55様―ナナフシ×しきみ

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55様―ナナフシ×しきみ」(2007/02/11 (日) 20:58:12) の最新版変更点

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「はぁ……」  しきみは悩んでいた。  温泉での一件以来、あざみの顔がまともに見れず、会話もままならなくなってしまったからだ。  自分の馬鹿な勘違いが元なので素直に謝りたいと思ってはいるが、あざみの顔を見ると、どうしてもあの時の感触と表情が脳裏をよぎり、何も言えなくなってしまっていた。 「悩んでいてもしょうがないか……」  考えるだけでは何も変わりはしない。自分が照れを捨てればいいだけの話で、そうすれば、あざみならいつものように接してくれる。それは理解している。 (でも……そんな簡単に意識を変えられるものなら、最初から悩みなんてしない。ナナフシの時だってそうだ)  ともかく考え込んでいても気が滅入るだけなので、しきみは自室を出て、山へと向かった。  こういう時は学園でじっとしているよりも、外で何かをしていた方が、余計なことを考えないで済むと思ったからだ。  学園周辺の山々は、しきみにとって勝手知ったる、いわば庭のようなものなので、何処がどんな薬草の生育条件を満たしているのかは、概ね熟知している。  だから手持ちの薬草が切れそうになれば、何処に行けば何が補充できるのかは分かっているし、貴重な薬草が生えていそうな場所も把握していて、今回は後者を目的とした。  自室にある薬草等のストック管理は、普段から怠っていないので、特に補充が必要なものはないが、貴重な薬草やキノコなら、いくらあっても困ることはない。  そういったものは、意図的にストック量を操作することが難しいということもあるが、何より薬師としての探究心が欲しているのだ。  しきみは、貴重な薬草が生えている可能性のあるエリアを、次々とあたっていく。だが、まるで収穫がない。  特別に期待をしていた訳ではないので、それで落胆するようなことはないが、何も無いと流れ作業的になりがちで、気が抜けてつい余計な思考が顔を出し初めてしまう。  それでは山に出た意味がない。余計な思考を振り切り集中しようと、散策に精を出す。そして気がつけば、見覚えのある景色に囲まれていた。  見覚えのある場所なんてここに限った話ではないが、この場所にしきみは、単なる既視感とは違った感覚を覚えていた。  そこは岩壁に挟まれた、所々に岩石の転がる渓谷で、奥には緑も見受けられる。かつて星屑草を見つけ、ナナフシと初めて出逢った、しきみにとって特別な場所だ。  星屑草を見つけた場所だけあって、しきみはあれ以来もここに何度か足を運んでいた。  いつも収穫など何も無かったが、ここに来ると心が温まるような、何か不思議な感覚になれるのが心地よく、何も無いと分かっていながらも、つい何度も訪れてしまっていたのだ。  その所為で習慣化してしまっていたのか、無意識の内に足が向いていたようだ。  やはり今回も星屑草は生えていないだろうが、折角来たのだからと、しきみは奥へと進む。  奥へ行くに従って通路が拡がり、幾つかでこぼことした岩が点在している。その隙間や表面からは逞しく緑が育っており、薬草として使えるものも多少見受けられた。  ナナフシの居た縦穴付近まで到達すると、しきみの脳裏にあの時の記憶が鮮明に蘇えり、胸の奥が熱くなって、顔が火照っていくのが感じられた。 (ここに来る度にいつもこんな気持ちになって……未練がましいったら無い……)  そう思いながらも、穴の前で立ち止まり中を覗くしきみ。深さ4メートル程度。当たり前だがナナフシの姿などない。 (馬鹿馬鹿しい……。何やってんだろ、私……)  ひょいと穴を飛び越え、薬草狩りを再開しようとする。だが着地した瞬間、足場が崩れ、しきみの身体は後方の穴へと投げ出されてしまう。 (なっ!?)  気を抜きすぎていたのか、穴の淵、しかもヒビの入ったところへ着地してしまったようで、虚を衝かれる形となったしきみは、反応できずに背中から落下していく。  それでも滞空中に何とかしようと、鉤縄を近くの岩石へと絡ませる。しかし天はしきみに味方せず。岩石は脆くも崩れ落ち、しきみの身体を一瞬繋ぎ止めるだけに終る。 「くッ……!」  さほど深い穴ではないので、もう落下中に体勢を立て直す余裕などない。衝突に備えて受身を構える。 「――!」  途中、鉤縄がワンクッションになったとは言え、背中から落ちて、何ともないような高さではない。  しかも、衝突のタイミングが思っていたよりも早かったために、受身のタイミングも逸してしまった。  にも拘らず、痛みはなかった。 (いったいどうなっ……)  そう思いしきみは、いつの間にか瞑っていた目を開ける。 「大丈夫か?」  そこには、先程まで思い浮かべていた顔があった。 「な、ナナフシ……!」  驚いて目を見開くしきみ。 「どうして……?」 「それは拙者のほうが聞きたいくらいだ。お前らしくないのではないか?」  落下したことを言っているのだろう。いつものしきみならば、このようなヘマはまずしない。それは本人も十分に理解している。  だが今のしきみには、そんなことはどうでも良かった。 「私にだって、こんな時もあるわ……。それよりなぜここに?」  ナナフシが目の前に居ることが信じられないしきみは、改めて訪ねる。 「たまたま通りかかったのだ。そしたらお前の姿が見えてな……。いきなり落下したから驚いたぞ」 「そう……。ごめんなさい……」  微笑を浮かべながらナナフシが答えると、迷惑を掛けたと思い、しきみが俯いて謝る。 「謝る必要などない。お前は何も悪くはない」  冷静な口調の中にも優しさの篭った声で、ナナフシが諭す。 「……ありがとう」  しきみは俯いたまま視線を逸らし、照れながら一言、感謝の意を述べた。 「折角こうして逢えたのだ。少し話でもしないか? この中なら、まず人目につかないだろう」  確かにこの縦穴の中を窺うには、淵に立って覗くしかなく、余程の術者でもない限り、他に覗く術はなさそうであった。  そんなことが出来る術者が、こんな穴をわざわざ覗く理由もないだろうということで、しきみはナナフシの提案を受けることにした。 「そうね。それじゃあまずは、降ろしてくれない?」  ナナフシは衝突寸前のしきみを抱き止めた。だからしきみは、いわゆるお姫様抱っこされている状態になっていた。  好きな相手に抱かれて嬉しくない訳はないが、久しぶりに会ったせいか、気恥ずかしさのほうが大きく、しきみは降ろすように催促してしまう。 「ああ」  ナナフシがしきみを腕から降ろす。そしておもむろに地面へ腰掛けた。  しきみも地面に腰を下ろし、岩壁を背もたれにして、ナナフシの右隣に座る。 「元気にしていたか?」  ナナフシが先に口を開いた。 「ええ、まあ。貴方は?」  本当は体調を崩したこともあったし、今も悩み事はあるが、心配を掛けさせまいと、しきみは曖昧な返事を返した。 「見ての通りだ。そういえば、お前の方こそどうしてここに?」  ナナフシは、しきみが以前体調を崩していたことを、あざみから聞いて知っていた。  本心としては、なんとか聴き出したいところではあるが、しきみの気持ちも解るし、あざみの正体がバレてはいけない。  そう考えたナナフシは、あえて話題を変えた。 「多分、貴方と同じよ。星屑草があった場所だもの。来てみたくもなるわ」  先程ナナフシは「たまたま」と答えてはいたが、同じ趣味を持つしきみには、ナナフシがここに来た理由など、本当は聞かずとも解っていた。 「俺は……それだけの理由ではないのだがな」 「? どういう……?」 「……こういうことだ」  不意にナナフシがしきみを抱き締める。 「え、ナナフシ?」 (え? ええ?! いったい何が?! え? どうして?!)  ナナフシの突然の行動に、しきみの思考は激しく混乱する。 「俺は、しきみに逢いたかった。またお前の顔が見たかった、声が聞きたかった。……だからここに来た。また逢えるのではと思ったから」  絞り出すように、囁くようにして、しきみの耳元で、ナナフシがその想いを吐き出した。  ナナフシにこのような感情を、初めて直接的な行動と台詞でぶつけられたしきみは、胸が締め付けられるような感覚に囚われる。 「実は……私も……」  しきみはナナフシの背中に腕を回し、自分も同じ気持ちであったことを、行動で示す。 「……しきみ……」  ナナフシがしきみから身体を少し離し、その瞳をじっと見つめる。しきみもまた、視線を泳がせながらも、なんとか見つめ返していた。  ゆっくりとナナフシの、その整った顔を近づく。 意図を察したしきみは、戸惑いながらも瞼を閉じる。次第に互いの吐息が感じられる距離にまで達し、ナナフシも瞼を閉じた。  ――  初めての接吻。どうしたらよいのか分からないしきみは、唇を固く閉じ、緊張の余り少し震えていた。  それは互いの唇を重ね合うだけの、文字通りの"口付け"であったが、気持ちを確認しあうには十分過ぎるほどの温もりが篭っていた。  唇を離し、再び見つめ合う二人。しきみは相変わらず、気恥ずかしさから、真っ直ぐには相手の目を見られない。  そんな仕草を微笑ましく感じながら、ナナフシは両手でしきみの右手を取った。そして、自らの胸、心臓の辺りにその手を当てる。 「聞こえるか? 俺の心音が……。お前に再会できたことで、速まっている鼓動が……」  そう言われてしきみは、手先に伝わる僅かな振動に集中する。確かに、トクトクと短いリズムで、脈打つ鼓動が聴こえる。 「ええ、聴こえるわ。見かけによらず、緊張でもしているのかしら?」  自分も緊張しているにも拘らず、ワザとらしく皮肉っぽい口調で尋ねる。 「ああ。こういう経験は乏しいからな。お前と同じで」  対してナナフシもまた、やや皮肉っぽく、からかうようにして答えた。 「私はっ、こういうことに、興味がなかったからっ……!」  別に隠していた訳ではないが、しっかりと見抜かれていたことが妙に恥ずかしく感じ、しきみは必死に言い訳をしようとする。 「とは言え、お前よりは知識を持っているつもりだ。俺がリードをしなくてはな」 「り、リードって……」  何の? と聞きたいところだが、聞くまでもない。それに聞いたら恥ずかしさの余り、余計に動揺してしまうだけだと分かっていた。 「……」  ナナフシが手を放し、瞳を見つめたまま、右手をしきみの腰へと回す。そして左手を右頬に添えた。  しきみは顔を紅潮させ、潤んだ瞳で、今度はしっかりと見つめ返し、やがて目を瞑る。  ナナフシはしきみの腰を引き寄せ、覆いかぶさるようにして、再び口付ける。 「……ん……」  しかし今度は先程のものとは違う。  緊張が解けてきたのか、緩んだしきみの唇を押し分け、ナナフシが舌を挿入する。 「……ン、んん……」  口内に入り込んだ異物の存在に戸惑いながらも、しきみは何とかしようと、稚拙に舌を動かす。  しかし、先程の言葉とは裏腹に、ナナフシは巧みに舌を動かし、しきみに自由を与えない。  うねうねと舌に絡みつき、口内で蠢く軟体に快感を覚えたしきみは、夢中でしゃぶりつき始める。 「ん、ん、ンン……ん、んはぁ……ン……」  狭い空洞に湿った音を響かせながら、口の端から雫が零れるのも気にせず、互いの唇を、舌を求め合った。 「ん……んん……ン……?!」  