学校血戦

37話 学校血戦

殺し合いゲームが始まり8時間足らずで30人いた参加者は6人にまで減った。
殺し合いに身を任せ他人を屠る者、宮崎賢也とパーヴェル。
殺し合いに抗いもがく者、ジークリード、由比ヶ浜智里、ローレンツ、粕谷結菜。

間も無くゲームの結果は決するであろう。

……

学校。

グラウンドに出る少年と狼。

「あと6人か、俺達入れて」
「早いもんだな…たった8時間でよ」
「さてと……どうするパーヴェル?」
「そうだな……ここで待つか? しばらく」
「……へへっ」

互いに武器を装備し、余裕の構えで学校への訪問者を待つ。

「お前結構良い身体してるよなァ賢也」
「よせよ。そんな趣味は無いよ」
「残念」
「……おっと、誰か来たようだ」

最初の訪問者が正門から現れる。
濃灰と白色の毛皮を持った人狼、ローレンツと、青髪美少女、粕谷結菜。

「…! 誰かいるな」
「あれは…宮崎賢也と、パーヴェル、かな」

名簿を見ながら結菜が言う。
見晴らしの良いグラウンドで対峙する二組。

「いやあ、あんたらも生き残りか」

賢也がローレンツと結菜に気さくに話し掛ける。
当然、心の底からでは無く、相手の二人を油断させるための三文芝居。
パーヴェルには伝えていないアドリブであったがパーヴェルも何と無しに賢也の考えは察したようで、
話を合わせ始めた。

「もう俺達入れて6人だけだってよー」
「……」
「……」

しかし、ローレンツと結菜は少年と狼の瞳が笑っていない事に気付いていた。
顔は笑っていても目は全く笑っていない。警戒態勢を取るローレンツと結菜。
芝居が見抜かれていると、賢也とパーヴェルが察知するのもそう時間は掛からなかった。

(やるか…)
(やっちまうか)

互いに目を合わせ、パーヴェルと賢也は行動を起こそうとした。

「あのー」
「すいませーんフフフwwww」
「!」
「…!」

しかし突然、背後から声を掛けられる。
パーヴェルと賢也が振り向くと、校舎の裏口から入ってきたのだろうか、
濃淡の水色の毛皮を持つ人狼と、淡い赤色の髪の美少女がいた。
ジークリードと、由比ヶ浜智里。ここに殺し合いの生存者6人が集結した事になる。

「あれ、そこにいるのは…」
「あ、ここに6人いるよジークリード、つまり殺し合いの生き残り全員だねwwwフフフフwww」
「何か変なテンションの女の子がいる…」
「…生き残りが全員集まったって訳ね」

パーヴェルと賢也を挟んで会話するローレンツ、結菜コンビとジークリード、智里コンビ。
彼らの言う通り、殺し合いの生存者6人が学校に全員集合した。

「……」
「……」

パーヴェルと賢也にとっては、他生存者を一気に仕留めるまたと無いチャンスだった。

(…俺は後)
(俺は前だな)

再びアイコンタクトを取るパーヴェルと賢也。
そしてついに行動を起こした。
賢也が前方にいたローレンツに持っていたグロック 20を向け、引き金を引く。

ダァン!

「あ…」

10㎜オート弾の銃弾はローレンツの心臓を撃ち抜いた。

「えっ…ローレンツ」

ダァン!

そして直後、結菜の頭部から赤い華が咲いた。
一方のパーヴェルは目の前にいた人狼に飛び掛かった。

「ガァッ…!?」

ジークリードの喉笛に深く牙が食い込み、鮮血が溢れる。
そのまま地面に押し倒され、直後、ぶちっと言う嫌な音と共に、パーヴェルがジークリードの喉を食い千切った。
真っ赤な噴水が溢れグラウンドを汚した。
血塗れの顔を、今度は智里に向けた。

「フ、フフフフwwwwフフフフwwww私オワタwwwwwwフフフフフフwwww」

智里は余りの出来事に地面にへたり込み失禁し、乾いた笑い声を上げていた。
そしてパーヴェルの背中に浮かんでいた十一年式機関銃の掃射を近距離で食らった智里は、
一瞬で血塗れの肉塊と化した。

「…意外と簡単だったな」
「ああ……おっと、可愛い子だったなこの二人の女の子は。犯してから殺すべきだったな」
「おいおい…」

自分以外の生き残りの四人を仕留めた事で少し安堵するパーヴェルと賢也。
その時、血溜まりの中に横たわる濃淡水色の人狼には背を向けていた。

「……」

濃淡水色の人狼、ジークリードがゆっくりと上半身を起こす。
とても息苦しかったが、まだ生きている、と、自分を奮い立たせる。
そして、トカレフM1940自動小銃を手に取り。

ドォン!

「なっ」

賢也の身体を撃ち抜いた。
次に、パーヴェルに銃口を向ける。

「! …マジかよ、おい」

ドォン!

パーヴェルの頭部が破裂し、顎から上が肉片と化してしまった。
賢也とパーヴェルはグラウンドの上に倒れ、先に殺された三人同様、物言わぬ屍と化した。

「ガハッ……ハァー……ハァー……イぎ、グルしイ……」

まだ出血している喉笛を押さえながら、ジークリードは地面に身体を横たえる。
しばらくじっとしていれば治癒するだろう。

「……チサト……ぢャん……」

身体を穴だらけにして息絶えている、ついさっきまで共に行動していた少女の方に目を向ける。
ほんの少しの間しか一緒にいなかったが、それでも目の前にいたと言うのに、何も出来なかったのは悔しい。
悔恨の念を胸に、ジークリードはゆっくりと目を閉じた。


【ローレンツ:死亡】
【粕谷結菜:死亡】
【由比ヶ浜智里:死亡】
【宮崎賢也:死亡】
【パーヴェル:死亡】
【残り1人】


【ジークリード:優勝 以上本部選手確認モニタより】


もっとEX俺オリロワ第二回放送 目次順 曇天

少年と狼と殺戮と 宮崎賢也 GAME OVER
少年と狼と殺戮と パーヴェル GAME OVER
泡立つグラス飲み干して ローレンツ GAME OVER
泡立つグラス飲み干して 粕谷結菜 GAME OVER
泡立つグラス飲み干して ジークリード
泡立つグラス飲み干して 由比ヶ浜智里 GAME OVER

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最終更新:2011年05月30日 22:18
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