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「あの『アラキ』という男……人間にしてはなかなか面白いことを思いつく、ここは 民家の中のようだな……。」 それにしても『アラキ』のスタンド、なかなか興味深い。もしやこの『民家』もアラキのスタンドが作った物なのだろうか。 遠い昔、人間を止めた男、DIOはもうかなり古く、がたが来ている二階建ての民家 の中にいた。 ゲームには乗り気の彼だが、今の所、明確な目的は何もない。しばらく窓から静かな町を眺 めていたのだがそれもあきてきたようだ。 せっかく招待されたゲームだ。ただ優勝するだけでは詰まらない。このDIOには吸 血鬼として……帝王として、ただの人間以上にゲームを盛り上げる義務がある。 「わたしの運命の敵はゲームに招待されているのだろうか……」 DIOは椅子に座り、ジョースター家の男達を思い浮かべる。 空条承太郎 こいつのスタープラチナとは是非とも決着をつけたい。ゲームに参加しているのだろうか ジョセフ・ジョースター こんな老いぼれなんぞ招待されるはずがないな… ジョースター家は確実に始末しておかなければ。やつらさえ始末することができたなら このゲームの勝者は間違いなくこのDIOだ。 そして、アラキも始末せねばな(配下にしてやってもよいが)。人間ごときがこのDIOに殺し合いを強要するなんてな… クックック。『身の程』というモノがわかっていないらしい。 DIOがジョースター家、『アラキ』を始末するという決意を固めたその時、彼は民 家の外で動く影を窓越しに見つけた。 黒い布を頭に巻き、ふんどし一丁で夜の町を歩いている男がいる。 まずは、あの『変態』から使える情報を聞き出し始末するか……。 ゆっくり立ち上がり、玄関に向けて歩く。その貫禄ある歩き方は帝王のそれを思わせる。 DIOは玄関を開けた。その音で男もDIOに気づいたようだ。 男はDIOの姿を見ても微動だにせず、じっとDIOを見つめている。 「お互い…楽しげな祭に巻き込まれたようだな…… 私の名はDIOというんだ。君の名前を教えてくれないか?」 甘く、妖艶に話し掛ける。しかし、男はDIOには何の関心も示さずに呟いた。 「この家は妙にボロいな」 DIOは気付いた。 さっきからこいつはこのDIOを見つめているのかと思っていたが……私の今までいた この古臭い民家を眺めていたのか。このDIOの言葉を無視して…… 「おそらくこの家は建てられてから相当の時間が過ぎているのだろう。それにしても 無視することはないだろう。名前を聞かせてくれ?」 改めて聞いてみる。 男は今度こそDIOを見つめ、面倒くさそうに何事かを呟いた。 声が小さすぎて聞こえない。 「すまないがもう少し近くに寄って来てくれないか?声が小さくて聞こえないんだ。 おっと、怖がる必要はないぞ…私は何の危害も加えない…このDIOが君に安心を与えてやろ う。私とともにこの異常事態を乗り切」 「だまれ下等生物」 男が鋭く睨む。 空気が一気に張り詰める。 しかしDIOは余裕の笑みを崩さず語りかける 「ほう…このDIOが、『下等生物』か……ククククク」 警官がいればすぐにでも逮捕されそうな『変態』の言葉にDIOは思わず失笑する。 「お前は理解しているのか?お前の目の前にいる男は人間をはるかに超越した帝王な のだぞ?」 DIOの言葉に男は口元を引きつらせる。 「帝王?おまえごときがか? フハハハハハハハハハハハハハハハハハ」 男は突然、目を見開き大口を開けて狂ったかのように高笑いをし始めた。 さっきから何なのだ~この男は!このDIOを『こけ』にしやがって! いい気になるなよ!KUAA!てめえは全身!アンデットどものエサだッ!青ちょびた面をエサとしてやるぜッ! DIOが心中(表面上はあくまでクールに)で毒を吐き終えるのとちょうど同時 に、男は高笑いをやめニヤつきながらもDIOに話し掛けてきた。 「お前、我々が眠っていた間にこのカーズが作った石仮面で吸血鬼になった口だな」 『このカーズが作った』だと……? 「それにしても…吸血鬼ごときが『帝王』を名乗るとはな…」 吸血鬼『ごとき』だとォ…ならば貴様は…! 「ならば…貴様は何者だというのだ?吸血鬼よりも上の存在とでも言うのか?」 カーズは邪悪に微笑む 「クックック…知りたいかァ~知りたいかァ~DIO 知り・たい・カァ」 カーズが焦らす。どこまでも、どこまでも人をコケにしやがって…! 「さっさと言えッ!カーズッ!」 カーズが相変わらずのニヤケ顔で語る。 『柱の男』について、『石仮面』について、『吸血鬼』について次々と話す。 「理解したか?、おまえは帝王でも何でもない。我々の食欲を満たしてくれるた だのありがたい食物だ」 そこまで言うとカーズはニヤケた顔を直し、再びDIOを睨む。 「吸血鬼がなんだというのだ! 貴様はただの食料……赤子のような存在、我らとは比較にならん!」 「………………」 正直、驚愕した。頭にきた、というよりも、とにかく驚いた。 こいつの話が本当ならなんと自分は愚かなのだ。たかが、吸血鬼ごときで全生物を ぶっちぎりで超越したと勘違いして…… (見よ!このブザマな帝王の姿を DIOは完全に言い負かされた。