ふたりはスカーフェイス

「刑務所とは・・・俺にぴったりの場所を用意してくれたな」

元白峰組員、牛尾 政美は牢獄の中にいた。
彼は怒りに燃えていた。いきなり首輪を嵌められ、殺し合いに巻き込まれたせいもあるが、それだけではない。
元暴力団組員の自分はともかく、無関係な一般市民を巻き込んだこと。そして、罪なき少女の命を奪ったこと。
牛尾はヤクザという職業柄、他の組との抗争で多くの人間を傷付けてきた。中には命を奪ってしまった者もいる。
だが、それでも堅気の人間にだけは一度も手を出したことはなかった。それを奴らは・・・・
誰がこんな殺し合いに乗るものか。暴れ牛の異名に懸けて、俺がブッ潰してやる。

「さて、その為にはまず」

いかに暴れ牛といえど、40人以上の参加者がひしめく会場に、何も考えずに突っ込んでいけば返り討ちにあうだろう。
正直、頭を使うのはあまり得意ではないが、そんな事を言っている場合ではなさそうだ。
まずはデイバッグの中から地図を取り出し、凝視しはじめた。

「まずは仲間を集めねぇとな。えぇと・・・俺が今いるのが刑務所だから・・・E-3か。
 この近くで人が集まりそうな場所は・・・病院だな。よし、さっそく・・・ん?」

地図をデイバックにしまい、立ち上がろうとした牛尾の眼前に現れたもの。それは耳の大きな一匹のトラ猫。
右目は失われており、額にはバツ印の傷を残し、首からは真っ赤なマントを羽織ったその姿からは、
その猫が並々ならぬ人生を送ってきたことがうかがえる。きっと元暴力団の自分にも劣らぬ修羅の道を歩んできたのだろう。

「のぅ、お主」

どこから声が聞こえた。ここには自分とトラ猫しかいないハズだが。
牛尾は背後を振り向くが、やはりそこには誰の姿もなかった。

「お主、拙者が呼んでいるのが聞こえないのか?」

いや、本当はどこから声が聞こえているのかは分かっていた。
だが、彼はその事実を認めようとはしなかった。何故なら、彼の知る常識では、その生物は人語を発したりはしないからだ。

「おお、ようやく気がついたか。拙者はマタタビと申す」

元の向きに振り返った牛尾の目に映ったのは、二本足で立ち上がり、人語を発するトラ猫の姿だった。


「お、おぅ、そうかマタタビか。俺は牛尾 政美ってんだ。よろしくな。
 ところで、マタタビ。俺と手を組まねぇか?」
「お主と?」

「ああ、そうだ。他にも仲間を集めてこんな殺し合い、俺達でブッ潰すんだよ。
 あんな連中の言いなりになるなんて、ゴメンだろ?」
「・・・うむ、拙者もキッドに恨みを晴らすまで死ぬわけにはいかないからな。
 牛尾殿、よろしくたのむ」

牛尾はマタタビと牢屋ごしにガッシリと手を握った。
まさか最初の仲間が猫、しかも喋る猫になるとは予想だにしなかったが、彼は不思議と気分は良かった。
マタタビの外見に親近感を感じたからかもしれない。

「ところでよ、さっき言ってたキッドって誰なんだ?」
「ああ、キッドか・・・拙者の右目をくり抜いた黒猫よ!
 拙者はキッドに復讐するために旅を続けてきたんだ!!」
「へぇ・・・ひどい事する奴もいるんだな」

牛尾は牢屋のドアを開けると、マタタビと並んで歩幅を合わせて、ゆっくりと病院へと歩き出した。
ここに、牛と虎の凸凹コンビが誕生した。



1日目・深夜・E-3・刑務所

【牛尾 政美@街 ー運命の交差点ー】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:病院に向かう
2:仲間を集める
参戦時期は、本編終了後です

【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:病院に向かう
2:仲間を集める
参戦時期は、本編登場直後です
備考:キッド(クロ)が参戦している事に気づいていません

■参加者紹介
【牛尾 政美】
関東有数の暴力団である、元白峰組員。
白峰組内でもトップクラスの喧嘩の腕を誇り、暴れ牛の異名で恐れられていた。
半年前に足を洗ったあと、宝石店の店員にプロポーズしようとしたところ、宝石強盗に巻き込まれた不幸な男。

【マタタビ】
クロの親友であり、ライバル。クロの事はキッドと呼ぶ。
かつて事後によってクロに右目を奪われており、それ以来クロを恨んでいる。
生身の猫でありながら、人語を話し、クロと互角に戦うほど強い。

孤独な傭兵 投下順 [[]]
GAME START 牛尾政美 [[]]
GAME START マタタビ [[]]

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最終更新:2011年07月21日 18:38
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