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開戦」(2007/06/10 (日) 14:29:08) の最新版変更点

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(やはり何かおかしい…)花京院は次第に歩を速める。 誰も後は付けてきていない。だが何かがおかしいのだ…何かこう…誰かに見られている様な気が… そんな気がするためにいまだに港をウロウロとしていた。 広いところに出たら障害物がないためあっさり殺られてしまうかも知れないと考えている。 (しかしどこにも誰もいないじゃないか……いや、もしかしたら…) 花京院は一つの仮説に行き当たった。名簿を見て何となく理解した事…このゲームに参加しているのは恐らく主にスタンド使いだ。 今まで共に戦った仲間や敵として対峙した者が何人もいた。 ならば名前を知らない連中もスタンド使いの可能性は十分にあるだろう。何しろあの殺された少年もスタンド使いだったのだ。 (しかし何だ…誰にも気付かれずに尾行するとしたらそれはどんな能力だ?) 考えても埒が開かないので花京院は動く事にした。 (もし後を追われているならそのまま承太郎達と合流して迷惑は掛けられない… 虎穴に入らずんばとも言う…ここは僕のスタンドで謎を解く!) (後を付けているのに気付いている様だな…だが詳しいところまでは気付いていまい) 一方リゾットは前の男の後をずっと付けていた。正味約一時間と言ったところか? ここまでの尾行でわかった事がいくつかある。 まず男はかなりやり手だ。歩き方でわかる。周りに気を配りながら歩いている。 それもただ気を配っているだけではない。 ほんのちょっとした違和感をも見逃さない程の警戒をしているようだ。 暗殺チームのリーダーとして様々な人間を見て来たからこそわかる。とにかくこの男に簡単に近付くのは良くないと本能でわかっていた。 また男が路地に入る。 (この方向…まだ港を出ないつもりか…やはり後を付けているのには気付かれている様だな) こんな調子で一時間が経ったのである。余談だが男が入っていった路地は既に三回程通っている。 (まぁ良い。どうせ奴にはオレの姿が見えない。バレる等有り得ない。 しかしもう後を付けるのにも飽きたな。そろそろ…終わりにしようか) リゾットも後を追って路地に入る。すると数十m先に男の姿があった。 (慎重に射程距離まで近付く…) 次第に距離が近くなる。すると男が立ち止まる。バレたのか? どうやら地図か何かを見ている様だ。しかしそれならリゾットには好都合だ。一気に近付いて先手を取れる。まさにリゾットはそう思っていた。 が、先手を打ったのは花京院だった。 (何だ?何か飛礫の様な物が飛んでくる?!) リゾットは避けようとするもいくらかは当たってしまった。 「結界にかかったな。そこに誰かいるのはわかっている。隠れてないで出て来たらどうだ?」 …どうやら追い詰めたつもりだったが罠…釣り出されたらしい。 しかも厄介な事にどんな能力かは知らないが男のスタンドはリゾットの『メタリカ』より射程が長い様だ。 これでは近付くのも困難になる。 それにしてもこの目の前の男…まだ少年の様だがどうやらリゾットの予想よりかなりのやり手の様だ。 そこにいるのが完全にバレてしまっては姿を隠している意味もない。 「やり手と思っていたがまさかこれほどまでのやり手とはな」 何もないところから急に姿を現わした事に驚きはない様だな。 まぁそんな事で驚く様な奴だとしたらそんな奴にケガを負わされたこっちが恥ずかしい。 「何もないところから現れた…どうやらお前は自分を透明にして姿を隠す能力を持っているな」 男は語る。どうやら能力をわかっているつもりの様だ。 しかしオレの能力を透明になるだけと勘違いしている様なら射程距離の差があれどまだ付け入るスキはあるはずだ。 何とか近付いて…スタンドで仕留める! リゾットは駆け出す。が、再び飛礫が飛んでくる。 「!!!」 「無駄だ!半径20mにハイエロファントの結界を張った!触れればエメラルドスプラッシュが発射される!」 リゾットは動きを封じられてしまった。これでは動いたが最後、下手をしたら射程距離に近付く前に死んでしまいかねない。 「追わないと誓うならこの場は見逃そう。しかし攻撃をしてくるのであれば手加減はしない!」 見逃すと言う言葉にリゾットのプライドが刺激される。 (偉そうに言うではないか。 自分の優位はもう揺るがないって顔してやがる。 