霞の里、某所…
その老人は、愛すべき養女をまた汚すかもしれない…そう自己嫌悪を抱きながらも、少女が将来くノ一として大成するためと心を鬼にしてその行為に及んでいた…。
だが、老人に絶大なる信頼を寄せていたその少女は、これから行われる「儀式」を、何の抵抗もなく受け入れている。眼隠しにも慣れた。
「しきみ…秘伝の滋養物だ…」
「はい…、あ、師匠…何だかイカの匂いがします…」
「山の居寄り暮らし…贅沢を言うでない」
「は、はい…」
少女はその可憐な幼き唇を開くと、ソレを口に含んだ…。
「し、師匠…、何だか舌にネバネバしたモノが…」
「貴重な食料…無駄にするでない…」
「は、はい…ああぁっ」
少女はそのねっとりとしたモノを舌の先で転がすと、その甘美な舌触りと奇妙な味に、幼き官能を覚えると身を震わせた…。
「それが『桃屋のイカの塩辛』…、酒の肴やお茶請に最適じゃ、忘れるでない…」
「は、はい…」
少女はそういうとご飯をかき込み、味噌汁を流し込んだ…。その時溢した汁で少女の着衣が汚れた。
「師匠…やっぱり眼隠しをしての夕餉は難しいです…」
「闇夜でも食事ができてこそ忍者…、これも修行じゃ…」
終劇
最終更新:2010年08月12日 22:59