偶然の一致

深夜の公園の街灯の下で、二人の学生が支給品の確認をしていた。

一人は、教師だと言われても全く違和感のない、『威風堂々』という四字熟語の似合う男子中学生。
一人は、小学生だと言われても全く違和感のない、『ちんまり』という擬音の似合う女子高生。

男子中学生の名は手塚国光。
女子高生の名は小早川ゆたか。

手塚は少女の怯えた様子と純粋さを見て、また、ゆたかは少年――正直彼を『少年』と表記するのは違和感がゲフンゲフン――の実直さを見て、
互いに『殺し合い』に乗っていないことをすぐに理解する。
ならば共に行動しない理由はないと、二人はベンチの上で支給品を広げていた。
そして、ゆたかはここで初めて己の支給品を目にする。
それは、意外な、しかし、あまりにもなじみ深いものだった。

「こなたお姉ちゃんの携帯電話だ……」
黒いカラーリングに、四角いフォルム。
そしてアニメヒロインの待ち受け画像は、まぎれもなく従姉こなたの愛用携帯電話。
「これで外と連絡できたりは……しないよね」
「それができたら『殺し合い』として成り立ちません」
手塚はにこりともせず、眉間にしわを入れて答えた。
「……そ、そうだよね」
ちなみに、その表情は手塚の地顔であり、ゆたかに苛立ったわけでは決してない。
しかし、しょぼんと沈んだゆたかを見て、流石の彼も誤解を招いたと気づく。
「しかし、電話を支給したからには、どこかにかけられる仕様かもしれません」
とフォローを入れた。
ちょうどそのタイミングだった。

ぶるる、という震動がゆたかの手をはしった。

「きゃうっ……!」
場違いに、女の子の高い歌声が響く。

――みっ、みっ、ミラクル、みっくるんるん

アニメ声の着メロが鳴り響き、手の中で携帯が震える。

ゆたかの心臓が、ばくんばくんと限界量まで大きく鳴った。
手塚も、表情こそ変わらないが動揺しているようだった。
着信には『携帯電話A』としか書かれていない。
この着信の電波の先には、誰がいるんだろう。
行方不明のこなたを心配したそうじろうがかけているとは思えない。
電話の主は、他の参加者か、……もしかして、もしかすると主催者か。
手塚のように友好的な人か、もしかすると危ない人かもしれない。
危ない人だったらどうしよう……。


「俺が代りに出ましょうか」

手塚の声で、ゆたかは我に返った。

そうだ、危ない電話かもしれないけど、ここは電話を取らないといけないところだ。
情報を手に入れることは、こなたやみなみたちを探すために必要なのだから。
「ううん。わたしが出る! それぐらいしたいからっ。
お姉ちゃんにちゃんと電話を渡せるように、ちゃんと管理したいから」
あの暗闇の中で、手塚が声をかけてくれなかったら、
ゆたかはずっと座り込んで怯えていたままだったと思う。
だから、ゆたかも動けるように、誰かの役に立つようになりたい。
せめてできることから、少しずつ成し遂げていきたい。

……とはいえ、もし危険人物だったらどう話したらいいんだろう。
いや、そもそもゆたかには、危険人物と安全な人の見分け方も分からないのだけど。

「偽名を使えばいいのではないでしょうか?」

もう一人の『彼』が、そう助言してくれた。
「そんなことをして、先方の信頼を損ねるんじゃないか?」
手塚が生真面目な顔で反論する。
「信頼できそうな相手だったら、改めて名乗り直せばいいんです。
関係を切る時に偽名だと言っておけば、借りた名前の人にも迷惑をかけません。
私の主も、少々胡散臭い仕事を引き受ける時など、たまにそうしています」
その重く低い声は、こういう場数を踏むことに慣れている感じがした。
だからゆたかは、『彼』の言うことを信用しようと思った。
嘘をつくことには心が痛んだけれど。
勇気を出して、『通話』ボタンを押す。

「はい、もしもし……」

『もしもし。良かった、繋がった。
どうか落ちついて、警戒しないで聞いてください。
僕は殺し合いなどするつもりはありません』

穏やかな口調の、男の人の声だった。
その誠実そうな声に、少しだけゆたかの緊張がゆるむ。

『僕は夜神月といいます。東応大学の法学部一回生です。
父が警察庁の刑事局に勤務していて、僕自身も警察官を志望しているので、
多少は非常時の心得があります。
とは言っても、この状況では身分を証明するものなどありませんが』

