海賊と竜、反対の思考

12話 海賊と竜、反対の思考

ううむ、とんでもない事になってしまったな、殺し合いとは。
ワシことゴメスはいつものように家でホモAVを見た後眠りについたはずなんだが。
一体どこでどうやって連れ去られてきたのだろうな。
まあ「もしもの世界」では特に珍しい事ではないが…どうも今回ばかりはいつもと事情が異なりそうだ。

そして今ワシがいるのは、夜の闇に包まれた森の中。
足元がにわか均されているから林道か山道のような所らしい。
夜空には満月が浮かんでいて割と明るい。
デイパックの中身を確認すると、基本支給品の他、黒塗りのリボルバー拳銃と予備弾薬数十発が入っていた。
ワシは銃器は専門外なのだが…説明書を読めば何とかなるか。
名簿を見れば、アレックス、ブライアン、ヘレン、ドラゴナス、死神五世、ムシャ、デスシープと、
知っている名前が7人もあるではないか。
あいつらは今どうしておるのだろうか…ヘレンやムシャ辺りは殺し合いに乗っていそうな気がするが。
少なくともアレックスは殺し合いに乗るような奴ではない。
近頃は正直魔王軍より悪どい事をやってのけているような気もするが、
さすがに自分の命惜しさに全く見ず知らずの人々を平気で虐殺できる程外道にはなっていない、と信じたい。

「ん……」

名簿を見ている内に、仲間や知人以外に見覚えのある名字が二つあった。
「クリス・ミスティーズ」「レオン・ミスティーズ」の二人。
主催者の名前は確か――リリア・ミスティーズだったな。
主催者と同姓――何か関係があると思わざるを得ない。
最後の一人しか生きて帰れないこの殺し合いに、あ奴は肉親を参加させているとでも言うのか?
それとも、この二人、あるいはどちらかは、主催者による回し者? そう捉える事もできる。

何にせよ、ぜひとも会って話をしたいものだ。

さてこれからどうしたものか、無論、殺し合いに乗る気はない。
一応ワシは海賊ではあるが無駄に他人の命を奪うような悪党ではないさ。
いつもだったらいい男、いい女問わず食っちまう(性的な意味で)が、
さすがに今回ばかりはあまりふざける訳にもいかないだろう。

――まあ、少しはやるかもしれんが、息抜き的な意味で。

主催者によれば魔法や特殊能力の類は一切使う事ができないらしい。
つまり、「もしもの力」も「ゴメス博士」も今回は無し、という事だ。
例え死んでも次の話になれば何事も無かったように復活、という事もできないのだろう。
いつもより気を引き締めてかからねばなるまい。

ともかくこの森から抜け出すか、こんな薄暗い場所にいたのではいつ奇襲されるか分からないからな。
デイパックの中には懐中電灯も入っていたが、迂闊に点けるのはまずい。
殺し合いに乗っている奴が近くにいたらわざわざ自分の居場所を教える事になる。
無駄に戦いたくはない。

幸い、足元が見えるぐらいには明るい。
前方に向かって道が緩やかな下り坂になっているようだ、恐らく小高い山なのだろう。
つまりこの下り坂に向かって進んで行けばいずれは山も下りられ森も抜けられる、か?

「行ってみるか…」

ワシは右手にリボルバー拳銃を携えながら、暗闇の山道を歩き始めた。


――同時刻、同エリア、ゴメスよりやや離れた別の山道――


俺、大宮正悳は――え? 下の名前なんて読むかって? 「まさのり」だよ。
もう一度、俺、大宮正悳は、ある竜騎兵に使役されている竜だ。
まぁなんで人間の名前持っているのかと言えば、「大宮」は主人の名字で、
「正悳」は主人が付けてくれた名前なんだ。だから人間名表記になるって訳。

それで、俺は最近、ちょっとしたミスがきっかけで事故を起こしてしまい、翼を痛めてしまった。
幸い乗っていた主人に怪我はなかったが、しばらくの休養を余儀無くされた。
俺のミスなのに主人はとても心配してくれた。優しくしてくれた。

