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死に触れた者達」(2007/10/14 (日) 23:20:36) の最新版変更点

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『植物の様に平穏な生活がしたい―――』 それが吉良吉影の行動理念である。 それを守るためなら殺人をも辞さない。そうやって今までは守ってきた。それだけの力と自信はあるつもりだ。 「ふぅー。早く家に帰らなければな。もう少しの我慢だからね美奈子さん。フフフ」 そう語ると吉良は美奈子の手に話しかける。誰かが見ていたらその者の中で吉良は100%危険人物認定だろう。 しかしそんな事はお構いなしの吉良はバックの中の名簿を取り出す。 「何?空条承太郎に東方仗助に虹村億泰?広瀬康一もいるのか。クソッ!私の平穏な生活を邪魔はさせんぞ!」 と言ったところで吉良は思い直す。 (だがまぁ奴等は私の今の姿を知らないからな。バレる事はないだろう。ああッ!実に平穏な生活が送れそうだッ!) が、吉良の望んだ平穏は奇妙な男との出会いによって最悪の結末へと向かう事になる。 「そこのオメーちょっと待ちなッ!」 いきなり声を掛けられた吉良は振り替える。と、そこには奇妙な男が立っていた。 雪色の全身スーツに身を包み、スケートを履いている珍妙なメガネ男。並の人間なら見ただけで腰を抜かしそうな鋭い眼光で吉良を睨んでいる。 穏やかな雰囲気はもちろん無い。あるのは吉良に向けられている殺気のみ。 そう。そこにいたのはプロシュートと別れ、ボスの正体を探る事にしたギアッチョである。 「なんだい?私に何か用かね?私は君とは面識はないはずだが」 「オメーの命貰い受けるッて良く言うがよぉ~、命を貰うなんて意味わかんねぇよ!クソッ!クソッ! この苛立ちをお前にぶつけてやるッ!面識なんて関係ねぇーッ!」 ギアッチョは吉良の質問に答えると向かってきた。スケートに何か仕掛けがあるのか、早い! 「特に用なんてねぇ。が、殺すのが主旨のゲームってんなら話は別だッ!」 向かってくるギアッチョ。吉良はやれやれという様に両手を広げるとスタンドを出した。 「はぁ……君も私の平穏を壊そうとするのかね。やれやれ仕方ない、死ぬしかないなッ!」 『ホワイトアルバム!』 『キラークイーン!』 二人が同時に仕掛ける。だが共に攻撃は空振った。 「なかなかやるじゃあないか……私の攻撃をかわすとはな。そのスケート靴に何か仕掛けでもあるのかな?」 「フンッ!テメー随分余裕だがそんなに余裕こいてても良いのかよッ?」 「何……だと?」 確かに吉良はギアッチョの攻撃をかわしたはずだった。しかし何かがおかしい……そういえばさっきからやけに寒い気が…… 「まぁだ気付いてねぇのか?随分と感覚が鈍ってるじゃねーか。このまま死に行くんじゃ忍びねぇだろうから教えてやるよ。 オレのスタンド能力によってお前の体は凍り付き始めてんだよッ!超低温の前では全ての物が動きを止める!よって……お前に次の攻撃を避けるだけの動きはもう出来ない」 ギアッチョが吉良の身に起こった事を話す。確かに超低温……正確には絶対零度と呼ばれる状況での事なのだがその中では分子でさえ動きを止めるのだ。 この冷気も絶対零度程ではないが体の動きを鈍らせるには充分である。 しかし吉良はやけに冷静である。ギアッチョに語り出した。 「……私、吉良吉影は平穏な生活を望んでいる」 「あぁ?平穏な生活が何だって?今の状況わかってねぇのかクソ野郎!命乞いなら……」 「まぁちょっとだけ話させてくれないか。この私は何よりも平穏を好んでいる。しかし君は今私の平穏を乱そうとしている。つまり君は私の敵だと言うわけだ!」 そう語ると吉良は服のボタンを取ると前方に放り投げた。と、次の瞬間ボタンが吉良とギアッチョの間で爆発する。 「な、何だこりゃァァァ!?」 「ふう、一応体がまともに動かせる様になったか」 即座に吉良は距離を取る。 ギアッチョの能力は冷気なのはわかった。冷気が相手となると迂闊に近付くのは良くない。まだ自分の能力が詳しく割れていないうちに片付ける! 対するギアッチョは今の爆煙で一瞬吉良から目を離し、そして見失う。 「テメー隠れてねぇで出てきやがれこの腰抜けがァッ!」