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見知らぬ遺言、見知らぬ魔法」(2008/02/11 (月) 23:34:01) の最新版変更点

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――2人が巡り合ったのは、またしても死体だった。今度は2つ。 「……ひどいモンじゃのォ」 「どちらも完膚なきまでに死んでいる、か……。  これで3人……最初の『透明なゾンビ』も加えれば、4人目の死体ね」 それはどちらも目を背けたくなるような凄惨な死体だった。けれども、男と女は僅かに眉を寄せただけ。 シルクハットを被ったヒゲの紳士と、身体にフィットした衣装を着た女性のコンビ。 ツェペリと、リサリサだった。 2人はそれぞれ、数メートルの間を置いて倒れる男達の死体に歩み寄る。 「これは……爆死、ということなのかしら。焦げたような跡があって、肋骨が何本も折れている。体表にも傷がある。  でも、どうも変ね……。普通の爆発物で、こういう傷になるものかしら……?」 「こっちは血の海じゃの。刃物で切り刻まれたか? いや、切り口は鋭利じゃが、平面ではない。  これは……一旦カチコチに凍らせてから砕いた、というところかの?  まずココで両腕が凍って砕き折られて、数歩逃げた所で身体全体を凍らされて砕かれた、というところか。  吸血鬼どもの使う『気化冷凍法』……? その後に溶けたか……? いやしかし、こうも一気に溶けるものかのぉ?」 2人は落ち着いた様子で2つの死体の観察を進める。2人は共に思い出す。 この2つの死体、確かに凄惨ではあるが、しかしつい先ほどアイスクリーム屋で見つけた死体よりはましだろう――  *  *  * ツェペリとリサリサは、結局あの後、行動を共にしていた。 鉄塔での戦いの後、近くで発見した薬草で応急手当をして。 何故か鉄塔の傍に生えていた……いや、何者かがそこで育てていたのか? ともかく、『見えない小動物』たちに襲われ、少しばかり傷を負った2人にとって有り難いものだった。 劇的な回復効果があるわけでもなく、市販の消毒薬程度の効果しかないが、ともかく互いの傷の手当てをした。 ついでに少し腰を落ち着けて、薬草同様に生えていた山菜を取り、支給の食料と一緒に少し齧って軽い食事にして…… ――物語に『もしも』は禁物ではあるのだが。 もしも、この鉄塔脇に薬草が生えて無かったら。彼らが傷の手当ての時間を取らず、すぐさま動き出していたとしたら。 彼らはおそらく、誰か他の『生きた参加者』と遭遇していただろう。 アイスクリーム屋『レインボー』から立ち去る山岸由花子と。 あるいは、農家の外からポルナレフに声をかけていた、ジョルノ・ジョバーナと。 しかし実際には、ツェペリとリサリサは、ゆっくり時間をかけて傷の手当てをし、休憩を取って……。 彼らが腰を上げた時には、出会っていたかもしれない人々は、動いてしまっていた。 中に人が居たことにも気付かず、また中の人にも気付かれず、農家の前を静かに通り過ぎ。 道なりに進んだ2人は、そして派手に壊されたアイスクリーム屋を発見。 そこで激しい戦いの痕跡と、大量の髪の毛、そして顔面を叩き潰された男の死体を見つけたが…… 2人がいくら調べても、目立つものと言えば大きなスレッジハンマー1つ見つかったのみ。 明らかに死んだ後に散々切り刻まれた男の身体には、身元を告げるようなモノは何一つなく。 ブラフォードを知っているはずのツェペリにも、それが彼だと分からぬほどだった。 ――実はここでも、またもうひとつの「もしも」があった。 2人がアイスクリーム屋に到着するのがもう少し早ければ、ぶどうヶ丘高校からやってきたアナスイと遭遇していただろう。 そして、アナスイがそうしたように、壊れたアイスクリーム屋を一瞥しただけで、滴る血痕を追って歩き出していれば…… ツェペリとリサリサは、戦っている由花子とアナスイに追いついていたことだろう。 けれど実際には、2人はじっくりとアイスクリーム屋の惨状を調べる時間を取り。 その間に、由花子の『不運の剣』から滴った血痕は、乾き、黒ずみ、黎明の薄暗がりの中では判別しづらくなって。 2人はとうとう、由花子とアナスイと遭遇する機会を逃してしまった――それが幸運か不運かは別として。 ともかく。 アイスクリーム屋での得るものなき調査の後、重過ぎるハンマ-をその場に残し、歩き出した2人は…… 由花子やアナスイとは違う道を通り、辿り着いたのは線路の近くのビル街。 遠くで連続して起きた爆音に惹かれ、2人が走ったその先にあったのは。 吉良吉影とギアッチョの、決着して間もない死闘の跡だった。 『キラー・クィーン』の爆弾による硝煙が漂い、『ホワイト・アルバム』が溶けた水溜りが残る、そんな場所だった。  *  *  * 「周囲に気配は……ないのぉ。  死体はどちらも吸血鬼では無いようじゃし……既に犯人は逃げたか?」 ツェペリがヒゲを捻りながら首を傾げる。 