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Judgment Day」(2007/10/15 (月) 21:22:01) の最新版変更点

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全身の悪寒が止まらない。 目蓋を支える筋肉が、意思で操作出来ない。 視界が、暗い視界が……更なる暗黒に塗り潰される。 (何故……何故なんだよォォ――――ッ) 訳の分からぬ恐怖に、全身から汗が噴き出す。 指先で目蓋を押さえ込むが、視界は全く改善しない。 足元がふらつく。眩暈を覚える。 リキエルは、動揺し切っていた。 (……ああ、うわあああああアアァァッ!) 既に。 『スカイ・ハイ』で操った数十のロッズをぶつけた筈なのに。 こいつらの体温は徹底的に奪い去った筈なのに。 体温の急激な変化に、必ず肉体は変調を来す筈なのに。 何故、この男達は、平然としていられるのか。 「どうした……リキエル?」 エンリコ・プッチ神父が後方より自分に尋ねて来る。 声の方向から察するに、二人の男に対し間合いを取っている様だ。 その手はジョースターの一族、東方仗助のDISCを掴んでいた。 リキエルのスタンド『スカイ・ハイ』にてロッズをぶつけ奴らの身体能力を奪い、 神父が記憶DISCを抜き取り、止めを刺す作戦だった。 だが。 (こいつらは……おかしい……おかしいんです、神父様) プッチ神父は決定的なミスを犯している。 奴らは――この戦士達は、ただ図体がデカいだけの人間等では断じて無い。 奇妙な能力『スタンド』……プッチ神父と出会い、その力を得た『運命』に、リキエルは感謝していた。 だが、スタンドなんてモノは、この男達の前では『無』と同じッ! こんなちっぽけな能力では、奴らには全く歯が立たないんだッ! 「ワムウ様……『これ』らは一体……」 「『羽を八枚生やした棒状の生物』が数十匹、周囲を飛行している。  俺達に接近し、しかし全く身体には触れる事無く飛び去り、再び飛来する……。  なんだこの奇怪な生物は? これが奴の『能力』なのか?」 「恐らく。しかし、どうと言う事もありませんね」 淡々と会話を続ける前方の男達……やはりこいつらに、ロッズの体温奪取攻撃は全く通用しないッ! それどころかワムウとか言う奴には、 超高速で飛行し人間の動体視力では認識できない筈のロッズが、完璧に見えているじゃあないかッ! 「ハァーハァー……ハァーッ……ハアアーッ……」 途絶えそうになる呼吸を必死に維持しながら、リキエルは悟っていた。 こいつらは、人間ではない、と。 「何が起こっているのか良く分からんが……我らの決闘を汚した存在は、生かしては置けん」 リキエルの全身の肌が、闇に染み出し周囲に溢れ出す獰猛な覇気――殺気を感じ取った。 だが、動けなかった。手も足も出ないとは正にこの事――彼は呆然として、突っ立っているだけだった。 「…………」 何が起こったのか、当事者のリキエルでさえも、すぐには理解出来なかった。 余りにも淡白な。しかし、極自然な結果。 この状況では起こって当たり前の……一触即発の殺し合いの場では、発生して当然の。 古代より蘇りし『柱の男』、ワムウは一瞬にして肉薄し。 突き出された彼の手刀は、呆然としていたままのリキエルの肉体を易々と貫いた。 (神父……様……) 薄れ行く意識の中で、心中で独りごちた。 (俺の……『運命』は……この者達には……遠く及ばなかった)  * * * 「何だ……と……ッ」 無言で崩れ落ちたリキエルの身体。 その中央に見える、心臓を抉られ、腹部まで到達する大穴。 駅の床に転倒した彼の形相は、白目を剥いていた。 暗がりの中からでも、神父は明確に理解出来た――間違い無く、即死であった。 「ワムウ様……奴は……私が殺ります」 「ああ……タルカス、行くが良い」 格下の男――タルカスが同意を求め、主人らしきワムウと言う名の男が頷く。 深々と敬礼したタルカスが、神父に歩み寄り始める。 神父は後方に引き下がり、謎の敵より距離を保つ。 (こいつらはッ……!) プッチ神父は思考する。 この者たちはスタンド使いだったのか。 超常的な身体能力でリキエルを葬ったワムウ、迫り来るタルカス。 正体を見極める必要があるか? (何にせよ……直接『ホワイトスネイク』で触れて、DISCを奪うのは危険過ぎる) 後方に下がりながら、彼は敵の首元を確認していた。 奴にも取り付けられている。自分にも何時の間にやら装着されている。 教会での、荒木が発した言葉を、忘れてはいない。 『――禁止事項を破れば、君たちのつけている首輪が爆発します――  ――禁止事項は――  ――力づくで首輪を外そうと大きな衝撃を与えたり無理に取り外そうとする事――』 奴からの死角――背後にて密かに『ホワイトスネイク』が生成したDISC。 刻まれた命令は“自分の首輪を全力で外せ”。 (この命令DISCを……奴の頭にブチ込めば……勝機は、あるか……) 激突は、一瞬。 奴が自分に接近し、致命的な一撃を食らわせるのが早いか。 自分が、奴にDISCを投げ入れるのが早いか。 二つに一つ。失敗は許されない。 垣間見せた契機を、死力で持ってして掴み取るまで。 眼前の明確なる『死』――それが自らのものか、奴のものか? 