呟く。
「気分が悪いものだな…計画通りに行かないのは」
「喋る必要は無い。今楽にしてやる」
俺は奴の喉下にカミソリを出し、かっ切ろうとした。
しかし、奴はこう続けた。
「しかし、予告通りは気分がいい」
「何?」
次の瞬間、首元で何かが爆発し、その直後更に大きい爆発が起こった。
そして…



 * * *

このゲームのルール、“首輪を外そうとすれば爆発する”。
首輪を破壊しようと衝撃を与えると、爆発するのだ。
例え本人じゃなくても。
「イー」
奴の首輪に時限爆弾を仕掛けたグリーン・ベレーが戻って来た。
時限爆弾だけじゃ奴の首を吹き飛ばす事は不可能。
しかし、首輪を誘爆する事位なら可能だったのだ。
予告通り、バッド・カンパニーによる爆殺は完了。
後はブチャラティの無事を確かめるだけだ。
「ご苦労。持ち場に戻れ」
「イー」
俺の言葉に敬礼したグリーン・ベレーはバッド・カンパニーの隊列へ戻って行く。
そして俺は、気絶したままのブチャラティへ顔を向けた。
「ブチャラティ。おい、ブチャラティ」
頬を叩きながら呼び掛ける内、ブチャラティは目を覚ました。
「気付いたか」
「あぁ。…!
形兆!お前、その怪我…!」
「奴に少し粘られただけだ。大した怪我じゃない」
「そうか…。奴は?」
「…」
無言で肩越しに後ろを指差す。
「そうか。助かった、有難う」
いきなり奴が礼なんか言ってきたんで、俺は思わずうろたえた。
「いきなりなんだ!?」
「俺の代わりに奴を斃してくれたのだから、礼は当然の事と思うが」
「ったく、お互い様だ!
お前も奴を斃す為に我が身を張っただろうが」
「それもそうか」
何だってんだ、調子狂うぜ…。
俺はそっぽを向き、立ち上がる。
「どうした?」
ブチャラティの質問に、死んだ奴のディバッグを拾い上げながら答える。
「持ち物検査。…と、何だ。役に立ちゃしねぇ」
ディバッグの中には支給品以外食糧も水も無い。
俺は調べたディバッグをブチャラティに向かって投げた。
受けた奴が中身を調べる間、俺は死体の側へ向かう。
それに気付いたブチャラティが声を掛けて来た。
「…几帳面な性格だから、か?」
「あぁ、わかってるじゃねーか」
そう言って、死体を担ぎ上げようとする俺を、ブチャラティが
「待て」
と、制止する。
「何だ?」
「その死体を調べたい」
「そっか。まぁ、何か出て来るかも知れないしな」
「あぁ。形兆はバッド・カンパニーで周囲を見張っててくれるか?」
そう言って、首無し死体のガサ入れをするブチャラティ。
気になった以上、俺も周りを見張りながらブチャラティの作業を眺めていたが、
死体調査なんて気分のいいモンじゃない。
何でコイツは、こうも平然と探りを入れられるんだ?
俺以上の修羅場を潜っているとしか思えんぜ。
そして数分たって作業を終えたらしい、ブチャラティは
「甘過ぎる…」
と呟いて立ち上がった。


「ん?何か分かったか」
「あぁ。取り敢えずは調査も終えた。話す前に埋葬するか?」
「そうさせてくれ」
「分かった。スティッキー・フィンガーズ!」
ブチャラティはいきなり地面を叩き、地面にジッパーを引っ付けた。
「何してんだ?」
「ホラ、ここに入れろ。ちんたら埋葬している間に、又敵と遭遇したら敵わん」
合点が行った。が、よく考えたら鳥の時もこうすりゃ良かったじゃねぇか。
「これからは毎回頼むぜ」
そう言って俺は、ジッパーの中へ死体を入れる。
墓標代わりに奴のディバッグを添え、僅かの時間の黙祷。
再び目を開けた俺は、改めてブチャラティに向き直った。
「結局お前は、こいつの正体がわかったのか?」
「あぁ、さっきも言った通り、俺はゴロツキでな。人から恨まれる事も多い。
大方コイツはその一人だろう」
ブチャラティの説明はたったそれだけの漠然としたものだった。
どうやらあまり深いことは口にしたくないようだな。
「で、お前の『甘過ぎる』の意味は?」
続けざまの質問にブチャラティはこちらを振り向き、
「耳聡いな」
と一言おいてから説明を始めた。
「この男は俺達に会う前に誰かと死闘を演じていた。
で、この男を撃退した人間の人間像が浮かび上がって来た」
「!?ちょっと待て。何でコイツが闘って敗れたって解るんだよ?
怪我したが相手は殺したかも知れないじゃねぇか。
それに不意打ちを喰らった可能性だってあるだろう」
「それらの可能性は限りなく低い。勝ったにしては、ディバッグの中身がお粗末過ぎる。
それに、不意打ちなら傷は後ろに出来るものだろう」
「…」
そうか、コイツのディバッグには食料と水が無くなっていた。
こいつが勝ったのなら、相手のディバッグから食料と水を奪うはずだ。
なのに何故無いか。理由は明白、コイツは奪われる側だったってことだ。
「ってことは、コイツは負けながらも一命を取り留めて、俺たちの前に姿を現したってことか?」
「あぁ。そうなんだが、ちょっとニュアンスが違う」
「?」
ニュアンスが違う?どういう事だ?
「この男は命を取り留めたんじゃない。
コイツを撃退した人間は、明らかにコイツの命を奪う意思が無かった」


