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*  *  * ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………… 「何? 今の音……銃声!? まさか、ゴホッ……シュ、シュトロハイム!? 」 リサリサは慌てて立ち上がり階段から2階を覗く。 そして次の瞬間、リサリサは思いもよらぬ者を目にした。 階段から落ちてくる巨塊が3つ。続けざまに階段から転げ落ちてきたのだ。 リサリサはわけもわからず回避するが、すぐにそれが大変なことである事に気づく。 「シュトロバイム゛ッ!シーザーッ! ジョセフッ! 一体誰が……」 そう……3つの巨魁は、リサリサはこよなく愛したかけがいの無い仲間たちだったのだ。 シュトロハイムが担いでいたジョセフ・ジョースターの亡骸。気絶中のシーザー・アントニオ・ツェペリ。 そして銃撃されたのか、頭部が無残な状態になっているルドル・フォン・シュトロハイム。 リサリサは慌てて階段の頂上に目を移す。そこにあったものは―― 「これは、『試練』だ」 コツーン……                 コツーン…… 突如聞こえる憎悪の肉声、それに伴う靴音。 「過去に打ち勝てという……『試練』とボクは受けとった。人の成長は……未熟な過去に打ち勝つことだと」 一歩づつ降りてくる、悪魔のような姿形。 「え? 貴様もそうだろう? リサリサ……いや、本名はエリザベス・ジョースターだったかな」 それはリサリサには充分すぎるほどの恐怖を煽った。 「過去はバラバラにしてやっても、石の下からミミズの様に這い出てくる……驚いた。まさかこんなに早く再会出来るとは……」 「ド……ドッピオッ!? 」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド *  *  * 「なぜあなたがここにッ! 」 リサリサは自分の仲間たちに手をかけた童子を睨み付ける。しかし彼女が本当に出したい表情はおそらく『困惑』。 何故ドッピオがここにいるのか、という非常に当たり前の思考。だが彼女はドッピオの正体を知らない。 ドッピオがシーザーと激闘をしていた男と同一人物だとわかるはずが無いのだ。 「あなたが……シュトロハイムたちを゛ッ!? 」 「この家に僕がいる理由など、どうでもいい。ただボスが最後に……“後を頼む”と言ってくれた。  とても嬉かった。その期待に、僕は答えなくちゃあならない」 「クラッカーヴォレッ……ゴホッ!! 」 リサリサは隠し持っていた鋼鉄のアメリカンクラッカーをドッピオ目掛けて投擲する。 本来ならば波紋を帯びたクラッカーが強烈な破壊力を持って相手におそいかかる。 しかし投げる直前にリサリサは呼吸を乱してしまったのでスピード、破壊力が格段に落ちてしまった状態で飛んでしまった。 「知っているぞ……ケホッ。貴様が呼吸を乱しながらも、ヘナチョコクラッカーを投げつけてくる未来は……」 「!? 私が……無茶をしたせいで……呼吸を乱すことをわかっていたというの!? 」 「答える必要はない」 ドッピオは持っていたディバッグから剣を取り出し、クラッカーとかち合わせて防御する。 その剣はクラッカーと同じ金属で出来ているため、僅かながら帯びていた波紋も剣へ漏洩するので、 もはやリサリサのクラッカーヴォレイはただの玉遊びに成り下がってしまった。 だがドッピオの動きは止まらない。すかさず拳銃を右ポケットから取り出しリサリサに向けて発射した。 (私が……あんな賭けをしなければ……呼吸器官も痛めず…………確実に……クラッカーヴォレイ、は……) とっさにはじく波紋で銃弾をはじき返すものの、リサリサは心ここにあらず。弾の衝撃で転倒し尻餅をついてしまう。 ドッピオはその隙をつき、リサリサの喉をキングクリムゾンの腕で握り締める。 (こ、呼吸が……ッ!……しまった……波紋が……練れな……) そして……リサリサの顔に向かって再び銃を発射した。 弾は皮膚を裂き、額を割り、頭蓋骨を砕き、脳を削り……トンネルが開通した。 あまりにも、呆気ない決着である。 (やっぱ……り……私は………………間違って…………い、た…………の?…………JO…………………) リサリサの体は頭から盛大に血を撒き散らし、そのまま仰向けになったまま動かなくなった。 *  *  * ――――多重人格障害。 一人の人間に2人以上の別の人格が存在する、精神分裂病とは異なる解離性障害。 それは『裏表がある人間』といったような性格や意識的な見地の話ではなく、精神的失調の一種であると言われており、 主な原因は幼少期に受けた何かしらの精神心的外傷、虐待など諸説あがっている。 各人格は記憶や行動はもちろん、容姿や好みさえ独立している例も存在しており、 実話を元にしたベストセラー『24人のビリー・ミリガン』では性別や年齢、言語すら変わる人格も確認されている。 近年アメリカをはじめとし、世界中で増加の一途を辿っており、いずれは我々にとって身近な病症になるかもしれない。 一般的には対照的な人格を持っている場合が多く、積極性と消極性を筆頭に様々なケースがみられる。 また、この障害への社会通念として『一方が他方の人格に気づいたり干渉することはほぼ無い』という事項がある。 イタリアはギャング組織のボス、ディアボロ。