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仗助とジョージが東から接近している者に気付いたのはほぼ同時だった。 「仗助君」 「あぁ。北東から誰か近付いてきますね」 接近している人間が見えたりしているわけではなく、『肌で感じる』2人。 2人は知っていた。同じジョースター一族、星型のアザを持つものの位置を感じ取ることができるという事実を。 該当者は2人しか考えられなかった。 承太郎か、DIOである。 「ナランチャ君。北東から誰か近付いてきているのを確認出来るかね?」 「えっと。反応はないです」 「「!!」」 それで2人は気付いた。 北東からの来訪者に。 承太郎ならばナランチャのレーダーに引っ掛かるはず。 それなのにレーダーに引っ掛からないのは、接近者が呼吸をしてないからに他ならない。 「…DIOか」 そう呟き、仗助は皆へ忠告する。 「皆!DIOがこっちに来てるみたいなんで気をつけてくれ!!!」 一方、ジョージは何かをエルメェスに頼んでいた。 2人でごそごそとやってるジョージとエルメェス。 「こうすればいいんですか?」 「そう。これでい…」 ジョージの言葉は最後まで続かなかった。 「…え?」 目の前の光景に、ナランチャたちは愕然とする。 いつの間にか、ジョージは後ろから首根っこを捕まえられていたのだ。 そしてジョージの首に指を食い込ませているDIOがいた。 「ディ…ディオ?」 首を掴まれながらも、DIOの方へと手を伸ばすジョージ。 そして、他の人間も動き出していた。 「ヘブンズ・ドアー!」 ミキタカがヘブンズ・ドアーを発動する。 しかし、 「おっと」 DIOはジョージを盾にして、ジョージが本にされた。 「アリアリアリアリ!!!」 続けて、ブチャラティがDIOに攻撃を仕掛ける。 しかし、 「ザ・ワールド!」 DIOは時を止め、自分のいた所にミキタカを置いた。 そして、時は動き出す。 「!?」 ブチャラティの攻撃をくらったミキタカはバラバラになる。 「マズイ!スティッキー・フィンガーズ!ミキタカを元に戻せ!」 ジッパーをくっつけるブチャラティ。 そしてミキタカはかろうじて元に戻ったが、意識を失ってしまった。 「ナランチャ!貸せ!」 その間に、エルメェスはナランチャからジョージの舌を取り上げ、シールを剥がす。 「なっ」 さすがにこの現象にはDIOも少し驚いた。 舌が引き合い、ジョージの体はDIOから離れ、エルメェスの元に飛んでいったのだ。 その間ブチャラティも、ミキタカを元に戻した後後ろへ腕を伸ばし、 後方の壁をつかんだ後腕を元に戻してDIOの間合いから離脱していた。 ジョージとミキタカの具合を、仗助がみる。 「仗助!ジョージさんとミキタカは無事か?」 「わ、私なら大丈夫だ」 ミキタカが気を失ったことで本から元に戻り、意識が戻ったジョージが答える。 「ミキタカも生きている。だが、気を失ってる。目が覚めるのに少し時間が掛かりそうだ」 そして、仗助も皆にそう返していた。 DIOは、ジョージ一行へと向き直る。 不適の笑みを浮かべるDIOに対し、ジョージ一行の表情は重い。 あらゆる攻撃が通用せず、ジョージとミキタカが、一瞬にしてやられてしまったのだ。 『時を止める能力』 この圧倒的な能力に、全員が押されていた。 「フン。雑魚どもらしく、徒党を組んで集中攻撃するという腹か。 無駄無駄。そんな攻撃など、ザ・ワールドの前には無力」 優越感に酔いしれたような声を出すDIO。 いや、実際そうなのだろう。 事実、DIOは一瞬で6人まとめて殺すだけの力があるのだ。 「何だ?全員通夜のような表情をして。もう諦めたのか?」 DIOの前に、誰も返す言葉がない。 ザ・ワールドの前に、全員が無力感と焦燥感にかれれていた。 「では、全員ここで死ね」 ただ、一人の例外を除いて。 「待ちたまえ」 「「「!!」」」 声のした方を全員が振り向く。 そこには、ジョージ・ジョースターが起き上がっていた。 「君は本当にディオなのかね?」 「これは父さん。まだ生きてましたか」 「もう一度聞こう。君は本当にディオなのだね?」 「ええ。そうですよ」 ついさっき殺そうとしたことに罪悪感を微塵も感じず、DIOは答える。 「ディオ。一体どうしたというのだ? 彼らから、お前は吸血鬼となってたくさんの人を殺し、彼らの敵となっていると聞いている。 本当なのか?」 「本当です」 ジョージの問いをあっさりと返すDIO。 「何故そんなことをする」 「簡単な理由ですよ。