「《運命》の使徒」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

《運命》の使徒」(2008/01/25 (金) 06:47:10) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「……なあ、大佐。ちょっと聞きたいんだが」 このぼく、ジョナサン・ジョースターは、とうとう我慢できなくなって、隣を歩く男に問い掛けた。 空はゆっくりと白み始め、夜明けも程近い時間。目の前には大きな建物、病院の看板が見える。 「何かなァァァッ?」 「大佐の身体は、本当に金属で機械なんだよな?」 「我がドイツの技術力は世界一ィィィ! その通りッ、我らゲルマン民族が誇る最先端技術の結晶であるッ!」 「ひょっとして……その身体って、磁石に影響を与えたりするのかい?」 ルドル・フォン・シュトロハイム大佐。ドイツの軍人だそうだ。この若さで大佐というのも異例なことだろう。 ぼくが岸辺露伴の家で出会った仲間。彼もまた吸血鬼と戦っているということなので、行動を共にすることになった。 未だに信じきれないのだけれど、彼の身体の大半は機械で出来ているらしい。 『波紋』だって知らない者が見れば魔法のようなものだろうし、世界は広い。ぼくの知らない技術があってもおかしくはない。 ただ――その身体が金属で、鉄で出来ているなら。ぼくの知識でも分かるような、ちょっとした問題が出てくるわけだ。 「我が肉体には実験的で先進的な技術を惜しみなく投入しているがためにィィ、ささやかな不都合が起こることもあるッ!  ごくごく稀にィ、磁場や電場の異常を引き起こすこともありうると聞いているッ!」 「……それじゃ、方位磁針が狂っても仕方ないな」 なるほどね。いや詳しいことは理解してないけれど。 改めて地図を見る。見知らぬ街の中、方位磁針を頼りに南を、街の中心を目指していたはずのぼくたち。 しかし実際に辿り着いたのは、出発点となった露伴の家の真北に位置するこの病院だった。 まあ、いい。次から気をつけよう。次は磁石よりも地図の方を信じて動くことにしよう。 それよりも、《偶然》辿り着いた、この場所は……。 「『ぶどうヶ丘病院』か。なかなか大きな建物だね。これはひょっとすると……」 「そろそろ夜明けも近いしなァァッ! ジョナサンが追う『ディオ』とかいう吸血鬼や、カーズどもが潜んでおるやもしれん!」 どうやら大佐もぼくと同じことを考えていたらしい。 ぼくらの敵は、共に日光に弱い。夜明けも近いこの時間、日差しを避けるための建物を探しているはず。 このような大型の建物は、まさにうってつけだろう。彼らのうちの誰かが既に潜んでいる可能性は、十分にある。 「夜明けを待つか、それとも今調べてしまうか。ぼくは時間を置いてしまう方が怖いと思うが……大佐、君の考えは?」 「ドイツ軍人は敵を恐れないィィィッ! 断固、突入あるのみィッ!」 考えることは、やはり同じか。ぼくらはそして、闇に包まれた病院の中に踏み込もうとして……その音を、聞いた。 ガシッ! ガシガシガシッ! それは奇妙な足音だった。凄まじい速度で駆ける足音だった。 病院の建物を回りこむように、正面玄関前にいる僕らの所に駆けて来る。 複数? それとも1人? 音だけでは判別できない。どちらのようにも思える。 そして建物の陰から姿を現したそれは、ぼくらの予想を遥かに上回る、奇妙な存在で―― 「な……なんだぁッ!? 『足跡』が、『足の形をした板』がたくさん、走ってくるッ!?」 「これは――露伴の言っていた、『スタンド』という奴じゃないかっ!?」 シュトロハイム大佐が驚きの声を上げる。ぼくらの目の前で急停止した『足跡たち』は、そして次々と積み重なっていく。 バシッ! バシバシバシッ! 先頭の足跡の上に次の足跡が。その上にその次の足跡が。 みるみるうちに足跡が重なっていって……気がつけば、そこに居たのは奇妙な人型の存在。 ぼくは咄嗟に露伴から聞いた話を思い出す。ぼくらへの取材の代わりに教えてくれた、『スタンド』の性質。 これから出会うかもしれない、あの『全てを削り取る吸血鬼』に似た能力の情報を――  露伴は、(おそらく彼自身も『スタンド使い』なのだろうが)彼自身のスタンド能力については一切語ってくれなかった。  けれど、スタンド一般の基本的性質については、説明してくれた。彼曰く――  スタンドは、精神の力の発現である。  スタンドは、『波紋』のような「技術」ではなく、一種天性の「能力」である。  スタンドは、奇妙な服装をした人間、というのが基本形だが、その基本に当てはまらない例外も山のようにある。  スタンドは、スタンド使いが念じただけで自在に動く。でもたまに独立した意志を持ち、声で命令するタイプもある。  スタンドは、本体の隣に寄り添うように立つ。たまに本体から遠く離して操ることができる者もいる。  スタンドは、1人1つ。稀に群体タイプもあるが、それでも「1つ」。そして物理現象を捻じ曲げるような能力を1つだけ持つ。  スタンドは、本来スタンド使いにしか見えない――のだが、何故か今はぼくたちにも見えているらしい。  スタンドは、原則としてスタンドでしか傷つけられない。  では、ぼくたちが不幸にしてスタンド使いと戦うことになったら、どうすればいいのか? それは…… 『……この出会いは、《偶然》ではない。《運命》だ……』 「大佐、気をつけろ。どこかに『本体』がいるはずだッ! それを探すんだッ!」 「わ、わかっているッ! 命令するなッ!」 そのスタンドらしき影は何やらブツブツ呟いている。ぼくらは互いに囁きあう。 露伴の話が正しければ、そう遠くない所に『スタンド使い』の『本体』がいるはずだ…… と、ぼくは病院の2階、遠くの窓にキラリと光る「何か」に気づく。2本の円筒の先に光るガラスのレンズ。双眼鏡だ。 こちらの視線に気付いたのか、さッと引っ込んでしまったが、間違いない。 大佐はまだ気付いてないようだが、この状況で双眼鏡など覗くような人間は、他にいない! あれが『本体』だ! しかし遠い……! しかも物陰に隠れてしまった! さてどうするか……!ぼくはボーガンを片手に、考える。 そんなぼくらに構わず、そのスタンドはゆっくりと顔を上げて。 『さっき、『DIO』がどうこうと話していたな……? 『DIO』とかいう奴とお前ら、どういう関係だ?』 「……ッ!」 まただ。露伴の家で会った『ヴァニラ・アイス』という男同様、こいつもなぜかディオのことを知っている! 大佐の声は、無駄に大きい。どうやら先ほどの大佐の言葉を聞かれてしまったのだろう。 しかし病院のような大きな建物に潜むスタンド使いとは……こいつも吸血鬼なのだろうか?! 横目で大佐を見る。彼もまた同じことを考えているらしい。軍服の胸元をはだけ、身構えている。 だが戦わねばならないと決め付けるのはまだ早い。ぼくは警戒しつつも、堂々と名乗りを上げる。 「ぼくの名は、ジョナサン・ジョースター。ディオ・ブランドーは、ぼくが今度こそ確実に倒さねばならない男だ」 『ジョースター? 倒す? ……あッ、ちょッ、待てよッ……! 本気でやるのかよッ……!?』 「??」 ぼくの言葉の、何がそうさせたのだろう? 目の前のスタンドが、急に慌てだす。ぼくの言葉を復唱した彼が、虚空に向かって呼びかけるような仕草をする。 まるで、見えない「誰か」に声をかけるような。見えない「誰か」が、急に何か動き出したかのような。 なんだろう? とぼくや大佐が理解する間もなく。ぼくらの横から、声をかける新たな人影。 「……ジョースターの一族か。つまりは、オレの敵ということだな。  それがナチスのコスプレ野郎と一緒に行動しているっては奇妙極まりないが……この出会い、やはり《運命》らしい」 「!!」 足跡のスタンドが出てきた方向とは、また別の方向。病院の正面玄関から出てきた1人の男。 自信ありげな笑みを浮かべて、『足跡のスタンド』と並んで立つ。腰に手を当て、同じポーズを取る。 この『スタンド』の本体! いったいいつの間に2階から降りてきたんだ?! それに、こうして堂々と姿を現し、敵対を宣言するとは……自分の力に相当の自信があるに違いない! しかし――先ほどまではスタンドしか出していなかったというのに、何故、今になって本体が……? 何か嫌な予感。何か大きな間違いを犯しているという直感。 そんな勘に縛られ動けないぼくと違い、大佐の方の動きは、素早かった。 「《運命》がどうとかこうとか、知ったことかァァ~~ッ! このシュトロハイム、敵だというなら容赦せんわ~~ッ!  喰らえ、吸血鬼ッ! 『紫外線照射装置』ィィィ~~ッ!」 「ま、待て大佐、何かがおかしいッ……!」 「??」『??』 ぼくの制止も聞かず、大佐の両肩のパーツがハネ上がる。まばゆい光が迸る。 日光に弱い吸血鬼、その『吸血鬼に効く日光の要素』を人工的に再現したというその装置は…… しかし、目の前のスタンドや、奇妙な服装の男には、何の効果も現さず。 つまりそいつは、吸血鬼でも何でもないということだ! ぼくは改めて驚く。屍生人でもないのに……生身の普通の人間なのに、ディオに味方する者がいるとは! 「何をしたかったのか、良く分からないが……やはりオレたちは戦う《運命》にあるようだなッ!  『ハイウェイ・スター』! 奴を攻撃しろッ!」 男が叫ぶ。