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頂点に立つ者として」(2007/06/10 (日) 23:22:30) の最新版変更点

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暫く川沿いに西へ進めていた歩みを止め、俺は近くの木陰に身を潜めた。 どうやらこの辺りには誰も居ないらしい。 少なくとも今俺の居るエリア、H-4には。 俺は適当な木陰に身を潜め、此れから先のことを考える事にした。 取り敢えずの所、火急の目的は果たした。 俺にとって唯一の脅威であるトリッシュは此の世から消え去ったのだ。 此れから先は、焦る事無くゆっくり吟味すれば良い。 そうだ。慌てる事は無いのだ。 先ず、目下の目的。 俺の存在を知る者の始末。 ブチャラティ、ナランチャ、ジョルノ、ポルナレフ、リゾットを殺さなくてはならない。 問題はセッコをどうするかだが、率先して捜すまでも無いだろう。 奴はチョコラータが居なければ戦力としての存在意義が激減する。 そして何よりの問題は、此の状況で奴に命令を下すには、 奴に姿を現さなくてはならないと云う事だ。 此のリスクを以ってして、奴に会う道理は無い。 腐っても奴は俺の部下。 放って置いても、俺の障害となる人間の1人や2人、消してくれるだろう。  * * * 「角砂糖おぉぉ~~~!!!」 「角砂糖?」 「バカ!仗助、そいつを止めねぇか!」  * * * 俺の最終目標は何処にある? 勿論優勝だ。 そして荒木に元の世界へ戻して貰った後、再びボスとして… と、ちょっと待て。 今、俺は頂点に立つ者として相応しく無い考えをしなかったか? “何故俺は奴の言う事が正しいと信じている?” 此れはおかしい。 此の約束、荒木に優位性がある。 (奴に遅れを取っていると云う事実は不快だが、認めなくては判断を誤る事になる) 例えば、主が奴隷に向かって、 『今日から3日、眠らずに仕事を頑張れば1週間の休暇をやろう』 と云う様な物だ。 奴隷は其の言葉を信じて3日間、死に物狂いで頑張る。 しかし3日後、主は 『そんな約束、守る訳無いだろう?馬鹿め』 と、にべも無く反故にする。 約束に優位性があると、優位に立つものは“約束を反故に出来る”事が出来るのだ。 そして愚劣な奴隷共が約束を果たすと信じて死に物狂いになり、 約束を反故にされた時の奈落に落ちるような表情を愉悦を以って眺める、其れが優位に立つ者の特権。 今の俺は、正に愚劣な奴隷の考えでは無いか。 馬鹿な。一時でもその様な考えを持つ事を恥と知れ。根拠も無く奴の約束を信じるな。 ならば優勝後荒木を殺す? 普通に考えて、行き着く答えは此れだろう。 だが、此処で又問題がある。 別に荒木を殺す事が出来るかどうかに疑問を持っている訳では無い。 我がキング・クリムゾンの前には、奴のスタンド能力も無力と化す筈。 奴を消し去る事に問題は無い。 其れよりも問題は、荒木を消した後に元の世界へ戻れるかどうかが怪しい事にある。 もし戻れなければ、其の時点で俺の敗北が決定する。 何故なら、俺は頂点に立つべき者だからだ。 優勝して荒木を殺し、元の世界へ戻れなければ、俺は此の街に1人になる。 そうすると、“支配される人間”が居なくなってしまう。 国王1人しか居ない国があるか? 長官しか居ない軍があるか? そして、ボスしか居ないマフィアがあるか? ゲームで優勝しようなどと云うのは殺人鬼の考え。 いや、殺人鬼ですら優勝後殺す人間が居なくなっては困るだろう。 つまり、ゲームに乗るのは“狂人”か“愚劣な奴隷”しか居ないのだ。 何度でも云おう。俺は頂点に立つべき男。荒木の掌で踊らされるマヌケじゃない。 俺には必要だ。“支配される人間”が。 「!!!」 其の時だ。俺のスタンド、キング・クリムゾン・エピタフが、 此処へ人間が近付いて来る未来を予測したのは。 先程までの俺なら、問答無用で殺しただろう。 しかし、こいつらが荒木を殺す役に立ってくれるのなら、 そして、こいつらが支配される人間なら…。  * * * 「…ん、う…ん」 え~っと、何が起きていたんだっけ。 確か、エルメェスから逃げようとして、その後の記憶が… 「とぅるるるるるるるる」 あっ、ヤベ。ボスからの電話だ。早く取らなきゃ。 って、何で携帯が木にぶら下がってんだろ?ま、いいや。 ポキリ 「はい、ボス」 『ドッピオか。今エピタフは使えるな?』 「使えますけど、其れがどうかしたんですか?」 『エピタフを使って、此れから先の事を予知しろ。 先程俺自身でも確認したが、今此方へ向かってくる人間が居る』 「はい。…え~っと」 ボスの指示通り、僕はエピタフを使って未来の予測をした。すると、 「………! 確認出来ました!北から2人の人間が、僕と会うみたいです」 『何?俺の時は2人が近付いてくる所までしか確認出来なかったが、 そいつらの前に御前は姿を現すのか?』 「はい。どうします?」 『相手は誰だ?』 「済みません。僕の知らない奴らです」 『ならば相手を探るのが先だ。 良いか。奴らを殺すべき相手かどうか見極めろ。 もし、奴らを殺さなくてはならない場合、私が“其処”に行く』 「えぇ~っ!?ぼぼ、僕が判断するんですか?」 ボスから任された大役に、僕はビビッてしまった。 しかし、そんな僕をボスは励ましてくれる。 『ドッピオ、御前は頭が良い。 リゾットの戦いの時も、エルメェスから逃げ出す時も、 御前は最高のタイミングで最高の選択をした。 今回も御前なら出来る』 「…」 『良いか。俺が御前に命令する事は一つ。 “ダメージを負うな。負うとしても、最小限に抑えろ”其れだけだ。 後は御前が最も良いと思う行動を取れ。 御前が必要と感じたら、その場を逃げ出しても構わん。 奴らの正体を暴き、奴らへの対処を御前が判断しろ。良いな』 「…はい」 激励と共に、僕への大役を任せたボスは、 『そろそろそいつらがやって来る頃だな。一旦切るぞ、ドッピオ』 と言って、電話を切った。 ぶるぶるぶるっ。 ボスからの電話を受けていた時は勇気が湧いて来るんだけど、 一旦切られると、一人になる寂しさというか、 いきなり怖くなっちゃうんだよね。 でも、ボスのために頑張らなくちゃ。 ってなワケで、武者震いをした僕は、木陰でこれからの事を考えた。 ボスの指示通り、まずは見極める事だ。 あの2人が、すぐに殺さなくてはならない人間か、途中まで行動を共に出来る人間か、 それともボスが支配出来る人間か…。 それを踏まえ現状を考えると、相手は2人。此れは相手が1人よりも好条件。 ボスの命令が『有無を言わさず殺せ』なら相手は少ない方が良いんだけど、 『相手の素性を調べろ』の場合、1人はむしろ危険。 だって、姿を現した途端襲って来る可能性が高いから。 複数の人間の場合は、逆にいきなり攻撃してくる可能性は低いから、姿を現しやすい。 下手に相手に警戒心を起こさせないために、今の内から姿を現した方が良いだろう。 いざという時逃げやすいし。 そう考えた僕は、木陰から姿を現した…。 【杜王町南、川沿いの道(H-4)/1日目/昼】 【ディアボロ・ドッピオ(現在ドッピオ)】 [スタンド]:『キング・クリムゾン』 [時間軸]:リゾットに勝利後、ローマに向かう途中 [状態]:健康 [装備]:DIO様の投げナイフ、ミスタの拳銃 [道具]:支給品×2、またプロシュートの支給品から食料等をゲット [思考・状況](ドッピオの思考): 1)ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認 2)向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取り敢えず行動を共にする 3)こいつらがボスの支配出来る人間かどうかを確認 4)支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害 [補足1]:ディアボロの思考…ブチャラティ、ジョルノ、ナランチャ、ポルナレフ、リゾットの始末及び空条承太郎を警戒 [補足2]:ディアボロの思考2…支配される者達の探索 [補足3]:ディアボロの思考3…荒木の打倒。其の後自分が支配者となる *投下順で読む [[前へ>飢エタ野犬ノ慟哭]] [[戻る>1日目 第2回放送まで]] [[次へ>邂逅、曾祖母と曾孫]] *時系列順で読む [[前へ>飢エタ野犬ノ慟哭]] [[戻る>1日目 第2回放送まで(時系列順)]] [[次へ>邂逅、曾祖母と曾孫]] *キャラを追って読む |74:[[一期一会]]||ディアボロ|85:[[疑心暗鬼]]|
暫く川沿いに西へ進めていた歩みを止め、俺は近くの木陰に身を潜めた。 どうやらこの辺りには誰も居ないらしい。 少なくとも今俺の居るエリア、H-4には。 俺は適当な木陰に身を潜め、此れから先のことを考える事にした。 取り敢えずの所、火急の目的は果たした。 俺にとって唯一の脅威であるトリッシュは此の世から消え去ったのだ。 此れから先は、焦る事無くゆっくり吟味すれば良い。 そうだ。慌てる事は無いのだ。 先ず、目下の目的。 俺の存在を知る者の始末。 ブチャラティ、ナランチャ、ジョルノ、ポルナレフ、リゾットを殺さなくてはならない。 問題はセッコをどうするかだが、率先して捜すまでも無いだろう。 奴はチョコラータが居なければ戦力としての存在意義が激減する。 そして何よりの問題は、此の状況で奴に命令を下すには、 奴に姿を現さなくてはならないと云う事だ。 此のリスクを以ってして、奴に会う道理は無い。 腐っても奴は俺の部下。 放って置いても、俺の障害となる人間の1人や2人、消してくれるだろう。  * * * 「角砂糖おぉぉ~~~!!!」 「角砂糖?」 「バカ!仗助、そいつを止めねぇか!」  * * * 俺の最終目標は何処にある? 勿論優勝だ。 そして荒木に元の世界へ戻して貰った後、再びボスとして… と、ちょっと待て。 今、俺は頂点に立つ者として相応しく無い考えをしなかったか? “何故俺は奴の言う事が正しいと信じている?” 此れはおかしい。 此の約束、荒木に優位性がある。 (奴に遅れを取っていると云う事実は不快だが、認めなくては判断を誤る事になる) 例えば、主が奴隷に向かって、 『今日から3日、眠らずに仕事を頑張れば1週間の休暇をやろう』 と云う様な物だ。 奴隷は其の言葉を信じて3日間、死に物狂いで頑張る。 しかし3日後、主は 『そんな約束、守る訳無いだろう?馬鹿め』 と、にべも無く反故にする。 約束に優位性があると、優位に立つものは“約束を反故に出来る”事が出来るのだ。 そして愚劣な奴隷共が約束を果たすと信じて死に物狂いになり、 約束を反故にされた時の奈落に落ちるような表情を愉悦を以って眺める、其れが優位に立つ者の特権。 今の俺は、正に愚劣な奴隷の考えでは無いか。 馬鹿な。一時でもその様な考えを持つ事を恥と知れ。根拠も無く奴の約束を信じるな。 ならば優勝後荒木を殺す? 普通に考えて、行き着く答えは此れだろう。 だが、此処で又問題がある。 別に荒木を殺す事が出来るかどうかに疑問を持っている訳では無い。 我がキング・クリムゾンの前には、奴のスタンド能力も無力と化す筈。 奴を消し去る事に問題は無い。 其れよりも問題は、荒木を消した後に元の世界へ戻れるかどうかが怪しい事にある。 もし戻れなければ、其の時点で俺の敗北が決定する。 何故なら、俺は頂点に立つべき者だからだ。 優勝して荒木を殺し、元の世界へ戻れなければ、俺は此の街に1人になる。 そうすると、“支配される人間”が居なくなってしまう。 国王1人しか居ない国があるか? 長官しか居ない軍があるか? そして、ボスしか居ないマフィアがあるか? ゲームで優勝しようなどと云うのは殺人鬼の考え。 いや、殺人鬼ですら優勝後殺す人間が居なくなっては困るだろう。 つまり、ゲームに乗るのは“狂人”か“愚劣な奴隷”しか居ないのだ。 何度でも云おう。俺は頂点に立つべき男。荒木の掌で踊らされるマヌケじゃない。 俺には必要だ。“支配される人間”が。 「!!!」 其の時だ。俺のスタンド、キング・クリムゾン・エピタフが、 此処へ人間が近付いて来る未来を予測したのは。 先程までの俺なら、問答無用で殺しただろう。 しかし、こいつらが荒木を殺す役に立ってくれるのなら、 そして、こいつらが支配される人間なら…。  * * * 「…ん、う…ん」 え~っと、何が起きていたんだっけ。 確か、エルメェスから逃げようとして、その後の記憶が… 「とぅるるるるるるるる」 あっ、ヤベ。ボスからの電話だ。早く取らなきゃ。 って、何で携帯が木にぶら下がってんだろ?ま、いいや。 ポキリ 「はい、ボス」 『ドッピオか。今エピタフは使えるな?』 「使えますけど、其れがどうかしたんですか?」 