17話 酒は飲んでも飲まれるな
「さて…保護したは良いけど…起きたらどうやって説得しようかなぁ」
とある民家の中に、自分を襲った若い女性を寝かせる。
返り討ちにして気絶させてしまったのだ。
黒と白の毛皮の竜の青年、ヴィンフリートは女性、桜井華弥を出来れば殺したく無かった。
襲われ怪我を負わされたとは言え、である。
「まだ起きる様子無いし…いいや、ちょっと飲み物でも探そうか。
喉乾いちゃったよ…支給品の水じゃ、味気無いしな」
和室に華弥を寝かせ、ヴィンフリートは台所へ向かった。
「お」
冷蔵庫の横にウーロン茶のペットボトルが置かれていた。
冷蔵庫の中も調べてみたが飲み物は特に何も無いようだった。
「ウーロン茶でも良いか」
ヴィンフリートはウーロン茶のペットボトルを開け、何も考えずに一気にそれを口に運んだ。
……
獣の荒い息遣いが聞こえる。意識は混濁しているが酒臭さと獣臭さは感じた。
「ん……」
桜井華弥は意識を取り戻す。
「え……」
「ハァ…ハァ…ハァ…」
自分の衣服は脱がされ全裸にされていた。
そして、黒と白の毛皮の竜が、虚ろな目で自分の身体を舐め回し、
右手を自分の股間の所に持って行きもぞもぞと動かしている。
竜の青年は間違い無く先刻自分が襲い、そして自分を気絶させた本人。しかし、気絶する直前までとは、
雰囲気がかなり違っていた。
「酒臭っ…!」
竜の青年、ヴィンフリートからはかなりのアルコール臭が漂っていた。
華弥が目覚める数分前、ヴィンフリートは民家の台所にてウーロン茶のペットボトルに入っていた物を飲んだ。
しかしそれはウーロン茶などでは無く、ウィスキーだった。しかもかなりアルコール度数の高い物が入っていた。
飲んでいた者が何らかの理由はウーロン茶のペットボトルに移し替えていたようだが、
そんな事ヴィンフリートが知る由も無く。
酩酊状態となった竜青年は、すっかり発情し、華弥を犯そうとしていた。
「あっん…いくぅ!」
ヴィンフリートが身体を震わせる。
いきり立った己を扱いていた右手が白い液で汚れた。
「はぁううう…」
「酒臭いぃ…酔っ払いになってる」
「おねえさん…えっちしよ? ね? おれ、もうがまんれきないよぉ」
「うっ!」
一度放精した程度で収まらない怒張が、一気に華弥の体を貫いた。
具合の良い女の中に気を良くしたヴィンフリートは激しく腰を動かす。
「あぅ、あ、あぁあ…きもちいいよ…すっごく」
「い、痛い、痛い、ま、待って、駄目! あぁ!」
全く慣らさないで挿入されればいくら何でも痛い。
身が裂けるような激痛が華弥を襲っていたがすっかり酩酊状態のヴィンフリートはそんな事は全く気にする様子は無い。
ただただ自分だけが快楽を得る行為を続ける。
「このぉ…痛いっ、て」
段々と怒りが湧き起こる華弥。
側のテーブルの上に手を伸ばし、固い何かを掴む。
「言ってんでしょうが!!」
ガラス製の重い灰皿を、ヴィンフリートのこめかみ目掛け薙ぎ払った。
ガスッ!!
「があっ!?」
悲鳴を上げ畳の上に倒れ込むヴィンフリート。その際ズルッと、彼の肉剛も華弥の秘部から抜けた。
出血するこめかみを押さえ悶絶する竜青年目掛け、華弥が更に追い打ちを掛ける。
「最初から私をレイプする気だったのね! この!」
「ち、が…! や、め」
酔いが覚めたヴィンフリートだったが時既に遅し。
ガラス灰皿による打撃を何度も何度も、その頭や身体に食らい続けた。
鈍い音が和室内に響き、血飛沫が畳を汚した。
数分後。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
血塗れの肉塊同然となった竜青年を、息切れした華弥が見下ろす。
「ざまあ見やがれっての…」
血塗れとなったガラス灰皿を畳の上に落とす。
「…服、着なくちゃ」
脱がされた衣服を着るため、華弥がヴィンフリートの亡骸に背を向ける。
亡骸。華弥はそう思っていた。しかし、亡骸ならば、震えながらも、身動きをしたりはしないだろう。
虫の息のヴィンフリートは、恐らく意識も殆ど無いのだろうが、最期にやっておきたい事があった。
鋭い爪の付いた右手を、ゆっくりと上に向け掲げる。
瞳孔が開きつつあるその双眸の先にあるのは華弥の背中。
華弥は背後で起こっている事に全く気付かなかった。彼女にとって不幸だった事であろう。
鋭い爪が、華弥の背中目掛けて振り下ろされた。
【ヴィンフリート:死亡】
【桜井華弥:死亡】
【残り22人】
最終更新:2011年05月26日 19:02