そして腹心ヴィネガー・ドッピオ。 彼らは幼い頃に何らかの原因によって心に亀裂が入り、今日まで生きてきた。 ドッピオは尊敬するボスのもとで腹心として働き、 ディアボロはドッピオと『接触する』という従来の常識を覆す行為を駆使し、組織を収め続けていた。 ディアボロの恐るべき点は、肉体がドッピオの状態でも記憶を共有する事と、 『電話』という媒体を使って実際に通信できる事。そして、これらは全てディアボロが主導権を握っているという事実。 ドッピオは上で触れた『多重人格者の一人格』に過ぎないが、ディアボロはその一線を超越しているのだ。 人格の入れ替わりもディアボロの如何が全てなので、ドッピオはただの駒に過ぎなかった。 そう、『ディアボロがシーザーに敗北する』までは。 シーザーの意地の攻撃は、ディアボロの誇り、欲望、野望、虚栄心というありとあらゆる物を打ち砕いた。 そして慢心を漬け込まれ、どうにもならないという現実を思い知らされ、最後に敗北の二文字を書き込まれた。 勿論ディアボロは完全に諦めるつもりはなく、あくまで己が頂点を譲るつもりはなかった。 だが、彼の体は彼の意思についていけなかった。それ程のダメージをシーザーから受けてしまったからである。 シーザーがディアボロを殴り終えた時……彼の魂はゆっくりと肉体から外れていくだけだった。 (誰が言った言葉……だったか……『我々はみな運命に選ばれた兵士』……え? くそ……。  だが……この世がくれた真実もある……運命はこのオレに……『時を飛ばし予知ができる能力』を授けてくれた。  間違いない。それは明らかな真実だ。この世の運命は我が『キング・クリムゾン』を無敵に頂点に選んだはずなのだ。  ……オレは『兵士』ではない。くそーーッ!! そのオレに対してッ!! この手にッ!生きているという感触が無いッ! よくもッ!こんなッ!こんなことでこのディアボロが敗北するわけがないッ! 頼むッ! まだ連れていかないでくれ……) このディアボロの卑しくも空しい願いが天に届いたのかどうか今となっては藪の中なのだが、皮肉にも奇跡は起きた。 リサリサがエイジャの赤石を使ってシーザーの完全回復を試みようとし、究極の波紋を放出したのだ。 その後のリサリサたちの顛末は先述のとおりだが、この時彼女たちの知らない所でもう1つのドラマが起きていた。 リサリサが制御不能に陥った波紋は、シーザーから出た半乾き血痕を伝ってディアボロの肉体にも伝導したのである。 修復不可能に近い徐倫たちの肉体とは違い、ディアボロの体は波紋使いとはいえ一般人からタコ殴りにされただけ。 外傷が目を見張るほど回復していったのは言うまでも無い。 当然リサリサと同様に呼吸器官は傷ついていおり、その他にもなんらかの障害を抱えている可能性はあるのだが。 このチャンスを帝王が逃すはずがなかった。こと底知れぬ執念にかけては、彼の右に出るものはそうはいない。 彼は自分の肉体に潜むもう一人の人格……ヴィネガー・ドッピオの目覚めを許可したのだ。 『器』は1つのまま、『中身』は2つが1つになるだけ。つまり普通の一般人と遜色が無くなる。 (いいかドッピオッ! よく聞くんだ……目を覚ましたらすぐにその家にいる奴ら全員を始末しろッ!  奴らは『波紋』使いッ! 呼吸を使った妙な体術を会得している。迂闊に奴らの体に触らないほうがいいぞ。  あと、この場でそいつらを全員殺せたなら、過去の失態は取り消してやってもいい。貴様が殺し損ねた奴もいるはずだ。  いいか……油断するなッ! 我がキングクリムゾンはお前に預けておく。……後は、頼んだぞ……) こうしてディアボロは名残惜しみながらも、 『誰かに帝王の座を明け渡すくらいならドッピオにその座を守らせて空位にするか、最悪でもドッピオに譲ったほうがマシ』 という……あくまで帝王の座を自分自身の肉体に留めておきたいという往生際の悪さを出して天に召されたのであった。 (ボス……なんだかよくわからないけど……とにかく目の前にいるあの2人を始末すればいいんですね? ) ディアボロの遺志を受け取ったドッピオが目覚めたのは、正確にいえばリサリサが1階に下りていった直後だった。 彼はその『目覚めた瞬間に』好機を得ることとなる。 2階にいたシュトロハイムが、ドッピオのいる部屋に戻り、 ジョセフの遺体を左肩に乗せシーザーを左手で抱えて運び出したのだ。 ドッピオは彼に気づかれないように、ゆっくりと起き上がり……彼を尾行し……。 階段を下りようとしていたシュトロハイムの後頭部を拳銃で狙撃。 バランスを崩した軍人はそのまま階段を転落。ドッピオが目覚めてから僅か2、3分後の出来事であった。 *  *  *  ドッピオはこの家にあった支給品を全て回収し、床に陳列させる。 空条徐倫、ナルシソ・アナスイ、シーザー、シュトロハイム、リサリサの所持品、武器や道具が揃っていた。 「もうこんな時間か。第三回放送……聞き損ねちゃったな。さてと、荷物が増えてきたから整理しないと。  これは……いらないな。これも……いらない。食料も水もなるべく必要以上もっていくのは止めよう。  しかしどうしたんだろう……さっきから喉が痛い。呼吸するのも苦しいし……」 ドッピオはぶつくさ独り言をしながら、必要不要を分別していく。 『幸運? の剣』、ミスタの拳銃、徐倫の自動式拳銃を奪取し、支給品一式は3人分までに抑える。 