1人を『気化冷凍法』で、1人を爆発物で殺した吸血鬼が、ツェペリたちが近づく気配を察知して逃げ出した…… それが、彼が最初に思い描いた筋書きだったのだが。 死体が2つに、デイパックが1つ。犯人は何故1つだけ持っていき、こっちの1つを残していったのか? ツェペリ自身、自らが口にした推理に言い知れぬ違和感を覚えた、その時。 「いいえ、それは違うわね……。これはどうやら、『相討ち』と見た方がいいみたいよ」 丹念に死体の状態を調べていたリサリサが、小さく呟く。 彼女は爆死したと思われる片方をひっくり返しながら、慎重に状況を整理する。 「これが吸血鬼の『気化冷凍法』なら、溶ける時は普通に溶けるわ。  今の気温で自然解凍されたのなら、芯が冷たく、また全てが溶ける頃には、先に溶けた部分は乾き始めてしまう。  こんな風に、全てが均等に溶けて血溜まりを作るのはおかしい……。  それに、こっちの爆発で死んだ男。手榴弾だとしたら、破片がない。単純な爆薬だとしたら、煤がない。  傷口周りの血痕も、何かおかしい……これは、一度固まっている? いいえ、凍らせていたのね。  意識を失ってから、凍った血が溶けて、一気に流れ出した。だから、普通に流れた時とは違う形の血痕になった」 「……何を言いたいのか分からんのぉ。分かるように話してくれんか?」 リサリサのもって回った言い方に、ツェペリは苛立ちを募らせるが。 彼女はサングラスを押し上げながら、断言する。 「突飛な話に聞こえるかもしれないけれど……私はこう考えるわ。  そちらの『凍ってから砕かれた男』が、『爆発に近い超常現象を起こす術で』こちらの男に致命傷を与えて。  こちらの『爆発で死んだ男』が、『気化冷凍法に近い極低温を操る術で』そちらの男を殺したのだと」 「な――!」 本人が言う通り、あまりに突飛な考え。何をどう考えればそういう結論になるのか――?  リサリサは、しかし淡々と彼女の推理を語り始める。 「あの『透明なアンデッド』が出てきた時から……いいえ、あの教会で全てが始まった時から、ずっと考えていた。  どうやら、私たちの知らない『何らかの超常的な技術』が存在し、この『ゲーム』に関わっているらしい、と。  貴方も覚えているでしょう? 『荒木』という男に襲いかかった、『火を吹く鳥』を。  あるいは『荒木』に殺された少年の周囲に湧き出した、『無数の奇妙な虫』を。  そして『荒木』が使ったいくつもの不思議な力。わたしたちを教会に集めて、教会からまた移動させた力。  色々考えていたところに、この2人の死に方――  わたしの直感に過ぎないけれども、全てどこかで繋がっている気がしてならない」 「むぅ……。しかし、そんな『魔法』のようなこと、聞いたこともないが……」 「私たちの学んだ『波紋』も、一般の人々は知らないわ。傍目からはまるで『魔法』のようにしか見えないはず。  こうして『波紋』の技術が存在する以上、似て非なる技術があってもおかしくはない。  それこそ、世界のどこかに本物の『魔法使い』が居たとしても、私は驚かないわね」 「……言われてみれば、『波紋』も、東洋の仙道として知られておったわけじゃしの。別の流派があってもおかしくないか。  見えないネクロマンサー、爆弾を使う魔法使い、冷気を操る魔法使い、炎を使う魔法使い……。  いや『魔法使い』と決まったわけじゃないがの。あの少年の『小人』はいまいち何をしたかったのか分からんし」 ツェペリは納得する。 西洋人の身でありながら、自ら『波紋法』の伝承者たちを探し当て、苦労の果てに見につけたツェペリである。 同じような、しかし秘せられた『技術』が存在しても、確かにおかしくはない。 「わしらの使う『波紋』は『太陽の光』の力の本質を、生命の根源たる『呼吸』で生み出すものじゃ。  彼らの技が、同じく『呼吸』から生まれているのか、それとも別の方法があるのかは分からんが……  『爆発』の本質を取り出し、自在に扱う技術。  『凍結』の本質を取り出し、自在に扱う技術。  そういうものがあれば、こういうことも可能じゃろうな」 「そんなところでしょうね。爆発『だけ』を起こす力、極低温状態『だけ』を一時的に起こす力。  そう考えれば、この死体の状況も説明がつく。  それに、今気付いたのだけど……彼、死に際にメッセージを遺している」 「何!?」 「氷の血文字よ。身体の下に隠すようにして遺されていたわ。私たちに宛てた遺言ではないわね。  やっぱり、『相討ち』ということでいいみたいね」 リサリサが示したその地面を、ツェペリが覗き込む。 身体の陰。流れた血が書きなぐったような文字を成していた。一旦凍った『血の氷』が溶けた跡。一筆書きの筆記体。 『ホワイトアルバム』の『極低温』、その気になれば冷気の範囲を限定することもできる。 氷が伸びていく方向をコントロールすることもできる……普段ならここまでの精密操作はできなかったのだが。 死に際の意地。遺したギアッチョ自身、朦朧とする意識で、半ば無意識に残した最期のメッセージ―― それが今、彼が見せたかった2人の仲間でなく、無関係なツェペリたちの前に晒されていた。  