21話 新しい苦難を越える支度にかかる
豪邸を出た朝斬厳空とカスパルは森の中を歩いていた。
目指すは東。市街地である。コンパスを確認しつつ先に進む。
「……」
厳空は前方を歩くカスパルの方をまじまじと見る。
狼の頭上に、散弾銃が浮かんでいる。
カスパル曰く、魔力で浮かし、操作するのだと言うが傍から見ればシュールな光景だ。
「どうした?」
「あ、いや、ショットガン浮かんでるのってシュールだなと思って…」
「まあ、そうだろうな…」
ウィンチェスター M1897トレンチモデルの銃口を周囲に向けて警戒しながら、
銀と白の巨躯の狼は柔らかい雑草の覆う地面を歩く。
(…俺は、生きようとしているのか? 死にたかったのに…)
思えば豪邸にて自分は自殺しようとしていたのだとカスパルは思い出す。
それを現在後ろを歩く少女、朝斬厳空に止められた。そして直後に厳空を、カスパルは性的に食べた。
最初は抵抗されたが、次第に彼女の方から求めてくるようになり、
今では「カスパルとは絶対に離れない」とまで言っている。
ある意味で、厳空はカスパルの命の恩人と言える存在になっていた。
(まあ、命の恩人だよなぁ、ある意味…気持ち良かったし…いやそういう事じゃないか…。
何か俺、懐かれてるみたいだし…頑張ってみようか…)
厳空のために、カスパルはこの殺し合いを出来る限り生き抜く事を決めた。
◆
猫獣人少女、太田かずみは制服を着終え、売り物らしいソファーに座る。
ベッドの上で、シーツを掛けられた裸の小太り青年が疲労で熟睡していた。
「激しいんだから、安藤さん…うふっ」
先程までの青年――安藤正年との行為を思い出し、かずみは微笑んだ。
ソファーに横になり、天井を眺めながら自分の首にはめられた首輪に触れた。
「これを何とかしないと…」
参加者の命が主催者に握られる大きな要因の一つである金属製の爆弾入り首輪。
この首輪をどうにかして解除しない限り脱出など不可能だろう。
かずみには首輪を解除出来ると言う自信――と言う程では無いが、かもしれないとは考えていた。
しかし内部の構造を見てみなければ何とも言えない。
その「内部の構造を見る」と言う事をどのようにして行なうかが問題だった。
「あー…」
尻尾を揺らし、かずみは考えを巡らせる。
「う…ん…かずみ…ちゃん…おっぱい…」
そして正年は気持ち良い夢を見る。
【朝/B-3森】
【朝斬厳空】
[状態]健康
[装備]S&W M10(6/6)
[道具]基本支給品一式、.38スペシャル弾(12)
[思考]
1:殺し合いには乗らない。
2:カスパルに惚れた。
[備考]
※B-4方面に移動しています。
※衣服を着ました。
【カスパル】
[状態]健康
[装備]ウィンチェスター M1897トレンチモデル(5/5)
[道具]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(10)
[思考]
1:頑張って生きる。
2:仕方無いので厳空と一緒に行動する。
[備考]
※B-4方面に移動しています。
【朝/B-4商店街家具店】
【太田かずみ】
[状態]肉体疲労(中)
[装備]アイスピック
[道具]基本支給品一式、虫除けスプレー
[思考]
1:殺し合いはしない。首輪を調べてみたい。
2:安藤さんと行動。
[備考]
※衣服を着ました。
【安藤正年】
[状態]睡眠中、全裸
[装備]鉈
[道具]基本支給品一式、コンドーム詰め合わせ
[思考]
1:死にたくない。
2:(睡眠中)
[備考]
※衣服は近くに脱いで畳んであります。
最終更新:2011年05月29日 19:57