『ハイウェイ・スター』、それがこの『足跡のスタンド』の名か!? 念じて動かせる通常のタイプでなく、独立した意思を持ち、声に出して命令が必要なタイプなのか!? ぼくが何かをする間もなく、『ハイウェイ・スター』は再び無数の足跡に分裂し、大佐目掛けて襲い掛かる! 「う……うぉぉぉぉッ! く、来るなぁッ!」 ズドドドドッ! 大佐の腹部から銃身が突き出し、無数の銃弾を放つ。轟音。ヒュンヒュンと風を切る音がする。 その連射の速度といい、威力といい、小型化したサイズといい。ぼくには信じられないような技術を結集した超兵器だ。 が、しかし――その重機関砲、とかいう兵器の攻撃は、迫り来る『ハイウェイ・スター』の足跡にかすりもしない! いや、何発かは当たってはいる。当たっているのだが……全然効果がない! 全然ダメージになっていない! 『スタンドを傷つけられるのはスタンドだけ』。露伴の言っていた『スタンドの基本ルール』を、改めて思い知らされる! そして大佐の抵抗も虚しく、無数の足跡が、大佐の身体に……! 『……? なんだ、この身体は……? 『栄養』が、無い?  金属と油の匂いはしていたし、機械を沢山身につけているのは分かってかっていたが……  クンクン、この匂いは……機械そのもの? 肉体にあるべき、汗の香りが、ほとんどしない?  こいつの身体はどうなっている? 声を聞いた限りでは、普通の人間のように思ったんだが……』 「さ、触るなッ! 触るでなァァァいッ!」 次々と大佐の身体に食い込む――かと思われた『足跡』たちは。 何か壁にでもぶつかったかのように、大佐の身体の表面で動きを止めて。 クンクン、と嗅ぎまわるような動きを見せる。再び積み重なって人の形を取ると、ペタペタと大佐の足や腰を触る。 大佐が振り払おうと抵抗するが、お構いなしだ…… なんなんだろう、コレは?! ひょっとしてこの『ハイウェイ・スター』というスタンド、盲目なのかッ!? 一目見れば、大佐の手足の輪郭が歪に強張っているのは、すぐに分かるはず。そして逆に飛びぬけた嗅覚。 目が見えず、しかし鋭い嗅覚でそれを補っている存在……確かにそれで、このスタンドの言動は説明できる。 そして大佐に対し、『生き物にしか効果のない何らかの攻撃』をしようとして、上手くいかずに困惑している……。 だが、何かおかしい! やっぱりおかしい! スタンドの特性でなく、違う何かが――。一緒にいる、男の態度が――! 「何をやっている、『ハイウェイ・スター』! さっさとやれッ!」 『そんなことを言われてもな、こいつの身体、普通じゃないんだよォ~~ッ! そんなに言うなら、お前がやれよッ!』 「こ、こっちだって、さっきからやろうとしているッ! だが『体温が感じられない』のはどういうことだッ!?」 「……? 揉めているのかッ……! なら、この間に……!」 ぼくは駆け出す。疑問をとりあえず棚上げして、ぼくは駆け出す。 『ハイウェイ・スター』を振り払おうと片腕で無駄な努力を続ける大佐をよそに、ぼくは男に向かって駆け出す。 露伴から聞いた、非・スタンド使いがスタンド使いと戦う際のほぼ唯一の策。 それは、『本体』を叩くこと! 本体が倒れれば、スタンドも消える! スタンドを大佐への攻撃に使ってしまってる今、本体は無防備! 殺す気はない、だがぼくの渾身の『波紋』を直接叩き込まれれば、一般人は昏倒を免れ得ないだろうッ……! ぼくは走りながら『波紋』の呼吸を整え、ボーガンを左の小脇に抱え、右の拳を振り上げる、しかしその時―― ヒュンヒュン、と、風を切るもう1つの音を聞き―― 急にガクン、とぼくの膝の力が抜け―― あと2歩で男に触れられる、というその距離で、ぼくは地面に倒れ込んでしまう。 何が起こったッ!? ぼくは今、何をされたッ!? 慌てて自分の身体を確かめる――右足首が、ありえない方向に曲がっていた。 さらによく見れば、ぼくの肌が黄色くっぽくなっている。そして全身がだるい。奇妙な脱力感。 だがどうやって?! ぼくは決して何物にも『触られていない』! これがあのスタンドの『能力』なのかッ!? 一体、何が起きたッ!? ぼくの身体は何をされてしまったのだッ!? 「ジョセフ、いやジョナサンッ! ええい、やらせるかァァァァッ!」 大佐が吼える。スタンドを振り払うことを諦め、重機関砲の銃身を、倒れたぼくの身体越しに男に向ける。 スタンドが掴みかかって止めようとするが、どうやらこのスタンド、腕力の方は大したことないらしい! 大佐はスタンドを押しのけるようにして、銃身を無防備な男に向けて、銃弾を乱射し……! 「な……なぁッ!? なんだお前ッ!? お前の身体が――『崩れている』ぞォォォッ!」 「――どうやら首から上は、『普通の人間』とほぼ同じらしいな。お前の『体温がある場所』が、ようやく分かった」 ヒュンッ。再び何かが空を切る音。それと同時に、大佐の動きに異常が起こる。 そして大佐は、見当はずれの方向に向かって銃弾を撒き散らす。 確かに男は、大佐が銃身を向けたその時から、大佐の周りを回るように逃げ始めていた…… だが、あの程度の速度では、大佐の銃弾を避けることなどできないはずなのに。あの連射を避けるなど無理なのに。 まるで大佐の目に何か異常が発生したかのようだ! 全然狙いが定まっていない! 大佐は何をされたんだ?! 「『体温』……。確か、『体温』と言ったな……!」 ぼくは自由にならない身体を、必死になって起こす。そのはずみで、右脇腹に何か硬いものが触れていたことに気づく。 ポケットだ。ポケットの中に入れていた、ボーガンの弾となる鉄球だ。それが妙に冷たくなっていると感じる……。 右脇腹、それは肝臓の位置。そして黄色い肌は重度の肝機能障害を知らせる黄疸の症状! 体温と病気の間に、どんな因果関係があるかは知らないが……明らかにコレは、病気にさせられているッ! ひゅんッ。再び風を切る音。何か小さな風が、ぼくの左手を掠める。 次の瞬間、ぼくの左手の小指が、ありえない方向に捻じ曲がる! もう間違いない。何か小さな、凄まじいスピードで飛ぶモノが、ぼくらの身体を掠めるように飛んでいる! ぼくは悲鳴を噛み殺しつつ、顔を上げる。だんだん『こいつら』の能力の秘密が、見えてきた! 『それくらいにしてくれ、『リキエル』よぉぉぉ~ッ!  こっちの『機械の男』から『栄養』が吸えない以上、そいつから貰う必要があるんだぜぇ~ッ!  お前自身が分けてくれるというなら、オレはそれでも構わないがなァ!』 「ああ、すまんな。動けなくしただけだ、まだ本格的に『病気』にはしていない。おまえの分は残っているはずだ。  さて、ではオレは、そっちの『機械の男』を始末しようか……!」 『ハイウェイ・スター』から解放された大佐が、その場に尻餅をつく。機関砲の乱射が止まる。 大佐は素早く立ち上がろうとして……再び転んだ。どうやら目の障害だけでなく、平衡感覚も失っているらしい。 また立ち上がる。転ぶ。病院の前にあった植え込みの中に、無様に倒れ込む。 リキエル、と呼ばれた男が、ゆっくりと大佐に歩み寄る。 「口の中から『視床下部』の、耳の所から『三半規管』の『体温』を奪った……頭部への攻撃は、有効なようだな。  今のおまえは、動くものの残像がいつまでも残り、またどっちが地面なのか分からない状態のはず。  もう少し近づいて、狙いを定め、『脳幹』の『体温』を奪ってトドメを刺してやる!」 「シュトロハイム大佐ッ! 気をつけろッ! 頭をガードするんだッ!」 『お前の相手は、オレだぜぇぇ~! 『養分』を寄越せぇぇぇッ!」 立ち上がれないぼくの所に、『ハイウェイ・スター』が迫る。ぼくの身体に深く食い込んでくる! ズキュン、ズキュン、と音を立てて、ぼくの身体から『大切な何か』が抜き取られていく! だがそれは、さっき『体温』を奪われた時の感覚とは、根本的に違う! ぼくは喋るのも困難な脱力感の中、それでも声を振り絞る。 「分かったぞ、お前の……『お前たち』の『能力』の秘密がッ……!  目にも止まらぬ『小さな何か』を近距離で操り、掠めるようにして『体温』を奪い、『病気』を引き起こす『能力』!  そして『ハイウェイ・スター』を遠距離から操り、『ハイウェイ・スター』で触れて『生命力』を奪う『能力』!  スタンド使いの『能力』は、1人1つ。最初っから、この病院には……!」 ズキュン! ズキュン! ズキュ……。 ぼくの身体に食い込んだ、『ハイウェイスター』の『吸引』が止まる。 コツン、コツン、と、新たな足音がやってくるのが聞こえる。 玄関から姿を現した、もう1人の男……そいつが、再び人の形となった『ハイウェイ・スター』と並び、同じポーズを取る! 「 ス タ ン ド 使 い は 、 2 人 居 た ! ! 」 ぼくの感じていた『違和感』の正体は、それだったのだ! 独立した意志を持つスタンドではなく、別々の能力をもつ2人! それならば――最初に『リキエル』という男が出てくる際、『ハイウェイ・スター』が慌てていたことも。 2階に双眼鏡が光ってから、『リキエル』が登場するまでの間が、やけに早かったことも。 その『リキエル』が、『ハイウェイ・スター』の能力を完全には把握していなかったことも。 全て綺麗に、説明がつく! 「おい、噴上裕也。もうちょっとだってのに、何止めてるんだよッ!」 「悪いなぁーっ、リキエルぅーっ!  ハンサムでカッコいいオレ様は、既に『完全回復済み』……要するに、『お腹いっぱい』ってわけよぉぉ~~ッ。  