勝利して支配するため、それだけです」 「そうか…」 悲しげに俯くジョージ。 「父さん。父さんたちには感謝していますよ。 元の世界では、俺は父さんの血で吸血鬼になれた。 更に、俺の首から下はジョナサンの肉体。 そして今、首から下をなじませるために父さんの血をいただけるんですから」 DIOは話し続ける。 一方のジョージは、顔を上げようとしない。 「父さん。俺のために、血を吸われて死んで下さい」 そこまで聞いた後、ジョージは顔を上げ、周りの仲間に向かって言った。 「皆、手を出さないでくれ。私がこの子に引導を渡す」 そのセリフを聞いたDIOは、一瞬何を言っているのか解らないとでも言いたげにポカンとし、その直後大笑いを始めた。 「フ、フフフ…、フハハハハ! 父さんが!?俺を!!? こいつはいい!ケッサクだ!!! フフフハフハフハハハハ!!!」 笑い続けるDIOに、ジョージはあくまで真剣に話す。 「お前やジョナサンのためなら、私は命を差し出すことにためらいはない。すっとそう思っていたよ。 だが、お前が私の命を奪うことで悪鬼の道に走るというのなら、この命、みすみすくれてやるわけにはいかん。 逆に、命を賭けて阻止しなくてはならない」 そしてジョージはDIOを見据え、宣言をした。 「ディオ・ブランドー!!!ジョージ・ジョースターが決闘を申し込む!!! 申し出を受けるか!!?」 ジョージの言葉にDIOは笑いを止め、余裕しゃくしゃくの顔で肯いた。 「受けますよ、父さん」 「1つ言っておこう。 私一人では、ディオ、お前には勝てないだろう。 だが、私には仲間がいる」 「何ですか?決闘とか言っておきながら、1対1では戦わないということですか? 構いませんよ」 「違う。彼等はこの決闘に介入させない。だが、仲間の力を借り、私はお前を討つ。 ディオ、親としてお前への最後のつとめだ」 「フン」 2人の間合いは、ザ・ワールドの射程距離より少し離れているくらい。 DIOに武器はないものの、戦闘能力としては最強のスタンド、ザ・ワールドがある。 一方、ジョージは銃しか持たない一般人。 旗から見れば、一方的な展開にしかならない果たし合い。 しかし、ジョージにはスタンドに勝る力があった。 死んだ仲間との約束、今守らなければならない仲間。 そして――ディオへの『愛情』。 ジョージはディオへ注ぐ愛情を惜しまなかった。 ジョナサンと同様、聡明な息子をときに優しく、ときに厳しく愛し続けた。 そして、ディオへの愛は今なお衰えない。 ディオを愛しているからこそ、悪鬼と化したディオを救うために、ジョージは自ら手を下すことを決意した。 そう、DIOを倒そうと考えるジョースター一族の中、ジョージだけは救おうと考えているのだ。 その決意は、圧倒的な力を持つDIOに対し全くひるまない力となった。 しかし、だからDIOが不利というわけではない。 DIOもそれに勝るとも劣らないものを心に抱いている。 それは『夢』。 承太郎たちからすれば『野望』と置きかえられ、あたかも邪念のような表現にされてしまうこともある。 しかし、『世界を支配する』とは、並大抵の人間が目指せる夢、目標ではない。 凡人には、文字通り『夢見る』ことしかできないくらいスケールの大きい目標なのだ。 だが、それを目指すだけの力量がDIOにはあった。 逆にそれだけの器であるからこそ、『世界』を暗示するザ・ワールドを身に付けたのかもしれない。 世界を支配することのできない人間では、ザ・ワールドを身に付けても、スタンドに振り回されるだけだっただろう。 DIOには素質はあったのだ。世界を支配できるだけの。 今ここに、『深い愛』と『壮大な夢』という全く違う強さを持つ2人の決闘が始まろうとしていた。 この決闘を見ている他の者たちも、全く身動きしなかった。 この場に居る全員が解っていた。 この決闘、始まったら一瞬で決着がつくと。 (ザ・ワールドの射程距離まで後2歩) DIOはジョージとの間合いを正確に計りながら一歩詰め寄る。 ジョージは動かない。 そして、DIOが更に一歩踏み出す。 ジョージは拳銃を持ち上げる。 更に一歩。DIOは踏み出し、ザ・ワールドの射程距離に入った。 「ザ・ワールド!!!」 そしてDIOは時を止める。 (フン。ジョージ・ジョースター、ジョースター一族の中で最もマヌケでお人好しな奴よ。 最後の最後で役に立ったな。この俺のために死ねるのだから) そしてDIOはジョージを殺すために近付く。 (!?) だが、予定と異なるジョージの位置に驚いた。 本来ならザ・ワールドの射程距離にいるはずのジョージが、いつの間にか射程距離からギリギリ外れているのだ。 そう。ジョージはDIOが時を止める直前、銃を構えながら大きくバックステップしていた。 これでは時を止めている間に殺すことができない。 (まあいい。ならば止まった時の中で殺すのではなく、『時が動き始めた瞬間殺すまで』だ) そしてDIOは、ジョージに向かって近付く。 そしてジョージの目の前にたどり着いた瞬間時は動き出した。 「死ねいっ!!」 時が動き始めた瞬間、DIOは拳を繰り出す。 そしてその拳はジョージの胸を貫いた。 そのままジョージは後方へ吹き飛ぶ。 ここに、ジョージとDIOの決闘の決着はついた。 *投下順で読む [[前へ>Io non sono solitario.(前編)]] [[戻る>1日目 第4回放送まで]] [[次へ>愛と夢(後編)]] *時系列順で読む [[前へ>荒木討伐隊]] [[戻る>1日目 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>愛と夢(後編)]] *キャラを追って読む |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|ジョージ・ジョースター1世|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|東方仗助|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|ヌ・ミキタカゾ・ンシ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|ブローノ・ブチャラティ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|ナランチャ・ギルガ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊(前編)]]|エルメェス・コステロ|117:[[愛と夢(後編)]]| |115:[[『くだらない仕掛け その①』]]|DIO|117:[[愛と夢(後編)]]|
仗助とジョージが東から接近している者に気付いたのはほぼ同時だった。 「仗助君」 「あぁ。北東から誰か近付いてきますね」 接近している人間が見えたりしているわけではなく、『肌で感じる』2人。 2人は知っていた。同じジョースター一族、星型のアザを持つものの位置を感じ取ることができるという事実を。 該当者は2人しか考えられなかった。 承太郎か、DIOである。 「ナランチャ君。北東から誰か近付いてきているのを確認出来るかね?」 「えっと。反応はないです」 「「!!」」 それで2人は気付いた。 北東からの来訪者に。 承太郎ならばナランチャのレーダーに引っ掛かるはず。 それなのにレーダーに引っ掛からないのは、接近者が呼吸をしてないからに他ならない。 「…DIOか」 そう呟き、仗助は皆へ忠告する。 「皆!DIOがこっちに来てるみたいなんで気をつけてくれ!!!」 一方、ジョージは何かをエルメェスに頼んでいた。 2人でごそごそとやってるジョージとエルメェス。 「こうすればいいんですか?」 「そう。これでい…」 ジョージの言葉は最後まで続かなかった。 「…え?」 目の前の光景に、ナランチャたちは愕然とする。 いつの間にか、ジョージは後ろから首根っこを捕まえられていたのだ。 そしてジョージの首に指を食い込ませているDIOがいた。 「ディ…ディオ?」 首を掴まれながらも、DIOの方へと手を伸ばすジョージ。 そして、他の人間も動き出していた。 「ヘブンズ・ドアー!」 ミキタカがヘブンズ・ドアーを発動する。 しかし、 「おっと」 DIOはジョージを盾にして、ジョージが本にされた。 「アリアリアリアリ!!!」 続けて、ブチャラティがDIOに攻撃を仕掛ける。 しかし、 「ザ・ワールド!」 DIOは時を止め、自分のいた所にミキタカを置いた。 そして、時は動き出す。 「!?」 ブチャラティの攻撃をくらったミキタカはバラバラになる。 「マズイ!スティッキー・フィンガーズ!ミキタカを元に戻せ!」 ジッパーをくっつけるブチャラティ。 そしてミキタカはかろうじて元に戻ったが、意識を失ってしまった。 「ナランチャ!貸せ!」 その間に、エルメェスはナランチャからジョージの舌を取り上げ、シールを剥がす。 