嬉しくて泣いちゃったよ。

だけど――。

「ふぅ……」

なーんで俺は、爆薬付きの首輪をはめられて、自分の厩舎じゃない、
薄暗い夜の森の中にぽつんと一匹でいるのかなぁ。
えーと、今まで起きた事を思い出してみよう。
ああそうだ、俺は、殺し合いの舞台にいるんだ。
リリア・ミスティーズとか名乗る、ドレス姿の厨二臭い女に殺し合えって。
暗くて良く分からなかったけど、俺の他にも大勢の参加者がいるらしい。
首にはめられた首輪は無理に外そうとしたり、逃げようとしたりすれば爆発する。
実演があったけど俺のいた場所からは人混みのせいでよくは見えなかった。
ただ、実演された奴の知り合いと思われる少年の叫びは俺の耳にもはっきり届いた。
赤の他人とは言え少し胸が痛くなった。

だけど、俺が今考えるべきなのは他人の事より自分の身の振り方。
名簿を見たけど俺の主人の名前は無かった、他の知り合いの名前も見当たらない。
主催者と同姓の奴が二人いたのは少し気になったが。

地図、名簿、懐中電灯、筆記用具、時計、水と食糧…そして、これは――グレネードランチャーって奴か。
炸裂弾5発とセットで入っている。強力そうだけど予備弾が少ないから使い所は見極めないとな。
まあ俺には鋭い爪と牙、空を飛べる翼に尻尾もあるから、いざという時は肉弾戦もいける、と思う。

知り合いはいないのなら、殺し合いを拒否する理由もない。

「――なら俺は、主人の待つ元の世界に帰るために、殺し合いに、乗ろう」

俺の心は決まった。

そうと決まれば――獲物を探しに行くとしようか。



【一日目深夜/C-3森:北側山道】

【ゴメス@VIPRPG】
[状態]:健康、北方向に移動中
[装備]:スタームルガー ブラックホーク(6/6)
[持物]:基本支給品一式、.357マグナム弾(30)
[思考]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:この森を抜ける。
2:元世界の仲間、知人と合流したい。ただしヘレンとムシャは警戒。
3:首輪を外したい。
4:襲われたら説得してみる、無理なら戦うか逃げる。
※名簿に書かれた主催者と同姓の二人が気になっています。


【一日目深夜/C-3森:東側山道】

【大宮正悳@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:H&K HK69(1/1)
[持物]:基本支給品一式、40mm榴弾(5)
[思考]:
0:元の世界に帰るために、優勝する。
1:これからどこへ行こうか。
2:他参加者を見付けたら容赦なく殺す。



≪支給品紹介≫
【スタームルガー ブラックホーク】
アメリカのスタームルガー社の代表的なシングルアクションリボルバー。
既にパテント(特許)の切れたコルトS.A.Aをベースに開発された。
西部劇さながらの早撃ち競技などで需要が高い。
使用弾薬:.357マグナム弾 装弾数:6発

【H&K HK69】
1969年頃に開発された中折れ式の摘弾発射器。
拳銃型だが伸縮可能な銃床を持つため保持しやすい。
銃身にはライフリングが施されており、短銃身ながら他の擲弾発射器と比べて射程が長く命中精度も高い。
使用弾薬:40mm榴弾 装弾数:1発


≪オリキャラ紹介≫
【名前】大宮正悳(おおみや・まさのり)
【年齢】19
【性別】雄
【職業】ドラグーン(竜騎兵)の竜
【性格】基本的に温厚、主人に非常に忠実で一図
【身体的特徴】青い体色を持った獣足型の竜。腹の部分は肌色。それ程大きくはない
【服装】服を着る概念がない
【趣味】主人を思いながら自慰
【特技】翼を使って空を飛ぶ事、自己流の爪牙格闘術
【経歴】自慰のやり過ぎで性器を痛めた事がある
【備考】主人とは家族同然の絆で結ばれている。日本風異世界国家出身




もしもムシャが修羅になったら 時系列順 幽霊船で泣く兎
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最終更新:2010年04月29日 21:45
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