他人の『養分』を吸い取って俺の傷を治すのが、『ハイウェイ・スター』の『能力』だからな。  こうなっちまうと、もうその『力』は使えねー。これ以上は、吸い取れねーんだ」 「じゃあ、もう一回『ロッズ』でお前の身体を『病気』にするか?」 「それは困るなぁ~~。殺せはしなかったが、そいつの『養分』はほとんど残ってない。立ち上がることもできないはずだ。  今『ロッズ』の攻撃を受けちまうと、こいつの残りの『養分』全部吸っても、ダメージを治しきれる気がしねぇ~。  リキエルがやった方が早いんじゃねーか?」 何やら2人が、言い争いをしている。そしてその内容が、ぼくの推測を裏付ける。 この『噴上裕也』とかいう『ハイウェイ・スター』の『本体』が当初隠れていたのは、ダメージを受けていたからだ。 『養分を吸い取る能力』の使用条件を満たすために、『リキエル』の『ロッズ』とやらで、予めダメージを受けていたからだ! あるいはそれは、『ハイウェイ・スター』が虚空に向けて「ちょっと待て!」とか言っていた、あの瞬間だったのかもしれない。 まずは『ハイウェイ・スター』だけで偵察する。敵と決まれば、途端にそれは生気を吸い取るスタンドと化す! 恐るべきコンビだ。そしてせっかく彼らの『能力』を解き明かしたぼくらには、反撃の力は残されていない! 噴上裕也が言う通り、ぼくには立ち上がる力も残ってないし、大佐は視力と平衡感覚を奪われて動けない……! 「だが、まだだッ……! まだ、終るわけにはッ……!」 ぼくは最後の力を振り絞り、這って進む。 同じように立ち上がることのできない大佐の方へ、大佐が倒れ込んだ植え込みの方へ、必死に這って進む。 ぼくたちはこの2人に勝てないのかもしれない。けれど、せめて、最後に……!  *  *  * 「効率の問題じゃないんだ! これは《運命》の問題なんだッ! お前がやった方が、絶対にいいんだッ!」 このオレ、リキエルは力説する。 この噴上裕也という男、実に強い《運命》を持っているというのに、その使い方を知らない。自覚もない。 オレだけでは、《運命》が弱いのだ。《計算》の上でなら、オレだけでもこの2人にトドメを刺すことはできるはず。 しかし《計算》などより遥かに強い『力』、《運命》の力が、オレには足りないんだッ! 現に、『シュトロハイム大佐』とかいう『機械の男』、『ハイウェイ・スター』が居てくれなければオレには倒せなかった。 『ハイウェイ・スター』が気を引き時間を稼いでくれたからこそ、頭部に『体温』を見つけることができたんだ。 もしもオレ1人だったなら、そのことを見抜くより先に、あの機関銃で蜂の巣にされていたに違いない。 オレだけじゃ……オレだけじゃ、ダメなんだよォォ――! 「そんなことより、リキエルッ! 俺の『ハイウェイ・スター』が吸い取りきれなかった奴が、何かしようとしてるぞッ!」 噴上裕也の警告。 分かってるんだッ、そんなことッ! ジョナサンとかいうジョースターが、シュトロハイムの方に這っていることくらい! だが、オレのまぶたが降りてくるッ! 汗が出るッ! 息苦しいッ! まるで昔のオレの症状がぶり返したようだ! できるのか!? 本当に、《運命》の弱い、オレだけでッ!? 「早くしろ、リキエルッ!」 「うるさい、分かってるッ! 『スカイ・ハイ』! 『ロッズ』で奴の『体温』を奪えっ!」 オレは半ばパニックになりながら、それでも噴上の叫びに背を押され、『ロッズ』をけしかける。 このコンディションでは精密な動きは無理だ。一撃で殺せる急所、脳幹の体温を奪う第一頸椎は、狙える気がしない。 だが、身体のどこかを『病気』にして、匍匐前進を止めることくらいは……! そう思うオレの目の前で、しかし、シュトロハイムがいる植え込みに辿り着いていたジョースターは。 「確かに今のぼくには、立ち上がる力はない……けれど、『呼吸』はできるッ!  『呼吸』できれば、『波紋』を練ることはできるッ!  生命磁気への『波紋疾走(オーバードライブ)』ッ! 葉っぱよ、集まれッ!」 オレの命令に従い、『ロッズ』が奴に届くと思った、その瞬間! 見えない手に集められたかのように、植え込みに散らばるの葉っぱが集まって……大きな一枚の板となり、彼らの姿を隠す! 何物にもぶつからずに飛行する不思議な生物、『ロッズ』。それが網の目のようなものなら容易にすり抜けてみせるのだが。 薄いが隙間のない「葉っぱの壁」に遮られ、『ロッズ』はジョースターの所に辿り着けない! あさっての方向に飛んでいく! オレの『スカイ・ハイ』が『ロッズ』を操れるのは、あくまでオレの視界の範囲内。 ヘリコプターの中のような密室に標的が居ればいいのだが、見えない相手が開けた場所に居ては、襲えない! 「噴上裕也ッ! 『ハイウェイ・スター』でその葉っぱを排除しろォォッ!」 「わ、わかったッ!」 『ハイウェイ・スター』が走り出す。 奴のスタンドはあまりパワーのあるタイプではないが、しかしこの程度の葉っぱ、簡単に破ることができるはず…… だが、『ハイウェイ・スター』が緑の壁に手をかけるよりも先に、その向こう側に隠れた敵たちは。 ドンッ! こちらから壁を崩すより早く、向こう側から壁が弾け飛ぶ。 丸い穴を開け葉を撒き散らして飛び出したのは、握りこぶしほどの鉄球。 穴の向こうには、尻餅をついた姿勢のまま、ボーガンを構えたジョースターの姿……! しまった、と思った時には、それは避けられない距離にまで迫っていて。 ゴキッ、と嫌な音を立てて――鉄球が命中した俺の右腕が、折れた。 腕時計のように『スカイ・ハイ』がくっついている、まさにその部分が、見事に折れた。オレは思わずその場に膝をつく。 「う、うごぉぉぉッ!」 「それがおまえのスタンド、『スカイ・ハイ』か……。最初、腕輪か何かだと思ったんだけどな。  露伴から『スタンドは色んな形がありえる』とは聞いていたが、すぐには気付かなかったよ。  例えばこれが人型だったなら、君たちが2人組みだともっと早く見抜けていたのにな」 ジョースターが、勝ち誇ったような笑みで呟く。噴上裕也が、オロオロしている。 オレは脂汗を流しながらも、折れた右腕を押さえながらジョースターを睨みつける。 「こ、これで勝ったつもりかッ!? オレの右腕を折って『スカイ・ハイ』を封じたつもりかッ!? ……甘すぎるぞッ!」 オレは叫ぶ。この程度の痛み! 空条徐倫と戦った時のダメージに比べれば! 確かに『スカイ・ハイ』はオレの手首が定位置だが、しかし『スカイ・ハイ』はスタンド、鉄球ごときでダメージは受けない! 不意打ちのような激痛に、一旦は『ロッズ』のコントロールを解除してしまったが、しかしッ! 「行け、『ロッズ』! 今度こそ、奴らの『体温』を……! 第一頸椎を……!」 右手首が折れても、『スカイ・ハイ』は使える! 『ロッズ』は操れる! オレはそして今度こそ、奴ら2人にトドメを刺そうとして――そして、気付いた。 パラパラと崩れ落ちていく、葉っぱの壁。その向こうに居たのは……ジョースター1人! シュトロハイムは居ない! 「やっと、気付いたかな……! シュトロハイム大佐なら、もういない……!  ぼくに残された僅かな生命力を、彼の生身の部分に『波紋』として流し込み、彼の『病気』を、癒したのだッ!  かつてツェペリさんが見せた最後の技、『究極!深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)』! その再現!  全ては彼に委ねた。ぼくはもう空っぽだ。  このまま放って置かれても、じきに、ぼくの心臓の鼓動も止まるだろうがね……!」  *  *  * シュトロハイムは、そして――逃げていた。 男泣きに滂沱の涙を流しながら、取るものも取りあえず、ただひたすらに逃げていた。 敵に背を向け、無様な逃亡を図っていた。 「屈辱、屈辱、屈辱ゥ~~~ッ! だがしかし、いまのおれのこの装備では、奴らを殺しきれんッ! 撤退しかないッ!」 本当は、シュトロハイムがあの場に残りたかった。せめてジョナサンも連れて逃げたかった。 けれど無理にジョナサンを連れていけば、すぐに追いつかれ、揃って倒されてしまうのは必至。 そして『波紋』を使い『病気』を癒せるのはジョナサンのみ。逃げられるのはシュトロハイムただ1人。 涙を飲んで、この場は一時撤退するしかなかった。 このあたり――普段の言動からは想像もつかないが、シュトロハイムの軍人らしい所である。 軍人にとって、親しい仲間が敵の銃弾に倒れる可能性は、常に覚悟しておかねばならぬことである。 それどころか、状況次第では友軍を見捨てる覚悟さえ必要だ。仲間の犠牲を乗り越え、任務を達成する覚悟が必要だ。 今回の戦い、別に軍の命令による作戦ではなかったが……それでも、シュトロハイムは弁えていた。 自分の命は惜しまない。仲間の命も惜しまない。一時の敗北も致し方ない。真に避けるべきは――完全なる敗北。 再戦の余地を、勝利の可能性を後に繋げることこそ、大事なことだった。 この場は撤退する。そして仲間や装備の充実を図った上で、ジョナサンの仇を討つ。 そしてまた、病院に至る道で聞いた、ジョナサンの誓い。屍生人にされてしまったというジョナサンの大切な人々。 彼らを、ジョナサンに代わって解放してやる。ディオとかいうジョナサンの宿敵を、代わって倒してやる。 それがシュトロハイムの誓い。