アメリカンクラッカー、エイジャの赤石はそのまま放置した。 だが、彼が処分に困った物が1つだけあった。『矢の形をした首輪探知機』である。 一見スタンド能力を発動させるあの『矢』にそっくりな形をしているのだが、中身は全くの別。 スタンドを発言させる力も無ければ、スタンドを貫くことも出来ないただの機械。 ただ、スタンドを矢で貫けばどうなるかという事実を知らない世界から呼び出されたドッピオには関係のない話なのだが。 「ポルポが所持していたのとは別の矢かな? アレって奴が拳銃自殺したときに破壊されたんじゃあ……あれれ?  な、なんだッ!? この『矢』、独りでに動いたぞッ! まるで……何かに反応するように。  何かを察知したのか。それとも何かを僕に伝えようとしているのか。一体この矢は何なんだッ!? 」 ドッピオは矢の指し示す方向に向かう、その場所は先ほど自分がいた階段だった。 ジョセフ、シーザー、リサリサ……物言わぬ人間たちのボディが今でも寝そべられている。 「この場所にまだ何かあるというのか? それとも――」 「ブァカ者がァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! 」 *  *  * 無数の鉄が摩擦音を立てて飛び出し、圧縮されたミサイルのように致命傷を与えんと直進する。 ほとばしる火花。舞い上がる煙幕。反動で踊る砲身。漢ルドル・フォン・シュトロハイムの襲撃である。 調子がよければ30ミリの鉄板も突き抜ける重機関砲の威力は伊達ではない。 「ナチスの科学は世界一ィィィ! この機関銃は世界最高水準でェェェ……1分間で600発も撃てるのだアアアア!! 」 「……フン、確実に後頭部へ弾丸をブチ込んでやったんだがな。  ゴキブリの遺伝子でも組み込んだか? 脳味噌とゼンマイが三分の一ほどシェイクされてるぞ」 「ちょいと脳がギクシャクするがァァァァァ。おれの体は行動可能ォォォォォッ! 」 シュトロハイムの邁進は止まらない。重機関砲を発射し続けながらドッピオとの距離を詰めていく。 後頭部……即ち脳を破壊されていたとしても、彼はまだ完全な機能停止には至らなかった。 それは純粋なるナチス技術の恩恵もあったが……リサリサに対する彼なりの謝罪もあった。 (一瞬の不覚がリサリサを死なせてしまった。『またもう一度賭けをすればいい』という言葉を最後まで贈れなかった。  このままではリサリサの人生が、賭けが、挑戦が『無駄』という『結果』になってしまう。そんなことにはさせん。  今度は俺が賭けをする番だ。この半死半生の体で奴を討ち取れば……『あいつ』は助かるからなァァ!! ) シュトロハイムは忘れない! 自分の運命に挑戦したリサリサという波紋戦士の生き様を。 だから彼も挑戦した。自分の体の限界という限界を目指して動き続ける事を決心したのだった! 「俺の体はァァアアアアアアアーッ!! 我がゲルマン民族の最高知能の結晶であり誇りであるゥゥゥ!!  つまりすべての人間を越えたのだァアアアアアアアアアアアア!! 」 「このアホが……! いつも寄ってくる……こんなアホが……この世はアホだらけなのかァ~ッ!!  なんで立ち上がって来るんだ……? そのまま死んでればいいものをッ! この世に存在してはならねーんだッ!」 しかしエピタフの未来予知を駆使し弾丸の軌道を読み、 弾丸が当たらないように距離をとる標的・ドッピオには中々命中しない。 「せまい家の中で本当に良かった……外であんな物をぶっ放されたら逃げ切れたかどうか。  こっちの戦力は銃が2丁。片方は未使用だけど厳しい……エピタフだけで逃げ切れるとは思えない。  でもアイツが銃を発射し始めたのが……で……今まで一回も使っていなかったとしても……」 「なァァァァにをブツブツ喋っておるのだアアア! もう逃げられんぞッ!  くらえィィィィィィ!貴様にとどめを刺せるなんてスカッとするぜぇー…………………………え? 」 「……やはり『弾切れ』を起こしな。確か1秒間に600発だったか?  バカめ……後先考えず撃ちまくるからこうなる。その先を見据えない行動、『軍人失格』だな。今、楽にしてやる」 「ま、待てィ! なぜこんな事が、深夜の時に俺は撃ち過ぎていたというのかッ!? ま、まさか荒木が俺の装弾数を改悪……」 「クソやかましいぞ!! 調子こいてんじゃあねえーッ! 聞いてねぇんだよッ!  これからおっ死ぬてめーなんかの言い訳なんてよォォォォォーーーッ! 」 ドッピオはシュトロハイム目掛けて銃弾2、3発お見舞いする。 リサリサのときよりも距離があるので精度は劣るものの、銃弾はシュトロハイムにヒットする。 たじろぎながらもシュトロハイムは体の鋼鉄である部分で防御しようと構えるが、 既にその時にはキング・クリムゾンの腕が彼の首根っこを掴んでいた。 「誰だろうとボスの永遠の絶頂をおびやかす者は許さない。決して。確実に消え去ってもら……ううッ!? 」 しかしシュトロハイムも……キング・クリムゾンの腕を掴んでいた。 握力は1950キログラム。その破壊力柱の男サンタナの軽く倍! 「フフフ、人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある。ギリシアの史家プルタルコスの言葉だ。  今のお前には……そんな“誇り”など微塵も感じられないがな」 「痛ェェェッ! てめーいつまでもこの世に這い蹲ってんじゃねェェェ。