オレの知っている限りでは、日の出ってヤツは大抵の場合、スカッとサワヤカな喜ばしい気持ちで迎えられるべきものだった筈なんだが、
 今日はどうにも勝手が違った。遥か遠き地平線の彼方、杜王海の限りない青に金色の陽がうっすらと差し込み始めた頃、
 それは唐突にやってきやがったのだ。予定通りは気分がいい、しかしその逆は? 決まっている、最悪だ。あの能天気野郎のウザッたい声は、
 聞いているこっちの頭までバカになりそうな『イヤ味』がある。ましてやそんなものが町中の民家から響いてくるのだ、たまったモンじゃあない。

『じゃあ、おおむねそうゆうことでよろしくね――』

「……終わったか。その様子だと、お前の仲間や知り合いの名が呼ばれたということはなさそうだな、形兆」

 その問いかけのおかげで、微妙な反響を残して途切れていく『荒木』の声を、このオレ、虹村形兆は意識から取り払うことが出来た。
 3時の方向から少しずつ晴模様へと塗り替えられていく空の下、生き物だけが取り除かれたように沈黙を保つ住宅地を、
 すぐ隣を行く玉虫スーツのおかっぱ頭、ブローノ・ブチャラティと共にオレは歩んでいた。今のところ、『仲間』ということになるのかな、こいつは。
 ブチャラティの提案に従い、あの化け物二人の乗った戦車を追いかけ始めてから、もう1時間近くが経過していた。
 こまめに時間を確かめてさえいれば、心構えの一つでも出来たのだろうが――あの壮絶なカーチェイスの直後ということもあってか、
 オレは6時から始まるという『荒木』の放送をすっかり失念していたのだ。気だるい身体からますます力を削ぐような覇気のない声に、
 危うく脳ミソをドロドロに溶かされるところだった。もう暫くはあの声を聞きたくないものだが、その暫くもまた6時間ぽっちしかないのだと思うと、
 あのにやにや笑いの悪魔目掛けてM16カービンライフルの一斉掃射をぶち込む場面を想像せずにはいられない。
 ――フン、これも『予定』の一つに入れておくか。几帳面な性格なんでな、やると決めたら必ずオレは実行してみせるぞ、『荒木』め。

「幸運なことにな。――あの『宇宙人』とやらもどうやら無事らしいじゃあないか、何よりだ」
「そのようだな。しかし、ならば尚更アイツはどこに消えたっていうのか――」

 ブチャラティは僅かに思案したのか、何かを射るような鋭い眼差しを覗かせたが――すぐに、

「……やはり、今はまだ分からんな」

 とだけ言って、言葉を切った。……やれやれ。出会った直後から思っていたことだが、こいつは頭の回転が尋常じゃなく速いように感じるよ。
 連中の乗った戦車が騒音と共に遠ざかっていった後、ブチャラティのスタンド『スティッキィ・フィンガーズ』によって、オレ達は橋の上へと出た。
 その後、『バッド・カンパニー』の歩兵やヘリを総動員して(ブチャラティに懇願されて仕方なくやった事だ。オレは別に乗り気じゃあなかった)
 付近の捜索に当たったのだが、結局あの自称『宇宙人』、ヌ・ミキタカゾ・ンシの姿は見付からなかったのだ。
 オレとブチャラティの非情な考察では、最悪、川に流されて溺れ死んだのではないかとの結論まで出るに至ったのだったが、
 『荒木』の放送が嘘偽りの無い内容であるというのなら、ヤツは今のところまだ無事、少なくとも命を落としたワケではないらしい。
 尤も、オレ個人としての考えでは、あの珍妙な雰囲気の宇宙人だかスタンド使いだかがどうなろうと、別に知ったことではなかった。
 出会ってたかだか数時間のヤツに友情もクソもあったものではない上に、オレの懸念はてんで別の方へと向いていたからだ。それは勿論――

「どこへ行ったのか分からんと言えばだな、ブチャラティ。あのワムウとタルカスとかいう連中にしたってそうだろう。
 オレ達は確かに、奴らの通った道を辿って進めているのか? 北の方に引き返しているだろうと、大体の目星を付けたのはいいが……な」
「……正確な奴らの根城を掴むのは後だ。
 あの戦車の移動速度と、奴らが日の出までに費やした移動距離から大体の場所を突き止めさえすれば、後は虱潰しでどうにかなる。
 奴らがそれすらも見越して、東や西に方向転換の一つでもしていればお手上げだがな」

