死体損壊なんてよくある事

40話 死体損壊なんてよくある事


エルザ・ウェイバーはガソリンスタンドで自分を襲い、
返り討ちにした青髪少女から小型拳銃・デリンジャーと予備弾、
そして何やら獣人のいかがわしい写真が大量に入った箱と食糧を回収した後、
近くのエリアにある豪邸へと足を運んでいた。
デリンジャーによって撃たれた傷が痛んだが、小口径の弾丸であった事や、
急所を逸れていた事が幸いして応急処置で十分なレベルのものだった。
ガソリンスタンドには医療道具などは見付からなかったため、
それらの物を探すという目的も兼ねてエルザは豪邸を目指していた。

「誰かいるな…中に最低二人?」

エルザの持った首輪探知機が反応を示す。
所有者のエルザを示す光点の他に、豪邸のある方向に二つの光点。
距離から言って、豪邸の中に二名の参加者がいるのは確実だった。
但し、この首輪探知機は死体にはめられた首輪にも反応するため、
最悪の場合、豪邸の中に死体が二つ転がっている事になる。
ただ、二つの光点は微妙に動きを見せているので、死体という事はないだろう。

「……よし」

もしも豪邸内の参加者が殺し合いに乗っていた場合の事を考え、
腰に差した九五式軍刀をいつでも抜けるように準備した。



「ん…ドーラ。誰か来たみたいだぞ」
「何…?」

カーテンを少しだけ開けて外の様子を窺っていたガーゴイルがドーラに報告する。
ドーラがガーゴイルと同じように覗いてみると、確かに、
頭に角の付いたカチューシャのような飾りを付けた、白髪頭の戦士風の女性。
腰には刀と思しき物を提げているのが確認できる。

「入ってくるね。それじゃ、出迎えてやろうとするかい」

ドーラはイサカM37散弾銃を手に取り、ガーゴイルと共に玄関に向かった。



「うっ…!」

玄関の扉を開けた途端、エルザは散弾銃の銃口に出迎えられる事となった。

「下手な真似したらぶっ放すよ。アタイの言う事に大人しく従いな。いいね?」

イサカM37をエルザに向けながら、狐獣人の女、ドーラは威圧的な口調で言い放つ。
その背後には青い竜に似た魔獣、ガーゴイルが控えていた。

「アンタ、殺し合いに乗っているのかい?」
「い、いや、乗ってないよ」
「そうかい。それじゃ持ってる荷物を一度、地面に全部下ろしな」

エルザは下手に反抗しない方が良いと考え、
大人しく、肩から提げたデイパック、腰に差した九五式軍刀、手に持った首輪探知機を全て地面に下ろした。
続いてドーラがエルザに近付き、他に武器を隠し持ってないか身体検査を始める。

「あっ…ん」
「変な声出すな!」
「だ、だって、そんな所、やあっ、ひゃうっ!」
「じっとしてろ!」
「うう……」

そんな二人のやり取りを見て、雄であるガーゴイルは顔を赤らめ目を背けていた。
普段は体内に収納されている息子を必死に引っ込めながら。
しばらくして、不審な点なしと見たドーラは身体検査を切り上げた。
その頃には身体の至る所を触られたエルザはすっかり恍惚の表情になっていた。

「オーケー。どうやら武器も隠し持ってないようだし、信用するよ」
「はぁ…はぁ…」
「……///」
「何赤くなってんだいガーゴイル」
「うるさい」
「……とにかく、傷負ってるみたいだし、手当てした方が良いね。中に入りな」
「あ、ありがとう……」




ドーラにより傷口の手当を受け、腹部に包帯を巻いたエルザは、
自己紹介をした後、ドーラ、ガーゴイルの両名から共闘を持ち掛けられた。

「と、言う訳。アタイ達はこの首輪外せそうな奴探してんだけど…」
「エルザだったか? 率直に聞くが、お前はこの首輪を外す手段に何か心当たりはあるか?
そうだな、何か、機械知識とかそういう物を持っていたりとか…」

明らかに機械知識といったものに無縁そうなエルザの外見は分かってはいたが、
とりあえずガーゴイルは聞いてみるだけ聞いてみる事にした。
しかしエルザからは予想外の色良い返事が返ってくる。

「そうだね…多少なら機械はいじれるよ」
「本当かい? そうは見えないけどねぇ」
「どちらかと言えばラジオやビデオデッキの扱いにも苦労しそうな感じだが」
「そんな事ないって。人は見かけに寄らないものだよ。
怖そうな外見の人が実はとってもいい人だったっていう例が沢山あるじゃない」
「それとこれとは別な気もするが…それじゃ、俺の首輪を調べてみてくれ。こいつをどう思う?」
「どれどれ…」

エルザがガーゴイルに近付き、その首にはめられた首輪を調べ始めた。
サイズや形状は異なるが、デザインや材質、恐らく内部構造も、
自分やドーラ、他参加者にはめられたものと同一のようだ。
裏側を指で触ると、何やらとても小さい穴がいくつも空けられている。

(これは…? 冷却用の穴か何か?)