警察官志望。
だからこんな状況でも冷静なのだろうか。
名乗ってくれたのだから、ここはゆたかも名乗るところだ。
参加者名簿の中から、とっさに使う名前を探す。

これにしよう、と思った。

ぱっと見で『その名前』を選んだのは、名字に親近感を覚えたからだった。

昨年新婚したばかりの、大好きな姉の新しい名字と同じ読み方。


「私は、鳴海歩(あゆみ)です。高校生です。
……でも、夜神さんは、どうしてわたしに支給された電話にかけられたんですか?」


ゆたかの問いかけを聞いて、夜神青年は少しだけ黙った。
言うことをまとめているような、間。

『実は僕の支給品も鳴海さんと同じ携帯電話だったんです。
電話帳を見た限り、一件だけ電話番号が登録されていまして。
もしや、他の参加者にも携帯電話が支給されているのではないかと思って、こうして電話したんです』

「そうだったんですか。……えっと、乗ってないってことは、夜神さんは、知り合いを探すために、電話をかけたんですか?」

『それもあります。僕の友人も一人、この実験に参加していますから。
しかし、一番の目的は、仲間を集めることです。
この実験を止め、主催者を逮捕する為の仲間を集めたい。
警察官を目指す者として、いや人として、こんな人の命を何とも思わない所業を許せない。』

青年の声には、真摯な決意がこもっていた。
その言葉に、ゆたかは胸を打たれる。
ゆたかは、『生き残れるのは一人だけ』と聞いただけで怖くなって、座り込んでしまった。
でもこの人は、全然希望を捨てていない。

夜神さんは、“呪い”なんて恐ろしいものを見た直後に、あの主催者を倒そうと考えたのだ。
そして即座に仲間集めを考え、こうして携帯でゆたかに呼びかけてくれたのだ。
ひょっとしたら、殺し合いにのっている人にかかるかもしれないのに、
仲間を集める為に、勇気を出して電話したのだ。

その行動力を、ゆたかはすごいと思う。
この人は、すごい人だ。
ゆたかは、青年に対する尊敬の目盛をぐっと上げる。
『どうか僕に協力してもらえないでしょうか』
誠実そうな声だ。
ゆたかは、この夜神という人に協力したいと決める。

でも、ここにはゆたかの他に手塚と、それと『もう一人』いる。
決めるにしても、まずは彼らと相談したい。
ただ、それでもゆたかのスタンスを表明しておくぐらいはしたい。
交渉や約束事なんてゆたかにはさっぱりだけれど、この場でそれぐらいは言ってもいいんじゃないか。

「私も、殺し合いなんてするつもりはありません」
だからゆたかは、そう言った。

『ありがとう。そういう勇気ある人がいることを、心強く思います。
そこで、鳴海さんが信用のおける人だと分かったところで、ひとつお尋ねしたいことがあるのですが……』
彼から心強いと思われるほどのものをゆたかが持っているとは思えないけれど、答えられることがあるならとても嬉しい。
何を聞かれるんだろうと、緊張だけでなく期待で胸をどきどきさせ、


『貴女は、ナルミキヨタカ氏の御親族の方でしょうか……?』


ひゅっと、息を呑んだ。

どうして、その名前がここで出てくるのだろう。

ナルミキヨタカ。

それは、あまりにも唐突な、しかし、耳慣れた名前だった。
その名前の人はゆたかにとっても、『家族』といっていい間柄なのだから。
その上、この殺し合いの場にはいない、全く無関係そうな人なのだから。


成実きよたか。

ゆたかの姉、成実ゆいこと旧姓小早川ゆいと、中学生の時から付き合っていて、
昨年めでたく結ばれた、ゆたかの義理の兄。


どうしてこの人は、これだけの会話で、このタイミングで、お義兄さんの名前が分かったの?
疑問がゆたかの頭を埋める。
ゆたかが『ナルミ』と名乗ったから間違えた?
いや、それはない。名簿にはちゃんと『鳴海』という字で書いてあったし、青年はちゃんと名簿を呼んでいる風だった。
もしかして、この人は義兄の知り合い?
でも、それにしたってゆたかの声を聞いただけで分かるのはおかしい。
ここはぜひとも、その理由を教えてもらわなくては。
だからゆたかは、質問をあっさりと肯定した。


