第四十話≪嗚呼、この想いは溢れて≫
大海原を眺めながら、人狼型の使い魔・黒牙とそのマスターである黒髪の少女・大木弓那は、
デイパックの中に入っていた食糧を頬張っていた。
黒牙はビーフジャーキー、弓那はグラタンコロッケパンである。
今二人がいるのは軍事施設の地下壕跡。
しかし崩落より、海に面した崖に横穴があるような状態になっていた。
ここならば、誰にも見つからずに済む。
互いに殺し合い、最後の一人にならなければ生きて帰る事は出来ないという、
殺人ゲーム・バトルロワイアルの中、
強い信頼関係と愛情で結ばれた黒牙と弓那は、殺し合いを放棄し、
死ぬまで添い遂げる事を決心した。
黒牙は尻尾で弓那の事を包んだり、首を甘噛みしたり、擦り寄って甘えたりしている。
弓那もそれに応えるように、黒牙の頭や顎の下を撫でたり、鋭い牙の生えた口にキスをしたり、
ふかふかの胸元の毛皮に抱き付いたりした。
さて、互いを深く愛している者同士が直接的なスキンシップを続けていると、
欲望が理性を塗り潰していく事が多い。
この二人の場合も、まさにそのパターンだった。
もっとも、黒牙と弓那は、この地下壕跡に留まる事を決めた直後ぐらいに、
すでに何度も「行為」に及んでいるのだが。
「行為」というのは、まあ、俗に言う「おしべとめしべ」「親のを見るとトラウマになるアレ」である。
弓那の服装は制服のスカートとYシャツ、ソックスである。
スカートとYシャツの下には何も着ていない。
下着とブレザーのジャケット、靴は端の方に無造作に放り出されている。
これは弓那当人が「すぐ行為に及べるように」と、自ら施した措置である。
そして、理性という名の防衛部隊が今、欲望という名の突撃部隊によって
突き崩されようとしている人狼・黒牙。
ついにたまらず、弓那を優しく押し倒す。
「ゆっ、弓那……いい、かな?」
ハッ、ハッ、と息を荒げ、口の端から涎を垂らし、ぎらぎらと情欲に満ちた目で黒牙が弓那に請う。
弓那は嬉しそうな表情を浮かべ、黒牙の頬をに優しく手を添える。
「いいよ……もう、遠慮せず、どんどん来て」
そして、黒牙が望んだ「許し」が出る。
歓喜の雄叫びを上げ、そして――。
◆
二人の愛は燃え上がる。燃え尽きる事は無いだろう。
【一日目/昼前/B-1地下壕跡】
【黒牙】
[状態]:健康、戦闘完全放棄、興奮
[装備]:無し
[所持品]:水と食糧、大崎俊代の水と食糧、栄養ドリンク
[思考・行動]
基本:もう殺し合いなんかどうでもいい。ずっと弓那と一緒にいる。
1:弓那!! 弓那あああああ!!!
[備考]
※彼の特殊能力は全て封印されているようです。
※バトルロワイアルを放棄しました。もう大木弓那の事しか頭にありません。
【大木弓那】
[状態]:健康、戦闘完全放棄、興奮
[装備]:無し
[所持品]:地図、時計、ペン、懐中電灯、水と食糧
[思考・行動]
基本:もう殺し合いなんかどうでもいい。ずっと黒牙と一緒にいる
1:黒牙!! 黒牙~!!
[備考]
※特殊能力が使えなくなっている事に気付きました。
※バトルロワイアルを放棄しました。もう黒牙の事しか頭にありません。
最終更新:2009年11月05日 01:08