もっと詳しく調べたいが、ガーゴイルの首が邪魔になり観察する事はほぼ不可能な上、
下手に衝撃を与えれば、主催者が言っていたように爆発する恐れがあった。

「どうだ?」
「ん……やっぱり首が邪魔だね、首輪そのものが欲しいな」

これ以上の調査は、純粋に首輪のみを調べた方が良いとエルザは判断し、
ガーゴイルの首輪の調査を打ち切った。

「首輪そのものって言ってもねぇ…そんな物どこにも…」
「……死体の首から取る、という方法を思い付いたんだが、どうだ?」
「ちょ、アンタエグい事考えるね」
「それ以外に良いアイディアが思い付かなんだ。
だがそう都合良く死体など…ん? そういえば…エルザ」
「はいはい、聞かれると思ってたよ」

ガーゴイルは先程エルザから聞かされた話を思い出した。
この豪邸からそう離れていない場所のガソリンスタンドにて、
エルザが自分を殺そうとした参加者を返り討ちにし、殺害したという話。
それが事実なら、ガソリンスタンドには参加者の死体、つまり、
首輪が放置されているという事になる。
首輪は外す事はできないため、死体から首輪を取るという事は、
つまりその死体の首を切断する必要がある。
死者への冒涜という生易しいレベルの問題ではないが、少なくともここにいる三人は、
その行為に対して何ら忌避感を抱いてはいなかった。
自分達の命が掛かっている問題である。最早死んでしまった者にまで、
気を回せる程、お人好しでも慈しみ深い訳でもない。

「それじゃ、今からちょっと行ってくるよ」

エルザが早速首輪を取りに行こうと、九五式軍刀を携えて立ち上がった。
しかし、ドーラが声を掛けて止める。

「待ちな。怪我してんだから無理すんじゃないよ。
アタイが行ってくる。刀貸しな。すぐそこのガソリンスタンドだろ?」
「これくらい平気だけど…そう言うならお言葉に甘えようかな」
「ドーラ、気を付けろよ。もう誰か、他の参加者が来ているかもしれないからな」
「分かってるさ」

エルザから九五式軍刀を受け取り、ドーラはガソリンスタンドへ向かうため、
豪邸玄関へ歩き始めた。



【一日目黎明/H-3豪邸】

【エルザ・ウェイバー@オリキャラ】
[状態]:腹部に二発被弾(処置済)
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、レミントン デリンジャー(0/2)、.41リムファイアー弾(30)、
首輪探知機、雄獣人エロ写真詰め合わせ
[思考]:
0:殺し合いを潰す。脱出手段の模索。
1:ドーラが首輪を回収し戻ってくるのを待つ。
2:ドーラ、ガーゴイルと行動する。仲間を集めたい。
3:首輪を調べたい。
※ドーラ、ガーゴイルと情報交換をしました。


【ガーゴイル@真・女神転生デビルチルドレンライト&ダーク】
[状態]:健康
[装備]:RPG7(1/1)
[持物]:基本支給品一式、85㎜対戦車擲弾(3)
[思考]:
0:殺し合いからの脱出。首輪の解除方法の模索。
1:ドーラが首輪を回収し戻ってくるのを待つ。
2:ドーラ、エルザと行動。しばらく豪邸に留まる。
3:元世界の知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)については保留。
4:襲われたら説得を試みる。駄目ならば戦うか逃げる。
※ドーラの知人(シェリー・ラクソマーコス)のおおよその特徴を把握しました。
※ドーラの言葉の一部が理解できず気になっています。
※エルザと情報交換をしました。


【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、G-2ガソリンスタンドに移動中
[装備]:九五式軍刀
[持物]:基本支給品一式、イサカM37(4/4)、12ゲージショットシェル(30)、防弾チョッキ
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:ガーゴイル、エルザと行動。G-2ガソリンスタンドで死体から首輪を回収する。
2:シェリーについては保留。
3:首輪を外したい。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※フォナ・アンシュッツの名前と容姿を記憶しました。
※ガーゴイルの知人(ジン、アキラ、亜美、ガルム)のおおよその特徴を把握しました。
※ガーゴイルの言葉の一部が理解できず気になっています。
※エルザと情報交換をしました。




It is a nightmare inside even if awaking. 時系列順 さっさと調べろと言うのは無粋、無粋。
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The unexpectedness and it are fatal. エルザ・ウェイバー BIG HOUSE
異世界と異文化 ガーゴイル BIG HOUSE
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最終更新:2010年05月09日 16:55
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