『 プロシュート、リゾット。俺を殺ったのはボスじゃねぇ。    そいつは倒したが、ボスたち以外の『スタンド使い』にも気をつけろ。先に地獄で、待ってるぜ 』 「……仲間が居る、ということかの」 「仲間だけでなく、敵もいるようね。  『プロシュート』『リゾット』――どれも名簿にあった名前だわ。『ボス』というのは分からないけれど」 「どうやら何らかの『組織』、あるいは『グループ』を作って対立しておった感じじゃな、この文面」 「ええ。流派間の争いがあったのかもしれない。けど、それ以上に気になるのが……」 「『スタンド使い』という単語か。『スタンド』という『技術』を『使う』者、と読めるのぉ」 リサリサの言葉に、ツェペリは頷く。 彼女はサングラス越しに彼の表情を窺っていたが……何やら1つ覚悟を決めると、言葉を続ける。 「さらに言うなら……少し話は変わるけれど、この街の様子も、おかしく感じないかしら?  貴方はどう思う、この街? さっきから、見たこともないモノがゴロゴロしているんじゃなくて?」 「……街に入ってからもそうだが、入る前、あの鉄の塔のあたりからして謎だらけじゃよ。  何のためにあんな鉄の塔を作ったのやら。  支給品として渡されたこの鞄も、何で出来ているのか良く分からんし。口の金具も始めて見たし。  中に入っておった『懐中電灯』とかいう小型ランプには、正直びっくりしたわい」 「貴方ほどではないと思うけれど、この街は私にとっても驚きの連続よ」 1999年の、日本の杜王町。1939年のリサリサにとっても、1888年のツェペリにとっても、そこは未来都市。 化学繊維にジッパーのついた鞄や綺麗に印刷された精密な地図、懐中電灯でさえも、未知の技術の産物。 アスファルトの舗装の行き届いた道や近代的な建物は、それだけでも驚きの対象だった。 冷静な2人は密かに驚きつつも、しかし優先順位が低いと判断して、深く考えるのを後回しにしてきたのだが…… 「この奇妙な街の存在。名簿に載っていた、死んだはずの人間の名前。  さらに言うなら――ウィル・A・ツェペリ、貴方の存在。それが私に、1つの仮説を立てさせたわ。  今の今まで、何をどうすれば『そんなこと』が可能なのか分からなかった。  けれど、『スタンド』というキーワードを得た今なら、ぼんやりと見えてきたことがある」 「わしの……存在?」 唐突に自分のフルネームを呼ばれて目をしばたかせるツェペリ。リサリサは続ける。 「私が――ジョージ・ジョースター2世の妻、ジョセフ・ジョースターの母、エリザベス・ジョースターが知る限り――  貴方は既に死んでいるはずの存在。  50年前、私の義父、ジョナサン・ジョースターと共に吸血鬼ディオと戦い、屍生人タルカスに殺されたはずの存在。  私の弟子の1人である、シーザー・ツェペリの祖父。  けれどこうして、貴方は生きている。『波紋の呼吸』ができるところを見る限り、吸血鬼や屍生人の類ではない」 「あ、当たり前だッ! 『死に損ない(アンデッド)』になるくらいなら、自ら死ぬわい。  ……しかし、そうか……やはり『あの時』、自分は死んだのか……。それに知らぬ間に孫とは……複雑な気分じゃわい」 「死んだかもしれない、という自覚はあるわけね」 「『死の予言』に従って動いたところで、記憶は途絶えておるがの。  ……その後の詳しい話は、あえて聞かない方が良さそうじゃの。おそらくわしが知るべきことじゃないわい。  ジョジョの奴があの後の戦いを生き延び、子を持つことができた、という事実が分かっただけで十分じゃ」 「言っておくけど、私自身には『自分が死んだかもしれない』と判断するような記憶はないわ。死に瀕していた記憶もない。  一連の激しい戦いが終って、新大陸で新しい生活を始めようとしていた所。平和で平穏な暮らしをしていたはずだわ。  けれど――ひょっとしたら私も、一度は死んだのかもしれない。自分が死んだことにも気付かず、死んだのかもしれない。  そして恐らくは、私が生きていたよりも『未来』に位置するであろう、この街の様子……」 リサリサはそして、その仮説を口にする。 彼女自身、迷い続け、今でも重要なピースが抜け落ちたままのジグソーパズル。 「この『ゲーム』、一度死んだ者が蘇らされて、戦わされているのかもしれない……。  私たちの知らない未知の『技術』。おそらくは『スタンド』と呼ばれる、魔法のような何かの『技術』。  その『技術』を使って私たちは集められ、何人かの参加者をその『技術』を使って戦っている。  あるいは向こうから見たら、私たちの『波紋』もその一種のように見えているのかもね――」  *  *  * それは――『スタンド』を知らない者たちの限界だった。 『いかなるスタンドと言えども、失われた命だけは取り戻せない』、その原則を知らないがゆえの推測だった。 『スタンドは1人1能力』という原則も知らない。『スタンド能力は天性の能力』という原則も知らない。 ただ彼女たちは、それを『未知の技術』だと思った。