 それが心配なんだよ、という指摘は敢えて口にすることでもなかった。ブチャラティも当然、同じことを考えているだろうからだ。
 日中に乗じて奴らを仕留めるべく、徒歩での追跡を開始したまではよかったのだが――如何せん、時速60km相当で走るモンスターホースと、
 鈍行列車にも劣るたかだか人間様の足如きでは、ウサギとカメの童話よりも勝負にならない。オレ達は、完全に奴らの足取りを見失っていた。
 確かにブチャラティの言うとおり、奴らもいずれは『日光』から身を隠すべく、何処かの建物で身を落ち着けるのだろう。
 が、結局陽が落ちるまでに奴らの寝床を突き止めきれず、夜の訪れとともに逆襲を食らって退場する羽目にでもなれば、
 オレ達はとんだ道化になってしまう。そんなマヌケを演じるのだけは、御免だった。
 ――御免だったが、オレ達は歯に加速装置を仕込んだサイボーグでもなければ、全身にスタンドの紛い物を纏って最速を気取る男でもない。
 結局のところは、そう、ウサギとカメ。奴らの油断に付け込むことしか、カメのオレ達には許されちゃあいないっていうわけだ。まったく……ん?
 突然の思わぬ『報告』を受けて、オレは足を止めた。こちらへと振り向いたブチャラティが、『何があった』とでも言いたげな顔をしている。
 別段隠すようなことでもなかったので、オレは素直にその『報告』の内容を伝えることにした。

「ブチャラティ、前方30m先だ。先行していた『バッド・カンパニー』の歩兵部隊が、妙なものを見つけた。
 ――『血痕』だ」
「……『血痕』? それだけなのか? 参加者の死体だとか、そういったものは?」
「いや、あくまでも『血痕』だけだ。結構な先まで点々と続いているようだが――」
「……気になるな。オレもこの目で確かめたいんだが」
「構わんさ。行ってみよう」

 無人の道路に残された、延々と刻まれている血痕。あれやこれやと想像の出来る代物ではある。罠か何かの可能性も踏まえて、
 分散させた『バッド・カンパニー』の小隊を物陰に配置しておくことも忘れない。少しでも動くものがいれば、狙撃兵に命じて撃ち抜かせてやる。
 慎重に歩を進めて辿り着いた30m先、地面を指差す歩兵の傍へとしゃがみ込んで、オレとブチャラティはじっと目を凝らしそれを確かめた。
 アスファルトへと微量に付着した、何の変哲もない血痕。普通に歩いているだけでは、こんなものは決して目に留めることがなかっただろう。

「戦闘で傷を負った参加者か何かの流したものか、こいつは?」
「それも有り得なくはない話だが……形兆。オレ達が辿ってきた道の地面も、『バッド・カンパニー』で調べてみてくれ。もしかしたら――」
「……何?」

 言われるがままに身体を反転させて、元来た道の方へと『バッド・カンパニー』の小隊を幾つか差し向ける。歩兵達は迅速に駆け戻っていくと、
 やがてすぐに足を止めて地面を指差した。別の小隊が更にその先の地面を、また別の隊が見つける、見つける、見つけていく。
 皆一様にごく僅かの、けれど確かに地面を染め上げている、赤色の結晶体を指差していた。
 ……流石に『奇妙』だ。どうなっているんだ、これは……?

「ブチャラティ……何なんだ? この『血痕』は?」
「……ずっと前から、『血痕』はオレ達の進路上にあったということだ。
 しかし、只でさえこの一、二滴分程度しかない血の量に加えて、夜明け前の真っ暗闇だったからな……。
 『朝』。そして、『バッド・カンパニー』。この二つの要素が無ければ、とてもじゃあないがこいつには気付けなかっただろうな」
「……違う。重要なのはそんな事じゃあないだろう。
 こいつが一体『何者』の血で、何故こんな不自然な形で血が残っているのか。オレが知りたいのは、そっちの方だ」

 ブチャラティの言った考察など、誰だって見れば分かることなのだ。暗闇の中でも正確に対象を撃ち抜くことの出来る我がスタンド、
 『バッド・カンパニー』がこの程度の痕跡に今の今まで気付けなかったことは多少の不覚だが、それだって今はどうでもいい話だ。
 これが『参加者』の血だというのなら、その『参加者』は一体何者なのだ? この血の『残り方』はどういうことだ? 問題なのは、そのことだ。
 ――ええいッ! 性格上、『謎』を放置するという事が出来んのだ、オレはッ! 漫画や小説なんかを読んでいる時でも、
 明かされなかった伏線の行方やら、敢えてぼかされたキャラクターの秘密やらが気になって仕方なかったタチなんだッ! 几帳面で悪いかッ!
 苛立ちをどうにかこうにか抑え付けているオレに、ブチャラティは実に落ち着いた表情のまま、諭すような口振りをして語りかけてきた。

「形兆。オレ達は一体誰を追いかけてここへ来た?」
「……ワムウとタルカスか? しかし――奴らはオレ達との戦いで傷など負ってはいなかった筈だ」
「そうだ。だが……もう一人いただろう。連中が去っていたのとほぼ同じタイミングで、オレ達の前から姿を消したヤツが」
「――――」

 ……確かに、いた。戦車が動き出す少し前までオレ達の横にいたというのに、僅かに目を離していた隙に消息不明となってしまった男が一人。
 飄々として何を考えているのかもよく分からなかったが、決して悪人というわけではなかったあの自称『宇宙人』。だが、まさか――?