「!?何でそこまで解るんだ?」
ブチャラティは死体を指差しながら答える。
「奴の傷、一見派手だが手当をして安静にしていれば命に別状は無い程度だ。
何故だか解るか?」
「コイツに攻撃した男がさほどの攻撃力を持ってなかったか、加減をしたか…。
多分後者だろうな」
ここでようやく、ブチャラティの言わんとすることが理解出来た。
成程、コイツが俺たちと会う前に戦っていた男は、闘った相手の止めを刺さなかったってことだ。
「成程、甘過ぎる。こいつがその場で殺されていれば、俺たちがこんな目に遭うことも無かったのにな」
「それだ」
独り言に近い俺の言葉にブチャラティが突然口を挟んできたので、俺は驚いた。
「何だよ?いきなり」
「俺やお前の仲間を護る為に、どうしても殺さなくてはならない相手がこれから出て来る。
“味方を護り敵もなるべく殺さない”など二兎を追うような真似すると、必ず取り返しのつかない事になる」
「…」
「だからお前にも今一度確認しておきたかった。“護りたいものの為に殺人が出来るか”と」
じっと俺の目を見据え、確認してくるブチャラティ。
俺はその返事に迷う必要が無かった。
「あの墓を見りゃ解んだろ」
「…そうだな」
ブチャラティは奴の墓へ視線を向け、呟くように返事した。
それにしても。
ブローノ・ブチャラティ。やはりこいつは侮れない。
洞察力、気高さ、知恵、思考能力、カリスマ等全てが人並み外れている。
そんじょそこらの修羅場程度を潜っただけじゃ無いはずだ。
それに、以前言ってた『幹部』という言葉…。
俺はブチャラティにもう一度同じ質問をすることにした。



 * * *

「なぁ、ブチャラティ。もう一度訊くが、お前は何者なんだ?」
何故か同じ質問をする形兆に、俺は今までと同じ返事をする。
「何度も言ってるだろう。ただのゴロツキだと」
「その汗は、嘘を吐いてる汗だぜ」
「…」
勿論嘘だ。俺は汗なんて掻いていない。
つまり、形兆はこう言いたいのだ。
『俺はお前の本当の姿を教えて欲しい』と。
しかし俺は、
「成程、お前も俺と同じ特技を身に付けたか」
とだけ言ってバッグを担ぎ上げる。
こいつが知る必要は無い。形兆とは住む世界が違う人間なのだから、俺は。
だから俺は別の話題を振る。
「さて、河へ向かおう。早く血の調査をし、ミキタカを助けに行かなければ」
はぐらかされたのが分かったのだろう。形兆は
「そうだな…」
と言ってバッド・カンパニーを出す。
そして、俺と形兆は並んで南へ歩き出した。
何時の間にか太陽は高く上がり、南下する俺達の視界に入る位の位置に在った。

【ギャングと軍人と宇宙人 (ただし現在、宇宙人行方不明)】
【路上(H-5)/1日目/朝】

【虹村形兆】
[スタンド]:『バッド・カンパニー』
[時間軸]:仗助と康一が初めて虹村兄弟と遭遇する直前。そのため父親を殺すことしか考えていない。
[状態]:全身裂傷。バッド・カンパニーの狙撃隊の一部が呼び出せない
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
 1)ブチャラティに協力し、ワムウ達を倒す
 2)『ゲーム』に乗っていない参加者と相対したら、『脱出』という言葉を仄めかして、仲間に誘う
 3)億泰を……どうする?
 4)参加者の中にチラリと見た東方仗助に警戒感
 5)ブチャラティは自分のことを話したくないようだ。敵で無いのなら、無理に聴き出すことも無いか
 6)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、ブチャラティの首輪調査が失敗した瞬間を狙って、周囲の人間を奇襲、殺害する
(万が一首輪調査→解除のコンボが成功した場合、或いはブチャラティが途中で死亡した場合の身の振り方は未定)

【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:スティッキィ・フィンガーズ
[時間軸]:サンジョルジョの教会のエレベーターに乗り込んだ直後
[状態]:右腕の袖がズタズタに切り裂かれているが、本人はかすり傷程度。リゾットの攻撃による全身打撲は引き気味
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2 、フォーク、ペット・ショップの『首輪』
[思考]:
 1)ワムウたちが仲間を襲う前に、日光も利用して彼らを倒す。二人に捕われているミキタカも、救出する。
そのために橋の血痕を調べに行く。
 2)機会があれば仲間と合流する(トリッシュがスタンドを使える事に気付いていない)
 3)なるべく多くの人を救う
 4)アラキの打倒
 5)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、回収した首輪の内部構造を調べる

【リゾット・ネエロ 死亡】


投下順で読む


時系列順で読む


キャラを追って読む

57:オレが生まれるためだけに 虹村形兆 79:発覚する疑惑
57:オレが生まれるためだけに ブローノ・ブチャラティ 79:発覚する疑惑
56:『真っ直ぐに』 リゾット・ネエロ