しかも、相手はDIOよりも格上の存在だったのだ! だが!だからといってDIOは帝王の資格を失いはしない!なぜなら!…) 「カーズ…私は吸血鬼の肉体だけで帝王を名乗っていたわけではないぞ!このDIO には帝王を名乗るに相応しい要素がもう一つある」 DIOはスタンド『ザ・ワールド』を発現させる。 「ム!?、何だそいつは?おまえの能力か?」 いきなり現れたスタンドに、カーズはほんの少しだけ動揺しているようだ。 「ザ・ワールドと言う。能力とでも思っておけ そして……カーズ、おまえにハンデをやろう。ザ・ワールドの真の能力は使わないでおいてやる」 こんなカスごときに時止めを使ってたまるかッ。このDIOが帝王たる所以を、パワーとスピードのみであいつに刻み込んでやる。 カーズが鋭い目付きで威圧してくる。 「どこまでも生意気なやつめ、だがそのハンデありがたく頂戴するとしよう」 カーズがゆっくり片手を上げDIOを指差し冷笑する。 「わかっているぞ。おまえのちんけなプライドを取り戻すにはおれにハンデを与えるしか」 「ウイリャアッ!」 DIOは、カーズが話終えるのを待たずに『ザ・ワールド』の拳をカーズの胸に叩き込んだ! ~~~~~ そのころナランチャは不安定な足取りで静まり返る別荘地帯を歩いていた。彼は、先ほど、 『誰だろうと殺す』決意をしたのだが、スピードワゴンのこともあり、ゲームに乗ってしまっていいのかと苦悩していた。 心の中で悪魔が囁く。 (『全員』殺すんだ、ナランチャ。殺さないと自分が殺されるだけだ こんな状況だ。ゲームに乗ってない奴なんているはずがない) 心の中で天使が囁く (だめだ、ナランチャ。信用できる仲間を探せ。ブチャラティ達を探すんだ。 ブチャラティは絶対に信用できる。彼に会い、力になってやれ。こんな糞みたいな殺し合いに乗るな。) 「ちくしょう、どうしたらいいんだよ……」 頭を抱え、困惑する。 必死に頭を働かせると、彼はあることに気がついた。彼にしかない『アドバンテージ』。 「エアロスミスッ!」 これでいい。レーダーを常に見ていれば誰がどこに潜んでいようと丸分かりだ。 ナランチャがレーダーを見てみると早速、二つの反応があった。ここから近い場所に 参加者あるいは生き物が二匹いるようだ。 「とにかく…見に行ってみよう。物陰に潜んでいればたぶんばれない」 ゲームに乗るかどうかについてはとりあえず保留にし、ナランチャは走り出す。 殺すかどうかはそいつらを見てから決めればいいんだ。 ~~~~~ 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 まず胸に一発叩き込み動きを止め、続いては『ザ・ワールド』最強の攻撃『ラッ シュ』だ! さすがのカーズも余りの速さに何の抵抗もできない。 「無駄ァ!」 とどめの一撃が当たると、カーズは後方の『民家』へと吹っ飛んでいった。 すさまじいスピードでカーズは民家に衝突した。民家の窓が割れカーズは家の中へと 突っ込んでいった。 「フン!結局この程度か、まるで話にならん」 そう呟いた後、DIOは驚愕する。横腹が深く抉れている。何かで肉を掬い取られたかのように きれいに抉れている。ようやく血が噴出してきた。 「我々は細胞で『食う』のだ。つまり触るだけで貴様の肉体をきれいに削ることができる」 カーズが家から出てくる。ゆっくりとこちらに歩いてくる。 「おのれぇ」 「まあ、吸血鬼でもそれぐらいの傷なら支障なく動けるだろう」 ザ・ワールドの拳はたしかにやつにダメージを与えたようだ。カーズは体のいたる所を負傷している。 しかし、やつが一歩歩くごとにその傷が回復していく。 早すぎる。回復のスピードが余りにも早すぎる。たしかに吸血鬼を超えている。治癒力がDIOの比ではない。 「おまえのその『ザ・ワールド』…なかなかのパワーとスピードだ。しかし我々は触るだけで吸血鬼を殺すことができる。 おれが貴様の体に触れるのを、その『人形』で防ぎきることが、はたしてできるかな」 「フン!今からそれを」 DIOが地面を蹴る。豹にも匹敵するスピードでカーズに飛び掛かる。 「証明してやろう!」 DIOが凄まじい勢いでカーズとの距離を埋める。 しかしカーズは平静を保ち戦闘の構えをとる。 「我が流法は『光』!」 カーズの右腕から突如、刃が生える。 「何をしようが無駄だ!無駄!無駄!無駄アァ!」 ザ・ワールドの射程距離に入った!ザ・ワールドのスピードの前ではどんな動きをしようが無駄だ! 「輝彩滑刀の流法!」 刃が輝く。日光が最大の弱点であるDIOは思わず目を閉じてしまう。 その隙を突きカーズが距離を縮め、DIOに向けて刃を振り落とす! 「無駄アァ!」 迫り来る刃に向けてザ・ワールドの拳を放つ。 「折ってやる!その刃!」 ぶつかり合う刃と拳!それは互角のように思われた。しかし!拳は刃を折る前に血を噴出しズタズタに裂ける。 刃の表面で動く鋭い『ツメ』によって。 「ウグゥッ!」 「いい声だッその声をッ」 DIOが怯んだ瞬間、カーズの空いていた左手がDIOの腹へと伸びる。 「聞きたかったぞDIO!」 肉を貫く嫌な音が響く。 「後は貴様の養分を吸い取るのみッ死ねぃDIOッ」 カーズの食事が始まる。 