 オレの疑念を見透かしたように、ブチャラティは続けた。

「そう――ミキタカだ。あいつはいなくなる寸前まで、『鎖』に化けてガードレールにぶら下がっていただろう?
 ヤツの変身は完璧だ、まさか中身が人間だなんて誰も思わない。当然『宇宙人』であるともな。まあ、どっちでもいいんだが――そのせいで、
 『鎖』の姿のままあの二人に『持って』いかれたんだろう。武器にするにせよ、拘束具にするにせよ、『鎖』にはそれなりの使い道がある」
「――ならば、肝心のこの『血痕』は何だ? 正体がバレて連中に殴られでもしたのか?」
「いや……ヤツらが変身に気付いたというのなら、放送でミキタカの名前が呼ばれていなければおかしい。
 半殺し程度で済ませてくれるほど、甘い連中じゃあないようだからな。ミキタカは未だに、『鎖』の形態を保ち続けていると考えるのが妥当だ。
 この血はおそらく、『鎖』のミキタカがどうにかしてオレ達に送ったサイン――救難信号とでも言えばいいのか――大方、そんなものだろうな」
「……要するに、この『血痕』さえ辿っていけば、オレ達はヤツらの下へと向かって行けると、そういう事か?」
「確証はないが、な」

 何でもない事の如くそう締め括ったブチャラティをよそに、オレは内心で舌を巻いていた。巷に蔓延る名探偵も裸足で逃げ出すぞ、今のは。
 たったこれだけの状況証拠から、具体的な事の顛末を想像出来るその思考力にも感服したが、
 真に評価すべきはその『注意力』の方であるとも、思った。発見したばかりの『血痕』のみに囚われることなく、
 それを『夜』と結びつけることで、更なる論理へと発展させる抜け目の無さ。ブローノ・ブチャラティ。こいつはやはり、相当に頭のキレる男だ。
 が、驚嘆の念を抱くのと同時に、警戒レベルを大幅に上げておくことも忘れなかった。味方の間は相当に頼れるヤツだということが分かったが、
 いざ敵に回せば実に厄介な存在となるだろう、この男は。こいつをどうにか出し抜いてワムウと接触を図り、あまつさえその双方を利用する、
 そんなことが――果たして、可能なのだろうか? このオレに?

「……『ワムウとタルカスの二人を倒す』。『ミキタカも救出する』。『両方』やらなくっちゃあならないってのが、『幹部』のつらいところだな」
「……『幹部』だと? ブチャラティ、お前は一体――何者だ?」
「――ただのゴロツキさ」

 やはり、こいつは――油断がならん。
 『血痕』を追いながら先行する『バッド・カンパニー』達の後ろに付き、オレ達は再び、歩を進め始めた。
 歩兵達にオレの動揺が伝わっていないか、それがブチャラティに感付かれでもしないか――それが少し、気掛かりだった。


 *************************


 その後は互いに何も語ることがないまま、チョコチョコした動きで進軍する小人どもの金魚のクソを演じていたのだったが、
 不意に奇妙な既視感が過ぎって、オレの思考に一時停止の命令が下された。連動して、『バッド・カンパニー』達の行進も止んでしまう。

「どうしたんだ、今度は?」
「いや……」

 思えば、もう少し早く気付いても良さそうなものだったのだが、ワムウ達を追うという第一の目的で頭が一杯になっていたのと、
 歩兵達の背中をつけるだけの単純作業で頭脳がマヌケになっていたのか、今の今まで、てんでその事が意識に浮上してこなかったのだ。
 街の南側から帰ってくるときは、いつもこの道を通ってきていた。左手前の方に見える家に飼われている犬は、
 門の前を通る度に獣性丸出しの血気盛んな声で吠えてくるのだ。ああ、そうだった。このまま『血痕』を追っていって、進んだ先には――

