不意討ちは時々高難易度

10話 不意討ちは時々高難易度

切り立った、高さ十数メートルはあろうかという断崖絶壁。
崖の下は尖った岩が幾つもあり、落下でもすればほぼ確実に死ぬ。
自殺志願者でも自殺を躊躇ってしまいそうな恐ろしい光景。
そんな危険な崖下を覗き込む一人の狐獣人の女性――ドーラ・システィールがいた。

「落ちたら即死だねぇこりゃ」

幾多の死線をくぐってきたスナイパーである彼女でも、
崖の高さと崖下の状況を見ると少し怖気付いてしまう。

そんなドーラの背後から、足音を殺して忍び寄る影があった。
その影はドーラの背中まであと数メートルの所まで迫ると、
両手を前に就き出すような体勢を取る。

そして、一気にドーラの背中を押し――。

「…れっ?」

押せなかった。
ドーラが直前でひらりとかわしたためだ。
そしてその勢いのまま、崖の方向へ。
影――青い髪に白っぽい丈の短いローブを着た少女、フォナ・アンシュッツは、
勢い余って崖から転落寸前になった。

「ああああ! う、うわ、ああああ、うわああ」

大きく手を振り必死に落ちまいとするフォナ。
だが最早彼女の身体は大きく崖の方向――何もない、落ちれば真っ逆さま、死が待っている方向に傾いていた。
そしてついに、フォナの身体がその方向へ更に傾く――つまり、落下。

だが、フォナの身体は落下する事はなかった。
ドーラがフォナの衣服を掴み、思い切り地面のある方へと引っ張ったからだ。

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ…」

地面に座り込み、生えている雑草の感触で今自分が生きている事を実感するフォナ。
その目には涙が滲んでいた。

「ちょっとアンタ」

そんなフォナに殺されかけたドーラが威圧的な口調で尋問を開始する。
はっと我に帰ったフォナは頭上のドーラの顔の方に向き直った。
腰に右手を当て、こちらを睨み付ける美しい身体付き、顔立ちの狐獣人の女性の姿がそこにあった。

「あ、えーと、その」
「さっきあたしを殺そうとしたねぇ?」
「い、いや違うよ!! ちょっと声を掛けっ」
「嘘つくんじゃないよこのガキ!」

ドーラがフォナの髪を掴み思い切り上に引っ張り、無理矢理立たせた。

「あたしを殺そうなんて良い度胸してるじゃないかい、名前は?」
「ひっ……フォナ・アンシュッツですっ…」
「そうかい。あたしはドーラ・システィール。フォナ、さっきあたしを突き落とそうとしたって事は、
アンタはこの殺し合いに乗る気かい?」

涙目になっているフォナに顔を近付け、ドーラが凄みの効かせた声で訊く。
その問いに対し、フォナは震えながらこくりと頷いた。

「だって…最後の一人にならなきゃ帰れないって…私、まだ死にたくないもん……」
「気持ちは分かるよ。まァ、でも、最初に出会った相手が悪かったねぇ。
アタシも不意討ちには慣れてるからね、分かるんだよ背後狙う奴なんてのは。
しかもアンタ、どうやら戦いに関しちゃ素人みたいだしねぇ、尚更さ」
「う……ううう………」
「さてと……こいつはあたしからの、お仕置きだよ!」
「うぐっ!?」

フォナの鳩尾に、ドーラは渾身の膝蹴りをお見舞いする。
短い悲鳴を上げ、口から大量の吐瀉物を吐き出したフォナはそのまま伸びてしまった。
意識を失ったフォナを地面に放り投げ、ドーラはふぅと溜息をつく。

「全く面倒な事になったもんだね、殺し合いなんて」

やっとの事でコバルトを討ち倒し、勝利の美酒を仲間達と共にあおった後、
すっかり泥酔したドーラは宿泊先の宿屋にある自分の部屋に戻り、
そのまま爆睡してしまった、はずだったのだが。

「名簿にはアイン隊長の女の名前もあったし…隊長がいない事は幸いだね。
……とりあえず、あそこに見えるでかい家に行ってみようか」

ドーラは気絶させたフォナをそのまま放置し、
遠くに微かに見える豪邸に向け、崖沿いを歩いていった。



【一日目深夜/H-2崖周辺】

【ドーラ・システィール@FEDA】
[状態]:健康、H-3豪邸に移動中
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1~2、本人確認済)
[思考]:
0:今の所殺し合いをする気はない。
1:とりあえず豪邸を目指す。
2:シェリーについては保留。
※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。
※フォナ・アンシュッツの名前と容姿を記憶しました。

【フォナ・アンシュッツ@オリキャラ】
[状態]:気絶、腹部にダメージ
[装備]:不明
[持物]:基本支給品一式、不明支給品(1~2、本人確認済)
[思考]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す。
1:(気絶中)
※ドーラ・システィールの名前と容姿を記憶しました。
※いつ頃起きるかは書き手次第です。
※魔法が使えましたが主催側の制限により使用不能です。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】フォナ・アンシュッツ
【年齢】16
【性別】女
【職業】魔法使い、薬師
【性格】ドジっ娘(笑)
【身体的特徴】青い艶やかな長髪、童顔だが身体は魅力的
【服装】白い丈の短いローブに革製のニーソ状の履物、編上靴
【趣味】料理
【特技】炎系、氷系、雷系の攻撃魔法、及び低級ではあるが回復魔法を行使
薬品の調合により治療薬、毒薬、爆薬などが作成可能
【経歴】12歳の時に薬師だった両親を戦災で亡くし、以来一人で主に薬師として生計を立ててきた。
しかしやはりそれだけでは生活は苦しいようで、魔法能力を利用して傭兵紛いの事もやったり、
身体を売った事も一度や二度ではない(避妊用の魔法を掛けて凌いでいたらしい)
【備考】非リレーロワ・個人趣味ロワに登場した支給品、
「フォナ特製催淫剤注射セット」を開発した本人。ただし、
別の薬品を作成中に偶然できてしまった代物らしい。
RPGファンタジー風異世界出身



考える伯父 時系列順 もしもムシャが修羅になったら
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GAME START ドーラ・システィール 異世界と異文化
GAME START フォナ・アンシュッツ The unexpectedness and it are fatal.

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最終更新:2010年04月16日 02:01
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