とっととあの世に逝きやがれェェェッ!!」 ドッピオはシュトロハイムの頭部に残り銃弾を全て打ち込む。 シュトロハイムの頭は花火のように爆散し、彼の体はそのままゆっくりと倒れ……機能停止した。 「ハァー……ハァー……う、右腕が……折れた。銃も1つ……使い切ってしまったし……。  ちょっと感情的になっちゃったけど、ボス……任務成功しました。とりあえず……この返り血を何とかしないと」 *  *  * ふらふらになりながらも、ドッピオはようやく家の中を歩く。 リサリサ、シュトロハイムとの連戦は、呼吸の不調も相まってそれなりの疲労を招いていた。 その時である。 何かが彼の目の前に現れたのだ。 『新手の敵が生き残っていたか』と思いながらも、ドッピオは再び歩き出そうとした。 しかし、歩けなかった。 「ダメだな。やっぱ調子悪い……呼吸器官を痛めちまったのかね」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………… ドッピオの顔がどんどん青ざめてゆく。 彼の目の前に、『信じられないもの』がいたから。 『それ』はドッピオが目覚めたときには既にぐったりとしていたから。 ドッピオ自身、最初からそれは『死体』だと勘違いしていた。 「なぁ……お前何か知らないか……? ああすまない。今ちょっと目がよく見えないんだ。  涙が止まらなくてさぁ……お前のことがよく見えないんだ。なぁ教えてくれ。  ここで“何が”あった? どうしてこのエイジャの赤石が、ここの家に落ちてたんだ?  俺の師匠と親友の死体が……何であそこにあるんだよォォォォォォォォォッ!? 」 ドッピオの顔には驚愕の色しかなかった。 シーザー・アントニオ・ツェペリ……愛に生きる男の、遅すぎた復活である。 【F-3とG-3の境にある住居(F-3)/1日目/夜】 【シーザー・アントニオ・ツェペリ】 [時間軸]:ゲスラーのホテルへ突入直後 [状態]:健康だが、呼吸器官不安定(波紋が練りにくい)。    『究極!深仙脈疾走』プラス『エイジャの赤石』によるその他の体調に異変あり? [装備]:エイジャの赤石 [道具]:支給品一式。 [思考・状況]: 1)目の前の人物に事情を聞く。 2)トリッシュの言葉を受け取った以上、ゲームには乗らない。 ※ドッピオの服装はディアボロと同じですが、シーザーが『ドッピオ=ディアボロ』と認識しているのかは不明。 【ディアボロ・ドッピオ(現在ヴィネガー・ドッピオ)】 [スタンド]:『キング・クリムゾン・エピタフ』 [時間軸]:リゾットに勝利後、ローマへ向かう途中 [状態]:体力消耗、呼吸器官不安定(息がしにくい)、キング・クリムゾンの右腕骨折(自分の右腕も骨折)、血まみれ。     『究極!深仙脈疾走』プラス『エイジャの赤石』によるその他の体調に異変あり? [装備]:自動式拳銃(徐倫の支給品) [道具]:支給品一式×3(ただしバッグは一つ)、『矢の形をした首輪探知機』、DIO様の投げナイフ    『幸運?』の剣 (柄に由花子の髪が絡みついて離れない。髪の下の「UN」の血文字が波紋のせいで消えかけている) [思考・状況] 1)シーザーが生きていたことに対する驚き。 ※以下は【F-3】の家から脱出した後の行動基準。 2)ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認 3 向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取りあえず行動を共にする 4)支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害 5)ブチャラティ、ナランチャ、ポルナレフ、エルメェス、承太郎への警戒。 ※支給品一式×5(リサリサ、シュトロハイムを含む)  アメリカンクラッカー×2、ミスタの拳銃(弾無し)は家【F-3】のどこかに放置されています。     【シュトロハイム 死亡】 【リサリサ     死亡】 【ディアボロ   消滅】 *投下順で読む [[前へ>『くだらない仕掛け その②』]] [[戻る>1日目 第4回放送まで]] [[次へ>愛と夢(前編)]] *時系列順で読む [[前へ>孤軍奮闘]] [[戻る>1日目 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>鮮赤のシャボン]] *キャラを追って読む |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|シーザー|118:[[鮮赤のシャボン]]| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|ヴィネガー・ドッピオ|118:[[鮮赤のシャボン]]| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|リサリサ|| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|シュトロハイム|| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|ディアボロ||