「少し寄り道をさせてくれないか、ブチャラティ」
「……寄り道だと?」
「そこの曲がり角を曲がると――オレの、家がある」

 『立入禁止』の看板に、窓という窓へと打ち付けられた木の板、何より、どう見ても『ボロ屋敷』でしかない、みすぼらしい外観。
 お世辞にも住み心地が素敵とは言い難い上に、世間様からの評判も最悪だろうが――おいおい、
 自分で言っておいて良いところが一つもねえってのはどういうことだ? ――とにかく。虹村一家、自慢の大豪邸だ。ああ、皮肉だよクソッタレ。
 大した思い入れも無いが、確かにオレの住んでいた場所だった。あのバカな弟の億泰も。……そして、『おやじ』も。
 そう、オレは確かめなければならない。ここが本当にあの『杜王町』であるというのならば、オレの家には相も変わらず、
 ガラクタ箱を引っ掻き回しているだけのあの『おやじ』がいる筈なのだ。知性も記憶も何もかんも捨て去った、化け物の成れの果てそのものが。
 オレの生きる目的――違う、オレが『生きるための』目的。実の父親を、殺す。10年間……10年間も、そのことだけを考えてきた。
 あの『弓と矢』を手に入れたのも、この世界でブチャラティと協力しているのも、『柱の男』を追い求めているのも、全ては、この目的のために。
 それ以外のことは、オレにとって只のおまけでしかないのだ。この『殺し合い』で誰が死のうが、オレの知ったことじゃあない。それは、
 勿論このブチャラティに関しても、『宇宙人』のヤツに関しても、弟に、関しても。……同じことだ。ああ、断言する。
 そして、この家に固執するべき理由はもう一つあった。『弓と矢』だ。屋根裏部屋の壁に掛けてある、オレの『目的』を助けるもの。
 ワムウがおやじを『殺せる』存在であるのなら、この『弓と矢』も無用の長物と化してしまうわけだが、
 どんな『素質』を持ったヤツがいるか分からないこの『ゲーム』の中で、スタンド使いを量産する恐れのある危険物を放っておく理由はない。
 CDはキチッとケースの中に仕舞っておかなくてはならない。『弓と矢』もまた、同じことだ。オレ自身の手で管理して、
 誰の手にも届かないようにしておく必要がある。だからこそ、オレは迷わずに口を開いた。当然、『弓と矢』のことは伏せて。

「オレの家には――おやじが、いるんだ。病気っていうわけじゃあないんだが、身体が少し、普通と違っていてな。……放っておけないんだよ。
 おまけに、只でさえ今は異常事態だろう? この機会を逃したら、もう二度と会えないかもしれん。だから、ブチャラティ――」
「その必要は無い、形兆」

 ここぞとばかりに捲くし立てた歯が浮くような台詞の数々は、そんな一言によってあっさりと切って捨てられることとなった。

「……な、んだと?」

 提案を即座に却下されたことへの怒りだとか、目論見がバレたのかとかいう焦りよりも、真っ先にオレは、『意外だ』と、そう思った。
 オレはまだ、ブチャラティの大した素性すらも知りはしないが、その性格構造ならば概ね見当が付いていたのだ。
 自分の命よりも見ず知らずの赤の他人のそれを重んじる、お人好し。或いは、『正義の味方』とでも呼べばいいのか――とにかく、
 そういった『甘ちゃん』の印象を、オレはこの男に抱いていたのだ。迷いも無く『ミキタカを助ける』と言い切ったときの表情や、
 単に逃げ切れば済むだけのことだったあのカーチェイスの最中に、『馬と戦車を排除する』などと、躊躇いも無く言ってのけたことなどから。
 だからこそ、オレは自分でも鳥肌が立つようなファザコン野郎の演技までしたのだ――ああ演技だよ、決まってるだろう。何なんだその目は?
 ……とにかくだ。そういった態度で同情を買いさえすれば、きっとブチャラティは落ちるだろうと、そう判断してのことだったのだ。
 それなのに――何故オレの提案を否定する? ワムウ達を一刻も早く仕留めるためには、親子同士の感動の対面など捨て置けということか?
 ブチャラティの読心術は、またも冴えていた。

「ゲーム開始から今までの6時間、オレ達は随分と長い距離を移動してきただろう? しかし、オレ達は今に至るまで、
 『参加者』以外の人間とは誰一人として鉢合わせていない――人間どころか、動物にしたって同じだ。ネコ一匹として、
 この町の景色には見当たらなかった。この世界は『奇妙』なんだ、形兆。だからきっと――お前の親父さんとやらも、その家にはいない」
「……は」

 ……言われてみれば、至極その通りだった。少し冷静になってみれば、オレにだって充分気付けたことだ。
 そう――オレの知っている『杜王町』と、この『ゲーム』の舞台となっている『杜王町』には、決定的な違いがある。
 徹底された『生物』の排除。『首輪』を嵌められた飼い犬のみが、うろつくことを許された場所。ここがそういう空間であるらしいことには、
 オレ自身も薄々感づいてはいた。というよりも、本当はとっくの前から気付いていたのだと思う。にも拘らず、何故直接指摘されるまで、
 そのことを認めようとしなかったのか――それはやはり、『おやじ』に関することだったから、なのだろう。ヤツを殺す、そのことを考えるといつも、
 オレは形振り構わなくなって周りが見えなくなる。当たり前の事を当たり前と思えなくなる。これは、紛れも無い悪癖だ。オレの無能め。