これからの行動方針だった。 「くぅぅぅッ! 待っていろ、『リキエル』に『噴上裕也』ッ! このシュトロハイムが、必ずその首、取ってやるゥゥゥッ!  ……ところで、ここはどこだ? まずは地図を見て、と……  おわッ、鞄ごと置いてきてしまったかぁッ!? シュトロハイム、一生の不覚ゥゥッ!」  *  *  * ――精神医学の世界で、よく知られた話がある。 ある母娘が、ある時、同じ幻聴を聞き、同じ妄想を訴えるようになった。 狂気というのは本来個人的なもの。その常識を超えた不可思議な現象が起きたのだ……と、当初は思われたのだが。 治療のために、と同居していた2人を別々の場所に引き離したところ、すぐさま片方の1人の症状が消えうせたのだ。 まだ何の薬も投与していないのに。まだもう1人は幻聴と妄想に捕らわれたままなのに。 どうやら1人に発症した幻聴や妄想が、すぐ傍で暮らすもう1人にも感染ってしまっていたらしいのだ。 つまり――狂気は、感染する。 一緒に暮らす夫婦の好みが似てくるように。偉大なる人物が周囲の人々を自然に高みに導くように。 狂気もまた、感染する。狂気もまた、近くに居る者との間で共有される。 個人差もあるし、必ず起こると約束された現象でもないが――狂気は、感染しうる。 そして噴上裕也はある意味、「とても感染しやすい」男だった。 優柔不断な性格ではない。協調性の高過ぎる性格でもない。自意識も強いし、度胸や意志力もある。 けれど根っこのところで、「流され易い」ところがある。「影響を受けやすい」ところがある。 写真のおやじに矢で貫かれれば、無差別にトンネルで獲物を狩る無情のハンターとなり。 東方仗助に協力を頼まれれば、自分の身を危険に晒してまで戦う正義の男となる。 どんな色にも染まる。そしてその全てが『噴上裕也』という男だ。 リキエルに出会った当初こそ、大いに慌て、相手の正気を疑っていた彼だったが―― 小一時間ほども嘆願され、説得され、泣かれ、説教され、教え諭されるうちに。 彼はすっかり、リキエルの『論理』に染まっていた。 リキエルの『狂気』にも近い情熱に、感染していた。 それこそ、その『狂気』のためなら、人殺しをも辞さないほどに。  *  *  * 「エリナ……きみに、ぼくは……」 ……ボキッ! 何かが折れる音が、オレの足元から響く。 もう動くことのできないジョナサンの首に、踏み下ろされた足。『ハイウェイ・スター』の足でなく、オレ自身の足。 呆然としたリキエルが、いつまでたってもトドメを刺さないので、このハンサムなオレ様が直々に手を下したというわけだ。 それにしても――嫌な感触だった。奴が最期に呟いた女の名前が、俺の耳に木霊する。 逃げ出した『仲間』のことでもなく、宿敵だという『DIO』のことでもなく、最期に口にしたのは『オンナ』の名前。 女々しい奴だ、と嘲笑う気にはなれない。オレもまた、死ぬとしたらあの取り巻きの女どものことを想うだろうしな。 ピクピクと痙攣する身体から足を離し、俺はリキエルの野郎に問い掛ける。 「シュトロハイムとかいう機械の男、その気になれば『ハイウェイ・スター』で追跡できるけどよォ……どうする?」 「……無用だ。あいつはどうやら、『生き残ること』に限っては、強い《運命》を持っているらしい。  もし、再び出会う《運命》なら、放っておいてもまた出会うだろう。追う必要はない」 ハン。また《運命》かよぉぉ~~っ。 コイツにかかると、どんな《偶然》も全ては《運命》ということになっちまうらしいなぁ~~。 ちょっとヤバい新興宗教か何かのような感じもしないでもないが、しかし今はオレも少しは信じ始めている。 知れば知るほど、コイツの『ロッズ』はトンでもない存在なんだ。 《偶然》なんかで、『ハイウェイ・スター』で殴り落とせるはずがねぇ。あれはリキエルの言う通り、《運命》だったんだ。 手首を押さえ座り込んだままのリキエルの野郎に、オレは手を貸して立ち上がらせる。 「コレでオレも人殺しだ。もう引き返せねェ……」 「気に病むな。そいつの《運命》が、おまえの《運命》よりも弱かったというだけのことだ。  想い半ばにして敗北し命を落とす《運命》。そういう《運命》の持ち主だったのだろう」 「……もう一回聞いておくぜ。その『神父』とかいう奴を助けたら、本当に『みんなが幸せになれる』んだな?」 「本当だ。『神父』には強い《運命》がついている。そして全ての者を幸福にしようという、強い意志がある。  その力と意思は、おそらく『荒木』よりも強い。『荒木』さえも、『神父』の《運命》を助ける者でしかない」 「オレの可愛い女どもも、みんな一緒に『幸せに』なれるんだな~~ッ?」 「もちろんだ。そしてそのために戦うのが、お前の《運命》だ」 「《運命》ね。好きな言葉じゃねーが……ま、ウソツキの仗助たちよりは、信じられるぜ」 仗助の奴らは、吉良の件でオレを騙していたみたいだしな。まだリキエルの方が、ウソをつかないだけマシだ。 オレはそして荷物を拾う。奴らが落としていった鞄が2つ。支給品らしきボーガン。何かに使えるかもしれない。 「鞄はそれぞれ、1つずつ貰っていくことにしようぜ。てか、おまえも片方持てよォ~~ッ!」 「そのボーガンはお前が持っていけ……。オレの折れた手首じゃ、使えない……。  あと済まないが、それぞれの中身を調べてくれないか……?」 やれやれ、戦闘の緊張が解けて、痛みがキツくなってきたかな? オレは奴の代わりにデイパックの中を漁る。 片方からは、共通の品に混じって植物図鑑が出てきた。ボーガンの予備の弾でも無いかと期待したんだが。使えねぇ。 そしてもう片方のデイパックからは…… 「なんだこりゃ? デスマスク? やけに柔らけーけど……素材は何なんだ? 指紋も取ってあるみてーだが……」 オレは見知らぬ男の像を前に、首を傾げた。やけに鋭い眼つき。凄まじい迫力。 それは、そう、リキエルの言葉を借りれば、いかにも「強い《運命》を持っていそうな人相」だった。 しかし、なんでこんなモンが『支給品』なんだ? ひょっとして、どこかの誰かさんにとっては深い意味のある品物なのか? おいリキエル……これも《運命》かよ? お前の言う《運命》とやらは、一体オレたちをどこに連れて行こうって言うんだ? 気がつけば俺は、顎を弄っていた。ジョナサンとかいう奴を殺した時にも弄らなかった顎を、無意識に弄っていた……! 【杜王町の街中(C-05)/一日目/早朝】 【シュトロハイム】 [能力]:サイボーグ [状態]:右腕喪失(だが痛みはない)。生身部分、『波紋』によって完全回復済み(むしろパワーアップ?) [装備]:ゲルマン民族の誇りである自らの肉体 [道具]:なし (支給品一式は置いてきてしまいました) [思考・状況]  1) ジョナサンの仇を取る(ただし現状では無理と判断)  2) あの2人に勝てる装備・または仲間を探す  3) ジョセフ・ジョースター、シーザー、リサリサの3名を、その最有力候補として合流を図る  4) ジョナサンの想いを継ぎ、ジョースター卿・ツェペリ・DIO・ブラフォードを倒す  5) ところで……今いるこの場所って、どこ?(道に迷っている。地図も磁石もない) 【 H☆S & S☆H 】 【ぶどうヶ丘病院前 (C-04)/一日目/早朝】 【リキエル】 [スタンド]:『スカイ・ハイ』 [状態]:右手首を骨折。やや疲労。 [装備]:ロッズ(未確認飛行生物)(多数。呼べばいつでも来る) [道具]:支給品一式×2、植物図鑑、(リキエルのランダム支給品は未確定) [思考]:  1) 神父の願いを叶える手助けをする。『運命』が神父を導くはず、と信じている。  2) 神父、あるいはDIOに対立するものを狩り、排除する(なおDIOへの敵対は神父への敵対、と判断)  3) 噴上裕也に強い信頼と期待。(すべては彼の強い『運命』のお陰で上手く行っている、と思っている) 【噴上祐也】 [スタンド]:『ハイウェイ・スター 』 [状態]:健康。一旦ロッズの力で病気になったが、既に完全回復済み。 [装備]:アイアンボールボウガン(ただし鉄球なし) [道具]:支給品一式×2、双眼鏡(噴上裕也のランダム支給品)、     ディアボロのデスマスク(シュトロハイムのランダム支給品) [思考]:  1) リキエルを助ける。リキエルの願いを叶える。そして『みんなで幸せになる』。  2) 東方仗助達に対する不信の念。(吉良の一件で騙されたと思い込んでいる)  3) ところでこのデスマスク、誰なんだろう? 好奇心と、直感的な恐怖。 ※噴上はシュトロハイムの臭いを記憶しました。 &color(red){【ジョナサン・ジョースター 死亡】} *投下順で読む [[前へ>信奉者達の盟約(前編)]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>灯台もと暗し]] *時系列順で読む [[前へ>死に触れた者達]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>灯台もと暗し]] *キャラを追って読む |25:[[岸辺露伴の奇妙な取材]]|ジョナサン・ジョースター| |25:[[岸辺露伴の奇妙な取材]]|シュトロハイム|64:[[SZR~surround zone readers~]]| |02:[[「未知との遭遇」]]|噴上裕也|67:[[逃亡]]| |02:[[「未知との遭遇」]]|リキエル|67:[[逃亡]]|