全てはこの一撃で。一瞬で決定される。 時間の猶予は……思慮の時など、存在する筈が無かった。 「『ホワイトスネイク』ッ!」  * * * (やった……やったぞ……) プッチ神父は、自らの勝利を確信した。 命令が刻印されたDISCを、にじり寄る巨大な敵――タルカスの頭部に投擲する事に成功したのだ。 奴に、行動する隙を僅かにも与えぬ完璧なタイミングだった。 タルカスは、何が起こったのか全く分からぬまま、自らの首輪を外し絶命するだろう。 ……しかし。予測通りの決着が付く事は無かった。 タルカスが、自分に向けて歩み寄り続けているのだから。 これまでと何ら変わりない調子で。首輪に手を掛ける事も無く。 そう……奴の頭には、DISCなど刺さってはいなかったのだ。 (DISCの軌道がッ! 外れたのかッ!) 神父は驚愕した。 自らのスタンドの精密動作には、多大な自信を持っていたからだ。 微小な生物に対してでも的確にDISCを命中させる訓練を積み、命中率は完璧と成った筈なのに。 暗闇と、幾らかの距離が邪魔をしているとは言え、あんな巨大な的から外れてしまうなんて。 何らかの原因が――突発的な肉体のダメージ等の、何らかの要因が――無い限り、有り得ない……。 いや、肉体的な、ダメージ……? 神父は、視界の下方に何時の間にか存在していた、 『それ』に焦点を合わせた。 何かが。 何か、細長い物体が、床から真っ直ぐ伸びて。 自分の脚に刺さり、貫通していた。 (な……!? これは……これ、はッ……! 何時の間にッ!?) 「タルカスさん、早くッ! 攻撃をッ!」 さらに驚くべき事に、『それ』から――自らの肉体を貫く見慣れぬ形状の槍のようなものから、 高らかに音声が発せられた。 奇妙だが、槍自体が言葉を放っているかのような様相。 大腿から入り込み腰より突出した奇怪な『それ』の存在を明確に認識し、 その時に初めて神父は駆け巡る苦痛を感じた。 縫い付けられた身体はこの場からの逃走も、思い通りのフォームを許す筈も無くッ! 肉体の動作の、この忌々しい物理的阻害が、 完璧と思われたDISC投擲の軌道を、破滅的なまでに狂わせたッ! 「早くッ! 攻撃をッ!」 リキエルを容易く葬った敵の力に圧倒され、つい思考から外れてしまっていた――『変身する男』! 奴が目立たぬ何らかの形に変容し、自分の足元までに迫り寄りッ! 致命的な攻撃を加えて来たのだッ! (そんな、バカな事がッ……!) ふと、押し寄せる怒気に、神父は顔を見上げる。 影に彩られた巨人は、既に眼前までに接近していた。 駅の壁を構成し、手榴弾の爆破で剥がれ落ちた暗い色の岩石を両手に取り、 闇の中よりそいつが、動けぬ自分に向けて、近づいて、近づいて――! (落ち着け……落ち着いて考えるんだ……素数を……2……  何か……打開策が……ある筈……3……しかし……身体が……『槍』に貫かれ……  忌々しい……身動きが出来ない……タルカスが……5……近づいて……私に向けて攻撃を……  一撃を喰らわせようと……迫って来る……7……何と言う事だ……打つ手が……  見つからない……敗北なのか……こんな所で……11……負けだと……?  私には……DIO……天国が……天国は……13……てん……) タルカスは全力で両腕を振り下ろした。 余りにも単純なその攻撃は、床に身体が縫い付けられ身動きの出来ぬ エンリコ・プッチ神父の頭部を完全に破壊した。  * * * 「貴様は、一体何者なのだ?」 第一声がそれだった。 頭部が潰されたその陰惨な様相の死体より離脱し、 元の形――ヒトの形――に変身したヌ・ミキタカゾ・ンシは、 眼前の魔人、タルカスに向けて普段と同様の文句を使うかどうか、まず躊躇った。 しかし、やはり何時も通りに行こうと決めた。 名を問われれば自己紹介をする。それは子供でも行う、当たり前の礼儀なのだから。 地球人の。 「……私の名は『ヌ・ミキタカゾ・ンシ』といいます。  年齢は……216歳、です。  職業は『宇宙船のパイロット』ッ……。  趣味は『動物を飼うこと』です、ハイ。  ……そう、もうお分かりですかね。私は所謂『宇宙人』なのですよ!」 「……何を言ってるのか、さっぱりだが」 注がれるのは、当然の事ながら獰猛な獣の視線。 厳然とした態度は一切崩れず、眼下のミキタカを睨み続ける。 『宇宙人だってェ!?』 そんな返答など、する筈も無いモンスター。 ……別に、ミキタカがそれを求めている訳ではないのだが。 始めの質問も、実に形式的なものであった。 彼はもしや、『宇宙人』と言う概念すら知らないのでは無かろうか? と、ミキタカは疑った。 「その『能力』は何だ?  今、武器に変形し、その男を貫いていたな」 「ハッハイそうです、私の特殊能力は『変身』。  単純な構造の物なら……どんな姿にでもなれます。  先程まで、貴方の所持していた鎖に化けていました」 「ほう……成る程、な」 ミキタカの説明に頷き、壮絶な微笑を送るタルカス。 後に闇の奥より聞こえたのが、彼の主――ワムウの声。 「終わったのか」 主の言葉を聞くや否や、タルカスはそちらに振り返り返答する。 「はい、ワムウ様。  この『変身する男』と共に、この神父らしき者を仕留めた次第で御座います。  一度の攻撃さえもして来ない、無力で脆弱な単なる『人間』でした」 真新しい血の滴る腕を伸ばし指し示す方向には、 腰から大量の血液を漏らし、頭部を破壊された死骸があった。 