「はい、成実きよたかは、わたしのお義兄さんです」


通話器の向こう側で、少しだけ沈黙が降りた。


「そうだったんですか。勇気がいったでしょうに、よく話してくれました。
その告白に感謝します」

感謝されてしまった。
別に、そんなに勇気の要る答えではなかったけれど。

「あの、どうして――」

ピー、ピー、ピー

携帯から警告音が鳴り響いた。
びくっとして、携帯の画面を見る。

そこには、『バッテリーが切れました。充電してください』の文字。
そして、すっからかんになった電池の目盛。

「あ、ごめんなさい。携帯の電池が……」
日頃から、アニソンの着メロ視聴やネットでの情報収集目的で頻繁にパケット通信をしているこなたである。
その電池は、平均的な女子高生の持つ電話よりも消費されているし、その分電池が切れやすくもなっている。
きっと、ここに呼ばれる直前まで、お姉ちゃんが携帯を使っていたんだろう。
ゆたかはそうと理解する。
でも、困った。
すると、夜神が気を使ってくれた。
『では、改めて充電ができましたらそちらの都合のいい時にかけてください。
近くに充電ができそうな場所はありますか?』
こちらからいつでもかけていいというのは、申し訳ないけどありがたい。
ただ、問題はどこで充電ができるかということで……。
「はい。えっと、充電器も持ってないから、充電器がある場所は……」
相談するように、『彼』と手塚を観る。
『彼』は「その機械は初めて観るので、充電の仕方までは分かりません」とシンプルな答え。
「デパートに行けばあるんじゃないですか?」
そう助言したのは手塚だ。
……確かに、デパートならモノには困らないだろう。
コンビニも確実に置いていそうだけど、少々遠い。

「……デパートに行ってみようかと思います。ここからエリア二つ分ぐらいの近さなので」
夜神月に伝えた。
『分かりました。道中の方は大丈夫ですか?
電話口にお仲間がおられるようですが……』
「大丈夫です。仲間が二人もいるので
……あう、もう本当に電池が危ないので、後で紹介しますね」
『分かりました、では、それまでお互いに無事でいましょう。
大丈夫です。たとえあなたが何者だったとしても、僕たちはあなたを仲間として受け入れます』

また少し分からないことを言われて、通話は切れた。


☆   ☆

「……偽名を訂正できなかったけど、大丈夫かなぁ」
『彼』が即座に答えをくれた。
「また次の機会に訂正すれば大丈夫でしょう。
この短時間で、本物の『鳴海歩』さんに誤解や迷惑がある確率も低いはずです。
それよりも、なし崩し的に協力関係が成立してしまったことが少々気にかかります」
「でも……悪い人には思えませんでしたよ?」
少々分からないところもあったけど、ゆたかを安心させるよう優しくしてくれた人を、疑いたくない。
でも、『彼』の考え方はゆたかよりシビアだった。
「騙すことに長けた人物ほど、人に好印象を与えるものです。
旅の道中では、好意的に接する連中の方が危険な場合が少なくありません」
「はう……。でもそんなこと言ってたら、わたし、誰を信じたらいいのか分からなくなりそう」
『彼』のいうことも本当なんだろうとは思うけれど、それでも人を疑いの目で見るような真似は苦手だった。
しかし手塚がきっぱりと言い切った。
「信じることと疑わないことは違います。
小早川さんが信じたい人ならそうすればいい。
その分俺と陸が、油断せずに見ていればいいだけのことです」
何の迷いもなく、なすべき課題を挙げるように当たり前に言った。
そうだ。ゆたかには仲間がいる。
一人では難しいことでも、手塚や『彼』は手を貸してくれる。
手塚への感謝と安心感で、胸がぎゅっと熱くなった。
目つきが鋭くて一見怖そうに見えるけれど、
さっきからゆたかを気づかってくれて、頼もしい人だと思う。
無表情で冷静な、しっかり者の親友を思い出した。
彼女もよく誤解されるけれど、本当はとても優しいのだ。
「うん……ありがとう、手塚くん」
そして、仲間はもう『一人』。
「では、デパートに向かいましょうか。
私としても、シズさまたちを探すのに、場所を変えるのはやぶさかではありません」
「うん、陸くんもありがとう」
『彼』――手塚に支給された喋る白い犬は、笑っているように優しい顔をしていた。
親友の飼っているハスキー犬のように、抱きついてみたいと思ったのは内緒だ。本人が嫌がりそうだから。