「……なあ、大佐。ちょっと聞きたいんだが」 このぼく、ジョナサン・ジョースターは、とうとう我慢できなくなって、隣を歩く男に問い掛けた。 空はゆっくりと白み始め、夜明けも程近い時間。目の前には大きな建物、病院の看板が見える。 「何かなァァァッ?」 「大佐の身体は、本当に金属で機械なんだよな?」 「我がドイツの技術力は世界一ィィィ! その通りッ、我らゲルマン民族が誇る最先端技術の結晶であるッ!」 「ひょっとして……その身体って、磁石に影響を与えたりするのかい?」 ルドル・フォン・シュトロハイム大佐。ドイツの軍人だそうだ。この若さで大佐というのも異例なことだろう。 ぼくが岸辺露伴の家で出会った仲間。彼もまた吸血鬼と戦っているということなので、行動を共にすることになった。 未だに信じきれないのだけれど、彼の身体の大半は機械で出来ているらしい。 『波紋』だって知らない者が見れば魔法のようなものだろうし、世界は広い。ぼくの知らない技術があってもおかしくはない。 ただ――その身体が金属で、鉄で出来ているなら。ぼくの知識でも分かるような、ちょっとした問題が出てくるわけだ。 「我が肉体には実験的で先進的な技術を惜しみなく投入しているがためにィィ、ささやかな不都合が起こることもあるッ!  ごくごく稀にィ、磁場や電場の異常を引き起こすこともありうると聞いているッ!」 「……それじゃ、方位磁針が狂っても仕方ないな」 なるほどね。いや詳しいことは理解してないけれど。 改めて地図を見る。見知らぬ街の中、方位磁針を頼りに南を、街の中心を目指していたはずのぼくたち。 しかし実際に辿り着いたのは、出発点となった露伴の家の真北に位置するこの病院だった。 まあ、いい。次から気をつけよう。次は磁石よりも地図の方を信じて動くことにしよう。 それよりも、《偶然》辿り着いた、この場所は……。 「『ぶどうヶ丘病院』か。なかなか大きな建物だね。これはひょっとすると……」 「そろそろ夜明けも近いしなァァッ! ジョナサンが追う『ディオ』とかいう吸血鬼や、カーズどもが潜んでおるやもしれん!」 どうやら大佐もぼくと同じことを考えていたらしい。 ぼくらの敵は、共に日光に弱い。夜明けも近いこの時間、日差しを避けるための建物を探しているはず。 このような大型の建物は、まさにうってつけだろう。彼らのうちの誰かが既に潜んでいる可能性は、十分にある。 「夜明けを待つか、それとも今調べてしまうか。ぼくは時間を置いてしまう方が怖いと思うが……大佐、君の考えは?」 「ドイツ軍人は敵を恐れないィィィッ! 断固、突入あるのみィッ!」 考えることは、やはり同じか。ぼくらはそして、闇に包まれた病院の中に踏み込もうとして……その音を、聞いた。 ガシッ! ガシガシガシッ! それは奇妙な足音だった。凄まじい速度で駆ける足音だった。 病院の建物を回りこむように、正面玄関前にいる僕らの所に駆けて来る。 複数? それとも1人? 音だけでは判別できない。どちらのようにも思える。 そして建物の陰から姿を現したそれは、ぼくらの予想を遥かに上回る、奇妙な存在で―― 「な……なんだぁッ!? 『足跡』が、『足の形をした板』がたくさん、走ってくるッ!?」 「これは――露伴の言っていた、『スタンド』という奴じゃないかっ!?」 シュトロハイム大佐が驚きの声を上げる。ぼくらの目の前で急停止した『足跡たち』は、そして次々と積み重なっていく。 バシッ! バシバシバシッ! 先頭の足跡の上に次の足跡が。その上にその次の足跡が。 みるみるうちに足跡が重なっていって……気がつけば、そこに居たのは奇妙な人型の存在。 ぼくは咄嗟に露伴から聞いた話を思い出す。ぼくらへの取材の代わりに教えてくれた、『スタンド』の性質。 これから出会うかもしれない、あの『全てを削り取る吸血鬼』に似た能力の情報を――  露伴は、(おそらく彼自身も『スタンド使い』なのだろうが)彼自身のスタンド能力については一切語ってくれなかった。  けれど、スタンド一般の基本的性質については、説明してくれた。彼曰く――  スタンドは、精神の力の発現である。  スタンドは、『波紋』のような「技術」ではなく、一種天性の「能力」である。  スタンドは、奇妙な服装をした人間、というのが基本形だが、その基本に当てはまらない例外も山のようにある。  スタンドは、スタンド使いが念じただけで自在に動く。でもたまに独立した意志を持ち、声で命令するタイプもある。  スタンドは、本体の隣に寄り添うように立つ。たまに本体から遠く離して操ることができる者もいる。  スタンドは、1人1つ。稀に群体タイプもあるが、それでも「1つ」。そして物理現象を捻じ曲げるような能力を1つだけ持つ。  スタンドは、本来スタンド使いにしか見えない――のだが、何故か今はぼくたちにも見えているらしい。  スタンドは、原則としてスタンドでしか傷つけられない。  では、ぼくたちが不幸にしてスタンド使いと戦うことになったら、どうすればいいのか? それは…… 『……この出会いは、《偶然》ではない。《運命》だ……』 「大佐、気をつけろ。どこかに『本体』がいるはずだッ! それを探すんだッ!」 「わ、わかっているッ! 命令するなッ!」 そのスタンドらしき影は何やらブツブツ呟いている。ぼくらは互いに囁きあう。 露伴の話が正しければ、そう遠くない所に『スタンド使い』の『本体』がいるはずだ…… と、ぼくは病院の2階、遠くの窓にキラリと光る「何か」に気づく。2本の円筒の先に光るガラスのレンズ。双眼鏡だ。 こちらの視線に気付いたのか、さッと引っ込んでしまったが、間違いない。 大佐はまだ気付いてないようだが、この状況で双眼鏡など覗くような人間は、他にいない! あれが『本体』だ! しかし遠い……! しかも物陰に隠れてしまった! さてどうするか……!ぼくはボーガンを片手に、考える。 そんなぼくらに構わず、そのスタンドはゆっくりと顔を上げて。 『さっき、『DIO』がどうこうと話していたな……? 『DIO』とかいう奴とお前ら、どういう関係だ?』 「……ッ!」 まただ。露伴の家で会った『ヴァニラ・アイス』という男同様、こいつもなぜかディオのことを知っている! 大佐の声は、無駄に大きい。どうやら先ほどの大佐の言葉を聞かれてしまったのだろう。 しかし病院のような大きな建物に潜むスタンド使いとは……こいつも吸血鬼なのだろうか?! 横目で大佐を見る。彼もまた同じことを考えているらしい。軍服の胸元をはだけ、身構えている。 だが戦わねばならないと決め付けるのはまだ早い。ぼくは警戒しつつも、堂々と名乗りを上げる。 「ぼくの名は、ジョナサン・ジョースター。ディオ・ブランドーは、ぼくが今度こそ確実に倒さねばならない男だ」 『ジョースター? 倒す? ……あッ、ちょッ、待てよッ……! 本気でやるのかよッ……!?』 「??」 ぼくの言葉の、何がそうさせたのだろう? 目の前のスタンドが、急に慌てだす。ぼくの言葉を復唱した彼が、虚空に向かって呼びかけるような仕草をする。 まるで、見えない「誰か」に声をかけるような。見えない「誰か」が、急に何か動き出したかのような。 なんだろう? とぼくや大佐が理解する間もなく。ぼくらの横から、声をかける新たな人影。 「……ジョースターの一族か。つまりは、オレの敵ということだな。  それがナチスのコスプレ野郎と一緒に行動しているっては奇妙極まりないが……この出会い、やはり《運命》らしい」 「!!」 足跡のスタンドが出てきた方向とは、また別の方向。病院の正面玄関から出てきた1人の男。 自信ありげな笑みを浮かべて、『足跡のスタンド』と並んで立つ。腰に手を当て、同じポーズを取る。 この『スタンド』の本体! いったいいつの間に2階から降りてきたんだ?! それに、こうして堂々と姿を現し、敵対を宣言するとは……自分の力に相当の自信があるに違いない! しかし――先ほどまではスタンドしか出していなかったというのに、何故、今になって本体が……? 何か嫌な予感。何か大きな間違いを犯しているという直感。 そんな勘に縛られ動けないぼくと違い、大佐の方の動きは、素早かった。 「《運命》がどうとかこうとか、知ったことかァァ~~ッ! このシュトロハイム、敵だというなら容赦せんわ~~ッ!  喰らえ、吸血鬼ッ! 『紫外線照射装置』ィィィ~~ッ!」 「ま、待て大佐、何かがおかしいッ……!」 「??」『??』 ぼくの制止も聞かず、大佐の両肩のパーツがハネ上がる。まばゆい光が迸る。 日光に弱い吸血鬼、その『吸血鬼に効く日光の要素』を人工的に再現したというその装置は…… しかし、目の前のスタンドや、奇妙な服装の男には、何の効果も現さず。 つまりそいつは、吸血鬼でも何でもないということだ! ぼくは改めて驚く。屍生人でもないのに……生身の普通の人間なのに、ディオに味方する者がいるとは! 「何をしたかったのか、良く分からないが……やはりオレたちは戦う《運命》にあるようだなッ!  『ハイウェイ・スター』! 奴を攻撃しろッ!」 男が叫ぶ。『ハイウェイ・スター』、それがこの『足跡のスタンド』の名か!? 念じて動かせる通常のタイプでなく、独立した意思を持ち、声に出して命令が必要なタイプなのか!? ぼくが何かをする間もなく、『ハイウェイ・スター』は再び無数の足跡に分裂し、大佐目掛けて襲い掛かる! 