「なっ」 さすがにこの現象にはDIOも少し驚いた。 舌が引き合い、ジョージの体はDIOから離れ、エルメェスの元に飛んでいったのだ。 その間ブチャラティも、ミキタカを元に戻した後後ろへ腕を伸ばし、 後方の壁をつかんだ後腕を元に戻してDIOの間合いから離脱していた。 ジョージとミキタカの具合を、仗助がみる。 「仗助!ジョージさんとミキタカは無事か?」 「わ、私なら大丈夫だ」 ミキタカが気を失ったことで本から元に戻り、意識が戻ったジョージが答える。 「ミキタカも生きている。だが、気を失ってる。目が覚めるのに少し時間が掛かりそうだ」 そして、仗助も皆にそう返していた。 DIOは、ジョージ一行へと向き直る。 不適の笑みを浮かべるDIOに対し、ジョージ一行の表情は重い。 あらゆる攻撃が通用せず、ジョージとミキタカが、一瞬にしてやられてしまったのだ。 『時を止める能力』 この圧倒的な能力に、全員が押されていた。 「フン。雑魚どもらしく、徒党を組んで集中攻撃するという腹か。 無駄無駄。そんな攻撃など、ザ・ワールドの前には無力」 優越感に酔いしれたような声を出すDIO。 いや、実際そうなのだろう。 事実、DIOは一瞬で6人まとめて殺すだけの力があるのだ。 「何だ?全員通夜のような表情をして。もう諦めたのか?」 DIOの前に、誰も返す言葉がない。 ザ・ワールドの前に、全員が無力感と焦燥感にかれれていた。 「では、全員ここで死ね」 ただ、一人の例外を除いて。 「待ちたまえ」 「「「!!」」」 声のした方を全員が振り向く。 そこには、ジョージ・ジョースターが起き上がっていた。 「君は本当にディオなのかね?」 「これは父さん。まだ生きてましたか」 「もう一度聞こう。君は本当にディオなのだね?」 「ええ。そうですよ」 ついさっき殺そうとしたことに罪悪感を微塵も感じず、DIOは答える。 「ディオ。一体どうしたというのだ? 彼らから、お前は吸血鬼となってたくさんの人を殺し、彼らの敵となっていると聞いている。 本当なのか?」 「本当です」 ジョージの問いをあっさりと返すDIO。 「何故そんなことをする」 「簡単な理由ですよ。勝利して支配するため、それだけです」 「そうか…」 悲しげに俯くジョージ。 「父さん。父さんたちには感謝していますよ。 元の世界では、俺は父さんの血で吸血鬼になれた。 更に、俺の首から下はジョナサンの肉体。 そして今、首から下をなじませるために父さんの血をいただけるんですから」 DIOは話し続ける。 一方のジョージは、顔を上げようとしない。 「父さん。俺のために、血を吸われて死んで下さい」 そこまで聞いた後、ジョージは顔を上げ、周りの仲間に向かって言った。 「皆、手を出さないでくれ。私がこの子に引導を渡す」 そのセリフを聞いたDIOは、一瞬何を言っているのか解らないとでも言いたげにポカンとし、その直後大笑いを始めた。 「フ、フフフ…、フハハハハ! 父さんが!?俺を!!? こいつはいい!ケッサクだ!!! フフフハフハフハハハハ!!!」 笑い続けるDIOに、ジョージはあくまで真剣に話す。 「お前やジョナサンのためなら、私は命を差し出すことにためらいはない。すっとそう思っていたよ。 だが、お前が私の命を奪うことで悪鬼の道に走るというのなら、この命、みすみすくれてやるわけにはいかん。 逆に、命を賭けて阻止しなくてはならない」 そしてジョージはDIOを見据え、宣言をした。 「ディオ・ブランドー!!!ジョージ・ジョースターが決闘を申し込む!!! 申し出を受けるか!!?」 ジョージの言葉にDIOは笑いを止め、余裕しゃくしゃくの顔で肯いた。 「受けますよ、父さん」 「1つ言っておこう。 私一人では、ディオ、お前には勝てないだろう。 だが、私には仲間がいる」 「何ですか?決闘とか言っておきながら、1対1では戦わないということですか? 構いませんよ」 「違う。彼等はこの決闘に介入させない。だが、仲間の力を借り、私はお前を討つ。 ディオ、親としてお前への最後のつとめだ」 「フン」 2人の間合いは、ザ・ワールドの射程距離より少し離れているくらい。 DIOに武器はないものの、戦闘能力としては最強のスタンド、ザ・ワールドがある。 一方、ジョージは銃しか持たない一般人。 旗から見れば、一方的な展開にしかならない果たし合い。 しかし、ジョージにはスタンドに勝る力があった。 死んだ仲間との約束、今守らなければならない仲間。 そして――ディオへの『愛情』。 