You got me mad now

遠くの方で、銃声のような音が響いた・
「始まってるみたいだねえ…」
「くっ…」
教会にて竹科辰美、柊つかさ、トニー・梅田の三人はこれからどう動こうか思案していた。
三人ともこの殺し合いに乗る気はない。
だが辰美とつかさ、トニーの三人の間には微妙な若干の思考の乖離があった。

辰美の目標は、殺し合いの打倒。
あのメガネの男を打倒し、あの最初に殺された桃色の髪の女性をはじめとした、殺し合いに巻き込まれた人の無念を晴らす事。
つかさの目標は、殺し合いからの脱出。
姉であるかがみ、親友であるこなた、みゆきとともに、元いた日常へと帰る事。
トニー・梅田の目標は……とりあえず殺し合いからの脱出。
特に守りたい人もいるわけでもないが、こんな場所で死ぬつもりもない。
だから、生き延びて脱出する。それだけの事。

「トニーさんは…これからどうするんですか?」
「うーん……」
今教会には、トニーとつかさしかいない。
辰美は教会の周りを見回りに行く、と言って出てしまっていた。
殺し合いに乗る気はないといえど、どのように動けばいいのか考えは浮かばない。
頭を抱えるつかさを見かねたトニーが、口を開いた。
「つかさちゃんは、どうしたい?」
「トニーさん?」
「つかさちゃんはこの殺し合いに乗る気はないんだろ?」
「は、はい!こんなこと、しちゃいけないって私は思ってます!」
怯えながらもはっきりと、つかさは言った。
その眼差しから確固たる信念を察したトニーは軽く息をつくと、つかさをじっと見つめた。
「つかさちゃん、つかさちゃんの探してるのはつかさちゃんのお姉ちゃんのかがみちゃんに友達のこなたちゃんにみゆきちゃん、以上でよかったかい?」
「あ、はい…」
「よし分かった、つかさちゃん、俺がその三人探してきてやるよ。」
「え、でも…危なくないですか?」
「大丈夫大丈夫、俺は強いからね。」
そう言って、トニーはニッと白い歯をのぞかせた。
「じゃあ…お願いしてもいいですか?」
「ああ、任せな。」
そう言ってトニーは木刀を腰にさすと自分のデイパックをひょいと背負った。
「んじゃ、行ってくるぜ。必ず戻ってくるからな。」
「あ、トニーさん、待って!」
「なんだい?」
「あの…これ、持って行って下さい!」
そう言ってつかさがトニーに渡したのは、緑、赤、青の三色のハーブだった。
「何だいこりゃ?」
「私も良く分からないんですが、傷に効くそうです。」
そう言ってつかさはトニーに同封されていた説明書を渡した。
そこにはそのハーブの効能が書かれていた。
「良いのかい?つかさちゃん。」
「はい、結構な数が入っていましたから。」
そう言ってつかさはデイパックからケースを取り出した。
中にはつかさの言ったように結構な数のハーブが入っていた。
「…すまねえな、この御礼は必ずするからな。」
「御礼だなんてそんな…」
「そんじゃ、善は急げだ。それじゃ…」
「水臭いですよトニーさん。」
門を開け出ようとしたトニーだったが、その門は既に開かれていた。
そしてそこにはたった今見回りから帰ってきた辰美が立っていた。
「ありゃりゃ…クールに去ろうと決めていたのに。止める気かい?」
「止めはしませんよ。ですが、そんな木刀一本で行く気ですか?」
「そりゃ武器はこれしかないしね。その剣が欲しいところだけど、それは君が持っておくべき武器だ。なら俺はこの木刀で切り抜けるさ。」
「……トニーさん。」
辰美は持っていた自分のデイパックを開くと、そこからあるものを取り出しトニーに手渡した。
「…何だいこりゃ?」
手渡されたそれは、駄菓子風のプリントがなされた包装に包まれたどうみても駄菓子だった。
「…辰美君、俺もう35だよ?駄菓子もらって喜ぶ年頃じゃないんだけどなあ…」
「いえ、これは確かに駄菓子ですが、煙幕にもなるそうなんです。」
「はあ?」
辰美が出した説明書によると、確かに煙幕にもなると書いてあった。
半信半疑ではあったが、くれると言っているものを無下に断る道理もない。
トニーは辰美から駄菓子――んまい棒を受け取った。
「ん~、これが煙幕に、ねえ?」
「僕も半信半疑ですが…」
「ちょっと試していいかい?」
「え?」
言うが早いがトニーはんまい棒を一本取り出すと地面に叩きつけた。
叩きつけられたんまい棒は一瞬で爆発し、辺りにもうもうとチョコレート色の煙が立ち上った。
「うわっ…」
「ほ、本当に煙幕だったんだ……ごほごほ」
辺りの煙がチョコの甘ったるい匂いを残して消えさった頃には、もうそこにトニーの姿はなかった。
「行っちゃった……」
「……そうですね。」
「大丈夫かなあ…」
「…どうでしょうか……」
二人は、チョコの残り香とともに、行ってしまったトニーの身を案じることしかできなかった。