 しかし――そうなってくると、次にどうにかしなければならないのは『弓と矢』の方だ。こればかりは迂闊に存在を明かすことも出来やしない上、
 ケースにも仕舞っていない状態で放置するにはヤバ過ぎる代物だ。
 いや――ブチャラティならば問題はないのか? 少なくとも、こいつが『弓と矢』を利用して悪事を働く姿は想像付かないが――いかん、
 やはり駄目だ。何故そんなものを持っているのかと問われたときの言い訳がない。適当にでっち上げれば済むことかもしれないが、
 オレの第6感が確かにこう告げているのだ。ブチャラティに対して、迂闊な嘘を吐くことは破滅に繋がると。時限爆弾の解除作業で、
 二本のコードが残ったときと同じだ。正解を慎重に見極めなければならない――ん? 何? さっき親父の件で嘘を吐いたばかりじゃあないか、
 だと? バカ言うな、アレは別に嘘でも何でも――ちっ、違うッ! アレは紛れも無い嘘だったが、それとこれとは話が別だッ! ふざけるなッ!

「――とはいえ、作り物でもそこにあるのが、『お前の家』であることに変わりはない。
 ワムウ達や、他の危険な参加者をあらかた始末した後でなら、寄ってみてもいいだろう。しかし今は、連中のことだ。
 『バッド・カンパニー』の道案内を頼むよ、形兆」
「あ、ああ――」

 ブリキの兵隊を連想させるぎこちない動作で、『バッド・カンパニー』達が移動を再開する。その姿には、正直勇ましさの欠片すらない。無様だ。
 当たり前の如く歩兵達の背中を追って歩き出したブチャラティをよそに、その横を行くオレは焦燥を抱えたまま、
 答えの出ない方程式を解き明かそうと躍起になっていた。どうする? 何か他に、オレの家へと上がる口実はないのか……?
 今からでも無理にごねてみるか? 『やはり自分の目で確かめてみたい』とでも。……そいつは不自然か。既にタイミングを逃してしまっている。
 『おやじ』はいない。その言葉にオレが納得したものだと、ブチャラティは考えている筈だ。『弓と矢』の存在もやはり、明かすことは出来ない。
 『おやじ』のカード、『弓と矢』のカード。どちらもオレには、切れない。そうなると、オレに残された最後の切り札と言えば――

 ――あった……あったぞッ! 一つだけッ!
 億泰だッ! そうだ、ヤツがいたッ! オレが家へと戻ろうとしていたのは、『おやじ』の姿を確認する他にも、
 億泰が見慣れた杜王町の景色に感化され、帰巣本能を刺激された鳥の如く、我が家へと帰ってくるかもしれないという推測もあったからだッ!
 ククク……すまなかったな、億泰ゥ~ッ! 放送の中身は『死者の名前』と『禁止エリア』の事ばかり気にして、
 すっかり生きているお前の事を気に掛けていなかったぜッ! まったくお前はいい弟だよ、肝心のこんな時に役立ってくれるんだからなぁ~ッ!
 ブチャラティに告げる内容は簡単だ。この『ゲーム』にはオレの弟も巻き込まれている、弟が家に帰ってきているかもしれない、これだけでいい。
 そうと決まれば話は早いッ! だがもうじきあの『曲がり角』に差し掛かる。そこを抜けて、実際にオレの家が見えたときにでも言ってやるぞッ!
 ああ、決めたぞ。こいつは『予定』だ。決して覆ることのない『予定』だぞ、ブチャラティッ! お前に有無を言わせる余地など与えん、
 今度こそオレの『予定通り』だッ! 家の中に入ってしまえば後は話が早い、『オレは上の方を見てくるから、お前は1階を捜してくれ』
 とでも言えば後はこっちの好き勝手に出来るッ! そうして『弓と矢』を回収し、デイパックの中に仕舞い込めば、それだけでカタが付くのだッ!
 完璧だ。寸分狂わぬオレの『予定』だッ! さあ『曲がり角』だ、オレの家が見えてくるッ! よし言うぞッ! そこにある、オレの家が見えたら――

 そうしてオレは、確かに見た。
 ファーストフード店の紙袋がそうなった時よりも見事に、上部から拉げて崩れきっている、懐かしの我が家の姿を。

「なッ……なにィ~~~~ッ!?」

 そう叫んだ時のオレには、きっとムンクでも取り憑いていたに違いない。それくらい喧しい大声で、オレは『運命』を呪い、吠えていた。
 何だ……何なんだこれはッ! 何故オレの家がブッ潰れているッ!? 一体誰の仕業だッ!? 『弓と矢』は、どうなってしまったのだッ!?