ジョージはディオへ注ぐ愛情を惜しまなかった。 ジョナサンと同様、聡明な息子をときに優しく、ときに厳しく愛し続けた。 そして、ディオへの愛は今なお衰えない。 ディオを愛しているからこそ、悪鬼と化したディオを救うために、ジョージは自ら手を下すことを決意した。 そう、DIOを倒そうと考えるジョースター一族の中、ジョージだけは救おうと考えているのだ。 その決意は、圧倒的な力を持つDIOに対し全くひるまない力となった。 しかし、だからDIOが不利というわけではない。 DIOもそれに勝るとも劣らないものを心に抱いている。 それは『夢』。 承太郎たちからすれば『野望』と置きかえられ、あたかも邪念のような表現にされてしまうこともある。 しかし、『世界を支配する』とは、並大抵の人間が目指せる夢、目標ではない。 凡人には、文字通り『夢見る』ことしかできないくらいスケールの大きい目標なのだ。 だが、それを目指すだけの力量がDIOにはあった。 逆にそれだけの器であるからこそ、『世界』を暗示するザ・ワールドを身に付けたのかもしれない。 世界を支配することのできない人間では、ザ・ワールドを身に付けても、スタンドに振り回されるだけだっただろう。 DIOには素質はあったのだ。世界を支配できるだけの。 今ここに、『深い愛』と『壮大な夢』という全く違う強さを持つ2人の決闘が始まろうとしていた。 この決闘を見ている他の者たちも、全く身動きしなかった。 この場に居る全員が解っていた。 この決闘、始まったら一瞬で決着がつくと。 (ザ・ワールドの射程距離まで後2歩) DIOはジョージとの間合いを正確に計りながら一歩詰め寄る。 ジョージは動かない。 そして、DIOが更に一歩踏み出す。 ジョージは拳銃を持ち上げる。 更に一歩。DIOは踏み出し、ザ・ワールドの射程距離に入った。 「ザ・ワールド!!!」 そしてDIOは時を止める。 (フン。ジョージ・ジョースター、ジョースター一族の中で最もマヌケでお人好しな奴よ。 最後の最後で役に立ったな。この俺のために死ねるのだから) そしてDIOはジョージを殺すために近付く。 (!?) だが、予定と異なるジョージの位置に驚いた。 本来ならザ・ワールドの射程距離にいるはずのジョージが、いつの間にか射程距離からギリギリ外れているのだ。 そう。ジョージはDIOが時を止める直前、銃を構えながら大きくバックステップしていた。 これでは時を止めている間に殺すことができない。 (まあいい。ならば止まった時の中で殺すのではなく、『時が動き始めた瞬間殺すまで』だ) そしてDIOは、ジョージに向かって近付く。 そしてジョージの目の前にたどり着いた瞬間時は動き出した。 「死ねいっ!!」 時が動き始めた瞬間、DIOは拳を繰り出す。 そしてその拳はジョージの胸を貫いた。 そのままジョージは後方へ吹き飛ぶ。 ここに、ジョージとDIOの決闘の決着はついた。 *投下順で読む [[前へ>Io non sono solitario.(前編)]] [[戻る>1日目 第4回放送まで]] [[次へ>愛と夢(後編)]] *時系列順で読む [[前へ>荒木討伐隊①~合流~]] [[戻る>1日目 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>愛と夢(後編)]] *キャラを追って読む |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|ジョージ・ジョースター1世|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|東方仗助|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|ヌ・ミキタカゾ・ンシ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|ブローノ・ブチャラティ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|ナランチャ・ギルガ|117:[[愛と夢(後編)]]| |114:[[荒木討伐隊①~合流~]]|エルメェス・コステロ|117:[[愛と夢(後編)]]| |115:[[『くだらない仕掛け その①』]]|DIO|117:[[愛と夢(後編)]]|

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