ミキタカはその凄惨たる様相を見て、初めて一つの事実に思い至った。 あの状況では、止むを得なかった。 しかし、認めたくも無かった。死体の、足から腰に掛けての大きな裂傷を。 (私、殺人の幇助をしてしまったのですね……) 眼前に聳え立つ闇の戦士達……ワムウとタルカスは、 ブチャラティと形兆を攻撃した、紛れも無い『敵』であった。 先程の混乱した状況で、彼らから逃走する事も出来たかも知れない。 しかし、彼らが敵であると同時に、東方仗助はミキタカと強い絆で結ばれた『仲間』であった。 そして仗助を卑劣な手段で攻撃した『神父たち』は……見過ごす事の出来ぬ『敵』! 正々堂々と決闘を挑んだワムウに比べ、その卑怯な手口! 背後から『何か』を抜き取り、友人を一撃で気絶させたッ! ミキタカは『神父たち』を許せなかったッ! “奴らは倒さなければならないッ”! それが人間の感情であると。黄金の精神であると。 この異星人は、永き人間の生態観察で理解していたッ! そうだとしても、やはり……。 神父の殺害に関与してしまった事実は、彼の心に暗い影を投げ掛けた。 『――今から君達には"殺し合い"をしてもらいます! これはゲームです――』 教会の中での、荒木のあの淡々とした口調を覚えている。 彼の恐るべき思惑に、図らずともミキタカは加担してしまったのだ。 『ゲーム』を野蛮だと断じたのは、自分だ。 仗助を護る為だったとは言え……この手段は正解だったのだろうか? 「……そうだ、仗助さんはッ!」 仗助が転倒した方向に走り寄るミキタカに、魔人ワムウが静かに語り掛ける。 「ジョースケか? 奪われた『円盤』は……既に奴の頭に戻したが」 「仗助さんッ!」 「……う……ぐぅッ……」 暗闇の中で、一人倒れ伏していた仗助は、宇宙人の必死の呼び掛けに、ゆっくりと目を見開いた。  * * * まさか、あんなにあっさりと自分達を解放してくれるとは。 ミキタカは隣を歩く仗助の様子を確認しながら、先のワムウの言葉を脳裏に浮かべる。 『決闘は、一時休戦だ。今回は邪魔が入り過ぎた。  奴らの乱入の為に……興が削がれた。  俺はフェアな闘いを望む。この場から離れ、暫しの休息を取るが良い』 『しっしかしワムウ様ッこの『変身する男』も逃がすのですかッ』 下僕――タルカスの言葉を遮る様にして、ワムウは続けた。 『ミキタカゾ……と言ったかな? この度は我が僕タルカスを助けた事に感謝する。  何も語る必要は無い。ジョースケが旧知の仲間であるのなら、友と行くが良かろう。  そして、再びの戦闘を楽しみに待っているぞ……ジョセフ・ジョースターの息子、ジョースケよ』 「正直、助かったって感じだぜ……ワムウと、これ以上渡り合えるとは思えなかったからな」 仗助の言葉にミキタカは頷いた。今回の戦闘で改めて理解した、あの男達の凄まじきパワー! 人間の常識を突破した彼らには、二人のスタンド使いを一撃で葬り去る事など容易。 ワムウとの決闘にて仗助が受けたダメージは、致命傷と呼べるものでは無かったが、 その足取りは幾らか頼りない様に思える。 「そうですね、あの二人は……危険過ぎます」 ヌ・ミキタカゾ・ンシと東方仗助は、杜王駅東の街路を進んでいた。 闇に覆われた駅を出る際、久しぶりに視界に降り注ぐ陽光に、ミキタカはたじろいだ。 普段賑やかな町並みにやはり人影は無く、周囲は絶対的な静寂に包まれている。 「仗助さん……状況を整理しましょう。  この『ゲーム』が始まってから、お互いが見た事を話し合いましょう」 「ああ、そうだな……この一日で本当に色々な事が起こり過ぎて、かなり混乱しちまってるんだが……」 二人は、荒木によって教会に呼び出された後の、お互いの身に起こった出来事を語り合った。 「……本当に、色々な事があったんですね」 「お前もな、ミキタカ」 ミキタカは仗助に、ブチャラティや形兆と共に闘い、鎖に化けて二人の魔人と駅に辿り着いた事を。 仗助はミキタカに、エルメェスやウェザー達、 ……そして共に戦い命を落とした名も知らぬ男……との出会いを、相手に話した。 無論、放送で名前が呼ばれた者達――犠牲者達にも会話の矛先は向いた。 「億康や康一たちは、死んじまったらしいが……。  死人は、死人だ。確かに悲しいぜ……だが、泣いていても何も始まらねぇ。  『クレイジー・ダイヤモンド』でさえも、死者を生き返らせる事だけは出来ないんだからな。  俺はこの街で、まだ生きている奴を助けたい。  なるべく多くの人間を、このクソゲームから脱出させてやりたい。  そして『荒木』! 奴だけは許せねぇ……。絶対にぶっ倒すッ!」 彼の言葉からは、“ゲーム”が始まって以来、幾多もの死を乗り越えた強靭さを感じた。 その精神力はこの状況下に於いても、一向に衰えてはいないらしい。 「仗助さん……グレートです」 強大な意思に勇気付けられ、ミキタカは思わず言葉を漏らした。 仗助は唇を曲げて微笑んでいたが、急に額を押えて呻き始めた。 「……しかしよぉ、俺は結局の所、今の杜王町の状況を何も知らねえんだよな……。  ミキタカ、俺達はこれから一体何処に向かえばいいんだろうな?」 仗助の質問に、ミキタカは足元を見ながら応える。提案があった。 「私が残した『血痕』を追いましょう。この近くにある筈です。  