「これが――『お前の家』か?」
「ああそうだ、紛れも無いオレの家だッ! 億泰とおやじの三人で確かに暮らし続けてきた場所だッ! こいつはどういうワケだッ!!」
「落ち着けよ、形兆。流石に声がデカ過ぎる――む? ……何だ、あれは?」
「はぁッ、はぁッ……何だと?」

 怒りをあらかた吐き出し終えたオレは、呼吸のリズムを整えるのも後回しに、ブチャラティが視線を向けている先にあるものを見た。
 ボロクズ同然の姿で路上に倒れ伏している一匹の鳥。身体の周りには粘着質の赤色の水溜りが出来ていて、
 そいつが『魂の抜け殻』と化しているのは明らかだった。何だ、単なる鳥じゃあないか――などと流しかけたところで、気付く。
 この『杜王町』にいる生き物は、『参加者』しかいない。その法則に従うとするならば、この『鳥』も――まさか、そうだというのか?

「こいつが――やったのか? オレの家を?」
「……分からん。こいつとやり合った、別の『参加者』の仕業かもしれん。
 が……確信を持って言えることは、この鳥を仕留めたヤツは只者じゃあないってことだ。
 仮に、お前の家を潰したヤツが別の『参加者』の方であるなら、それだけの破壊力を持った『スタンド使い』がまだ生きているってことになる。
 逆に、家を潰したのがこの鳥の方であるのなら、この鳥を仕留められるだけの強い『スタンド使い』がいるということだ……まったく。難儀だな」

 ――なるほど。相変わらず明瞭な考察だな、ブチャラティ? だがオレは、事実がどうであれ、こいつが犯人だということにさせてもらうぞ。
 その方が鬱憤が晴れていい。オレの家をブッ潰してくれやがったからそうなったんだ、いい気味だ――とでも、な。実に虚しいことだが。
 しかし、何という有様だ……これでは、億泰など家の中に残っているワケがない。残っていたとしてもそいつは確実に、ミンチ同然の状態だ。
 ましてや、『弓と矢』の回収などもっての他だ。いや、最悪の場合には、瓦礫にブチ砕かれてしまった可能性すら――ああ、なんてこった……!
 この『ゲーム』に巻き込まれてからというもの、てんでオレの思惑通りに動いた事柄が無いのは何故だ? これが『運命』ってやつか? クソッ!

 と、不意にブチャラティが何気ない歩調で、物言わぬ鳥の亡骸へと歩み寄った。そうして傍まで近付いたところで、こいつは、やりやがった。



「『スティッキィ・フィンガーズッ!!』」

 唐突にブチャラティの傍らへと現れたヤツの『スタンド』が、拳を容赦無く鳥公の死体へと振り下ろしたのだ。拳は正確に鳥の延髄を捉えて、
 首筋に『ジッパー』を刻み込む。その一連の暴挙を呆然と眺めていたオレは、その瞬間ハッと我に返って手遅れの突っ込みを入れた。

「ブ……ブチャラティッ!? 何をやってるんだ、お前はッ!?」
「慌てるなよ。死人に鞭を打つわけじゃあない。いや、死鳥っていうのかな、この場合は――まあとにかく、こういうことさ」
「何をバカな……ハッ!」

 別に行動を非難していたワケじゃあなく、突然過ぎるその変貌に驚いた故のことだったんだが、とにかく。鳥公の首に入った『ジッパー』が、
 金属同士が絡み合うあの特有の音を立てて開いていく。そうして完全に取っ手の部分が首を一周廻ったとき、鳥公の身体と頭部は、
 ギロチンよりも鮮やかな断面を形作って分かたれていた。血の一滴すら流れていない。そうして外れた頭部の方に巻かれていた『首輪』を、
 ブチャラティはひょいと手に取って、拾い上げた。それだけだった。それだけだったが、それは――よく考えると、トンでもないことだった。