生命が吸い取られる。耐え難い苦痛がDIOを襲う。余りの苦痛にザ・ワールドを打ち込むことすらできない。 「ば…ばかなッ!こ…このDIOが」 刈り取られるッこのDIOの生命がッ!こんなカスにッ! 『ザ・ワールド』が消えていく。 命が消えそうになる中、DIOの瞳が裂ける。 DIOの瞳から体液が発射される。 「何ッ!」 高圧で発射された体液はカーズの喉を貫通した。 バランスを崩したカーズの隙を突き、DIOは、最後の力を振り絞り、後方に鋭く飛び退く。間一髪、死から逃れることができた。 カーズは喉を貫通させられて、どれ程のダメージを負ったのだろう。体力を回復させる時間が欲しい。DIOは切に願った。 足が萎えもはや立つことすらできない。DIOにできることは地面に尻をつけ身体を早急に回復させることだけだった。 「クックック」 DIOの願いはあっさりと破れた。 「そういえば、吸血鬼にはそんな技があったな」 カーズの喉は見る見る回復していく。DIOは、未だに身動き一つとれない。 「ここで貴様を殺すのは簡単だ。しかしおまえのことだ。 このまま貴様を殺しに向かえばおれは受けんでもいいダメージを負うかもしれん。ならばどうするか。」 カーズはもう勝利を確信しているらしい。 「こいつを使えばいい。」 カーズはデイパックから導火線の付いた棒状の物体を取り出した。ダイナマイトだ。 「『アラキ』はなかなかいい物をくれた。見ろ!こいつを!」 カーズがDIOにデイパックの中を見せる。 デイパックの中には数え切れない程のダイナマイトが入っていた。 「数えてみると40本も入っていた。貴様も支給品を貰っておけば良かったのにな。 もしかするとこの『カーズ』にも勝てたかもしれんぞ。さて六本もあれば充分か」 カーズが両手に三本ずつのダイナマイトを持ち、DIOに迫る。 「待てッ!」 時間を稼がなければ、最低でもザ・ワールドで奴を殴れるようになるまでッ! 「さっきから、『我々』だとか『我ら』だとか言っているな。つまり『柱の男』は貴様一人ではないんだな?」 「フフフ…何か企んでいるな」 カーズが嘲る。 「まあいい。答えてやろう。おれを合わせて『三人』いる。名前はワムウとエシディシだ」 三人…ゲームに参加しているのだろうか?必ず始末してやりたい… 「クックック我々を根絶やしにしたいか。教えてやろう。ワムウもゲームに参加しているのだ。これから死ぬおまえにとっては関係ないことだ がな」 「フン!何を勝手に決め付けている。死ぬのはおまえだ。最初から決定されていること…そのワムウとやらもこのDIOが殺してみせよう」 緊張が高まる… 何とか、何とかだが、スタンドを出せるようにはなった。頭を狙ってやる。 亀の甲羅を陥没させるように、奴の頭を一撃で粉砕させてみよう。 「DIO、おれはな、目的のためには手段を選ばない。どんなに卑怯であろうが、どんな手を使おうが最終的に」 再び、刃が激しく輝いた。一瞬の動きを見逃さないため目を見開いていたDIOはこの光にまたもや視力を奪われる。 「勝てばよかろうなのだァァァァッ!」 カーズがダイナマイトを投げ爆風をさけるため飛びのく。人間や吸血鬼では到底出せそうにない速度で、ダイナマイトが迫る。 おのれッ!見えん! 「無駄アァ!」 ザ・ワールドが繰り出した拳はただ空を切っただけだった。 クソッ! ダイナマイトがDIOの体に当たった。 このDIOを!『コケ』にしやがってェェェェェ!! ダイナマイトが轟音と共に爆は 「『世界』!時よ止まれェェェェェ!」 ~~~~~ カーズは己の目を疑った。ダイナマイトがDIOに当たった瞬間消えた。 「ばかなッ」 カーズは腹に違和感を感じた。素早く視線を自身の腹へと移す。 刺さっていた。DIOにぶち当てたはずのダイナマイトが全て、バースデーケーキのローソクのようにカーズの腹に突き刺さっていた。 そしてダイナマイトが爆発する。 「BAAHHHOHHHHHーーー!」 カーズは再び『民家』の中へと突っ込んでいった。 『民家』の中で、爆発の炎に身を焼かれながらも、負傷した肉体はしだいに回復しつつあった。 この程度では『柱の男』は殺せない。 そうこの程度では、だが、カーズのデイパックの中にある残り34本のダイナマイトが『一気に』『全て』爆発すればどうか? 「は!デイパックに炎がッ!」 六本のダイナマイトはカーズの体だけを燃やしたのではない。デイパックをも燃やしたのだ。 「早くッ逃げなければッ」 しかしカーズの体が動ける程に回復するまで、まだいくらか時間がかかる。 「だッだめか!動けん!逃れられんッ!」 炸裂する34本のダイナマイト、吹き飛ぶカーズの体。 凄まじい爆発によって、『民家』が倒壊する。 カーズの体は炎に包まれ木材が何本も、何本も突き刺さる。 ~~~~~ ナランチャが二つの光点目指して、歩いていた時、耳をつんざく轟音と恐ろしく明るい閃光を確認した。 爆発によって生じた膨大な量の二酸化炭素によってレーダーが使い物にならなくなり、ナランチャは慎重に、用心深く移動した。 結果、倒壊した『民家』を発見したのは、爆発からかなりの時間が経ったころだった。 ナランチャはショックを受けていた。 やはりここであったのは戦闘だ。『助け合い』なんかじゃなかった。 