が、こちらにもまだ策はあるぞ!) リゾットはおもむろに先の攻撃で割れたガラスの破片を拾い上げると自分の左手の小指を切り落とし、石ころにくくり付けた。 少年もさすがにこの行動には動揺を隠し切れない様子だ。 「な…何を考えている?」 「オレは正直お前をナメてかかっていた。ゲームに対する覚悟も足りなかった様だ。しかし今はもうそんな油断はない!」 リゾットはそう言うと手に持っていた石を花京院の足下に放った。 たかが石ころ。指をくくったところで花京院にはなんのダメージもないはずだった。 が、花京院の足からいきなり数本の釘が飛び出す。 花京院は何が起こったのか把握出来ない。 「お前一体何を…」 「答えてやる義理はないな。」 そう答えるとリゾットは花京院に向かって走りだす。結界に触れようとお構いなし、ダメージ覚悟の様子だ。 一方の花京院は混乱した。ただ指をくくり付けただけの石で何故ダメージを受ける? そう思って石を拾い上げる。と、指の断面で奇妙な物がうごめいていた。 (ムーミンにこんなの出てきたな…それよりも奴のスタンド…指の中に?…もしかすると!) 敵の左手を良く目を凝らして見るとやはり同じ物が切り口でうごめいている。 (やはり!体内にいたのか!) しかしスタンドが体内にいるのがわかっても能力がわかったわけじゃあない。 花京院が敵の能力について思考を巡らせたのは数秒だった。 しかしその数秒で充分、だいぶ近付かれてしまった。 すると今度は額からカミソリの刃が大量に出てきた。 「ぐああああ!」 (クソ!奴の能力は一体…このまま結界を張っていても近付かれるのなら戻して攻撃と防御をしながら距離を離した方が…) そう考えると花京院は『法皇の緑』の結界を解き手元に戻した。 しかしリゾットの本当の狙いはこちらだった。 これ以上の攻撃はリゾット自身が危なかった。 しかしダメージ覚悟で近付いて攻撃をすればスタンドを手元に戻して…(恐らく結界と呼んでいた物と本体は別物だろう)身を守りながら距離を置こうとするはず。そう考えた。 花京院はさらに攻撃を食らっていた。距離を置こうとする前に腹から針がまた大量に飛び出す。 (だ、だいぶダメージを受けてしまった…しかし何なんだ…) そこまで考えたところで一つの仮説に行き着く。 「仮説だが…最初は釘、次はカミソリの刃、今のは針だったな…いずれも体の中から出てきた。共通点は鉄製という事と体内から出てきた事だがこう考えたらそれも納得行く…お前のスタンドは鉄分を何らかの手段で別の物に変えて攻撃する。違うか?」 血液の中には鉄分が含まれている。 花京院は相手はその鉄分をスタンド能力でカミソリ等に変えて攻撃していると考えた。 すると男が半ば感心した様な言葉を返した。 「大体正解だ。そこまでわかっているのならもう隠す必要もないだろう。お前の知力に敬意を表して教えてやろう。 私のメタリカは体内の鉄分を吐き出させる事が出来る。また磁力も利用している」 花京院の仮説はほぼ当たりだったのだ。 だがリゾットは続ける。 「しかし能力がわかったから何だというんだ?言っておくが鉄分は血液のみに含まれているわけではないぞッ!」 花京院が周りを見渡すと自分に刃先を向けて数本のナイフが浮かんでいた。 (ま、まずい…) 咄嗟に避けようとするも数本が刺さる。 花京院はその場に崩れた。普通なら確実に入院が必要な程の重傷である。 どうやらスタンドも消えてしまった様だ。 「なかなか手強かった…が、これで終わりか…止めだ!メタ…」 が、花京院への攻撃が成る事はなかった。リゾットは次の瞬間後方へと吹き飛ばされた。 (うぉっ!何だこれは) ふと見やると倒れていたはずの花京院が立ち上がり喋り出した。 「能力を詳しいところまで話してもらった礼に僕の能力も教えよう。 僕の『法皇の緑』はただ攻撃をするだけではない… 体を糸状にして地面を這わせたりする事も出来る。そこまで言えば何が起こったかわかるな?」 花京院のスタンドは消えたわけではなかったのだ。 消えた様に見せかけて背後に忍び寄らせ相手を射程距離外まで引きずり飛ばしたのだった。 「ただの学生に見えるだろうが、策を巡らせられるだけの修羅場はくぐってきたんだ。 喰らえ!エメラルドスプラッシュ!」 リゾットが見た光景は自分に向かって飛んで来る無数の飛礫。地面に跪いているリゾットにそれを避ける手立てはなかった。 そこでリゾットの意識はプツリと消えた。 「生き残った…が、ダメージもかなり大きいみたいだな…」 確かに生き残る事は出来たがだいぶヒドいケガである。 