「う……うぉぉぉぉッ! く、来るなぁッ!」 ズドドドドッ! 大佐の腹部から銃身が突き出し、無数の銃弾を放つ。轟音。ヒュンヒュンと風を切る音がする。 その連射の速度といい、威力といい、小型化したサイズといい。ぼくには信じられないような技術を結集した超兵器だ。 が、しかし――その重機関砲、とかいう兵器の攻撃は、迫り来る『ハイウェイ・スター』の足跡にかすりもしない! いや、何発かは当たってはいる。当たっているのだが……全然効果がない! 全然ダメージになっていない! 『スタンドを傷つけられるのはスタンドだけ』。露伴の言っていた『スタンドの基本ルール』を、改めて思い知らされる! そして大佐の抵抗も虚しく、無数の足跡が、大佐の身体に……! 『……? なんだ、この身体は……? 『栄養』が、無い?  金属と油の匂いはしていたし、機械を沢山身につけているのは分かってかっていたが……  クンクン、この匂いは……機械そのもの? 肉体にあるべき、汗の香りが、ほとんどしない?  こいつの身体はどうなっている? 声を聞いた限りでは、普通の人間のように思ったんだが……』 「さ、触るなッ! 触るでなァァァいッ!」 次々と大佐の身体に食い込む――かと思われた『足跡』たちは。 何か壁にでもぶつかったかのように、大佐の身体の表面で動きを止めて。 クンクン、と嗅ぎまわるような動きを見せる。再び積み重なって人の形を取ると、ペタペタと大佐の足や腰を触る。 大佐が振り払おうと抵抗するが、お構いなしだ…… なんなんだろう、コレは?! ひょっとしてこの『ハイウェイ・スター』というスタンド、盲目なのかッ!? 一目見れば、大佐の手足の輪郭が歪に強張っているのは、すぐに分かるはず。そして逆に飛びぬけた嗅覚。 目が見えず、しかし鋭い嗅覚でそれを補っている存在……確かにそれで、このスタンドの言動は説明できる。 そして大佐に対し、『生き物にしか効果のない何らかの攻撃』をしようとして、上手くいかずに困惑している……。 だが、何かおかしい! やっぱりおかしい! スタンドの特性でなく、違う何かが――。一緒にいる、男の態度が――! 「何をやっている、『ハイウェイ・スター』! さっさとやれッ!」 『そんなことを言われてもな、こいつの身体、普通じゃないんだよォ~~ッ! そんなに言うなら、お前がやれよッ!』 「こ、こっちだって、さっきからやろうとしているッ! だが『体温が感じられない』のはどういうことだッ!?」 「……? 揉めているのかッ……! なら、この間に……!」 ぼくは駆け出す。疑問をとりあえず棚上げして、ぼくは駆け出す。 『ハイウェイ・スター』を振り払おうと片腕で無駄な努力を続ける大佐をよそに、ぼくは男に向かって駆け出す。 露伴から聞いた、非・スタンド使いがスタンド使いと戦う際のほぼ唯一の策。 それは、『本体』を叩くこと! 本体が倒れれば、スタンドも消える! スタンドを大佐への攻撃に使ってしまってる今、本体は無防備! 殺す気はない、だがぼくの渾身の『波紋』を直接叩き込まれれば、一般人は昏倒を免れ得ないだろうッ……! ぼくは走りながら『波紋』の呼吸を整え、ボーガンを左の小脇に抱え、右の拳を振り上げる、しかしその時―― ヒュンヒュン、と、風を切るもう1つの音を聞き―― 急にガクン、とぼくの膝の力が抜け―― あと2歩で男に触れられる、というその距離で、ぼくは地面に倒れ込んでしまう。 何が起こったッ!? ぼくは今、何をされたッ!? 慌てて自分の身体を確かめる――右足首が、ありえない方向に曲がっていた。 さらによく見れば、ぼくの肌が黄色くっぽくなっている。そして全身がだるい。奇妙な脱力感。 だがどうやって?! ぼくは決して何物にも『触られていない』! これがあのスタンドの『能力』なのかッ!? 一体、何が起きたッ!? ぼくの身体は何をされてしまったのだッ!? 「ジョセフ、いやジョナサンッ! ええい、やらせるかァァァァッ!」 大佐が吼える。スタンドを振り払うことを諦め、重機関砲の銃身を、倒れたぼくの身体越しに男に向ける。 スタンドが掴みかかって止めようとするが、どうやらこのスタンド、腕力の方は大したことないらしい! 大佐はスタンドを押しのけるようにして、銃身を無防備な男に向けて、銃弾を乱射し……! 「な……なぁッ!? なんだお前ッ!? お前の身体が――『崩れている』ぞォォォッ!」 「――どうやら首から上は、『普通の人間』とほぼ同じらしいな。お前の『体温がある場所』が、ようやく分かった」 ヒュンッ。再び何かが空を切る音。それと同時に、大佐の動きに異常が起こる。 そして大佐は、見当はずれの方向に向かって銃弾を撒き散らす。 確かに男は、大佐が銃身を向けたその時から、大佐の周りを回るように逃げ始めていた…… だが、あの程度の速度では、大佐の銃弾を避けることなどできないはずなのに。あの連射を避けるなど無理なのに。 まるで大佐の目に何か異常が発生したかのようだ! 全然狙いが定まっていない! 大佐は何をされたんだ?! 「『体温』……。確か、『体温』と言ったな……!」 ぼくは自由にならない身体を、必死になって起こす。そのはずみで、右脇腹に何か硬いものが触れていたことに気づく。 ポケットだ。ポケットの中に入れていた、ボーガンの弾となる鉄球だ。それが妙に冷たくなっていると感じる……。 右脇腹、それは肝臓の位置。そして黄色い肌は重度の肝機能障害を知らせる黄疸の症状! 体温と病気の間に、どんな因果関係があるかは知らないが……明らかにコレは、病気にさせられているッ! ひゅんッ。再び風を切る音。何か小さな風が、ぼくの左手を掠める。 次の瞬間、ぼくの左手の小指が、ありえない方向に捻じ曲がる! もう間違いない。何か小さな、凄まじいスピードで飛ぶモノが、ぼくらの身体を掠めるように飛んでいる! ぼくは悲鳴を噛み殺しつつ、顔を上げる。だんだん『こいつら』の能力の秘密が、見えてきた! 『それくらいにしてくれ、『リキエル』よぉぉぉ~ッ!  こっちの『機械の男』から『栄養』が吸えない以上、そいつから貰う必要があるんだぜぇ~ッ!  お前自身が分けてくれるというなら、オレはそれでも構わないがなァ!』 「ああ、すまんな。動けなくしただけだ、まだ本格的に『病気』にはしていない。おまえの分は残っているはずだ。  さて、ではオレは、そっちの『機械の男』を始末しようか……!」 『ハイウェイ・スター』から解放された大佐が、その場に尻餅をつく。機関砲の乱射が止まる。 大佐は素早く立ち上がろうとして……再び転んだ。どうやら目の障害だけでなく、平衡感覚も失っているらしい。 また立ち上がる。転ぶ。病院の前にあった植え込みの中に、無様に倒れ込む。 リキエル、と呼ばれた男が、ゆっくりと大佐に歩み寄る。 「口の中から『視床下部』の、耳の所から『三半規管』の『体温』を奪った……頭部への攻撃は、有効なようだな。  今のおまえは、動くものの残像がいつまでも残り、またどっちが地面なのか分からない状態のはず。  もう少し近づいて、狙いを定め、『脳幹』の『体温』を奪ってトドメを刺してやる!」 「シュトロハイム大佐ッ! 気をつけろッ! 頭をガードするんだッ!」 『お前の相手は、オレだぜぇぇ~! 『養分』を寄越せぇぇぇッ!」 立ち上がれないぼくの所に、『ハイウェイ・スター』が迫る。ぼくの身体に深く食い込んでくる! ズキュン、ズキュン、と音を立てて、ぼくの身体から『大切な何か』が抜き取られていく! だがそれは、さっき『体温』を奪われた時の感覚とは、根本的に違う! ぼくは喋るのも困難な脱力感の中、それでも声を振り絞る。 「分かったぞ、お前の……『お前たち』の『能力』の秘密がッ……!  目にも止まらぬ『小さな何か』を近距離で操り、掠めるようにして『体温』を奪い、『病気』を引き起こす『能力』!  そして『ハイウェイ・スター』を遠距離から操り、『ハイウェイ・スター』で触れて『生命力』を奪う『能力』!  スタンド使いの『能力』は、1人1つ。最初っから、この病院には……!」 ズキュン! ズキュン! ズキュ……。 ぼくの身体に食い込んだ、『ハイウェイスター』の『吸引』が止まる。 コツン、コツン、と、新たな足音がやってくるのが聞こえる。 玄関から姿を現した、もう1人の男……そいつが、再び人の形となった『ハイウェイ・スター』と並び、同じポーズを取る! 「 ス タ ン ド 使 い は 、 2 人 居 た ! ! 」 ぼくの感じていた『違和感』の正体は、それだったのだ! 独立した意志を持つスタンドではなく、別々の能力をもつ2人! それならば――最初に『リキエル』という男が出てくる際、『ハイウェイ・スター』が慌てていたことも。 2階に双眼鏡が光ってから、『リキエル』が登場するまでの間が、やけに早かったことも。 その『リキエル』が、『ハイウェイ・スター』の能力を完全には把握していなかったことも。 全て綺麗に、説明がつく! 「おい、噴上裕也。もうちょっとだってのに、何止めてるんだよッ!」 「悪いなぁーっ、リキエルぅーっ!  ハンサムでカッコいいオレ様は、既に『完全回復済み』……要するに、『お腹いっぱい』ってわけよぉぉ~~ッ。  他人の『養分』を吸い取って俺の傷を治すのが、『ハイウェイ・スター』の『能力』だからな。  こうなっちまうと、もうその『力』は使えねー。