どんな状況でも自分を高潔に保て

20話 どんな状況でも自分を高潔に保て

まだ少女とも取れる背丈と顔立ちの女性、戸高綾瀬。
医師も、看護師も、入院患者も、外来患者も、誰一人としていない夜の病院。
その院長室にて、綾瀬はゲームをスタートした。
デイパックを開け、自分の支給品を確認する。

「ナイフか…」

出てきた物は大きな鋭い刃を持ったボウイナイフだった。
鞘ごとスカートに差し込み、次に綾瀬は名簿を確認する。
自身を含め47人の参加者の氏名が記載された名簿である。
書かれた名前を一つずつ目で追っていき、知っている名前がない事を確認すると、
安堵と淋しさが混じったような表情を浮かべ、名簿を閉じてデイパックにしまった。

「はぁ、殺し合いかぁ。やんなっちゃうなぁ」

応接用ソファーに腰掛け、綾瀬が愚痴をこぼす。
昨日の夜、彼女は寝酒をあおった後いつものように自分の部屋で就寝したはずだった。
しかし目覚めた時、そこは散らかった自分の部屋ではなく、
暗闇に包まれた広い空間。大勢の人々が周りにはいた。
そしてリリア・ミスティーズと名乗るドレス姿の女性が殺し合いの開催を宣言した。

「私はただの事務員なのに、そりゃちょっと変態かもしんないけど。
廃屋とか、公園のトイレとか、樹海とかで裸になって、
いやらしいポーズとったりするのが大好きな痴女かもしれないけどさ。
だからってこんな殺し合いさせられる言われはないと思うんだけど。
……はぁ……独り事になってるし」

自分以外誰もいない空間で何かを言っても仕方ない事に気付いた綾瀬。

(首輪…外したいな)

首にはめられた金属製の首輪に手を触れながら綾瀬が思う。
脱出しようにもまずこの爆弾内蔵の死の首輪を何とかしなければならない。
開催式での首輪爆破の実演は綾瀬も目撃していた。

(精密機器とかには一応詳しい方だしね。お父さんに色々教えられたから。
教えて欲しかった訳でもなかったけど。でも首輪の構造分からないとちょっと無理か)

下手にいじれば首輪は爆発する。まず内部構造が知りたかった。
そのためには別参加者の首輪を手に入れる必要があるが当然その参加者には死んで貰う事になる。
しかし綾瀬自身はいかに非常時とは言え、人を殺すのは抵抗があった。

(死体とか見つけたら……後味悪いけどやるしかないね)

よって、綾瀬が出した結論は、死体の首を切断して首輪を失敬する事。
人間の首がどれ程の強度を持っているかは分からないし分かりたくもないが、
今自分が持っているボウイナイフなら切断も可能だろう。
死体損壊はかなりの罪であると綾瀬は思い出すが自分の命がかかっているのにどうこう言っていられない。

「それにしても、誰もいない病院ですか……ああ、興奮しちゃう」

静寂に包まれた夜の病院、院長室という閉鎖空間に置かれた綾瀬は、
次第に自分の偏趣味を実行に移したい衝動に駆られた。

「勿論、そんな場合じゃないって事は分かります。
だけど……死ぬかもしれないんだから好きな事しとかないと。
後悔しないように、ね!」

そして綾瀬は遂に自分の着ている衣服を次々、驚く程の手際の良さで脱ぎ始めた。
数分も経たない内に綾瀬は生まれたての姿になった。
瑞々しい肌の肢体がひんやりとした空気に晒される。
冷たい空気とは裏腹に綾瀬の身体は興奮により火照り始めていた。

「ああ、病院の院長室で、私は生まれたての姿…」

どこかうっとりとした口調で呟きながら綾瀬は応接テーブルの上に乗り、
院長の机がある方に尻を向けた状態で四つん這いになり、そのまま高く尻を突き出すような体勢を取った。
院長机側から見れば、綾瀬の局部が丸見えになってしまう体勢である。
これが戸高綾瀬の趣味、もとい性癖であった。
誰もいない、しかし誰かが来るかもしれない、見ているかもしれない場所、
主に廃屋や公共の場での人目に付かない場所、森といった場所で裸になり、
あられもないポーズを取り興奮を得るのが、彼女の趣味であった。
それは自分の命が危ない殺し合いという状況においても変わらない。

「いいなぁ…やっぱり興奮しちゃう……次はっ、と……」

テーブルから下り、今度は綾瀬は院長机へと向かった……。


【一日目深夜/G-8病院:一階院長室】

【戸高綾瀬@オリキャラ】
[状態]:健康、興奮、全裸
[装備]:ボウイナイフ
[持物]:基本支給品一式
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。首輪の解除を目指す。
1:しばらく自分の趣味を楽しむ。
2:首輪のサンプルが欲しい。参加者の死体から入手?
3:もし可能であれば仲間が欲しい。
4:襲われたらどうする…?
※衣服は院長室内に放置されています。


≪支給品紹介≫
【ボウイナイフ】
ナイフの一種で、刃長20-30cmのクリップポイント、
しっかりしたダブルヒルトを持った大型のシースナイフ(鞘付きナイフ)。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】戸高綾瀬(とだか・あやせ)
【年齢】22
【性別】女
【職業】証券会社事務員
【性格】怠惰、羞恥心が絶望的に不足
【身体的特徴】茶髪ロングヘアをツインテール風に纏めている。
10代半ばに見える可愛らしい外見。胸はそこそこ大きい
【服装】白いカッターシャツと灰色のスカートの上に茶色いコートを羽織っている
【趣味】音楽鑑賞、廃屋など人気のない所で全裸になりいやらしいポーズを取る事
【特技】身体が柔らかい、精密機器の扱い、分解方法に詳しい
【経歴】18歳の時に近所の廃墟で趣味に耽っていた所、発情した野良犬に追い回され、
危うく犯されそうになった(本人はいつも以上に興奮できたらしいが)
【備考】父親が精密機器工場で働いていたのでやたら精密機器に詳しい。
日本風異世界国家出身




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最終更新:2010年04月24日 21:42
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