希望は潰えぬ

27話 希望は潰えぬ


「よし、行くぞ」
「え?もう?」
「当たり前だろう…」

ブルース、大江、戸田の三人は宿舎を出ていくところだった。
放送が終わり、最低限の事項を確認してブルースは立ちあがる。

「とりあえず、俺が先行する…ついてこい」
「はい、分かりました」
「へーい、わかりますたい」

念のために言っておこう、先に返事をしたのが大江太一である。

「…何も起きないといいのだがな」

○ ○ ○ ○ ○

「…まだあいつはいるはずだ」

アラニスは放送後9mm機関けん銃を構え街を歩いていた。
放送が終わり先ほど襲撃をした男を探していた。
体勢を整えた今なら負ける自信はなかった。

「……見つけた」
「よう、さっきのはお前か…!」

二人が対峙する。
少しの会話の後、戦闘が始まる。
アラニスが9mm機関けん銃をすぐさまマクレーンに向ける。

「遅い!」

マクレーンも腰の位置から相手に向けてすぐさま発砲する。
その銃撃はマクレーンの狙い通り、右足の太ももを貫通した。

「ぐ、がああああああああああああああ!!」
「ふん、いい様だ…!」
「く、そがあああああああ!!」

アラニスが9mm機関けん銃をマクレーンに向けて撃つ。
しかし、でたらめに打ったため当たるはずもなく弾切れとなる。

「な…」
「ふん、じゃあな…せめて苦しんで死ぬがいい」

バン、バン、バン

三つの乾いた音と共に、アラニスの右目、左目、眉間の三つに穴をあけた。
そこから血が噴き出す。

「さあ、次はあの男と小さなガキか」

そう言い、動き出そうとした時、三人の人間を発見する。

「お前…そいつを殺したのか……」
「ふん、だったらどうした?」
「……大江、戸田、下がってろ」
「えー?別にいいじゃん」
「……撃たれたいか?」
「ちょ!何真剣にしてんの!?」
「戸田さん、下がりましょうよ…」
「えー?……分かったよ」

戸田と大江が下がる。
ブルースが目を細める。

「おいおい、いきなりどうしっ!」

ブルースはすでに銃を構えていた。
何故、マクレーンは反応できなかったのか…。
その理由は簡単だ、早すぎて見えなかった。ただそれだけである。

「……殺しはしないさ、よほどの事が無ければ…な」
「ブルースさん!」

大江が走ってくる。
ブルースは大江の方向を見る。

「馬鹿野郎!来るな!」
「え?なんでですか…?その人は」

また、乾いた音がした。
それは耳を伝わって頭に入ってきた。
大江の首に、銃弾が貫通してしまった。

「大江!!」
「ヒャハハハ…甘い、んだ、よお」
「この、クソ野郎がぁ!!」

ブルースは引き金を引く。
しかし、それは当たらなかった。
戸田愛、彼女がマクレーンの首を片手で掴んで立っていた。

「戸田…なんでだ……!」
「ブルースさん、貴方が殺すことはないんだよ」
「……」
「こういう汚れ役は、私に任せてよ」
「戸田!」
「じゃあね、ブルースさん」

彼女は手に持っていた焼夷手榴弾のピンを引く。
それをマクレーンの口に突っ込み、自分の口をマクレーンの口に重ねる。

「やめろ!お前が死ぬことなんてないんだ!」
「なんでだよ!畜生!」

二人の顔が燃え上がる。
その炎はどんどん燃え上がり、二つの命を消した。

「………ち、くしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「俺はあれから、何も変わってねえじゃねえか!」
「何も守れないで…何が刑事だ!」

彼に一体何があったのか…それを見てみよう。

○ ○ ○ ○ ○
過去の話

「待て!なんでお前が死なないといけないんだよ!」
「……仕方ないでしょ?犯人の要求なんだし」
「俺がどうにかする!」
「私の命と、100人の命…世の中がどっちを大切にすると思う?」
「…それは」
「じゃあね、好きだったわよ…ブルース」
「待ってくれ!」
「……」

彼女は二度と帰ってこなかった。
犯人の逮捕と100人の命のために、恋人を失った。

○ ○ ○ ○ ○

「あれから俺は、何も変わってない…!」

ブルースは涙を流す。
その声は、怒りと憎しみにあふれていた。

「……畜生」

ブルースは他人の支給品を取って、再び歩き始めた。
少し、希望を取り戻して。

【大江太一】【マクファーレン・チャールズ】【戸田愛】【ロバートソン・アラニス】【死亡確認】
【人数状況 16/38】

【一日目/午前/E-3住宅街】
【ブルース・ヤスパース】
[状態]左手に裂傷、精神的疲労(極大)
[装備]ベレッタM92F(15/15)
[所持品]基本支給品、お徳用ストロー30本入り、不明支給品(2~5)(武器は入っていない)、ベレッタM92Fのマガジン(5)
サバイバルナイフ、木の棒、金属バット、焼夷手榴弾(2)、ワルサーP5(4/8)、ワルサーP5のマガジン(1)
9mm機関けん銃(17/25)、9mm機関けん銃のマガジン(2)
[思考・行動]
基本:主催への反抗。
1:自分ひとりで行動。
2:もし攻撃してくる奴がいたら容赦しない。

貴方を射ち落とす 目次順 錯乱状態にお気を付けください

3人の休息+1名の受難 ブルース・ヤスパース こんな終わり方も何かの因果なのかもしれない
3人の休息+1名の受難 大江太一 GAME OVER
3人の休息+1名の受難 戸田愛 GAME OVER
住宅街の戦闘、見物人を添えて マクファーレン・チャールズ GAME OVER
住宅街の戦闘、見物人を添えて ロバートソン・アラニス GAME OVER

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最終更新:2011年06月05日 12:47
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