【C-5教会/1日目午前】
【竹科辰美@ブシドーブレード弐】
[状態]:健康
[装備]:最強の神剣@カオスウォーズ
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、んまい棒@銀魂(5本)
[思考]1:メガネの男(日野)を必ず打倒する。
   2:つかさを守る。
   3:トニーさん…
   4:つかさの探し人を探したい。
   5:空蝉とも合流しておきたい。

【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)、ハーブセット@のび太のBIO HAZARD
[思考]1:みんなと一緒に殺し合いから脱出したい。
   2:辰美、トニーを信頼。
   3:みんなと早く合流したい。
   4:トニーさん…





ぶらぶらと、腰に木刀をさしたアフロの剣士トニー・梅田は歩く。
(メガネくん……名前は分からないからとりあえずこう呼ばせてもらうよ。)
トニーの頭にあるのは、あの大広間で自分達に殺し合いをしてもらうと言ったあのメガネの男。
彼には特に縁もゆかりもない、名前すら知らないトニーだったが、その頃にある感情は本物だった。
(君はつかさちゃんのような女の子を悲しませ、辰美君のような勇敢な若者を怒らせ……そして俺の逆鱗にも、触れた。)
(この俺を色ものか何かだと思ってるのならば、それはそれで構わない。)
(だが……だがな、メガネくん。)
(君はこの俺を怒らせた。それがどういう意味を持つか……分からせてやるよ、絶対に。)

大きなサングラスの奥の眼が、激しい怒りに燃えていたのを、見たものは誰もいない。





【トニー・梅田@ブシドーブレード弐】
[状態]:健康、激しい怒り
[装備]:銀さんの木刀@銀魂
[道具]:基本支給品一式、ハーブセット@のび太のBIO HAZARD、んまい棒@銀魂(4本)
[思考]1:メガネくん(日野)に、自分の意思を見せつける。
   2:つかさの探し人を探す。
   3:仲間になってくれそうな人を探す
   4:ついでに今以上の武器も探したい。



【支給品情報】

【ハーブセット@のび太のBIO HAZARD】
柊つかさに支給。
体力を回復するグリーンハーブ、グリーンハーブと調合することで回復量を増やすレッドハーブ、同じくグリーンハーブと調合することで解毒作用をもたらすブルーハーブの詰め合わせセット。
量は結構ある。

【んまい棒@銀魂】
竹科辰美に支給。
攘夷志士、桂小太郎の携帯している駄菓子兼煙幕。
コーンポタージュ時、サラミ味、チョコ味の三種類の味が楽しめる。




040:負けて死ね 投下順 042:無情なる風
040:負けて死ね 時系列順 042:無情なる風
022:アフロヘアーに悪い奴はいない トニー・梅田 :[[]]
022:アフロヘアーに悪い奴はいない 柊つかさ :[[]]
022:アフロヘアーに悪い奴はいない 竹科辰美 :[[]]

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最終更新:2011年08月30日 21:22
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