一見キレている様だがギアッチョは冷静に考えた。 (今の能力はなんだ?何かを爆発させる能力か?)と。 とりあえずここは先に動いたら負けだ。周りに警戒をしつつすぐ動ける様にしておくべきだとギアッチョは判断した。 そしてしばらくするとどこからかギアッチョに向けられて声が掛けられる。 「いきなりだが君に私の能力を教えてやろう……」 「んだとテメー!オレをナメてやがんのかこのクソがあッ!隠れてねぇで出てこいや!」 「ナメてる?それは勘違いってやつだよ。君の能力を認め、さらに次の攻撃で確実に仕留める自信があるから話すんだよ。 私のキラークイーンの能力――それは『キラークイーン』が『触れたもの』は『どんなもの』でも『爆弾』に出来る。どんなものでもな……」 吉良が話し終えるとどこかの物陰から小石が飛んでくる。恐らく爆弾に変えられていると判断したギアッチョは咄嗟に行動した。 「うおおおお!『ホワイトアルバム』!」 ギアッチョはバックの中の支給品の水を凝固させて氷の盾を作る。 小石が盾に当たり爆発する。一発目はかわした。 「そんな防御をするとはな。だがお前は忘れている。どんな物でも爆弾に変えられると言ったろう!」 声と同時にギアッチョの頭上に無数の小石が降り注ぐ。 (あれ全てが起爆したら……) 「うおおおおッ!」 ギアッチョは即座にその場からスケートで離れる。追い詰められる様にして線路の柵の脇に逃げ、そして小石の一斉起爆に備えて身構える。 が、しかし何時まで経ってもも爆発しない。 ギアッチョが不審に思っていると再び吉良の声がする。 「そうそう。言い忘れてたんだがね。私の能力では一度に一つの物しか爆弾に変えられなくてね。石はあくまでもその場所に誘導するための鍵でしか無かったんだよ」 言い終わるか終わらないかのうちに柵が爆発する。ギアッチョの体は爆炎の中、宙を舞った。 「ふぅ、奴が咄嗟に逃げちょっと距離を開けられたせいで完全に消し飛ばすには至らなかったか。まぁ良い。恐らく死んだだろう。これで今の私の平穏を脅かす物は何もない」 屋上から事の顛末を見届けていた吉良はそう呟くとビルを下り始めた。 しかしビルの入口に出たところで吉良の目に映ったのは到底ありえない光景だった。 「バカなァッ!?死体が無いだとォ!?」 ビルの入口から見た光景。そこにあるはずのギアッチョの死体がどこにも見当たらなかった。 もし辛うじて生き延びて逃げたのならあるはずの血痕も見当たらない。 「そんなバカな……これは一体……」 「油断したな……」 振り向こうとする吉良の目に何かが飛んでくる。そしてそれは吉良の目に当たると彼の視界を奪い、またまぶたを凍り付かせた。 それはギアッチョの血糊だった。 「グォッ!何だこれは?!何も見えん!」 「これでオメーの視界は封じた……オレの血糊を凍らせたからな」 声がした。既に吉良には見えないがそこには血だらけになり、満身創痍ながらも立っているギアッチョの姿があった。 体から吹き出していたと思われる血は体表で凝固している。移動の際に血痕が残らなかったのはこのためだ。 「このケガだ……オレは恐らく死ぬ……だがただでは死なねぇ……オレ達暗殺チームは!その命尽きる瞬間まで!相手に噛み付くぜェェェ……オメーも道連れだ……」 「ほざくなぁーーッ!声のする方向がわからないとでも思ったかッ!『キラーク……』」 「遅ぇぜ」 キラークイーンで声のする方を攻撃しようとする吉良に力を振り絞り瞬時に肉薄したギアッチョは吉良の両手を掴む。 すると吉良の両手は凍り付きひび割れ出した。 「うぉ……おおおおお!」 「ブチ……割れな」 ギアッチョが力を入れると吉良の両手は粉々に砕け散った。 両手が砕け散った事でもう爆弾の能力は使えない吉良。ギアッチョに蹴りを入れると即座にその場から逃げようとする。 だが、自分の命を顧みないギアッチョの命を削ったスケーティングから逃れる事は出来なかった。 少し逃げたところで吉良は追い付かれ足を掴まれた。下から次第に凍り付く体。吉良は断末魔の叫びを上げる。 「バカなァッ!この吉良が、この吉良吉影がァァァァァッ!こんなところで死ぬな……ん……て」 全身が凍結し氷像になった吉良。そこで吉良の意識は途絶えた。 「トドめだ……ブチ……割れな!」 ギアッチョは正真正銘最後の力を振り絞り吉良の氷像に蹴りを入れた。