「あ……」
移動中、電池の完全に切れた携帯電話を見て、ゆたかがぽつりとつぶやく。
「充電器探さなくても、公園なら公衆電話があったんじゃないかな……」

【D-6/公園出口/一日目深夜】

【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]健康
[装備]陵桜高校制服
[道具]基本支給品一式、不明支給品0~2
泉こなたの携帯電話(電池切れ)@らき☆すた
[思考]
基本:殺し合いなんてしたくない
1・どうして夜神さんは、お義兄さんの名前を知ってたんだろう……?
2・携帯電話を充電する為に、いったんデパートへ向かう。
3・こなたお姉ちゃんやみなみちゃん、田村さんたちに会いたい。
4・携帯を充電して夜神さんに電話する。
※夜神月を信用しました。
※主催者が『清隆』と名乗っていたことは、竹内理緒の爆死のショックで忘れかけています。(指摘されない限り思い出すことはなさそうです)
※夜神月の携帯電話の番号を記憶していないので、携帯電話が充電されるまでは月と連絡を取ることができません。

【手塚国光@テニスの王子様】
[状態]健康
[装備]青学レギュラージャージ、参加者探知機
[道具]基本支給品一式、不明支給品0~1
陸@キノの旅
[思考]基本:殺し合いには乗らない。部長として、部員を責任もって保護。
1・小早川さんと共にデパートへ向かう。
2・不二、菊丸、越前と合流する


【陸@キノの旅】
シズの連れている白い大型犬。
楽しくて笑っているかのような、愛きょうのある顔が特徴。
(本人は、『地顔であり別に楽しくて笑っているわけではない』と強調する)
自称『シズ様の忠実なる従僕』。言葉を話す。

※支給品の携帯電話には、一件だけ他の携帯電話の番号が登録されています。
(支給された他の携帯電話も、そうなっている可能性があります)



☆   ☆

「なんだ、結局知らない相手だったか」
伊万里ががっかりした声をあげる。
「しかし、ゲームに乗っていない人と連絡がつけられたのは収穫です。
こんな状況では、まず仲間が必要ですから。
特に、主催者の妹さんならば、何らかの事情を知っているはずです。
肉親にこんな目に遭わされてショックを受けているでしょうが、だからこそこの『実験』を共に止めさせたい」
不満そうな伊万里をなだめつつ、月は内心でほくそ笑んでいた。

互いの知り合いのことを話しながら支給品を確認していたのだが、途中でまず電話をかけてみてはどうだと提案してきたのは伊万里だ。
電話先の相手が沢村だったらどうすると伊万里がさんざん急かしたのでかけざるを得なくなったのが本当のところだが。
とはいえ、相手の充電が切れそうだったこと――電池切れを知らせる音が聞こえていたから嘘ではないだろう――を考えると、結果的に電話しておいて正解だったことになる。

そう、“主催者の妹”と接触を持てたのだ。


――もしや、鳴海清隆氏の御親族の方でしょうか……?

そう尋ねた時、鳴海歩は驚愕したように息を呑んだ。
単に、主催者の名前を出されたというだけでは、あんな悲鳴のような呼吸はしない。
あれは『痛いところを突かれた』『大いに心当たりがある』人間の反応だ。
それに、単に偽名を名乗っていたなら、その後の質問を肯定する理由がないのだ。
『主催者の親族だ』という発言が嘘だったとして、それで彼女の得になる要素などどこにもない。
そこまで大胆な嘘はすぐに化けの皮が剥がれるし、嘘が大きくなるほど喪われる信用も大きい。
どんな馬鹿でもそれぐらいの計算はできる。

そもそも偽名で『鳴海歩』を使ったという可能性自体が低い。
名簿の中から適当な名前を見つくろって、鳴海歩を引き当てる確率は69分の1
――明らかな女性名に限定したとしても、29分の1だ。
仮に、鳴海歩の関係者が恣意から名前を騙ったのだとしても、鳴海歩を陥れるような言動をするはず。『鳴海歩』の身分で好意的に接する必要もない。

――はい、鳴海清隆は、わたしのお兄さんです。

つまり、この発言が真実である可能性は、限りなく高い。
ということを、関口伊万里に話した。
しかし伊万里は感心するかと思いきや、

「そんな断定していいのか? もしかしたら、たまたまその子の兄貴が主催者と同性同名だったのかもしれないぞ?」
「いや、いくら何でもそこまで偶然が重なったりしないでしょう。
『清隆』なんて、珍しい名前じゃないけど、ありふれた名前でもありません」
「そうか?」と伊万里はあごに指をあて、納得いかなそうに考えている。
霊長類が、野生の勘で何かを嗅ぎ取った時のような顔だった。
「では伊万里さん、情報交換の続きをしましょうか」
「分かった。さっさと済ませて施設を回るぞ!」
公開した支給品をせっかちにディパックへ戻しながら、伊万里が気合いのこもった声を上げる。



☆   ☆

(ふふ……どうやら運はこの僕に味方しているようだ……!)

