幕間‐殺人狂‐

第四十二話≪幕間‐殺人狂‐≫

エリアF-1に存在する駐在所。
普通ならここには市民の安全を守る警官がいるはずなのだが、
警官の姿は無く、いるのは既に三人を手に掛けた殺人鬼・高野雅行ただ一人。
奥にある居間として使っていたと思しき和室で、壁にもたれて座りながら、
先刻屠った鹿獣人の持っていたミント味のガムを噛む雅行。

彼は正直な所、余り機嫌が良く無かった。
殺しを楽しみたいと言うのに、あの鹿獣人を殺してからと言うもの、
一人として他参加者と遭遇していないのだ。
自分の他にもこのゲームに乗っている者はいるだろう。
自分の楽しみが少なくなってしまうのは嫌だったが、焦っても仕方が無い。
拠点として使っているこの駐在所で、自分の武装を確認した雅行。
自分の元々の支給品、グロック19と濃硫酸。
グロック19は扱いやすい自動拳銃で申し分無い。濃硫酸は榴弾のように使う事が出来る。その威力は獅子獣人との戦いで実証済みだ。
その獅子獣人から奪ったマグナムリボルバー。
威力は大きいが反動が強く連射には向かず、重くて扱い易さに難がある。止めを刺す時に使う方が無難だろうか。
そして牛獣人から奪ったサブマシンガン。
反動がマイルドで扱い易く、火力も高いが、弾の消費が早いので無駄撃ちは避けたい所だ。
鹿獣人からは武器は入手出来なかったが、ガムは入手する事が出来た。

こうして見てみれば、雅行は武装にはかなり恵まれている方だった。
後は標的さえ見つかれば、彼は非常に満足だったのだが。

雅行はデイパックから名簿を取り出して広げ、ゴシック体で印刷された参加者達の名前を見つめた。

「石井剛夫……大崎年光……緒方修二……織田信治……鉤丸聖人……川田喜雄……」

書かれている名前を順に読んでいく雅行。
この名前の中には、自分が殺した三人の名前も含まれているのだろう。
そして、この殺し合いを勝ち抜いていけるような実力者も含まれているに違い無い。

「……筑紫晴景……富松憲秀……富山醇一……中山淳太……長谷川俊治……藤倉直人……」

名前を読み上げながら、雅行はそう思っていた。

「……中松英子……長谷堂愛……松宮深澄」

全ての名前を読み上げ、名簿を折り畳み、デイパックにしまう。
そして味が無くなったガムを包み紙に包んでゴミ箱に捨てた。
時計を確認すると、時刻は午前11時12分。
最初の放送があるまで、後一時間を切っていた。
放送で発表されるという、その時刻までに新たに死んだ者の数と名前、そして禁止エリア。
この二つの情報は重要だ。特に後者は自分の命に関わる事。
うっかり禁止エリアに入り込んで死亡、などという無様な死に方はしたくない。

雅行は第一回放送がある昼の12時までは、この駐在所に留まる事にした。
午後から、本格的に「狩り」を始める事を決意して――。


【一日目/昼前/F-1駐在所】

【高野雅行】
[状態]:健康、やや不機嫌、返り血(少)
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、GM M3”グリースガン”(30/30)、M3の予備マガジン(30×9)、
S&W M29(6/6)、44マグナム弾(42)、グロック19(5/15)、 グロック19の予備マガジン(15×8)、
濃硫酸(2)、ミント味のガム(8)、藤倉直人の水と食糧、喜連川為郎の水と食糧、
緒方修二の水と食糧
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:他参加者を見つけ次第、殺す。
2:昼の放送まではこの駐在所に留まる。
[備考]
※特に優勝を目指す訳では無く、純粋に殺しを楽しむのが目的のようです。




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最終更新:2009年10月26日 23:36
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