魔法のような、波紋のような『技術体系』だと思った。 そして、それがあくまでヒトが身につけることのできる『技術』に過ぎないなら―― やはり、真の脅威はヒトならざる者たち。 ツェペリにとっては、吸血鬼と屍生人。 リサリサにとっては、柱の男たち。 2人はこれらの参加者について、同じことを思っていた。 『おそらく荒木がその真の脅威を知らずに復活させてしまったのだろう』と。 荒木の能力が、未知とはいえ何らかの『技術』の産物なら、同様の『技術』を持つ者によって対処しうる。 しかし、彼らの『技術』が『波紋』とは全く別系統のものだというのなら。 吸血鬼や柱の男たちに対処できるのは、『波紋』の戦士たる自分たちしか居ない……!  *  *  * 「それにしても……では、これからどうするかの?  ここが未来の街なのは分かったし、『スタンド』とかいう未知の『技術』があるらしいことも納得したが……  死んだはずの人間が、必ずしも屍生人だとは限らん、とは理解したが……  この広い街で、これからどうするかの? やっぱり『この機械』で呼びかけて回るかの?」 ツェペリがおどけて取り出したのは、拡声器、あるいはハンディスピーカーと呼ばれる機械だった。 彼ら2人が倒したスポーツ・マックスの支給品。 もちろんツェペリたちにとっては未来のテクノロジーの産物だが、懇切丁寧な解説書つきだ。その気になれば使えるだろう。 「もうすぐ日も昇る。吸血鬼どもは出てこれんわい。  この『声を大きくする機械』で、わしの仲間やリサリサ嬢の仲間を呼んで回れば……」 「それだと、近づけてはいけない者まで呼び寄せてしまいそうね。  この相討ちになった2人のように、『スタンド使い』の中にも、殺し合いをするつもりの者がいるわ。  その機械を使うのは、他に打つ手が無くなってからが良いでしょうね……あら? あれもデイパックかしら?」 呆れたような様子でツェペリから視線を逸らし、何気なくあたりを見渡したリサリサは、そして発見した。 2つの死体から少し離れた所に落ちた、支給品の入ったデイパック。2つの死体の傍にあったものとは別の、もう1つ。 状況から察するに、爆発のはずみに遠くに飛ばされたのだろうか。 と、ツェペリとリサリサが、そのデイパックを詳しく調べるよりも早く。 『……ガガガッ……えー皆聞こえてるかな?……』 最初の朝日が、遠くから差す。 そして同時に――ツェペリの手にしていた拡声器が、勝手に喋りだす! びっくりしてツェペリは拡声器を取り落とすが、そんなことはお構い無しに。 驚いて見守る2人の前で、電源すら入れていない拡声器がなおも喋り続ける。 『……それじゃあただいまから一回目の放送を行いま~す……』 【最強の波紋師匠タッグ】 【線路脇ビル群の路地(吉良とギアッチョの死闘跡) (D-3)/一日目/早朝~朝】 【ウィル・A・ツェペリ】 [能力]:波紋 [時間軸]:双首竜の間で、天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前。 [状態]:左肩に小さな傷があるが治療済み。 [装備]:ショットグラス×2、 水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能) [道具]: 支給品一式×2、拡声器(スポーツ・マックスの支給品) [思考・状況]  1) 参加者の中にいる吸血鬼・屍生人を倒す。  2) ジョースター卿が屍生人になっているかどうかを確かめる。もし屍生人なら倒す。  3) 未知の技術『スタンド』について検証を重ねる  4) 唐突な定期放送の開始と、その放送手段にびっくり 【リサリサ】 [能力]:波紋 [時間軸]:第二部終了後。ジョセフとの母子関係を明かしアメリカ移住を決めた頃 [状態]:右脛に小さな傷があるが治療済み。 [装備]: アメリカンクラッカー×2 [道具]: 支給品一式×2、薬草少々、(ギアッチョのランダム支給品は未確定) [思考・状況]  1) 参加者の中にいる『柱の男』たちを倒す。  2) 未知の技術『スタンド』について検証を重ねる  3) 唐突な定期放送の開始と、その放送手段にびっくり [備考]:リサリサは、結局『柱の男』についてツェペリに説明しそびれています。 [備考]:リサリサとツェペリが、『荒木』の能力を『死人を蘇らせる力』だと勘違いしました。      また、スタンド能力は1人1種類、という大原則を未だに知りません。 *投下順で読む [[前へ>角砂糖同盟 ]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>承太郎と哀れな下僕]] *時系列順で読む [[前へ>角砂糖同盟 ]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>承太郎と哀れな下僕]] *キャラを追って読む |20:[[熱き勇気と冷徹な意思]]|ウィル・A・ツェペリ|64:[[SZR~surround zone readers~]]| |20:[[熱き勇気と冷徹な意思]]|リサリサ|64:[[SZR~surround zone readers~]]|
