Reply of bullet

30話 Reply of bullet

須牙襲禅は島の北部市街地に存在する、元は島の政治を担っていた、
古びたコンクリート建築の二階建ての建物、島役場の正門前に立っていた。
幾つか車が停められた駐車場を間に挟んで島役場の建物がある。

(ここなら誰かいるかもしれねぇな)

右手に自動拳銃、ブローニングハイパワーを携え、襲禅は役場玄関に向け足を進めた。

周囲を気にしながら、玄関から役場内部に侵入する。
受付の奥は広いオフィスになっており、擦りガラスの壁で仕切られた応接間と思しきものも見えた。
壁に貼られた貼紙には特に気になる事は書かれてはいない。
明かりの消えた一階フロアには時計の音だけが響いていた。

人が隠れられそうな場所はいくらでもある。
この暗がりで狙撃でもされれば危険であった。
その事を承知の上で、辺りに気を配りながら襲禅はオフィス内を探索する。

中程まで進んだ時、背後から玄関の扉が開く音がした。
咄嗟に襲禅は机の影に隠れ受付カウンターがある方を確認する。
誰かが侵入してきた事は間違いない、それがどいった人物なのか。
見ておく必要があった。
カウンターに隠れて下半身は見えないが、それは銀髪の若い女性のようだった。
辺りを警戒するようにキョロキョロと見回しながらゆっくり歩みを進めていく。
襲禅には気付いていないようだった。

(こっからじゃ狙い撃ちも難しいな…)

襲禅はしばらく机の影で様子を窺う事にした。

コツ…コツ…コツ…。

足音はゆっくりと、だが確実に襲禅の方へと接近しているようだった。
女性はカウンターを抜けオフィスへ入ってきたらしい。
待ち伏せて不意討ちにしてやろうと襲禅は息を殺し時を待った。
しかし、ある程度進んだ所で足音が止まる。

(……ん? 何だ? もしかして気付かれ――)

どんっ、という重い破裂音と同時に襲禅が隠れている机の上に乗っていた、
デスクトップパソコンやファイル、筆記用具などが吹き飛び、襲禅の上に容赦なく降り注いだ。
パソコンの器材類が思い切り脳天及び背中に当たり激痛に思わず声を出しそうになったが、
何とかこらえ頭頂部を左手で擦る。

(いってぇ…! 畜生、散弾銃か!? まずいな…)

音とその威力から相手の持つ武器を推測する襲禅。
現在彼が持っている武装は拳銃。これで広範囲に小粒の弾丸をばら撒く散弾銃と
正面から戦う事は無謀である。銃に詳しい彼はその事をよく分かっていた。

(しゃあねぇ、ここは一旦退くか!)

形勢不利と判断した襲禅は丁度役場の裏手方向の窓に向かって一気に走り出した。
だがその際、襲撃者――役場に侵入してきた女性の方に向け、振り向きざまに銃弾を放った。
その内の一発が女性の右上腕、もう一発が腹部に命中し女性が苦しそうな表情を浮かべる。
しかし女性も負けじと散弾を二発襲禅に向け発射した。
机の上の物が弾け飛び、白い書類がまるで紙吹雪のように舞い、床に散乱した。

「ぐっ!」

右脇腹辺りに熱にも似た激痛を感じつつも襲禅は足を止める事なく、
窓ガラスを突き破り役場裏手の広場に躍り出た。
前方に一回転した後立ち上がり、裏門を抜け暗闇の市街地へと消えていった。



「いったぁ…い……」

役場に侵入し襲禅を攻撃した女性――日宮まどかは、
腹部に出来た銃創を押さえ苦鳴を上げていた。
右上腕にも銃創はあったが、それより腹に出来たものの方が重傷だと思っていた。
幸い急所は外れたようだがそれでも深手を負ってしまったので、
これからの行動に支障を来す事になるだろうとまどかは歯噛みする。

学校にて白い猫獣人の少年、ケトルを殺害した後、まどかは学校を後にし、
東方向に存在していた島役場を訪れた。
受付を抜けてオフィスに入った時、何となく気配がする辺りに散弾を撃ち込んでみれば、
案の定参加者が隠れていた。
しかし、その参加者――よくは確認できなかったが恐らく狼獣人の警官――は、
逃げる時に自分に向け数発発砲し、内二発が自分の身体に命中した。
反撃で散弾を二発、狼警官に向け撃ったが、仕留めるにはいたらず狼警官は裏手の窓を破って逃走した。

傷口からは決して少なくない量の血液が流れ出ており、
放っておけば、下手すれば命に関わる恐れもあった。
何か傷の手当てに役立つ物はないかとまどかは激痛に耐え、役場内を探し始める。

「あの狼警官、大事な商売道具でもある私の身体に…!
今度会ったら絶対殺してやる…!」

狼警官への怒りをその胸に抱きながら。



狼警官――須牙襲禅は、役場から少し離れた民家の中に隠れていた。
居間にあったソファーに座り、先程から痛む右脇腹を覗き込む。
青い色の制服に赤い色が滲んでいた。
上着を脱ぎ上半身裸になって改めて見れば、二ヶ所の小さな穴から、
赤い血が流れ、茶色い毛皮を赤く染めている。

「チッ…食らっちまった」

苦々しそうな表情を浮かべ襲禅が舌打ちする。
先程戦った女性の撃った散弾が脇腹に二発当たってしまっていたのだ。
出血の量からしてそれ程重傷ではないようだが応急処置は必要な傷だった。

「これならさっさと殺すべきだったぜ……あの銀髪女ァ、覚えてろよ」

自分に鉛散弾を食らわせた銀髪の女に向け毒づきながら、
脇腹の痛みに耐え、襲禅はソファーから立ち上がる。
そして傷の治療のための道具を探すため、家の中を調べ始めた。



【一日目深夜/F-6島役場】

【日宮まどか@オリキャラ】
[状態]:右上腕、腹部に銃創
[装備]:レミントンM870(0/4)
[持物]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(20)、青酸ガススプレー(内量満タン)、
ケトルの水と食糧
[思考]:
0:殺し合いに乗る。
1:傷の手当てをする。
2:男が相手なら、場合によっては籠絡させる。
3:狼警官(須牙襲禅)は次に会ったら絶対に殺す。
※ケトルのクラスメイトについての情報を得ました。
※須牙襲禅(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


【一日目深夜/F-6島役場周辺の民家・秋沢家】

【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】
[状態]:右脇腹に散弾二発被弾、上半身裸
[装備]:FNブローニングハイパワー(0/13)
[持物]:基本支給品一式、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×5)
[思考]:
0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。
1:傷の手当てをする。
2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。
3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。
4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。
※俺オリロワ開始前からの参戦です。
※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。



※F-6島役場周辺に銃声が響きました。
※F-6島役場一階オフィスが荒れています。また、オフィスの島役場裏手に面した窓ガラスの一つが割れています。



二度目の生で成すべき事 時系列順 傷付いた水晶
二度目の生で成すべき事 投下順 傷付いた水晶

BAD POLICE RETURNS 須牙襲禅 食える時に食うべし
天国直行保健室プレイ 日宮まどか シリアルキラーツクール

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最終更新:2010年05月16日 19:47
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