吉良の氷像は砕け散った。 これが杜王町を震撼させた殺人鬼、吉良吉影の最期だった。 一方のギアッチョも爆発によるケガ、さらにそのケガを押して動き回り死力を尽くした事で既にほとんど意識は消えかけていた。もう死ぬのも時間の問題である。 そんなギアッチョがその消えかかった意識で最後に考えたのは仲間の事だった。 (プロシュート……オメーはまだ生きてるだろーな……?オレはしくじっちまったがよぉ……オメーはボスの正体を絶対に探り当てろよ……) フラリフラリと三歩四歩歩いたところでギアッチョはその場に崩れ落ちた。 殺人鬼と暗殺者――闇に潜み人の死に触れる……しかし似て非なる存在の両者。互いに魅かれ合うかの如く巡り合い、そして共にその生涯を終えた。 吉良吉影、彼が望んだ平穏は荒木の考えた気紛れ殺人ゲームによって崩壊し、さらに彼自身の命を奪う結果となった。 ギアッチョ、仲間と共に誓い合った約束。その約束を果たす事は出来なかったが暗殺チームの心構えを忘れる事はなかった。 ゲームはまだ始まったばかりである。しかし始まったばかりなのに次々と犠牲になっていく人々。 今生き残っている者もその犠牲者の上に成り立っているのである。 まだまだ先は長いこのゲーム。その結末は神のみぞ知る…… 【線路脇ビル群の路地(D-3)/一日目/早朝】 【吉良吉影】 [スタンド]:『キラークイーン』 [状態]:死亡 【ギアッチョ】 [スタンド]:『ホワイトアルバム』 [状態]:死亡 吉良の支給品一式が吉良の死体のすぐ側に落ちています。 ギアッチョの支給品一式はギアッチョの死体より少し離れたところに吹き飛ばされました。 *投下順で読む [[前へ>黄金の意志]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>『オアシス』を求めて]] *時系列順で読む [[前へ>黄金の意志]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>《運命》の使徒]] *キャラを追って読む |09:[[『吉良吉影は静かに暮らしたい』]]|吉良吉影| |04:[[『老い』の超越者]]|ギアッチョ|
『植物の様に平穏な生活がしたい―――』 それが吉良吉影の行動理念である。 それを守るためなら殺人をも辞さない。そうやって今までは守ってきた。それだけの力と自信はあるつもりだ。 「ふぅー。早く家に帰らなければな。もう少しの我慢だからね美奈子さん。フフフ」 そう語ると吉良は美奈子の手に話しかける。誰かが見ていたらその者の中で吉良は100%危険人物認定だろう。 しかしそんな事はお構いなしの吉良はバックの中の名簿を取り出す。 「何?空条承太郎に東方仗助に虹村億泰?広瀬康一もいるのか。クソッ!私の平穏な生活を邪魔はさせんぞ!」 と言ったところで吉良は思い直す。 (だがまぁ奴等は私の今の姿を知らないからな。バレる事はないだろう。ああッ!実に平穏な生活が送れそうだッ!) が、吉良の望んだ平穏は奇妙な男との出会いによって最悪の結末へと向かう事になる。 「そこのオメーちょっと待ちなッ!」 いきなり声を掛けられた吉良は振り替える。と、そこには奇妙な男が立っていた。 雪色の全身スーツに身を包み、スケートを履いている珍妙なメガネ男。並の人間なら見ただけで腰を抜かしそうな鋭い眼光で吉良を睨んでいる。 穏やかな雰囲気はもちろん無い。あるのは吉良に向けられている殺気のみ。 そう。そこにいたのはプロシュートと別れ、ボスの正体を探る事にしたギアッチョである。 「なんだい?私に何か用かね?私は君とは面識はないはずだが」 「オメーの命貰い受けるッて良く言うがよぉ~、命を貰うなんて意味わかんねぇよ!クソッ!クソッ! この苛立ちをお前にぶつけてやるッ!面識なんて関係ねぇーッ!」 ギアッチョは吉良の質問に答えると向かってきた。スケートに何か仕掛けがあるのか、早い! 「特に用なんてねぇ。が、殺すのが主旨のゲームってんなら話は別だッ!」 向かってくるギアッチョ。吉良はやれやれという様に両手を広げるとスタンドを出した。 「はぁ……君も私の平穏を壊そうとするのかね。やれやれ仕方ない、死ぬしかないなッ!」 『ホワイトアルバム!』 『キラークイーン!』 二人が同時に仕掛ける。