――2人が巡り合ったのは、またしても死体だった。今度は2つ。 「……ひどいモンじゃのォ」 「どちらも完膚なきまでに死んでいる、か……。  これで3人……最初の『透明なゾンビ』も加えれば、4人目の死体ね」 それはどちらも目を背けたくなるような凄惨な死体だった。けれども、男と女は僅かに眉を寄せただけ。 シルクハットを被ったヒゲの紳士と、身体にフィットした衣装を着た女性のコンビ。 ツェペリと、リサリサだった。 2人はそれぞれ、数メートルの間を置いて倒れる男達の死体に歩み寄る。 「これは……爆死、ということなのかしら。焦げたような跡があって、肋骨が何本も折れている。体表にも傷がある。  でも、どうも変ね……。普通の爆発物で、こういう傷になるものかしら……?」 「こっちは血の海じゃの。刃物で切り刻まれたか? いや、切り口は鋭利じゃが、平面ではない。  これは……一旦カチコチに凍らせてから砕いた、というところかの?  まずココで両腕が凍って砕き折られて、数歩逃げた所で身体全体を凍らされて砕かれた、というところか。  吸血鬼どもの使う『気化冷凍法』……? その後に溶けたか……? いやしかし、こうも一気に溶けるものかのぉ?」 2人は落ち着いた様子で2つの死体の観察を進める。2人は共に思い出す。 この2つの死体、確かに凄惨ではあるが、しかしつい先ほどアイスクリーム屋で見つけた死体よりはましだろう――  *  *  * ツェペリとリサリサは、結局あの後、行動を共にしていた。 鉄塔での戦いの後、近くで発見した薬草で応急手当をして。 何故か鉄塔の傍に生えていた……いや、何者かがそこで育てていたのか? ともかく、『見えない小動物』たちに襲われ、少しばかり傷を負った2人にとって有り難いものだった。 劇的な回復効果があるわけでもなく、市販の消毒薬程度の効果しかないが、ともかく互いの傷の手当てをした。 ついでに少し腰を落ち着けて、薬草同様に生えていた山菜を取り、支給の食料と一緒に少し齧って軽い食事にして…… ――物語に『もしも』は禁物ではあるのだが。 もしも、この鉄塔脇に薬草が生えて無かったら。彼らが傷の手当ての時間を取らず、すぐさま動き出していたとしたら。 彼らはおそらく、誰か他の『生きた参加者』と遭遇していただろう。 アイスクリーム屋『レインボー』から立ち去る山岸由花子と。 あるいは、農家の外からポルナレフに声をかけていた、ジョルノ・ジョバーナと。 しかし実際には、ツェペリとリサリサは、ゆっくり時間をかけて傷の手当てをし、休憩を取って……。 彼らが腰を上げた時には、出会っていたかもしれない人々は、動いてしまっていた。 中に人が居たことにも気付かず、また中の人にも気付かれず、農家の前を静かに通り過ぎ。 道なりに進んだ2人は、そして派手に壊されたアイスクリーム屋を発見。 そこで激しい戦いの痕跡と、大量の髪の毛、そして顔面を叩き潰された男の死体を見つけたが…… 2人がいくら調べても、目立つものと言えば大きなスレッジハンマー1つ見つかったのみ。 明らかに死んだ後に散々切り刻まれた男の身体には、身元を告げるようなモノは何一つなく。 ブラフォードを知っているはずのツェペリにも、それが彼だと分からぬほどだった。 ――実はここでも、またもうひとつの「もしも」があった。 2人がアイスクリーム屋に到着するのがもう少し早ければ、ぶどうヶ丘高校からやってきたアナスイと遭遇していただろう。 そして、アナスイがそうしたように、壊れたアイスクリーム屋を一瞥しただけで、滴る血痕を追って歩き出していれば…… ツェペリとリサリサは、戦っている由花子とアナスイに追いついていたことだろう。 けれど実際には、2人はじっくりとアイスクリーム屋の惨状を調べる時間を取り。 その間に、由花子の『不運の剣』から滴った血痕は、乾き、黒ずみ、黎明の薄暗がりの中では判別しづらくなって。 2人はとうとう、由花子とアナスイと遭遇する機会を逃してしまった――それが幸運か不運かは別として。 ともかく。 アイスクリーム屋での得るものなき調査の後、重過ぎるハンマ-をその場に残し、歩き出した2人は…… 由花子やアナスイとは違う道を通り、辿り着いたのは線路の近くのビル街。 遠くで連続して起きた爆音に惹かれ、2人が走ったその先にあったのは。 吉良吉影とギアッチョの、決着して間もない死闘の跡だった。 『キラー・クィーン』の爆弾による硝煙が漂い、『ホワイト・アルバム』が溶けた水溜りが残る、そんな場所だった。  *  *  * 「周囲に気配は……ないのぉ。  死体はどちらも吸血鬼では無いようじゃし……既に犯人は逃げたか?」 ツェペリがヒゲを捻りながら首を傾げる。 1人を『気化冷凍法』で、1人を爆発物で殺した吸血鬼が、ツェペリたちが近づく気配を察知して逃げ出した…… それが、彼が最初に思い描いた筋書きだったのだが。 死体が2つに、デイパックが1つ。