殺し合いそっちのけで何やってんだ

38話 殺し合いそっちのけで何やってんだ


レックスとの行為の後始末を終えた私は、
自分の服を着てリビングで支給品の食糧を食べていた。
今食べているのは鮭おにぎり。食糧はコンビニおにぎりとか、サンドイッチとか、
そういう物がほとんどみたい。

食事を終え、私は黒い大きな狼が寝息を立てる和室に戻ってきた。
黒狼、レックスは私を思う存分味わった後、疲れて寝てしまった。
あれだけ激しく腰を振っていれば当然か。凄かったもの。
寝顔は中々、可愛い。

「……」

レックスの首にはめられた頑丈な金属製の首輪に手を触れる。
同じ物が私の首、私達以外の全参加者にはめられている。
爆弾が内蔵された死の首輪。

自分達が今、死と隣り合わせの殺し合いにいる事。その現実は変わらない。
レックスはどうなのか分からないけど、いずれ、私達は死ぬ。
例え誰一人殺し合いをする気がなくなったとしても、
丸一日死者が出なければ、首輪が爆発して死ぬ。

私には人を殺して生き残るなんてとてもできない。
もう私は生きて帰る事なんてできないんだろう。
それなら、このエロ狼に死ぬまで好きにされていよう。
この子に蹂躙されている間は、全て忘れられるから。

掛け布団を剥がして改めてレックスの身体を観察する私。

「ほ~……」

艶やかな黒い毛皮の下には、無駄のない、強靭な筋肉が付いている。
四肢も太く逞しい。爪も、牙(キスをする時に見た)も非常に鋭い。
覆い被された時に少し肌が爪で傷付いてしまった事を思い出した。
身体の大きさも大の大人くらいある。

外見だけなら、本当に凶暴な獣そのもの。
だけど、それでいて性格は軽い。
しかも、感じている時、異様に、その、何て言うか――可愛い。

そう、この子、レックスは、可愛いのよ。

いや、可愛いだけじゃない、何だろう、私は、レックスに何か――特別な感情が――。

「……」

私はレックスのふさふさのタテガミを撫でた。

……死ぬのなら、この子の牙と爪で引き裂かれて死にたい。
喉を噛み砕かれて、はらわたを引きずりだされて。
きっと、痛いだろうな。苦しいだろうな。でも……レックスなら……いいよ。

……何変な想像してんの私は。

「にしても、可愛いなぁ。見ればみる程」

思い切って抱き付いてモフってみるけど、やっぱり起きない。
凄くフサフサモフモフ。顔がうずまっちゃう。ちょっと獣臭いけど、そこが…いい!

「どうしよ……可愛い。可愛いよレックス可愛いよ。駄目だ、我慢できない。
これはもう悪戯するしかない」

ついに我慢の限界を迎えた私は、レックスの下腹部に――その前に。

「……そう言えば、レックスの支給品って何なの?」

ずっと気になっていた事があった。それはレックスの支給品。
彼で出会ってから、一回も話題に触れなかったけど、何が支給されたんだろう?
勝手に中身見るのはよくない事だと思うけど…レックスは今深い眠りだし。
見付かったら必死に謝れば何とかなるでしょ、多分。
私は部屋の隅に置いてあったレックスのデイパックを手に取り、中身を調べた。
すると基本支給品の他に出てきたのはダマスカスソード。説明書には「切れ味が鋭い」といった事が書いてある。
レックスは自分の支給品を確認していたのだろうか?

「…さて」

気になる事も解決したし、いよいよ……て、え?

「人の荷物、勝手に見るのは感心しないな」
「きゃあっ!」

私の背後には、やや不機嫌そうな表情で座っている黒い狼がいた。

「お、起きてたの?」
「うん」
「ご、ごめんなさい…悪気はなかったんだけど、あなたがどんな物を支給されているのかと思って。
その、えーと、ホントにごめんなさい!」

私は必死に頭を下げて、何度も謝罪した。
もしここでレックスに見捨てられるような事になったら、私はまた一人ぼっちになってしまう。
いつ誰に襲われるかも分からないこの地獄とも言える殺し合いの下で。
それだけは絶対に嫌だった。自分の軽率な行動が原因なのは分かっている。
だけど、それでも……。

「い、いや、いいんだよ。別に怒ってる訳じゃないから。ただ、
何してんのかなと思っただけで! 気にしなくていいよ!」
「…本当に?」

意外な事に、レックスが少し慌てた様子で私を宥め始めた。
良かった、私が思っている程、レックスは怒ってはいなかったみたい。

「あーでも、怒ってはいないけど…やっぱりお仕置きは必要だよねぇ」
「…え??」
「四つん這いになって、お尻を出して突き出しな! そりゃもう高くな!」
「あ、あー……」

