26話 女の防衛戦
まさかこんな事になるなんて、と直紀は後悔する。
直紀がほんの少しトイレに行った間に、直紀の同行者、由利恵の身に起こった事。
「ゆ、由利恵、どうした!? 何があったんだ!?」
「うう…碑文谷さん…」
直紀がトイレから戻った時、由利恵は下半身を露出し、ぐったりしていた。
「…碑文谷さんがトイレに行っている間に…紺色の、狼がやって来たの」
「何…? 物音何も、しなかったけど」
「いきなり入ってきて私に喋るなって言って…銃みたいの突き付けられて…」
「あ、ああ」
由利恵がややショックを受けた状態で、何が起きたかを直紀に話す。
直紀がトイレに行った後、由利恵のいる部屋に、静かに一匹の狼が侵入し、由利恵に襲い掛かった。
銃を突き付け騒ぐなと脅し、しばらく由利恵の身体を見た後、その狼はこう言ったのだと言う。
「俺とヤらせてくれたら見逃してやる」
勿論、従った所で本当に命を助けてくれる保証などどこにも無かったのだが、
従う以外に選択肢は無かった由利恵は、自分でスカートとパンツを脱ぎ狼に尻を差し出した。
そして狼は由利恵を味わい、そのままどこかへ去った、と言う。
「何て事だ…」
直紀は由利恵の秘部から漂う自分のそれとは違う雄の臭いを嗅ぎ付けていた。
即ち由利恵の言った事を裏付けていた。
「ごめんな、怖かったよな…本当にごめん、傍にいたのに」
「う、ううん、良いの…怖かったけど…命は助かったし、私も、碑文谷さんも」
「…名前、何て言うんだ、そいつの」
「…パーヴェル…って言っていた」
「パーヴェル……もし会ったら、ただじゃおかねぇ……」
九九式短小銃をぐっと握り締め、直紀は由利恵を襲ったパーヴェルに怒りを露わにする。
◆
頭上に自動拳銃ワルサー P38を浮かばせている狼、パーヴェルは、
満足しながら街の通りを歩いていた。
「あんな上玉の人間の雌とヤれるなんてなぁ、良かったぜ」
先刻、とある民家に隠れていた少女を襲い、犯した。
殺しても良かったのだが、気まぐれで見逃した。
少女一人、見逃した所で大した問題にも、脅威にもならないと考えたのである。
「どっかで休むか…」
放送時刻も近付いていたため、パーヴェルは適当な民家で休む事にした。
【朝/C-6住宅街原田家】
【碑文谷直紀】
[状態]健康、パーヴェルに対する怒り
[装備]九九式短小銃(5/5)
[道具]基本支給品一式、7.7mmx58装弾クリップ(5×3)、九九式手榴弾(3)
[思考]
1:殺し合いはしない。
2:由利恵、コンスタンツェ、色部と行動。当座の拠点である原田家の守備。
[備考]
※特に無し。
【東儀由利恵】
[状態]精神的ショック(中度)、下半身露出
[装備]ルガー P08(8/8)
[道具]基本支給品一式、ルガー P08予備マガジン(3)、果物ナイフ
[思考]
1:殺し合いはしたくない。
2:碑文谷さん、コンスタンツェさん、色部君と行動。当座の拠点である原田家の守備。
[備考]
※特に無し。
【朝/???】
【パーヴェル】
[状態]健康
[装備]ワルサー P38(8/8)
[道具]基本支給品一式、ワルサー P38予備マガジン(3)
[思考]
1:殺し合いに乗る。男も女も気に入った奴は犯してから殺す。
2:どこかで休む。
[備考]
※特に無し。
最終更新:2011年05月29日 13:58