犯人は何故1つだけ持っていき、こっちの1つを残していったのか? ツェペリ自身、自らが口にした推理に言い知れぬ違和感を覚えた、その時。 「いいえ、それは違うわね……。これはどうやら、『相討ち』と見た方がいいみたいよ」 丹念に死体の状態を調べていたリサリサが、小さく呟く。 彼女は爆死したと思われる片方をひっくり返しながら、慎重に状況を整理する。 「これが吸血鬼の『気化冷凍法』なら、溶ける時は普通に溶けるわ。  今の気温で自然解凍されたのなら、芯が冷たく、また全てが溶ける頃には、先に溶けた部分は乾き始めてしまう。  こんな風に、全てが均等に溶けて血溜まりを作るのはおかしい……。  それに、こっちの爆発で死んだ男。手榴弾だとしたら、破片がない。単純な爆薬だとしたら、煤がない。  傷口周りの血痕も、何かおかしい……これは、一度固まっている? いいえ、凍らせていたのね。  意識を失ってから、凍った血が溶けて、一気に流れ出した。だから、普通に流れた時とは違う形の血痕になった」 「……何を言いたいのか分からんのぉ。分かるように話してくれんか?」 リサリサのもって回った言い方に、ツェペリは苛立ちを募らせるが。 彼女はサングラスを押し上げながら、断言する。 「突飛な話に聞こえるかもしれないけれど……私はこう考えるわ。  そちらの『凍ってから砕かれた男』が、『爆発に近い超常現象を起こす術で』こちらの男に致命傷を与えて。  こちらの『爆発で死んだ男』が、『気化冷凍法に近い極低温を操る術で』そちらの男を殺したのだと」 「な――!」 本人が言う通り、あまりに突飛な考え。何をどう考えればそういう結論になるのか――?  リサリサは、しかし淡々と彼女の推理を語り始める。 「あの『透明なアンデッド』が出てきた時から……いいえ、あの教会で全てが始まった時から、ずっと考えていた。  どうやら、私たちの知らない『何らかの超常的な技術』が存在し、この『ゲーム』に関わっているらしい、と。  貴方も覚えているでしょう? 『荒木』という男に襲いかかった、『火を吹く鳥』を。  あるいは『荒木』に殺された少年の周囲に湧き出した、『無数の奇妙な虫』を。  そして『荒木』が使ったいくつもの不思議な力。わたしたちを教会に集めて、教会からまた移動させた力。  色々考えていたところに、この2人の死に方――  わたしの直感に過ぎないけれども、全てどこかで繋がっている気がしてならない」 「むぅ……。しかし、そんな『魔法』のようなこと、聞いたこともないが……」 「私たちの学んだ『波紋』も、一般の人々は知らないわ。傍目からはまるで『魔法』のようにしか見えないはず。  こうして『波紋』の技術が存在する以上、似て非なる技術があってもおかしくはない。  それこそ、世界のどこかに本物の『魔法使い』が居たとしても、私は驚かないわね」 「……言われてみれば、『波紋』も、東洋の仙道として知られておったわけじゃしの。別の流派があってもおかしくないか。  見えないネクロマンサー、爆弾を使う魔法使い、冷気を操る魔法使い、炎を使う魔法使い……。  いや『魔法使い』と決まったわけじゃないがの。あの少年の『小人』はいまいち何をしたかったのか分からんし」 ツェペリは納得する。 西洋人の身でありながら、自ら『波紋法』の伝承者たちを探し当て、苦労の果てに見につけたツェペリである。 同じような、しかし秘せられた『技術』が存在しても、確かにおかしくはない。 「わしらの使う『波紋』は『太陽の光』の力の本質を、生命の根源たる『呼吸』で生み出すものじゃ。  彼らの技が、同じく『呼吸』から生まれているのか、それとも別の方法があるのかは分からんが……  『爆発』の本質を取り出し、自在に扱う技術。  『凍結』の本質を取り出し、自在に扱う技術。  そういうものがあれば、こういうことも可能じゃろうな」 「そんなところでしょうね。爆発『だけ』を起こす力、極低温状態『だけ』を一時的に起こす力。  そう考えれば、この死体の状況も説明がつく。  それに、今気付いたのだけど……彼、死に際にメッセージを遺している」 「何!?」 「氷の血文字よ。身体の下に隠すようにして遺されていたわ。私たちに宛てた遺言ではないわね。  やっぱり、『相討ち』ということでいいみたいね」 リサリサが示したその地面を、ツェペリが覗き込む。 身体の陰。流れた血が書きなぐったような文字を成していた。一旦凍った『血の氷』が溶けた跡。一筆書きの筆記体。 『ホワイトアルバム』の『極低温』、その気になれば冷気の範囲を限定することもできる。 氷が伸びていく方向をコントロールすることもできる……普段ならここまでの精密操作はできなかったのだが。 死に際の意地。遺したギアッチョ自身、朦朧とする意識で、半ば無意識に残した最期のメッセージ―― それが今、彼が見せたかった2人の仲間でなく、無関係なツェペリたちの前に晒されていた。  『 プロシュート、リゾット。俺を殺ったのはボスじゃねぇ。    そいつは倒したが、ボスたち以外の『スタンド使い』にも気をつけろ。先に地獄で、待ってるぜ 』 「……仲間が居る、ということかの」 「仲間だけでなく、敵もいるようね。  