地雷を踏んだらサヨウナラ

78話 地雷を踏んだらサヨウナラ

ゴメスの死体を片付け、白いシーツを被せて安置し、ゴメスや襲撃者、
既に男娼館玄関ホールに転がっていた犠牲者達の所持品を回収後、
高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズの三人は、
男娼館の中庭にて、荷物の整理を行っていた。

回収した荷物の内訳は以下の通り。

武器類が手斧、手榴弾三個、サーベル、アーマライトAR18と予備マガジン、
鉄パイプ、コルト ディテクティヴスペシャルと予備弾、太刀、
FNブローニングM1910と予備マガジン、スタームルガー ブラックホークと予備弾、
H&K HK69と予備弾。

その他が増精剤入り小瓶、工具セット。

食糧が全部でおよそ9人分。

傍目から見てもかなり物資は豊富だったが、その裏に、
全部で8人もの犠牲があった事を、三人は分かっていた。
そのため素直に喜ぶ事もできなかったが、この先生きていくために武器は必要である。
犠牲者達に感謝と謝罪の念を忘れず、なおかつ、三人は武器の振り分けを行った。

「随分あるな……要らない物は捨てて行こう。数が多過ぎても邪魔になるだけだ」

クリスの提案により、ヒビの入った三徳包丁、鉄パイプ、増精剤の二つは放棄する事となった。

「太刀とサーベルは俺が貰ってもいいか?」
「クリスは剣の腕は確かだからな。だが、一応この拳銃も持っておいた方がいい」

そう言ってレオンは太刀とサーベルと一緒に、
小型リボルバー拳銃コルト ディテクティヴスペシャルと予備弾を渡した。

「ありがとうございます、伯父上」
「ああ……正封。お前はどうする」
「それじゃ、俺はこれとこれ貰っていいですか」

そう言って正封は小型自動拳銃FNブローニングM1910と予備マガジン、
手榴弾三個、工具セットを手に取った。

「そうか。それでは俺は……」

レオンは手斧、アーマライトAR18と予備マガジン、H&K HK69と予備弾、
スタームルガー ブラックホークと予備弾を自分の物とした。
その後、食糧9人分を三人で分け、一人当たりおよそ3人分の食糧を持った。

「それで……これからどうするかだが……」

レオンが正封とクリスに真面目な面持ちで話し始める。
殺し合いが始まってから現在、11時間程が経過している。
後1時間程で第二回目の放送が始まるので、一先ずそれまではこの
男娼館に留まる事とするが、放送後の行動についてある程度は話し合う必要があった。

まず最初に意見を述べたのはクリスであった。

「伯父上……これは俺の勘のようなものなのですが……。
恐らく、俺達が今いるこの北部市街地には、もう我々以外生き残りはいないのでは?」
「なぜそう思う?」
「この男娼館で、確認できる限り、玄関ホールの8人、そして入口付近の1人、
全部で9人もの参加者が死んでいます。それに、先程から外がやたらと静かです。
遠くから銃声が聞こえるといった事もありません」
「むぅ……」

クリスの言う通り、玄関ロビーでゴメスと襲撃者の青飛竜が相討ちになってから、
新たな襲撃者は訪れなくなった上、外から銃声や悲鳴が響くというのもなくなった。
これは、北部市街地で生き残っているのは、ここにいる三人だけ、という事を
暗に示しているのではないだろうか。

「でも……どこかに隠れてるだけって事も、あるんじゃ?」

正封がクリスとレオンに言う。

「それもあるけど……少なくとも、もうこれ以上この男娼館、いや、
北部の市街地に留まっても、何の進展も望めないと思う」
「……うーん……確かに、もうここら辺で生き残っているのは、俺達だけなのかも」
「まぁ、クリスの言い分ももっともだな。恐らく、北部市街で、
生き残りはもう俺達だけなのだろう」
「それじゃあ、他の生き残りは……南の方にならいるんすかね? レオンさん」
「可能性は高い、な」

しばらく三人で協議した結果、南部の市街地を目指す事で一致した。
しかし、それには問題があった。
北部市街地から南部市街地へ向かう近場の幹線道路のあるエリアE-8は、
既に禁止エリアとなっており入る事ができない。
かと言って反対側から回ろうとすれば、時間が掛かり過ぎる。
レオンが取り出した地図を地面に広げ、三人でそれを覗き込む。

「……正規の道がどちらも駄目となると……森を抜けるしかないな」

地図によれば男娼館北の森を真っ直ぐに北方向へ突き進めば南部市街地へ行けるようだが、
うっかり禁止エリアに入り込む危険もあった。

「伯父上、ここに『処刑場』とあります」
「確かに……」
「一旦ここを目指し、この処刑場から北、島役場の方へ向かえば、
禁止エリアに近付く事なく南部へ行けそうです」

クリスが提案したルートは一旦男娼館の南東方向にある処刑場を経由し、
そこから北方向の島役場を目指す、というものだった。
確かにそのルートならば禁止エリアに接近する恐れもない。
但し、第二回放送でそのルート或いはルート近辺のエリアが禁止エリアに指定される可能性もあった。

