「ジャンゴ・・・!?それにドーロホフだと!?」
サバタ・ヴァンクリフは、名簿に記された2つの名に驚愕した。
ジャンゴ、そしてイワン・ミハイロヴィッチ・ドーロホフ。
「有翼の蛇教団 」の幹部と「最後の兵力」のリーダー。
どちらも彼の任務の最中に死亡したはずの恐竜の名である。
ジャンゴに関しては生きている可能性がないわけではない。
残った右目を撃ち抜いたとはいえ、その死体は発見できなかった。
有翼の蛇教団のメンバーに救出されたとも考えられる。
だが、ドーロホフは違う。彼は間違いなくその死体を確認した。
サバタ・ヴァンクリフ、ジャンゴ、さらにサバタと同じ「イフの城」メンバーであるアボラ・サンダの名が載っている以上、
ドーロホフだけが別人だというのも考えにくい。
(リリーの名前が無いのがせめてもの救いか・・・これ以上考えても仕方ない、ひとまずサンダと合流するのが先決だな)
サンダとは、サバタの師匠であるドラゴン・ホースこと坂本龍馬が8年前イフの城にスカウトした、プロトケラトプスである。
今度、切り裂きジャック事件を共に調査することになっていた男だ。
(そうと決まったら、さっさとこんな所は・・・ん?)
サバタが現在のゴミ処理場を後にしようと、デイバックに名簿をしまい込んだ時、彼の眼にある物が留まった。
(これは・・・目玉焼きか?)
やや歪な形状ではあるが、白と黄色の円形からなるそれは紛れもない目玉焼きだった。
(卵泥棒と虐げられてきた俺に目玉焼きを支給するとは・・・随分と意地悪な連中だな)
彼の先祖である恐竜の、オヴィラプトルの名は「卵泥棒」を意味する。
オヴィラプトルの口が、堅いものを割るのに適したクチバシ状をしていた事、
そして何よりオヴィラプトルの化石がほかの恐竜の卵の近くから発見されたことが原因である。
これによりタバサが属するオヴィラプトルの氏族は、無抵抗な他人の子供を盗み食う卑劣な一族のレッテルを貼られ、
他の恐竜からの迫害を受けそのほとんどが虐殺されてしまったのである。
(・・・しかし、少々ハラが減ったのも事実だな。仕方ない、気は進まないがいただくとするか)
そうして、彼は目玉焼きに食いついた。
が、
「ぐぶっ!?」
吹き出した。そして
「食えねーよ!!」
絶叫した。
なぜ卵を割って焼くだけの料理をここまでマズく作れるのか。マズい、マズすぎる。
いや、マズいなんて物じゃない。命の象徴であるはずの卵から死を凝縮したような味がする。
「はっ!?マズい!」
マズいとは、何も味のことではない。こんな殺し合いの場で大声を出せば、殺し合いに乗った参加者の標的になるのは目に見えている。
こんな凡ミスを犯すとは、エージェントの自分らしくもない。裏を返せばそれだけ目玉焼きがマズかったという事でもあるが。
そして予想通り、トラックの陰から何者かが接近してくる足音が聞こえる。
(感付かれたか・・・こうなったら先手必勝だ)
サバタは支給品のガトリングガンを右手に装着し
「動くなっ!!」
音のする方向へと向き直った。
「ひゃあっ!?」
「・・・すまん、驚かせちまったな」
サバタはゆっくりと銃を下した。
やってきたのは、金髪と背中の翼、そして巨乳が目を惹く女だった。
エージェントの自分でなくとも分かる。この女は殺し合いに乗っていない。
纏っている空気があまりにも緩すぎる。
(それにしても・・・)
・・・デカい。
翼や奇抜な格好も気になるが、何より目を惹くのは、その胸だ。
リリー、いや明らかにそれ以上だ。
「あ、あの・・・・」
(はっ!?気付かれたか!?)
「ニワトリさん・・・でいいんですか?」
「・・・まずはお互いに自己紹介といこうか」
□□□□□□□□□□□□□□□□
「えっと・・・それじゃあサバタさんは、6500万年前の古代に滅んだ・・・きょりゅう?の生き残りなんですか?」
「まぁ、そういう事になるな」
20分ほどで自己紹介は終わった。一応、イフの城のメンバーである事は伏せておいたが。
それによると、この女の名前はアストレアというらしい。
あまり頭が良くないらしく、説明にずいぶん手間取ってしまった。
しかし、こちらの説明だけでなく、アストレアからの説明にも、「シナプス」「エンジェロイド」など意味不明な単語が多数登場した。
どうやらサンダだけではなく、彼女の説明に出てきたイカロスをはじめとする人物とも合流し、話を聞く必要があるようだ。
「あの、最後にひとつだけ聞きたいんですが」
「ん?どうした?」
サバタが立ち上がろうとした瞬間、アストレアが呼び止めた。
「古代って何ですか?食えるんですか?」
「食えねーーよっ!!」
本日2度目の絶叫が響き渡った。
奇しくもそれは6500万年前、とある世界で恐竜を滅ぼした反逆者<トリーズナー>と最強のアルターの会話とほぼ同一であった。
1日目・深夜・C-1 ゴミ処理場
【サバタ・ヴァンクリフ@ジャバウォッキー】
[状態]健康
[装備]クロのガトリングガン@サイボーグクロちゃん
[道具]基本支給品
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:サンダと合流する
2:イカロスや智樹を探す
3:ジャンゴ、ドーロホフとは決着を付ける
参戦時期はサンダと合流する直前です
【アストレア@そらのおとしもの】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品①②(確認済み)
[思考]
基本:サバタについて行く
1:同上
2:イカロスや智樹を探す
参戦時期は未定ですが、少なくともカオスと会う以前です
■参加者紹介
【サバタ・ヴァンクリフ】
人間と恐竜の共存する世界を作るのが目的の組織、「イフの城」のメンバー。
オヴィラオウトルの氏族という事で、過去に迫害を受けており、それにより家族を失った。
彼自身もジャンゴによって射的ゲームの的にされており、その際右腕を失い、それ以来義手となった。
モンゴルで最初に化石が発見された恐竜。当初そばにあった卵はプロトケラトプス
のものと考えられ、卵泥棒の汚名を着せられたが、のちの研究でオヴィラプトル自身の
卵であることが判明し、実際は卵を温めていたと考えられる。クチバシは木の実や貝殻を割って食べていたと考えられる。
【アストレア】
局地戦闘用エンジェロイドタイプΔ。先に作られたイカロスやニンフに比べ、戦闘能力と感情制御が搭載されている反面、
電算能力は搭載されていない。一言でいえばバカ。だがその戦闘力は高く、遠距離兵器を搭載していないものの、
近距離での格闘戦ではイカロスをも上回る。かなりの巨乳で、なおかつ食いしん坊。
■支給品紹介
【クロのガトリングガン】
クロが最も多用している武器。大抵はコレで何とかなる。
【そはらの目玉焼き@そらのおとしもの】
智樹の幼馴染、月見そはらが焼いた目玉焼き。恐ろしくマズい。
混沌の天使 |
投下順 |
孤独な傭兵 |
GAME START |
サバタ・ヴァンクリフ |
[[]] |
GAME START |
アストレア |
[[]] |
最終更新:2011年07月21日 18:41