『プロシュート』『リゾット』――どれも名簿にあった名前だわ。『ボス』というのは分からないけれど」 「どうやら何らかの『組織』、あるいは『グループ』を作って対立しておった感じじゃな、この文面」 「ええ。流派間の争いがあったのかもしれない。けど、それ以上に気になるのが……」 「『スタンド使い』という単語か。『スタンド』という『技術』を『使う』者、と読めるのぉ」 リサリサの言葉に、ツェペリは頷く。 彼女はサングラス越しに彼の表情を窺っていたが……何やら1つ覚悟を決めると、言葉を続ける。 「さらに言うなら……少し話は変わるけれど、この街の様子も、おかしく感じないかしら?  貴方はどう思う、この街? さっきから、見たこともないモノがゴロゴロしているんじゃなくて?」 「……街に入ってからもそうだが、入る前、あの鉄の塔のあたりからして謎だらけじゃよ。  何のためにあんな鉄の塔を作ったのやら。  支給品として渡されたこの鞄も、何で出来ているのか良く分からんし。口の金具も始めて見たし。  中に入っておった『懐中電灯』とかいう小型ランプには、正直びっくりしたわい」 「貴方ほどではないと思うけれど、この街は私にとっても驚きの連続よ」 1999年の、日本の杜王町。1939年のリサリサにとっても、1888年のツェペリにとっても、そこは未来都市。 化学繊維にジッパーのついた鞄や綺麗に印刷された精密な地図、懐中電灯でさえも、未知の技術の産物。 アスファルトの舗装の行き届いた道や近代的な建物は、それだけでも驚きの対象だった。 冷静な2人は密かに驚きつつも、しかし優先順位が低いと判断して、深く考えるのを後回しにしてきたのだが…… 「この奇妙な街の存在。名簿に載っていた、死んだはずの人間の名前。  さらに言うなら――ウィル・A・ツェペリ、貴方の存在。それが私に、1つの仮説を立てさせたわ。  今の今まで、何をどうすれば『そんなこと』が可能なのか分からなかった。  けれど、『スタンド』というキーワードを得た今なら、ぼんやりと見えてきたことがある」 「わしの……存在?」 唐突に自分のフルネームを呼ばれて目をしばたかせるツェペリ。リサリサは続ける。 「私が――ジョージ・ジョースター2世の妻、ジョセフ・ジョースターの母、エリザベス・ジョースターが知る限り――  貴方は既に死んでいるはずの存在。  50年前、私の義父、ジョナサン・ジョースターと共に吸血鬼ディオと戦い、屍生人タルカスに殺されたはずの存在。  私の弟子の1人である、シーザー・アントニオ・ツェペリの祖父。  けれどこうして、貴方は生きている。『波紋の呼吸』ができるところを見る限り、吸血鬼や屍生人の類ではない」 「あ、当たり前だッ! 『死に損ない(アンデッド)』になるくらいなら、自ら死ぬわい。  ……しかし、そうか……やはり『あの時』、自分は死んだのか……。それに知らぬ間に孫とは……複雑な気分じゃわい」 「死んだかもしれない、という自覚はあるわけね」 「『死の予言』に従って動いたところで、記憶は途絶えておるがの。  ……その後の詳しい話は、あえて聞かない方が良さそうじゃの。おそらくわしが知るべきことじゃないわい。  ジョジョの奴があの後の戦いを生き延び、子を持つことができた、という事実が分かっただけで十分じゃ」 「言っておくけど、私自身には『自分が死んだかもしれない』と判断するような記憶はないわ。死に瀕していた記憶もない。  一連の激しい戦いが終って、新大陸で新しい生活を始めようとしていた所。平和で平穏な暮らしをしていたはずだわ。  けれど――ひょっとしたら私も、一度は死んだのかもしれない。自分が死んだことにも気付かず、死んだのかもしれない。  そして恐らくは、私が生きていたよりも『未来』に位置するであろう、この街の様子……」 リサリサはそして、その仮説を口にする。 彼女自身、迷い続け、今でも重要なピースが抜け落ちたままのジグソーパズル。 「この『ゲーム』、一度死んだ者が蘇らされて、戦わされているのかもしれない……。  私たちの知らない未知の『技術』。おそらくは『スタンド』と呼ばれる、魔法のような何かの『技術』。  その『技術』を使って私たちは集められ、何人かの参加者をその『技術』を使って戦っている。  あるいは向こうから見たら、私たちの『波紋』もその一種のように見えているのかもね――」  *  *  * それは――『スタンド』を知らない者たちの限界だった。 『いかなるスタンドと言えども、失われた命だけは取り戻せない』、その原則を知らないがゆえの推測だった。 『スタンドは1人1能力』という原則も知らない。『スタンド能力は天性の能力』という原則も知らない。 ただ彼女たちは、それを『未知の技術』だと思った。魔法のような、波紋のような『技術体系』だと思った。 そして、それがあくまでヒトが身につけることのできる『技術』に過ぎないなら―― やはり、真の脅威はヒトならざる者たち。 ツェペリにとっては、吸血鬼と屍生人。 