「……とにかく、クリスのルートは最有力候補としておこう。
まずは放送を聞いてからだ」
「はい、伯父上」
「分かりました」
「それまで休息を取ろう。まぁ、死体だらけのこの男娼館で休息できるかと言うと、
余りできないだろうが……」

放送の内容を聞いてから最終的な南部へのルートを模索する事にし、
三人はそれまで休息を取る事にした。



男娼館の客室の一つで、正封はベッドの上に仰向けに寝転びながら天井を見詰めた。
つい数時間前まで自分の傍にいた仲販遥という少女はもういない。
あの愛らしい笑顔をもう二度とみる事はできないと思うと正封は寂しかった。

「いい子だったなぁ……」

女運のない自分にとって年下の少女が自分を頼って傍にいてくれるという事自体、
本来生きていれば有り得ない話だった。
恐らく自分はこの先一生、そんな体験をする事はないだろう。

「……そう言えば」

ふと正封は自分が意識を失っている間に見た夢の事を思い出す。
夢の中に出てきた赤髪和服の女剣士「朱雀麗雅」。
全く身に覚えのないはずのその人物を、なぜ自分は名前や職業まで知っているのか。
いや、あの夢の中でも、自分は殺し合いの中にいた。

「……俺、前にも……いやまさか、な」

ある予想をしたが、有り得ない話だとすぐに放棄した。
ふと時計に目をやれば、午前11時5分を差している。

「もうすぐ二回目の放送か。今何人生き残ってるんだろ」

現在自分達がいる北部市街地には、恐らく自分とミスティーズの二人しか生き残りはいないだろう。
南部の方に行けばまだ生き残りはいるだろうが、果たして、
その中の何人が殺し合いに反する考えを抱いているかは分からない。
最悪、殺し合いをする気がないのは自分達だけかもしれない。
だが、それでも希望はまだ捨てるべきではないだろうと、正封は思う。
この殺し合いが始まった当初の自分なら有り得ない思考だ、とも。

――遥ちゃんのお陰かも。

正封は少し笑みを浮かべながらそう考えた。



【一日目昼/C-7男娼館】

【高原正封@俺オリロワリピーター組】
[状態]:精神的疲労(大)、背中から右胸下辺りにかけ刺し傷(処置済)
[装備]:ニューナンブM60(5/5)
[持物]:基本支給品一式、38sp弾(20)、FNブローニングM1910(3/6)、
FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、手榴弾(3)、工具セット、
水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。とにかく生き残る。
1:クリス、レオンと行動。放送を待つ。
2:襲われたら……。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※「朱雀麗雅」という名前が気になっています。
※胸元に重傷を負っているため、無理な行動は危険です。
※クリス、レオンの二人が主催者の血縁である事を知りました。


【クリス・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、右足裂傷(応急処置済)
[装備]:サーベル
[持物]:基本支給品一式、太刀、コルト ディテクティヴスペシャル(6/6)、
.38sp弾(30)、双眼鏡、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:リリアを止める。そのためにもこの殺し合いを潰す。
1:レオン、高原正封と行動する。放送を待つ。
2:首輪を外す手段を探す。
3:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
4:襲われたら対処。
※参戦時期は本編終了後です。
※シェリー・ラクソマーコスの死亡を確認しました。
※足を怪我していますが何とか歩行は可能です。


【レオン・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:全身にダメージ(中)、悲しみ
[装備]:シグザウアーSP2340(12/12)
[持物]:基本支給品一式、シグザウアーSP2340のリロードマガジン(12×5)、
アーマライトAR18(0/30)、アーマライトAR18のリロードマガジン(30×10)、
スタームルガー ブラックホーク(6/6)、.357マグナム弾(24)、H&K HK69(1/1)、
40mm榴弾(3)、手斧、水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを止め、リリアと会う。
1:クリス、高原正封と行動する。
2:仲間を集める。同時進行でゴメスの知り合いも捜す。
3:首輪を外す手段を探す。
4:襲われたらそれなりに対処はする。
※参戦時期は本編終了後です。
※拳銃の使い方を一通り覚えました。
※北部市街地で生き残っているのは自分とクリス、高原正封の三人だけと考えています。




※ゴメス、仲販遥、シリウス、トマック、アキラ、デスシープ、
シェリー・ラクソマーコスの死体は男娼館玄関ホールに白いシーツを掛けられた状態で
放置されています。また、7人のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)は、
玄関ホールに放置されています。
※三徳包丁(刀身に僅かな亀裂有)、鉄パイプ、増精剤入り小瓶(半分消費)は男娼館中庭に放棄されました。




君との思い出 時系列順 少年の置き土産
君との思い出 投下順 少年の置き土産

出会い、別れ、男娼館にて 高原正封 ゴーストノート
出会い、別れ、男娼館にて クリス・ミスティーズ ゴーストノート
出会い、別れ、男娼館にて レオン・ミスティーズ ゴーストノート

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最終更新:2010年06月12日 18:49
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