これ以上は、吸い取れねーんだ」 「じゃあ、もう一回『ロッズ』でお前の身体を『病気』にするか?」 「それは困るなぁ~~。殺せはしなかったが、そいつの『養分』はほとんど残ってない。立ち上がることもできないはずだ。  今『ロッズ』の攻撃を受けちまうと、こいつの残りの『養分』全部吸っても、ダメージを治しきれる気がしねぇ~。  リキエルがやった方が早いんじゃねーか?」 何やら2人が、言い争いをしている。そしてその内容が、ぼくの推測を裏付ける。 この『噴上裕也』とかいう『ハイウェイ・スター』の『本体』が当初隠れていたのは、ダメージを受けていたからだ。 『養分を吸い取る能力』の使用条件を満たすために、『リキエル』の『ロッズ』とやらで、予めダメージを受けていたからだ! あるいはそれは、『ハイウェイ・スター』が虚空に向けて「ちょっと待て!」とか言っていた、あの瞬間だったのかもしれない。 まずは『ハイウェイ・スター』だけで偵察する。敵と決まれば、途端にそれは生気を吸い取るスタンドと化す! 恐るべきコンビだ。そしてせっかく彼らの『能力』を解き明かしたぼくらには、反撃の力は残されていない! 噴上裕也が言う通り、ぼくには立ち上がる力も残ってないし、大佐は視力と平衡感覚を奪われて動けない……! 「だが、まだだッ……! まだ、終るわけにはッ……!」 ぼくは最後の力を振り絞り、這って進む。 同じように立ち上がることのできない大佐の方へ、大佐が倒れ込んだ植え込みの方へ、必死に這って進む。 ぼくたちはこの2人に勝てないのかもしれない。けれど、せめて、最後に……!  *  *  * 「効率の問題じゃないんだ! これは《運命》の問題なんだッ! お前がやった方が、絶対にいいんだッ!」 このオレ、リキエルは力説する。 この噴上裕也という男、実に強い《運命》を持っているというのに、その使い方を知らない。自覚もない。 オレだけでは、《運命》が弱いのだ。《計算》の上でなら、オレだけでもこの2人にトドメを刺すことはできるはず。 しかし《計算》などより遥かに強い『力』、《運命》の力が、オレには足りないんだッ! 現に、『シュトロハイム大佐』とかいう『機械の男』、『ハイウェイ・スター』が居てくれなければオレには倒せなかった。 『ハイウェイ・スター』が気を引き時間を稼いでくれたからこそ、頭部に『体温』を見つけることができたんだ。 もしもオレ1人だったなら、そのことを見抜くより先に、あの機関銃で蜂の巣にされていたに違いない。 オレだけじゃ……オレだけじゃ、ダメなんだよォォ――! 「そんなことより、リキエルッ! 俺の『ハイウェイ・スター』が吸い取りきれなかった奴が、何かしようとしてるぞッ!」 噴上裕也の警告。 分かってるんだッ、そんなことッ! ジョナサンとかいうジョースターが、シュトロハイムの方に這っていることくらい! だが、オレのまぶたが降りてくるッ! 汗が出るッ! 息苦しいッ! まるで昔のオレの症状がぶり返したようだ! できるのか!? 本当に、《運命》の弱い、オレだけでッ!? 「早くしろ、リキエルッ!」 「うるさい、分かってるッ! 『スカイ・ハイ』! 『ロッズ』で奴の『体温』を奪えっ!」 オレは半ばパニックになりながら、それでも噴上の叫びに背を押され、『ロッズ』をけしかける。 このコンディションでは精密な動きは無理だ。一撃で殺せる急所、脳幹の体温を奪う第一頸椎は、狙える気がしない。 だが、身体のどこかを『病気』にして、匍匐前進を止めることくらいは……! そう思うオレの目の前で、しかし、シュトロハイムがいる植え込みに辿り着いていたジョースターは。 「確かに今のぼくには、立ち上がる力はない……けれど、『呼吸』はできるッ!  『呼吸』できれば、『波紋』を練ることはできるッ!  生命磁気への『波紋疾走(オーバードライブ)』ッ! 葉っぱよ、集まれッ!」 オレの命令に従い、『ロッズ』が奴に届くと思った、その瞬間! 見えない手に集められたかのように、植え込みに散らばるの葉っぱが集まって……大きな一枚の板となり、彼らの姿を隠す! 何物にもぶつからずに飛行する不思議な生物、『ロッズ』。それが網の目のようなものなら容易にすり抜けてみせるのだが。 薄いが隙間のない「葉っぱの壁」に遮られ、『ロッズ』はジョースターの所に辿り着けない! あさっての方向に飛んでいく! オレの『スカイ・ハイ』が『ロッズ』を操れるのは、あくまでオレの視界の範囲内。 ヘリコプターの中のような密室に標的が居ればいいのだが、見えない相手が開けた場所に居ては、襲えない! 「噴上裕也ッ! 『ハイウェイ・スター』でその葉っぱを排除しろォォッ!」 「わ、わかったッ!」 『ハイウェイ・スター』が走り出す。 奴のスタンドはあまりパワーのあるタイプではないが、しかしこの程度の葉っぱ、簡単に破ることができるはず…… だが、『ハイウェイ・スター』が緑の壁に手をかけるよりも先に、その向こう側に隠れた敵たちは。 ドンッ! こちらから壁を崩すより早く、向こう側から壁が弾け飛ぶ。 丸い穴を開け葉を撒き散らして飛び出したのは、握りこぶしほどの鉄球。 穴の向こうには、尻餅をついた姿勢のまま、ボーガンを構えたジョースターの姿……! しまった、と思った時には、それは避けられない距離にまで迫っていて。 ゴキッ、と嫌な音を立てて――鉄球が命中した俺の右腕が、折れた。 腕時計のように『スカイ・ハイ』がくっついている、まさにその部分が、見事に折れた。オレは思わずその場に膝をつく。 「う、うごぉぉぉッ!」 「それがおまえのスタンド、『スカイ・ハイ』か……。最初、腕輪か何かだと思ったんだけどな。  露伴から『スタンドは色んな形がありえる』とは聞いていたが、すぐには気付かなかったよ。  例えばこれが人型だったなら、君たちが2人組みだともっと早く見抜けていたのにな」 ジョースターが、勝ち誇ったような笑みで呟く。噴上裕也が、オロオロしている。 オレは脂汗を流しながらも、折れた右腕を押さえながらジョースターを睨みつける。 「こ、これで勝ったつもりかッ!? オレの右腕を折って『スカイ・ハイ』を封じたつもりかッ!? ……甘すぎるぞッ!」 オレは叫ぶ。この程度の痛み! 空条徐倫と戦った時のダメージに比べれば! 確かに『スカイ・ハイ』はオレの手首が定位置だが、しかし『スカイ・ハイ』はスタンド、鉄球ごときでダメージは受けない! 不意打ちのような激痛に、一旦は『ロッズ』のコントロールを解除してしまったが、しかしッ! 「行け、『ロッズ』! 今度こそ、奴らの『体温』を……! 第一頸椎を……!」 右手首が折れても、『スカイ・ハイ』は使える! 『ロッズ』は操れる! オレはそして今度こそ、奴ら2人にトドメを刺そうとして――そして、気付いた。 パラパラと崩れ落ちていく、葉っぱの壁。その向こうに居たのは……ジョースター1人! シュトロハイムは居ない! 「やっと、気付いたかな……! シュトロハイム大佐なら、もういない……!  ぼくに残された僅かな生命力を、彼の生身の部分に『波紋』として流し込み、彼の『病気』を、癒したのだッ!  かつてツェペリさんが見せた最後の技、『究極!深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)』! その再現!  全ては彼に委ねた。ぼくはもう空っぽだ。  このまま放って置かれても、じきに、ぼくの心臓の鼓動も止まるだろうがね……!」  *  *  * シュトロハイムは、そして――逃げていた。 男泣きに滂沱の涙を流しながら、取るものも取りあえず、ただひたすらに逃げていた。 敵に背を向け、無様な逃亡を図っていた。 「屈辱、屈辱、屈辱ゥ~~~ッ! だがしかし、いまのおれのこの装備では、奴らを殺しきれんッ! 撤退しかないッ!」 本当は、シュトロハイムがあの場に残りたかった。せめてジョナサンも連れて逃げたかった。 けれど無理にジョナサンを連れていけば、すぐに追いつかれ、揃って倒されてしまうのは必至。 そして『波紋』を使い『病気』を癒せるのはジョナサンのみ。逃げられるのはシュトロハイムただ1人。 涙を飲んで、この場は一時撤退するしかなかった。 このあたり――普段の言動からは想像もつかないが、シュトロハイムの軍人らしい所である。 軍人にとって、親しい仲間が敵の銃弾に倒れる可能性は、常に覚悟しておかねばならぬことである。 それどころか、状況次第では友軍を見捨てる覚悟さえ必要だ。仲間の犠牲を乗り越え、任務を達成する覚悟が必要だ。 今回の戦い、別に軍の命令による作戦ではなかったが……それでも、シュトロハイムは弁えていた。 自分の命は惜しまない。仲間の命も惜しまない。一時の敗北も致し方ない。真に避けるべきは――完全なる敗北。 再戦の余地を、勝利の可能性を後に繋げることこそ、大事なことだった。 この場は撤退する。そして仲間や装備の充実を図った上で、ジョナサンの仇を討つ。 そしてまた、病院に至る道で聞いた、ジョナサンの誓い。屍生人にされてしまったというジョナサンの大切な人々。 彼らを、ジョナサンに代わって解放してやる。ディオとかいうジョナサンの宿敵を、代わって倒してやる。 それがシュトロハイムの誓い。これからの行動方針だった。 「くぅぅぅッ! 待っていろ、『リキエル』に『噴上裕也』ッ! このシュトロハイムが、必ずその首、取ってやるゥゥゥッ!  ……ところで、ここはどこだ? まずは地図を見て、と……  おわッ、鞄ごと置いてきてしまったかぁッ!? シュトロハイム、一生の不覚ゥゥッ!」  *  *  * ――精神医学の世界で、よく知られた話がある。 ある母娘が、ある時、同じ幻聴を聞き、同じ妄想を訴えるようになった。 狂気というのは本来個人的なもの。その常識を超えた不可思議な現象が起きたのだ……と、当初は思われたのだが。 治療のために、と同居していた2人を別々の場所に引き離したところ、すぐさま片方の1人の症状が消えうせたのだ。 まだ何の薬も投与していないのに。まだもう1人は幻聴と妄想に捕らわれたままなのに。 どうやら1人に発症した幻聴や妄想が、すぐ傍で暮らすもう1人にも感染ってしまっていたらしいのだ。 つまり――狂気は、感染する。 一緒に暮らす夫婦の好みが似てくるように。偉大なる人物が周囲の人々を自然に高みに導くように。 狂気もまた、感染する。狂気もまた、近くに居る者との間で共有される。 個人差もあるし、必ず起こると約束された現象でもないが――狂気は、感染しうる。 そして噴上裕也はある意味、「とても感染しやすい」男だった。 優柔不断な性格ではない。協調性の高過ぎる性格でもない。自意識も強いし、度胸や意志力もある。 けれど根っこのところで、「流され易い」ところがある。「影響を受けやすい」ところがある。 写真のおやじに矢で貫かれれば、無差別にトンネルで獲物を狩る無情のハンターとなり。 東方仗助に協力を頼まれれば、自分の身を危険に晒してまで戦う正義の男となる。 どんな色にも染まる。そしてその全てが『噴上裕也』という男だ。 リキエルに出会った当初こそ、大いに慌て、相手の正気を疑っていた彼だったが―― 小一時間ほども嘆願され、説得され、泣かれ、説教され、教え諭されるうちに。 彼はすっかり、リキエルの『論理』に染まっていた。 リキエルの『狂気』にも近い情熱に、感染していた。 それこそ、その『狂気』のためなら、人殺しをも辞さないほどに。  *  *  * 「エリナ……きみに、ぼくは……」 ……ボキッ! 何かが折れる音が、オレの足元から響く。 もう動くことのできないジョナサンの首に、踏み下ろされた足。『ハイウェイ・スター』の足でなく、オレ自身の足。 呆然としたリキエルが、いつまでたってもトドメを刺さないので、このハンサムなオレ様が直々に手を下したというわけだ。 それにしても――嫌な感触だった。奴が最期に呟いた女の名前が、俺の耳に木霊する。 逃げ出した『仲間』のことでもなく、宿敵だという『DIO』のことでもなく、最期に口にしたのは『オンナ』の名前。 女々しい奴だ、と嘲笑う気にはなれない。オレもまた、死ぬとしたらあの取り巻きの女どものことを想うだろうしな。 ピクピクと痙攣する身体から足を離し、俺はリキエルの野郎に問い掛ける。 「シュトロハイムとかいう機械の男、その気になれば『ハイウェイ・スター』で追跡できるけどよォ……どうする?」 「……無用だ。あいつはどうやら、『生き残ること』に限っては、強い《運命》を持っているらしい。  もし、再び出会う《運命》なら、放っておいてもまた出会うだろう。追う必要はない」 ハン。また《運命》かよぉぉ~~っ。 コイツにかかると、どんな《偶然》も全ては《運命》ということになっちまうらしいなぁ~~。 ちょっとヤバい新興宗教か何かのような感じもしないでもないが、しかし今はオレも少しは信じ始めている。 知れば知るほど、コイツの『ロッズ』はトンでもない存在なんだ。 《偶然》なんかで、『ハイウェイ・スター』で殴り落とせるはずがねぇ。あれはリキエルの言う通り、《運命》だったんだ。 手首を押さえ座り込んだままのリキエルの野郎に、オレは手を貸して立ち上がらせる。 「コレでオレも人殺しだ。もう引き返せねェ……」 「気に病むな。そいつの《運命》が、おまえの《運命》よりも弱かったというだけのことだ。  想い半ばにして敗北し命を落とす《運命》。そういう《運命》の持ち主だったのだろう」 「……もう一回聞いておくぜ。その『神父』とかいう奴を助けたら、本当に『みんなが幸せになれる』んだな?」 「本当だ。『神父』には強い《運命》がついている。そして全ての者を幸福にしようという、強い意志がある。  その力と意思は、おそらく『荒木』よりも強い。『荒木』さえも、『神父』の《運命》を助ける者でしかない」 「オレの可愛い女どもも、みんな一緒に『幸せに』なれるんだな~~ッ?」 「もちろんだ。そしてそのために戦うのが、お前の《運命》だ」 「《運命》ね。好きな言葉じゃねーが……ま、ウソツキの仗助たちよりは、信じられるぜ」 仗助の奴らは、吉良の件でオレを騙していたみたいだしな。まだリキエルの方が、ウソをつかないだけマシだ。 オレはそして荷物を拾う。奴らが落としていった鞄が2つ。支給品らしきボーガン。何かに使えるかもしれない。 「鞄はそれぞれ、1つずつ貰っていくことにしようぜ。てか、おまえも片方持てよォ~~ッ!」 「そのボーガンはお前が持っていけ……。オレの折れた手首じゃ、使えない……。  あと済まないが、それぞれの中身を調べてくれないか……?」 やれやれ、戦闘の緊張が解けて、痛みがキツくなってきたかな? オレは奴の代わりにデイパックの中を漁る。 片方からは、共通の品に混じって植物図鑑が出てきた。ボーガンの予備の弾でも無いかと期待したんだが。使えねぇ。 そしてもう片方のデイパックからは…… 「なんだこりゃ? デスマスク? やけに柔らけーけど……素材は何なんだ? 指紋も取ってあるみてーだが……」 オレは見知らぬ男の像を前に、首を傾げた。やけに鋭い眼つき。凄まじい迫力。 それは、そう、リキエルの言葉を借りれば、いかにも「強い《運命》を持っていそうな人相」だった。 しかし、なんでこんなモンが『支給品』なんだ? ひょっとして、どこかの誰かさんにとっては深い意味のある品物なのか? おいリキエル……これも《運命》かよ? お前の言う《運命》とやらは、一体オレたちをどこに連れて行こうって言うんだ? 気がつけば俺は、顎を弄っていた。ジョナサンとかいう奴を殺した時にも弄らなかった顎を、無意識に弄っていた……! 【杜王町の街中(C-05)/一日目/早朝】 【シュトロハイム】 [能力]:サイボーグ [状態]:右腕喪失(だが痛みはない)。生身部分、『波紋』によって完全回復済み(むしろパワーアップ?) [装備]:ゲルマン民族の誇りである自らの肉体 [道具]:なし (支給品一式は置いてきてしまいました) [思考・状況]  1) ジョナサンの仇を取る(ただし現状では無理と判断)  2) あの2人に勝てる装備・または仲間を探す  3) ジョセフ・ジョースター、シーザー、リサリサの3名を、その最有力候補として合流を図る  4) ジョナサンの想いを継ぎ、ジョースター卿・ツェペリ・ディオ・ブラフォードを倒す  5) ところで……今いるこの場所って、どこ?(道に迷っている。地図も磁石もない) 【 H☆S & S☆H 】 【ぶどうヶ丘病院前 (C-04)/一日目/早朝】 【リキエル】 [スタンド]:『スカイ・ハイ』 [状態]:右手首を骨折。やや疲労。 [装備]:ロッズ(未確認飛行生物)(多数。呼べばいつでも来る) [道具]:支給品一式×2、植物図鑑、(リキエルのランダム支給品は未確定) [思考]:  1) 神父の願いを叶える手助けをする。『運命』が神父を導くはず、と信じている。  2) 神父、あるいはDIOに対立するものを狩り、排除する(なおDIOへの敵対は神父への敵対、と判断)  3) 噴上裕也に強い信頼と期待。(すべては彼の強い『運命』のお陰で上手く行っている、と思っている) 【噴上祐也】 [スタンド]:『ハイウェイ・スター 』 [状態]:健康。一旦ロッズの力で病気になったが、既に完全回復済み。 [装備]:アイアンボールボウガン(ただし鉄球なし) [道具]:支給品一式×2、双眼鏡(噴上裕也のランダム支給品)、     ディアボロのデスマスク(シュトロハイムのランダム支給品) [思考]:  1) リキエルを助ける。リキエルの願いを叶える。そして『みんなで幸せになる』。  2) 東方仗助達に対する不信の念。(吉良の一件で騙されたと思い込んでいる)  3) ところでこのデスマスク、誰なんだろう? 好奇心と、直感的な恐怖。 ※噴上はシュトロハイムの臭いを記憶しました。 &color(red){【ジョナサン・ジョースター 死亡】} *投下順で読む [[前へ>信奉者達の盟約(前編)]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>灯台もと暗し]] *時系列順で読む [[前へ>死に触れた者達]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>灯台もと暗し]] *キャラを追って読む |25:[[岸辺露伴の奇妙な取材]]|ジョナサン・ジョースター| |25:[[岸辺露伴の奇妙な取材]]|シュトロハイム|64:[[SZR~surround zone readers~]]| |02:[[「未知との遭遇」]]|噴上裕也|67:[[逃亡]]| |02:[[「未知との遭遇」]]|リキエル|67:[[逃亡]]|

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: