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スタープラチナは止まらない」(2007/05/06 (日) 13:32:14) の最新版変更点

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「だんな様……起きて下さい。放送が始まります。これまでに、窓からはどなたも見えませんでしたよ」 気味の悪いそいつ……ヨーヨーマッの呼び掛けに目覚めたおれは、ヨーヨーマッの手から時計を奪い時刻を確認した。 五時五十七分。放送のジャスト三分前。 「メモとペンがデイパックに入っていました……放送の内容はだんな様自身がメモするのが宜しいでしょう。  私も一応、この頭脳で記憶して置きます」 ヨーヨーマッは角の生えた頭を指で突付き、ニタリと笑った。 やれやれだぜ……。このスタンド……不気味な野郎だが、仕事はキチッとこなしてくれている様だな。 おれはメモとペンも奴の手から引っ手繰った。奴は何も言わずに、この店の一階への階段を降りようとする。 「おい、何処へ行く?」 「ちょっと一階を調べてみます……放送の形態を観察するために」 「まあ、好きにしな」 奴は無言で降りて行った。全く、何を考えてるんだか分からねー。 ところで、その放送ってのは何処から聞こえてくるんだ? スタープラチナにペンを弄らせながら、おれは窓から、静か過ぎる町並みを眺めていた。  * * * 『……えー皆聞こえてるかな?……』 だらだらと間延びした、耳障りな声が街に響き渡って来やがった。 スピーカーか何かか?この放送の音源を探ろうと一瞬考えたが、すぐに意味の無いものと理解した。 スタープラチナの超高感度の耳の遠近感覚が伝える。この放送には『音源』が無い。『街』それ自体が、音声を放っている様なイメージ。 今聞こえるこの放送もあの……荒木のスタンドの一部だってのか?不気味な能力だぜ。 『……それじゃあただいまから一回目の放送を……』 おれは奴の言葉一字一句をメモに取り始める。荒木の野郎が内容の何処かに、 この『ゲーム』のヒントを埋めているかも知れねえからな。 しかし、奴の眠たそうな声からは何か暗号を隠しているとか、そういったものはどうにも感じられねえ。 それに、こいつは何かおかしい。 野郎がこの音声を出力している筈の『場所』……放送室のようなもの……がどのような場所なのか、 スタープラチナの聴覚で放送の『バックノイズ』を聞き分けて、探ろうと思っていたんだが。 チッ。聞こえるのは奴の声それだけで、奴の声に付帯する筈の情報が、全く掴めねえ。 微かに何かの音が漏れているとか、奴が狭い部屋で喋ってるとか、そういった詳細情報が全く分からん。どういう事だ? 恐らく、これも奴の能力の一環なのだろうな……全く、とんでもねえスタンドパワーだぜ。 「だんな様!このテレビを見て下さいッ!『荒木飛呂彦』ですッ!」 「何ッ!?」 おれはペンを走らせながら、一階からの階段からのそのそと昇ってきたヨーヨーマッと、奴が両手で掲げる中型のテレビのモニターに視線を向けた。 荒木だッ! 薄暗いどこかの中央に一人の男がいて、町中に響き渡る放送と同様のものを述べていた。 その表情は微笑んでいるようにも見える。 奴の動きのどこかギクシャクしている所が、さらにおれをイラつかせた。 『……そうだな、まず死んだ参加者から話そうか。  君たちだっていの一番に知りたいだろう?……』 荒木の野郎ッ! おれは画面の中、奴の背後に存在している『闇』に対し、スタープラチナの視力でもって分析を行うッ!奴はどこにいるッ!? 『……誰の『運命』が潰れたのかを……』 ……だが、やはり何も見えねえ!糞ッ! こいつの背後は、『闇』だッ!無限の暗闇でしかないッ! 先を読まれているッ!おれの能力を知り尽くしているのか、荒木はッ! 『……死亡者を発表するよ。死亡したのは――――』 ちっ……結局『情報』は奴によって語られる事実だけと言う訳か。 荒木は名を告げ始めた。この不可解なゲームの犠牲者の。 『……ジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴン……』 呼ばれた死者の名を書き込み始め、おれはその『意外』な名前に眉根を寄せた。 ジョナサン・ジョースター……ジジイと同じ姓。そう、以前ジジイから聞いた……ジジイの祖父。 百年前にDIOと対決し、DIOにその肉体を奪われた男……の名前だ。 何故、百年も前のおれの先祖の名が? ロバート・E・O・スピードワゴン……こいつもジジイから聞いた名だ。古い知り合いで、スピードワゴン財団の創立者。 やはり、おかしい。何十年も前に既に死んでいる男だぜ。どうしてゲームに参加出来る? 『ジョナサン・ジョースター』も同様に、名前が同じだけの全くの他人なのか? いや、それにしては……何か妙な予感がするぜ。計り知れねえ『何か』があるような気がする。 とにかく、名簿から他に『過去の人間』の名があるかどうか、調べる必要があるな。 そしておれは確認する。奴の映っているテレビから伸びた、プラグに刺さっていないコンセントの先を。 テレビの電源さえも自由自在か。やはりこいつは凄まじいスタンドだぜ、『荒木飛呂彦』ッ! 死者の名は続く。おれは放送の分析に失敗したこの状況、メモだけは完璧なものにしようと考えていた。 『……黒騎士ブラフォード、ジョセフ・ジョースター……』 しかし、おれの指から、ペンが滑り落ちる。スタープラチナの手がペンを掴み上げて、おれの『代筆』を始めた。 肉体の方の指は、テーブルの上、ピタリと止まっていた。 まさか……だろ? ジジイが……ッ!  * * * 『じゃあ、おおむねそうゆうことでよろしくね―――』 闇の中の男のビジョンが消滅する。コンセントの刺さっていないテレビは電源の切れた、本来の状態に戻った。 テレビを抱えていた召使スタンド、ヨーヨーマッは『主人:空条承太郎が見やすい方向に向けていたテレビ』を床に置いた。 「どうやら、終わったようですね……だんな様?」 椅子に座った空条承太郎は指の上に頭を置いて、何か考えている様子だ。 ヨーヨーマッは放送の内容を自分なりに整理して主人に伝える。 「中々興味深い結果ですね。四分の一が脱落とは……。意外と参加者は動いている様です。  あと、最悪の状況……禁止エリアに囲まれてしまう様な事は起こりませんでしたね。  いずれの位置もここからは二マス以上離れています。しかしこの禁止エリアにいる参加者は近々必ず動くでしょう。  そこに近づくかどうかはだんな様にお任せしますが……。  ああそうだ、だんな様……死者の中に知り合いはおりませんか?私、だんな様の『ゲーム開始直前』の事情を知らないものでしてね。  いやあ、正直私自身もかなり混乱してるんですけれども……」 「黙りな」 承太郎は低い声で、ただそれだけを言い放った。 ヨーヨーマッは臆することなく語りを続ける。 「申し訳ありません。纏わり付き、主人の世話をするというのが私の能力なのです。  私がだんな様に対し有益と思われている事を話す。それは私の能力であり、私自身にもどうしようもない。  聞き耳を立てなくてもいいですが、私自身では、話すことを止める事は出来ません。  まあ、イラ付いたらぶん殴るでも何でもして下さいブガアァッ!」 ヨーヨーマッは顔面にスタープラチナの拳を受けた。拳は顔はめり込み、 その丸い体は吹き飛んだ。壁に体がぶち当たり、破壊された壁の欠片が薄暗い部屋に飛び交う。 「ヴゴゴゴゴゴオォォッ!ワタグシに、物理コウゲキは効きませン……!  幾らでも殴ルがイイデショウッ。きっとだんな様は今、非常に苛立っておられブハウゥゥッ!ゴオウゥッ!オオッ!」 空条承太郎は椅子の上に腰掛けたままだ。指一本動かしてはいない。 殴ったのはスタンドだった。そしてその足は光速を超えるか否かの速度でヨーヨーマッの頭部にめり込んだ。 「アアアゴッウゴゴゴゴッ!  ガハアァゥッハアァァガガッ!もっとッ!もっとッ!」 承太郎は動かない。しかしスタープラチナは執拗にヨーヨーマッを攻撃する。 テーブルの上、指に隠れ表情は伺えない。承太郎は脅すようにヨーヨーマッに告げる。 「そうだぜ。イラついてんだよおれはよ……!  ジジイが死んじまった。誰がやったのか?何時やられたのか?おれにはサッパリ分からねー。  それがまた無性に腹が立つ。全然分からないまま、やられちまったんだよ。  不甲斐無いなんてレベルじゃねえ。おれのスタンド、スタープラチナは強い。強いが、この状況ではどうしようもないだろ?」 スタープラチナはヨーヨーマッに拳をぶち込む。何度も。何度も。 穴の開いたその体を蹴り飛ばし、天井に不気味なボディを食い込ませる。 「アガッブゥッゴォォォォォッ!」 「一個人の無力さを……思い知ったぜ」 ぼそりと呟き、空条承太郎はテーブルの上のペンとメモをデイパックに閉まっていく。 暴れていたスタープラチナは既にそこにおらず。 ヨーヨーマッは天井からずり落ち、そのダメージは急速に回復していく。 「……ぞ、ゾレでッ……これカらドうなされるのデスガ?だんなザマ」 下僕の主人への問いに、承太郎は帽子の位置を直し立ち上がり、いつものクールな調子で答えた。 怒りはすでに静まっていた。激昂してはいけない。何処に待ち構えるとも知れぬ敵につけ込まれるから。 おれが簡単にやられちまったら、死んだジジイに申し訳が立たねえ。 「ここから動く。仲間として行動出来る者を探し……  『荒木』を倒す」 【ムカデ屋二階(F-04)/一日目/朝】 【空条承太郎】 [スタンド]:スタープラチナ [時間軸]:ロードローラーが出てくる直前 [状態]:冷静(荒木、DIOに対しての怒りはある) [装備]:なし [道具]:デイパッグ [思考]   1:仲間や協力出来そうな参加者を探す   2:ヨーヨーマッを利用する   3:荒木を倒す   4:DIOを殺害する   5:『過去の人物の名』にやや疑問 【ヨーヨーマッ(支給品)】 [現在の主人]空条承太郎(主人変更の命令があれば主人は変わる。ただし変更対象人物の同意が必要。                   主人変更の命令をされた時、次の主人候補がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される) [装備]マスク [持ち物]なし [任務]   1:承太郎に付いて行く [備考]・ヨーヨーマッは攻撃できない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かもしれない)       ・主人の命令には絶対服従。しかし、命令を曲解して受け取ることもあるかもしれない。(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)       ・ヨーヨーマッは常に主人の半径20メートル以内にいなければならない       ・ヨーヨーマッの主人が死んだ時またはヨーヨーマッが規則を破った時ヨーヨーマッは消滅する(荒木によってDアンGの首輪が爆破される)  *承太郎は、アヴドゥル、花京院、イギーがこの世界に生きている謎に気付いていません。 *投下順で読む [[前へ>帝王の逡巡]] [[戻る>1日目 第2回放送まで]] [[次へ>Dancing In The Street]] *時系列順で読む [[前へ>帝王の逡巡]] [[戻る>1日目(時系列順)]] [[次へ>Dancing In The Street]] *キャラを追って読む |49:[[承太郎と哀れな下僕]]||空条承太郎| :[[ ]]|
「だんな様……起きて下さい。放送が始まります。これまでに、窓からはどなたも見えませんでしたよ」 気味の悪いそいつ……ヨーヨーマッの呼び掛けに目覚めたおれは、ヨーヨーマッの手から時計を奪い時刻を確認した。 五時五十七分。放送のジャスト三分前。 「メモとペンがデイパックに入っていました……放送の内容はだんな様自身がメモするのが宜しいでしょう。  私も一応、この頭脳で記憶して置きます」 ヨーヨーマッは角の生えた頭を指で突付き、ニタリと笑った。 やれやれだぜ……。このスタンド……不気味な野郎だが、仕事はキチッとこなしてくれている様だな。 おれはメモとペンも奴の手から引っ手繰った。奴は何も言わずに、この店の一階への階段を降りようとする。 「おい、何処へ行く?」 「ちょっと一階を調べてみます……放送の形態を観察するために」 「まあ、好きにしな」 奴は無言で降りて行った。全く、何を考えてるんだか分からねー。 ところで、その放送ってのは何処から聞こえてくるんだ? スタープラチナにペンを弄らせながら、おれは窓から、静か過ぎる町並みを眺めていた。  * * * 『……えー皆聞こえてるかな?……』 だらだらと間延びした、耳障りな声が街に響き渡って来やがった。 スピーカーか何かか?この放送の音源を探ろうと一瞬考えたが、すぐに意味の無いものと理解した。 スタープラチナの超高感度の耳の遠近感覚が伝える。この放送には『音源』が無い。『街』それ自体が、音声を放っている様なイメージ。 今聞こえるこの放送もあの……荒木のスタンドの一部だってのか?不気味な能力だぜ。 『……それじゃあただいまから一回目の放送を……』 おれは奴の言葉一字一句をメモに取り始める。荒木の野郎が内容の何処かに、 この『ゲーム』のヒントを埋めているかも知れねえからな。 しかし、奴の眠たそうな声からは何か暗号を隠しているとか、そういったものはどうにも感じられねえ。 それに、こいつは何かおかしい。 野郎がこの音声を出力している筈の『場所』……放送室のようなもの……がどのような場所なのか、 スタープラチナの聴覚で放送の『バックノイズ』を聞き分けて、探ろうと思っていたんだが。 チッ。聞こえるのは奴の声それだけで、奴の声に付帯する筈の情報が、全く掴めねえ。 微かに何かの音が漏れているとか、奴が狭い部屋で喋ってるとか、そういった詳細情報が全く分からん。どういう事だ? 恐らく、これも奴の能力の一環なのだろうな……全く、とんでもねえスタンドパワーだぜ。 「だんな様!このテレビを見て下さいッ!『荒木飛呂彦』ですッ!」 「何ッ!?」 おれはペンを走らせながら、一階からの階段からのそのそと昇ってきたヨーヨーマッと、奴が両手で掲げる中型のテレビのモニターに視線を向けた。 荒木だッ! 薄暗いどこかの中央に一人の男がいて、町中に響き渡る放送と同様のものを述べていた。 その表情は微笑んでいるようにも見える。 奴の動きのどこかギクシャクしている所が、さらにおれをイラつかせた。 『……そうだな、まず死んだ参加者から話そうか。  君たちだっていの一番に知りたいだろう?……』 荒木の野郎ッ! おれは画面の中、奴の背後に存在している『闇』に対し、スタープラチナの視力でもって分析を行うッ!奴はどこにいるッ!? 『……誰の『運命』が潰れたのかを……』 ……だが、やはり何も見えねえ!糞ッ! こいつの背後は、『闇』だッ!無限の暗闇でしかないッ! 先を読まれているッ!おれの能力を知り尽くしているのか、荒木はッ! 『……死亡者を発表するよ。死亡したのは――――』 ちっ……結局『情報』は奴によって語られる事実だけと言う訳か。 荒木は名を告げ始めた。この不可解なゲームの犠牲者の。 『……ジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴン……』 呼ばれた死者の名を書き込み始め、おれはその『意外』な名前に眉根を寄せた。 ジョナサン・ジョースター……ジジイと同じ姓。そう、以前ジジイから聞いた……ジジイの祖父。 百年前にDIOと対決し、DIOにその肉体を奪われた男……の名前だ。 何故、百年も前のおれの先祖の名が? ロバート・E・O・スピードワゴン……こいつもジジイから聞いた名だ。古い知り合いで、スピードワゴン財団の創立者。 やはり、おかしい。何十年も前に既に死んでいる男だぜ。どうしてゲームに参加出来る? 『ジョナサン・ジョースター』も同様に、名前が同じだけの全くの他人なのか? いや、それにしては……何か妙な予感がするぜ。計り知れねえ『何か』があるような気がする。 とにかく、名簿から他に『過去の人間』の名があるかどうか、調べる必要があるな。 そしておれは確認する。奴の映っているテレビから伸びた、プラグに刺さっていないコンセントの先を。 テレビの電源さえも自由自在か。やはりこいつは凄まじいスタンドだぜ、『荒木飛呂彦』ッ! 死者の名は続く。おれは放送の分析に失敗したこの状況、メモだけは完璧なものにしようと考えていた。 『……黒騎士ブラフォード、ジョセフ・ジョースター……』 しかし、おれの指から、ペンが滑り落ちる。スタープラチナの手がペンを掴み上げて、おれの『代筆』を始めた。 肉体の方の指は、テーブルの上、ピタリと止まっていた。 まさか……だろ? ジジイが……ッ!  * * * 『じゃあ、おおむねそうゆうことでよろしくね―――』 闇の中の男のビジョンが消滅する。コンセントの刺さっていないテレビは電源の切れた、本来の状態に戻った。 テレビを抱えていた召使スタンド、ヨーヨーマッは『主人:空条承太郎が見やすい方向に向けていたテレビ』を床に置いた。 「どうやら、終わったようですね……だんな様?」 椅子に座った空条承太郎は指の上に頭を置いて、何か考えている様子だ。 ヨーヨーマッは放送の内容を自分なりに整理して主人に伝える。 「中々興味深い結果ですね。四分の一が脱落とは……。意外と参加者は動いている様です。  あと、最悪の状況……禁止エリアに囲まれてしまう様な事は起こりませんでしたね。  いずれの位置もここからは二マス以上離れています。しかしこの禁止エリアにいる参加者は近々必ず動くでしょう。  そこに近づくかどうかはだんな様にお任せしますが……。  ああそうだ、だんな様……死者の中に知り合いはおりませんか?私、だんな様の『ゲーム開始直前』の事情を知らないものでしてね。  いやあ、正直私自身もかなり混乱してるんですけれども……」 「黙りな」 承太郎は低い声で、ただそれだけを言い放った。 ヨーヨーマッは臆することなく語りを続ける。 「申し訳ありません。纏わり付き、主人の世話をするというのが私の能力なのです。  私がだんな様に対し有益と思われている事を話す。それは私の能力であり、私自身にもどうしようもない。  聞き耳を立てなくてもいいですが、私自身では、話すことを止める事は出来ません。  まあ、イラ付いたらぶん殴るでも何でもして下さいブガアァッ!」 ヨーヨーマッは顔面にスタープラチナの拳を受けた。拳は顔はめり込み、 その丸い体は吹き飛んだ。壁に体がぶち当たり、破壊された壁の欠片が薄暗い部屋に飛び交う。 「ヴゴゴゴゴゴオォォッ!ワタグシに、物理コウゲキは効きませン……!  幾らでも殴ルがイイデショウッ。きっとだんな様は今、非常に苛立っておられブハウゥゥッ!ゴオウゥッ!オオッ!」 空条承太郎は椅子の上に腰掛けたままだ。指一本動かしてはいない。 殴ったのはスタンドだった。そしてその足は光速を超えるか否かの速度でヨーヨーマッの頭部にめり込んだ。 「アアアゴッウゴゴゴゴッ!  ガハアァゥッハアァァガガッ!もっとッ!もっとッ!」 承太郎は動かない。しかしスタープラチナは執拗にヨーヨーマッを攻撃する。 テーブルの上、指に隠れ表情は伺えない。承太郎は脅すようにヨーヨーマッに告げる。 「そうだぜ。イラついてんだよおれはよ……!  ジジイが死んじまった。誰がやったのか?何時やられたのか?おれにはサッパリ分からねー。  それがまた無性に腹が立つ。全然分からないまま、やられちまったんだよ。  不甲斐無いなんてレベルじゃねえ。おれのスタンド、スタープラチナは強い。強いが、この状況ではどうしようもないだろ?」 スタープラチナはヨーヨーマッに拳をぶち込む。何度も。何度も。 穴の開いたその体を蹴り飛ばし、天井に不気味なボディを食い込ませる。 「アガッブゥッゴォォォォォッ!」 「一個人の無力さを……思い知ったぜ」 ぼそりと呟き、空条承太郎はテーブルの上のペンとメモをデイパックに閉まっていく。 暴れていたスタープラチナは既にそこにおらず。 ヨーヨーマッは天井からずり落ち、そのダメージは急速に回復していく。 「……ぞ、ゾレでッ……これカらドうなされるのデスガ?だんなザマ」 下僕の主人への問いに、承太郎は帽子の位置を直し立ち上がり、いつものクールな調子で答えた。 怒りはすでに静まっていた。激昂してはいけない。何処に待ち構えるとも知れぬ敵につけ込まれるから。 おれが簡単にやられちまったら、死んだジジイに申し訳が立たねえ。 「ここから動く。仲間として行動出来る者を探し……  『荒木』を倒す」 【ムカデ屋二階(F-04)/一日目/朝】 【空条承太郎】 [スタンド]:スタープラチナ [時間軸]:ロードローラーが出てくる直前 [状態]:冷静(荒木、DIOに対しての怒りはある) [装備]:なし [道具]:デイパッグ [思考]   1:仲間や協力出来そうな参加者を探す   2:ヨーヨーマッを利用する   3:荒木を倒す   4:DIOを殺害する   5:『過去の人物の名』にやや疑問 【ヨーヨーマッ(支給品)】 [現在の主人]空条承太郎(主人変更の命令があれば主人は変わる。ただし変更対象人物の同意が必要。                   主人変更の命令をされた時、次の主人候補がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される) [装備]マスク [持ち物]なし [任務]   1:承太郎に付いて行く [備考]・ヨーヨーマッは攻撃できない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かもしれない)       ・主人の命令には絶対服従。しかし、命令を曲解して受け取ることもあるかもしれない。(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)       ・ヨーヨーマッは常に主人の半径20メートル以内にいなければならない       ・ヨーヨーマッの主人が死んだ時またはヨーヨーマッが規則を破った時ヨーヨーマッは消滅する(荒木によってDアンGの首輪が爆破される)  *承太郎は、アヴドゥル、花京院、イギーがこの世界に生きている謎に気付いていません。 *投下順で読む [[前へ>帝王の逡巡]] [[戻る>1日目 第2回放送まで]] [[次へ>Dancing In The Street]] *時系列順で読む [[前へ>帝王の逡巡]] [[戻る>1日目(時系列順)]] [[次へ>Dancing In The Street]] *キャラを追って読む |49:[[承太郎と哀れな下僕]]||空条承太郎|70:[[Excuse Me!考え中]]|

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