『全員殺す決意』をしなくてはならないのだろうか。 ふいにナランチャの背後から物音がした。 反射的に振り返る。 妙な形の物がある。まず木材ではないだろう。いや、物ではなかった。それはかすかだが動いている。なんとかしてナランチャに近づこうとしている。 ナランチャは何かわけのわからない恐怖に取り付かれ、身を強張らせる。 「に……ん……げ……ん……動く…な」 喋った!少しずつ近づいてくる。 「ち…近寄るな…来るんじゃねえよ……」 逃げればいいのだが、恐怖で足が竦み動けない。 何だよこいつ!何で生きてんだよ! 『こいつ』がナランチャの足に触れる。 「痛えッ!」 こいつに触られただけでナランチャの足は出血してしまった。傷はかなり深い。 しかしナランチャは痛みによって恐怖を忘れ、 「てめえ何しやがるッエアロスミスッ」 『エアロスミス』の機銃で『こいつ』を上から下まで撃ちまくる。 『こいつ』は散々に撃たれまもなく完全に動かなくなってしまった。 こいつはこんなボロボロになっても俺を殺そうとしてきやがった。こいつはゲームに乗っていたんだ。 そして当然だがこいつをここまで痛めつけた野郎、そいつもまたゲームに乗っている。 この一連の出来事でナランチャは確信する。やはりしなくてはならないのは『全員殺す決意』だ。 このゲームは馴れ合いなんかじゃねえ。本当に殺し合いだ。殺すことがルールであり正しいことなんだ。 今までは迷っていたけど、もう迷わない。殺ると言ったら殺る!ブチャラティだろうがジョルノだろうがトリッシュだろうが関係ねえッ! 『絶対に生き残ってやる』どんな手を使っても! ナランチャの目はもう涙で濡れてはいない。その目には『全員殺す』という頑強な意志の炎が宿っていた。 ~~~~~ 生き残ったのはこのDIOだ。つまり勝ったのもこのDIOだ。 しかし!くそッ何だこの敗北感はッ 「時止めを使ってしまった…使わんと宣言したにもかかわらずだッ!」 このDIOは帝王としてまだまだ未熟だと言うのか…… DIOはカーズとの戦いに『勝った』後、戦闘の騒ぎを聞きつけた参加者から身を隠すため、カーズから受けた負傷を癒すため その場から離れた所にある屋敷に身を潜めていた。 DIOは思考する。 このままではこのDIOは誇りを失ったままだ。誇りを失ったままおめおめと生きていくわけにはいかん。それだけはだめだ。 どうすれば帝王に返り咲くことができる? 誇りを取り戻すには、やはり一つしかない。『柱の男』の肉体を『手に入れる』。どんな手段を使ってでも絶対に! 「たしか『ワムウ』だったな。確実にそいつを探し出す!」 こうしてDIOは自分にこう誓いを立てた。 『必ず柱の男の肉体を手に入れると!』 『そしてこのDIOの行動が気に入らずオレの行動をことごとく邪魔するジョースターの血統!  貴様らも確実に見つけ出し始末してやる』 『どこか安全な所でこのゲームを眺めているアラキも決して許さないッ!』 『どいつもこいつも!有罪だ!』 くそ田舎者どもッ!オレは必ず世界の頂点に立ってみせる! そしてオレを邪魔するヤツらは帝王の座を蹴り落とされる事よりもっと屈辱的に『誇り』を切り裂いて地面の上にはいつくばらしてやるぜッ! 【吉良吉影の家(C-08)/1日目/早朝(4時ごろ)】 【DIO 】 [スタンド]:『ザ・ワールド』 [時間軸]:ポルナレフ達対ヴァニラ・アイスの直前 [状態]:カーズに養分を吸い取られ重傷 [装備]: [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1:身を潜めて体力を回復させる           2:ワムウを探す           3:ジョースター家の連中を始末する           4:柱の男の肉体を手に入れる           5:優勝してアラキを始末する 【別荘地帯(C-08)/1日目/早朝(4時ごろ)】 【ナランチャ 】 [スタンド]:『エアロスミス』 [時間軸]:ヴェネチア入り後 [状態]:足首負傷、左肩負傷 [装備]:ヌンチャク [道具]:支給品一式 ・拾ったガラスの破片 [思考・状況] 1:ブチャラティ達だろうと誰だろうと会ったらブッ殺す! (前よりも強く決意)          2:どんな手を使おうと絶対に生き延びる          3:アバッキオとミスタ、フーゴは荒木にあっさりと殺されたと思っているために荒木を倒そうとは今は思っていない [備考]二酸化炭素が大量に発生したため(C-08)ではしばらくレーダーは使えません             &color(red){【カーズ 死亡】} *投下順で読む [[前へ>二つの『死髪舞剣』]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>ドッピオ、兄貴と戦う]] *時系列順で読む [[前へ>ブラックホールによろしく]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>戦慄のリゾット]] *キャラを追って読む |DIO|52:[[DIO軍団再結成に向けて]]| |ナランチャ・ギルガ|52:[[DIO軍団再結成に向けて]]| |カーズ||