*  *  * ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………… 「何? 今の音……銃声!? まさか、ゴホッ……シュ、シュトロハイム!? 」 リサリサは慌てて立ち上がり階段から2階を覗く。 そして次の瞬間、リサリサは思いもよらぬ者を目にした。 階段から落ちてくる巨塊が3つ。続けざまに階段から転げ落ちてきたのだ。 リサリサはわけもわからず回避するが、すぐにそれが大変なことである事に気づく。 「シュトロバイム゛ッ!シーザーッ! ジョセフッ! 一体誰が……」 そう……3つの巨魁は、リサリサはこよなく愛したかけがいの無い仲間たちだったのだ。 シュトロハイムが担いでいたジョセフ・ジョースターの亡骸。気絶中のシーザー・アントニオ・ツェペリ。 そして銃撃されたのか、頭部が無残な状態になっているルドル・フォン・シュトロハイム。 リサリサは慌てて階段の頂上に目を移す。そこにあったものは―― 「これは、『試練』だ」 コツーン……                 コツーン…… 突如聞こえる憎悪の肉声、それに伴う靴音。 「過去に打ち勝てという……『試練』とボクは受けとった。人の成長は……未熟な過去に打ち勝つことだと」 一歩づつ降りてくる、悪魔のような姿形。 「え? 貴様もそうだろう? リサリサ……いや、本名はエリザベス・ジョースターだったかな」 それはリサリサには充分すぎるほどの恐怖を煽った。 「過去はバラバラにしてやっても、石の下からミミズの様に這い出てくる……驚いた。まさかこんなに早く再会出来るとは……」 「ド……ドッピオッ!? 」 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド *  *  * 「なぜあなたがここにッ! 」 リサリサは自分の仲間たちに手をかけた童子を睨み付ける。しかし彼女が本当に出したい表情はおそらく『困惑』。 何故ドッピオがここにいるのか、という非常に当たり前の思考。だが彼女はドッピオの正体を知らない。 ドッピオがシーザーと激闘をしていた男と同一人物だとわかるはずが無いのだ。 「あなたが……シュトロハイムたちを゛ッ!? 」 「この家に僕がいる理由など、どうでもいい。ただボスが最後に……“後を頼む”と言ってくれた。  とても嬉かった。その期待に、僕は答えなくちゃあならない」 「クラッカーヴォレッ……ゴホッ!! 」 リサリサは隠し持っていた鋼鉄のアメリカンクラッカーをドッピオ目掛けて投擲する。 本来ならば波紋を帯びたクラッカーが強烈な破壊力を持って相手におそいかかる。 しかし投げる直前にリサリサは呼吸を乱してしまったのでスピード、破壊力が格段に落ちてしまった状態で飛んでしまった。 「知っているぞ……ケホッ。貴様が呼吸を乱しながらも、ヘナチョコクラッカーを投げつけてくる未来は……」 「!? 私が……無茶をしたせいで……呼吸を乱すことをわかっていたというの!? 」 「答える必要はない」 ドッピオは持っていたディバッグから剣を取り出し、クラッカーとかち合わせて防御する。 その剣はクラッカーと同じ金属で出来ているため、僅かながら帯びていた波紋も剣へ漏洩するので、 もはやリサリサのクラッカーヴォレイはただの玉遊びに成り下がってしまった。 だがドッピオの動きは止まらない。すかさず拳銃を右ポケットから取り出しリサリサに向けて発射した。 (私が……あんな賭けをしなければ……呼吸器官も痛めず…………確実に……クラッカーヴォレイ、は……) とっさにはじく波紋で銃弾をはじき返すものの、リサリサは心ここにあらず。弾の衝撃で転倒し尻餅をついてしまう。 ドッピオはその隙をつき、リサリサの喉をキングクリムゾンの腕で握り締める。 (こ、呼吸が……ッ!……しまった……波紋が……練れな……) そして……リサリサの顔に向かって再び銃を発射した。 弾は皮膚を裂き、額を割り、頭蓋骨を砕き、脳を削り……トンネルが開通した。 あまりにも、呆気ない決着である。 (やっぱ……り……私は………………間違って…………い、た…………の?…………JO…………………) リサリサの体は頭から盛大に血を撒き散らし、そのまま仰向けになったまま動かなくなった。 *  *  * ――――多重人格障害。 一人の人間に2人以上の別の人格が存在する、精神分裂病とは異なる解離性障害。 それは『裏表がある人間』といったような性格や意識的な見地の話ではなく、精神的失調の一種であると言われており、 主な原因は幼少期に受けた何かしらの精神心的外傷、虐待など諸説あがっている。 各人格は記憶や行動はもちろん、容姿や好みさえ独立している例も存在しており、 実話を元にしたベストセラー『24人のビリー・ミリガン』では性別や年齢、言語すら変わる人格も確認されている。 近年アメリカをはじめとし、世界中で増加の一途を辿っており、いずれは我々にとって身近な病症になるかもしれない。 一般的には対照的な人格を持っている場合が多く、積極性と消極性を筆頭に様々なケースがみられる。 また、この障害への社会通念として『一方が他方の人格に気づいたり干渉することはほぼ無い』という事項がある。 イタリアはギャング組織のボス、ディアボロ。そして腹心ヴィネガー・ドッピオ。 彼らは幼い頃に何らかの原因によって心に亀裂が入り、今日まで生きてきた。 