ブチャラティさん達の名前は、第二放送で呼ばれませんでした。  彼らはまだ生き残っている。きっと私を待っています」 異論も無いらしく、仗助は提案を受け入れた。 「そうだな。ウェザーさんの所に今更戻るつもりもねぇし、  『ブチャラティ』達に……会いに行くか」 二人は自分達の街である筈なのに、 何かが決定的に異なる奇妙な杜王町を、道標を求めて歩き始めた。 (期待していますよ……仗助さん) これからの戦いは、より厳しくなるだろう。 しかし仗助が隣に居る限り、この状況―― 『ゲーム』解決への道が必ず存在していると、ミキタカには思えた。 【杜王駅内部(E-3)1日目 日中~午後】 【闇の重戦士チーム】 【ワムウ】 [モード]:『風』 [時間軸]:首だけになり、ジョセフが腕を振り下ろした瞬間 [状態]:服が焦げているが肉体は無傷 [装備]:手榴弾×6 [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)戦いを楽しみつつ、優勝を目指す。ただ深追いはしない 2)従者として、しばらくはタルカスを従えておく(ただし死んでもどうってことはない) 3)仗助との再戦を期待 【タルカス】 [種族]:屍生人(ゾンビ) [時間軸]:ジョナサンたちとの戦いの直前。ディオに呼ばれジョナサンたちと初めて対面する前 [状態]:軽い全身火傷と全身打撲 [装備]:なし [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)とりあえずの間ワムウに従う 2)取り逃した虹村形兆、ブチャラティ、ミキタカへの僅かな執着心(ワムウの命に背いてまで追う気はないが) 【杜王駅東口近くの路上(E-4)1日目 日中~午後】 【東方仗助】 [スタンド]:『クレイジー・ダイヤモンド』 [時間軸]:四部終了時 [状態]:右太股にツララが貫通した傷(応急手当済み・ 歩行に少し影響)、全身に軽い打撲 [装備]:なし [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)ミキタカと共に血痕を追い、ブチャラティ達と合流する 2)戦闘を止めたい 3)どこかに隠れているジョセフを探す 4)傷ついている参加者がいたら、敵味方関係なくとりあえず『治す』 5)シーザー、シーザーの仲間を探すのは後回し 6)打倒荒木! 7)時間軸のズレに気付いたかもしれない? 【ヌ・ミキタカゾ・ンシ】 [スタンド?]:『アース・ウィンド・アンド・ファイアー』 [時間軸]: 鋼田一戦後 [状態]:千切られそうになったのと、爆発事故の影響で体全体が痛い [装備]:なし [道具]:ポケットティッシュ(支給品一式はブチャラティが持っています) [思考]: 1)血痕を追い、ブチャラティ達との合流を図る 2)味方を集めて多くの人を救いたい 3)仗助の話を一緒に聞いていたため、形兆ゾンビ説に疑問 【天国への道を探求する者達 全滅】 【エンリコ・プッチ 死亡】 【リキエル 死亡】 [補足1]:仗助は「荒木は自分たちの声を聞くことができる」と推測しています。(根拠なし) [補足2]:仗助は、第一放送の禁止エリアについての情報を聞きましたが、メモは取っていないようです。 [補足3]:仗助は過去に名簿を見ましたが、ドッピオの名前の有無はいまは意識にありません。 [補足4]:仗助は埋葬した遺体がジョセフだとは気づいていません。 [補足5]:仗助は荒木の能力(時空操作)に気付き始めました。 [補足6]:プッチとリキエルの支給品は、死体と共に駅の内部に放置されています。 [補足7]:ヘヴンズ・ドアーのDISCは、駅内のプッチのデイパック内に残っています。 [補足8]:吸血馬1頭+チャリオットは駅の中に置いています。 *投下順で読む [[前へ>《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その①]] [[戻る>1日目 第3回放送まで]] [[次へ>4(フォー)プラス1(ワン)]] *時系列順で読む [[前へ>《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その①]] [[戻る>1日目 第3回放送まで(時系列順)]] [[次へ>形兆死亡(前編)~覚醒~]] *キャラを追って読む |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|東方仗助|111:[[ブチャラティがCOOL!]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|ワムウ|106:[[インタールード(間奏曲)]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|タルカス|106:[[インタールード(間奏曲)]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|ヌ・ミキタカゾ・ンシ|111:[[ブチャラティがCOOL!]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|エンリコ・プッチ|| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|リキエル||