もはやキスだけでは飽き足らなくなったナナフシは、唇を交わらせたまま、左手をしきみの胸に当てた。 「あ……ン……」  そして軽く指を動かす。しきみの乳房はすっぽりと掌に収まるサイズで、薄い下着を着けているのか、弾力がはっきりと伝わってきた。  その触感に心地よさを覚え、段々と指を動かすペースを上げていく。 「ン……ああ……はぁ……はぁ……」  乳房を揉まれ、しきみの呼吸が次第に荒くなる。  しきみの装束についたぼんぼりが邪魔になったのか、ナナフシはキスを止め、装束を脱がせようとする。 「しきみ……もっとお前の温もりを感じたい……」 「……」  無言で頷くと、しきみは上着を脱ぎ捨てた。忍具が入っているため、地に着くと、ドサリと重量感のある音を立てる。  しきみは抹茶色をした上着の下に薄い白装束を着用しており、ナナフシに弄られたせいで少しはだけ、白い鎖骨が顔を見せていた。  ナナフシはしきみを押し倒し、その鎖骨に軽く口付ける。そして徐々に首筋を上がっていく。 「あ……」  焦らされるような感覚に、しきみが身体を震わせる。  耳元まで到達すると唇を離し、三度ナナフシが、しきみの唇を奪う。 「ン! んんん……!」  今までよりも強引なキスに、しきみは驚きを禁じえなかったが、すぐに先程同様ナナフシの舌を求めだした。  ナナフシは改めてしきみの乳房に手をやった。より直接的になった弾力に夢中になって指を動かし、掌でこねる。  すると掌に、上着越しでは感じられなかった感触を覚えた。  その部分に掌を押し当て、円を描くようにして撫で回す。 「ア……! ん……あ、あっ……!」  そこが徐々に膨らみ、硬さを増していく。 「……あぁ……はぁ……はぁ……ひぁ!」  耳まで真っ赤にして息を荒げるしきみを尻目に、ナナフシはそこを人差し指の先で軽く転がした。その刺激に思わずしきみが声を上げる。 「どうした……?」  キスを止め、目を見ながらナナフシが声を掛ける。 「そ……そこ……だ……ダメ……」  息も絶え絶えにしきみが答える。しかし、 「そうか……ここがいいんだな」 「……え? ん……! ああああァっ!」  ナナフシは指先を素早く動かし、断続的に刺激を与えた。 「だ、ダメだって……ハァ……言ってるのに……」  涙目になるしきみの顔を悪戯っぽい表情で見つめながら、言葉を無視してナナフシは白装束に手を掛け、ぐいと肩まで脱がす。  露わになったのは歳相応の下着ではなく、古風な晒し木綿であった。小振りだがふっくらとした膨らみの中に一部分、小さな突起が見える。  あまりきつく巻いていなかったようで、少し緩んでしまっている。ならばと、ナナフシは晒しを上から下へとずらした。  しきみの白くて形の良い美しい乳房と、薄い桃色をした先端部が剥き出しとなる。 「……ぁ……」  しきみは恥ずかしさあまり声が出ない。  構わずナナフシは乳房を掴み、その先端を口に含んだ。 「……はぅんッ!」  舌先を回転させながら、乳首を弄ぶ。両手で両の乳房を揉みほぐすことも忘れない。 「……はぁ……う……ンン……!」  そして、片方では先端に口をつけながらも、もう一方は、指先で乳輪の淵をなぞりつつ先端を転がす。 「ん……く……ふぅん……あぁ……」  次にナナフシは、左手をしきみの股間へと運ぶ。 「!? な、ナナフシ……そこはっ……!」  しきみはまだそこまでの覚悟が出来ておらず、触れる寸前でナナフシの左腕を掴んだ。  胸から口を離し、ナナフシが目を見て言う。 「大丈夫だ。俺だって、何もこんな場所で最後までしようなどとは思わない。ただ触るだけだ」 「で、でも……!」  ナナフシの言葉を疑っている訳ではないが、恥ずかしさもあってしきみは抵抗しようとする。 「俺を信じてくれ。こんなことを言うのも何だが……俺はお前の身体に触れたいんだ」 「……分かったわ……。