ちなみにリゾットも重傷ではあるが辛うじて生きている様だ…意識はないが。 多分…まぁその心配はないだろうがまた追われては敵わないのでリゾットを彼の服で建物の柱にくくりつけた。 ついでに支給品も必要な物のみ失敬する事にした様だがリゾットに支給された武器を見て明らかに落胆している様だ。 (この先承太郎達に合流する事は出来るんだろうか…) とりあえずの止血は済んだ。今すぐにも歩き出せる。 が、花京院は己の行く末に不安を抱いていた。 理不尽な殺人ゲーム…ゲームを操るのが荒木なら、そのゲームの中での人の生き死でさえ実は荒木の掌の上での事なのかも知れない… 花京院に訪れるのは希望の光だろうか…それとも絶望の闇だろうか… 【杜王港(I-09)/一日目/深夜~黎明】 【花京院典明】 [スタンド]:『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』 [状態]:重傷/行く先に対する不安 [装備]:アーミーナイフ [道具]:支給品一式、またリゾットの支給品から食料等をゲット [思考・状況] 1)こんなケガをした状態で承太郎達と会うまで生き残れるのか…? 2)とりあえず止血は済んでいる 【リゾット・ネエロ】 [スタンド]:『メタリカ』 [状態]:瀕死/意識不明 [装備]:ハリセン [道具]:食料以外の支給品 [思考・状況] 1)花京院の能力の詳細(糸状になれる等)を把握しきっていなかったために後一押しが出来ずに負けた 2)冷静に対処すれば花京院が結界を解いた後に姿を消しながらの攻撃も出来たはずだが想像以上のダメージが思考を鈍らせていた 3)とりあえず生きているが身動きを封じられたため意識が戻ったところで誰かに見つかれば抵抗は不可能だろう *投下順で読む [[前へ>熱き勇気と冷徹な意思]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>虹村億泰の長い夜]] *時系列順で読む [[前へ>『運命の車輪(ホゥィール・オブ・フォーチュン)』]] [[戻る>1日目(時系列順)]] [[次へ>『誰が為に砂は舞う』]] *キャラを追って読む |01:[[『ゲームスタート』]]|花京院典明|46:[[仮説・それが真実]]| |01:[[『ゲームスタート』]]|リゾット・ネエロ|33:[[戦慄のリゾット]]|
(やはり何かおかしい…)花京院は次第に歩を速める。 誰も後は付けてきていない。だが何かがおかしいのだ…何かこう…誰かに見られている様な気が… そんな気がするためにいまだに港をウロウロとしていた。 広いところに出たら障害物がないためあっさり殺られてしまうかも知れないと考えている。 (しかしどこにも誰もいないじゃないか……いや、もしかしたら…) 花京院は一つの仮説に行き当たった。名簿を見て何となく理解した事…このゲームに参加しているのは恐らく主にスタンド使いだ。 今まで共に戦った仲間や敵として対峙した者が何人もいた。 ならば名前を知らない連中もスタンド使いの可能性は十分にあるだろう。何しろあの殺された少年もスタンド使いだったのだ。 (しかし何だ…誰にも気付かれずに尾行するとしたらそれはどんな能力だ?) 考えても埒が開かないので花京院は動く事にした。 (もし後を追われているならそのまま承太郎達と合流して迷惑は掛けられない… 虎穴に入らずんばとも言う…ここは僕のスタンドで謎を解く!) (後を付けているのに気付いている様だな…だが詳しいところまでは気付いていまい) 一方リゾットは前の男の後をずっと付けていた。正味約一時間と言ったところか? ここまでの尾行でわかった事がいくつかある。 まず男はかなりやり手だ。歩き方でわかる。周りに気を配りながら歩いている。 それもただ気を配っているだけではない。 ほんのちょっとした違和感をも見逃さない程の警戒をしているようだ。 暗殺チームのリーダーとして様々な人間を見て来たからこそわかる。とにかくこの男に簡単に近付くのは良くないと本能でわかっていた。 また男が路地に入る。 (この方向…まだ港を出ないつもりか…やはり後を付けているのには気付かれている様だな) こんな調子で一時間が経ったのである。余談だが男が入っていった路地は既に三回程通っている。 (まぁ良い。どうせ奴にはオレの姿が見えない。バレる等有り得ない。 しかしもう後を付けるのにも飽きたな。そろそろ…終わりにしようか) リゾットも後を追って路地に入る。すると数十m先に男の姿があった。 (慎重に射程距離まで近付く…) 次第に距離が近くなる。すると男が立ち止まる。