リサリサにとっては、柱の男たち。 2人はこれらの参加者について、同じことを思っていた。 『おそらく荒木がその真の脅威を知らずに復活させてしまったのだろう』と。 荒木の能力が、未知とはいえ何らかの『技術』の産物なら、同様の『技術』を持つ者によって対処しうる。 しかし、彼らの『技術』が『波紋』とは全く別系統のものだというのなら。 吸血鬼や柱の男たちに対処できるのは、『波紋』の戦士たる自分たちしか居ない……!  *  *  * 「それにしても……では、これからどうするかの?  ここが未来の街なのは分かったし、『スタンド』とかいう未知の『技術』があるらしいことも納得したが……  死んだはずの人間が、必ずしも屍生人だとは限らん、とは理解したが……  この広い街で、これからどうするかの? やっぱり『この機械』で呼びかけて回るかの?」 ツェペリがおどけて取り出したのは、拡声器、あるいはハンディスピーカーと呼ばれる機械だった。 彼ら2人が倒したスポーツ・マックスの支給品。 もちろんツェペリたちにとっては未来のテクノロジーの産物だが、懇切丁寧な解説書つきだ。その気になれば使えるだろう。 「もうすぐ日も昇る。吸血鬼どもは出てこれんわい。  この『声を大きくする機械』で、わしの仲間やリサリサ嬢の仲間を呼んで回れば……」 「それだと、近づけてはいけない者まで呼び寄せてしまいそうね。  この相討ちになった2人のように、『スタンド使い』の中にも、殺し合いをするつもりの者がいるわ。  その機械を使うのは、他に打つ手が無くなってからが良いでしょうね……あら? あれもデイパックかしら?」 呆れたような様子でツェペリから視線を逸らし、何気なくあたりを見渡したリサリサは、そして発見した。 2つの死体から少し離れた所に落ちた、支給品の入ったデイパック。2つの死体の傍にあったものとは別の、もう1つ。 状況から察するに、爆発のはずみに遠くに飛ばされたのだろうか。 と、ツェペリとリサリサが、そのデイパックを詳しく調べるよりも早く。 『……ガガガッ……えー皆聞こえてるかな?……』 最初の朝日が、遠くから差す。 そして同時に――ツェペリの手にしていた拡声器が、勝手に喋りだす! びっくりしてツェペリは拡声器を取り落とすが、そんなことはお構い無しに。 驚いて見守る2人の前で、電源すら入れていない拡声器がなおも喋り続ける。 『……それじゃあただいまから一回目の放送を行いま~す……』 【最強の波紋師匠タッグ】 【線路脇ビル群の路地(吉良とギアッチョの死闘跡) (D-3)/一日目/早朝~朝】 【ウィル・A・ツェペリ】 [能力]:波紋 [時間軸]:双首竜の間で、天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前。 [状態]:左肩に小さな傷があるが治療済み。 [装備]:ショットグラス×2、 水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能) [道具]: 支給品一式×2、拡声器(スポーツ・マックスの支給品) [思考・状況]  1) 参加者の中にいる吸血鬼・屍生人を倒す。  2) ジョースター卿が屍生人になっているかどうかを確かめる。もし屍生人なら倒す。  3) 未知の技術『スタンド』について検証を重ねる  4) 唐突な定期放送の開始と、その放送手段にびっくり 【リサリサ】 [能力]:波紋 [時間軸]:第二部終了後。ジョセフとの母子関係を明かしアメリカ移住を決めた頃 [状態]:右脛に小さな傷があるが治療済み。 [装備]: アメリカンクラッカー×2 [道具]: 支給品一式×2、薬草少々、(ギアッチョのランダム支給品は未確定) [思考・状況]  1) 参加者の中にいる『柱の男』たちを倒す。  2) 未知の技術『スタンド』について検証を重ねる  3) 唐突な定期放送の開始と、その放送手段にびっくり [備考]:リサリサは、結局『柱の男』についてツェペリに説明しそびれています。 [備考]:リサリサとツェペリが、『荒木』の能力を『死人を蘇らせる力』だと勘違いしました。      また、スタンド能力は1人1種類、という大原則を未だに知りません。 *投下順で読む [[前へ>角砂糖同盟 ]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>承太郎と哀れな下僕]] *時系列順で読む [[前へ>角砂糖同盟 ]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>承太郎と哀れな下僕]] *キャラを追って読む |20:[[熱き勇気と冷徹な意思]]|ウィル・A・ツェペリ|64:[[SZR~surround zone readers~]]| |20:[[熱き勇気と冷徹な意思]]|リサリサ|64:[[SZR~surround zone readers~]]|

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