とある二人の殺人者の動向

70話 とある二人の殺人者の動向


高野雅行は港に立ち寄っていた。
停泊する船舶は大型貨物船から小さなボートに至るまで何もない。
貨物運搬用と思われる古びたフォークリフトやトラックが停車してあるが、
いずれも潮風の影響からか錆が浮き出ている。

「……」

雅行は船着場周辺に漂う異臭に気付く。
その異臭がする方向へ向かうと、船着場のすぐ下辺りの海面に「それ」は浮かんでいた。
紫色の髪を持った少女――の遺体が、波に揺られながら、船着場のブロックに打ち付けられていた。
死因は不明だが、何時間も水に浸かっているのだろう、ふやけて肥大化しているように見える。

周囲を調べるとかなり時間の経過した血痕が見付かった。
少女はこの辺りで殺害され、海に投げ捨てられたのかもしれない。
随分と残酷な事をする者がいる、と雅行は思う。
自分も人の事は言えないが。

水平線の彼方まで見通せるが、船も島影も何も見えない。
この島は一体どこの島なのだろうか。
日本語で看板や標識が書いてあるので自分が住む国らしい事は分かる。
だが島の名前など、地理的に重要な情報が書かれていると思われる部分は全て、
綺麗に消されてしまっている。
これは主催者側の工作だろう。もっとも少し気になっただけで無理をして知ろうとも思わない。

ふと西の方角に目を向ければ灯台が立っているのが見えた。

「……」

次の目的地を見定めた雅行は、灯台を目指し歩き始めた。



骨川スネ夫は獲物を探し市街地を歩いていたが、役場以来、新たな他参加者の姿は見付かっていない。

「はぁ……」

いつからか、死に対する恐怖心も、殺人に対する忌避感もすっかり薄れてしまった。
これは自分が完全に人間としての正常な神経を失い始めている証だろうか。
小学校高学年の少年である自分が積極的に人を殺そうと動いているなどと。
親や近所の人、学校の皆が知ればどうなるだろう。

もしかしたら、無事に元の世界に帰れたとしても、自分は、
今まで通りの生活を送る事はもう不可能かもしれない。
何しろ人殺しに対して抵抗を感じなくなってしまっているのだから。
いや、優勝できたとしても、あの主催者が素直に帰してくれるかどうかは疑問符が残る。
「優勝したら帰れる」というのは主催者が口頭で言っただけでその真偽は知りようがない。
だが、かと言ってもう後に引く事はできない。
既に自分は三人もの命をこの手で握り潰しているのだ。

「のび太……もう今の僕なら、例えお前でも殺せそうな気がするよ……」

自分の手では殺したくないと思っていた友達の野比のび太だったが、
もう三人も手に掛けた後なら、出会ったとしても何も恐れる事はない、とスネ夫は思い始める。

どれだけ自分は人の道を踏み外してしまったのか。

「それにしても……誰もいないなぁ」

普通に人探しをするように、次に殺す相手をスネ夫を少年は探し続ける。



【一日目午前/H-5港】

【高野雅行@俺オリロワリピーター組】
[状態]:健康、H-4灯台へ移動中
[装備]:S&W M3566(10/15)
[持物]:基本支給品一式、S&W M3566のリロードマガジン(15×5)、
ベレッタM1951(8/8)、ベレッタM1951のリロードマガジン(8×5)、ツルハシ(血痕付着)、
ピアノ線、ハンドワイヤーカッター、 水と食糧(3人分)
[思考]:
0:殺し合いを楽しむ。
1:灯台へ行く。
2:ムシャは次会ったら絶対に殺す。
3:フラッシュバック現象が気になる。
※俺オリロワ開始前からの参戦、ではないかもしれません。
※アレックスとムシャの名前と容姿を記憶しました。また、大宮正悳(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※源しずかのデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)はD-5森:南部に放棄しました。
※奇妙なフラッシュバック現象については保留する事としています。


【一日目午前/F-7市街地】

【骨川スネ夫@ドラえもん】
[状態]:健康、至って冷静
[装備]:IMIウージー(32/32)
[持物]:基本支給品一式(水消費中)、IMIウージーのリロードマガジン(32×7)、三八式歩兵銃(2/5)、
6.5㎜×50R弾(25)、コルト トルーパー(4/6).、357マグナム弾(30)、レミントンM870(4/4)、
12ゲージショットシェル(16)、青酸カリスプレー、コンバットナイフ、 水と食糧(5人分)、
消毒用エタノール、ジッポーライター、焼酎
[思考]:
0:生き残るために殺し合いに乗る。
1:日宮まどかの持物の中から目ぼしい物を回収する。
2:のび太とは会いたくない。






It never permits It kills without fail. 時系列順 WOLF'S RAIN
It never permits It kills without fail. 投下順 WOLF'S RAIN

運という不確定なものも時には必要 高野雅行 屍演舞-ShikabaneEnbu-
シリアルキラーツクール 骨川スネ夫 血に染まった僕の右手

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最終更新:2010年06月09日 21:09
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