全身の悪寒が止まらない。 目蓋を支える筋肉が、意思で操作出来ない。 視界が、暗い視界が……更なる暗黒に塗り潰される。 (何故……何故なんだよォォ――――ッ) 訳の分からぬ恐怖に、全身から汗が噴き出す。 指先で目蓋を押さえ込むが、視界は全く改善しない。 足元がふらつく。眩暈を覚える。 リキエルは、動揺し切っていた。 (……ああ、うわあああああアアァァッ!) 既に。 『スカイ・ハイ』で操った数十のロッズをぶつけた筈なのに。 こいつらの体温は徹底的に奪い去った筈なのに。 体温の急激な変化に、必ず肉体は変調を来す筈なのに。 何故、この男達は、平然としていられるのか。 「どうした……リキエル?」 エンリコ・プッチ神父が後方より自分に尋ねて来る。 声の方向から察するに、二人の男に対し間合いを取っている様だ。 その手はジョースターの一族、東方仗助のDISCを掴んでいた。 リキエルのスタンド『スカイ・ハイ』にてロッズをぶつけ奴らの身体能力を奪い、 神父が記憶DISCを抜き取り、止めを刺す作戦だった。 だが。 (こいつらは……おかしい……おかしいんです、神父様) プッチ神父は決定的なミスを犯している。 奴らは――この戦士達は、ただ図体がデカいだけの人間等では断じて無い。 奇妙な能力『スタンド』……プッチ神父と出会い、その力を得た『運命』に、リキエルは感謝していた。 だが、スタンドなんてモノは、この男達の前では『無』と同じッ! こんなちっぽけな能力では、奴らには全く歯が立たないんだッ! 「ワムウ様……『これ』らは一体……」 「『羽を八枚生やした棒状の生物』が数十匹、周囲を飛行している。  俺達に接近し、しかし全く身体には触れる事無く飛び去り、再び飛来する……。  なんだこの奇怪な生物は? これが奴の『能力』なのか?」 「恐らく。しかし、どうと言う事もありませんね」 淡々と会話を続ける前方の男達……やはりこいつらに、ロッズの体温奪取攻撃は全く通用しないッ! それどころかワムウとか言う奴には、 超高速で飛行し人間の動体視力では認識できない筈のロッズが、完璧に見えているじゃあないかッ! 「ハァーハァー……ハァーッ……ハアアーッ……」 途絶えそうになる呼吸を必死に維持しながら、リキエルは悟っていた。 こいつらは、人間ではない、と。 「何が起こっているのか良く分からんが……我らの決闘を汚した存在は、生かしては置けん」 リキエルの全身の肌が、闇に染み出し周囲に溢れ出す獰猛な覇気――殺気を感じ取った。 だが、動けなかった。手も足も出ないとは正にこの事――彼は呆然として、突っ立っているだけだった。 「…………」 何が起こったのか、当事者のリキエルでさえも、すぐには理解出来なかった。 余りにも淡白な。しかし、極自然な結果。 この状況では起こって当たり前の……一触即発の殺し合いの場では、発生して当然の。 古代より蘇りし『柱の男』、ワムウは一瞬にして肉薄し。 突き出された彼の手刀は、呆然としていたままのリキエルの肉体を易々と貫いた。 (神父……様……) 薄れ行く意識の中で、心中で独りごちた。 (俺の……『運命』は……この者達には……遠く及ばなかった)  * * * 「何だ……と……ッ」 無言で崩れ落ちたリキエルの身体。 その中央に見える、心臓を抉られ、腹部まで到達する大穴。 駅の床に転倒した彼の形相は、白目を剥いていた。 暗がりの中からでも、神父は明確に理解出来た――間違い無く、即死であった。 「ワムウ様……奴は……私が殺ります」 「ああ……タルカス、行くが良い」 格下の男――タルカスが同意を求め、主人らしきワムウと言う名の男が頷く。 深々と敬礼したタルカスが、神父に歩み寄り始める。 神父は後方に引き下がり、謎の敵より距離を保つ。 (こいつらはッ……!) プッチ神父は思考する。 この者たちはスタンド使いだったのか。 超常的な身体能力でリキエルを葬ったワムウ、迫り来るタルカス。 正体を見極める必要があるか? (何にせよ……直接『ホワイトスネイク』で触れて、DISCを奪うのは危険過ぎる) 後方に下がりながら、彼は敵の首元を確認していた。 奴にも取り付けられている。自分にも何時の間にやら装着されている。 教会での、荒木が発した言葉を、忘れてはいない。 『――禁止事項を破れば、君たちのつけている首輪が爆発します――  ――禁止事項は――  ――力づくで首輪を外そうと大きな衝撃を与えたり無理に取り外そうとする事――』 奴からの死角――背後にて密かに『ホワイトスネイク』が生成したDISC。 刻まれた命令は“自分の首輪を全力で外せ”。 (この命令DISCを……奴の頭にブチ込めば……勝機は、あるか……) 激突は、一瞬。 奴が自分に接近し、致命的な一撃を食らわせるのが早いか。 自分が、奴にDISCを投げ入れるのが早いか。 二つに一つ。失敗は許されない。 垣間見せた契機を、死力で持ってして掴み取るまで。 眼前の明確なる『死』――それが自らのものか、奴のものか? 全てはこの一撃で。一瞬で決定される。 時間の猶予は……思慮の時など、存在する筈が無かった。 「『ホワイトスネイク』ッ!」  * * * (やった……やったぞ……) プッチ神父は、自らの勝利を確信した。 