「あの『アラキ』という男……人間にしてはなかなか面白いことを思いつく、ここは 民家の中のようだな……。」 それにしても『アラキ』のスタンド、なかなか興味深い。もしやこの『民家』もアラキのスタンドが作った物なのだろうか。 遠い昔、人間を止めた男、DIOはもうかなり古く、がたが来ている二階建ての民家 の中にいた。 ゲームには乗り気の彼だが、今の所、明確な目的は何もない。しばらく窓から静かな町を眺 めていたのだがそれもあきてきたようだ。 せっかく招待されたゲームだ。ただ優勝するだけでは詰まらない。このDIOには吸 血鬼として……帝王として、ただの人間以上にゲームを盛り上げる義務がある。 「わたしの運命の敵はゲームに招待されているのだろうか……」 DIOは椅子に座り、ジョースター家の男達を思い浮かべる。 空条承太郎 こいつのスタープラチナとは是非とも決着をつけたい。ゲームに参加しているのだろうか ジョセフ・ジョースター こんな老いぼれなんぞ招待されるはずがないな… ジョースター家は確実に始末しておかなければ。やつらさえ始末することができたなら このゲームの勝者は間違いなくこのDIOだ。 そして、アラキも始末せねばな(配下にしてやってもよいが)。人間ごときがこのDIOに殺し合いを強要するなんてな… クックック。『身の程』というモノがわかっていないらしい。 DIOがジョースター家、『アラキ』を始末するという決意を固めたその時、彼は民 家の外で動く影を窓越しに見つけた。 黒い布を頭に巻き、ふんどし一丁で夜の町を歩いている男がいる。 まずは、あの『変態』から使える情報を聞き出し始末するか……。 ゆっくり立ち上がり、玄関に向けて歩く。その貫禄ある歩き方は帝王のそれを思わせる。 DIOは玄関を開けた。その音で男もDIOに気づいたようだ。 男はDIOの姿を見ても微動だにせず、じっとDIOを見つめている。 「お互い…楽しげな祭に巻き込まれたようだな…… 私の名はDIOというんだ。君の名前を教えてくれないか?」 甘く、妖艶に話し掛ける。しかし、男はDIOには何の関心も示さずに呟いた。 「この家は妙にボロいな」 DIOは気付いた。 さっきからこいつはこのDIOを見つめているのかと思っていたが……私の今までいた この古臭い民家を眺めていたのか。このDIOの言葉を無視して…… 「おそらくこの家は建てられてから相当の時間が過ぎているのだろう。それにしても 無視することはないだろう。名前を聞かせてくれ?」 改めて聞いてみる。 男は今度こそDIOを見つめ、面倒くさそうに何事かを呟いた。 声が小さすぎて聞こえない。 「すまないがもう少し近くに寄って来てくれないか?声が小さくて聞こえないんだ。 おっと、怖がる必要はないぞ…私は何の危害も加えない…このDIOが君に安心を与えてやろ う。私とともにこの異常事態を乗り切」 「だまれ下等生物」 男が鋭く睨む。 空気が一気に張り詰める。 しかしDIOは余裕の笑みを崩さず語りかける 「ほう…このDIOが、『下等生物』か……ククククク」 警官がいればすぐにでも逮捕されそうな『変態』の言葉にDIOは思わず失笑する。 「お前は理解しているのか?お前の目の前にいる男は人間をはるかに超越した帝王な のだぞ?」 DIOの言葉に男は口元を引きつらせる。 「帝王?おまえごときがか? フハハハハハハハハハハハハハハハハハ」 男は突然、目を見開き大口を開けて狂ったかのように高笑いをし始めた。 さっきから何なのだ~この男は!このDIOを『こけ』にしやがって! いい気になるなよ!KUAA!てめえは全身!アンデットどものエサだッ!青ちょびた面をエサとしてやるぜッ! DIOが心中(表面上はあくまでクールに)で毒を吐き終えるのとちょうど同時 に、男は高笑いをやめニヤつきながらもDIOに話し掛けてきた。 「お前、我々が眠っていた間にこのカーズが作った石仮面で吸血鬼になった口だな」 『このカーズが作った』だと……? 「それにしても…吸血鬼ごときが『帝王』を名乗るとはな…」 吸血鬼『ごとき』だとォ…ならば貴様は…! 「ならば…貴様は何者だというのだ?吸血鬼よりも上の存在とでも言うのか?」 カーズは邪悪に微笑む 「クックック…知りたいかァ~知りたいかァ~DIO 知り・たい・カァ」 カーズが焦らす。どこまでも、どこまでも人をコケにしやがって…! 「さっさと言えッ!カーズッ!」 カーズが相変わらずのニヤケ顔で語る。 『柱の男』について、『石仮面』について、『吸血鬼』について次々と話す。 「理解したか?、おまえは帝王でも何でもない。我々の食欲を満たしてくれるた だのありがたい食物だ」 そこまで言うとカーズはニヤケた顔を直し、再びDIOを睨む。 「吸血鬼がなんだというのだ! 貴様はただの食料……赤子のような存在、我らとは比較にならん!」 「………………」 正直、驚愕した。頭にきた、というよりも、とにかく驚いた。 こいつの話が本当ならなんと自分は愚かなのだ。たかが、吸血鬼ごときで全生物を ぶっちぎりで超越したと勘違いして…… (見よ!このブザマな帝王の姿を DIOは完全に言い負かされた。しかも、相手はDIOよりも格上の存在だったのだ! だが!だからといってDIOは帝王の資格を失いはしない!