ドッピオは尊敬するボスのもとで腹心として働き、 ディアボロはドッピオと『接触する』という従来の常識を覆す行為を駆使し、組織を収め続けていた。 ディアボロの恐るべき点は、肉体がドッピオの状態でも記憶を共有する事と、 『電話』という媒体を使って実際に通信できる事。そして、これらは全てディアボロが主導権を握っているという事実。 ドッピオは上で触れた『多重人格者の一人格』に過ぎないが、ディアボロはその一線を超越しているのだ。 人格の入れ替わりもディアボロの如何が全てなので、ドッピオはただの駒に過ぎなかった。 そう、『ディアボロがシーザーに敗北する』までは。 シーザーの意地の攻撃は、ディアボロの誇り、欲望、野望、虚栄心というありとあらゆる物を打ち砕いた。 そして慢心を漬け込まれ、どうにもならないという現実を思い知らされ、最後に敗北の二文字を書き込まれた。 勿論ディアボロは完全に諦めるつもりはなく、あくまで己が頂点を譲るつもりはなかった。 だが、彼の体は彼の意思についていけなかった。それ程のダメージをシーザーから受けてしまったからである。 シーザーがディアボロを殴り終えた時……彼の魂はゆっくりと肉体から外れていくだけだった。 (誰が言った言葉……だったか……『我々はみな運命に選ばれた兵士』……え? くそ……。  だが……この世がくれた真実もある……運命はこのオレに……『時を飛ばし予知ができる能力』を授けてくれた。  間違いない。それは明らかな真実だ。この世の運命は我が『キング・クリムゾン』を無敵に頂点に選んだはずなのだ。  ……オレは『兵士』ではない。くそーーッ!! そのオレに対してッ!! この手にッ!生きているという感触が無いッ! よくもッ!こんなッ!こんなことでこのディアボロが敗北するわけがないッ! 頼むッ! まだ連れていかないでくれ……) このディアボロの卑しくも空しい願いが天に届いたのかどうか今となっては藪の中なのだが、皮肉にも奇跡は起きた。 リサリサがエイジャの赤石を使ってシーザーの完全回復を試みようとし、究極の波紋を放出したのだ。 その後のリサリサたちの顛末は先述のとおりだが、この時彼女たちの知らない所でもう1つのドラマが起きていた。 リサリサが制御不能に陥った波紋は、シーザーから出た半乾き血痕を伝ってディアボロの肉体にも伝導したのである。 修復不可能に近い徐倫たちの肉体とは違い、ディアボロの体は波紋使いとはいえ一般人からタコ殴りにされただけ。 外傷が目を見張るほど回復していったのは言うまでも無い。 当然リサリサと同様に呼吸器官は傷ついていおり、その他にもなんらかの障害を抱えている可能性はあるのだが。 このチャンスを帝王が逃すはずがなかった。こと底知れぬ執念にかけては、彼の右に出るものはそうはいない。 彼は自分の肉体に潜むもう一人の人格……ヴィネガー・ドッピオの目覚めを許可したのだ。 『器』は1つのまま、『中身』は2つが1つになるだけ。つまり普通の一般人と遜色が無くなる。 (いいかドッピオッ! よく聞くんだ……目を覚ましたらすぐにその家にいる奴ら全員を始末しろッ!  奴らは『波紋』使いッ! 呼吸を使った妙な体術を会得している。迂闊に奴らの体に触らないほうがいいぞ。  あと、この場でそいつらを全員殺せたなら、過去の失態は取り消してやってもいい。貴様が殺し損ねた奴もいるはずだ。  いいか……油断するなッ! 我がキングクリムゾンはお前に預けておく。……後は、頼んだぞ……) こうしてディアボロは名残惜しみながらも、 『誰かに帝王の座を明け渡すくらいならドッピオにその座を守らせて空位にするか、最悪でもドッピオに譲ったほうがマシ』 という……あくまで帝王の座を自分自身の肉体に留めておきたいという往生際の悪さを出して天に召されたのであった。 (ボス……なんだかよくわからないけど……とにかく目の前にいるあの2人を始末すればいいんですね? ) ディアボロの遺志を受け取ったドッピオが目覚めたのは、正確にいえばリサリサが1階に下りていった直後だった。 彼はその『目覚めた瞬間に』好機を得ることとなる。 2階にいたシュトロハイムが、ドッピオのいる部屋に戻り、 ジョセフの遺体を左肩に乗せシーザーを左手で抱えて運び出したのだ。 ドッピオは彼に気づかれないように、ゆっくりと起き上がり……彼を尾行し……。 階段を下りようとしていたシュトロハイムの後頭部を拳銃で狙撃。 バランスを崩した軍人はそのまま階段を転落。ドッピオが目覚めてから僅か2、3分後の出来事であった。 *  *  *  ドッピオはこの家にあった支給品を全て回収し、床に陳列させる。 空条徐倫、ナルシソ・アナスイ、シーザー、シュトロハイム、リサリサの所持品、武器や道具が揃っていた。 「もうこんな時間か。第三回放送……聞き損ねちゃったな。さてと、荷物が増えてきたから整理しないと。  これは……いらないな。これも……いらない。食料も水もなるべく必要以上もっていくのは止めよう。  しかしどうしたんだろう……さっきから喉が痛い。呼吸するのも苦しいし……」 ドッピオはぶつくさ独り言をしながら、必要不要を分別していく。 『幸運? の剣』、ミスタの拳銃、徐倫の自動式拳銃を奪取し、支給品一式は3人分までに抑える。 アメリカンクラッカー、エイジャの赤石はそのまま放置した。 だが、彼が処分に困った物が1つだけあった。『矢の形をした首輪探知機』である。 