男なら当然?

第四十一話≪男なら当然?≫

エリアH-4灯台の管理人詰所。
竜人の少年・本庄忠朝とバニーガールの女性・伊藤文子は、
詰所内のパイプ椅子に座りながら、冷蔵庫の中に入っていたコーラと、
戸棚に収められていたスナック菓子で軽い食事を取っていた。
食事というより、おやつと言った方が良いのかもしれないが。

「カール、どうですか?」

忠朝がチーズ味のカールの袋を文子に差し出す。

「うん、貰う」

差し出されたカールを受け取り、袋を開けて食べる文子。

二人は数時間前、この灯台でバッタリ遭遇した。
最初は互いに警戒していたが、事情を話し合うと、双方殺し合いに乗っていない事が分かったので、
こうして一緒に灯台の管理人詰所に身を潜めていた。
二人共、一人でいるのは心細く、精神的にも辛かったので、
一緒にいてくれる人がいるというだけで心の支えになっていた。

「それにしても、トモ君の支給品、凄いアタリよね、これ」

文子がカールを頬張りながら、テーブルの上に置かれた古めかしいデザインの小銃を指差す。
ちなみにトモ君とは忠朝の事である。
テーブルの上に置かれた忠朝の支給品――レバーアクション小銃・ウィンチェスターM1873。
44-40ウィンチェスターという拳銃弾を使用するモデルである。
忠朝と文子も、西部劇などを題材にしたテレビ番組でこの銃を目にした事があった。

「です、ね……」

忠朝がM1873を手に取り、肩付けに構えながら言う。
使用方法、装弾方法は添付されていた説明書を読んでほぼ理解した。
この説明書と言うのがまた図や文章で非常に丁寧かつ親切に記載されているのだ。
使いこなせれば襲撃された時などに、大きな助けとなるだろう。
しかし、二人はこの灯台から可能な限り動かないでいるつもりだった。
下手に動くと危ないので一ヶ所に留まっておこう、という二人の協議の結果である。
主催者が開催式の時に言っていた「禁止エリア」というのに自分達がいるエリアが指定されない限り、
もうずっと同じ所に隠れていようと決めたのである。

「あ、うすしおチップ貰っていいですか?」
「いいよ」

うすしお味ポテトチップスの袋を忠朝に手渡す文子。
手元にあるお菓子を無表情で黙々と食べる学生姿の竜人の少年とバニーガールの女性。
第三者が見れば異様な光景に見えたであろう。
いや、実を言えば忠朝は無表情では無い。と言うのも、お菓子を食べながら、
横目でチラチラと見ている物があった。

文子の胸の谷間――俗に言う「神々の谷間」である。

まだ性の知識が浅く、抵抗力もほとんど無い純朴少年である忠朝にとって、
肌の露出が高いバニーガールの衣装を着た若い、自分より少し年上の女性の姿は、
非常に刺激的であった。
ましてや、それがすぐ隣、30センチにも満たない距離に座っていれば、尚更である。

「……伊藤さん、僕、ちょっとトイレ行ってきます」
「え? あ、うん、行ってらっしゃい」

忠朝は別に尿意も便意も催してなどいない。
ではなぜトイレに向かうのか? その答えは――。


「ハァ……ハァ……ハァ……」

数分後。トイレの中。便器に腰掛け肩で息をしている忠朝の姿があった。
立ち上がってズボンを上げ、便器の中を覗き込む。
そこにはトイレットペーパーを丸めた物が数個、水に浮かんでいた。


【一日目/昼前/H-4灯台】

【本庄忠朝】
[状態]:健康、脱力感
[装備]:ウィンチェスターM1873(14/14)
[所持品]:基本支給品一式、44-40ウィンチェスター弾(140)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:気持ちよかったぁ……ハァ……。
2:伊藤さんと行動を共にする。
3:一ヶ所に留まり、出来るだけ動かないようにする。

【伊藤文子】
[状態]:健康、死に対する恐怖(軽)
[装備]:ブッシュナイフ
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いはしない。生き残る。
1:トモ君(本庄忠朝)と行動を共にする。
2:一ヶ所に留まり、出来るだけ動かないようにする。




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最終更新:2010年01月03日 12:56
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