なぜなら!…) 「カーズ…私は吸血鬼の肉体だけで帝王を名乗っていたわけではないぞ!このDIO には帝王を名乗るに相応しい要素がもう一つある」 DIOはスタンド『ザ・ワールド』を発現させる。 「ム!?、何だそいつは?おまえの能力か?」 いきなり現れたスタンドに、カーズはほんの少しだけ動揺しているようだ。 「ザ・ワールドと言う。能力とでも思っておけ そして……カーズ、おまえにハンデをやろう。ザ・ワールドの真の能力は使わないでおいてやる」 こんなカスごときに時止めを使ってたまるかッ。このDIOが帝王たる所以を、パワーとスピードのみであいつに刻み込んでやる。 カーズが鋭い目付きで威圧してくる。 「どこまでも生意気なやつめ、だがそのハンデありがたく頂戴するとしよう」 カーズがゆっくり片手を上げDIOを指差し冷笑する。 「わかっているぞ。おまえのちんけなプライドを取り戻すにはおれにハンデを与えるしか」 「ウイリャアッ!」 DIOは、カーズが話終えるのを待たずに『ザ・ワールド』の拳をカーズの胸に叩き込んだ! ~~~~~ そのころナランチャは不安定な足取りで静まり返る別荘地帯を歩いていた。彼は、先ほど、 『誰だろうと殺す』決意をしたのだが、スピードワゴンのこともあり、ゲームに乗ってしまっていいのかと苦悩していた。 心の中で悪魔が囁く。 (『全員』殺すんだ、ナランチャ。殺さないと自分が殺されるだけだ こんな状況だ。ゲームに乗ってない奴なんているはずがない) 心の中で天使が囁く (だめだ、ナランチャ。信用できる仲間を探せ。ブチャラティ達を探すんだ。 ブチャラティは絶対に信用できる。彼に会い、力になってやれ。こんな糞みたいな殺し合いに乗るな。) 「ちくしょう、どうしたらいいんだよ……」 頭を抱え、困惑する。 必死に頭を働かせると、彼はあることに気がついた。彼にしかない『アドバンテージ』。 「エアロスミスッ!」 これでいい。レーダーを常に見ていれば誰がどこに潜んでいようと丸分かりだ。 ナランチャがレーダーを見てみると早速、二つの反応があった。ここから近い場所に 参加者あるいは生き物が二匹いるようだ。 「とにかく…見に行ってみよう。物陰に潜んでいればたぶんばれない」 ゲームに乗るかどうかについてはとりあえず保留にし、ナランチャは走り出す。 殺すかどうかはそいつらを見てから決めればいいんだ。 ~~~~~ 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 まず胸に一発叩き込み動きを止め、続いては『ザ・ワールド』最強の攻撃『ラッ シュ』だ! さすがのカーズも余りの速さに何の抵抗もできない。 「無駄ァ!」 とどめの一撃が当たると、カーズは後方の『民家』へと吹っ飛んでいった。 すさまじいスピードでカーズは民家に衝突した。民家の窓が割れカーズは家の中へと 突っ込んでいった。 「フン!結局この程度か、まるで話にならん」 そう呟いた後、DIOは驚愕する。横腹が深く抉れている。何かで肉を掬い取られたかのように きれいに抉れている。ようやく血が噴出してきた。 「我々は細胞で『食う』のだ。つまり触るだけで貴様の肉体をきれいに削ることができる」 カーズが家から出てくる。ゆっくりとこちらに歩いてくる。 「おのれぇ」 「まあ、吸血鬼でもそれぐらいの傷なら支障なく動けるだろう」 ザ・ワールドの拳はたしかにやつにダメージを与えたようだ。カーズは体のいたる所を負傷している。 しかし、やつが一歩歩くごとにその傷が回復していく。 早すぎる。回復のスピードが余りにも早すぎる。たしかに吸血鬼を超えている。治癒力がDIOの比ではない。 「おまえのその『ザ・ワールド』…なかなかのパワーとスピードだ。しかし我々は触るだけで吸血鬼を殺すことができる。 おれが貴様の体に触れるのを、その『人形』で防ぎきることが、はたしてできるかな」 「フン!今からそれを」 DIOが地面を蹴る。豹にも匹敵するスピードでカーズに飛び掛かる。 「証明してやろう!」 DIOが凄まじい勢いでカーズとの距離を埋める。 しかしカーズは平静を保ち戦闘の構えをとる。 「我が流法は『光』!」 カーズの右腕から突如、刃が生える。 「何をしようが無駄だ!無駄!無駄!無駄アァ!」 ザ・ワールドの射程距離に入った!ザ・ワールドのスピードの前ではどんな動きをしようが無駄だ! 「輝彩滑刀の流法!」 刃が輝く。日光が最大の弱点であるDIOは思わず目を閉じてしまう。 その隙を突きカーズが距離を縮め、DIOに向けて刃を振り落とす! 「無駄アァ!」 迫り来る刃に向けてザ・ワールドの拳を放つ。 「折ってやる!その刃!」 ぶつかり合う刃と拳!それは互角のように思われた。しかし!拳は刃を折る前に血を噴出しズタズタに裂ける。 刃の表面で動く鋭い『ツメ』によって。 「ウグゥッ!」 「いい声だッその声をッ」 DIOが怯んだ瞬間、カーズの空いていた左手がDIOの腹へと伸びる。 「聞きたかったぞDIO!」 肉を貫く嫌な音が響く。 「後は貴様の養分を吸い取るのみッ死ねぃDIOッ」 カーズの食事が始まる。 生命が吸い取られる。耐え難い苦痛がDIOを襲う。余りの苦痛にザ・ワールドを打ち込むことすらできない。 