一見スタンド能力を発動させるあの『矢』にそっくりな形をしているのだが、中身は全くの別。 スタンドを発言させる力も無ければ、スタンドを貫くことも出来ないただの機械。 ただ、スタンドを矢で貫けばどうなるかという事実を知らない世界から呼び出されたドッピオには関係のない話なのだが。 「ポルポが所持していたのとは別の矢かな? アレって奴が拳銃自殺したときに破壊されたんじゃあ……あれれ?  な、なんだッ!? この『矢』、独りでに動いたぞッ! まるで……何かに反応するように。  何かを察知したのか。それとも何かを僕に伝えようとしているのか。一体この矢は何なんだッ!? 」 ドッピオは矢の指し示す方向に向かう、その場所は先ほど自分がいた階段だった。 ジョセフ、シーザー、リサリサ……物言わぬ人間たちのボディが今でも寝そべられている。 「この場所にまだ何かあるというのか? それとも――」 「ブァカ者がァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! 」 *  *  * 無数の鉄が摩擦音を立てて飛び出し、圧縮されたミサイルのように致命傷を与えんと直進する。 ほとばしる火花。舞い上がる煙幕。反動で踊る砲身。漢ルドル・フォン・シュトロハイムの襲撃である。 調子がよければ30ミリの鉄板も突き抜ける重機関砲の威力は伊達ではない。 「ナチスの科学は世界一ィィィ! この機関銃は世界最高水準でェェェ……1分間で600発も撃てるのだアアアア!! 」 「……フン、確実に後頭部へ弾丸をブチ込んでやったんだがな。  ゴキブリの遺伝子でも組み込んだか? 脳味噌とゼンマイが三分の一ほどシェイクされてるぞ」 「ちょいと脳がギクシャクするがァァァァァ。おれの体は行動可能ォォォォォッ! 」 シュトロハイムの邁進は止まらない。重機関砲を発射し続けながらドッピオとの距離を詰めていく。 後頭部……即ち脳を破壊されていたとしても、彼はまだ完全な機能停止には至らなかった。 それは純粋なるナチス技術の恩恵もあったが……リサリサに対する彼なりの謝罪もあった。 (一瞬の不覚がリサリサを死なせてしまった。『またもう一度賭けをすればいい』という言葉を最後まで贈れなかった。  このままではリサリサの人生が、賭けが、挑戦が『無駄』という『結果』になってしまう。そんなことにはさせん。  今度は俺が賭けをする番だ。この半死半生の体で奴を討ち取れば……『あいつ』は助かるからなァァ!! ) シュトロハイムは忘れない! 自分の運命に挑戦したリサリサという波紋戦士の生き様を。 だから彼も挑戦した。自分の体の限界という限界を目指して動き続ける事を決心したのだった! 「俺の体はァァアアアアアアアーッ!! 我がゲルマン民族の最高知能の結晶であり誇りであるゥゥゥ!!  つまりすべての人間を越えたのだァアアアアアアアアアアアア!! 」 「このアホが……! いつも寄ってくる……こんなアホが……この世はアホだらけなのかァ~ッ!!  なんで立ち上がって来るんだ……? そのまま死んでればいいものをッ! この世に存在してはならねーんだッ!」 しかしエピタフの未来予知を駆使し弾丸の軌道を読み、 弾丸が当たらないように距離をとる標的・ドッピオには中々命中しない。 「せまい家の中で本当に良かった……外であんな物をぶっ放されたら逃げ切れたかどうか。  こっちの戦力は銃が2丁。片方は未使用だけど厳しい……エピタフだけで逃げ切れるとは思えない。  でもアイツが銃を発射し始めたのが……で……今まで一回も使っていなかったとしても……」 「なァァァァにをブツブツ喋っておるのだアアア! もう逃げられんぞッ!  くらえィィィィィィ!貴様にとどめを刺せるなんてスカッとするぜぇー…………………………え? 」 「……やはり『弾切れ』を起こしな。確か1秒間に600発だったか?  バカめ……後先考えず撃ちまくるからこうなる。その先を見据えない行動、『軍人失格』だな。今、楽にしてやる」 「ま、待てィ! なぜこんな事が、深夜の時に俺は撃ち過ぎていたというのかッ!? ま、まさか荒木が俺の装弾数を改悪……」 「クソやかましいぞ!! 調子こいてんじゃあねえーッ! 聞いてねぇんだよッ!  これからおっ死ぬてめーなんかの言い訳なんてよォォォォォーーーッ! 」 ドッピオはシュトロハイム目掛けて銃弾2、3発お見舞いする。 リサリサのときよりも距離があるので精度は劣るものの、銃弾はシュトロハイムにヒットする。 たじろぎながらもシュトロハイムは体の鋼鉄である部分で防御しようと構えるが、 既にその時にはキング・クリムゾンの腕が彼の首根っこを掴んでいた。 「誰だろうとボスの永遠の絶頂をおびやかす者は許さない。決して。確実に消え去ってもら……ううッ!? 」 しかしシュトロハイムも……キング・クリムゾンの腕を掴んでいた。 握力は1950キログラム。その破壊力柱の男サンタナの軽く倍! 「フフフ、人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある。ギリシアの史家プルタルコスの言葉だ。  今のお前には……そんな“誇り”など微塵も感じられないがな」 「痛ェェェッ! てめーいつまでもこの世に這い蹲ってんじゃねェェェ。とっととあの世に逝きやがれェェェッ!!」 ドッピオはシュトロハイムの頭部に残り銃弾を全て打ち込む。 