「お……おいッ! 『首輪』がッ!」
「……ああ。外せたな」

 目の前の結果とは裏腹に、やけにブチャラティは渋い顔をしている。何故だかは分からん。分からんが、こいつは――『希望』だと、そう思った。
 何しろ、今の『首輪の外し方』は。首にも『首輪』にも一切傷を付けることなく、やり遂げた一連の動作は――生きている人間相手でも、
 適用出来るんじゃあないか? そして、それは――このトチ狂った『ゲーム』そのものを終わらせるための、鍵になるんじゃあないのか……!?
 そうだ――ほんのついさっき、この世界にあるオレの家には、『おやじ』はいないと確信したときから、考えていたことだったのだ、それは。
 この『杜王町』に『おやじ』がいない以上、オレはどんな手段を使ってでも、オレの生きていた『杜王町』へと帰らなければならない。
 そのためにオレが選ぶことの出来る行動というのは、幾つかあった。『参加者』どもを皆殺しにして、元の世界へと帰してもらうこと。
 或いはいっそ、『荒木』の言っていた『プレゼント』とやらが、『おやじ』を殺せるだけの力なりなんなりだった場合は、そいつを利用させてもらう。
 勿論、後者は期待外れの代物である場合も考えられるが、少なくとも前者に関しては問題ないだろう。オレが『優勝』を飾ったにも関わらず、
 『荒木』がオレを元の世界へと帰すことを拒否する――などという可能性に関しては、考慮しても仕方がないというものだ。結論が出ん。
 そして――もう一つ。この『ゲーム』自体からの脱出。鬱陶しい『首輪』のヤツを取っ払って、更にはこの『杜王町』の贋作ともおさらばして、
 元の世界へと戻ること。残る40人近くの『参加者』どもと命を削り合うのと、具体案など到底思いつきもしない『希望』に縋るのと、
 どちらに走るべきなのかオレはずっと迷い続けていたのだ。だが、たった今正にその『希望』が見えた。無謀を現実に出来るだけの材料が、
 生まれたのだ。『首輪』さえ外してしまえば、少なくともこの世界の中においてはオレ達は自由だ。『脱出』に向けての、大きな前進に繋がる。
 元の世界に帰れば本物の『弓と矢』も残っている筈だし、『スタンド使い』の捜索も続けられる。後はこのブチャラティさえ、乗り気になれば――

 しかし、ブチャラティの顔は晴れていなかった。どうした、と問いかける前に、ヤツは淡々と切り出した。

「――簡単すぎる。……呆気なさ過ぎる」
「何だと?」
「こんな手の込んだ『首輪』や『町』まで作り上げる用意周到なヤツが、事前にオレ達『参加者』の能力を把握していなかったとは思えない。
 オレの『スティッキィ・フィンガーズ』なら、この程度の束縛がてんで脅威にならない事を、『荒木』のヤツは分かっていた筈だ」
「そりゃあ、一理あるが――実際に、その『首輪』は外れているだろう?」
「それなんだ、形兆。『荒木』の狙いは、そこにあるのかもしれない。死体の『首輪』をまんまと外してぬか喜びしているオレが、
 いざ生きているオレ自身のそれに同じ事を試したら、ボンッ……ってな。お前に対しても同じだ。生きている『参加者』に対して、
 安易にこの方法で『首輪』の解除を試みるのは――マズい。直感だが、そんな気がする」

 言いながらも、ブチャラティは鳥公の死体から頂戴した『首輪』を、デイパックの中へと仕舞い込もうとしていた。
 『スタンド』のそれとてんで変わらない『ジッパー』の開く音を聞きつつ、「そいつは何に使うつもりだ?」と訊ねた。返答はまたも早かった。

「今の段階では、生きているヤツの『首輪』には手を付けられない――が、いずれは向き合わなきゃあならない問題であることも、確かだ。
 この『首輪』は、その時のために頂いておく。直接刻み込んだ『ジッパー』で外部からこじ開けて、その中身を拝見させてもらうのさ。
 まあ、こっちの場合も危険度はそう変わらないが――『外す』ことは許可されなくても、『調べる』ことなら、こいつは反応を示さないかもしれん。
 それに……最悪の場合になっても、死ぬのはオレ一人だけで済む。それならば、覚悟の上だ。
 ――行こう、形兆。潰れちまってはいるものの、お前の家には思ったよりも大きな収穫があった。後回しにしてくれだなんて言って、悪かったな」

 その言葉と共に『ジッパー』を閉めて、ブチャラティは『首輪』の入ったデイパックを担ぎ直し、立ち上がった。
 ……一方のオレはというと、無駄に神妙な顔付きで返事もせずに突っ立っていたので、

「形兆?」
「あ、ああ――」

 などと、格好悪く促される羽目になってしまった。慌てて『バッド・カンパニー』達へと決まりきった指示を送って、再びオレ達は歩き出した。
 ――何故そんなことをしていたのかというと、だな。……せっかく固まりかけていたはずの方針が、再び揺らぎ始めて、いたからだ。
 ブチャラティの『スタンド』、『スティッキィ・フィンガーズ』。こいつが確かに万能の能力であるのだということは、
 たった今存分に見せてもらったばかりだ。だが、しかし――その能力の全てが、『荒木』に筒抜けであるというのなら。この『スタンド』ですら、
 『首輪』の真の力の前には無力であるというのなら。オレ達に、『脱出への希望』なんてものは、一欠けらも残っちゃあいないんじゃあないか?
 ブチャラティは『可能性』を捨てきれないようだが、そいつは『勇気』と『無謀』を履き違えているだけなんじゃあないのか? 違うのか?
 そうだ――ブチャラティ本人が言ったとおり、こいつは只のぬか喜びに過ぎないんじゃあないのか? いわゆるアメとムチでいうアメだ、
 『外せるかもしれない』という安心感だけは与えておいて、肝心の『解除』には至らせない。オレ達はほんのついさっきまで、
 まんまと『荒木』の掌の上で躍っていただけなのかもしれない。全ての事は、ヤツの『予定』通りに運んでいるだけなのかも、しれない。



