DEAD OR ALIVE THE ALEX

74話 DEAD OR ALIVE THE ALEX


「こいつは確か、デビルチルドレンの……」
「げぇぇ……ハァ、ハァ、ハァ、が、ガーゴイルさん、この死体の子、知ってるんすか」

エリアH-3にある豪邸の正門付近。
先に発生した戦闘により死亡した少年ジンと、青狼青年石川昭武の二人の
死体をどこかに隠すよう言われたガーゴイルと久保遼平。
ガーゴイルはジンの顔は知っていた。自分が所属していた帝国軍と敵対する、
デビルチルドレンの二人の内の一人で、顔写真など資料には目を通していた。
生まれて初めて死体を生で見た遼平がその凄惨さに嘔吐しながら、ガーゴイルに訊いた。

「ああ。ちょっとな……っていうか話してなかったっけ?」
「そうでしたっけ……」
「……まぁいい。それより大丈夫か遼平」
「な、何とか……ふぅ、も、もう平気です」

顔面蒼白で、余り大丈夫そうには見えない遼平。

「無理しなくていいぞ」
「い、いや、皆さん頑張ってるし……俺も何かやらないと……」
「そうか……だが、もう無理と思ったら言え」

遼平の事を気遣いつつ、ガーゴイルはジンの死体の両腕を持ち、
ガレージの中へと引き摺り始める。
同様に遼平も昭武の死体の両腕を、やや躊躇しつつも掴んで引き摺った。

そしてガレージの中まで二人の死体は引き摺られ、置かれた。

「とりあえずここに置いておけば良いだろう」
「そ、そうですね……うぷ……」

ただ単に人目につきにくい場所に移動させただけだが野晒しにしておくよりは良いだろう。

「それじゃ戻るか」
「はい……」

仕事を終えたガーゴイルと遼平は豪邸へと戻り始めた。



豪邸内では、ドーラが新たにこの豪邸を訪れた者達の内の一人、アレックスと対談していた。
居間のソファーで向かい同士に座り、ドーラはアレックスと、その仲間である、
外に転がっており現在ガーゴイルと久保遼平にどこかに隠させている死体となった二人が、
この豪邸に来るまでの経緯を、おおよそアレックスから聞かされた。

「成程ね、アンタも大変だった訳だ」
「ああ……」

アレックスは自分の親友であるブライアン、仲間として行動を共にしてきた、
ジンと石川昭武の二人の計三人もの死を目の当たりにしてきた。
自分は幸運なのか、それとも実力なのかは分からないが大した怪我もしていない。
但し仲間の死を目の当たりにしてきて、精神面での疲労は強まっていた。

「ドーラ、って言ったっけ? あんたらも殺し合いからの脱出を?」
「まぁ、そうさね。今外に行かせているのがガーゴイルと久保遼平。
んで、さっき眼鏡小僧を運んでいたのがピタゴラス。
今上に上がってエルザっていう白髪の女と、首輪を調べてるけどね」

端的にではあるが自分の仲間の事を一人一人紹介していくドーラ。

「ドーラ、俺も仲間に加わっていいか? 俺もこの殺し合いを潰したい」
「そのようだね。まぁ、戦力にはなりそうだし、他の奴らも反対はしないだろうね。
いいよ。よろしく、アレックス」
「こちらこそ、ドーラ」

二人は握手し共闘する事を誓った。

「ああそうだ、アンタに伝えときたい事があったんだ」
「何だ?」

ドーラは自分のデイパックからメモ帳を取り出しペンを走らせ書いた文をアレックスに見せた。

〔アンタもメモ帳出しな。ここからは筆談だよ〕

「??」

なぜ急に筆談を要求されるのか分からなかったがきっと何か理由があるのだろう。
アレックスは言われた通りに自分のデイパックからメモ帳とペンを取り出し、
返事の一文を書き出しドーラに見せた。

〔これでいいか?〕
〔よし。それじゃ本題に入ろうか。これは首輪を調べさせているピタゴラスとエルザから、
アタイ達に報告された事なんだけれども、どうも、首輪に盗聴器ってのが仕掛けられてるんだと。
つまりこの絶対に外せないって言う首輪から主催者の連中に、
アタイ達の会話が筒抜けになってるらしいんだ〕
〔何だって!?〕

更にドーラはペンを走らせる。

〔まあ要するに、下手な事は言わない方が良いって事さね。
特に首輪を分解して調べてるなんて事がバレたら何されるか〕

確かに、参加者間の会話が筒抜けになっているならば、
首輪の分解の事、内部構造の調査の事を主催者側に知られでもすれば、
何らかの妨害措置を取ってくる可能性が高い。
最悪の場合、当該参加者の首輪を爆破する、という事も有り得る。
ドーラが筆談を要求した理由をアレックスは理解した。