シュトロハイムの頭は花火のように爆散し、彼の体はそのままゆっくりと倒れ……機能停止した。 「ハァー……ハァー……う、右腕が……折れた。銃も1つ……使い切ってしまったし……。  ちょっと感情的になっちゃったけど、ボス……任務成功しました。とりあえず……この返り血を何とかしないと」 *  *  * ふらふらになりながらも、ドッピオはようやく家の中を歩く。 リサリサ、シュトロハイムとの連戦は、呼吸の不調も相まってそれなりの疲労を招いていた。 その時である。 何かが彼の目の前に現れたのだ。 『新手の敵が生き残っていたか』と思いながらも、ドッピオは再び歩き出そうとした。 しかし、歩けなかった。 「ダメだな。やっぱ調子悪い……呼吸器官を痛めちまったのかね」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………… ドッピオの顔がどんどん青ざめてゆく。 彼の目の前に、『信じられないもの』がいたから。 『それ』はドッピオが目覚めたときには既にぐったりとしていたから。 ドッピオ自身、最初からそれは『死体』だと勘違いしていた。 「なぁ……お前何か知らないか……? ああすまない。今ちょっと目がよく見えないんだ。  涙が止まらなくてさぁ……お前のことがよく見えないんだ。なぁ教えてくれ。  ここで“何が”あった? どうしてこのエイジャの赤石が、ここの家に落ちてたんだ?  俺の師匠と親友の死体が……何であそこにあるんだよォォォォォォォォォッ!? 」 ドッピオの顔には驚愕の色しかなかった。 シーザー・アントニオ・ツェペリ……愛に生きる男の、遅すぎた復活である。 【F-3とG-3の境にある住居(F-3)/1日目/夜】 【シーザー・アントニオ・ツェペリ】 [時間軸]:ゲスラーのホテルへ突入直後 [状態]:健康だが、呼吸器官不安定(波紋が練りにくい)。    『究極!深仙脈疾走』プラス『エイジャの赤石』によるその他の体調に異変あり? [装備]:エイジャの赤石 [道具]:支給品一式。 [思考・状況]: 1)目の前の人物に事情を聞く。 2)トリッシュの言葉を受け取った以上、ゲームには乗らない。 ※ドッピオの服装はディアボロと同じですが、シーザーが『ドッピオ=ディアボロ』と認識しているのかは不明。 【ディアボロ・ドッピオ(現在ヴィネガー・ドッピオ)】 [スタンド]:『キング・クリムゾン・エピタフ』 [時間軸]:リゾットに勝利後、ローマへ向かう途中 [状態]:体力消耗、呼吸器官不安定(息がしにくい)、キング・クリムゾンの右腕骨折(自分の右腕も骨折)、血まみれ。     『究極!深仙脈疾走』プラス『エイジャの赤石』によるその他の体調に異変あり? [装備]:自動式拳銃(徐倫の支給品) [道具]:支給品一式×3(ただしバッグは一つ)、『矢の形をした首輪探知機』、DIO様の投げナイフ    『幸運?』の剣 (柄に由花子の髪が絡みついて離れない。髪の下の「UN」の血文字が波紋のせいで消えかけている) [思考・状況] 1)シーザーが生きていたことに対する驚き。 ※以下は【F-3】の家から脱出した後の行動基準。 2)ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認 3 向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取りあえず行動を共にする 4)支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害 5)ブチャラティ、ナランチャ、ポルナレフ、エルメェス、承太郎への警戒。 ※支給品一式×5(リサリサ、シュトロハイムを含む)  アメリカンクラッカー×2、ミスタの拳銃(弾無し)は家【F-3】のどこかに放置されています。     &color(red){【シュトロハイム 死亡】} &color(red){【リサリサ     死亡】} &color(red){【ディアボロ   消滅】} *投下順で読む [[前へ>『くだらない仕掛け その②』]] [[戻る>1日目 第4回放送まで]] [[次へ>愛と夢(前編)]] *時系列順で読む [[前へ>孤軍奮闘]] [[戻る>1日目 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>鮮赤のシャボン]] *キャラを追って読む |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|シーザー|118:[[鮮赤のシャボン]]| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|ヴィネガー・ドッピオ|118:[[鮮赤のシャボン]]| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|リサリサ|| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|シュトロハイム|| |116:[[Io non sono solitario.(前編)]]|ディアボロ||

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