バレたのか? どうやら地図か何かを見ている様だ。しかしそれならリゾットには好都合だ。一気に近付いて先手を取れる。まさにリゾットはそう思っていた。 が、先手を打ったのは花京院だった。 (何だ?何か飛礫の様な物が飛んでくる?!) リゾットは避けようとするもいくらかは当たってしまった。 「結界にかかったな。そこに誰かいるのはわかっている。隠れてないで出て来たらどうだ?」 …どうやら追い詰めたつもりだったが罠…釣り出されたらしい。 しかも厄介な事にどんな能力かは知らないが男のスタンドはリゾットの『メタリカ』より射程が長い様だ。 これでは近付くのも困難になる。 それにしてもこの目の前の男…まだ少年の様だがどうやらリゾットの予想よりかなりのやり手の様だ。 そこにいるのが完全にバレてしまっては姿を隠している意味もない。 「やり手と思っていたがまさかこれほどまでのやり手とはな」 何もないところから急に姿を現わした事に驚きはない様だな。 まぁそんな事で驚く様な奴だとしたらそんな奴にケガを負わされたこっちが恥ずかしい。 「何もないところから現れた…どうやらお前は自分を透明にして姿を隠す能力を持っているな」 男は語る。どうやら能力をわかっているつもりの様だ。 しかしオレの能力を透明になるだけと勘違いしている様なら射程距離の差があれどまだ付け入るスキはあるはずだ。 何とか近付いて…スタンドで仕留める! リゾットは駆け出す。が、再び飛礫が飛んでくる。 「!!!」 「無駄だ!半径20mにハイエロファントの結界を張った!触れればエメラルドスプラッシュが発射される!」 リゾットは動きを封じられてしまった。これでは動いたが最後、下手をしたら射程距離に近付く前に死んでしまいかねない。 「追わないと誓うならこの場は見逃そう。しかし攻撃をしてくるのであれば手加減はしない!」 見逃すと言う言葉にリゾットのプライドが刺激される。 (偉そうに言うではないか。 自分の優位はもう揺るがないって顔してやがる。 が、こちらにもまだ策はあるぞ!) リゾットはおもむろに先の攻撃で割れたガラスの破片を拾い上げると自分の左手の小指を切り落とし、石ころにくくり付けた。 少年もさすがにこの行動には動揺を隠し切れない様子だ。 「な…何を考えている?」 「オレは正直お前をナメてかかっていた。ゲームに対する覚悟も足りなかった様だ。しかし今はもうそんな油断はない!」 リゾットはそう言うと手に持っていた石を花京院の足下に放った。 たかが石ころ。指をくくったところで花京院にはなんのダメージもないはずだった。 が、花京院の足からいきなり数本の釘が飛び出す。 花京院は何が起こったのか把握出来ない。 「お前一体何を…」 「答えてやる義理はないな。」 そう答えるとリゾットは花京院に向かって走りだす。結界に触れようとお構いなし、ダメージ覚悟の様子だ。 一方の花京院は混乱した。ただ指をくくり付けただけの石で何故ダメージを受ける? そう思って石を拾い上げる。と、指の断面で奇妙な物がうごめいていた。 (ムーミンにこんなの出てきたな…それよりも奴のスタンド…指の中に?…もしかすると!) 敵の左手を良く目を凝らして見るとやはり同じ物が切り口でうごめいている。 (やはり!体内にいたのか!) しかしスタンドが体内にいるのがわかっても能力がわかったわけじゃあない。 花京院が敵の能力について思考を巡らせたのは数秒だった。 しかしその数秒で充分、だいぶ近付かれてしまった。 すると今度は額からカミソリの刃が大量に出てきた。 「ぐああああ!」 (クソ!奴の能力は一体…このまま結界を張っていても近付かれるのなら戻して攻撃と防御をしながら距離を離した方が…) そう考えると花京院は『法皇の緑』の結界を解き手元に戻した。 しかしリゾットの本当の狙いはこちらだった。 これ以上の攻撃はリゾット自身が危なかった。 しかしダメージ覚悟で近付いて攻撃をすればスタンドを手元に戻して…(恐らく結界と呼んでいた物と本体は別物だろう)身を守りながら距離を置こうとするはず。そう考えた。 花京院はさらに攻撃を食らっていた。距離を置こうとする前に腹から針がまた大量に飛び出す。 (だ、だいぶダメージを受けてしまった…しかし何なんだ…) そこまで考えたところで一つの仮説に行き着く。 「仮説だが…最初は釘、次はカミソリの刃、今のは針だったな…いずれも体の中から出てきた。共通点は鉄製という事と体内から出てきた事だがこう考えたらそれも納得行く…お前のスタンドは鉄分を何らかの手段で別の物に変えて攻撃する。違うか?」 