また会えるとも限らないものね……」  今回はたまたま遭遇したが、毎回そう都合良く会えるものではないだろうし、誰かに見つかれば、今度こそ重い罰が待っているであろう。  ならば今この時に、相手が望むことをさせてあげるべきだ。しきみはそう考えた。  しきみがナナフシの左腕から手を放す。 「ありがとう、しきみ」 「こ、こんなことで礼を言わないでっ」  照れるしきみをよそに、ナナフシは改めてしきみの股座に手を触れた。  そこは既に、触れているだけで手を湿らせそうなほどに熱を持っていた。  しきみの秘部があると思しき箇所に人差し指を押し当て、上下に擦る。 「あっ! ん……! ん、んんん……んはぁ……!」  胸だけでも相当感じていたのであろう。徐々に湿り気を帯びてきていた。  しかし、やや厚手のズボンに阻まれているため、さすがに愛液が染み出ることはなさそうである。  ナナフシは下も脱がしたいという衝動に駆られながらも、そこまですると歯止めが利かなくなってしまうため、それを何とか静める。  しきみの身体を弄ることで、自らの快楽を満たそうと考えた。  ナナフシは、右の乳首に喰らいついて、右手で左の乳房を揉みしだきながら、左手で股間をまさぐる。 「……そ、そんな……いっぺんにされたらっ……!」  一度に三箇所を攻められて、しきみが激しく悶えた。  ナナフシは更なる快感を与えるために、人差し指と中指でスリットをなぞりながら、親指の先でクリトリスを刺激する。 「ふぁ……! そ、ソコ……! ダメっ……! か、カラダがっ……へ、ヘンに……なるッ……!」  しきみの身体に電気のようなものが走り、無意識の内に腰が浮いてしまう。  それでもナナフシは指を止めようとしない。それどころか不規則に速度と圧力を変化させて、反応を愉しんでいた。 「……あ、あふ……ダメ……! わたしっ……ほんとうに……!」  ナナフシがトドメとばかりに親指の先で、しきみの陰核を一掻きする。 「ひぁんッ!!」  しきみの腰が大きく浮き上がり、小刻みに痙攣を起こす。  ―― 「……ん……はぁ……はぁ……はぁ……」  初めての愛撫であるにも拘らず、しきみは果てた。  ぐったりと、意識を朦朧とさせて、短く熱い息を吐き、余韻に浸っていた。  ある程度回復して服を着直したしきみは、ナナフシの肩に寄りかかっていた。 「晒しがないと、何だか変な感じだわ」  晒しだけは巻き直すのが面倒なので、折り畳んで懐にしまっていた。 「お前らしいな、今時晒しとは」  笑いながらナナフシが言う。 「い、いいじゃない! この方がしっくり来るんだからっ!」  顔を赤らめながら、しきみが小さく怒鳴る。 「いや、しきみらしくていいなと思ったんだ」  ナナフシは、思ったとおりの反応を見せるしきみを愛おしく感じながら、可笑しそうに返す。 「う……」  そのように言われると、なんて返してよいか分からない。 「と、ところで、恋愛経験がないと言っていた割に随分と手馴れていたように思えるのだけど?」  しきみは誤魔化すために、自分に考え得る最大限の皮肉を言ってみた。 「"ない"とは言っていない。"乏しい"と言ったのだ。それに知識によるところが大きかった」 「そ、それって……ほ、他にも……」  ナナフシの言葉に対し、自分が疑問に思ったことを口にしようとしてやめる。  ナナフシが自分よりも遥かに冷静であることを考えれば、聞かずとも分かることであるし、出来れば知りたくない。  しかし、しきみのそんな思いとは裏腹に、ナナフシは答えを返した。 「確かにお前が最初ではない。だが、女ではお前が初めてだ」 「くちゅんっ!」  その頃あざみはクシャミをしていた……。

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