命令が刻印されたDISCを、にじり寄る巨大な敵――タルカスの頭部に投擲する事に成功したのだ。 奴に、行動する隙を僅かにも与えぬ完璧なタイミングだった。 タルカスは、何が起こったのか全く分からぬまま、自らの首輪を外し絶命するだろう。 ……しかし。予測通りの決着が付く事は無かった。 タルカスが、自分に向けて歩み寄り続けているのだから。 これまでと何ら変わりない調子で。首輪に手を掛ける事も無く。 そう……奴の頭には、DISCなど刺さってはいなかったのだ。 (DISCの軌道がッ! 外れたのかッ!) 神父は驚愕した。 自らのスタンドの精密動作には、多大な自信を持っていたからだ。 微小な生物に対してでも的確にDISCを命中させる訓練を積み、命中率は完璧と成った筈なのに。 暗闇と、幾らかの距離が邪魔をしているとは言え、あんな巨大な的から外れてしまうなんて。 何らかの原因が――突発的な肉体のダメージ等の、何らかの要因が――無い限り、有り得ない……。 いや、肉体的な、ダメージ……? 神父は、視界の下方に何時の間にか存在していた、 『それ』に焦点を合わせた。 何かが。 何か、細長い物体が、床から真っ直ぐ伸びて。 自分の脚に刺さり、貫通していた。 (な……!? これは……これ、はッ……! 何時の間にッ!?) 「タルカスさん、早くッ! 攻撃をッ!」 さらに驚くべき事に、『それ』から――自らの肉体を貫く見慣れぬ形状の槍のようなものから、 高らかに音声が発せられた。 奇妙だが、槍自体が言葉を放っているかのような様相。 大腿から入り込み腰より突出した奇怪な『それ』の存在を明確に認識し、 その時に初めて神父は駆け巡る苦痛を感じた。 縫い付けられた身体はこの場からの逃走も、思い通りのフォームを許す筈も無くッ! 肉体の動作の、この忌々しい物理的阻害が、 完璧と思われたDISC投擲の軌道を、破滅的なまでに狂わせたッ! 「早くッ! 攻撃をッ!」 リキエルを容易く葬った敵の力に圧倒され、つい思考から外れてしまっていた――『変身する男』! 奴が目立たぬ何らかの形に変容し、自分の足元までに迫り寄りッ! 致命的な攻撃を加えて来たのだッ! (そんな、バカな事がッ……!) ふと、押し寄せる怒気に、神父は顔を見上げる。 影に彩られた巨人は、既に眼前までに接近していた。 駅の壁を構成し、手榴弾の爆破で剥がれ落ちた暗い色の岩石を両手に取り、 闇の中よりそいつが、動けぬ自分に向けて、近づいて、近づいて――! (落ち着け……落ち着いて考えるんだ……素数を……2……  何か……打開策が……ある筈……3……しかし……身体が……『槍』に貫かれ……  忌々しい……身動きが出来ない……タルカスが……5……近づいて……私に向けて攻撃を……  一撃を喰らわせようと……迫って来る……7……何と言う事だ……打つ手が……  見つからない……敗北なのか……こんな所で……11……負けだと……?  私には……DIO……天国が……天国は……13……てん……) タルカスは全力で両腕を振り下ろした。 余りにも単純なその攻撃は、床に身体が縫い付けられ身動きの出来ぬ エンリコ・プッチ神父の頭部を完全に破壊した。  * * * 「貴様は、一体何者なのだ?」 第一声がそれだった。 頭部が潰されたその陰惨な様相の死体より離脱し、 元の形――ヒトの形――に変身したヌ・ミキタカゾ・ンシは、 眼前の魔人、タルカスに向けて普段と同様の文句を使うかどうか、まず躊躇った。 しかし、やはり何時も通りに行こうと決めた。 名を問われれば自己紹介をする。それは子供でも行う、当たり前の礼儀なのだから。 地球人の。 「……私の名は『ヌ・ミキタカゾ・ンシ』といいます。  年齢は……216歳、です。  職業は『宇宙船のパイロット』ッ……。  趣味は『動物を飼うこと』です、ハイ。  ……そう、もうお分かりですかね。私は所謂『宇宙人』なのですよ!」 「……何を言ってるのか、さっぱりだが」 注がれるのは、当然の事ながら獰猛な獣の視線。 厳然とした態度は一切崩れず、眼下のミキタカを睨み続ける。 『宇宙人だってェ!?』 そんな返答など、する筈も無いモンスター。 ……別に、ミキタカがそれを求めている訳ではないのだが。 始めの質問も、実に形式的なものであった。 彼はもしや、『宇宙人』と言う概念すら知らないのでは無かろうか? と、ミキタカは疑った。 「その『能力』は何だ?  今、武器に変形し、その男を貫いていたな」 「ハッハイそうです、私の特殊能力は『変身』。  単純な構造の物なら……どんな姿にでもなれます。  先程まで、貴方の所持していた鎖に化けていました」 「ほう……成る程、な」 ミキタカの説明に頷き、壮絶な微笑を送るタルカス。 後に闇の奥より聞こえたのが、彼の主――ワムウの声。 「終わったのか」 主の言葉を聞くや否や、タルカスはそちらに振り返り返答する。 「はい、ワムウ様。  この『変身する男』と共に、この神父らしき者を仕留めた次第で御座います。  一度の攻撃さえもして来ない、無力で脆弱な単なる『人間』でした」 真新しい血の滴る腕を伸ばし指し示す方向には、 腰から大量の血液を漏らし、頭部を破壊された死骸があった。 ミキタカはその凄惨たる様相を見て、初めて一つの事実に思い至った。 あの状況では、止むを得なかった。 しかし、認めたくも無かった。