二度目の生で成すべき事

29話 二度目の生で成すべき事

ずっと気になっていた。なぜ俺はこうして今、生きているのだろうか。
あの時、俺は確かに死んだはず。チェーンソーで首を斬り落とされる直前までの記憶はある。
だが、再び意識を取り戻した時には、自分の首は何ともなかった。
その代わり、今度は別の殺し合いの参加者にされていた。

最もそれらしい考え方をするなら「生き返らされた」と考えるのが妥当。
だが死者の蘇生など、普通なら不可能のはず。
それを可能にする力を、この殺し合いの主催者は持っていると言うのか?
あのリリア・ミスティーズと名乗る女は何者なのだろう。

首にはめられた金属製の、爆弾内蔵の死の首輪は前の殺し合いの時と同じく、
窮屈な感覚を俺の首元に与えている。
脱出手段を講じようにも、この首輪付きの爆弾が大きな障害となる。
外すには内部構造の把握、ある程度の機械知識が必要になるだろう。
内部構造把握には――首輪のサンプルが欲しい所だが。


俺と同行者の人間の青年、久保遼平は、灯台の管理人詰所にいた。
森を抜けた後、近くにあった豪邸、灯台のどちらに向かうか悩んだが、
結局比較的距離の近い灯台に向かう事になった。

「はぁ…」

遼平は、パイプ椅子に座りテーブルに伏しながら溜息をついた。
その表情には疲労の色が浮かんでいるようだった。
無理もないだろう。最初に会った時はどうやら誰かに襲われているようだった。
その上夜の暗い山道を、周囲を警戒しながら歩いてきたのだ。
肉体的にも精神的にも堪えただろう。

「大丈夫か遼平」
「大丈夫、じゃないですね…疲れました…。
ピタゴラスさん、これからどうしますか?」
「そうだな…とりあえず、外はまだ暗い。明るくなるまでここに留まろう」
「そうですね……あ、そういえば」

何かを思い出した遼平は、自分のデイパックの中から、
支給品のトランジスタラジオを取り出しテーブルの上に置いた。

「それもお前の支給品か?」
「はい。でも…何の変哲もない、古いラジオにしか見えませんけどね…」

手に取ってあちこち触って見てみるが、
やはりただの古びたトランジスタラジオ。それ以上でもそれ以下でもない。
試しに電源を入れると、ノイズ音に混ざり、何かが聞こえてきた。

『……三番前原、第一球投げ………いての相談は……県のペンネーム野菜王子さんから……
ご旅行の計画は竜宮旅行代理店まで………派で知られる女性議員、園崎……氏が……日未明…
……れましたが、既に死亡しており………では……かな乗り心地を保証します……』

「何だこれは」
「壊れてるみたいですね…色んな局の放送が混ざっちゃってるみたいです。
こりゃ本当に何の役にも立たないゴミっすね」
「これ以上調べても何もなさそうだ。切ろう」

俺はトランジスタラジオの電源を切り、
遼平はそれを自分のデイパックに戻した。

「にしても……本当、死ぬかと思いました。まさか自分の人生で、
銃で撃たれるなんて」
「お前を襲った奴の事か」

遼平の話によれば、山道を歩いている時にどこかから銃で狙撃されたらしい。
その時懐中電灯で前を照らしながら歩いていたとの事。
恐らくその光を目印に遠方から狙い撃ちしたのだろう。
確かに遼平に遭遇する直前、数発銃声らしき音が聞こえた。

遼平を襲った奴のように、殺し合いに乗った奴が何人いるのだろうか。
しかしまさか、全員が全員やる気になっているという事はないだろう。
きっと俺や遼平のように、抗う気でいる奴も多いはずだ。
そういった人々を仲間にして、脱出のための手段を探す。
それが俺の最終目標だ。

しかし厄介なのは首輪だ。爆薬付きなのもそうだが、恐らくこれは監視装置も兼ねている。
主催者や運営がどうやって参加者の行動を把握しているか考えたが、
辿り着いた結論が首にはめられた首輪。これに発信機や盗聴器でも仕掛けられているのなら、説明はつく。

脱出のためには首輪を何としても解除する必要がある。
内部構造の把握――首輪のサンプルの入手が必須となるが……。

「…ピタゴラスさん? 大丈夫ですか?」
「ん? あ、ああ」

いけない、つい考え事に夢中になってしまった。
考えてばかりでも仕方ないな。

――そういえば、まだ遼平には話していなかったなが、まぁ、進んで話す事もないだろう。

俺が以前にも殺し合いに参加させられた事があり、そこで死んだはず、だという事は。



ピタゴラスさんは、何と言うか凄いよなぁ。
いつ襲われるか分からない、もしかしたら死ぬかもしれないという状況なのに、
あんなに冷静でいられるなんて。

俺はこれからどうなるんだろうか。無事に生きて帰れるのか? 死にたくはないなぁ。
ピタゴラスさんは首輪を外す方法を探す、とか言っていたけど、本当にそんな事できるのか?
この首輪、無理に外そうとすれば爆発する仕掛けらしいし、
そもそも参加者に外されるようなヤワな構造にはしていないと思うんだけど。

いや、ともかくピタゴラスさんは頼りになりそうだ。
一緒に行動しない手はない。俺一人じゃ間違いなく死ぬ。
余程の事がない限り、俺はピタゴラスさんと一緒に行動するようにしよう。




【一日目黎明/H-4灯台:管理人詰所】

【ピタゴラス@オリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:コルトM1911A1(7/7)
[持物]:基本支給品一式、コルト ガバメントのリロードマガジン(7×5)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪を外したい。
1:仲間を集める。
2:久保遼平と行動する。
3:明るくなるまで灯台に待機。
※参戦時期は本編死亡後です。
※毛皮の色は作者の想像です。
※自分が以前別のバトルロワイアルに参加していた事を久保遼平に話していません。

【久保遼平@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:ハンティングナイフ
[持物]:基本支給品一式、トランジスタラジオ
[思考]:
0:殺し合いはしたくない。生き残りたい。
1:ピタゴラスと行動する。基本的にピタゴラスには従うつもり。
2:明るくなるまで灯台に待機。





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最終更新:2010年05月09日 16:56
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