 だとしたら――『脱出』など、実にアホらしい話だ。夢物語を通り越して、クサレ脳ミソの妄想として垂れ流されるレベルの戯言にしかならない。
 馬鹿正直に『優勝』を目指して突っ走っていく方が、まだ利口というものだ。当然、そっちのルートにも少なからずリスクは存在するワケだが、
 そのリスクをある程度解消する方法も、今思いついた。予告しよう。これは、『確定された予定』だ。決して覆ることのない、絶対のものだ。

 ――そう、利用してやるのだ。『脱出』という極上の餌を。これから先、ワムウ達のような『ゲーム』に乗ってしまったヤツ以外と相対したときに、
 この『脱出』という言葉を使い、相手の『不信感』を取り除いて、引き入れる。そうして力を増していったオレ達チームが、
 『ゲーム』に乗った連中をあらかた淘汰したところで、いよいよとブチャラティが『首輪』の解体作業に取り掛かる。そうして、
 ヤツが『荒木』の罰によってくたばるのと同時に、混乱に乗じてオレが周りの『仲間』どもへと、『バッド・カンパニー』による奇襲を仕掛けるのだ。
 その後は、容易いことだ。ブチャラティの死によって『希望』を奪われたヤツらなどに、強い『精神力』が残っているはずもない。ましてや、
 それまで気のいい『仲間』だと思っていたヤツから受ける攻撃を、躱してみせることの出来るヤツなどまずいないだろう。
 そうしてオレは生き残って、本物の『弓と矢』が残された、『杜王町』へと帰るのだ。『おやじ』を殺せるスタンド使いを、捜し求める日々の中へ。
 ……どうだ。実に合理的かつ分かりやすい。いささか希望的観測が過ぎるかもしれん計画ではあるが、
 それを言うならば『脱出』の方こそ、というものだ。現実的な観点にこそオレは従う。それが例え、他人の命を踏み台にしたものであろうとも。
 オレは、生き残ってみせる。いや――まだ『生きて』すらいない。オレの『人生』が始まるときは、『おやじ』を殺したその時から、なのだから。
 だから、すまんな、ブチャラティ。そして見知らぬ『参加者』の諸君よ。

 ――オレが生まれるためだけに。どうか、死んでくれ。


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 ……残された迷いの材料が、実はまだ一つだけ、あった。
 ――億泰。
 何の因果か、こんな殺し合いの舞台に揃って呼び集められてしまった、オレのたった一人の、弟。
 どこまでもバカで成長しない、マヌケで無能なヤローだが。

 ……オレはヤツの命でさえも、自分の手で、奪えるのか?

 そいつは――出来ることならば、『予定』には含めたくはない。
 何故だかはよく分からないが、ただ無性に、そう思った。

【ギャングと軍人と宇宙人 (ただし現在、宇宙人行方不明)】
【虹村邸跡の前の路上(Gー5)/一日目/朝】

【虹村形兆】
 [スタンド]:『バッド・カンパニー』
 [時間軸]: 仗助と康一が初めて虹村兄弟と遭遇する直前。そのため父親を殺すことしか考えていない。
 [状態]:全身打撲(痛みは引き気味)。
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式
 [思考・状況]:
  1) ブチャラティに協力し、ワムウ達を倒す
  2) 『ゲーム』に乗っていない参加者と相対したら、『脱出』という言葉を仄めかして、仲間に誘う
  3) 億泰を……どうする?
  4) 参加者の中にチラリと見た東方仗助に警戒感
  5) ブチャラティから詳しい素性を聞き出すのを忘れていた……
  6) 『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、ブチャラティの首輪調査が失敗した瞬間を狙って、周囲の人間を奇襲、殺害する
    (万が一首輪調査→解除のコンボが成功した場合、或いはブチャラティが途中で死亡した場合の身の振り方は未定)

【ブローノ・ブチャラティ】
 [スタンド]:スティッキィ・フィンガーズ
 [時間軸]:サンジョルジョの教会のエレベーターに乗り込んだ直後
 [状態]:健康。右腕の袖がズタズタに切り裂かれているが、本人はかすり傷程度。
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式×2 、フォーク、ペット・ショップの『首輪』
 [思考]:
  1) ワムウたちを放置はできない。彼らが仲間を襲う前に、日光も利用して彼らを倒す。二人に捕われているミキタカも、救出する
  2) 機会があれば仲間と合流する(トリッシュがスタンドを使える事に気付いていない)
  3) なるべく多くの人を救う
  4) アラキの打倒
  5) 『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、回収した首輪の内部構造を調べる

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45:真の《殺戮のエリート》 虹村形兆 75:策士策に絡めとる
45:真の《殺戮のエリート》 ブローノ・ブチャラティ 75:策士策に絡めとる