焼け付く想いは憂い募らせる

63話 焼け付く想いは憂い募らせる


放送を聞いた後も、赤髪のグラマーな女性、稲垣葉月と、
黒狼レックスは相変わらず熱い交わりを続けていた。
最初の6時間で14人の死者が出たという事実には二人も多少は動揺したが、
それだけで、禁止エリアを互いに記録した後は、今までの激しい行為の余波で
すっかり空いた腹を満たすために朝食を取り、そして。

「うっ! ハヅキ……!」
「ああっ……! ん……はぁ、はぁ、はぁ、凄い……あれだけ出したのに、
まだこんなに出るんだ……」
「狼は一杯出すんだよ……知らなかった?」
「撮影で狼によく似た狼犬とかシェパードとかとならやった事あるけど、
こんなには出てなかったよ」
「撮影? ああ、ハヅキは女優さんだったんだっけ」
「女優って言っても、AVの、だけどね……あはは」

淫らな行為をしながら、他愛もない会話を交わす女と黒狼。
そして黒狼・レックスが葉月の身体に抱き付き、互いに体温を感じ合う。

「……好きだよハヅキ……愛してる……」
「私もよ、レックス……」

交わりを重ねていく内、二人の間にはいつの間にか恋愛感情が芽生えていた。
お互い――レックスは深層意識内での事だが――この殺し合いという状況下、
いつ襲われるかいつ殺されるか分からない状況下で、傍に居てくれる存在に餓えていた。
孤独に死んでいくのが嫌だったのだ。
だが今は、お互いの温もりを肌で感じ合える。
自分はもう孤独ではないのだという安心感が、いつしか別の特別な感情へと変わっていった。
もはや、葉月はレックスにとって、レックスは葉月にとって、なくてはならない存在になっていた。

行為の後始末を済ませ、衣服を着た葉月は、
レックスと共にリビングに移動し、これからの事について話し合う。

「そろそろ別の場所に移動しない?」

葉月がレックスに身を潜める場所の変更を提案する。

「ん~……別にいいけど、何でまた?」
「だってほら……この家の中、すごい、アレの臭いが、けっこう汚れちゃったし」
「ああ……確かに」

幾度も幾度も交愛を重ね、体液を床と言わず壁と言わず天井と言わず撒き散らした結果、
家の中に濃密な臭いが充満するようになってしまっていた。
レックスは気にはしていなかったようだが、葉月はその臭いを嗅ぎ続けている内、
段々と気分が悪くなり、どこか別の場所に生きたいという思いが強くなっていた。
そんな葉月の気持ちを察したのか、提案を呑んだレックスはテーブルの上に地図を広げる。

「俺達が今いるのって……」
「多分、エリアG-6だと思う」
「北に役場とかあるけど……地図に載っている施設だから人の出入り激しそうだし……。
学校とかもあるんだ。どうする?」
「うーん……ここは思い切って、役場に行ってみようか。
公共施設でプレイするのも悪くなさそうだし、それに……」

葉月は自分のデイパックから、木製銃床の突撃銃――AK-47を取り出す。

「いざという時はこれで戦うつもりだよ」
「でも、扱えるの葉月?」
「……説明書見て使い方は大体分かった、けど、拳銃も触った事ないんだよね、
実を言うと。ましてやこんなアサルトライフルなんて持った事ないし……でも、
これ、子供でも戦闘を可能にしたっていうぐらい扱い簡単らしいから、何とかなると、思うよぉ」
「語尾wwwwどこのじいさんwwwwwま、まあ、俺も一応戦えるよ。
このダマスカスソードと、爪と牙があるからね」
「でも、レックス剣扱えるの? 四足歩行なのに、基本」
「口に咥えればなんとかなるよ」
「そう……それじゃ、役場に行こう」
「分かった」

葉月とレックスはそれぞれ荷物を纏め、玄関へと向かった。
思えば外に出るのは何時間ぶりであろうか。
窓から差し込む日の光はすっかり強くなっていた。



同時刻、銀髪の学生服姿の少女、銀鏖院水晶は、エリアG-7東端付近の道路を、
とある場所に向かって歩いていた。
右手には小型の短機関銃・イングラムM10が握られている。
ある民家でシャワーを浴び、食事を取った後、行動を始めた。

向かう先は、エリアF-6にある島役場。
既に二人の参加者をその手に掛けた彼女は、次なる獲物を求め、
人が集まり易そうな場所へ向かい歩き続ける。

「あの黒狼に犯されたのは……この辺りだったっけ」

見覚えのある風景に、水晶は一旦足を止めた。
そしてとある裏路地に目を向ける。
そこは数時間前に、水晶が突然現れた黒い巨躯の雄の狼に、純潔を奪われた場所だった。
その時の思い出したくもない情景が、嫌でも水晶の脳裏に再生される。
口に獣のいきり立った――を、無理やり押し込まれしゃぶらされた。
――の先端から溢れ出た、あの濃厚かつ生臭い、白く濁った汁の味は忘れられない。

トラウマ物の記憶が無意識の内に呼び起されるのと同時進行で、
水晶の中の黒狼に対する憎悪も強くなっていく。

「絶対、会ったら殺してやる。あの薄汚い―――をぐちゃぐちゃに踏み潰してやる!」

その瞳に底知れぬ憎しみの炎を宿らせながら、水晶は役場に向けて再び歩み始めた。





【一日目朝方/G-6市街地】

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:肛門及び直腸裂傷(血は止まり治癒が始まっている)、
レックスに対する特殊な感情
[装備]:AK-47(30/30)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。レックスと一緒にいる。
1:役場に向かう。
2:襲われたらどうする……?
※服を着ました。
※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、及び特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:ハヅキを死なせない。役場に向かう。
2:放送を待つ。
3:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。
※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【一日目朝方/G-7市街地】

【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、黒狼(レックス)に対する憎悪、F-6島役場へ移動中
[装備]:イングラムM10(30/30)
[持物]:基本支給品一式(食糧一食分消費)、S&W M19(6/6)、.357マグナム弾(21)、
イングラムM10のリロードマガジン(30×7)、マチェット、モルヒネアンプル(3)、
水と食糧(二人分)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:島役場へ向かう。
2:みんな殺す。とにかく殺す。クラスメイトでも容赦しない。
3:あの黒狼(レックス)は今度会ったら絶対に殺す。
※本編開始前からの参戦です。
※須牙襲禅には気付いていません。





Is it hope or despair? 時系列順 曉血殺傷
Is it hope or despair? 投下順 曉血殺傷

夜明けは悪夢の終わりではない 稲垣葉月 WOLF'S RAIN
夜明けは悪夢の終わりではない レックス WOLF'S RAIN
奇妙なすれ違い 銀鏖院水晶 WOLF'S RAIN

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最終更新:2010年05月31日 01:23
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