死体の、足から腰に掛けての大きな裂傷を。 (私、殺人の幇助をしてしまったのですね……) 眼前に聳え立つ闇の戦士達……ワムウとタルカスは、 ブチャラティと形兆を攻撃した、紛れも無い『敵』であった。 先程の混乱した状況で、彼らから逃走する事も出来たかも知れない。 しかし、彼らが敵であると同時に、東方仗助はミキタカと強い絆で結ばれた『仲間』であった。 そして仗助を卑劣な手段で攻撃した『神父たち』は……見過ごす事の出来ぬ『敵』! 正々堂々と決闘を挑んだワムウに比べ、その卑怯な手口! 背後から『何か』を抜き取り、友人を一撃で気絶させたッ! ミキタカは『神父たち』を許せなかったッ! “奴らは倒さなければならないッ”! それが人間の感情であると。黄金の精神であると。 この異星人は、永き人間の生態観察で理解していたッ! そうだとしても、やはり……。 神父の殺害に関与してしまった事実は、彼の心に暗い影を投げ掛けた。 『――今から君達には"殺し合い"をしてもらいます! これはゲームです――』 教会の中での、荒木のあの淡々とした口調を覚えている。 彼の恐るべき思惑に、図らずともミキタカは加担してしまったのだ。 『ゲーム』を野蛮だと断じたのは、自分だ。 仗助を護る為だったとは言え……この手段は正解だったのだろうか? 「……そうだ、仗助さんはッ!」 仗助が転倒した方向に走り寄るミキタカに、魔人ワムウが静かに語り掛ける。 「ジョースケか? 奪われた『円盤』は……既に奴の頭に戻したが」 「仗助さんッ!」 「……う……ぐぅッ……」 暗闇の中で、一人倒れ伏していた仗助は、宇宙人の必死の呼び掛けに、ゆっくりと目を見開いた。  * * * まさか、あんなにあっさりと自分達を解放してくれるとは。 ミキタカは隣を歩く仗助の様子を確認しながら、先のワムウの言葉を脳裏に浮かべる。 『決闘は、一時休戦だ。今回は邪魔が入り過ぎた。  奴らの乱入の為に……興が削がれた。  俺はフェアな闘いを望む。この場から離れ、暫しの休息を取るが良い』 『しっしかしワムウ様ッこの『変身する男』も逃がすのですかッ』 下僕――タルカスの言葉を遮る様にして、ワムウは続けた。 『ミキタカゾ……と言ったかな? この度は我が僕タルカスを助けた事に感謝する。  何も語る必要は無い。ジョースケが旧知の仲間であるのなら、友と行くが良かろう。  そして、再びの戦闘を楽しみに待っているぞ……ジョセフ・ジョースターの息子、ジョースケよ』 「正直、助かったって感じだぜ……ワムウと、これ以上渡り合えるとは思えなかったからな」 仗助の言葉にミキタカは頷いた。今回の戦闘で改めて理解した、あの男達の凄まじきパワー! 人間の常識を突破した彼らには、二人のスタンド使いを一撃で葬り去る事など容易。 ワムウとの決闘にて仗助が受けたダメージは、致命傷と呼べるものでは無かったが、 その足取りは幾らか頼りない様に思える。 「そうですね、あの二人は……危険過ぎます」 ヌ・ミキタカゾ・ンシと東方仗助は、杜王駅東の街路を進んでいた。 闇に覆われた駅を出る際、久しぶりに視界に降り注ぐ陽光に、ミキタカはたじろいだ。 普段賑やかな町並みにやはり人影は無く、周囲は絶対的な静寂に包まれている。 「仗助さん……状況を整理しましょう。  この『ゲーム』が始まってから、お互いが見た事を話し合いましょう」 「ああ、そうだな……この一日で本当に色々な事が起こり過ぎて、かなり混乱しちまってるんだが……」 二人は、荒木によって教会に呼び出された後の、お互いの身に起こった出来事を語り合った。 「……本当に、色々な事があったんですね」 「お前もな、ミキタカ」 ミキタカは仗助に、ブチャラティや形兆と共に闘い、鎖に化けて二人の魔人と駅に辿り着いた事を。 仗助はミキタカに、エルメェスやウェザー達、 ……そして共に戦い命を落とした名も知らぬ男……との出会いを、相手に話した。 無論、放送で名前が呼ばれた者達――犠牲者達にも会話の矛先は向いた。 「億康や康一たちは、死んじまったらしいが……。  死人は、死人だ。確かに悲しいぜ……だが、泣いていても何も始まらねぇ。  『クレイジー・ダイヤモンド』でさえも、死者を生き返らせる事だけは出来ないんだからな。  俺はこの街で、まだ生きている奴を助けたい。  なるべく多くの人間を、このクソゲームから脱出させてやりたい。  そして『荒木』! 奴だけは許せねぇ……。絶対にぶっ倒すッ!」 彼の言葉からは、“ゲーム”が始まって以来、幾多もの死を乗り越えた強靭さを感じた。 その精神力はこの状況下に於いても、一向に衰えてはいないらしい。 「仗助さん……グレートです」 強大な意思に勇気付けられ、ミキタカは思わず言葉を漏らした。 仗助は唇を曲げて微笑んでいたが、急に額を押えて呻き始めた。 「……しかしよぉ、俺は結局の所、今の杜王町の状況を何も知らねえんだよな……。  ミキタカ、俺達はこれから一体何処に向かえばいいんだろうな?」 仗助の質問に、ミキタカは足元を見ながら応える。提案があった。 「私が残した『血痕』を追いましょう。この近くにある筈です。  ブチャラティさん達の名前は、第二放送で呼ばれませんでした。  彼らはまだ生き残っている。きっと私を待っています」 異論も無いらしく、仗助は提案を受け入れた。 「そうだな。