「ば…ばかなッ!こ…このDIOが」 刈り取られるッこのDIOの生命がッ!こんなカスにッ! 『ザ・ワールド』が消えていく。 命が消えそうになる中、DIOの瞳が裂ける。 DIOの瞳から体液が発射される。 「何ッ!」 高圧で発射された体液はカーズの喉を貫通した。 バランスを崩したカーズの隙を突き、DIOは、最後の力を振り絞り、後方に鋭く飛び退く。間一髪、死から逃れることができた。 カーズは喉を貫通させられて、どれ程のダメージを負ったのだろう。体力を回復させる時間が欲しい。DIOは切に願った。 足が萎えもはや立つことすらできない。DIOにできることは地面に尻をつけ身体を早急に回復させることだけだった。 「クックック」 DIOの願いはあっさりと破れた。 「そういえば、吸血鬼にはそんな技があったな」 カーズの喉は見る見る回復していく。DIOは、未だに身動き一つとれない。 「ここで貴様を殺すのは簡単だ。しかしおまえのことだ。 このまま貴様を殺しに向かえばおれは受けんでもいいダメージを負うかもしれん。ならばどうするか。」 カーズはもう勝利を確信しているらしい。 「こいつを使えばいい。」 カーズはデイパックから導火線の付いた棒状の物体を取り出した。ダイナマイトだ。 「『アラキ』はなかなかいい物をくれた。見ろ!こいつを!」 カーズがDIOにデイパックの中を見せる。 デイパックの中には数え切れない程のダイナマイトが入っていた。 「数えてみると40本も入っていた。貴様も支給品を貰っておけば良かったのにな。 もしかするとこの『カーズ』にも勝てたかもしれんぞ。さて六本もあれば充分か」 カーズが両手に三本ずつのダイナマイトを持ち、DIOに迫る。 「待てッ!」 時間を稼がなければ、最低でもザ・ワールドで奴を殴れるようになるまでッ! 「さっきから、『我々』だとか『我ら』だとか言っているな。つまり『柱の男』は貴様一人ではないんだな?」 「フフフ…何か企んでいるな」 カーズが嘲る。 「まあいい。答えてやろう。おれを合わせて『三人』いる。名前はワムウとエシディシだ」 三人…ゲームに参加しているのだろうか?必ず始末してやりたい… 「クックック我々を根絶やしにしたいか。教えてやろう。ワムウもゲームに参加しているのだ。これから死ぬおまえにとっては関係ないことだがな」 「フン!何を勝手に決め付けている。死ぬのはおまえだ。最初から決定されていること…そのワムウとやらもこのDIOが殺してみせよう」 緊張が高まる… 何とか、何とかだが、スタンドを出せるようにはなった。頭を狙ってやる。 亀の甲羅を陥没させるように、奴の頭を一撃で粉砕させてみよう。 「DIO、おれはな、目的のためには手段を選ばない。どんなに卑怯であろうが、どんな手を使おうが最終的に」 再び、刃が激しく輝いた。一瞬の動きを見逃さないため目を見開いていたDIOはこの光にまたもや視力を奪われる。 「勝てばよかろうなのだァァァァッ!」 カーズがダイナマイトを投げ爆風をさけるため飛びのく。人間や吸血鬼では到底出せそうにない速度で、ダイナマイトが迫る。 おのれッ!見えん! 「無駄アァ!」 ザ・ワールドが繰り出した拳はただ空を切っただけだった。 クソッ! ダイナマイトがDIOの体に当たった。 このDIOを!『コケ』にしやがってェェェェェ!! ダイナマイトが轟音と共に爆は 「『世界』!時よ止まれェェェェェ!」 ~~~~~ カーズは己の目を疑った。ダイナマイトがDIOに当たった瞬間消えた。 「ばかなッ」 カーズは腹に違和感を感じた。素早く視線を自身の腹へと移す。 刺さっていた。DIOにぶち当てたはずのダイナマイトが全て、バースデーケーキのローソクのようにカーズの腹に突き刺さっていた。 そしてダイナマイトが爆発する。 「BAAHHHOHHHHHーーー!」 カーズは再び『民家』の中へと突っ込んでいった。 『民家』の中で、爆発の炎に身を焼かれながらも、負傷した肉体はしだいに回復しつつあった。 この程度では『柱の男』は殺せない。 そうこの程度では、だが、カーズのデイパックの中にある残り34本のダイナマイトが『一気に』『全て』爆発すればどうか? 「は!デイパックに炎がッ!」 六本のダイナマイトはカーズの体だけを燃やしたのではない。デイパックをも燃やしたのだ。 「早くッ逃げなければッ」 しかしカーズの体が動ける程に回復するまで、まだいくらか時間がかかる。 「だッだめか!動けん!逃れられんッ!」 炸裂する34本のダイナマイト、吹き飛ぶカーズの体。 凄まじい爆発によって、『民家』が倒壊する。 カーズの体は炎に包まれ木材が何本も、何本も突き刺さる。 ~~~~~ ナランチャが二つの光点目指して、歩いていた時、耳をつんざく轟音と恐ろしく明るい閃光を確認した。 爆発によって生じた膨大な量の二酸化炭素によってレーダーが使い物にならなくなり、ナランチャは慎重に、用心深く移動した。 結果、倒壊した『民家』を発見したのは、爆発からかなりの時間が経ったころだった。 ナランチャはショックを受けていた。 やはりここであったのは戦闘だ。『助け合い』なんかじゃなかった。 『全員殺す決意』をしなくてはならないのだろうか。 ふいにナランチャの背後から物音がした。 反射的に振り返る。 