〔確かに、下手な事は口に出さない方が良いだろうな。
俺達の命がこの首輪で握られている以上は……〕
〔全く、良くできた首輪だよ〕
〔……所で、首輪を調べてるって言っていたよな。一体誰の首輪を?〕
〔率直に言えば、死体からだよ〕
〔……殺したのか? 誰かを〕
〔いや、アタイじゃないよ。エルザが襲い掛かってきたのを返り討ちにして、
そいつの首からアタイが首輪を取ったって事さね。誤解はよして欲しいね〕
〔あ、そういうつもりじゃなかったんだ、すまん〕

首輪に関する話を筆談で終えた後、ドーラは何事もなかったかのように、
別の話を切り出した。

「アンタの仲間が持っていた荷物だけど……」
「ああ。好きに使ってくれて構わないよ」
「そうかい。ありがとう」
「……そう言えば、あの眼鏡を掛けた少年は……」

アレックスが気に掛けていたのは、自分達とは別に、
この豪邸に辿り着いた眼鏡の少年の事だった。
その眼鏡の少年と同行していたミーウという狐獣人の少女が突然、その少年や、
自分達に襲い掛かり、結果、放たれた銃弾でジンと昭武の命が失われてしまった。
そのミーウは市街地方面へ走り去ってしまった。
眼鏡の少年――思えばまだ名前を聞いていない――は、同行者が裏切った事に、
相当なショックを受け、自分で歩けなくなっていたが。

「ああ、あいつね。ピタゴラスが玄関まで運んだ所で気絶しちゃったよ」
「気絶……」

見た所、まだ小学生高学年程度の年齢に見えた。
この殺し合いはそんな子供が生き残るには過酷過ぎるという事は言うまでもない。
恐らく精神的に限界が来てしまったのだろう。
ドーラによれば今は一階奥の部屋で横にさせているらしい。
意識を取り戻したら、事情を伺ってみようと、アレックスは思った。

「さてと、アタイは腹ごしらえでもしとこうかね」

自分のデイパックを持ち上げ、ドーラはリビングの方へと向かった。
居間にはアレックス一人が残された。

「……俺も、腹ごしらえしとくか」

アレックスも自分のデイパックから食糧を取り出し、食事を始めた。
この時、アレックスは自分の持物の中にある、USBメモリの事をすっかり忘れていた。



【一日目午前/H-3豪邸】

【アレックス@VIPRPG】
[状態]:全身にダメージ(軽度)、右腕上腕に裂傷(処置済)、食事中
[装備]:サバイバルナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費、消費中)、USBメモリ
[思考]:
0:仲間を集めて殺し合いを潰す。そして脱出する。
1:ドーラ達と行動する。眼鏡の少年(野比のび太)の意識の回復を待つ。
2:元の世界の仲間と合流?
3:首輪も何とかしたい。
4:ムシャ……どうしたんだ?
※襲撃者(高野雅行)の容姿を記憶しました。
※ミーウの名前と容姿を記憶しました。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※USBメモリの事を失念しています。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康
[装備]:イサカM37(4/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:眼鏡小僧(野比のび太)の意識の回復を待つ。
2:ガーゴイル、エルザ、久保遼平、ピタゴラス、アレックスと行動。
3:シェリーについては保留。
4:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。


【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、官能小説「14歳の女の子と愛犬、イケナイ交わり」(調達品)、
85㎜対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:エルザとピタゴラスに首輪の調査を任せる。
2:ドーラ、エルザ、久保遼平、ピタゴラスと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(アキラ)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
5:鉢巻の青年(アレックス)と話してみる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。
※ジンの死亡を確認しました。


【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:吐き気
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラス、ドーラ、エルザ、ガーゴイルと行動する。基本的に四人には従うつもり。
2:鉢巻の青年(アレックス)と話す?
※首輪による盗聴の可能性に気付きました。



※ジンと石川昭武の死体は豪邸のガレージ内に移動させられ、安置されました。
また二人の装備と持物は豪邸居間に置かれています。



仮初めの光求め呑んで候 時系列順 屍演舞-ShikabaneEnbu-
仮初めの光求め呑んで候 投下順 屍演舞-ShikabaneEnbu-

血風の狂詩曲 アレックス
血風の狂詩曲 ドーラ・システィール
Is it hope or despair? ガーゴイル
Is it hope or despair? 久保遼平

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最終更新:2010年06月06日 03:10
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