血液の中には鉄分が含まれている。 花京院は相手はその鉄分をスタンド能力でカミソリ等に変えて攻撃していると考えた。 すると男が半ば感心した様な言葉を返した。 「大体正解だ。そこまでわかっているのならもう隠す必要もないだろう。お前の知力に敬意を表して教えてやろう。 私のメタリカは体内の鉄分を吐き出させる事が出来る。また磁力も利用している」 花京院の仮説はほぼ当たりだったのだ。 だがリゾットは続ける。 「しかし能力がわかったから何だというんだ?言っておくが鉄分は血液のみに含まれているわけではないぞッ!」 花京院が周りを見渡すと自分に刃先を向けて数本のナイフが浮かんでいた。 (ま、まずい…) 咄嗟に避けようとするも数本が刺さる。 花京院はその場に崩れた。普通なら確実に入院が必要な程の重傷である。 どうやらスタンドも消えてしまった様だ。 「なかなか手強かった…が、これで終わりか…止めだ!メタ…」 が、花京院への攻撃が成る事はなかった。リゾットは次の瞬間後方へと吹き飛ばされた。 (うぉっ!何だこれは) ふと見やると倒れていたはずの花京院が立ち上がり喋り出した。 「能力を詳しいところまで話してもらった礼に僕の能力も教えよう。 僕の『法皇の緑』はただ攻撃をするだけではない… 体を糸状にして地面を這わせたりする事も出来る。そこまで言えば何が起こったかわかるな?」 花京院のスタンドは消えたわけではなかったのだ。 消えた様に見せかけて背後に忍び寄らせ相手を射程距離外まで引きずり飛ばしたのだった。 「ただの学生に見えるだろうが、策を巡らせられるだけの修羅場はくぐってきたんだ。 喰らえ!エメラルドスプラッシュ!」 リゾットが見た光景は自分に向かって飛んで来る無数の飛礫。地面に跪いているリゾットにそれを避ける手立てはなかった。 そこでリゾットの意識はプツリと消えた。 「生き残った…が、ダメージもかなり大きいみたいだな…」 確かに生き残る事は出来たがだいぶヒドいケガである。 ちなみにリゾットも重傷ではあるが辛うじて生きている様だ…意識はないが。 多分…まぁその心配はないだろうがまた追われては敵わないのでリゾットを彼の服で建物の柱にくくりつけた。 ついでに支給品も必要な物のみ失敬する事にした様だがリゾットに支給された武器を見て明らかに落胆している様だ。 (この先承太郎達に合流する事は出来るんだろうか…) とりあえずの止血は済んだ。今すぐにも歩き出せる。 が、花京院は己の行く末に不安を抱いていた。 理不尽な殺人ゲーム…ゲームを操るのが荒木なら、そのゲームの中での人の生き死でさえ実は荒木の掌の上での事なのかも知れない… 花京院に訪れるのは希望の光だろうか…それとも絶望の闇だろうか… 【杜王港(I-09)/一日目/深夜~黎明】 【花京院典明】 [スタンド]:『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』 [状態]:重傷/行く先に対する不安 [装備]:アーミーナイフ [道具]:支給品一式、またリゾットの支給品から食料等をゲット [思考・状況] 1)こんなケガをした状態で承太郎達と会うまで生き残れるのか…? 2)とりあえず止血は済んでいる 【リゾット・ネエロ】 [スタンド]:『メタリカ』 [状態]:瀕死/意識不明 [装備]:ハリセン [道具]:食料以外の支給品 [思考・状況] 1)花京院の能力の詳細(糸状になれる等)を把握しきっていなかったために後一押しが出来ずに負けた 2)冷静に対処すれば花京院が結界を解いた後に姿を消しながらの攻撃も出来たはずだが想像以上のダメージが思考を鈍らせていた 3)とりあえず生きているが身動きを封じられたため意識が戻ったところで誰かに見つかれば抵抗は不可能だろう *投下順で読む [[前へ>熱き勇気と冷徹な意思]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>虹村億泰の長い夜]] *時系列順で読む [[前へ>『運命の車輪(ホゥィール・オブ・フォーチュン)』]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>『誰が為に砂は舞う』]] *キャラを追って読む |01:[[『ゲームスタート』]]|花京院典明|46:[[仮説・それが真実]]| |01:[[『ゲームスタート』]]|リゾット・ネエロ|33:[[戦慄のリゾット]]|

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