だが共に攻撃は空振った。 「なかなかやるじゃあないか……私の攻撃をかわすとはな。そのスケート靴に何か仕掛けでもあるのかな?」 「フンッ!テメー随分余裕だがそんなに余裕こいてても良いのかよッ?」 「何……だと?」 確かに吉良はギアッチョの攻撃をかわしたはずだった。しかし何かがおかしい……そういえばさっきからやけに寒い気が…… 「まぁだ気付いてねぇのか?随分と感覚が鈍ってるじゃねーか。このまま死に行くんじゃ忍びねぇだろうから教えてやるよ。 オレのスタンド能力によってお前の体は凍り付き始めてんだよッ!超低温の前では全ての物が動きを止める!よって……お前に次の攻撃を避けるだけの動きはもう出来ない」 ギアッチョが吉良の身に起こった事を話す。確かに超低温……正確には絶対零度と呼ばれる状況での事なのだがその中では分子でさえ動きを止めるのだ。 この冷気も絶対零度程ではないが体の動きを鈍らせるには充分である。 しかし吉良はやけに冷静である。ギアッチョに語り出した。 「……私、吉良吉影は平穏な生活を望んでいる」 「あぁ?平穏な生活が何だって?今の状況わかってねぇのかクソ野郎!命乞いなら……」 「まぁちょっとだけ話させてくれないか。この私は何よりも平穏を好んでいる。しかし君は今私の平穏を乱そうとしている。つまり君は私の敵だと言うわけだ!」 そう語ると吉良は服のボタンを取ると前方に放り投げた。と、次の瞬間ボタンが吉良とギアッチョの間で爆発する。 「な、何だこりゃァァァ!?」 「ふう、一応体がまともに動かせる様になったか」 即座に吉良は距離を取る。 ギアッチョの能力は冷気なのはわかった。冷気が相手となると迂闊に近付くのは良くない。まだ自分の能力が詳しく割れていないうちに片付ける! 対するギアッチョは今の爆煙で一瞬吉良から目を離し、そして見失う。 「テメー隠れてねぇで出てきやがれこの腰抜けがァッ!」一見キレている様だがギアッチョは冷静に考えた。 (今の能力はなんだ?何かを爆発させる能力か?)と。 とりあえずここは先に動いたら負けだ。周りに警戒をしつつすぐ動ける様にしておくべきだとギアッチョは判断した。 そしてしばらくするとどこからかギアッチョに向けられて声が掛けられる。 「いきなりだが君に私の能力を教えてやろう……」 「んだとテメー!オレをナメてやがんのかこのクソがあッ!隠れてねぇで出てこいや!」 「ナメてる?それは勘違いってやつだよ。君の能力を認め、さらに次の攻撃で確実に仕留める自信があるから話すんだよ。 私のキラークイーンの能力――それは『キラークイーン』が『触れたもの』は『どんなもの』でも『爆弾』に出来る。どんなものでもな……」 吉良が話し終えるとどこかの物陰から小石が飛んでくる。恐らく爆弾に変えられていると判断したギアッチョは咄嗟に行動した。 「うおおおお!『ホワイトアルバム』!」 ギアッチョはバックの中の支給品の水を凝固させて氷の盾を作る。 小石が盾に当たり爆発する。一発目はかわした。 「そんな防御をするとはな。だがお前は忘れている。どんな物でも爆弾に変えられると言ったろう!」 声と同時にギアッチョの頭上に無数の小石が降り注ぐ。 (あれ全てが起爆したら……) 「うおおおおッ!」 ギアッチョは即座にその場からスケートで離れる。追い詰められる様にして線路の柵の脇に逃げ、そして小石の一斉起爆に備えて身構える。 が、しかし何時まで経ってもも爆発しない。 ギアッチョが不審に思っていると再び吉良の声がする。 「そうそう。言い忘れてたんだがね。私の能力では一度に一つの物しか爆弾に変えられなくてね。石はあくまでもその場所に誘導するための鍵でしか無かったんだよ」 言い終わるか終わらないかのうちに柵が爆発する。ギアッチョの体は爆炎の中、宙を舞った。 「ふぅ、奴が咄嗟に逃げちょっと距離を開けられたせいで完全に消し飛ばすには至らなかったか。まぁ良い。恐らく死んだだろう。これで今の私の平穏を脅かす物は何もない」 屋上から事の顛末を見届けていた吉良はそう呟くとビルを下り始めた。 しかしビルの入口に出たところで吉良の目に映ったのは到底ありえない光景だった。 「バカなァッ!?死体が無いだとォ!?」 ビルの入口から見た光景。そこにあるはずのギアッチョの死体がどこにも見当たらなかった。 