『エピタフを使って、此れから先の事を予知しろ。 先程俺自身でも確認したが、今此方へ向かってくる人間が居る』 「はい。…え~っと」 ボスの指示通り、僕はエピタフを使って未来の予測をした。すると、 「………! 確認出来ました!西から2人の人間が、僕と会うみたいです」 『何?俺の時は2人が近付いてくる所までしか確認出来なかったが、 そいつらの前に御前は姿を現すのか?』 「はい。どうします?」 『相手は誰だ?』 「済みません。僕の知らない奴らです」 『ならば相手を探るのが先だ。 良いか。奴らを殺すべき相手かどうか見極めろ。 もし、奴らを殺さなくてはならない場合、私が“其処”に行く』 「えぇ~っ!?ぼぼ、僕が判断するんですか?」 ボスから任された大役に、僕はビビッてしまった。 しかし、そんな僕をボスは励ましてくれる。 『ドッピオ、御前は頭が良い。 リゾットの戦いの時も、エルメェスから逃げ出す時も、 御前は最高のタイミングで最高の選択をした。 今回も御前なら出来る』 「…」 『良いか。俺が御前に命令する事は一つ。 “ダメージを負うな。負うとしても、最小限に抑えろ”其れだけだ。 後は御前が最も良いと思う行動を取れ。 御前が必要と感じたら、その場を逃げ出しても構わん。 奴らの正体を暴き、奴らへの対処を御前が判断しろ。良いな』 「…はい」 激励と共に、僕への大役を任せたボスは、 『そろそろそいつらがやって来る頃だな。一旦切るぞ、ドッピオ』 と言って、電話を切った。 ぶるぶるぶるっ。 ボスからの電話を受けていた時は勇気が湧いて来るんだけど、 一旦切られると、一人になる寂しさというか、 いきなり怖くなっちゃうんだよね。 でも、ボスのために頑張らなくちゃ。 ってなワケで、武者震いをした僕は、木陰でこれからの事を考えた。 ボスの指示通り、まずは見極める事だ。 あの2人が、すぐに殺さなくてはならない人間か、途中まで行動を共に出来る人間か、 それともボスが支配出来る人間か…。 それを踏まえ現状を考えると、相手は2人。此れは相手が1人よりも好条件。 ボスの命令が『有無を言わさず殺せ』なら相手は少ない方が良いんだけど、 『相手の素性を調べろ』の場合、1人はむしろ危険。 だって、姿を現した途端襲って来る可能性が高いから。 複数の人間の場合は、逆にいきなり攻撃してくる可能性は低いから、姿を現しやすい。 下手に相手に警戒心を起こさせないために、今の内から姿を現した方が良いだろう。 いざという時逃げやすいし。 そう考えた僕は、木陰から姿を現した…。 【杜王町南、川沿いの道(H-4)/1日目/昼】 【ディアボロ・ドッピオ(現在ドッピオ)】 [スタンド]:『キング・クリムゾン』 [時間軸]:リゾットに勝利後、ローマに向かう途中 [状態]:健康 [装備]:DIO様の投げナイフ、ミスタの拳銃 [道具]:支給品×2、またプロシュートの支給品から食料等をゲット [思考・状況](ドッピオの思考): 1)ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認 2)向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取り敢えず行動を共にする 3)こいつらがボスの支配出来る人間かどうかを確認 4)支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害 [補足1]:ディアボロの思考…ブチャラティ、ジョルノ、ナランチャ、ポルナレフ、リゾットの始末及び空条承太郎を警戒 [補足2]:ディアボロの思考2…支配される者達の探索 [補足3]:ディアボロの思考3…荒木の打倒。其の後自分が支配者となる *投下順で読む [[前へ>飢エタ野犬ノ慟哭]] [[戻る>1日目 第2回放送まで]] [[次へ>邂逅、曾祖母と曾孫]] *時系列順で読む [[前へ>飢エタ野犬ノ慟哭]] [[戻る>1日目 第2回放送まで(時系列順)]] [[次へ>邂逅、曾祖母と曾孫]] *キャラを追って読む |74:[[一期一会]]||ディアボロ|85:[[疑心暗鬼]]|

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