伊万里に向けたにこやかな仮面の下、心の中で大きく口の端を吊りあげて笑う。
これほどの強運を持った参加者は他にいないだろう。
ゲーム開始から一時間も立たずに、一級重要人物と連絡を持てたのだから。


ただし、ここまでご都合主義のような幸運に恵まれて、疑わないほど月も愚かでは無い。
実際、不可解な部分もある。

(……話した限りでは取るに足りない相手のようだったが……)

鳴海歩が何らかの『役割』を期待して送り込まれたのだとしたら、余りにも頼りない人材だと言わざるを得ない。
言葉はたどたどしく緊張に満ちていたし、何より声の質があまりにも幼い。
高校生だと言っていたが、第一印象では小学生かと錯覚した。
だが、主催者に送り込まれた人材だからと言って、有能な相手だとも限らない。
鳴海清隆はこの企画を『運命の為の、意味ある戦い』だと言っていた。
ならば、参加者に問われるのも単純な頭脳と戦闘力ではなく、
例えばこの“口づけ”のようなオカルト要素や、その他の実力と無関係な要素かもしれない。

(……あるいは、同行者がいたようだから、そちらが本物の『鳴海歩』で、少女は影武者
……いや、それはないな。いくら何でも、『大人』が二人いるのに子どもに影武者をやらせるなんて非現実的すぎる)
そう、携帯の充電について尋ねた時、電話の向こうで『鳴海歩』と誰かの会話が漏れていた。
ゆたかは二人仲間がいると言っていたし、実際聞こえてきた声も二人分。
電話越しにとぎれとぎれにしか聞こえなかったが、低く落ちついた男の声と、それよりも更に低く老繪な声。
微かな声だったが、低く見積もっても二十代以上の人間の声だった。
プロファイルできる推定年齢は二十代か三十代といったところか。
そしてもう一人は、四十代以降の成人男性。
……幼い少女の外見なら、逆に警戒されることもなく駒を集められるのだろう。

ろくな話しも聞き出せないまま電池が切れたことは残念だったが、機会はいくらでもある。
こちら側の余裕を示して信用を得る為にも、敢えて『そちらの都合のいい時にかけてくれ』と言った。
その間に、こちらは会場内を探索し、月なりの仮説を立てておくとしよう。

それに、『鳴海歩』から情報をしぼれるだけしぼり取るには手札が揃ってからの方が良い。
まずは関口伊万里から、情報を聞きだす。



もし、『鳴海歩』が鳴海清隆の回し者だったら、利用できるまで利用する。
そして殺す。
罪人に加担するものとして、粛清する。

逆に、兄の鳴海清隆と敵対するものだったら、利用できるまで利用する。
そして妨害する。
必要なら殺す。
罪人の身内などに先を越されることは、月のプライドが許さない。


【A-1/森の中/一日目深夜】

【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]携帯電話(ガーベージコレクトのコード@よくわかる現代魔法)
基本支給品一式、不明支給品0~2(確認済み)
[思考]基本・手段を問わず生き残り、その上で鳴海清隆を殺す。
1・これはついている……!
2・関口伊万里から鳴海清隆の情報を聞きだす。
3・それが終わったら、各施設を探索する。まずは近くにある研究所を目指す。
4・自らの生存に有利な情報を集める。Lと協力するかは状況しだい。
※鳴海歩がジョーカーとして参加している可能性を考えています。
※小早川ゆたかの名前を『鳴海歩(あゆみ)』だと思っています。

【関口伊万里@スパイラル・アライヴ】
[状態]健康
[装備]はやぶさ号@スパイラル・アライヴ
[道具]基本支給品一式、不明支給品0~2(確認済み)
[思考]基本・雨苗の好きにはさせん!
1・気のせいか? 夜神月がにやついてるように見える……
2・沢村を探す。雨苗が死ぬのも断固阻止する。
3・とりあえず月について施設を探索する。
※参戦時期はアライヴ5巻、雨苗に別れを告げられた直後です。
※当たり前ですが、浅月香介を、『アライヴ』の浅月香介(『推理の絆』から二年前の時点の浅月香介)だと思っています。


【ガーベージコレクトのコード(with携帯電話)@よくわかる現代魔法】
人間の瑣末なゴミ記憶(ガーベージ)を抹消するコード。
多人数の人間が一斉に機動すれば、増幅効果によってその場にいる人間の記憶を全て永久に抹消できる。
……のだが、本ロワのように携帯電話一個程度では、使用者が
「頭がすっとして前向きになる(瑣末な記憶を忘れてしまう副作用)」程度の効果しか得られない。


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最終更新:2011年06月21日 22:07
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