もし辛うじて生き延びて逃げたのならあるはずの血痕も見当たらない。 「そんなバカな……これは一体……」 「油断したな……」 振り向こうとする吉良の目に何かが飛んでくる。そしてそれは吉良の目に当たると彼の視界を奪い、またまぶたを凍り付かせた。 それはギアッチョの血糊だった。 「グォッ!何だこれは?!何も見えん!」 「これでオメーの視界は封じた……オレの血糊を凍らせたからな」 声がした。既に吉良には見えないがそこには血だらけになり、満身創痍ながらも立っているギアッチョの姿があった。 体から吹き出していたと思われる血は体表で凝固している。移動の際に血痕が残らなかったのはこのためだ。 「このケガだ……オレは恐らく死ぬ……だがただでは死なねぇ……オレ達暗殺チームは!その命尽きる瞬間まで!相手に噛み付くぜェェェ……オメーも道連れだ……」 「ほざくなぁーーッ!声のする方向がわからないとでも思ったかッ!『キラーク……』」 「遅ぇぜ」 キラークイーンで声のする方を攻撃しようとする吉良に力を振り絞り瞬時に肉薄したギアッチョは吉良の両手を掴む。 すると吉良の両手は凍り付きひび割れ出した。 「うぉ……おおおおお!」 「ブチ……割れな」 ギアッチョが力を入れると吉良の両手は粉々に砕け散った。 両手が砕け散った事でもう爆弾の能力は使えない吉良。ギアッチョに蹴りを入れると即座にその場から逃げようとする。 だが、自分の命を顧みないギアッチョの命を削ったスケーティングから逃れる事は出来なかった。 少し逃げたところで吉良は追い付かれ足を掴まれた。下から次第に凍り付く体。吉良は断末魔の叫びを上げる。 「バカなァッ!この吉良が、この吉良吉影がァァァァァッ!こんなところで死ぬな……ん……て」 全身が凍結し氷像になった吉良。そこで吉良の意識は途絶えた。 「トドめだ……ブチ……割れな!」 ギアッチョは正真正銘最後の力を振り絞り吉良の氷像に蹴りを入れた。吉良の氷像は砕け散った。 これが杜王町を震撼させた殺人鬼、吉良吉影の最期だった。 一方のギアッチョも爆発によるケガ、さらにそのケガを押して動き回り死力を尽くした事で既にほとんど意識は消えかけていた。もう死ぬのも時間の問題である。 そんなギアッチョがその消えかかった意識で最後に考えたのは仲間の事だった。 (プロシュート……オメーはまだ生きてるだろーな……?オレはしくじっちまったがよぉ……オメーはボスの正体を絶対に探り当てろよ……) フラリフラリと三歩四歩歩いたところでギアッチョはその場に崩れ落ちた。 殺人鬼と暗殺者――闇に潜み人の死に触れる……しかし似て非なる存在の両者。互いに魅かれ合うかの如く巡り合い、そして共にその生涯を終えた。 吉良吉影、彼が望んだ平穏は荒木の考えた気紛れ殺人ゲームによって崩壊し、さらに彼自身の命を奪う結果となった。 ギアッチョ、仲間と共に誓い合った約束。その約束を果たす事は出来なかったが暗殺チームの心構えを忘れる事はなかった。 ゲームはまだ始まったばかりである。しかし始まったばかりなのに次々と犠牲になっていく人々。 今生き残っている者もその犠牲者の上に成り立っているのである。 まだまだ先は長いこのゲーム。その結末は神のみぞ知る…… 【線路脇ビル群の路地(D-3)/一日目/早朝】 &color(red){【吉良吉影 死亡】} [スタンド]:『キラークイーン』 [状態]:死亡 &color(red){【ギアッチョ 死亡】} [スタンド]:『ホワイトアルバム』 [状態]:死亡 吉良の支給品一式が吉良の死体のすぐ側に落ちています。 ギアッチョの支給品一式はギアッチョの死体より少し離れたところに吹き飛ばされました。 *投下順で読む [[前へ>黄金の意志]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>『オアシス』を求めて]] *時系列順で読む [[前へ>黄金の意志]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>《運命》の使徒]] *キャラを追って読む |09:[[『吉良吉影は静かに暮らしたい』]]|吉良吉影| |04:[[『老い』の超越者]]|ギアッチョ|

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