妙な形の物がある。まず木材ではないだろう。いや、物ではなかった。それはかすかだが動いている。なんとかしてナランチャに近づこうとしている。 ナランチャは何かわけのわからない恐怖に取り付かれ、身を強張らせる。 「に……ん……げ……ん……動く…な」 喋った!少しずつ近づいてくる。 「ち…近寄るな…来るんじゃねえよ……」 逃げればいいのだが、恐怖で足が竦み動けない。 何だよこいつ!何で生きてんだよ! 『こいつ』がナランチャの足に触れる。 「痛えッ!」 こいつに触られただけでナランチャの足は出血してしまった。傷はかなり深い。 しかしナランチャは痛みによって恐怖を忘れ、 「てめえ何しやがるッエアロスミスッ」 『エアロスミス』の機銃で『こいつ』を上から下まで撃ちまくる。 『こいつ』は散々に撃たれまもなく完全に動かなくなってしまった。 こいつはこんなボロボロになっても俺を殺そうとしてきやがった。こいつはゲームに乗っていたんだ。 そして当然だがこいつをここまで痛めつけた野郎、そいつもまたゲームに乗っている。 この一連の出来事でナランチャは確信する。やはりしなくてはならないのは『全員殺す決意』だ。 このゲームは馴れ合いなんかじゃねえ。本当に殺し合いだ。殺すことがルールであり正しいことなんだ。 今までは迷っていたけど、もう迷わない。殺ると言ったら殺る!ブチャラティだろうがジョルノだろうがトリッシュだろうが関係ねえッ! 『絶対に生き残ってやる』どんな手を使っても! ナランチャの目はもう涙で濡れてはいない。その目には『全員殺す』という頑強な意志の炎が宿っていた。 ~~~~~ 生き残ったのはこのDIOだ。つまり勝ったのもこのDIOだ。 しかし!くそッ何だこの敗北感はッ 「時止めを使ってしまった…使わんと宣言したにもかかわらずだッ!」 このDIOは帝王としてまだまだ未熟だと言うのか…… DIOはカーズとの戦いに『勝った』後、戦闘の騒ぎを聞きつけた参加者から身を隠すため、カーズから受けた負傷を癒すため その場から離れた所にある屋敷に身を潜めていた。 DIOは思考する。 このままではこのDIOは誇りを失ったままだ。誇りを失ったままおめおめと生きていくわけにはいかん。それだけはだめだ。 どうすれば帝王に返り咲くことができる? 誇りを取り戻すには、やはり一つしかない。『柱の男』の肉体を『手に入れる』。どんな手段を使ってでも絶対に! 「たしか『ワムウ』だったな。確実にそいつを探し出す!」 こうしてDIOは自分にこう誓いを立てた。 『必ず柱の男の肉体を手に入れると!』 『そしてこのDIOの行動が気に入らずオレの行動をことごとく邪魔するジョースターの血統!  貴様らも確実に見つけ出し始末してやる』 『どこか安全な所でこのゲームを眺めているアラキも決して許さないッ!』 『どいつもこいつも!有罪だ!』 くそ田舎者どもッ!オレは必ず世界の頂点に立ってみせる! そしてオレを邪魔するヤツらは帝王の座を蹴り落とされる事よりもっと屈辱的に『誇り』を切り裂いて地面の上にはいつくばらしてやるぜッ! 【吉良吉影の家(C-08)/1日目/早朝(4時ごろ)】 【DIO 】 [スタンド]:『ザ・ワールド』 [時間軸]:ポルナレフ達対ヴァニラ・アイスの直前 [状態]:カーズに養分を吸い取られ重傷 [装備]: [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1:身を潜めて体力を回復させる           2:ワムウを探す           3:ジョースター家の連中を始末する           4:柱の男の肉体を手に入れる           5:優勝してアラキを始末する 【別荘地帯(C-08)/1日目/早朝(4時ごろ)】 【ナランチャ 】 [スタンド]:『エアロスミス』 [時間軸]:ヴェネチア入り後 [状態]:足首負傷、左肩負傷 [装備]:ヌンチャク [道具]:支給品一式 ・拾ったガラスの破片 [思考・状況] 1:ブチャラティ達だろうと誰だろうと会ったらブッ殺す! (前よりも強く決意)          2:どんな手を使おうと絶対に生き延びる          3:アバッキオとミスタ、フーゴは荒木にあっさりと殺されたと思っているために荒木を倒そうとは今は思っていない [備考]二酸化炭素が大量に発生したため(C-08)ではしばらくレーダーは使えません             &color(red){【カーズ 死亡】} *投下順で読む [[前へ>二つの『死髪舞剣』]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>ドッピオ、兄貴と戦う]] *時系列順で読む [[前へ>ブラックホールによろしく]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>戦慄のリゾット]] *キャラを追って読む |DIO|52:[[DIO軍団再結成に向けて]]| |ナランチャ・ギルガ|52:[[DIO軍団再結成に向けて]]| |カーズ||

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