お仕置きって言うから何をされるかと思ったけど、どうやら普通に後ろから、みたい…。
勝手に荷物漁っちゃった手前だし、従うしかないよね。
私はレックスに言われた通り、四つん這いになり、お尻を出して高く突き出した。
直後、大きな獣が後ろから私に覆い被さった。かなり重い。
だけど、獣に抱かれるという背徳感が、私を興奮させた。

「それじゃあいきまーす」
「どうぞー」

私は目を閉じて、来るべき衝撃に備えた。



ズンッ



………………………………………………………………………………。




「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」




◆◆◆




勝手に俺の荷物を漁ったハヅキに対して俺が下した罰。
それは、俺の自慢の極太ソーセージを、ハヅキの菊の御門に突入させる事だった。

だが……。

「…ごめん、ごめんよハヅキ……」

俺は自分がした事を後悔する事となった。
ハヅキの菊の御門は俺の息子には小さ過ぎた。
アワビの門は易々と進入できたけどこっちの門はそうはいかなかった。

「痛い……痛いよレックス……血が止まらないよお……」

涙目で、掠れた声で俺を非難するハヅキ。無理もないだろう。
破れてしまった菊の御門からは決して少なくない量の鮮血が溢れ、酷い有様となっていた。

「まさかこんな事になるなんて、本当にごめんハヅキ…」
「いいよ、元々私が悪いんだから……ああでもどうしよう、
これから大きい方する時、滅茶苦茶痛いかも……っていうかパンツ穿けないよこれじゃあ」

下血は床の畳に大きなどす黒い染みを作ってしまっている。
確かにこのままではパンツは愚かスカートも穿く事ができない。
血が止まるまでハヅキは下半身丸出しでいなければならないのだ。

「俺、脱衣所からタオル一杯持ってくるから…」
「お願い……」

とにかく血を止めないと。このままでは失血死してしまうかもしれない。
これでハヅキに万が一の事があれば俺の責任だ。
この殺し合いの中、一緒にいてくれる人を求めて蹲っていたハヅキ。
俺は邪な感情を抱いて接触してきたと言うのに、ハヅキはそれでも喜んでくれた。

――俺もそうなのかもしれない。
いつ死ぬか分からない殺し合いの中、参加者の女を性的に襲って回ろうと考えたのも、
迫り来る死の恐怖から逃れるためだったのかもしれない。
だから、俺も、傍にいてくれる存在に、心のどこかで餓えていたのかもな。
現に、俺はハヅキを見捨てるという選択肢を選べなくなっていた。

ずっとハヅキと一緒にいたい。

不純な思いは一切ない。心の底からそう思えるようになった。


――女に対してこんな感情抱いたのは、初めて、だな。




【一日目黎明/G-6市街地:垣内家二階和室】

【稲垣葉月@俺オリロワリピーター組】
[状態]:下半身丸出し、肛門及び直腸裂傷による深刻な下血
レックスに対する特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式(食糧を少し消費)、AK-47(30/30)、AK-47のリロードマガジン(30×10)
[思考]:
0:死にたくない。
1:↑で死にたくないって書いといてアレだけど、私、死ぬかも…。
2:襲われたらどうする……?
※下血が酷いため下着を着る事ができません。下半身の衣類は和室内に放置されています。
※レックスに対し特殊な感情が芽生え始めているようです。


【レックス@オリキャラ】
[状態]:健康、稲垣葉月に対する罪悪感、及び特殊な感情
[装備]:なし
[持物]:基本支給品一式、ダマスカスソード
[思考]:
0:とりあえず死にたくはない。
1:ハヅキを死なせない。
2:最悪の場合(ハヅキが死亡した場合も含む)、自害する。
※稲垣葉月に対し特殊な感情が芽生え始めているようです。



※G-6市街地:垣内家二階和室が血で汚れています。



≪支給品紹介≫
【ダマスカスソード】
ダマスカス鋼という特殊鋼で作られた両刃の長剣。
切れ味が非常に鋭い。




知るには早い事もある 時系列順 It is a nightmare inside even if awaking.
知るには早い事もある 投下順 It is a nightmare inside even if awaking.

黒い獣の温もり 稲垣葉月 夜明けは悪夢の終わりではない
黒い獣の温もり レックス 夜明けは悪夢の終わりではない

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最終更新:2010年05月13日 00:42
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