ウェザーさんの所に今更戻るつもりもねぇし、  『ブチャラティ』達に……会いに行くか」 二人は自分達の街である筈なのに、 何かが決定的に異なる奇妙な杜王町を、道標を求めて歩き始めた。 (期待していますよ……仗助さん) これからの戦いは、より厳しくなるだろう。 しかし仗助が隣に居る限り、この状況―― 『ゲーム』解決への道が必ず存在していると、ミキタカには思えた。 【杜王駅内部(E-3)1日目 日中~午後】 【闇の重戦士チーム】 【ワムウ】 [モード]:『風』 [時間軸]:首だけになり、ジョセフが腕を振り下ろした瞬間 [状態]:服が焦げているが肉体は無傷 [装備]:手榴弾×6 [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)戦いを楽しみつつ、優勝を目指す。ただ深追いはしない 2)従者として、しばらくはタルカスを従えておく(ただし死んでもどうってことはない) 3)仗助との再戦を期待 【タルカス】 [種族]:屍生人(ゾンビ) [時間軸]:ジョナサンたちとの戦いの直前。ディオに呼ばれジョナサンたちと初めて対面する前 [状態]:軽い全身火傷と全身打撲 [装備]:なし [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)とりあえずの間ワムウに従う 2)取り逃した虹村形兆、ブチャラティ、ミキタカへの僅かな執着心(ワムウの命に背いてまで追う気はないが) 【杜王駅東口近くの路上(E-4)1日目 日中~午後】 【東方仗助】 [スタンド]:『クレイジー・ダイヤモンド』 [時間軸]:四部終了時 [状態]:右太股にツララが貫通した傷(応急手当済み・ 歩行に少し影響)、全身に軽い打撲 [装備]:なし [道具]:支給品一式 [思考・状況]: 1)ミキタカと共に血痕を追い、ブチャラティ達と合流する 2)戦闘を止めたい 3)どこかに隠れているジョセフを探す 4)傷ついている参加者がいたら、敵味方関係なくとりあえず『治す』 5)シーザー、シーザーの仲間を探すのは後回し 6)打倒荒木! 7)時間軸のズレに気付いたかもしれない? 【ヌ・ミキタカゾ・ンシ】 [スタンド?]:『アース・ウィンド・アンド・ファイアー』 [時間軸]: 鋼田一戦後 [状態]:千切られそうになったのと、爆発事故の影響で体全体が痛い [装備]:なし [道具]:ポケットティッシュ(支給品一式はブチャラティが持っています) [思考]: 1)血痕を追い、ブチャラティ達との合流を図る 2)味方を集めて多くの人を救いたい 3)仗助の話を一緒に聞いていたため、形兆ゾンビ説に疑問 【天国への道を探求する者達 全滅】 &color(red){【エンリコ・プッチ 死亡】} &color(red){【リキエル 死亡】} [補足1]:仗助は「荒木は自分たちの声を聞くことができる」と推測しています。(根拠なし) [補足2]:仗助は、第一放送の禁止エリアについての情報を聞きましたが、メモは取っていないようです。 [補足3]:仗助は過去に名簿を見ましたが、ドッピオの名前の有無はいまは意識にありません。 [補足4]:仗助は埋葬した遺体がジョセフだとは気づいていません。 [補足5]:仗助は荒木の能力(時空操作)に気付き始めました。 [補足6]:プッチとリキエルの支給品は、死体と共に駅の内部に放置されています。 [補足7]:ヘヴンズ・ドアーのDISCは、駅内のプッチのデイパック内に残っています。 [補足8]:吸血馬1頭+チャリオットは駅の中に置いています。 *投下順で読む [[前へ>《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その①]] [[戻る>1日目 第3回放送まで]] [[次へ>4(フォー)プラス1(ワン)]] *時系列順で読む [[前へ>《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その①]] [[戻る>1日目 第3回放送まで(時系列順)]] [[次へ>形兆死亡(前編)~覚醒~]] *キャラを追って読む |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|東方仗助|111:[[ブチャラティがCOOL!]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|ワムウ|106:[[インタールード(間奏曲)]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|タルカス|106:[[インタールード(間奏曲)]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|ヌ・ミキタカゾ・ンシ|111:[[ブチャラティがCOOL!]]| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|エンリコ・プッチ|| |93:[[T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ]]|リキエル||

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